説明

音響装置及びプログラム

【課題】劇場やホール等の空間において、複数のスピーカを用いた音像の定位設定を、従来と比較してより簡易な演算で行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】音響装置1には、複数のスピーカSPの各々の発音位置と、仮想音源の位置が入力される。音響装置1は、入力された各スピーカSPの位置と、仮想音源の位置との間の各々の距離を算出し、算出した各距離の合計に対する各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを算出する。次いで、音響装置1は、信号処理回路に対し、算出した音圧レベルに対応した音圧となるように、音圧パラメータを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音像を定位または移動させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
劇場やホールといった施設においては、複数のスピーカを用いて演者の声や演奏音等の各種の音声を音像定位させる方法が提案されている(非特許文献1乃至4参照)。2つのスピーカで定位を設定する方法は例えば非特許文献1において提案されている。また、3つのスピーカで定位を設定する方法としては、スピーカ位置を頂点として三角形を想定し、物理的に重心位置が設定した定位位置になるように、各頂点の重さ(音圧・レベル)を算出する方法が提案されている。
【0003】
一方、4つ以上のスピーカを用いて音像定位を行う場合、上述の(3つのスピーカを用いた)方法で各スピーカの位置を求めようとしても解は一意に求まらず、重複解となる場合がある。そこで、非特許文献2では、複数の仮想スピーカ位置等を配置して三角形のメッシュを作成し、各定位位置においてその位置を含む三角形で重心を求めることで定位作成用の各頂点の重さ(レベル)を算出する方法が提案されている。
【非特許文献1】“http://www.shonan.ne.jp/~hiro-s/pages/MSP2_Doc/tutorial_22.html”
【非特許文献2】“LCS:http://www.meyersound.com/products/lcs_series/matrix3/surround_panning.htm”
【非特許文献3】“http://www.acoustics.hut.fi/research/cat/vbap/”
【非特許文献4】“Audio Engineering Society Convention Paper Presented at the 117th Convention 2004 October 28-31 San Francisco, CA, USA”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献2に記載の技術では、どの位置にどのような複数のスピーカを配置するかは、サウンドデザイナ等の作業者が手作業で設計する必要があり、作業者が煩雑な作業を行う必要がある。また、非特許文献2に記載の技術では、専用のハードウェアやソフトウェアが必要であり、システムが大規模になるとともに、コストが高くなってしまうという問題がある。また、非特許文献1乃至4に記載の装置では、計算規模が大きく装置構成が複雑になってしまったり、処理時間が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、劇場やホール等の空間において、複数のスピーカを用いた音像の定位または移動の設定を、従来と比較してより簡易な演算で行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の好適な態様である音響装置は、複数のスピーカの各々の位置を入力するスピーカ位置入力手段と、仮想音源の位置を入力する仮想音源位置入力手段と、前記スピーカ位置入力手段が入力した前記各スピーカの位置と前記仮想音源位置入力手段が入力した前記仮想音源の位置との間の各々の距離を求める距離算出手段と、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する音圧レベル計算手段と、前記各スピーカにオーディオ信号を供給する複数の信号処理回路と、前記信号処理回路に対し、前記音圧レベル計算手段が計算した音圧レベルに対応した音圧となるように、前記各スピーカに対する音圧パラメータを設定する音圧パラメータ設定手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
上述の態様において、前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合の逆数を算出し、算出結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算してもよい。
【0008】
