説明

音響減衰させた傾斜コイル

【課題】ノイズを低減させた改良型のMRIデバイスを提供すること。
【解決手段】傾斜コイルアセンブリを提供する。傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面を覆って少なくとも1つの第1の分離材料を配置させている。この分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。傾斜コイルアセンブリを形成するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像デバイスで使用されるような傾斜コイルに関連する実施形態を含む。本発明は、磁気共鳴撮像デバイスで使用するための傾斜コイルを製作する方法に関連する実施形態を含む。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像(MRI)は、検査対象の身体内部の画像を収集するための周知の技法である。MRIデバイスでは、基礎磁場マグネットシステムが発生させた基礎静磁場上に傾斜コイルアセンブリが発生させる高速で切り替わる傾斜磁場が重ね合わせられている。MRIデバイスはさらに、検査対象内に無線周波数信号を送出し、磁気共鳴信号をトリガし得られた磁気共鳴信号を取り込んでここから磁気共鳴画像を作成するための無線周波数システムを有する。
【0003】
傾斜磁場を発生させるためには、傾斜コイルシステムの傾斜コイル内に適切な電流を設定しなければならない。要求される電流の振幅は、数100アンペアに達する。電流の上昇/減衰速度は数100キロアンペア毎秒に達する可能性がある。概ね1テスラのオーダーの基礎磁場が与えられると、傾斜コイルシステムの発振に繋がるローレンツ力が傾斜コイル内のこうした時間変動する電流に作用する。これらの発振は、様々な伝搬経路を介してMRIデバイスの表面まで伝えられる。Z傾斜コイルの場合、ローレンツ力は、基礎静磁場の湾曲のためにある程度のアキシャル成分を有するが大部分は半径方向となる。表面の位置においてこの力学的発振は音響発振に変換され、これが最終的に周囲のバックグラウンドノイズを超えるような好ましくないノイズを生じさせる。MRI手技中に過剰なノイズが発生することは、患者を不安にさせまた医師や技師を苛立たせることになりかねない。
【0004】
磁気共鳴装置に関しては受動型や能動型の多くのノイズ低減技法が提唱されてきた。例えば周知の受動型ノイズ低減対策は、傾斜コイルシステムに向かう裏当て構成要素として発泡材料を利用すること、かつ/または傾斜コイルシステムの箇所及び/またはその内部にゴムのような弾力性のある層を用いることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7068033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目下のところ利用可能なデバイスと異なりノイズを低減させた改良型のMRIデバイスがあることが望まれる。目下のところ利用可能な方法と異なるMRIデバイスに関するノイズ低減の方法があることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態では傾斜コイルアセンブリを提供する。本傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面を覆って少なくとも1つの第1の分離材料を配置させている。この分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。
【0008】
本発明の一実施形態では傾斜コイルアセンブリを提供する。本傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面を覆って第1の分離材料を配置させている。第1の分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。伝導性材料を覆って第2の分離材料を配置させている。伝導性材料は、第1の分離材料と第2の分離材料の間に配置させている。
【0009】
本発明の一実施形態では傾斜コイルアセンブリを提供する。本傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面を覆って第1の分離材料を配置させている。第1の分離材料を覆って第2の分離材料を配置させている。第2の分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。伝導性材料を覆って第3の分離材料を配置させている。伝導性材料は、第2の分離材料と第3の分離材料の間に配置させている。
【0010】
本発明の一実施形態では装置を提供する。本装置は、力学的発振の発生をもたらす少なくとも1つの構成要素を備える。この構成要素は、円筒状要素、少なくとも1つの第1の分離材料及び伝導性材料を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。分離材料は円筒状要素の外側表面を覆って配置させている。この分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。
【0011】
本発明の一実施形態では磁気共鳴撮像デバイスを提供する。本デバイスは、マグネットと該マグネットの内部に配置させた傾斜コイルアセンブリとを備える。傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を含む。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面を覆って少なくとも1つの第1の分離材料を配置させている。この分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。
【0012】
