音響発生装置
【課題】 良質で且つ大音量の音響を出力することが可能な音響発生装置を提供する。
【解決手段】 収容ケーシング1の上面に、スライドブッシュ11の収容ケーシング1からの突出部分、高さ調整ナット15、雌ねじ部17の周囲を取り囲むような筒状の弾性支持部材25が、立設固定される。弾性支持部材25には、例えば防水、防振ゴム等の材料で構成されたものが採用される。弾性支持部材25の上部には、平板状を呈する振動出力体19が取付固定される。振動出力体19の底面の略中心部には、雌ねじ部17の先端部が当接している。振動出力体19は、ボイスコイル(振動発生部3)において発生し、振動伝達軸13を介して伝達される振動を受けて、該振動を外部へ出力する。
【解決手段】 収容ケーシング1の上面に、スライドブッシュ11の収容ケーシング1からの突出部分、高さ調整ナット15、雌ねじ部17の周囲を取り囲むような筒状の弾性支持部材25が、立設固定される。弾性支持部材25には、例えば防水、防振ゴム等の材料で構成されたものが採用される。弾性支持部材25の上部には、平板状を呈する振動出力体19が取付固定される。振動出力体19の底面の略中心部には、雌ねじ部17の先端部が当接している。振動出力体19は、ボイスコイル(振動発生部3)において発生し、振動伝達軸13を介して伝達される振動を受けて、該振動を外部へ出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの電気信号を受けて、該電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部を備える音響発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、草花などの植物に音楽や声などの音響を発生させることができるようにした音響発生装置が提案されている。この提案では、音響発生装置が、草花や木などを固定することができる固定部を有し、且つ、固定部を支えると共に振動を伝えるコイル部と音信号をコイル部に伝える振動部を有するように構成される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、上記に加えて、草花や木などから音楽や声などの音響を発生させることができるようにした音響発生装置も提案されている。この提案では、音響発生装置が、草花や木などの棒状の被音響発生部材を嵌入可能な被音響発生部材挿着孔を有した磁性コアと、その外周囲に沿って捲回された捲線とを有するコイル部と、コイル部を挿着可能なコイル部挿着穴を有するマグネット部とを有し、磁性コアの被音響発生部材挿着孔に被音響発生部材を嵌入したコイル部を、マグネット部のコイル部挿着穴内に装着し、捲線を音源機器に接続し、出力端子から入力される信号によりコイル部を振動させて被音響発生部材から音響を発生させるように構成される(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3109755号公報
【特許文献2】特許第3353008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されている装置では、現実にはあまり良質な音響が得られない。その原因としては、植木鉢状の容器内において、上下方向に振動する振動部(ボイスコイル部)と固定部(剣山)とが、振動部の上面に位置するコイル部(コイルバネ)を介して結合されており、固定部の上に、草花や木などが固定されているので、振動部からの上下方向の振動が固定部から草花などに伝播する前に、コイル部において吸収されてしまうため、振動が草花などに伝播し難いものと推察される。
【0006】
一方、特許文献2に開示されている装置においても、現実にはあまり良質な音響が得られない。その原因としては、該装置が(草花などの)被音響発生部材を、コイル部(ボイスコイル)により支持し、固定する構成になっているため、コイル部は、被音響発生部材の荷重を支えた状態で、コイル部において発生させた振動を被音響発生部材に伝達しなければならないからであろうと推察される。
【0007】
また、該装置では(草花などの)被音響発生部材が、コイル部により上下(垂直)方向にリング状に支えられているのに対し、コイル部において発生する振動は、その半径方向(即ち、被音響発生部材と直交する方向)に伝達されるようになっている。特に、被音響発生部材が草花のような植物の場合、コイル部より伝達された振動を音響として空気に伝播させるのは、茎よりも花や草のような比較的広い面積を有している部分であり、これらは上下方向を向いているから、面に沿って移動する性質を持つコイル部からの水平方向への振動は伝播し難く、音響が出難いことも考えられる。
【0008】
上記に加えて、コイル部で発生した振動を音響に変換して出力するための振動子である被音響発生部材が、浮いた状態になっていると共に、コイル部自体が被音響発生部材を介して装置本体に保持されている構造になっているので、コイル部からの振動が伝播し難いということも考えられる。
【0009】
以上説明したように、上述した何れの従来技術に係る装置においても、それらの装置から出力される音響の音質が悪く、音量が小さいという問題があった。また、上述した従来技術においては、音響発生装置の振動部自体から漏れる音響が、かなりのレベルになり、草花から聞こえる音量と同一レベルになってしまうという問題もあった。
【0010】
従って本発明の目的は、良質で且つ大音量の音響を出力することが可能な音響発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従う音響発生装置は、外部からの電気信号を受けて、その電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部と、上記振動発生部と剛体的に結合されている、上記振動発生部からの振動を受けて最終的な音響発生のための媒体に対し上記振動を忠実に出力するための振動出力体と、上記振動出力体に掛かる上記音響発生のための媒体の重量、若しくはその媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、上記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体と、を備える。
【0012】
本発明に係る好適な実施形態では、上記振動発生部と上記振動出力体との間に、外部から加わる重量によって上記弾性支持体が歪んでも、その歪みによる上記振動発生部と上記振動出力体との間の距離を調整するための距離を調整するための距離調整機構が介装されている。
【0013】
上記とは別の実施形態では、上記振動出力体には、剣山が固定されており、上記剣山に、音響発生のための媒体である植物が挿し込まれている。
【0014】
また、上記とは別の実施形態では、上記剣山の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、上記振動発生部からの振動方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0015】
また、上記とは別の実施形態では、上記振動発生部には、上記振動出力体、及び上記振動出力体に設けられる自在継手を介して別の振動出力体が結合されており、更に、その別の振動出力体に音響発生のための媒体が結合されている。