また、上述の態様において、前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合のべき乗の逆数を算出し、算出結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算してもよい。
【0009】
また、上述の態様において、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、それぞれ異なる複数のアルゴリズムの単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する複数の音圧レベル算出手段と、前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかをひとつを選択する選択手段とを具備し、前記音圧レベル計算手段は、前記選択手段により選択された音圧レベル算出手段を用いて前記音圧レベルを算出してもよい。
【0010】
また、上述の態様において、前記選択手段は、操作者によって操作される操作手段から供給される操作信号に応じて前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかひとつを選択してもよい。
【0011】
また、上述の態様において、前記選択手段は、前記複数のスピーカの各々の位置及び前記仮想音源の位置の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかひとつを選択してもよい。
【0012】
また、上述の態様において、前記仮想音源位置入力手段は、時刻と前記仮想音源の位置とを対応付けて入力し、前記距離算出手段は、時刻の経過に伴って、前記各スピーカの位置と該時刻に対応する前記仮想音源の位置との間の各々の距離を時系列に算出し、前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段の算出結果に従って、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における前記音圧レベルを時系列に計算してもよい。
【0013】
また、上述の態様において、前記仮想音源位置入力手段は、前記仮想音源の軌跡を入力し、前記距離算出手段は、前記入力された軌跡に従って、前記各スピーカの位置と前記仮想音源の軌跡の位置との間の距離を算出し、前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段の算出結果に従って、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における前記音圧レベルを計算してもよい。
【0014】
また、上述の態様において、前記音圧レベル計算手段は、前記複数のスピーカのうちの、前記距離算出手段によって算出された前記各スピーカの位置と前記仮想音源の位置との間の各々の距離が予め定められた閾値より小さいスピーカについて、各スピーカ位置における音圧レベルを計算してもよい。
【0015】
また、上述の態様において、前記複数のスピーカの各々の指向性の内容を示す指向性データを記憶する記憶手段を具備し、前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を単調減少関数によって変換し、該変換結果に対して前記記憶手段に記憶された前記複数のスピーカの各々の指向性データに基づいた係数を乗算し、該乗算結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、劇場やホール等の空間において、複数のスピーカを用いた音像の定位または移動の設定を、従来と比較してより簡易な演算で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
<A:構成>
図1は、この発明の一実施形態である音響装置1の構成を示すブロック図である。この音響装置1は、劇場やホール等の空間において、複数のスピーカの音圧レベルを制御することによって音像を定位させ、又は定位させた音像の位置を移動させるための装置である。音響装置1が音像を定位させた位置を空間内で移動させることによって、聴取者は、あたかも音源が空間内を移動しているかのように感じることができる。以下の説明では、複数のスピーカからの放音により、音像が定位する位置に仮想的に位置する音源を「仮想音源」と称して説明する。本発明は、2以上のスピーカに適用可能だが、本実施例ではスピーカの数を4として説明する。
【0018】