本発明の一実施形態では傾斜コイルアセンブリを提供する。本傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を備える。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面上に複数の溝を配置させており、該溝は交互に配置させた凸部と凹部を備える。円筒状要素の外側表面を覆って、円筒状要素の凹部と整列させて約0.1ミリメートル/ニュートン〜約1ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーン、ゴムまたはコンプライアントエポキシからなる第1の分離材料を配置させている。円筒状要素の外側表面を覆って、約1ミリメートル/ニュートン〜約10ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーン、ゴムまたはコンプライアントエポキシからなる第2の分離材料を配置させている。第2の分離材料は、円筒状要素の外側表面上の凸部並びに円筒状要素の凹部と整列させた第1の分離材料を覆っている。第2の分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。伝導性材料は円筒状要素の凹部と整列させている。伝導性材料を覆って、約0.1ミリメートル/ニュートン〜約1ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーン、ゴムまたはコンプライアントエポキシを含む第3の分離材料を配置させている。伝導性材料は、第2の分離材料と第3の分離材料の間に配置させている。
【0013】
本発明の一実施形態では方法を提供する。本方法は、内側表面及び外側表面を有する円筒状要素を提供する第1のステップを含む。第1のステップは、円筒状要素の外側表面を覆うように少なくとも1つの第1の分離材料を配置させるステップを含む。第2のステップは、分離材料を覆うように伝導性材料を配置させるステップを含む。
【0014】
本発明の一実施形態では方法を提供する。本方法は、内側表面及び外側表面を有する円筒状要素を提供する第1のステップを含む。円筒状要素の外側表面上には複数の溝を配置させている。これらの溝は、交互に配置させた凸部と凹部を備える。第2のステップは、円筒状要素の外側表面を覆うように第1の分離材料を配置させ、第1の分離材料が円筒状要素の凹部と整列するようにするステップを含む。第3のステップは、円筒状要素の外側表面を覆って第2の分離材料を配置させるステップを含む。第2の分離材料は、円筒状要素の外側表面上の凸部並びに円筒状要素の凹部と整列させた第1の分離材料を覆っている。第4のステップは、第2の分離材料を覆うように伝導性材料を配置させるステップを含む。伝導性材料は円筒状要素の凹部と整列させている。第5のステップは、伝導性材料を覆うように第3の分離材料を配置させるステップを含む。伝導性材料は、第2の分離材料と第3の分離材料の間に配置させている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図7】本発明の一実施形態による円筒状要素を表した概略図である。
【図8】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを表した概略図である。
【図10】本発明の一実施形態によるMRIデバイスを表した等角図である。
【図11】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを形成する方法を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリを形成する方法を示した図である。
【図13】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図14】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図15】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図16】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図17】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図18】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図19】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図20】本発明の一実施形態による円筒状要素の概略図である。
【図21】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリの共鳴時の振動を表したグラフである。
【図22】本発明の一実施形態による傾斜コイルアセンブリの空気伝播性ノイズを表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、磁気共鳴撮像デバイスで使用される傾斜コイルなどの傾斜コイルに関連する実施形態を含む。本発明は、磁気共鳴撮像デバイスで使用するための傾斜コイルを製作する方法に関連する実施形態を含む。
【0017】
上で検討したように、MRIデバイスの動作中に生じた振動によって、患者、操作者及びMRIデバイスの近傍にいる他の者に対して不快感をもたらすことがあるような空中伝播ノイズが発生することになる。傾斜コイルやマグネットの振動、並びにこれらのマグネット及び/または傾斜コイルの内部にあるRF共振子や患者寝台への伝播は、特に機能撮像(fMRI)において、誤診につながる可能性さえある不適正な臨床画質になって現れる。振動の地面への伝播あるいはこの逆の伝播を防止するための振動分離システム設定を提供するためにもコストがかかる。
【0018】
本明細書に記載した本発明の実施形態は、この最新技術に関する指摘した欠点に対処するものである。本明細書に記載した傾斜コイルアセンブリは、振動する導体からの音響振動分離を改善させることによって上述の要求を満たしている。これらの傾斜コイルによれば、ノイズレベルを低減させたMRIデバイスを提供できる可能性があり、これによりより良好な画像を提供するMRIデバイスの提供が可能となり得る。傾斜コイル内部にある導体は、AC電流とマグネットの静磁場との相互作用のために大きなローレンツ力を受ける。本明細書に開示した実施形態は、伝導性材料がその上に巻き付けられた円筒状要素から伝導性材料を力学的に分離しているような傾斜コイルアセンブリを提供する。この分離は、導体がローレンツ力の影響下で曲がったときに構造に伝わる振動がより小さくなるように分離材料層を用いることによって実施される。この方式の利点は、これによりノイズ自体に対処することなく発生源の位置の構造由来のノイズが低減されることである。本明細書に開示した傾斜コイルアセンブリは、傾斜コイルアセンブリを形成する円筒状要素の表面上に少なくとも1つの分離材料層を配置することによって形成される。この第1の分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。ある種の実施形態では、この伝導性材料を覆って第2の分離材料を配置させ、伝導性材料が第1の分離材料と第2の分離材料の間に配置されるようにしている。第2の分離材料を覆うように第3の分離材料を配置させることがある。ある種の実施形態では、伝導性材料を第2の分離材料と第3の分離材料の間に配置させるような方式で、第2の分離材料を第1の分離材料を覆うように配置させることがあり、伝導性材料が第2の分離材料を覆うように配置させており、かつ第3の分離材料を伝導性材料を覆うように配置させることがある。分離材料層を被着させかつこの分離材料の上またはその間に伝導性材料を被着させることによって、分離材料の上での伝導性材料の振動は許容するが、この際に傾斜コイルアセンブリからの振動がデバイスの装置の別の部分にさらに伝達されることがない。