【0016】
また、上記とは別の実施形態では、上記別の振動出力体にも、更に上記別の振動出力体に掛かる上記音響発生のための媒体の重量、若しくはその媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、上記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体が備えられている。
【0017】
更に、上記とは別の実施形態では、花瓶又は植木鉢の上端の内面に、音響発生のための媒体である植物がそこに接触したときの振動を吸収するための振動吸収体が備えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、良質で且つ大音量の音響を出力することが可能な音響発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0021】
この音響発生装置は、図1に示すように、収容ケーシング1と、振動発生部3と、振動発生部取付軸5、7と、防水ブッシュ9と、スライドブッシュ11と、振動伝達軸13と、高さ調整ナット15と、雌ねじ部17と、振動出力体19と、信号ケーブル21、23と、弾性支持部材25と、を備える。
【0022】
収容ケーシング1は、振動発生部3、振動発生部取付軸5、7、及び振動伝達軸13を収容するためのもので、断面が矩形状を呈する箱型の筺体である。収容ケーシング1の上面の略中心部には、貫通孔が形成されていて、該貫通孔には、スライドブッシュ11が嵌挿されている。また、収容ケーシング1の側面の適宜な箇所にも、貫通孔が形成されていて、該貫通孔には、防水ブッシュ9が液密な状態で嵌挿されている。
【0023】
振動発生部3は、スピーカのコアの部分に対応するもので、固定子であるリング状の磁石と、振動子(可動子)であるボイスコイルとが、振動発生部3の略中心に配置されている。振動発生部3は、収容ケーシング1の天板における適宜な箇所から垂下している一対の振動発生部取付軸5、7によって吊り下げられた状態で、収容ケーシング1内に固定されている。なお、振動発生部3には、防水ブッシュ9を貫通する一対の信号ケーブル21、23を通じて図示しない音源(例えばCDプレイヤー)から音声信号(電気信号)が伝送され、該音声信号(電気信号)が、(振動発生部3を構成する)ボイスコイルにおいて音響(振動)に変換される。
【0024】
振動伝達軸13は、剛体で構成されており、その基端側がボイスコイル(振動発生部3)の上面に取付固定され、ボイスコイル(振動発生部3)と同軸に(ボイスコイル3の振動方向である垂直方向に)伸びている。そして、スライドブッシュ11を摺動自在な状態で、且つ、振動伝達軸13の横方向のガタツキがスライドブッシュ11によって防止された状態でスライドブッシュ11を貫通し、その先端部が収容ケーシング1の上方に突出している。振動伝達軸13の基端側には、例えば振動伝達軸13が振動発生部3の垂直方向(上下方向)の振動に伴って上/下動したとき、スライドブッシュ11の下端面に当接することによってその上動を規制するための、水平方向に伸びるストッパ部13aが振動伝達軸13と一体的に形成されている。
【0025】
振動伝達軸13の、収容ケーシング1の上方に突出している部分から先端部にかけての部位には、雌ねじが切られていて雌ねじ部17になっている。雌ねじ部17には、高さ調整ナット15が螺合している。高さ調整ナット15は、回転させることによって、雌ねじ部17、即ち、収容ケーシング1の上方に突出している振動伝達軸13の部位の収容ケーシング1からの突出高さを調整するよう構成されている。
【0026】
更に、収容ケーシング1の上面には、スライドブッシュ11の収容ケーシング1からの突出部分、高さ調整ナット15、及び雌ねじ部17の周囲を取り囲むような筒状の弾性支持部材25が、接着剤により接着されて立設固定されるか、或いは、例えば収容ケーシング1の上面に形成された切欠き溝部(図示しない)等に嵌合によって立設固定される。弾性支持部材25には、例えば防水、防振ゴム等の材料で構成されたものが採用される。弾性支持部材25は、以下に詳述する振動出力体19に掛かる音響発生のための媒体(後に詳述する)の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、振動発生部3に加わる外力を軽減する機能と、振動伝達軸13を防水する機能と、を有する。弾性支持部材25の上部には、平板状を呈する振動出力体19が取付固定される。振動出力体19の底面の略中心部には、雌ねじ部17の先端部が当接している。振動出力体19は、ボイスコイル(振動発生部3)において発生し、振動伝達軸13を介して伝達される振動を受けて、該振動を外部へ出力する。
【0027】
上記構成において、振動出力体19に、外部の音響を発生させたい物体(例えば草花などの植物)を結合させることにより、図示しない音源(例えばCDプレイヤー)からの音響信号(電気信号)が、信号ケーブル21、23を通じて振動発生部3に入力される。振動発生部3は、該音響信号を入力すると、ボイスコイルが該音響信号の周波数に合わせて軸方向(即ち、上下方向)に振動する。この振動は、ボイスコイルから何れも剛体である振動伝達軸13、高さ調整ナット15、及び雌ねじ部17を通じて振動出力体19に伝達され、振動出力体19は、上記伝達される振動に対し、忠実に振動する。そのため、振動出力体19に結合された、外部の音響を発生させたい物体に対し、ボイスコイルからの振動が、振動出力体19を通じて忠実に伝達され、それによって図示しない音源(例えばCDプレイヤー)からの音響が忠実に再現されることになる。
【0028】
上述したように、外部の音響を発生させたい物体(以下、「被音響発生部材」という)としては、草花や樹木などが挙げられるが、これら以外にも、自然の草花や樹木を模造した人工の構造体を被音響発生部材として挙げることができる。これら人工の構造体としては、例えば竹、紙、紙粘土、発泡スチロール、ダンボール、布、アクリル板等の様々な材質の材料を組み合わせて製作したものがある。
【0029】
従って、本発明の一実施形態に係る音響発生装置を用いることにより、自然の草花や樹木以外に、様々な物体から音楽等の音響を発生させることが可能になり、人々の情感に触れるような芸術的な物体と音楽等を組み合わせた作品の製作が容易に可能になる。更には、芸術的な物体そのものから音楽等の音響の発生が可能なことから、従来のスピーカ埋め込み方式とは全く異なる感動を人々に与えることが可能になる。
【0030】
図2は、図1に記載の音響発生装置の要部断面、及び該装置の振動出力体19上に載置された剣山の断面を示す図である。
【0031】
図1において説明したように、振動出力体19が、弾性支持部材25によって収容ケーシング1の上面に支持されているが故に、振動出力体19上に、例えば縦方向に伸びる草花などの植物を挿し込んで支持するための部材として、重量物である剣山27を載置した場合でも、剣山27の重量の大部分を弾性支持部材25が支えるので、ボイスコイルに剣山27の全重量が掛かることはない。
【0032】
このように、重量物である剣山27が、弾性支持部材25に載置された場合でも、剣山27の全重量がボイスコイルに掛かることがないので、ボイスコイル(振動発生部3)に位置ずれを生じることがなく、ボイスコイル(振動発生部3)の位置は、最も効率良く振動するような適正位置に配置することができる。