図において、操作部11は、例えばキーボードやマウス等を備え、舞台監督等の作業者による操作に応じた信号を音響装置1に出力する。作業者は、操作部11を操作することによって、複数のスピーカの位置や所望する仮想音源の位置等の各種の情報を入力することができる。この入力は、例えば、作業者がマウスを用いてドラッグ&ドロップ操作を行うことによって作業者がスピーカや仮想音源を配置するようにしてもよく、また、例えば、キーボードのテンキー等を用いてスピーカや仮想音源の座標の数値を直接入力するようにしてもよい。スピーカ座標入力部12は、操作部11から供給される信号に応じて、劇場やホール等の空間に実際に配置するスピーカの座標(発音位置)を出力ゲイン算出部16に入力する。仮想音源座標入力部13は、操作部11から供給される信号に応じて、作業者が所望する仮想音源の位置を出力ゲイン算出部16に入力する。音源入力部14は、仮想音源で放音すべきオーディオ信号を、パワーアンプ18−1,18−2,…,18−nに入力する。音源入力部14は、例えば所定の記憶装置や記憶媒体(CD等)に記憶されたオーディオ信号を読み出してパワーアンプ18−1,18−2,…,18−nに入力してもよく、また、例えば所定の装置から通信ネットワークを介して受信されるオーディオ信号をパワーアンプ18−1,18−2,…,18−3に入力してもよい。
【0019】
出力ゲイン算出部16は、空間に設定される複数のスピーカの位置と仮想音源の位置とに基づいて、スピーカのそれぞれの出力ゲインを算出する。ここでは、出力ゲイン算出部16は、まず、スピーカ座標入力部12から入力される複数のスピーカの位置と、仮想音源座標入力部13から入力される仮想音源の位置との間の各々の距離を算出する。次いで、出力ゲイン算出部16は、算出した各距離の合計に対する各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて所定位置に仮想音源を生成するために必要な各スピーカに対する重み付け係数(各スピーカが再生すべき音圧レベルの相対関係を示す比率)を算出する。なお、この算出処理については後述するため、ここではその詳細な説明を省略する。スピーカ毎の前記重み付け係数を算出すると、出力ゲイン算出部16は、パワーアンプ18−1,18−2,…18−nに対し、前記算出した重み付け係数の相対関係を保ったまま、受音点(受音エリア)で所定の音圧レベルを得るために必要なアンプゲインを算出し、算出したアンプゲインをパワーアンプ18−1,18−2,…18−nに供給する。
【0020】
パワーアンプ18−1,18−2,…,18−nは、複数のスピーカSP−1,SP−2,…,SP−nにオーディオ信号を供給する複数の信号処理回路である。パワーアンプ18−1,18−2,…,18−nは、音源入力部14から入力されるオーディオ信号を、出力ゲイン算出部16から供給される音圧パラメータに基づいて増幅する。以下の説明では、説明の便宜上、パワーアンプ18−1,18−2,…,18−nを各々区別する必要がない場合には、これらを「パワーアンプ18」と称して説明する。
【0021】
スピーカSP−1,SP−2,…,SP−nは、パワーアンプ18から供給される音声信号に基づいて放音する放音手段である。以下の説明では、説明の便宜上、スピーカSP−1,SP−2,…,SP−nを各々区別する必要がない場合には、これらを「スピーカSP」と称して説明する。複数のスピーカSPは、空間内に設けられ、これらのスピーカSPから放音される音の音像が定位することによって仮想音源が実現する。ここでは、スピーカSPは無指向性を想定する。
【0022】
次に、出力ゲイン算出部16が行う出力ゲインの算出処理の内容について説明する。ここでは、4つのスピーカSP−1,SP−2,SP−3,SP−4を用いて音像定位を行う場合について説明する。スピーカ座標入力部12からは、複数のスピーカの座標が入力される。ここでは、スピーカ座標入力部12から、4つのスピーカSP−1,SP−2,SP−3,SP−4の座標sp1,sp2,sp3,sp4として以下のx,y座標が入力される。
sp1=(x1, y1),
sp2=(x2, y2),
sp3=(x3, y3),
sp4=(x4, y4)
【0023】
また、仮想音源座標入力部13からは、仮想音源の座標として以下の座標psが入力される。
ps=(xps,yps)
【0024】
まず、出力ゲイン算出部16は、スピーカ座標入力部12から入力された各スピーカの位置と、仮想音源座標入力部13から入力された仮想音源の位置との間の各々の距離を求める。ここでは、出力ゲイン算出部16は、スピーカSP−1,SP−2,SP−3,SP−4のそれぞれと仮想音源との間の距離D1,D2,D3,D4を以下の(1)〜(4)式を用いて算出する。

【0025】
次いで、出力ゲイン算出部16は、算出した各距離の合計を算出する。ここでは、出力ゲイン算出部16は、D1からD4の合計Dsumを、(5)式により算出する。
Dsum = (D1 + D2+ D3 + D4) …(5)
【0026】
次いで、出力ゲイン算出部16は、算出した各距離の合計に対する各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを算出する。ここでは、出力ゲイン算出部16は、仮想音源から各スピーカSPまでの距離が、全体合計距離に対してどれくらいの割合であるかを計算し、その逆数を各スピーカに対する重み付け係数とする。具体的には、出力ゲイン算出部16は、距離の合計Dsumに対する各距離D1,D2,D3,D4の割合の逆数R1,R2,R3,R4を、各スピーカに対する重み付け係数として(6)〜(9)式により算出する。
