説明

音響ユニット

【課題】増幅アンプを使用することなく、箱、筒体、板などの振動体に装着するだけで、スピーカーと同様に音声を出力させることができ、可搬性、使い勝手に優れ、アクセサリーとして持ち運ぶこともできる音響ユニットを提供する。
【解決手段】永久磁石121と、永久磁石121を収容する凹状の収容部を備えた磁石ホルダー122と、永久磁石121の側面と磁石ホルダー122の収容部122Aの側面との間の隙間に振動自在に収容され永久磁石121の周囲を取り囲むコイル124を支持する紙筒123と、紙筒123の一端に取り付けられ振動体を振動させる伝導体126と、を有する。コイル124を形成する導線の両端は、イヤホーン又はヘッドホーンに音声信号を出力する電子機器のジャックに、接続コードを介して直接接続され、伝導体126は、ジャックから出力される音声信号に基づくコイル124の振動を、紙筒123を介して伝達し、振動体から音声を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅アンプを使用することなく、箱、筒体、板などの振動体に装着するだけで、スピーカーと同様に音声を出力させることができる音響ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パソコン、音楽プレヤー、携帯電話などの電子機器が多く用いられている。これらの電子機器にはイヤホーンやヘッドホーンを接続するためのジャックが設けてある。
【0003】
従来、電子機器のジャックを用いて音声を聴く場合、イヤホーンかヘッドホーンをジャックに接続する。または、イヤホーンかヘッドホーン以外で音声を聴く場合、下記特許文献1に開示されているような共振スピーカーをジャックに接続し、この共振スピーカーを音声が伝導可能な物に当接させて音声を出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3136207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている共振スピーカーは、持ち運びが不便なスピーカーを使用することなく、身近にある音声が伝導可能な物に当接させるだけでその物からスピーカーと同様に音声を出力させることができるという利点がある。
【0006】
しかし、電子機器のジャックから出力される音声信号の電圧は、イヤホーン又はヘッドホーンを駆動させるに足りる程度の大きさである。したがって、上記の共振スピーカーでスピーカーと同様な音声を出力させるにはその音声信号を増幅する増幅アンプが必要になるという欠点がある。
【0007】
上記の共振スピーカーは、身近にある音声が伝導可能な物をスピーカーとして代用できる点では便利である。しかし、増幅アンプを持ち歩く必要があり、また、この増幅アンプの電源を確保しなければならないなど、可搬性、使い勝手の面ではまだまだ改善の余地がある。
【0008】
本発明は、このような従来の技術の問題点を解消するために成されたものであり、増幅アンプを使用することなく、箱、筒体、板などの振動体に装着するだけで、スピーカーと同様に音声を出力させることができ、可搬性、使い勝手に優れ、アクセサリーとして持ち運ぶこともできる音響ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明に係る音響ユニットは、永久磁石と、永久磁石を収容する凹状の収容部を備えた磁石ホルダーと、永久磁石の側面と磁石ホルダーの収容部の側面との間の隙間に振動自在に収容され永久磁石の周囲を取り囲むコイルを支持する筒体と、筒体の一端に取り付けられ振動体を振動させる伝導体と、を有し、コイルを形成する導線の両端は、イヤホーン又はヘッドホーンに音声信号を出力する電子機器のジャックに、接続コードを介して直接接続され、伝導体は、ジャックから出力される音声信号に基づくコイルの振動を、筒体を介して伝達し、振動体から音声を出力させる。
【発明の効果】
【0010】
前記のように構成された本発明に係る音響ユニットによれば、増幅アンプを使用することなく、箱、筒体、板などの振動体に装着するだけで、スピーカーと同様に音声を出力させることができる。また、増幅アンプが不要であるので、可搬性、使い勝手に優れ、デザイン性を優れたものとすることによって、アクセサリーとして持ち運ぶこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る音響ユニットの外観図である。
【図2】本実施形態に係る音響ユニット本体の分解図である。
【図3】本実施形態に係る振動ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る音響ユニットの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る音響ユニットの外観図である。
【0014】
図に示すとおり、音響ユニット100は音響ユニット本体200と接続コード300とから構成される。
【0015】