【0033】
また、重量物である剣山27が振動出力体19上に載置されることにより、弾性支持部材25が剣山27の重量に応じて伸/縮することになるが、剣山27の重量による弾性支持部材25の伸/縮量は、高さ調整ナット15を回転させて雌ねじ部17の収容ケーシング1の上面からの突出量を調整することによって、弾性支持部材25が多少潰れても、雌ねじ部17と振動出力体19との間の適切な当接を保持することができる。
【0034】
なお、上記剣山27の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、上記振動発生部3からの振動方向に貫通する貫通孔(図示しない)が複数個形成されている。
【0035】
図3は、図1に記載の音響発生装置を、水を音響発生の媒体とする水中スピーカとして用いる場合の構成を示す断面図である。
【0036】
図3に示す水中スピーカでは、収容ケーシング1の上面に形成される、振動出力体19、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25を、水と共に収容する水容器が、例えば筒状の支持体31によって構成されている。そして、筒状の支持体31の上部開口は、振動出力体19に固定される、可撓性を有する平らなシート状の振動板29によって全面的に液密状態で密着されている。なお、筒状の支持体31の、収容ケーシング1の上面に対する取付部位についても、液密状態で密着されている。その他の構成については、図1で示したものと同一であるので、図3における詳細な説明は省略する。
【0037】
図4は、図2に記載の振動出力体19、剣山27、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25を水容器内に配置した構成の音響発生装置の断面を示す。
【0038】
図4に示す音響発生装置では、振動出力体19、剣山27、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25が、収容ケーシング1の上面に形成される水容器33内に水と共に収容される。水容器33は、例えば筒状の支持体によって構成されており、該筒状の支持体(33)の、収容ケーシング1の上面に対する取付部位は、液密状態で密着されている。なお、筒状の支持体(33)の内周側の上端部には、剣山27に挿し込まれた植物の当りによる筒状の支持体(33)の振動を防止するため、防水性を兼ね備えたゴム等の弾性支持体35が設けられている。
【0039】
なお、上記以外の構成については、図1で示したものと同一であるので、図4における詳細な説明は省略する。
【0040】
図5は、図1に記載の収容ケーシング1の上部に更に別の収容ケーシングを取付固定した音響発生装置の構成を示す断面図である。
【0041】
図5に示す音響発生装置は、振動発生部3から音響を発生させる媒体までの距離を長く取りたい場合に用いられるものである。
【0042】
図5において、別の収容ケーシング37内に配置されている振動出力体19は、その略中心位置に貫通孔が形成されていて、該貫通孔を貫通して雌ねじ部17と続く振動伝達軸13が上方へ向かって伸びている。振動伝達軸13の上端には、そこから更に上方に向かって伸びる別の振動伝達軸39の下端を振動伝達軸13の上端に取付固定するための自在継手(又は自在回転継手)41が取付けられている。別の振動伝達軸39も、振動伝達軸13と同様に、剛体で構成されている。別の収容ケーシング37の上面の略中心位置には、収容ケーシング1の上面に形成された貫通孔に対応する貫通孔が形成されており、該貫通孔には、上述したスライドブッシュ11と同様のスライドブッシュ43が嵌挿されている。
【0043】
このスライドブッシュ43の、別の収容ケーシング37の天板に沿って延在している部位には、上述した弾性支持部材25と同様の別の弾性支持部材45が取付固定されており、該別の弾性支持部材45の下端側には、略中心位置に貫通孔を有する、弾性支持部材(25、45)と同様の材質で構成された固定板47が取付固定されている。更に、別の収容ケーシング37の上面にも、上述した振動出力体19、及び弾性支持部材25と同様の振動出力体49、及び弾性支持部材51が設けられている。そして、別の振動伝達軸39は、固定板47の貫通孔、スライドブッシュ43、及び振動出力板49の貫通孔を貫通して、上端部が別の収容ケーシング37の上面から更に上方の位置に達している。弾性支持部材51も、弾性支持部材25におけると同様に、振動出力体49に掛かる音響発生のための媒体(ここでは、図示を省略する)の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、振動発生部3に加わる外力を軽減する機能と、別の振動伝達軸39を防水する機能と、を有する。
【0044】
上記構成において、別の振動伝達軸39は、自在継手(又は自在回転継手)41と、固定板47との2箇所で固定されているので、振動伝達軸13が多少左右に傾いても、それを許容できる構造になっている。また、別の振動伝達軸39が、自在継手(又は自在回転継手)41と、固定板47との2箇所を支点として固定されているため、別の振動伝達軸39に傾きが生じるのを防止できるから、振動発生部3(のボイスコイル)には、別の振動伝達軸39の傾きに起因する応力が掛かることはない。また、別の振動伝達軸39に取付固定される音響発生用の媒体(ここでは、図示を省略)の重量は、弾性支持部材25、51によって支えることが可能である。また、音響発生用の媒体が、別の振動伝達軸39の上端部から吊り下げられる場合にも、該媒体の重量を弾性支持部材25、51によって支えることが可能である。更に、振動伝達軸39の自由な回転が、自在継手(又は自在回転継手)41によって規制されているので、振動伝達軸39の自由な回転によって振動発生部3(のボイスコイル)が破損するのを防止することも可能である。
【0045】
図6、及び図7は、音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載の構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す。
【0046】
図6、及び図7で示す衝立53は、全体としてかなりの重量を有するが、図5に記載の構成の音響発生装置、即ち、2段の弾性支持部材25、51によって衝立53の重量を支えることが可能であり、しかも、このようなかなりの重量のある竹筒の衝立53より、振動発生部3からの振動を忠実に再現した音響を発生させることができる。なお、図5に記載の構成の音響発生装置によれば、複数本の竹筒から成る衝立53などよりも更に重量のある音響発生用の媒体を支持して、該媒体から良質で音量の大きな音響を発生させることもできる。
【0047】
図8は、音響発生用の媒体として植木鉢に植栽されている茎の長い植物の葉を利用するものに、図5に記載の構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す。
【0048】
図8に示すように、図5に記載の音響発生装置は、植木鉢55の内部に配置されており、振動発生部3における振動を妨げない程度に覆い(所謂目隠し)が施されている。図8に記載の構成においても、図7に記載の構成と同様に、媒体である茎の長い植物の葉57から良質で音量の大きな音響を発生させることが可能である。