R1 = (D1 / Dsum)-1 …(6)
R2 = (D2 / Dsum)-1 …(7)
R3 = (D3 / Dsum)-1 …(8)
R4 = (D4 / Dsum)-1 …(9)
【0027】
出力ゲイン算出部16は、算出した音圧レベルR1,R2,R3,R4に対応した音圧となるような音圧パラメータp1,p2,p3,p4を、パワーアンプ18に供給する。パワーアンプ18は、供給される音圧パラメータに応じて、音源入力部14から供給されるオーディオ信号の音圧レベルを調整し、スピーカSPに出力する。これにより、スピーカSPからは、それぞれの音圧パラメータに応じて調節された音圧レベルの音が放音され、それぞれのスピーカSPから放音される音の音圧レベルに応じた位置に仮想音源が実現される。
【0028】
<B:動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、舞台監督等の作業者は、操作部11を操作して、各スピーカSPの位置を示す座標を入力するとともに、所望する仮想音源の位置を示す座標を入力する。操作部11は、操作した内容に応じた信号を出力する。スピーカ座標入力部12は、操作部11からの信号に応じて各スピーカSPの座標を出力ゲイン算出部16に入力する。また、仮想音源スピーカ13は、操作部11からの操作信号に応じて仮想音源の座標を出力ゲイン算出部16に入力する。出力ゲイン算出部16は、入力されるスピーカSPの座標と仮想音源の座標とを用いて、上述した(1)〜(9)式を用いて、各スピーカ位置における音圧レベルを計算する。音圧レベルを計算すると、出力ゲイン算出部16は、算出した音圧レベルに対応した音圧となるような音圧パラメータを、パワーアンプ18に供給する。パワーアンプ18は、出力ゲイン算出部16から供給される音圧パラメータに基づいてオーディオ信号を増幅して各スピーカSPに供給する。スピーカSPは、供給されるオーディオ信号に応じて放音し、この放音される音の音像定位により所定の位置に仮想音源が実現する(生成される)。
【0029】
ここで、作業者が所望する仮想音源(以下「仮想音源PS」という)の位置psと、複数のスピーカSPからの放音により実際に実現される仮想音源(以下「仮想音源PS´」という)の位置(以下「位置ps´」という)との関係について、図2及び図3を参照しつつ説明する。図2及び3は、4つのスピーカSP1,SP2,SP3,SP4の座標sp1,sp2,sp3,sp4、仮想音源PSの座標ps、及び仮想音源PS´の座標ps´の一例を示す図である。この動作例では、仮想音源PSの重さ(音圧レベル)を「1.0」として説明する。
【0030】
まず、図2に例示した4つのスピーカSP1,SP2,SP3,SP4からの放音により実現される仮想音源PS´の位置ps´を、上述した(1)〜(9)式による算出結果及び以下の各式を用いて算出する。即ち、前記(6)〜(9)式で算出した各スピーカに対する重み付け係数R1〜Rの値に基づき、その重心を求めることで実際に生成される仮想音源PS´の位置ps´を算出し、該算出結果と当初想定した仮想音源PSの位置psと比較する。
まず、各スピーカの音圧レベルの合計Rsumを(10)式により計算する。
Rsum = (R1 + R2+ R3 + R4) …(10)
【0031】
次いで、重さ(=音のレベル)全体に対しての割合を、元の座標に乗算して新しい座標を算出する。
x1’ = (R1 / Rsum) * x1, y1’ = (R1/ Rsum) * y1 …(11)
x2’ = (R2 / Rsum) * x2, y2’ = (R2/ Rsum) * y2 …(12)
x3’ = (R3 / Rsum) * x3, y3’ = (R3/ Rsum) * y3 …(13)
x4’ = (R4 / Rsum) * x4, y4’ = (R4/ Rsum) * y4 …(14)
【0032】
これらの新しい座標の合計を計算すれば、実際の仮想音源PS´の座標ps´が算出される。
xps’ = ( x1'+ x2'+ x3'+ x4'), yps’ = ( y1'+y2'+ y3'+ y4' ) …(15)
【0033】
ここで、図3に例示したスピーカの座標と仮想音源の座標とを用いて、上述した(1)〜(15)式を用いて実際の仮想音源PS´の位置ps´を求めると、
(xps', yps')=(0.1, 5.3)となる。図3に示すように、実現される仮想音源PS´の位置ps´は、作業者が所望する仮想音源PSの位置psに近接した位置となる。
【0034】
次に、図4及び図5を参照して、他の動作例について説明する。図4及び図5は、4つのスピーカSP1,SP2,SP3,SP4の座標と、仮想音源PSの座標の他の具体例を示す図である。これらのスピーカSP1,SP2,SP3,SP4を用いて仮想音源SP´を実現した場合に、上述した(1)〜(15)式を用いて実際の仮想音源SP´の位置ps´を求めると、
(xps',yps')=(8.0,-8.5)となる。
【0035】