音響ユニット本体200は、二つ割りの一方と他方の半球状ケース150A、150Bが合体して球形を成している。半球状ケース150A、150Bは分割合体自在な構造を有している。
【0016】
半球状ケース150A、150Bは中空状のケースである。半球状ケース150Aの頂部には突起部152が形成され、突起部152にストラップ160を通すための孔が形成される。したがって、半球状ケース150Aにストラップ160を取り付けて、音響ユニット本体200を持ち運ぶことができる。半球状ケース150Bはその頂部にメス型のジャック170が取り付けられる。頂部にメス型のジャックを取り付けているのは、半球状ケース150Bに収容される振動ユニット(後述する)を振動体に取り付けた状態でも接続コード300を容易に差し込むことができるようにするためである。ここで、振動体とは、例えば箱、筒体、板など、半球状ケース150Bに収容される振動ユニットを取り付けたときに、振動ユニットの振動を受けて共振し、スピーカーと同様に音声を出力できる物の総称である。
【0017】
ジャック170は、半球状ケース150Bの頂部の外表面とジャック170の孔を取り囲む面とが面一になるように半球状ケース150Bに取り付ける。このように面一にするのは、半球状ケース150Bの頂部にジャック170が取り付けられていることをわかりにくくするためであり、音響ユニット本体200のデザイン性を考慮したためである。
【0018】
半球状ケース150A、150Bは絶縁性のプラスチック、又は樹脂で成型されている。図1では、半球状ケース150A、150Bは色彩も模様も施されていない。しかし、デザイン性を優れたものとするために、赤、緑、青、黄色などの色を着色し、さらに、その表面に幾何学模様、人物、風景、漫画のキャラクターなどの絵柄を施しても良い。
【0019】
音響ユニット本体200は、接続コード300を介して、パソコン、音楽プレヤー、携帯電話などの電子機器400が備えるメス型のジャック470に接続される。
【0020】
接続コード300は両端にオス型のコネクタ320A、320Bを備える。したがって、音響ユニット本体200のメス型のジャック170に接続コード300のオス型のコネクタ320Bを差し込み、又、電子機器400のメス型のジャック470に接続コード300のオス型のコネクタ320Aを差し込むことによって、音響ユニット本体200と電子機器400とが電気的に接続される。
【0021】
接続コード300は、通常であれば、一方の端にはオス型のコネクタが取り付けられ、他方の端にはメス型のジャックが取り付けられる。本実施形態の接続コード300は両端にオス型のコネクタ320A、320Bが取り付けられている。これは、音響ユニット本体200にオス型のコネクタを取り付けると、そのオス型のコネクタが音響ユニット200から外側に突出してしまい、音響ユニット本体200のデザイン性を著しく損なうことになるのと、万が一落下させたりぶつけたりした場合にコネクタの取り付け部分が壊れ易くなるからである。
【0022】
図2は、本実施形態に係る音響ユニット本体の分解図である。
【0023】
音響ユニット本体200の半球状ケース150Aは内部に何も収納されない。一方、半球状ケース150Bは内部に振動ユニット120とジャック170が収納される。
【0024】
振動ユニット120は、例えば、箱、筒体、板などの振動体に装着し振動体から音声を出力させる機能を有する。
【0025】
振動ユニット120は、永久磁石121(図3参照)、永久磁石121を支持する磁石ホルダー122、強度の高い紙で作られた筒体である紙筒123、紙筒123の周囲に巻回され固定されるコイル124(図3参照)、コイル124を形成する導線の両端とコネクタ170の端子とを接続する導線(図示せず)が磁石ホルダー122に接触しないようにするための絶縁板125、紙筒123の振動を箱、筒体、板などの振動体に効率的に伝える伝導体126、伝導体126を振動体に装着するための粘着テープ127、磁石ホルダー122を支持する振動ユニット固定具130を備える。
【0026】
振動ユニット120を構成する磁石ホルダー122は振動ユニット固定具130によって支持される。又、振動ユニット固定具130は半球状ケース150Bに固定される。さらに、振動ユニット固定具130は半球状ケース150Aを半球状ケース150Bに連結させる連結部132を有する。振動ユニット固定具130を半球状ケース150Bに固定すると、振動ユニット120と半球状ケース150Bとの間に空間が形成されるようになっている。この空間は、振動ユニット120を振動体に装着して音声を出力しているときに反響し、音声の音圧を増加させる。したがって、振動ユニット120は振動体から音声を効率的に出力させることができる。電子機器400と音響ユニット本体200との間に増幅アンプを設けなくても良いのは、このような細かな工夫が成されているからである。
【0027】