【0049】
図9は、本発明の別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0050】
この音響発生装置は、図9に示すように、振動発生部59の高さ方向の寸法が、図1で示した振動発生部3の高さ方向の寸法と比較して大幅に小さく設定されている。また、収容ケーシング61内の天板側に、スライドブッシュ11と振動伝達軸13のストッパ部13aとの間にダンパー部材63を、振動発生部59の底面と収容ケーシング61の底部との間に上記とは別のダンパ−部材65を、夫々介在させている。そして、収容ケーシング61の高さ方向の寸法が、図1で示したものと比較して低い平らな構造になっている。その他の構成については、図1で示したものと同一であるので、それらの説明を省略する。
【0051】
図9で示した音響発生装置も、図1で示した音響発生装置と略同様の効果を奏し得る。
【0052】
図10は、本発明の更に別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0053】
図10に示す音響発生装置では、振動出力体67の底面に垂直に取付けられた取付部材69に、ボイスコイル71が直接取付けられ、振動出力体67の底面と収容ケーシング73の上端部との間に、ゴム製のリングから成る弾性支持部材75が介装されている。なお、図10において、符号79、81は、信号ケーブルを、符号77は永久磁石を、夫々示す。
【0054】
上記構成の音響発生装置においても、振動出力体67の上面に、音響発生用の媒体を載置した場合には、その重量を弾性支持部材75によって支えることができるので、ボイスコイル71で発生した振動を、上記媒体において音響として忠実に再現させることが可能である。
【0055】
なお、図11は、図10に記載の音響発生装置において、音響発生用の媒体として草花などの茎の長い植物を採用しようとする場合に、該植物を挿し込むための剣山83を振動出力体67の上面に載置する例を、図12は、図11で示した構成の音響発生装置を花瓶85中に配置した例を、夫々示す。図12で示した例では、収容ケーシング73の底面と、花瓶85の底部との間に弾性支持部材87が介在されている。
【0056】
既述のように、従来、音響発生装置の振動部自体から漏れる音響が、かなりのレベルになり、草花から聞こえる音量と同一レベルになってしまうという問題があった。そのため、この問題を解決するための方法として、音響発生装置における草花や樹木を嵌挿する部位に水を充填することによって所謂音漏れを緩和したり、更には、完全に遮音するには、例えば音響発生装置自体を水中に入れる等の対策が必要であった。しかし、本発明に係る実施形態においては、上述した図10、図11、及び図12に夫々示した例以外は、振動出力体の振動面が基本的に空気中に露呈せず、該振動面の僅かな面積だけが空気中に露呈することとなるので、音漏れを僅かな量に抑制することが可能である。
【0057】
また、上述した音響発生装置を、所謂防水タイプのもので製作した場合には、振動伝達軸や振動出力体に加わる水圧も、それらの面積に比例して少なくなるので、水中での音響発生装置の配置に柔軟性を持たせることができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図2】図1に記載した音響発生装置の要部断面、及び該装置の振動出力体上に載置された剣山の断面を示す図。
【図3】図1に記載の音響発生装置を、水を音響発生の媒体とする水中スピーカとして用いる場合の構成を示す断面図。
【図4】図2に記載の振動出力体、剣山、高さ調整ナット、雌ねじ部、及び弾性支持部材を水容器内に配置した構成の音響発生装置の断面を示す図。
【図5】図1に記載した収容ケーシングの上部に更に別のケーシングを取付固定した音響発生装置の構成を示す断面図である。
【図6】音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図7】音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図8】音響発生用の媒体として植木鉢に植栽されている茎の長い植物の葉を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図9】本発明の別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図10】本発明の更に別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図11】図10に記載の音響発生装置において、剣山を振動出力体の上面に載置する例を示す図。
【図12】図11に記載の音響発生装置を、花瓶中に配置した例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1 収容ケーシング
3 振動発生部
5、7 振動発生部取付軸
9 防水ブッシュ
11 スライドブッシュ
13 振動伝達軸
15 高さ調整ナット
17 雌ねじ部
19 振動出力体
21、23 信号ケーブル
25 弾性支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの電気信号を受けて、該電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部を備える音響発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、草花などの植物に音楽や声などの音響を発生させることができるようにした音響発生装置が提案されている。この提案では、音響発生装置が、草花や木などを固定することができる固定部を有し、且つ、固定部を支えると共に振動を伝えるコイル部と音信号をコイル部に伝える振動部を有するように構成される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、上記に加えて、草花や木などから音楽や声などの音響を発生させることができるようにした音響発生装置も提案されている。この提案では、音響発生装置が、草花や木などの棒状の被音響発生部材を嵌入可能な被音響発生部材挿着孔を有した磁性コアと、その外周囲に沿って捲回された捲線とを有するコイル部と、コイル部を挿着可能なコイル部挿着穴を有するマグネット部とを有し、磁性コアの被音響発生部材挿着孔に被音響発生部材を嵌入したコイル部を、マグネット部のコイル部挿着穴内に装着し、捲線を音源機器に接続し、出力端子から入力される信号によりコイル部を振動させて被音響発生部材から音響を発生させるように構成される(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3109755号公報
【特許文献2】特許第3353008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されている装置では、現実にはあまり良質な音響が得られない。その原因としては、植木鉢状の容器内において、上下方向に振動する振動部(ボイスコイル部)と固定部(剣山)とが、振動部の上面に位置するコイル部(コイルバネ)を介して結合されており、固定部の上に、草花や木などが固定されているので、振動部からの上下方向の振動が固定部から草花などに伝播する前に、コイル部において吸収されてしまうため、振動が草花などに伝播し難いものと推察される。
