説明

音響システムおよび音響システムの設定方法

【課題】複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、聴取者の感覚に依らずに、聴取位置間の漏れ音の程度を簡易に把握可能とすることを課題とする。
【解決手段】音響システムにおいて、座席A、B、C、Dに対して夫々異なる音響を出力するスピーカ17a、17b、17c、17dと、座席Aにおける、スピーカ17b、17c、17dによって座席B、C、Dに対して出力された音響の漏れ音の程度と、座席Bにおける、スピーカ17a、17c、17dによって座席A、C、Dに対して出力された音響の漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示する表示部19aと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力することが可能な音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力音を制御することにより生成される音響空間に対応するイメージを表示し、ユーザの指示に合わせてこのイメージを変化させ、更にイメージの変化に対応して出力音を変化させる音響空間制御装置がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、車両のタイプを示す文字情報およびパターンデータを表示し、選択された車両タイプに対応したイコライザ特性の調整を行う車載用音響装置や(特許文献2を参照)、選択されたシートポジションを示すパターンデータを表示し、シートポジションに対応して配置されたスピーカから出力される音声信号の信号レベルおよび遅延時間を調整する車載用音響装置(特許文献3を参照)、音場モードや音量レベルを示すパターンデータを表示して、所望する音場モードや音量を設定させる車載用音響装置がある(特許文献4および5を参照)。
【特許文献1】特開2007−116363号公報
【特許文献2】特開平10−32890号公報
【特許文献3】特開平10−32898号公報
【特許文献4】特開平10−32899号公報
【特許文献5】特開平10−32900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力することで、聴取位置に居る聴取者ごとに異なる音響を聴かせる音響システムがある。しかし、このような音響システムでは、夫々の聴取位置のために出力された音響の漏れ音が、他の聴取位置の聴取環境に影響を与えるという問題が発生する。この漏れ音による影響を低減させるために、漏れ音の打ち消しやイコライジング等の技術が用いられている。このような技術によれば、例えば車両内で各席の聴取者ごとに異なる音源を聴きたいといった場合に、各聴取位置の音響上の独立性を高めることが可能である。
【0005】
しかし、漏れ音による影響を低減させる技術を用いたとしても、漏れ音による影響を完全に無くすことは、現在の技術では困難である。また、漏れ音が気になったり、漏れ音を不快と感じたりする程度は、聴取者によって異なるために、ある聴取者にとっては気にならない漏れ音が、他の聴取者にとっては不快な音響となるといった状況が発生しうる。
【0006】
即ち、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、聴取者にとって良好な音響環境を得るためには、互いに異なる音源等が出力されている複数の聴取位置の間で、互いへの漏れ音の大きさを、個人によって異なる聴取者の感覚に基づいて調整する必要がある。また、漏れ音の程度は、ボリューム調整やイコライジング等によって定まるために、聴取者の感覚に依らずに漏れ音の程度を把握することは困難であった。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑み、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、聴取者の感覚に依らずに、聴取位置間の漏れ音の程度を簡易に把握可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するために、複数の聴取位置における漏れ音の程度を、視覚を通じて対比可能に表示することで、聴取者の感覚に依らずに、聴取位置間の漏れ音の程度を簡易に把握することを可能にした。
【0009】
詳細には、本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力手段と、前記複数の聴取位置のうちの第一の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第一の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度と、前記複数の聴取位置のうちの第二の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第二の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示する表示手段と、を備える音響システムである。
【0010】
ここで、複数の聴取位置とは、音響システムによって音響が出力される空間に定義された複数の聴取位置である。音響出力手段は、聴取位置毎に、異なる音源に係る音響や、異なる出力音響設定に係る音響を出力する。即ち、本発明に係る音響システムは、このような音響出力手段によって、聴取位置毎に異なる音響環境を提供する音響システムである。
【0011】
このような音響システムでは、夫々の聴取位置のために出力された音響の漏れ音が、他の聴取位置の聴取環境に影響を与える。本発明は、複数の聴取位置における漏れ音の程度を、視覚を通じて対比可能に表示する表示手段を備えることで、複数の聴取位置の音響上の独立度を、ユーザが直感的に把握できるようにした。
【0012】
なお、聴取位置の音響上の独立度とは、音響が提供される聴取位置における、その聴取位置に対して届けることを目的として出力された音響以外の音響(漏れ音)の影響の度合いを示す指標である。即ち、独立度は、聴取位置に対する漏れ音の大きさに対応する。但し、独立度は、完全に定義された基準に基づいて算出されなければならない指標といった性格のものではなく、漏れ音の程度を把握できる程度の指標であればよい。例えば、独立度は、漏れ音の目安となる音量であってもよいし、聴取者が漏れ音によって感じる違和感の程度を段階的なレベルに置き換えて表現したものであってもよい。