半球状ケース150Aは、振動ユニット120とジャック170を収納している半球状ケース150Bに振動ユニット固定具130を介して取り付けられ、特に、振動ユニット120の伝導体126側を外部からの直接的な衝撃から保護する役割を果たす。これと同時に、半球状ケース150Aは振動ユニット固定具130によって半球状ケース150Bと一体化されて、音響ユニット本体200のデザイン性を優れたものとし、音響ユニット本体200をアクセサリーとして持ち歩くことができるようにもしている。
【0028】
なお、以上では、音響ユニット本体200の形状が球形のものを例示しているが、本発明の音響ユニット100は、音響ユニット本体200の形状が球形のものに限らない。例えば、三角形状、四角形状、多角形状、漫画のキャラクターに似せた形状をしたものなど、内部に振動ユニット120とジャック170が収納できる中空状の空間が確保できる形状であれば、どのような形状にでも適用できる。
【0029】
本実施形態に係る音響ユニット100は、増幅アンプを使用しなくても、音響ユニット本体200を振動体に装着するだけで、スピーカーと比較しても遜色ない音圧の音声を出力させることができるようにしている。
【0030】
したがって、電子機器400のジャック470から直接入力する音声信号の電圧だけでも、十分な音圧が得られるように、永久磁石121、磁石ホルダー122、コイル124、伝導体126の構成に工夫を凝らしている。
【0031】
永久磁石121は一般的に用いられているものよりも磁力を増強し、磁束密度の大きい異方性フェライト磁石、または現在では高価であるが強力な磁力を持つネオジム磁石を用いる。
【0032】
また、磁石ホルダー122は永久磁石121から出ている磁束が外部に逃げないように透磁率の大きい金属材料で形成している。
【0033】
さらに、コイル124は、より大きな電流が流れるように直流抵抗を小さくするのはもちろんのこと、インピーダンスも小さくなるように、コイル124を形成する導線の太さ、巻き数を工夫している。具体的には、コイル124のインピーダンスが1000Hzのときに2Ω程度またはそれ以下になるようにしている。
【0034】
また、伝導体126は、振動体に直接接触して振動を伝えることができなければならず、微小なコイル124の振動を、紙筒123を介して効率的に伝える必要があることから、重さが軽く強度が強いプラスチック材料を用いている。
【0035】
又、伝導体126は振動体に容易に取り付けられるようにしなければならないので、振動体に当接する面に接着力があまり大きくなく何度も着脱できる特性を持った粘着テープ127を貼り付ける。なお、粘着テープの代わりに両面テープを用いても良い。又は、粘着テープ127及び両面テープの代わりに、伝導体126に吸着板を取り付けても良い。なお、伝導体126の振動はできるだけ減衰されることなく振動体に伝導されなければならないので、吸着板を用いるよりも粘着テープ127又は両面テープを用いることが好ましい。
【0036】
絶縁板125は、振動ユニット120を半球状ケース150Bに収納する際に、コイル124を形成する導線の両端とコネクタ170の端子とを接続する導線が磁石ホルダー122に接触しショートすることを防止するために用いる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る振動ユニットの断面図である。図3では、図2の分解図とは異なり、振動ユニット120を組み立てた状態の断面図を示している。
【0038】
磁石ホルダー122は、図2に示すように、鉛直方向から見ると円形形状を有している。磁石ホルダー122は、磁石121を収容する凹状に形成された円柱状の収容部122Aを有している。収容部122Aの周囲には円形状のフランジ状の平坦部122Bが形成されている。したがって、磁石ホルダー122はハット(帽子)を逆さにしたような形状を有している。
【0039】
磁石ホルダー122の収容部122Aには自らの直径よりも高さの低い円柱状の永久磁石121が収容部122Aの底面と側壁に囲まれるように収容される。永久磁石121の底面と収容部112Aの底面は隙間なく密着している。永久磁石121の上部には金属で形成された透磁率の大きなワッシャ131が載置され、さらに、ワッシャ131の上部には永久磁石133が載置される。ワッシャ131は永久磁石121に隙間なく密着され、又、永久磁石133もワッシャ131に隙間なく密着される。隙間があると永久磁石121と永久磁石133の磁束の一部が磁石ホルダー122やワッシャ131に伝わらずに外部に漏れてしまい、磁力低下を起こすからである。永久磁石121と133はワッシャ131を介してN極とS極が向き合うように配置される。ワッシャ131は永久磁石121と133との間を通過する磁束の向きを垂直方向に整列させ、磁束が外部に漏れることを防止する。
【0040】
磁石ホルダー122の収容部122Aの外面には、収容部122Aの側面から平坦部122B上を通過するコイル124の導線を半田付けする接続基板129が取り付けられる。したがって、ジャック170とコイル124とは接続基板129を介して接続される。
【0041】