【0006】
一方、特許文献2に開示されている装置においても、現実にはあまり良質な音響が得られない。その原因としては、該装置が(草花などの)被音響発生部材を、コイル部(ボイスコイル)により支持し、固定する構成になっているため、コイル部は、被音響発生部材の荷重を支えた状態で、コイル部において発生させた振動を被音響発生部材に伝達しなければならないからであろうと推察される。
【0007】
また、該装置では(草花などの)被音響発生部材が、コイル部により上下(垂直)方向にリング状に支えられているのに対し、コイル部において発生する振動は、その半径方向(即ち、被音響発生部材と直交する方向)に伝達されるようになっている。特に、被音響発生部材が草花のような植物の場合、コイル部より伝達された振動を音響として空気に伝播させるのは、茎よりも花や草のような比較的広い面積を有している部分であり、これらは上下方向を向いているから、面に沿って移動する性質を持つコイル部からの水平方向への振動は伝播し難く、音響が出難いことも考えられる。
【0008】
上記に加えて、コイル部で発生した振動を音響に変換して出力するための振動子である被音響発生部材が、浮いた状態になっていると共に、コイル部自体が被音響発生部材を介して装置本体に保持されている構造になっているので、コイル部からの振動が伝播し難いということも考えられる。
【0009】
以上説明したように、上述した何れの従来技術に係る装置においても、それらの装置から出力される音響の音質が悪く、音量が小さいという問題があった。また、上述した従来技術においては、音響発生装置の振動部自体から漏れる音響が、かなりのレベルになり、草花から聞こえる音量と同一レベルになってしまうという問題もあった。
【0010】
従って本発明の目的は、良質で且つ大音量の音響を出力することが可能な音響発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従う音響発生装置は、外部からの電気信号を受けて、その電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部と、上記振動発生部と剛体的に結合されている、上記振動発生部からの振動を受けて最終的な音響発生のための媒体に対し上記振動を忠実に出力するための振動出力体と、上記振動出力体に掛かる上記音響発生のための媒体の重量、若しくはその媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、上記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体と、を備える。
【0012】
本発明に係る好適な実施形態では、上記振動発生部と上記振動出力体との間に、外部から加わる重量によって上記弾性支持体が歪んでも、その歪みによる上記振動発生部と上記振動出力体との間の距離を調整するための距離を調整するための距離調整機構が介装されている。
【0013】
上記とは別の実施形態では、上記振動出力体には、剣山が固定されており、上記剣山に、音響発生のための媒体である植物が挿し込まれている。
【0014】
また、上記とは別の実施形態では、上記剣山の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、上記振動発生部からの振動方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0015】
また、上記とは別の実施形態では、上記振動発生部には、上記振動出力体、及び上記振動出力体に設けられる自在継手を介して別の振動出力体が結合されており、更に、その別の振動出力体に音響発生のための媒体が結合されている。
【0016】
また、上記とは別の実施形態では、上記別の振動出力体にも、更に上記別の振動出力体に掛かる上記音響発生のための媒体の重量、若しくはその媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、上記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体が備えられている。
【0017】
更に、上記とは別の実施形態では、花瓶又は植木鉢の上端の内面に、音響発生のための媒体である植物がそこに接触したときの振動を吸収するための振動吸収体が備えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、良質で且つ大音量の音響を出力することが可能な音響発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0021】
この音響発生装置は、図1に示すように、収容ケーシング1と、振動発生部3と、振動発生部取付軸5、7と、防水ブッシュ9と、スライドブッシュ11と、振動伝達軸13と、高さ調整ナット15と、雌ねじ部17と、振動出力体19と、信号ケーブル21、23と、弾性支持部材25と、を備える。
【0022】
収容ケーシング1は、振動発生部3、振動発生部取付軸5、7、及び振動伝達軸13を収容するためのもので、断面が矩形状を呈する箱型の筺体である。収容ケーシング1の上面の略中心部には、貫通孔が形成されていて、該貫通孔には、スライドブッシュ11が嵌挿されている。また、収容ケーシング1の側面の適宜な箇所にも、貫通孔が形成されていて、該貫通孔には、防水ブッシュ9が液密な状態で嵌挿されている。
【0023】
振動発生部3は、スピーカのコアの部分に対応するもので、固定子であるリング状の磁石と、振動子(可動子)であるボイスコイルとが、振動発生部3の略中心に配置されている。振動発生部3は、収容ケーシング1の天板における適宜な箇所から垂下している一対の振動発生部取付軸5、7によって吊り下げられた状態で、収容ケーシング1内に固定されている。なお、振動発生部3には、防水ブッシュ9を貫通する一対の信号ケーブル21、23を通じて図示しない音源(例えばCDプレイヤー)から音声信号(電気信号)が伝送され、該音声信号(電気信号)が、(振動発生部3を構成する)ボイスコイルにおいて音響(振動)に変換される。
【0024】
振動伝達軸13は、剛体で構成されており、その基端側がボイスコイル(振動発生部3)の上面に取付固定され、ボイスコイル(振動発生部3)と同軸に(ボイスコイル3の振動方向である垂直方向に)伸びている。そして、スライドブッシュ11を摺動自在な状態で、且つ、振動伝達軸13の横方向のガタツキがスライドブッシュ11によって防止された状態でスライドブッシュ11を貫通し、その先端部が収容ケーシング1の上方に突出している。振動伝達軸13の基端側には、例えば振動伝達軸13が振動発生部3の垂直方向(上下方向)の振動に伴って上/下動したとき、スライドブッシュ11の下端面に当接することによってその上動を規制するための、水平方向に伸びるストッパ部13aが振動伝達軸13と一体的に形成されている。
【0025】
振動伝達軸13の、収容ケーシング1の上方に突出している部分から先端部にかけての部位には、雌ねじが切られていて雌ねじ部17になっている。雌ねじ部17には、高さ調整ナット15が螺合している。高さ調整ナット15は、回転させることによって、雌ねじ部17、即ち、収容ケーシング1の上方に突出している振動伝達軸13の部位の収容ケーシング1からの突出高さを調整するよう構成されている。
