説明

音響装置及び音響装置製造方法

ある面積と動作周波数帯域とを有し、動作周波数帯域内に共振モードを有するようにするダイアフラム(10)と、ダイアフラム(10)に結合されダイアフラム(10)とエネルギーを交換するように適合された駆動部を有する電気機械式変換器と、ダイアフラムに結合され又は一体化された少なくとも1つの機械インピーダンス手段(20、22、24)とを備え、変換器の駆動部(26)及び少なくとも1つの機械インピーダンス手段(20、22、24)の位置決めと質量は、ダイアフラム(10)の領域にわたって正味の横断モード速度がゼロになる傾向があることを特徴とする音響装置。ある面積とピストン−モード移行を含む動作周波数帯域とを有するダイアフラムを備えた音響装置を形成する方法であって、動作周波数帯域内に共振モードを有するようにダイアフラムのパラメータを選択する段階と、電気機械式変換器の駆動部をダイアフラムに結合してダイアフラムとエネルギーを交換する段階と、ダイアフラムに少なくとも1つの機械インピーダンス手段を追加する段階と、面積にわたる正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあるように変換器の駆動部の位置決めと質量及び少なくとも1つの機械インピーダンスの位置決めと質量を選択する段階とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカ及びマイクロフォンなどの音響装置に関し、より詳細には撓み波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1原理により、ピストン式ラウドスピーカのダイアフラムに加えられる点荷重は、自然にフラットな周波数応答をもたらすが、高周波数で降下するパワー応答をもたらすことになる。これは、放射波長がダイアフラムの長さl又は円形ダイアフラムの直径の半分すなわち半径aと同程度になると、すなわちkaが2を超えるか又はklが4を超える(kは波数周波数)と変化する放射結合に起因する。しかしながら、理論的に自由に装着された撓み波パネルスピーカでは、純粋な力すなわち質量ゼロの点駆動は、周波数に対してフラットな音圧とフラットな音響パワーの両方をもたらすことになる。
【0003】
しかしながら、実際の撓み波パネルは、サスペンション上に支持され、質量を含む複素駆動点インピーダンスを備えた励振器を有する。このような物体は、理論的上の予測と比べると平坦でない周波数応答を明らかに示すことになる。これは、ここではパネルのモード特性の不平衡を示す種々の質量及びコンプライアンスに起因する。モード密度が十分に高い場合、より均一な音響応答に対してモードが周波数全体にわたり有利に分布されるようにシステムを設計することができる。しかしながら、この分布モード法は、モードが散在し、満足できる周波数応答を構築するには全体的に不十分な低い撓み周波数においてはあまり有効ではない可能性がある。
【0004】
ピストン式に対する格差を埋めるように最も低い撓み波周波数に至るまで、すなわち全領域にわたりフラットな音圧及びパワー応答にする目標に必要とされるのは、モード平衡の理論的条件を再構築することである。これが達成できると、調整されたモード平衡により、実際のパネルの音響作用が望ましい理論的条件に戻される。これは、新しい種類のラウドスピーカ放射体をもたらすことになり、この場合、パワー又は周波数の点で放射応答は駆動点質量に依存しない。
【0005】
実際にダイアフラム及び駆動方法を利用する変換器及びラウドスピーカの設計者の目標は、本質的に周波数に依存しない動作を得ることである。この第1の目的が実現されると、設計者は他の望ましい特性を設計することができる。
【発明の開示】
【0006】