【0013】
また、前記表示手段は、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度を示す第一の画像と、前記第二の聴取位置への漏れ音の程度を示す第二の画像と、を表示し、前記第一の画像および前記第二の画像は、前記表示手段による対比表示において、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係に対応した相対的な大きさを有してもよい。
【0014】
即ち、本発明に拠れば、複数の聴取位置における漏れ音を、表示される画像の大きさによって対比させることで、ユーザに直感的に聴取位置間の漏れ音の程度を把握させることが可能となる。
【0015】
また、前記表示手段による表示において、前記第一の画像および前記第二の画像は、前記複数の聴取位置が配置された空間に対応する所定の表示領域内に、互いに境界を介して隣接して表示され、前記表示手段は、前記境界を、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係に基づいて決定された位置に表示してもよい。
【0016】
ここで、所定の表示領域とは、表示手段による表示における、複数の聴取位置が配置された空間を表す領域である。第一の画像および第二の画像は、この所定の表示領域内に、互いに境界を介して隣接して表示される。そして、この境界は、前記第一の聴取位置への
漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係に基づいて表示位置が決定される。即ち、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係が変化すると、この境界の表示位置は移動する。
【0017】
即ち、本発明に拠れば、境界によって区切られた各領域(第一の画像および第二の画像)の大きさ(表示面積)が、境界の移動に伴って変化することによって、所定の空間内の複数の聴取位置における音響上の独立度が相対的な関係を有することを、ユーザに直感的に把握させることが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る音響システムは、ユーザによる操作を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた操作の内容に従って、前記第一の聴取位置および第二の聴取位置のうち、何れか一方の聴取位置に対して前記音響出力手段によって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定手段を更に備え、前記表示手段は、前記設定手段による出力音響設定の内容に応じて、前記音響出力手段によって出力された音響による、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と、前記第二の聴取位置への漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示してもよい。
【0019】
ここで、出力音響設定には、音量設定や、イコライジング等が含まれる。これらのパラメータが設定されることによって、音響出力手段による出力音響の特性が変化し、各聴取位置の独立度に影響を与える。本発明に拠れば、出力音響設定の内容に応じて、表示手段による漏れ音の程度の表示が更新され、ユーザは、設定を変更しながら、視覚を介して容易且つ直感的に設定内容によって変化する独立度を把握し、設定内容にフィードバックすることが出来る。
【0020】
また、本発明に係る音響システムは、前記受付手段によって受け付けられた操作の内容に従って、前記音響出力手段によって出力されている音響に係る出力音響設定の内容を保存する設定内容保存手段を更に備え、前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた、保存された設定内容を呼び出す操作に従って、前記設定内容保存手段によって保存された設定内容を読み出して、出力音響設定を行ってもよい。本発明によれば、直感的な操作によって調節された独立度を再現することが可能な音響設定の内容を簡易な操作で保存し、または呼び出すことが可能となる。
【0021】
また、本発明は、音響システムの設定方法としても把握することが出来る。即ち、本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムを設定する方法であって、ユーザによる操作を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップで受け付けられた操作の内容に従って、前記複数の聴取位置のうちの第一の聴取位置および第二の聴取位置のうち、何れか一方の聴取位置に対して前記音響システムによって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定ステップと、前記設定ステップにおける出力音響設定の内容に応じて、前記第一の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第一の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度と、前記第二の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第二の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示する表示ステップと、を備える、音響システムの設定方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、聴取者の感覚に依らずに、聴取位置間の漏れ音の程度を簡易に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る音響システムおよび音響システムの設定方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