図3及び図5に示すように、(1)〜(9)式を用いて音圧レベルを算出した場合には、スピーカSPからの放音により実現される仮想音源PS´の位置ps´は、所望される仮想音源PSの位置psに近接した位置となる。本来、各スピーカの重み付け係数が定まらないと、これらの複数スピーカにより生成される音像位置は算出できなかった。同時に、4つ以上のスピーカでは各スピーカの重み付け係数を一意に定めることは出来なかったという、矛盾する課題があった。しかし、本手法に基づき、想定する音像位置と各スピーカとの距離を基に、単調減少関数(本実施例では、逆数1/r)で変換する重み付け係数を導入することにより、得られる音像位置は、当初想定する音像位置と近接した位置となることが確認された。
【0036】
以上説明したように本実施形態によれば、距離比を利用したレベルパンにより複数スピーカでの定位設定を行うから、劇場内の定位設定を容易にすることができる。本実施形態による算出処理においては、多少の誤差はあるものの、聴取者に対してそれほど違和感を覚えさせるものではない。このように本実施形態では、複雑な演算を行うことなく、簡易な演算で、仮想音源を所望の位置に実現するための各スピーカSPの音圧レベルを算出することができる。これにより、音像定位に係る全体の計算時間を短くすることができ、スピーカの数が多くなっても、計算量が指数対数的に増大することがない。
【0037】
また、作業者は、音響装置1に、スピーカの位置と仮想音源の位置を入力する作業を行うだけでよく、煩雑な作業を行う必要がない。特に、本実施形態によれば、鳴らすスピーカの数を規定する必要がなく、そのような設定をユーザが行う必要がない。
【0038】
ところで、定位させる音像位置を移動させて一方のスピーカ位置に設定した場合、理論的にはその一方のスピーカだけが鳴ればよいことになる。しかし、そのスピーカの他方に座っている聴取者のことを考えてみると、その聴取者が聞いている音は、今まで近くのスピーカが一定の音量で鳴っていたのが突然鳴ら無くなって、一方のスピーカだけが鳴ることになる、という状況になってしまう。これは大変不自然であり、聴取者は違和感を持ち、音響上の演出効果を損なってしまう。
それに対し本実施形態では、空間内に設置された全てのスピーカの位置と仮想音源の位置との間の距離を算出し、算出した距離の合計に対する各距離の割合に応じて各スピーカに対する重み付け係数を算出するから、全てのスピーカついて重み付け係数を算出して算出した重み付け計数を用いて全てのスピーカから放音させることとなる。このように、空間内に設置された全てのスピーカを用いて仮想音源を実現するから、鳴らないスピーカが出ることがない。そのため、聴取者に違和感を覚えさせることなく、仮想音源を実現させることができ、また、仮想音源を移動させたりすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、複数スピーカを使って音像定位を作る場合に、想定音像位置と鳴らす各スピーカとの距離(=1/r)を利用してレベル差を決定するから、これにより、簡易な演算でより精度の高い定位設定を行うことができる。
【0040】
ところで、従来の装置では、受聴点を予め設定した場合(例えば、非特許文献1ではステレオ音源の中心線上、非特許文献3では複数スピーカから等距離の中心点)の制御が対象となっており、スピーカ近傍に受音点を設定した場合には、音像の定位が近傍のスピーカに片寄る制御となる。それに対しこの実施形態によれば、上述(段落番号0038)の通り、全てのスピーカを用いて仮想音源を実現するため、スピーカの近傍も含めて広い範囲で受聴位置を設定することができる。
【0041】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、各スピーカの位置と仮想音源の位置との間の各々の距離の割合の逆数をとることによって、各スピーカ位置における音圧レベルを算出した。音圧レベルの算出方法はこれに限らず、例えば、距離の二乗の逆数を音圧レベルとして算出するようにしてもよい。具体的には、出力ゲイン算出部16が、上述の実施形態で示した(6)〜(9)式に代えて、以下の(16)〜(19)式を用いて音圧レベルを算出してもよい。
R1 = (D1 / Dsum)-2 …(16)
R2 = (D2 / Dsum)-2 …(17)
R3 = (D3 / Dsum)-2 …(18)
R4 = (D4 / Dsum)-2 …(19)
【0042】
(16)〜(19)式を用いて音圧レベルを算出した場合も、上述した実施形態と同様に、スピーカSPからの放音により実現される仮想音源PS´の位置は、所望される仮想音源SPの位置に近似したものとなる。このように、この距離の二乗の逆数を用いて音圧レベルを算出する場合も、上述の実施形態と同様に、複雑な演算を行うことなく、仮想音源を所望の位置に実現するための各スピーカSPの音圧レベルを算出することができる。
【0043】