本発明によれば、ある面積と動作周波数帯域とを有し該動作周波数帯域内に共振モードを有するようにするダイアフラムと、該ダイアフラムに結合され該ダイアフラムとエネルギーを交換するように適合された駆動部を有する電気機械式変換器と、該ダイアフラムに結合され又は一体化された少なくとも1つの機械インピーダンス手段と、を備え、該変換器の駆動部及び少なくとも1つの機械インピーダンス手段の位置決めと質量は、領域にわたって正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあることを特徴とする音響装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、ある面積と動作周波数帯域とを有するダイアフラムを備えた音響装置を形成する方法であって、動作周波数帯域内に共振モードを有するようにダイアフラムのパラメータを選択する段階と、電気機械式変換器の駆動部をダイアフラムに結合してダイアフラムとエネルギーを交換する段階と、ダイアフラムに少なくとも1つの機械インピーダンスを追加する段階と、面積にわたる正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあるように変換器の駆動部の位置決めと質量及び少なくとも1つの機械インピーダンスの位置決めと質量を選択する段階とを含む方法が提供される。
【0008】
少なくとも1つの機械インピーダンス手段の機械インピーダンスZ(ω)は、次式で定義される。
Z(ω)=j・ω・M(ω)+k(ω)/(j・ω)+R(ω)
ここで、
ωはラジアン/秒単位の周波数、
M(ω)は素子の質量、
k(ω)は素子の剛性、
R(ω)は素子の減衰。
である。
【0009】
少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、例えばダイアフラムに結合された、例えば質量体又はサスペンションである個別の素子とすることができる。或いは、ダイアフラムは、面積に応じて変動する質量、剛性、及び/又は減衰を有することができ、これらは、選択された位置で少なくとも1つの機械インピーダンス手段を提供する。このようにして、機械インピーダンス手段は、ダイアフラムと一体化される。例えば、ダイアフラムは、例えば成形プロセスによってダイアフラムの一方又は両方の表面上の平面外の隆起又は突起を含む様々な厚さで形成することができる。隆起又は突起は、機械インピーダンス手段として作用することができる。
【0010】
面積にわたる正味の横断モード速度は、位相相殺によって影響を受けないrms(二乗平均)横断変位を計算することによって定量化することができる。例証として、円形のダイアフラムに対し、rms横断変位は、次式から計算することができる。

ここで、
Rはダイアフラムの半径、
Ψ(r)はモード形状
である。
特定の音響装置のメリットの程度は、相対平均変位
Ψrel=Ψmean/Ψrms
から計算することができる。
ここで円形のダイアフラムに対して、平均横断変位は、

である。
【0011】
最良の平衡化のために平均横断変位は小さい必要がある。面積にわたる正味の横断モード速度がゼロである場合、相対平均変位も又ゼロになる。最悪の場合には、相対平均変位は1に等しくなる。ゼロになる傾向がある面積にわたる正味の横断モード速度を実現させるために、相対平均変位は0.25よりも小さいか、又は0.18よりも小さくすることができる。換言すれば、ゼロになる傾向がある面積にわたる正味の横断モード速度は、相対平均変位がrms横断速度の25%よりも小さい、又は好ましくは18%よりも小さい場合に実現することができる。
【0012】
ゼロの正味の横断モード速度では、「全体変位」又は「ピストン」モードを除いて、モードがゼロの平均変位を有する(すなわち、発振器平面上のモード形状によって囲まれる面積が平面の下の面積と等しい)程度まで、ダイアフラムのモードを慣性的に平衡させる必要がある。これは、正味の加速度、従ってオン・アクシス圧力応答が、あらゆる周波数において動作のピストン成分によってのみ決定付けられることを意味する。
【0013】
例えば、点音源によって駆動される自由端部を有する均一な単位面積あたり質量のプレートのような、全ての非ピストン式モードがゼロ平均変位を有する広範な種類の物体が存在する。しかしながら、このような物体は、実際には点駆動及び自由端部が実現可能ではないので、理論的な音響装置を表す。
【0014】