<音響システムの構成>
図1は、本実施形態に係る音響システムの構成を示す図である。本実施形態に係る音響システム1は、4席の座席A、B、C、Dを有する車両に設置された車載用音響システム1であり、システム全体を制御する制御部11と、複数の音源から入力された音響信号を選択するセレクタ12と、セレクタ12によって選択された音源から入力されたアナログ音響信号をデジタル音響信号に変換するA/D変換器13と、デジタル音響信号を制御するDSP(Digital Signal Processor)14と、DSP14から出力されたデジタル音響信号をアナログ音響信号に変換するD/A変換器15と、D/A変換器15によって出力されたアナログ音響信号を増幅するアンプ(増幅器)16と、増幅された音響信号の入力を受けて、音響を出力するスピーカ17a、17b、17c、17dと、予め準備されたパラメータの組み合わせである複数のプリセットパターンを保持する記憶部18と、制御部11によってDSP14等から読み出された設定内容等に基づいて生成された画像を出力する表示部19aと、ユーザによる各種操作を受け付ける操作受付部19bと、を備える。
【0025】
本実施形態に係る音響システム1は、複数の音源からの入力を受け付けて、車両内の夫々の座席(聴取位置)A、B、C、Dに対して配置された複数組のスピーカ17a、17b、17c、17dによって、夫々の座席に対して異なる音源からの音響を出力すること、または異なる音響設定が適用された音響を出力することが可能な音響システム1である。以下、単に「スピーカ17」と記載した場合には、ステレオ2チャンネルや5.1チャンネル等の、単一の音場を生成するための一組のスピーカセットを指すものとする。また、複数の音源としては、例えば、CD/DVDドライブ、MDドライブ、ラジオ受信機(AM/FM)、テレビジョン放送受信機(アナログ放送/デジタル放送)、ナビゲーションシステム20等がある。
【0026】
制御部11は、後述する表示部19aおよび操作受付部19bによって実現されるGUI(Graphical User Interface)を介して入力された指示に従って、セレクタ12によって選択される音源を指定する処理や、DSP14によって行われる処理に使用される各種パラメータを設定する処理を行うことによって、システム全体を制御する。
【0027】
セレクタ12は、複数の音源から入力される音響信号のうち、操作受付部19bを介して指示され、制御部11によって指定された音源から入力された音響信号を選択する。即ち、本実施形態に係る音響システム1によれば、座席A(運転席)に設置されたスピーカ17aからはナビゲーションシステム20からの音響を出力し、座席B(助手席)に設置されたスピーカ17bからはラジオ受信機からの音響を出力し、座席C、D(後部座席)に設置されたスピーカ17c、17dからはCD/DVDドライブからの音響を出力する、といったことが可能である。なお、車両内のすべての座席に対して同一の音源からの音響、または同一の音響設定が適用された音響を出力することも可能である。
【0028】
DSP14は、音響システム1においてデジタル音響信号に対する各種制御を行う装置であり、例えば、デジタル音響信号に対する音量設定処理およびイコライジング処理等を実行する。また、本実施形態に係るDSP14は、夫々の座席において定位制御を行うための定位制御フィルタ14a、および夫々の座席において漏れ音による影響を低減させるための漏れ音低減フィルタ14bとして機能する。
【0029】
定位制御フィルタ14aは、音源から入力された音響信号に対して、聴取者が聴覚上認
識する音響の出力位置である音像定位位置と、聴取者が聴覚上認識する仮想音響空間の広さと、を制御するための信号処理を行うフィルタである。具体的には、イコライジングによる周波数帯域ごとの音量バランスの制御や、残響音の制御等が含まれる信号処理によって、音像定位位置および仮想音響空間の制御が行われる。なお、本実施形態に係る定位制御フィルタ14aは、各座席用のスピーカ17毎に、異なる設定に基づいた定位制御を行うことが可能である。即ち、本実施形態では、座席毎に、異なる音像定位位置および仮想音響空間を生成することが可能である。本実施形態では、定位制御フィルタ14aは、DSP14が定位制御フィルタ14a処理のためのプログラムを実行することによって実現される。但し、定位制御フィルタ14aは、音響信号に対して定位制御を行うための信号処理を行う専用のプロセッサによって実現されてもよい。
【0030】
本実施形態に係る定位制御フィルタ14a用パラメータには、聴取位置(正確には、座席に着席した聴取者の頭または耳の位置)から仮想音源までの距離、聴取位置の正面軸に対する仮想音源の角度、残響音の時間、および残響音の音量が含まれる。但し、パラメータの種類は、これらの例示に限定されるものではない。そして、本実施形態では、予め定められた仮想音響空間の種別(コンサートホール、ライブハウス、カラオケボックス、リビングルーム等)ごとに、各パラメータの値が予め用意されており、記憶部18に保持されている。なお、記憶部18としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やHDDドライブ等の、一般に補助記憶装置として用いられているデバイスが用いられることが好ましい。
【0031】
漏れ音低減フィルタ14bは、ある座席(例えば後部座席)において出力されている音響に対して、その他の座席(例えば運転席および助手席)において出力されている音響の漏れ音が影響することを低減させるために、その他の座席のスピーカ17から出力されている音響の漏れ音に対して逆位相となる音響を出力させるためのフィルタである。上記例では、後部座席用のスピーカ17c、17dからは、後部座席のために出力されている音響に加えて、運転席および助手席から漏れてくる音響の逆位相音響が出力され、運転席および助手席からの漏れ音を打ち消し、漏れ音を低減させる。なお、本実施形態に係る漏れ音低減フィルタ14bは、各座席用のスピーカ17毎に、異なる設定に基づいた漏れ音低減用の音響を出力する。本実施形態では、漏れ音低減フィルタ14bは、定位制御フィルタ14a同様、DSP14が漏れ音低減フィルタ14b処理のためのプログラムを実行することによって実現される。なお、音響信号に対して漏れ音低減を行うための信号処理を行う専用のプロセッサによって実現されてもよいことも、定位制御フィルタ14aと同様である。