【0026】
更に、収容ケーシング1の上面には、スライドブッシュ11の収容ケーシング1からの突出部分、高さ調整ナット15、及び雌ねじ部17の周囲を取り囲むような筒状の弾性支持部材25が、接着剤により接着されて立設固定されるか、或いは、例えば収容ケーシング1の上面に形成された切欠き溝部(図示しない)等に嵌合によって立設固定される。弾性支持部材25には、例えば防水、防振ゴム等の材料で構成されたものが採用される。弾性支持部材25は、以下に詳述する振動出力体19に掛かる音響発生のための媒体(後に詳述する)の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、振動発生部3に加わる外力を軽減する機能と、振動伝達軸13を防水する機能と、を有する。弾性支持部材25の上部には、平板状を呈する振動出力体19が取付固定される。振動出力体19の底面の略中心部には、雌ねじ部17の先端部が当接している。振動出力体19は、ボイスコイル(振動発生部3)において発生し、振動伝達軸13を介して伝達される振動を受けて、該振動を外部へ出力する。
【0027】
上記構成において、振動出力体19に、外部の音響を発生させたい物体(例えば草花などの植物)を結合させることにより、図示しない音源(例えばCDプレイヤー)からの音響信号(電気信号)が、信号ケーブル21、23を通じて振動発生部3に入力される。振動発生部3は、該音響信号を入力すると、ボイスコイルが該音響信号の周波数に合わせて軸方向(即ち、上下方向)に振動する。この振動は、ボイスコイルから何れも剛体である振動伝達軸13、高さ調整ナット15、及び雌ねじ部17を通じて振動出力体19に伝達され、振動出力体19は、上記伝達される振動に対し、忠実に振動する。そのため、振動出力体19に結合された、外部の音響を発生させたい物体に対し、ボイスコイルからの振動が、振動出力体19を通じて忠実に伝達され、それによって図示しない音源(例えばCDプレイヤー)からの音響が忠実に再現されることになる。
【0028】
上述したように、外部の音響を発生させたい物体(以下、「被音響発生部材」という)としては、草花や樹木などが挙げられるが、これら以外にも、自然の草花や樹木を模造した人工の構造体を被音響発生部材として挙げることができる。これら人工の構造体としては、例えば竹、紙、紙粘土、発泡スチロール、ダンボール、布、アクリル板等の様々な材質の材料を組み合わせて製作したものがある。
【0029】
従って、本発明の一実施形態に係る音響発生装置を用いることにより、自然の草花や樹木以外に、様々な物体から音楽等の音響を発生させることが可能になり、人々の情感に触れるような芸術的な物体と音楽等を組み合わせた作品の製作が容易に可能になる。更には、芸術的な物体そのものから音楽等の音響の発生が可能なことから、従来のスピーカ埋め込み方式とは全く異なる感動を人々に与えることが可能になる。
【0030】
図2は、図1に記載の音響発生装置の要部断面、及び該装置の振動出力体19上に載置された剣山の断面を示す図である。
【0031】
図1において説明したように、振動出力体19が、弾性支持部材25によって収容ケーシング1の上面に支持されているが故に、振動出力体19上に、例えば縦方向に伸びる草花などの植物を挿し込んで支持するための部材として、重量物である剣山27を載置した場合でも、剣山27の重量の大部分を弾性支持部材25が支えるので、ボイスコイルに剣山27の全重量が掛かることはない。
【0032】
このように、重量物である剣山27が、弾性支持部材25に載置された場合でも、剣山27の全重量がボイスコイルに掛かることがないので、ボイスコイル(振動発生部3)に位置ずれを生じることがなく、ボイスコイル(振動発生部3)の位置は、最も効率良く振動するような適正位置に配置することができる。
【0033】
また、重量物である剣山27が振動出力体19上に載置されることにより、弾性支持部材25が剣山27の重量に応じて伸/縮することになるが、剣山27の重量による弾性支持部材25の伸/縮量は、高さ調整ナット15を回転させて雌ねじ部17の収容ケーシング1の上面からの突出量を調整することによって、弾性支持部材25が多少潰れても、雌ねじ部17と振動出力体19との間の適切な当接を保持することができる。
【0034】
なお、上記剣山27の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、上記振動発生部3からの振動方向に貫通する貫通孔(図示しない)が複数個形成されている。
【0035】
図3は、図1に記載の音響発生装置を、水を音響発生の媒体とする水中スピーカとして用いる場合の構成を示す断面図である。
【0036】
図3に示す水中スピーカでは、収容ケーシング1の上面に形成される、振動出力体19、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25を、水と共に収容する水容器が、例えば筒状の支持体31によって構成されている。そして、筒状の支持体31の上部開口は、振動出力体19に固定される、可撓性を有する平らなシート状の振動板29によって全面的に液密状態で密着されている。なお、筒状の支持体31の、収容ケーシング1の上面に対する取付部位についても、液密状態で密着されている。その他の構成については、図1で示したものと同一であるので、図3における詳細な説明は省略する。
【0037】
図4は、図2に記載の振動出力体19、剣山27、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25を水容器内に配置した構成の音響発生装置の断面を示す。
【0038】
図4に示す音響発生装置では、振動出力体19、剣山27、高さ調整ナット15、雌ねじ部17、及び弾性支持部材25が、収容ケーシング1の上面に形成される水容器33内に水と共に収容される。水容器33は、例えば筒状の支持体によって構成されており、該筒状の支持体(33)の、収容ケーシング1の上面に対する取付部位は、液密状態で密着されている。なお、筒状の支持体(33)の内周側の上端部には、剣山27に挿し込まれた植物の当りによる筒状の支持体(33)の振動を防止するため、防水性を兼ね備えたゴム等の弾性支持体35が設けられている。
【0039】
なお、上記以外の構成については、図1で示したものと同一であるので、図4における詳細な説明は省略する。
【0040】
図5は、図1に記載の収容ケーシング1の上部に更に別の収容ケーシングを取付固定した音響発生装置の構成を示す断面図である。
【0041】
図5に示す音響発生装置は、振動発生部3から音響を発生させる媒体までの距離を長く取りたい場合に用いられるものである。
【0042】
図5において、別の収容ケーシング37内に配置されている振動出力体19は、その略中心位置に貫通孔が形成されていて、該貫通孔を貫通して雌ねじ部17と続く振動伝達軸13が上方へ向かって伸びている。振動伝達軸13の上端には、そこから更に上方に向かって伸びる別の振動伝達軸39の下端を振動伝達軸13の上端に取付固定するための自在継手(又は自在回転継手)41が取付けられている。別の振動伝達軸39も、振動伝達軸13と同様に、剛体で構成されている。別の収容ケーシング37の上面の略中心位置には、収容ケーシング1の上面に形成された貫通孔に対応する貫通孔が形成されており、該貫通孔には、上述したスライドブッシュ11と同様のスライドブッシュ43が嵌挿されている。