また、音圧レベルの算出方法は上述したものに限らず、例えば、距離の累乗(べき乗)の逆数や、距離の指数の逆数や、距離の対数の逆数を用いるようにしてもよく、要は、出力ゲイン算出部16が、各スピーカSPと所望する仮想音源PSとの間の各距離(又は各距離の割合)を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを算出するようにすればよい。すなわち、出力ゲイン算出部16が、各スピーカSPのそれぞれについて、各スピーカSPと仮想音源PSとの間の距離が長いほど音圧レベルが低くなるように、音圧レベルを算出するようにすればよい。
【0044】
(2)上述の実施形態では、出力ゲイン算出部16は、距離の割合の逆数をとることによって各スピーカ位置における音圧レベルを算出したが、出力ゲイン算出部16が、2以上の算出手段を備える構成とし、いずれかの算出方法を選択するようにしてもよい。すなわち、各スピーカと仮想音源との間の各距離の合計に対する各距離の割合を、それぞれ異なるアルゴリズムの単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する複数の音圧レベル算出手段と、複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれか一つを選択する選択手段とを音響装置1に設ける構成とし、出力ゲイン算出部16が、選択された音圧レベル算出手段を用いて各スピーカの音圧レベルを算出するようにしてもよい。
【0045】
この場合は、より具体的には、例えば、音響装置1に、計算方法選択入力部15(図1に鎖線で図示)を設ける構成とする。作業者が操作部11を用いていずれかの計算方法を選択する操作を行うと、操作部11は、操作れた内容に応じた操作信号を出力する。この選択は、例えば、操作者の操作によるボタンによる選択やエンコーダによる選択であってもよい。また、作業者がマウスを用いてドラッグ&ドロップ操作を行うことにより計算方法を選択するようにしてもよく、また、テンキーで数値を入力することによって選択するようにしてもよい。計算方法選択入力部15は、操作部11からの信号に応じて、出力ゲイン算出部16が2種類の算出方法のうちのいずれの方法で出力ゲインを算出するかを選択又は入力する。
【0046】
出力ゲイン算出部16は、上述の実施形態で示した距離の割合の逆数を用いて音圧レベルを算出する方法(以下「第1の算出方法」)と、上述の変形例(1)で示した距離の割合の二乗の逆数を用いて音圧レベルを算出する方法(以下「第2の算出方法」)との2種類の算出方法のいずれかを用いて音圧レベルを算出する。この場合は、出力ゲイン算出部16は、計算方法選択入力部15から供給される信号に基づいて、選択された算出方法を用いて音圧レベルを算出する。
【0047】
また、計算方法選択入力部15が、操作部11からの信号に応じて計算方法を選択するに代えて、計算方法選択入力部15が、スピーカSPの位置及び仮想音源の位置の少なくともいずれかひとつに基づいて、計算方法を選択するようにしてもよい。具体的には、例えば、計算方法選択入力部15は、スピーカと仮想音源との距離の合計が予め定められた閾値以下である場合には、上記第1の算出方法を用いて音圧レベルを算出する一方、それ以外の場合には、上記第2の算出方法を用いて音圧レベルの算出を行うようにしてもよい。このように、スピーカや仮想音源の位置やその間の距離に応じて算出アルゴリズムを使い分けることによって、仮想音源を実現するための音圧レベルの算出処理の精度を高くすることができる。
【0048】
(3)上述の実施形態において、図6に示すような、マトリクスミキサ17を設ける構成としてもよい。図6において、マトリクスミキサ17は、入力されるオーディオ信号を、各パワーアンプ18に分配して供給するとともに、出力ゲイン算出部16から供給されるパラメータに基づいて音圧調整を行う。
【0049】
(4)上述の実施形態において、仮想音源の位置を時間の経過に伴って時系列に変化させるようにしてもよい。この場合は、作業者が、仮想音源の位置と時刻とを対応付けて入力するようにし、音響装置1の出力ゲイン算出部16が、入力される位置と時刻との対応関係に基づいて、各スピーカの音圧レベルを時系列に算出するようにしてもよい。
また、仮想音源の軌跡を入力するようにしてもよい。この場合も、音響装置1の出力ゲイン算出部16が、入力された仮想音源の軌跡に従って、各スピーカの音圧レベルを算出するようにすればよい。
また、仮想音源の移動状態(加速度や揺れ等)を入力するようにしてもよい。この場合は、この入力軌跡をプリセットしておき、必要なときに、タイムコードやMIDI信号を使って起動すればよい。また、時間軸情報を入力するようにしてもよい。
【0050】
このように、仮想音源の位置を時間の経過に伴って移動させる場合には、リアルタイム性が必要であるが、本発明によれば、複雑な計算を行うことなく、簡易な計算で各スピーカの音圧レベルを算出することができるので、よりスムーズに仮想音源の位置を移動させることが可能となる。
【0051】