【0032】
また、記憶部18は、予め定義された音響設定の内容であるプリセットパターンを保持する。本実施形態において、プリセットパターンは、座席A、B、C、D毎に、座席の音響上の独立度を高めたい場合に音響システム1に設定される音響設定の内容である。即ち、座席Aの独立度を高めたい場合に適用されるプリセットパターンが読み出されて設定されると、座席Aの音響上の独立度が高まるように、各スピーカの音量設定やDSPによるイコライジングの設定が行われる。
【0033】
ここで、座席の音響上の独立度とは、音響システム1によって音響が提供される各座席(聴取位置)に対する、その座席にアサインされたスピーカによる音響以外の音響からの影響の度合いである。即ち、独立度は、座席(聴取位置)に対する、その座席にアサインされていないスピーカからの漏れ音の大きさに対応する。ある座席に対する、その座席にアサインされていないスピーカからの漏れ音が小さいほど、独立度は高く、この漏れ音が大きいほど独立度は低い。独立度は、漏れ音の音量等に対応させた所定の数値(レベル)によって表されてもよいが、本実施形態では、漏れ音の大きさの目安をデシベルで表すこ
とで、ユーザに独立度を簡易に把握させ、且つ、独立度の高さに応じて大きさまたは領域が変化する図形を表示することによって、ユーザに独立度を直感的に把握させる。
【0034】
表示部19aは、制御部11によってDSP14等から読み出された設定内容に基づいて生成された画像や、各座席の音響上の独立度を表示するための画像を出力し、操作受付部19bは、ユーザによる各種操作の内容を受け付ける。本実施形態では、表示部19aおよび操作受付部19bとして、生成された画像を表示するディスプレイと、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネルとが一体化された、所謂タッチパネルディスプレイ19が用いられる。ディスプレイの方式としては、本実施形態では液晶が用いられる。但し、ディスプレイの表示機構は液晶に限定されるものではなく、実施の形態によって、プラズマ、CRT(Cathode Ray Tube)等の各種方式から適宜最適な方式が採用されることが好ましい。同様に、タッチパネルディスプレイの検知方式としても、抵抗膜方式(感圧型)、静電容量方式等の各種方式から適宜最適な方式が採用されることが好ましい。
【0035】
<処理の流れ>
次に、フローチャートおよび表示部19aに表示される表示画像を用いて、本実施形態における音響設定処理の流れを説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る音響システム設定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、ユーザによって、設定開始を指示する操作が行われ、この操作が受け付けられたことを契機として開始される。なお、以下の説明では、図3に示すナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19において、画面右上に表示された音響出力モード表示アイコンが選択されることで処理が開始されるが、その他の操作から処理が開始されることとしてもよい。
【0037】
ステップS101およびS102では、座席選択モードへの遷移が行われる。図3は、本実施形態においてナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19の様子を示す図である。ナビゲーション画面40には、ナビゲーションに用いられる地図画像41、詳細地図を表示するための詳細ボタン画像42、広域地図を表示するための広域ボタン画像43、および音響システム1によって車両内に出力されている音響の状態を示す音響出力モード表示アイコン44等が含まれる。
【0038】
音響出力モード表示アイコン44は、その形状や色彩等によって、車両内の仮想音響空間の分割状況や、夫々の座席に提供されている音源の種類等を、ユーザが視覚を通じて把握可能に表示するアイコンである。本実施形態における音響システム設定処理の説明では、前席(座席A、B)と後席(座席C、D)とで異なる音源および音響設定に基づく音響が提供されているものとする。図3に示した音響出力モード表示アイコン44は、上下に表示された略楕円によって、音源および音響設定が前席と後席とに分割されている様子を表している。例えば、前席(座席A、B)に対してはCD/DVDドライブから入力された音響が出力され、後席(座席C、D)に対してはテレビジョン放送受信機から入力された音響が出力される。
【0039】
操作受付部19bは、ナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19の右上に表示された音響出力モード表示アイコン44(図3を参照)がタッチされたことを検知することで、座席選択モードへの遷移を指示する操作を受け付ける(S101)。座席選択モードへの遷移が指示されると、表示部19aは、図4に示す座席選択画面50を生成して表示する(S102)。図4は、本実施形態において座席選択画面50が表示されたタッチパネルディスプレイ19の様子を示す図である。座席選択画面50には、所定の空間(ここでは車両内の空間)を表す図形51、所定の空間における座席を示す
座席アイコン52a、52b、52c、52d(夫々座席A、座席B、座席C、座席Dに対応する)、全ての座席を選択するための全選択ボタン画像53、および次の音響設定ステップに進みたい場合にタッチされる設定ボタン画像54等が含まれる。その後、処理はステップS103へ進む。
【0040】