【0043】
このスライドブッシュ43の、別の収容ケーシング37の天板に沿って延在している部位には、上述した弾性支持部材25と同様の別の弾性支持部材45が取付固定されており、該別の弾性支持部材45の下端側には、略中心位置に貫通孔を有する、弾性支持部材(25、45)と同様の材質で構成された固定板47が取付固定されている。更に、別の収容ケーシング37の上面にも、上述した振動出力体19、及び弾性支持部材25と同様の振動出力体49、及び弾性支持部材51が設けられている。そして、別の振動伝達軸39は、固定板47の貫通孔、スライドブッシュ43、及び振動出力板49の貫通孔を貫通して、上端部が別の収容ケーシング37の上面から更に上方の位置に達している。弾性支持部材51も、弾性支持部材25におけると同様に、振動出力体49に掛かる音響発生のための媒体(ここでは、図示を省略する)の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、振動発生部3に加わる外力を軽減する機能と、別の振動伝達軸39を防水する機能と、を有する。
【0044】
上記構成において、別の振動伝達軸39は、自在継手(又は自在回転継手)41と、固定板47との2箇所で固定されているので、振動伝達軸13が多少左右に傾いても、それを許容できる構造になっている。また、別の振動伝達軸39が、自在継手(又は自在回転継手)41と、固定板47との2箇所を支点として固定されているため、別の振動伝達軸39に傾きが生じるのを防止できるから、振動発生部3(のボイスコイル)には、別の振動伝達軸39の傾きに起因する応力が掛かることはない。また、別の振動伝達軸39に取付固定される音響発生用の媒体(ここでは、図示を省略)の重量は、弾性支持部材25、51によって支えることが可能である。また、音響発生用の媒体が、別の振動伝達軸39の上端部から吊り下げられる場合にも、該媒体の重量を弾性支持部材25、51によって支えることが可能である。更に、振動伝達軸39の自由な回転が、自在継手(又は自在回転継手)41によって規制されているので、振動伝達軸39の自由な回転によって振動発生部3(のボイスコイル)が破損するのを防止することも可能である。
【0045】
図6、及び図7は、音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載の構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す。
【0046】
図6、及び図7で示す衝立53は、全体としてかなりの重量を有するが、図5に記載の構成の音響発生装置、即ち、2段の弾性支持部材25、51によって衝立53の重量を支えることが可能であり、しかも、このようなかなりの重量のある竹筒の衝立53より、振動発生部3からの振動を忠実に再現した音響を発生させることができる。なお、図5に記載の構成の音響発生装置によれば、複数本の竹筒から成る衝立53などよりも更に重量のある音響発生用の媒体を支持して、該媒体から良質で音量の大きな音響を発生させることもできる。
【0047】
図8は、音響発生用の媒体として植木鉢に植栽されている茎の長い植物の葉を利用するものに、図5に記載の構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す。
【0048】
図8に示すように、図5に記載の音響発生装置は、植木鉢55の内部に配置されており、振動発生部3における振動を妨げない程度に覆い(所謂目隠し)が施されている。図8に記載の構成においても、図7に記載の構成と同様に、媒体である茎の長い植物の葉57から良質で音量の大きな音響を発生させることが可能である。
【0049】
図9は、本発明の別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0050】
この音響発生装置は、図9に示すように、振動発生部59の高さ方向の寸法が、図1で示した振動発生部3の高さ方向の寸法と比較して大幅に小さく設定されている。また、収容ケーシング61内の天板側に、スライドブッシュ11と振動伝達軸13のストッパ部13aとの間にダンパー部材63を、振動発生部59の底面と収容ケーシング61の底部との間に上記とは別のダンパ−部材65を、夫々介在させている。そして、収容ケーシング61の高さ方向の寸法が、図1で示したものと比較して低い平らな構造になっている。その他の構成については、図1で示したものと同一であるので、それらの説明を省略する。
【0051】
図9で示した音響発生装置も、図1で示した音響発生装置と略同様の効果を奏し得る。
【0052】
図10は、本発明の更に別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す。
【0053】
図10に示す音響発生装置では、振動出力体67の底面に垂直に取付けられた取付部材69に、ボイスコイル71が直接取付けられ、振動出力体67の底面と収容ケーシング73の上端部との間に、ゴム製のリングから成る弾性支持部材75が介装されている。なお、図10において、符号79、81は、信号ケーブルを、符号77は永久磁石を、夫々示す。
【0054】
上記構成の音響発生装置においても、振動出力体67の上面に、音響発生用の媒体を載置した場合には、その重量を弾性支持部材75によって支えることができるので、ボイスコイル71で発生した振動を、上記媒体において音響として忠実に再現させることが可能である。
【0055】
なお、図11は、図10に記載の音響発生装置において、音響発生用の媒体として草花などの茎の長い植物を採用しようとする場合に、該植物を挿し込むための剣山83を振動出力体67の上面に載置する例を、図12は、図11で示した構成の音響発生装置を花瓶85中に配置した例を、夫々示す。図12で示した例では、収容ケーシング73の底面と、花瓶85の底部との間に弾性支持部材87が介在されている。
【0056】
既述のように、従来、音響発生装置の振動部自体から漏れる音響が、かなりのレベルになり、草花から聞こえる音量と同一レベルになってしまうという問題があった。そのため、この問題を解決するための方法として、音響発生装置における草花や樹木を嵌挿する部位に水を充填することによって所謂音漏れを緩和したり、更には、完全に遮音するには、例えば音響発生装置自体を水中に入れる等の対策が必要であった。しかし、本発明に係る実施形態においては、上述した図10、図11、及び図12に夫々示した例以外は、振動出力体の振動面が基本的に空気中に露呈せず、該振動面の僅かな面積だけが空気中に露呈することとなるので、音漏れを僅かな量に抑制することが可能である。
【0057】
また、上述した音響発生装置を、所謂防水タイプのもので製作した場合には、振動伝達軸や振動出力体に加わる水圧も、それらの面積に比例して少なくなるので、水中での音響発生装置の配置に柔軟性を持たせることができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図2】図1に記載した音響発生装置の要部断面、及び該装置の振動出力体上に載置された剣山の断面を示す図。
【図3】図1に記載の音響発生装置を、水を音響発生の媒体とする水中スピーカとして用いる場合の構成を示す断面図。
【図4】図2に記載の振動出力体、剣山、高さ調整ナット、雌ねじ部、及び弾性支持部材を水容器内に配置した構成の音響発生装置の断面を示す図。