【0019】
本発明の具体的な1つまたは複数の実施形態について以下に記載することにする。これらの実施形態に関する簡明な説明を提供するように努めるにあたり、本明細書では実際の実現形態のフィーチャの必ずしもすべてを記載しないことがある。あらゆる工学プロジェクトや設計プロジェクトの場合と同様にこうした実際の任意の実現形態を開発するにあたっては、システム関連及び事業関連の制約との適合など実現形態ごとに様々であり得る開発者の具体的な目標を達成するために数多くの実現形態特異的な判断を行わねばならないことを理解されたい。さらにこうした開発努力は複雑かつ時間がかかることがあり得るが、しかしこれはこの開示の恩恵を有する当業者にとっては設計、製作及び製造のルーチン作業であることを理解されたい。
【0020】
本発明の様々な実施形態の構成要素を導入する際に、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、当該構成要素が1つまたは複数存在すること示すように意図している。「を備える、を含む(comprising)」、「を含む(including)」及び「を有する(having)」という表現は、包含の意図であり、また列挙した構成要素以外に追加の構成要素が存在し得ることを示すように意図している。さらに、「上部」「底部」「上側」「下側」及びこれらの用語の変化形の使用は便宜上用いたものであり、必ずしも構成要素に関して特定の向きを要求するものではない(ただし、特に別の記載がある場合を除く)。本明細書で使用する場合に、「を覆うように配置した」「を覆うように被着した」あるいは「の間に配置した」という表現は、これらと接触させた直接的な確保や配置の場合とこれらの間に介在層を有することによる間接的な確保や配置の場合の両方を意味している。
【0021】
本明細書で使用する場合に「分離材料(isolation material)」という表現は、振動性要素に対してその周囲物に対する自由な動きは可能とするがその振動エネルギーを伝達させないために使用されるコンプライアントが高いエラストマ材料を意味している。当業者に周知のようにある限界値までは、材料に加えられた力(F)と材料がどこまで変形するか(D)の間には線形関係が存在する。フックの法則によれば次式が得られる。
【0022】
D/F=C ...I
上式において、Cは1つの定数であって、ミリメートル/ニュートンを単位とした材料のコンプライアンスであると定義される。例えばあるコードにおいて20ミリメートル(D)だけ延長させるために1256ニュートン(F)が必要であれば、Cは約0.016ミリメートル/ニュートン(20/1256)すなわち16マイクロメートル/ニュートンに等しい。この用途を効果的にするためには、その分離材料の力学的コンプライアンスの値を周囲の材料の値の少なくとも10倍にすべきである。この分離材料は、振動性要素自体からエネルギーをさらに除去するために追加的に減衰特性を有することがある。少なくとも0.02の減衰喪失率を含むコンプライアントな分離材料であればこの用途においてさらに有効となる。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じてここで使用する場合の概算の表現は、それに概ね関連することがある基本的な機能に変更を生じさせることなく許容範囲内で変動することが可能な任意の量的な表現を修飾するために付与することがある。したがって、「約(about)」などの語により修飾した値は指定した厳密な値に限定するものではない。幾つかの例においてその概算の表現は、その値を計測するための計器の精度に対応することがある。
【0024】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ100を提供する。図1を参照すると、傾斜コイルアセンブリ100の上面図110及び断面図112を提供している。傾斜コイルアセンブリ100は円筒状要素114を含む。円筒状要素114は内側表面116及び外側表面118を有する。円筒状要素114の外側表面118を覆って少なくとも1つの第1の分離材料120を配置させている。分離材料120を覆って伝導性材料122を配置させており、これにより伝導性材料122が円筒状要素114の外側表面118に密着しないように分離させている。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って遮断用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態ではその円筒状要素110は、傾斜コイルアセンブリ内の円筒状要素に関して有用となるような当業者に周知の任意の材料を含むことがある。一実施形態ではその円筒状要素110は、エポキシまたはガラス繊維を含む。
【0025】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ200を提供する。図2を参照すると傾斜コイルアセンブリ200の上面概要図210及び断面図212を提供している。傾斜コイルアセンブリ200は円筒状要素214を含む。円筒状要素214は内側表面216及び外側表面218を有する。伝導性材料222を覆って少なくとも1つの第1の分離材料220を配置させている。分離材料220は、分離材料220が伝導性材料222を覆うスリーブまたはカプセル封入を形成するような方式で配置させている。分離材料220内にカプセル封入させた伝導性材料222は次いで円筒状要素214の周りに巻き付けられる。したがって分離材料220は、伝導性材料222が円筒状要素214の外側表面218と密着しないように分離している。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って遮断用カバー(図示せず)を配置させることがある。