ステップS103およびS104では、設定の対象となる座席が選択される。操作受付部19bは、図4に示す座席選択画面50を介して、ユーザが各位置の座席を示す座席アイコン52a、52b、52c、52dの何れかをタッチしたことを検出することで、ユーザによる座席の選択の操作を受け付ける(S103)。このとき、座席は複数選択することが可能である。一つの座席を選択する場合、ユーザは何れか一の座席アイコン52a、52b、52c、52dにタッチすることで選択して設定ボタン画像54にタッチするか、何れか一の座席アイコン52a、52b、52c、52dを二回連続タッチする。複数の座席を選択する場合、ユーザは座席アイコン52a、52b、52c、52dのうち、選択したい座席に対応したアイコンに任意の順でタッチして選択状態とし、選択したい座席を全て選択状態としてから、設定ボタン画像54にタッチする。本実施形態では、座席アイコン52a、52bが選択されるものとする。
【0041】
なお、ここで「タッチする」とは、タッチパネルディスプレイ19上の所定の領域に指先等で触れることをいう。本実施形態において示した操作手順は一例であり、実施の形態によって、操作手順は適宜最適な手順が採用されることが好ましい。例えば、範囲指定を行うことで複数の座席を選択可能としてもよい。設定の対象となる座席が確定すると、表示部19aは、現在の音響設定内容に基づいて、図5に示す独立度設定画面60を生成してタッチパネルディスプレイ19に表示する(S104)。その後、処理はステップS105へ進む。
【0042】
図5は、本実施形態において、表示部19aによって表示される独立度設定画面60を示す図である。独立度設定画面60には、現在設定されている音量における、各選択グループに属する座席の音響上の独立度をイメージさせるための領域61、所定の空間における座席を示す人型アイコン62a、62b、62c、62d(夫々座席A、座席B、座席C、座席Dに対応する)、現在設定されている音響設定における漏れ音量の目安を示す数値63a、数値63aが表示される枠画像63b、決定ボタン画像64、戻るボタン画像65、および境界69が含まれる。なお、上段に表示された数値63aおよび枠画像63bは前席(座席A、B)の独立度に、下段に表示された数値63aおよび枠画像63bは後席(座席C、D)の独立度に対応する。
【0043】
本実施形態に係る音響システム1では、以下に説明する3つの手段によって、各座席の音響上の独立度をユーザに把握させることとしている。まず、表示部19aは、設定内容から推測される漏れ音の大きさ示す数値63a(単位:dB)を表示することによって、独立度をユーザに簡易に把握させることとしている。この漏れ音の大きさを示す数値63aは目安であり、実際の漏れ音量を示すものではないが、実施の形態によっては、エラーマイク等で漏れ音の音量を把握し、実際の漏れ音量を表示することとしてもよい。
【0044】
また、表示部19aは、数値63aが表示される枠となる枠画像63bの大きさによって、各座席の音響上の独立度をユーザに把握させる。枠画像63bは、独立度の高さに応じて大きさが変化する。即ち、独立度が高いほど数値63aが表示される枠画像63bの大きさが大きく表示されるため、ユーザは、その枠画像63bに対応する座席において、出力音量が他の座席に比べて相対的に大きく設定されており、この座席に対する漏れ音が小さく、この座席からの他の座席への漏れ音が大きいことを把握することが出来る。
【0045】
更に、表示部19aは、座席アイコン62a、62b、62c、62dが表示された領
域61の面積によって、各座席の音響上の独立度をユーザに把握させる。座席アイコン62a、62b、62c、62dが表示された領域61は、選択された座席のグループごとに境界69によって区切られ、この区切られた部分領域61a、61bは、境界69が移動することで、区切られた部分領域同士の独立度の高低に応じてその面積が変化する。換言すると、部分領域61a、61bは、領域61内に隣接して表示されており、その境界69は、部分領域同士の独立度の高低に応じて表示位置が変更される。全ての区切られた部分領域61a、61bを合わせた表示面積は不変であるため、何れかのグループに属する座席の音響上の独立度が高まり、その部分領域の面積がより大きく表示されると、他の部分領域の面積はより小さく表示される。これによって、ユーザは、ある座席において独立度が高くなる(漏れ音が小さくなる)と、他の座席においては独立度が低くなる(漏れ音が大きくなる)という現象を認識し、各座席の音響上の独立度の、相対的な高低関係を直感的に把握することが可能である。
【0046】
ステップS105およびS106では、呼び出されたプリセットパターンに基づく音響設定が行われる。操作受付部19bは、タッチパネルディスプレイ19における領域61のうち、独立度を高めたい座席に対応する部分領域が2回連続タッチ(以下、ダブルタップと称する)されたことを検知することによって、ユーザによるプリセットパターンの呼出の操作を受け付ける(S105)。例えば、ユーザは、前席の独立度を高めたい場合には、前席に対応する部分領域61aをダブルタップし、後席の独立度を高めたい場合には、後席に対応する部分領域61bをダブルタップする。制御部11は、これを受けて、ステップS105における操作で指定された座席の独立度を高めるプリセットパターンを特定し、記憶部18から設定値を読み出し、音響設定を行う(S106)。プリセットパターンには、例えば、独立度を高めたい座席への出力音量を上げる設定値や、独立度を高めたい座席以外の座席への出力音量を下げる設定値等が含まれる。
【0047】
ステップS107では、タッチパネルディスプレイ19に、音響設定により変化した独立度に基づいた画像が表示される。ステップS106における音響設定は、音量またはイコライジングに係るものであるため、この音響設定に伴って、各座席に対する漏れ音の音量が変化し、各座席の音響上の独立度が変化する。このため、表示部19aは、音響設定の結果に従って各座席の独立度を計算し、この独立度に基づく画像をタッチパネルディスプレイ19に表示する(S107)。但し、音響設定が行われる都度独立度を計算せずに、プリセットパターンによる設定内容とこの設定内容が適用されたときの独立度との対応関係を予め記憶部18等に保持させ、この対応関係に従って読み出された独立度を表示することとしてもよい。
【0048】