【図5】図1に記載した収容ケーシングの上部に更に別のケーシングを取付固定した音響発生装置の構成を示す断面図である。
【図6】音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図7】音響発生用の媒体として複数本の竹筒で形成される衝立を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図8】音響発生用の媒体として植木鉢に植栽されている茎の長い植物の葉を利用するものに、図5に記載した構成の音響発生装置を採用した場合の全体的な構成を示す図。
【図9】本発明の別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図10】本発明の更に別の実施形態に係る音響発生装置の要部断面の構成を示す図。
【図11】図10に記載の音響発生装置において、剣山を振動出力体の上面に載置する例を示す図。
【図12】図11に記載の音響発生装置を、花瓶中に配置した例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1 収容ケーシング
3 振動発生部
5、7 振動発生部取付軸
9 防水ブッシュ
11 スライドブッシュ
13 振動伝達軸
15 高さ調整ナット
17 雌ねじ部
19 振動出力体
21、23 信号ケーブル
25 弾性支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電気信号を受けて、該電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部と、
前記振動発生部と剛体的に結合されている、前記振動発生部からの振動を受けて最終的な音響発生のための媒体に対し前記振動を忠実に出力するための振動出力体と、
前記振動出力体に掛かる前記音響発生のための媒体の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、前記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体と、
を備える音響発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動発生部と前記振動出力体との間に、外部から加わる重量によって前記弾性支持体が歪んでも、その歪みによる前記振動発生部と前記振動出力体との間の距離を調整するための距離を調整するための距離調整機構が介装されている音響発生装置。
【請求項3】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動出力体には、剣山が固定されており、前記剣山に、音響発生のための媒体である植物が挿し込まれている音響発生装置。
【請求項4】
請求項3記載の音響発生装置において、
前記剣山の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、前記振動発生部からの振動方向に貫通する貫通孔が形成されている音響発生装置。
【請求項5】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動発生部には、前記振動出力体、及び前記振動出力体に設けられる自在継手を介して別の振動出力体が結合されており、更に、該別の振動出力体に音響発生のための媒体が結合されている音響発生装置。
【請求項6】
請求項5記載の音響発生装置において、
前記別の振動出力体にも、更に前記別の振動出力体に掛かる前記音響発生のための媒体の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、前記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体が備えられている音響発生装置。
【請求項7】
請求項1記載の音響発生装置が内蔵されている花瓶又は植木鉢であって、
花瓶又は植木鉢の上端の内面に、音響発生のための媒体である植物がそこに接触したときの振動を吸収するための振動吸収体が備えられる音響発生装置。
【請求項1】
外部からの電気信号を受けて、該電気信号に応じた振動を発生させる振動発生部と、
前記振動発生部と剛体的に結合されている、前記振動発生部からの振動を受けて最終的な音響発生のための媒体に対し前記振動を忠実に出力するための振動出力体と、
前記振動出力体に掛かる前記音響発生のための媒体の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、前記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体と、
を備える音響発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動発生部と前記振動出力体との間に、外部から加わる重量によって前記弾性支持体が歪んでも、その歪みによる前記振動発生部と前記振動出力体との間の距離を調整するための距離を調整するための距離調整機構が介装されている音響発生装置。
【請求項3】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動出力体には、剣山が固定されており、前記剣山に、音響発生のための媒体である植物が挿し込まれている音響発生装置。
【請求項4】
請求項3記載の音響発生装置において、
前記剣山の底部には、水の抵抗による振動伝達の妨害を低減するため、前記振動発生部からの振動方向に貫通する貫通孔が形成されている音響発生装置。
【請求項5】
請求項1記載の音響発生装置において、
前記振動発生部には、前記振動出力体、及び前記振動出力体に設けられる自在継手を介して別の振動出力体が結合されており、更に、該別の振動出力体に音響発生のための媒体が結合されている音響発生装置。
【請求項6】
請求項5記載の音響発生装置において、
前記別の振動出力体にも、更に前記別の振動出力体に掛かる前記音響発生のための媒体の重量、若しくは該媒体からの圧力を受けてこれを支えることで、前記振動発生部に加わる外力を軽減するための弾性支持体が備えられている音響発生装置。
【請求項7】
請求項1記載の音響発生装置が内蔵されている花瓶又は植木鉢であって、
花瓶又は植木鉢の上端の内面に、音響発生のための媒体である植物がそこに接触したときの振動を吸収するための振動吸収体が備えられる音響発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−49420(P2007−49420A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231630(P2005−231630)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(301058377)テクノブロード株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(301058377)テクノブロード株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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