【0026】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ300を提供する。図6を参照すると、傾斜コイルアセンブリ300の断面概要図310を提供する。傾斜コイルアセンブリ300は円筒状要素312を含む。円筒状要素312は内側表面314及び外側表面316を有する。円筒状要素312の外側表面316を覆って第1の分離材料318を配置させている。第1の分離材料318を覆って伝導性材料320を配置させている。伝導性材料320を覆って第2の分離材料322を配置させ、伝導性材料320が第1の分離材料318と第2の分離材料322の間に配置されるようにしている。第1の分離材料318と第2の分離材料322は一緒になって円筒状要素312の外側表面316と密着しないように伝導性材料320を分離させるように支援する。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って電気絶縁用カバー(図示せず)を配置させることがある。
【0027】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ400を提供する。図4を参照すると、傾斜コイルアセンブリ400の断面概要図410を提供している。傾斜コイルアセンブリ400は円筒状要素412を含む。円筒状要素412は内側表面414及び外側表面416を有する。円筒状要素412の外側表面416を覆って第1の分離材料418を配置させている。伝導性材料420を覆って第2の分離材料422を配置させ、第2の分離材料422が伝導性材料420を覆うようなスリーブまたはカプセル封入を形成するような方式とした配置としている。第1の分離材料418内にカプセル封入した伝導性材料420は次いで、第1の分離材料418の周りに巻き付けられる。したがって第1の分離材料418と第2の分離材料422によって、伝導性材料420が円筒状要素412の外側表面416と密着しないように分離される。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って遮断用カバー(図示せず)を配置させることがある。
【0028】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ500を提供する。図5を参照すると、傾斜コイルアセンブリ500の断面概要図510を提供している。傾斜コイルアセンブリ500は円筒状要素512を含む。円筒状要素512は内側表面514及び外側表面516を有する。円筒状要素512の外側表面516を覆って第1の分離材料518を配置させている。第1の分離材料518を覆って第2の分離材料520を配置させている。第2の分離材料520を覆って伝導性材料522を配置させている。伝導性材料522を覆って第3の分離材料524を配置させており、伝導性材料522が第2の分離材料520と第3の分離材料524の間に配置されるようにしている。第1の分離材料518、第2の分離材料520及び第3の分離材料524は一緒になって、円筒状要素512の外側表面516と密着しないように伝導性材料522を分離させるように支援する。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って遮断用カバー(図示せず)を配置させることがある。
【0029】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ600を提供する。図3を参照すると、傾斜コイルアセンブリ600の断面概要図610を提供している。傾斜コイルアセンブリ600は円筒状要素612を含む。円筒状要素612は内側表面614及び外側表面616を有する。円筒状要素612の外側表面616を覆って第1の分離材料618を配置させている。第1の分離材料618を覆って伝導性材料620を配置させている。伝導性材料620を覆って第2の分離材料622を配置させ、上の図2に記載したように第2の分離材料622によって伝導性材料620を覆うスリーブが形成されるようにしている。次いで、第2の分離材料622及び伝導性材料620を覆うように第3の分離材料624が配置されている。第1の分離材料618、第2の分離材料622及び第3の分離材料624は一緒になって、円筒状要素612の外側表面616と密着しないように伝導性材料620を分離させるように支援する。一実施形態では、第2の分離材料を覆って保護用カバー(図示せず)を配置させることがある。一実施形態では、保護用カバーを覆って遮断用カバー(図示せず)を配置させることがある。
【0030】
一実施形態では円筒状要素700は、その外側表面上に配置させた複数の溝710を備える。図7を参照すると、円筒状要素700の断面の概略図を提供している。複数の溝710は、円筒状要素700の外側表面712上に配置させている。これらの溝は、交互に配置させた凸部714及び凹部716を備える。
【0031】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ800を提供する。図8を参照すると、傾斜コイルアセンブリ800の断面の概略図を提供している。傾斜コイルアセンブリ800は円筒状要素810を含む。円筒状要素810は内側表面812及び外側表面814を有する。円筒状要素810の外側表面814を覆って第1の分離材料816を配置させている。第1の分離材料816を覆って第2の分離材料818を配置させている。第2の分離材料818を覆って伝導性材料820を配置させている。伝導性材料820を覆って第3の分離材料822を配置させている。伝導性材料820は、第2の分離材料818と第3の分離材料822の間に配置させている。
【0032】
一実施形態ではその伝導性材料は、周期律表のVIIIB族、IB族またはIIIA族から選択された少なくとも1つの金属を含む。一実施形態ではその伝導性材料は、銅、金、銀またはアルミニウムを含む。一実施形態ではその伝導性材料は銅を含む。
【0033】
様々な実施形態では、上で検討した傾斜コイルアセンブリ100、200、300、400、500、600、800に利用される第1の分離材料120、220、318、418、518、618、816、第2の分離材料322、422、522、622、818及び第3の分離材料524、624、822は、振動の力学的分離の支援が可能な高コンプライアントの材料を含む。一実施形態ではその第1の分離材料は、約0.1ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第1の分離材料は、約0.2ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第1の分離材料は、約0.3ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。一実施形態ではその第1の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1.0ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第1の分離材料は、約0.2ミリメートル/ニュートン〜0.9ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第1の分離材料は、約0.3ミリメートル/ニュートン〜0.8ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。幾つかの実施形態ではその第1の分離材料は、上述のような上側限界と下側限界の任意の組み合わせにより規定される範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。