永久磁石121、ワッシャ131、永久磁石133の側面と磁石ホルダー122の側面との間には、コイル124が巻回された紙筒123がその長さ方向に移動自在に遊びを持たせて配置される。ワッシャ131と磁石ホルダー122の側面との間の隙間の寸法は、紙筒123の厚みと略同じである。したがって、紙筒123は、ワッシャ131と磁石ホルダー122の側面にガイドされて上下動(振動)する。
【0042】
又、コイル124は、ワッシャ131に対向する位置に巻回される。ワッシャ131の周囲が最も磁力が強くなっているからである。このように、永久磁石121、ワッシャ131、永久磁石133、コイル124の配置を工夫することによって、音声の音圧を増加させることができる。
【0043】
本実施形態に係る音響ユニット本体200は、増幅アンプを用いずに、電子機器400のジャック470からの電気信号だけで振動体を振動させなければならない。このため、磁束の外部漏洩は性能の低下、特に得られる音声の音圧の低下に繋がるので、極力避けなければならない。磁石ホルダー122及びワッシャ131は透磁率の大きな金属を用いているので、永久磁石121、133の磁力線をコイル124に効果的に作用させることができる。
【0044】
紙筒123は永久磁石121、ワッシャ131、永久磁石133を取り囲むようにそれらの外周に配置される。紙筒123の周囲に巻回されたコイル124は、ワッシャ131の外周部分を覆うように配置される。紙筒123とコイル124とは接着剤などで固定する。
【0045】
紙筒123はコイル124に音声信号が流れたときに自由に振動できるように、永久磁石121、ワッシャ131、永久磁石133の側面と磁石ホルダー122の側面との間及び磁石ホルダー122の底面から浮かせた状態で、永久磁石121の外周に配置しなければならない。このため、紙筒123は磁石ホルダー122の平坦部122Bに取り付けられたダンパー128によって振動自在に支持される。
【0046】
ダンパー128は平坦部122Bの形状に沿って中空部分を有するドーナツ状に形成され、鉛直方向の断面は波状としてある。ダンパー128はダンパー128の中空部分に挿入された紙筒123を振動自在に支持する。紙筒123の直径はダンパー128の中空部分の直径と同一か若干大きい直径を有する。ダンパー128と紙筒123の外周部分は接着剤で固定する。ダンパー128の外周部分は磁石ホルダー122の平坦部122Bに接着剤で固定する。
【0047】
したがって、コイル124が永久磁石121の厚み方向に振動すると、その振動に同期してダンパー128で支持される紙筒123がその長さ方向に振動する。
【0048】
紙筒123の先端部分には紙筒123の直径よりも大きな直径を有する伝導体126を取り付ける。伝導体126は紙筒123の孔を塞ぐ円盤状の外形を有するプラスチックである。伝導体126の一方側は円盤状であるが、他方側は紙筒123の内周面に嵌り込む複数の突起が突出している。伝導体126はこれらの突起を紙筒123の内周面に接着することによって紙筒123の先端部分に取り付ける。このとき、紙筒123の先端部分の開放部と伝導体126の間から空気が漏れない程度の密封性を確保する。伝導体126の一方側の円盤状の外面に一時的に着脱自在な粘着テープ127を貼り付け、伝導体126を振動体に装着できるようにする。
【0049】
伝導体126はコイル124の振動を減衰させずに振動体に伝導させなければならないため、本実施形態では円盤状にし、伝導体126を紙筒123の開放端に固定している。このように伝導体126を円盤状にすると、ドーナツ状にしたときと比較して、紙筒123内に閉じ込められている空気の圧力を、伝導体126を押し上げる力として有効に利用できるようになるので、伝導体126に振動を効率的に伝えることができる。ドーナツ状とした場合には、伝導体126の振動に応じ、その中空部分から空気が漏れてしまい、伝導体126に振動を効率的に伝えることができない。
【0050】
伝導体126は振動体にコイル124の振動を減衰させずに伝導させなければならないため、その重さも考慮する必要がある。伝導体126の重さが重いと高音が出にくくなる。このため、紙筒123、コイル124、伝導体126それぞれの重量と重量割合、ダンパー128の制動能力は、振動体から効率的に音声が出力されるように、その音声の周波数特性ができるだけフラットになるように、緻密な実験を繰り返して決定する。
【0051】
以上のように構成された音響ユニット100を使用する場合、次の手順で装着、取り外しを行なう。
【0052】
まず、球状の音響ユニット本体200の半球状ケース150Aを回転させ振動ユニット固定具130の連結部132から半球ケース150Bを取り外す。半球ケース150Bの開放面に見える振動ユニット固定具130から伝導体126が露出しており、その接触面には粘着テープ127が貼り付けられているので、接触面を箱、筒体、板などの振動体に当接させ半球ケース150Bを振動体に装着する。
【0053】