ゼロになる傾向がある正味の横断モード速度は、ノード等高線従って実際の音響装置のモード及び速度プロファイルを理想の理論装置(例えば自由振動ダイアフラム)のモード及び速度プロファイル上でこれに数学的にマッピングすることによって実現することができる。数学的には、マッピングとは、ある集合Xの各要素xを別の集合Yの一意の要素yに関係付ける定則である。マッピングは関数fとして表現され、すなわち:
y=f(x)
である。Xからマッピングされない要素が残されておらず、xの各値がyの1つの値だけに割り当てられている場合にだけ、XからYへのマッピングということができる。
【0015】
これを実現するための1つの方法は、理想の理論音響装置のモードに対して駆動点インピーダンスZmが最大である場所、或いはアドミタンスYmが最小である場所を計算し、これらの位置に駆動部及び/又は少なくとも1つの機械インピーダンス手段を装着することである。アドミタンスは、インピーダンスの逆数である(Zm=1/Ym)。
【0016】
例えば円形の場合では、この場所は、ダイアフラムの駆動直径を該ダイアフラムの中心と周縁部との間で変化させて、駆動直径が変化するときの平均駆動点のアドミタンスを計算し、次いで、アドミタンスの最小値によって得られた位置に機械インピーダンスを付加することで算出することができる。
【0017】
インピーダンスZm及びアドミタンスYmは、モードの合計から計算されるので、これらの値はその合計に含まれるモードの数に依存する。第1のモードだけが考慮される場合、この場所はそのモードのノード線上又は極めて近傍に位置する。より一般的には、この場所は、考慮される最も高いモードのノード近傍にある傾向となるであろうが、他のモードの影響を受けることは、相関性が正確ではない可能性があることを意味する。それでも尚、設計の解決策に対して選択される最も高いモードのノード線の場所は受け入れ可能とすることができる。最初の3つのモードからの解決策は、最初の2つのモードからの解決策の拡張ではなく、以下同様である。その位置は、平均のノード場所とみなすことができ、従って、変換器及び/又は少なくとも1つの機械インピーダンス手段の駆動部は、動作周波数内のモードの平均のノード位置に位置付けることができる。
【0018】
アドミタンスを使用する代わりに、機械インピーダンス手段がシステムの一体部分であるモデルを定義し、該モデルを最適化してゼロになる傾向がある正味の容積変位を規定することによって、機械インピーダンス手段の場所を計算することができる。例えば円形のダイアフラムの場合、モデルは、同一材料の同軸リングを含み、リングの接合部に円形の線質量体を有するディスクとして定義することができる。正味の容積変位は、次式から計算することができる。

ここで、
Rはダイアフラムの半径、
Ψ(r)はモード形状
である。
【0019】
或いは、機械インピーダンス手段の場所は、機械インピーダンス手段がシステムの一体部分であるモデルを定義し、該モデルを最適化してゼロになる傾向がある相対的な平均変位を規定することによって計算することができる。
異なる方法の組み合わせも又使用することができ、例えば、第3のモードのノード線に機械インピーダンス手段を装着し、最適化を用いて、最初の2つのモードを処理することができる。
【0020】
変換器の場所は、平均速度が低いすなわちアドミタンスが最小の位置である。標準分布モードラウドスピーカに対する標準的な教示は、できるだけ多くのノードにできるだけ均等に結合するようにするため、最も平滑なインピーダンスを有する場所に変換器を装着することである。従って、1つの観点から、上述の発明は分布モードの発明と異なる。
【0021】
ダイアフラムのパラメータは、形状、サイズ(アスペクト比)、撓み剛性、表面積密度、剪断弾性係数、異方性、及び減衰性を含む。パラメータは、異なる用途に対する性能を最適化するように選択することができる。例えば、長さ又は直径が5から8cmの小さなダイアフラムの場合、ダイアフラムの材料は、望ましい周波数動作帯域上限において2つのモードだけを有する、比較的剛性のある軽量のダイアフラムを提供するように選択することができる。2つのモードだけしか存在しないので、これらのモードを平衡させることによって比較的低コストで良好な音響放射を実現することができる。或いは、例えば長さ又は直径が25cmの大きなパネルの場合、ピストン帯域では良好な周波数パワーを有し、ダイアフラムの材料及び厚さは、例えば1kHzを超える中間帯域に第1のモードを配置するように選択することができる。次いで、最大で7番目又はそれよりも大きな一連のモードは、平衡が取られ、良好なパワー均一性を有する広範な周波数応答と、周波数に対して十分に保持されたオフアクシス応答を達成することができる。