(5)上述の実施形態では、空間内に設置された全てのスピーカを用いて仮想音源を実現するようにしたが、これに代えて、音響装置1が用いるスピーカを選択するようにしてもよい。具体的には、例えば、仮想音源からの距離が予め定められた値以下のスピーカを用いて、それ以外のスピーカを用いないように、音源装置1が制御するようにしてもよい。
このようにすれば、複数スピーカの配置が、正多角形を大きく外れて歪(いびつ)な多角形を形成する場合に、特異な頂点に位置するスピーカを排除して計算を実行することが可能となり、計算の精度が向上する。
また、各スピーカの寄与率を示す情報を音響装置1の記憶部等に予め記憶させておき、記憶された各スピーカの寄与率と各スピーカに対する重み付け係数とを比較する処理に基づいて、使用するスピーカを選択するようにしてもよい。
【0052】
(6)また、上述の実施形態では、無指向性のスピーカを想定したが、指向性のあるスピーカを用いてもよい。この場合は、音響装置1の記憶部等に、各スピーカの向きを示す情報を予め記憶させておき、各スピーカの向きとその位置、および仮想音源の位置とに基づいて、音響装置1が、用いるスピーカを選択するようにしてもよい。具体的には、例えば、スピーカの指向方向が仮想音源の位置の方向と逆方向である場合には、音響装置1が、そのスピーカを用いないように制御してもよい。
また、指向性を有するスピーカを用いる場合には、指向性を考慮した係数をかけて各スピーカの音圧レベルを算出するようにしてもよい。この場合は、例えば、上述の実施形態における距離D〜D4に各スピーカの指向係数を乗算して、D´〜D´とし、(16)〜(19)式で重み付け係数R´〜R´を算出するようにしてもよい。
【0053】
(7)上述の実施形態において、音質(周波数特性)を調整するためのイコライザを各パワーアンプの前段に設ける構成としてもよい。この態様によれば、例えば音像の位置の変更や音像の移動があった場合に、対応するスピーカSPの放音される音の向きが変わることにより受音点での周波数特性が変化する場合であっても、音像定位装置30の内部に搭載されたイコライザによって各スピーカの周波数特性及び各スピーカの時々刻々の周波数特性を調整(変更)することが可能となる。
【0054】
(8)上述の実施形態におけるスピーカ座標入力部12、仮想音源座標入力部13、音源入力部14等の音響装置1の各部は、専用のハードウェア回路によって実現される構成であってもよく、また、音響装置1の制御部(CPU等)がROMやHDD等の記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによってソフトウェアとして実現される構成であってもよい。また、音響装置1の各部がソフトウェアとして実現される場合において、音響装置1の制御部によって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAM、ROM等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由でコンピュータ装置にダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】音響装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】スピーカの座標と仮想音源の座標の一例を示す図である。
【図3】スピーカの座標と仮想音源の座標の一例を示す図である。
【図4】スピーカの座標と仮想音源の座標の一例を示す図である。
【図5】スピーカの座標と仮想音源の座標の一例を示す図である。
【図6】音響装置の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…音響装置、11…操作部、12…スピーカ座標入力部、13…仮想音源座標入力部、14…音源入力部、15…計算方法選択入力部、16…出力ゲイン算出部、17…マトリクスミキサ、18…パワーアンプ、SP…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカの各々の位置を入力するスピーカ位置入力手段と、
仮想音源の位置を入力する仮想音源位置入力手段と、
前記スピーカ位置入力手段が入力した前記各スピーカの位置と前記仮想音源位置入力手段が入力した前記仮想音源の位置との間の各々の距離を求める距離算出手段と、
前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する音圧レベル計算手段と、
前記各スピーカにオーディオ信号を供給する複数の信号処理回路と、
前記信号処理回路に対し、前記音圧レベル計算手段が計算した音圧レベルに対応した音圧となるように、前記各スピーカに対する音圧パラメータを設定する音圧パラメータ設定手段と
を具備することを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合の逆数を算出し、算出結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合のべき乗の逆数を算出し、算出結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項4】