半球ケース150Bの頂部に設けられているジャック170に接続コード300のコネクタ320Bを差し込み、電子機器400のジャック(例えばイヤホーンジャック)470に接続コード300のコネクタ320Aを差し込む。ジャック170を半球ケース150Bの頂部に設けているので、コネクタ320Bを差し込むときに力を加えても、その力は、伝導体126を振動体に押し付ける方向に働き、半球ケース150Bを振動体に装着したままの状態でコネクタ320Bを容易に接続することができる。
【0054】
音響ユニット本体200に接続コード300を接続した状態で電子機器400から音声信号が出力されると、永久磁石121とコイル124との間で音声信号に応じた振動が発生し、その振動が紙筒123と伝導体126に伝わって振動体が振動する。同時に、振動ユニット固定具130に取り付けられている振動ユニット120と半球ケース150Bとの間に形成されている空間に音声が反響して音圧が増加する。
【0055】
これによって、振動体からスピーカーと同様な音圧の音声が出力される。なお、この場合の音圧は、増幅アンプで駆動されるスピーカーほどは大きくはないが、通常、静かな場所で音楽を楽しんだり、会社内でプレゼンテーションを行なったりする程度であれば、十分に実用性がある。
【0056】
使用後は、接続コード300を半球ケース150Bと電子機器400から取り外し、半球ケース150Bを振動体から取り外して、半球状ケース150Aを半球ケース150Bに取り付ける。そして、音響ユニット本体200をストラップ160で鞄などに取り付ける。このようにすれば音響ユニット本体200がアクセサリーとしても機能し、また容易に持ち運びができる。
【0057】
このように、本実施形態に係る音響ユニット100によれば、増幅アンプが不要であるので、携帯に便利であり、又、増幅アンプの電源が不要であるので、使い勝手も非常に良い。さらに、アクセサリーとして持ち歩くこともできるので、音響ユニット100の使用如何に関わらず、持ち歩くことが苦ではなくなる。又、増幅アンプや電源が不要であるので部品点数が少なくでき、安価に製造することができるばかりでなく信頼性も向上する。
【符号の説明】
【0058】
100 音響ユニット、
120 振動ユニット、
121、133 永久磁石、
122 磁石ホルダー、
123 紙筒、
124 コイル、
125 絶縁板、
126 伝導体、
127 粘着テープ、
128 ダンパー、
130 振動ユニット固定具、
131 ワッシャ、
132 連結部、
150A、150B 半球状ケース、
152 突起部、
160 ストラップ、
200 音響ユニット本体、
300 接続コード、
320A、320B コネクタ(オス型)、
400 電子機器、
170、470 ジャック(メス型)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と、
前記永久磁石を収容する凹状の収容部を備えた磁石ホルダーと、
前記永久磁石の側面と前記磁石ホルダーの収容部の側面との間の隙間に振動自在に収容され前記永久磁石の周囲を取り囲むコイルを支持する筒体と、
前記筒体の一端に取り付けられ振動体を振動させる伝導体と、を有し、
前記コイルを形成する導線の両端は、イヤホーン又はヘッドホーンに音声信号を出力する電子機器のジャックに、接続コードを介して直接接続され、
前記伝導体は、前記ジャックから出力される音声信号に基づく前記コイルの振動を、前記筒体を介して伝達し、前記振動体から音声を出力させることを特徴とする音響ユニット。
【請求項2】
前記永久磁石、前記磁石ホルダー、前記筒体、前記伝導体は振動ユニットを形成し、前記振動ユニットは二つ割りの一方のケースに収納され、前記一方のケースには前記接続コードのオス型のコネクタが差し込まれるメス型のジャックが取り付けられ、
前記メス型のジャックには前記コイルを形成する導線の両端が接続されることを特徴とする請求項1に記載の音響ユニット。
【請求項3】
前記一方のケースに収納された振動ユニットと当該ケースとの間には空間が形成され、当該空間によって音声の音圧が増加されることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響ユニット。
【請求項4】
前記伝導体は円盤状の形状を有し、前記伝導体が前記振動体に当接する面には粘着テープが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響ユニット。
【請求項5】
前記永久磁石は磁束密度の大きい異方性フェライト磁石、またはネオジム磁石によって形成され、前記コイルのインピーダンスは1000Hzの周波数で2Ω以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音響ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−239335(P2011−239335A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111174(P2010−111174)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(510100900)
【出願人】(510132646)
【Fターム(参考)】