【0022】
設計では、パラメータの変動の相対的作用は妥当であり、モード放射の平衡は、撓み剛性よりも表面積密度の均一性により多く依存する。例えば、単純な円形のダイアフラムの場合、2対1までの撓み剛性の異方性は、性能に関して適度な効果を有するだけであり、4対1までは許容される。高剪断を利用して、高周波で効率の低下を生じさせる可能性がある。
【0023】
変換器は、ダイアフラムを平行移動させるように適合することができる。変換器は、駆動部を形成するボイスコイルと磁石システムとを有する可動コイル装置とすることができる。弾性サスペンションは、ダイアフラムをシャーシに結合することができる。磁石システムは、シャーシに接地することができる。サスペンションは、動作周波数帯域内のモードの平均のノード位置に位置付けることができる。ボイスコイルがダイアフラムに結合される位置は、前記サスペンションがダイアフラムに結合される位置とは異なる位置にすることができる。
【0024】
動作周波数帯域は、ピストン−モード移行を含むことができる。ダイアフラムのパラメータは、ピストン帯域の上の動作周波数帯域内に2つ又はそれ以上のダイアフラムモードが存在するようにすることができる。
【0025】
ダイアフラムは、円形の周縁部と質量中心とを有することができる。ダイアフラムのパラメータは、第1のダイアフラムモードがka=2(kは波数、aはメートル(m)で測定されたダイアフラムの半径、kの単位はm-1)未満であるようにすることができる。例えばこれは、適切な剛性を有するパネル材料を選択することによって実現することができる。パネル材料の剛性はまた、コインシデンス周波数を位置付けて指向性を制御するのを助けるのに使用することもできる。
【0026】
ダイアフラムは、撓み剛性に関して異方性とすることができる。ダイアフラムの撓み剛性の適度な異方性は、結果として得られるモード場所をrms(二乗平均値)での平均化に合わせて設計することができる。(例証としての)x=2yの楕円形ダイアフラムの場合、純粋な円形等価モード結果が16対1の対応する剛性比で実現することができる。このように、ダイアフラムは楕円形とすることができ、更に撓み剛性に関して異方性とすることができるので、その結果、異方性材料の円形ダイアフラムと同様に動作する。
【0027】
例えば円形の場合では、異方性は、共振モードの実際の周波数を変えることになるが、円形モードの特性は強力であり、これはダイアフラム上で自ずと明らかになる。上述のように、4対1までの適度な異方性は許容される。
【0028】
少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、円形又は楕円形とすることができる環状質量体の形態とすることができる。幾つかの環状質量体は、動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置でダイアフラムと結合するか又は一体化することができる。質量体の重量は、ダイアフラムの中心に向けて小さくすることができる。上記又は各環状質量体は、個々の質量体のアレイによって形成することができる。3つよりも多いこのような質量体で十分とすることができ、6つのこのような質量体では連続する環状質量体と同等とするのに十分である。質量体及び/又はサスペンションの質量は、ボイスコイルの質量に対してスケーリングすることができる。
【0029】
減衰手段は、パネル速度が高速の場所でダイアフラム上に配置するか又はダイアフラムと一体化することができ、これにより選択されたモードが減衰される。円形又は楕円形パネルの場合、減衰手段は、パネル速度が高速の環状部に配置されたパッドの形態とすることができる。撓み波装置では、パネル速度が高速の領域は、パネルの最大曲率の領域である。減衰(拘束された層又は非拘束の層のいずれでも)は、可能な最大限の撓みにより最大歪みを受けるときに最も効果的である。