【0034】
一実施形態ではその第1の分離材料は、シリコーン、ゴムまたはエポキシを含む。一実施形態ではその第1の分離材料は、約0.1ミリメートルを超えるコンプライアンスを有するシリコーンを含む。一実施形態ではその第1の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1.0ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーンを含む。一実施形態ではその第1の分離材料は、コードまたはシートの形態に成形されることがある。
【0035】
一実施形態ではその第2の分離材料322、422、522、622、818は、約1ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第2の分離材料は、約2ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第2の分離材料は、約3ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。一実施形態ではその第2の分離材料は、約1ミリメートル/ニュートン〜10ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第2の分離材料は、約2ミリメートル/ニュートン〜9ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第2の分離材料は、約3ミリメートル/ニュートン〜8ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。幾つかの実施形態ではその第1の分離材料は、上述のような上側限界と下側限界の任意の組み合わせにより規定される範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。
【0036】
一実施形態ではその第2の分離材料はゴムを含む。一実施形態ではその第2の分離材料は、約1ミリメートル/ニュートン〜10ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するゴムを含む。一実施形態ではその第2の分離材料は、シートの形態に成形されることがある。
【0037】
一実施形態ではその第3の分離材料524、624、822は、約0.1ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第3の分離材料は、約0.2ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第3の分離材料は、約0.3ミリメートルを超えるコンプライアンスを有する材料を含む。一実施形態ではその第3の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1.0ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。別の実施形態ではその第3の分離材料は、約0.2ミリメートル/ニュートン〜0.9ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。さらに別の実施形態ではその第3の分離材料は、約0.3ミリメートル/ニュートン〜0.8ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。幾つかの実施形態ではその第3の分離材料は、上述のような上側限界と下側限界の任意の組み合わせにより規定される範囲のコンプライアンスを有する材料を含む。
【0038】
一実施形態ではその第3の分離材料は、シリコーン、ゴムまたはエポキシを含む。一実施形態ではその第3の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーンを含む。一実施形態ではその第3の分離材料は、コードまたはシートの形態に成形されることがある。
【0039】
一実施形態では、傾斜コイルアセンブリ900を保護用カバー924で覆うことがある。一実施形態では、保護用カバー924を覆って遮断用カバー926を配置させることがある。保護用カバー924は、円筒状要素910を覆って配置させる分離材料層916、918及び922並びに伝導性材料920を適所に保持するように機能する。図9を参照すると、傾斜コイルアセンブリ900の断面の概略図を提供している。傾斜コイルアセンブリ900は円筒状要素910を含む。円筒状要素910は内側表面912及び外側表面914を有する。円筒状要素910の外側表面914を覆って第1の分離材料916を配置させている。第1の分離材料916を覆って第2の分離材料918を配置させている。第2の分離材料918を覆って伝導性材料920を配置させている。伝導性材料920を覆って第3の分離材料922を配置させている。伝導性材料920は、第2の分離材料918と第3の分離材料922の間に配置させている。傾斜コイルアセンブリ900の表面を覆って保護用カバー924を配置させ、これにより保護用カバーに対して円筒状要素とこの円筒状要素を覆って配置させた分離材料及び伝導性材料とを覆わせている。保護用カバーを覆って次いで遮断用カバー926が配置される。一実施形態ではその保護用カバー924はポリマー材料を含む。一実施形態ではその遮断用カバー926はエポキシ層を含む。一実施形態ではその遮断用カバー926はガラス繊維を含む。一実施形態ではその保護用カバー922は、遮断用カバー(例えば、エポキシやガラス繊維製のカバー)が粘性の液体状態にある初期の硬化過程において遮断用カバー926が分離材料916、918、922や伝導性材料920と接触するのを防止するために設けられる。様々な実施形態では、遮断用カバー926の形成に使用される材料は、分離材料916、918及び922と比べてコンプライアンスがかなり小さいことがあり、またこのために遮断用カバーが伝導性材料と接触状態に至るような場合に分離材料の有効性の低下に繋がりかねない。
【0040】