図6は、本実施形態において、独立度設定画面60が表示されたタッチパネルディスプレイ19で前席に対応する部分領域61aがダブルタップされた後の独立度設定画面60を示す図である。また、図7は、本実施形態において、独立度設定画面60が表示されたタッチパネルディスプレイ19で後席に対応する部分領域61bがダブルタップされた後の独立度設定画面60を示す図である。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。これらの図に示された独立度設定画面60によれば、プリセットパターンが適用され、音響設定が変更されたことに伴って、境界69の位置が変化し、部分領域61a、61bの面積が変化したことがわかる。
【0049】
本実施形態に拠れば、ユーザは、独立度を高めたい座席に対応する部分領域をダブルタップするのみで、所望の座席の音響上の独立度を高め、且つ、タッチパネルディスプレイ19に表示された数値63a、枠画像63bおよび領域61によって、座席の音響上の独立度を、視覚を介して直感的に把握することが可能である。
【0050】
なお、上記フローチャートを用いた説明では、予め設定されたプリセットパターンを読
み出して設定することで、座席の音響上の独立度を変更したが、これに加えて、独立度を直接ユーザが指定することが可能なインターフェースを提供することで、詳細な独立度の設定を可能としてもよい。図8は、本実施形態に係る詳細設定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図2に示したフローチャートを用いて説明した音響システム設定処理に続けて実行されてよい処理であり、タッチパネルディスプレイ19に表示された独立度設定画面60を介して、表示および操作の受付が行われる。
【0051】
図9は、本実施形態において、独立度設定画面60を介してユーザ操作によって直接独立度を指定する方法を示す図である。操作受付部19bは、ユーザがタッチパネルディスプレイ19上の数値63aまたは枠画像63bが表示された領域にタッチしたことを検出することで、操作対象となる一部座席の独立度を一段階上げる操作を受け付ける(S201)。ユーザ操作の検出を受けて、制御部11は、タッチされた数値63aまたは枠画像63bに係る一部座席の独立度が一段階高まるように、音響設定を変更する(S202)。なお、独立度は、複数の座席間の音量および音響特性に応じた漏れ音の程度によって決定するため、操作に係る一部座席の独立度が高まると、これに連動して、他の座席の独立度が低くなる。表示部19aは、タッチパネルディスプレイ19に表示される数値63a、枠画像63bおよび領域61の表示を更新する(S203)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0052】
また、一部座席に対する出力音量をユーザが個別に設定可能とすることで、座席の音響上の独立度を調整することを可能としてもよい。図10は、本実施形態に係る詳細設定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図2に示したフローチャートを用いて説明した音響システム設定処理に続けて実行されてよい処理であり、タッチパネルディスプレイ19に表示された独立度設定画面60を介して、表示および操作の受付が行われる。
【0053】
図11は、本実施形態において、独立度設定画面60を介してユーザ操作によって音量ゲージ66を表示させる方法を示す図である。操作受付部19aは、操作受付部19bは、ユーザによってタッチパネルディスプレイ19上の数値63aまたは枠画像63bが表示された領域がダブルタップされたことを検出する(S301)。ユーザ操作の検出を受けて、表示部19aは、タッチパネルディスプレイ19に、音量ゲージ66を表示する(S302)。この音量ゲージ66は、ユーザ操作に係る一部座席に対する出力音響の音量を調整可能な音量ゲージ66である。
【0054】
図12は、本実施形態において、音量ゲージ66を用いてユーザ操作によって一部座席に対する出力音量を指定する方法を示す図である。操作受付部19bは、ユーザによってタッチパネルディスプレイ19上の音量ゲージがタッチされたことを検出する(S303)。なお、この際操作受付部19bは、ユーザが音量ゲージ中の何れの部分にタッチしたかについても検出する。ユーザ操作の検出を受けて、制御部11は、ユーザによってタッチされた音量ゲージ中の部分によって、音量ゲージが対応する一部座席への出力音量を調整する(S304)。具体的には、音量ゲージの上部へのタッチが検出された場合には、対応する一部座席への出力音量が上げられ、音量ゲージの下部へのタッチが検出された場合には、対応する一部座席への出力音量が下げられる。また、出力音量が変更されると、各座席における音響上の独立度が変化する。このため、表示部19aは、出力音量の変更を受けて、タッチパネルディスプレイ19に表示される数値63a、枠画像63bおよび領域61の表示を更新する(S305)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0055】
即ち、本実施形態に係る音響システム1によれば、数値63a、枠画像63bおよび領
域61の表示によって、ユーザに独立度の変化を直感的に把握させながら、詳細な独立度(漏れ音量)の調整手段を提供することが可能となる。また、上記プリセットパターンを読み出して設定する方法と併用することで、はじめにプリセットパターンを呼び出して大まかな独立度の変更を行い、その後詳細な調整を行うことが可能である。本実施形態によれば、ユーザ操作によって各座席に対する出力音響の設定(音量、イコライジング等)が行われ、この設定に伴う独立度の変化に合わせて数値63a、枠画像63bおよび領域61の表示が変化する。このため、本実施形態によれば、表示された数値63a、枠画像63bおよび領域61によって視覚を介して各座席の音響上の独立度をイメージしながら、実際の出力音響を、聴覚を介して確認し、この作業を繰り返すことで、個人によって異なる聴取者の感覚に適した設定を容易に見つけることが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態では、前席(座席A、B)と後席(座席C、D)とで異なる音源および音響設定に基づく音響が提供されている状態における処理について説明したが、本実施形態に係る音響システム1は、座席A、B、C、Dの夫々において異なる音源および音響設定に基づく音響を提供することが可能な音響システム1であり、上記説明とは異なる仮想音響空間の分割状況や、音源の提供状況においても、同様の処理および表示を行うことが可能である。