前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、それぞれ異なる複数のアルゴリズムの単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する複数の音圧レベル算出手段と、
前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかをひとつを選択する選択手段と
を具備し、
前記音圧レベル計算手段は、前記選択手段により選択された音圧レベル算出手段を用いて前記音圧レベルを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項5】
前記選択手段は、操作者によって操作される操作手段から供給される操作信号に応じて前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかひとつを選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記複数のスピーカの各々の位置及び前記仮想音源の位置の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記複数の音圧レベル算出手段のうちの少なくともいずれかひとつを選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項7】
前記仮想音源位置入力手段は、時刻と前記仮想音源の位置とを対応付けて入力し、
前記距離算出手段は、時刻の経過に伴って、前記各スピーカの位置と該時刻に対応する前記仮想音源の位置との間の各々の距離を時系列に算出し、
前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段の算出結果に従って、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における前記音圧レベルを時系列に計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項8】
前記仮想音源位置入力手段は、前記仮想音源の軌跡を入力し、
前記距離算出手段は、前記入力された軌跡に従って、前記各スピーカの位置と前記仮想音源の軌跡の位置との間の距離を算出し、
前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段の算出結果に従って、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における前記音圧レベルを計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項9】
前記音圧レベル計算手段は、前記複数のスピーカのうちの、前記距離算出手段によって算出された前記各スピーカの位置と前記仮想音源の位置との間の各々の距離が予め定められた閾値より小さいスピーカについて、各スピーカ位置における音圧レベルを計算する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の音響装置。
【請求項10】
前記複数のスピーカの各々の指向性の内容を示す指向性データを記憶する記憶手段
を具備し、
前記音圧レベル計算手段は、前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を単調減少関数によって変換し、該変換結果に対して前記記憶手段に記憶された前記複数のスピーカの各々の指向性データに基づいた係数を乗算し、該乗算結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の音響装置。
【請求項11】
コンピュータを、
複数のスピーカの各々の位置を入力するスピーカ位置入力手段と、
仮想音源の位置を入力する仮想音源位置入力手段と、
前記スピーカ位置入力手段が入力した前記各スピーカの位置と前記仮想音源位置入力手段が入力した前記仮想音源の位置との間の各々の距離を求める距離算出手段と、
前記距離算出手段が算出した各距離の合計に対する前記各距離の割合を、単調減少関数によって変換し、変換結果に応じて各スピーカ位置における音圧レベルを計算する音圧レベル計算手段と、
前記各スピーカにオーディオ信号を供給する複数の信号処理回路と、
前記信号処理回路に対し、前記音圧レベル計算手段が計算した音圧レベルに対応した音圧となるように、前記各スピーカに対する音圧パラメータを設定する音圧パラメータ設定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−41190(P2010−41190A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199567(P2008−199567)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】