一実施形態は、傾斜コイルアセンブリを備えたMRIデバイス1000である。この傾斜コイルアセンブリは、傾斜コイル100〜600、800及び900のうちのいずれを含むこともあり得る。図10を参照すると、MRIデバイスの等角図を提供している。MRIデバイス1000は、傾斜コイルアセンブリ1012及び無線周波数(RF)コイルアセンブリ1014を囲繞するマグネットアセンブリ1010を含む。このRFコイルアセンブリは、MRIデバイス1000内部に配置させたチューブに沿った単独のスタンドとすることがある。MRIデバイス1000を通過し長手方向の軸1018を通って患者位置決めエリア1016が画定されている。傾斜コイルアセンブリ1012は、内側表面1022及び外側表面1024を有する円筒状要素1020を備える。円筒状要素1020の外側表面1024上に、少なくとも1つの第1の分離材料120及び伝導性材料122を配置させている。MRIデバイス1000の動作時において、マグネットアセンブリ1010は静磁場を提供する一方、傾斜コイルアセンブリ1012は磁気共鳴画像の作成の際に使用するための磁場傾斜を発生させる。RFコイルアセンブリ1014は、無線周波数パルスを送出すると共に、撮像中の対象から誘導される複数のMR信号を検出する。具体的には、分離材料120は撮像手技中に傾斜コイルアセンブリ1012の振動により生成される音響振動エネルギー(したがって、音響ノイズ)の低減を支援する。MRIデバイス1000が発生させる音響ノイズの量が低減されることによって、より患者フレンドリーなMRIシステム及び方法が提供される。
【0041】
本発明の一実施形態では磁気共鳴撮像デバイス1000を提供する。デバイス1000は、マグネット1010と該マグネットの内部に配置させた傾斜コイルアセンブリ1012とを備える。傾斜コイルアセンブリ1012は円筒状要素114を含む。円筒状要素114は内側表面116及び外側表面118を有する。円筒状要素114の外側表面118を覆って第1の分離材料120を配置させている。分離材料120を覆って伝導性材料122を配置させている。伝導性材料122は分離材料120によって円筒状要素114の外側表面118から分離されている。
【0042】
本発明の一実施形態では装置を提供する。一実施形態ではその装置はMRIデバイス1000を備える。本装置は、力学的発振の発生に関与する少なくとも1つの構成要素を備える。この構成要素は円筒状要素114を含む。円筒状要素114は内側表面116及び外側表面118を有する。円筒状要素114の外側表面118を覆って第1の分離材料120を配置させている。分離材料120を覆って伝導性材料122を配置させている。伝導性材料122は、分離材料120によって円筒状要素114の外側表面118から分離されている。この構成要素は、傾斜コイル100〜600、800及び900のいずれをも含み得る傾斜コイルアセンブリを含む。
【0043】
本発明の一実施形態では、本発明の一実施形態に従って傾斜コイルアセンブリを形成する方法1100を提供する。図11を参照すると、本方法は、内側表面116及び外側表面118を有する円筒状要素を提供する第1のステップ1110を含む。第2のステップ1112は、円筒状要素114の外側表面118を覆うように第1の分離材料120を配置するステップを含む。第3のステップ1114は、第1の分離材料120を覆うように伝導性材料122を配置するステップを含む。第4のステップ1116は、円筒状要素114の表面上に保護用カバー924の層を配置するステップを含む。第5のステップは、保護コーディング924を覆って遮断用カバー926の層を配置させるステップを含む。
【0044】
本発明の一実施形態では、本発明の一実施形態に従って傾斜コイルアセンブリを形成する方法1200を提供する。図12を参照すると、本方法は、内側表面912及び外側表面914を有する円筒状要素910を提供する第1のステップ1210を含む。円筒状要素910の外側表面914上には複数の溝710を配置させている。溝710は、交互に配置させた凸部714及び凹部716を備える。第2のステップ1212は、円筒状要素910の外側表面114を覆うようにして、円筒状要素910の凹部716と整列するような第1の分離材料916を配置するステップを含む。第3のステップ1214は、円筒状要素910の外側表面914及び第1の分離材料916を覆うようにして第2の分離材料918を配置するステップであって第2の分離材料918が円筒状要素910の外側表面914上の凸部714と第1の分離材料916とを覆うようにする配置ステップを含む。第4のステップ1216は、第2の分離材料918を覆うように伝導性材料920を配置するステップを含む。伝導性材料920は円筒状要素910の凹部716と整列させている。第5のステップ1218は、伝導性材料920を覆うように第3の分離材料922を配置させるステップを含む。伝導性材料920は、第2の分離材料918と第3の分離材料922の間に配置させている。第6のステップ1218は、円筒状要素912の表面上に保護用カバー924の層を配置させるステップを含む。第7のステップは、保護コーディング924を覆うように遮断用カバー926の層を配置させるステップを含む。本明細書で使用する場合、「第1のステップ」、「第2のステップ」その他の表現は単にステップを区別する意味であり、ステップの順序が指定されていることを含意しない。さらにこれらの表現は列挙したステップの間に介在するステップを挿入できないことの含意でもない。
【0045】
図13を参照すると、円筒状要素1300を提供する。円筒状要素1310は内側表面(図示せず)及び外側表面1312を有する。円筒状要素の外側表面上に複数の溝1314を配置させている。これらの溝は、複数の交互に配置させた凸部1316及び凹部1318を含む。円筒状要素1310を覆って第1の分離材料1320(例えば、厚さが2ミリメートルで幅が4ミリメートルのシリコーン製コード)を配置させている。第1の分離材料1320は、円筒状要素の外側表面1300上の凹部1318と整列するようにして配置させている。図14を参照すると、円筒状要素1300を覆って第2の分離材料1410を配置させている。第2の分離材料1410は、凸部1316を含む円筒状要素の外側表面1312全体並びに凹部1318内に配置された第1の分離材料1320を覆うように配置させている。図15を参照すると、第2の分離材料1410を覆って伝導性材料1510を配置させている。円筒状要素を覆って凹部1318と整列するようにした伝導性材料1510を配置させている。伝導性材料1510は、第2の分離材料1410の上に巻き付けられると共に、凹部1318内に配置された第1の分離材料1320と整列させている。