【0057】
図13は、本実施形態における、座席の夫々で異なる音源および音響設定に基づく音響が提供されている状態で、表示部19aによって表示される独立度設定画面60を示す図である。図13に示された独立度設定画面60によれば、座席A、B、C、Dに対応する座席アイコン62a、62b、62c、62dが表示された領域61は、夫々互いに境界69によって区切られている。そして、座席A、B、C、Dの独立度の高低に応じて境界69が移動することで、部分領域61a、61b、61c、61dの面積が変化する。これによって、ユーザは、各座席の音響上の独立度の、相対的な高低関係を直感的に把握することが可能である。なお、本実施形態では、定員4名の車両に設けられる音響システム1について説明したが、本発明は、車載音響システムに限られず、独立音響空間を提供可能な音響システムに適用されてもよいし、車載音響システムとして提供される場合であっても、定員の人数や、車内における聴取位置の選定は、実施形態に応じて適宜設定されることが好ましい。
【0058】
<その他の実施形態>
図14は、本実施形態において、表示部19aによって表示される独立度設定画面60bを示す図である。具体的には、本実施形態において、表示部19aは、上記音響システム設定処理のステップS104に対応する処理において、図5に示した独立度設定画面60に代えて、図14に示した独立度設定画面60bを表示する。独立度設定画面60bには、独立度設定画面60と同様の表示内容である、領域61、アイコン62a、62b、62c、62d、数値63a、枠画像63b、および境界69等に加えて、プリセットボタン画像67が含まれる。
【0059】
本実施形態によれば、独立度設定画面60bに複数のプリセットボタン画像67を表示させ、このプリセットボタン画像67とプリセットパターンとを対応付けることで、ユーザに好みの設定内容をプリセットパターンとして保存することが出来る。ここで保存されたプリセットパターンは、プリセットボタン画像67にタッチすることで呼び出して設定することが可能である。
【0060】
図15は、本実施形態に係る設定内容保存処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図2に示したフローチャートを用いて説明した音響システム設定処理に続けて実行されてよい処理であり、タッチパネルディスプレイ19に表示された独立度設定画面60bを介して、表示および操作の受付が行われる。
【0061】
操作受付部19bは、ユーザがタッチパネルディスプレイ19上の複数のプリセットボタン画像67のうち、何れかが長押し(プリセットボタン画像67にタッチしたまま、タッチした状態を暫く維持すること)されたことを検知することによって、ユーザによるプリセットパターンの保存の操作を受け付ける(S401)。ユーザ操作の検出を受けて、制御部11は、現在適用されている音響設定の内容をDSP14や記憶部18等から読み出し、受け付けられた操作に係るプリセットボタン画像67に対応するプリセットパターンとして、記憶部18に記憶させる(S402)。
【0062】
このようにして記憶されたプリセットパターンは、ユーザ操作によって呼び出すことが可能である。図16は、本実施形態に係る設定内容呼出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図2に示したフローチャートを用いて説明した音響システム設定処理に続けて実行されてよい処理であり、タッチパネルディスプレイ19に表示された独立度設定画面60bを介して、表示および操作の受付が行われる。
【0063】
操作受付部19bは、ユーザがタッチパネルディスプレイ19上のプリセットボタン画像67にタッチしたことを検知することで、ユーザによるプリセットパターンの呼出の操作を受け付ける(S501)。これを受けて、制御部11は、タッチされたプリセットボタン画像67に対応するプリセットパターンを特定し、記憶部18から設定値を読み出し、音響設定を行う(S502)。また、音響設定が行われると、各座席における音響上の独立度が変化するため、表示部19aは、音響設定が行われたことを受けて、タッチパネルディスプレイ19に表示される数値63a、枠画像63bおよび領域61の表示を更新する(S503)。
【0064】
本実施形態によれば、直感的な操作によって調節された独立度を再現することが可能な音響設定の内容を簡易な操作で保存し、または呼び出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係る音響システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る音響システム設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施形態においてナビゲーション画面が表示されたタッチパネルディスプレイの様子を示す図である。
【図4】実施形態において座席選択画面が表示されたタッチパネルディスプレイの様子を示す図である。
【図5】実施形態において、表示部によって表示される独立度設定画面を示す図である。
【図6】実施形態において、独立度設定画面が表示されたタッチパネルディスプレイで所定の操作が行われた後の独立度設定画面を示す図である。
【図7】実施形態において、独立度設定画面が表示されたタッチパネルディスプレイで所定の操作が行われた後の独立度設定画面を示す図である。
【図8】実施形態に係る詳細設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態において、独立度設定画面を介してユーザ操作によって直接独立度を指定する方法を示す図である。
【図10】実施形態に係る詳細設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施形態において、独立度設定画面を介してユーザ操作によって音量ゲージを表示させる方法を示す図である。
【図12】実施形態において、音量ゲージを用いてユーザ操作によって一部座席に対する出力音量を指定する方法を示す図である。
【図13】実施形態において、座席の夫々で異なる音源および音響設定に基づく音響が提供されている状態で表示される独立度設定画面を示す図である。
【図14】実施形態において、表示部によって表示される独立度設定画面を示す図である。
【図15】実施形態に係る設定内容保存処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】実施形態に係る設定内容呼出処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 音響システム
11 制御部
14 DSP(Digital Signal Processor)
17a、17b、17c、17d スピーカ
18 記憶部
19 タッチパネルディスプレイ
19a 表示部
19b 操作受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力手段と、
前記複数の聴取位置のうちの第一の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第一の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度と、前記複数の聴取位置のうちの第二の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第二の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示する表示手段と、
を備える音響システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度を示す第一の画像と、前記第二の聴取位置への漏れ音の程度を示す第二の画像と、を表示し、
前記第一の画像および前記第二の画像は、前記表示手段による対比表示において、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係に対応した相対的な大きさを有する、
請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記表示手段による表示において、前記第一の画像および前記第二の画像は、前記複数の聴取位置が配置された空間に対応する所定の表示領域内に、互いに境界を介して隣接して表示され、
前記表示手段は、前記境界を、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と前記第二の聴取位置への漏れ音の程度との関係に基づいて決定された位置に表示する、
請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
ユーザによる操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた操作の内容に従って、前記第一の聴取位置および第二の聴取位置のうち、何れか一方の聴取位置に対して前記音響出力手段によって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定手段を更に備え、
前記表示手段は、前記設定手段による出力音響設定の内容に応じて、前記音響出力手段によって出力された音響による、前記第一の聴取位置への漏れ音の程度と、前記第二の聴取位置への漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能に表示する、
請求項1から3の何れか一に記載の音響システム。
【請求項5】
前記受付手段によって受け付けられた操作の内容に従って、前記音響出力手段によって出力されている音響に係る出力音響設定の内容を保存する設定内容保存手段を更に備え、
前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた、保存された設定内容を呼び出す操作に従って、前記設定内容保存手段によって保存された設定内容を読み出して、出力音響設定を行う、
請求項4に記載の音響システム。
【請求項6】
複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムを設定する方法であって、
ユーザによる操作を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けられた操作の内容に従って、前記複数の聴取位置のうちの第一の聴取位置および第二の聴取位置のうち、何れか一方の聴取位置に対して前記音響システムによって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定ステップと、
前記設定ステップにおける出力音響設定の内容に応じて、前記第一の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第一の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度と、前記第二の聴取位置における、前記音響出力手段によって該第二の聴取位置を除く聴取位置に対して出力された音響の漏れ音の程度とを、視覚を通じて対比可能
に表示する表示ステップと、
を備える、音響システムの設定方法。
【請求項7】
前記受付手段によって受け付けられた操作の内容に従って、前記音響出力手段によって出力されている音響に係る出力音響設定の内容を保存する設定内容保存ステップを更に備え、
前記設定ステップでは、前記受付ステップで受け付けられた、保存された設定内容を呼び出す操作に従って、前記設定内容保存ステップによって保存された設定内容が読み出されて、出力音響設定が行われる、
請求項6に記載の、音響システムの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−147813(P2009−147813A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325082(P2007−325082)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】