図16を参照すると、伝導性材料1510を覆って第3の分離材料1610を配置させており、これにより第3の分離材料を伝導性材料1510、第1の分離材料1320及び凹部1318と整列させている。図17を参照すると、伝導性材料をカプセル封入する第1、第2及び第3の分離材料が円筒状要素を覆うように配置されるような円筒状要素1300の仕上がり表面1700を提供している。仕上がり表面1700は、第3の分離材料1610と、第2の分離材料1410のうちの円筒状要素の外側表面上の凸部を覆う部分と、からなる交互の帯を表している。第1の分離材料1320、第2の分離材料のうちの凹部を覆う部分並びに伝導性材料は第3の分離材料1610の下側にマスキングされている。図18を参照すると、傾斜コイルアセンブリ1800を提供している。円筒状要素1300の仕上がり表面1700を覆って保護用カバー1810を配置させている。図19を参照すると、傾斜コイルアセンブリ1900を提供している。円筒状要素1300の保護用カバー1810を覆って遮断用カバー1910を配置させている。
【0046】
GE Signa 750 MR Magnetの内部に配置することによって3テスラ場において傾斜コイルアセンブリ1900を試験した。上で検討したようにZ傾斜コイルの場合では、ローレンツ力は基礎静磁場の湾曲のためにある程度のアキシャル成分を有するが大部分は半径方向となる。分離材料の一団(すなわち、第1及び第2の分離材料)は半径方向に付着させたが、この間で第2の分離材料によりローレンツ力の強度及び方向に基づいてアキシャル方向の分離が提供されていた。
【0047】
振動及びノイズは図20に示すようにして計測した。図20は、傾斜コイルアセンブリ2000の概要を提供している。このアセンブリは円筒状要素2010を備える。円筒状要素は内側表面2012及び外側表面2014を有する。内側表面2012上には加速度計2016、2018、2020及び2022を配置している。円筒状要素の中心の位置には、動作しているMRIデバイス内での患者位置決めを表す軸2024を示している。この軸の位置にマイクロフォンを配置させた。この結果を従来方式で構築した同様のコイルと比較した。従来式の構築によるコイルは、溝内に直接導体を埋め込んだ同様の溝付き円筒部からなるが、分離材料は存在しておらず、また低コンプライアンスのエポキシ/ガラス繊維の層によって適所に保持させた。従来式構築によるコイルの場合は、導体が円筒部と緊密で固体接触状態(solid contact)にある。0ヘルツと3200ヘルツの間の周波数を加えて共鳴時の振動及び構造由来のノイズを記録した。
【0048】
図21を参照すると、傾斜コイルアセンブリ1810の共鳴時の振動を従来のコイルと比較して表したグラフ2100を提供している。グラフ2100は、Y軸2110に1アンペアあたりの加速度gを単位とした振幅を、またX軸2112にはヘルツを単位とした周波数を含んでいる。曲線2114は傾斜コイルアセンブリ1810に関する共鳴時の振動を表しており、また曲線2116は従来の傾斜コイルアセンブリに関する共鳴時の振動を表している。曲線2114ではその加えられた周波数において曲線2116と比較して共鳴時の振動が10分の1低下した。
【0049】
図22を参照すると、傾斜コイルアセンブリ1810の空気伝播性ノイズを従来のコイルと比較して表したグラフ2200を提供している。グラフ1400は、Y軸2210にはパスカル毎アンペアを単位とした音波を、またX軸2212にはヘルツを単位とした周波数を含んでいる。曲線2214は、傾斜コイルアセンブリ1810に関する共鳴時の音波を表しており、また曲線2216は従来の傾斜コイルアセンブリに関する共鳴時の音波を表している。曲線2214では2100と2700ヘルツの間の周波数において曲線2216と比較して空気伝播性ノイズが20デシベル低下した。これ以外の周波数における音波はMRIの別の機能によって生成されるものと判断され、傾斜コイルの振動に関連するものと判断しなかった。
【0050】
本発明の一実施形態では傾斜コイルアセンブリ1900を提供する。本傾斜コイルアセンブリは円筒状要素を備える。円筒状要素は内側表面及び外側表面を有する。円筒状要素の外側表面上に複数の溝を配置させており、該溝は交互に配置させた凸部と凹部を備える。円筒状要素の外側表面を覆うように、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1.0ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーン製コードを含む第1の分離材料を、円筒状要素の凹部と整列するように配置させている。円筒状要素の外側表面上の凸部並びに第1の分離材料を覆って、約1ミリメートル/ニュートン〜10ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するゴムシートを含む第2の分離材料を配置させている。第2の分離材料を覆って伝導性材料を配置させている。伝導性材料は円筒状要素の凹部と整列させている。伝導性材料を覆って、約0.1ミリメートル/ニュートン〜1.0ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有するシリコーン製コードを含む第3の分離材料を配置させている。伝導性材料は、第2の分離材料と第3の分離材料の間に配置させている。
【0051】
本発明について多数の実施形態に関連して詳細に記載してきたが、本発明は開示したこうした実施形態に限定されるものではない。それどころか本発明は、ここまでに記載していないが本発明の趣旨に相応するような任意の数の変形形態、修正形態、置換形態、等価形態の機構を組み込むように修正することが可能である。さらに、本発明に関して様々な実施形態を記載しているが、本発明の態様は記載した実施形態のうちの一部のみを含むこともあり得ることを理解すべきである。したがって、本発明は上述の記述によって限定されると理解すべきではなく、添付の特許請求の範囲の趣旨によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0052】
100 傾斜コイルアセンブリ
110 上面概要図
112 断面図
114 円筒状要素
116 内側表面
118 外側表面
120 第1の分離材料
122 伝導性材料
200 傾斜コイルアセンブリ
210 上面概要図
212 断面図
214 円筒状要素
216 内側表面
218 外側表面
220 第1の分離材料
222 伝導性材料
300 傾斜コイルアセンブリ
310 断面概要図
312 円筒状要素
314 内側表面
316 外側表面
318 第1の分離材料
320 伝導性材料
322 第2の分離材料
400 傾斜コイルアセンブリ
410 断面概要図
412 円筒状要素
414 内側表面
416 外側表面
418 第1の分離材料
420 伝導性材料
422 第2の分離材料
500 傾斜コイルアセンブリ
510 断面概要図
512 円筒状要素
514 内側表面
516 外側表面
518 第1の分離材料
520 第2の分離材料
522 伝導性材料
524 第3の分離材料
600 傾斜コイルアセンブリ
610 断面概要図
612 円筒状要素
614 内側表面
616 外側表面
618 第1の分離材料
620 伝導性材料
622 第2の分離材料
624 第3の分離材料
700 円筒状要素
710 複数の溝
714 凸部
716 凹部
800 傾斜コイルアセンブリ
810 円筒状要素
812 内側表面
814 外側表面
816 第1の分離材料
818 第2の分離材料
820 伝導性材料
822 第3の分離材料
900 傾斜コイルアセンブリ
910 円筒状要素
912 内側表面
914 外側表面
916 第1の分離材料
918 第2の分離材料
920 伝導性材料
922 第3の分離材料
924 保護用カバー
926 遮断用カバー
1000 MRIデバイス
1010 マグネットアセンブリ
1012 傾斜コイルアセンブリ
1014 無線周波数(RF)コイルアセンブリ
1016 患者位置決めエリア
1020 円筒状要素
1022 内側表面
1024 外側表面
1100 傾斜コイルアセンブリを形成する方法
1110 円筒状要素を提供する第1のステップ
1112 第1の分離材料を配置させる第2のステップ
1114 伝導性材料を配置させる第3のステップ
1116 保護用カバーの層を配置させる第4のステップ
1118 遮断用カバーの層を配置させる第5のステップ(本明細書では記載せず)
1200 傾斜コイルアセンブリを形成する方法
1210 円筒状要素を提供する第1のステップ
1212 第1の分離材料を配置させる第2のステップ
1214 第2の分離材料を配置させる第3のステップ
1216 伝導性材料を配置させる第4のステップ
1218 第3の分離材料を配置させる第5のステップ
1220 保護用カバーの層を配置させる第6のステップ
1222 遮断用カバーの層を配置させる第7のステップ
1300 円筒状要素
1312 外側表面
1316 凸部
1318 凹部
1320 第1の分離材料
1410 第2の分離材料
1510 伝導性材料
1610 第3の分離材料
1700 仕上がり表面
1800 傾斜コイルアセンブリ
1810 保護用カバー
1900 傾斜コイルアセンブリ
1910 遮断用カバー
2010 円筒状要素
2012 内側表面
2014 外側表面
2016 加速度計
2018 加速度計
2020 加速度計
2022 加速度計
2024 軸
2026 マイクロフォン
2100 グラフ
2110 Y軸
2112 X軸
2114 曲線
2116 曲線
2200 グラフ
2210 Y軸
2212 X軸
2214 曲線
2216 曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側表面及び外側表面を有する円筒状要素と、
前記円筒状要素の外側表面を覆うように配置させた第1の分離材料と、
前記第1の分離材料を覆うように配置させた第2の分離材料と、
前記第2の分離材料を覆うように配置させた伝導性材料と、
前記伝導性材料を覆うように配置させた第3の分離材料であって前記第2の分離材料と該第3の分離材料の間に該伝導性材料が配置されるようにした第3の分離材料と、
を備える傾斜コイルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の分離材料を伝導性材料を覆ったスリーブの形態で配置させている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記円筒状要素の外側表面上に複数の溝を配置させており、該溝は交互に配置させた凸部と凹部を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜約1ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の分離材料は、約1ミリメートル/ニュートン〜約10ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第3の分離材料は、約0.1ミリメートル/ニュートン〜約1ミリメートル/ニュートンの範囲のコンプライアンスを有する材料を含む、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
マグネットと、
前記マグネットの内部に配置させた傾斜コイルアセンブリであって、該傾斜コイルアセンブリは、
内側表面及び外側表面を有する円筒状要素と、
内側表面及び外側表面を有する円筒状要素と、
前記円筒状要素の外側表面を覆うように配置させた少なくとも1つの第1の分離材料と、
前記分離材料を覆うように配置させた伝導性材料と、
を備えている傾斜コイルアセンブリと、
を備える磁気共鳴撮像デバイス。
【請求項8】
前記伝導性材料を覆うように配置させた第2の分離材料をさらに備えると共に、該伝導性材料は少なくとも1つの分離材料と該第2の分離材料の間の配置させている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の分離材料を覆うように配置させた第3の分離材料をさらに備える請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
傾斜コイルアセンブリを形成する方法であって、
内側表面及び外側表面を有する円筒状要素を提供するステップであって、該円筒状要素の外側表面上に複数の溝が配置されており、該溝は交互に配置させた凸部と凹部を備える提供ステップと、
前記円筒状要素の外側表面を覆うように該円筒状要素の凹部と整列させた第1の分離材料を配置するステップと、
前記円筒状要素の表面を覆うように該円筒状要素の外側表面上の凸部並びに円筒状要素の凹部と整列させた第1の分離材料を覆っている第2の分離材料を配置するステップと、
前記第2の分離材料を覆うように前記円筒状要素の凹部と整列させた伝導性材料を配置するステップと、
前記伝導性材料を覆うように第3の分離材料を配置させるステップであって伝導性材料が第2の分離材料と該第3の分離材料の間に配置されるようにした配置ステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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