【0030】
全ての周波数に対してパネルの中心と端部に最大撓み曲率が存在するので、従って中心及び/又は端部の減衰を使用することが知られているが、中心減衰が好ましい。しかしながら、異なるモード次数の場合、中心領域と端部領域間に異なる直径比率においてもパネル速度の高速領域が存在する。従って、中心及び/又は端部領域だけで減衰を使用すると、正確に減衰されたオン・アクシス応答を与えるが、減衰されていない高速領域からのオフアクシスの寄与は、オフアクシス応答の十分な減衰がないことを意味する。パネル速度が高速の環状部に減衰パッドを配置することでこの問題が対処される。
【0031】
モードは、音響応答で望ましくないピークを引き起こすので、選択することができ、減衰パッドの効果は、このピークを減少又は除去することである。減衰は付加されるものではなく、異なるモードでは減衰が異なる場所にあることを必要とする。減衰パッドは、例えば減衰の精度が更に必要とされる場合に、1つより多い場所に装着することができる。しかしながら、全体のパネルをカバーする減衰層全体の適用は回避すべきである。
【0032】
選択された1つ又は複数のモードの減衰により、全体のパネルを減衰する必要性が回避されるので感度の損失はない。選択されたモードの全体は減衰することができ、すなわちオン・アクシスとオフアクシスが共に減衰される。更に、低周波数モードはあまり減衰されないので、減衰されるモードよりも下のラウドスピーカの特性は保存される。
【0033】
減衰パッドは、連続した環状パッドとすることができ、又はセグメント化することができ、これにより小片の非円形減衰が使用される。或いは、減衰される必要がある応答ピークの振幅に応じて、環状の部分だけを減衰させることができる。
【0034】
円形及び楕円形状の場合、ダイアフラムの周縁部と同心のノード線を有する半径方向モードと、ダイアフラムの半径上にノード線を有する軸方向モードの2つのタイプのモードがある。軸方向のモードは、二次モードであり一般に音響的には重要ではない。しかしながら、必要に応じて、機械インピーダンス手段の協働した調整によりこれらの軽減、減衰、又は最小化することさえ可能である。例えば、ダイアフラムの平面に剛性を付与すると、半径方向モードの平衡に影響を及ぼすことなく、軸方向のモードに関してダイアフラムが強化されることになる。軸方向のモードはまた、幾つかの文献では「ベル」モードとも呼ばれる。
【0035】
ダイアフラムのパラメータは、動作周波数帯域内に2つのダイアフラムの半径方向モードが存在するように選択することができる。環状質量体は、直径比0.39と0.84のいずれか又は全てに配置することができ、それによりこれら2つのモードは平衡が取られる。第3の半径方向モードが動作周波数帯域内にある場合、直径比0.43と0.74のいずれか又は全てに減衰パッドを配置することができる。或いは、環状質量体は、実質的に直径比0.26、0.59、及び0.89のいずれか又は全てに配置することができ、これにより最初の3つのモードの平衡が取られる。
【0036】
動作周波数帯域内に第4の半径方向モードがある場合、直径比0.32、0.52、及び0.77のいずれか又は全てに減衰パッドを配置することができ、これにより第4のパッドが減衰される。或いは、環状質量体は、実質的に直径比0.2、0.44、0.69、及び0.91のいずれか又は全てに配置することができ、これにより最初の4つのモードの平衡が取られる。
【0037】
動作周波数帯域内に第5の半径方向モードがある場合、直径比0.27、0.48、0.63及び0.81のいずれか又は全てに減衰パッドを配置することができ、これにより第5のパッドが減衰される。或いは、環状質量体は、実質的に直径比0.17、0.35、0.54、0.735及び0.915のいずれか又は全てに配置することができる。周波数帯域内に追加のモードがある場合、既に概説された基本的方法に従って平衡を取るためにより多くの数のモードを選択することができる。
【0038】
ダイアフラムは環状にすることができる。以下の表は、孔サイズがパネル半径の0.05から0.35の範囲における質量体とボイスコイルの利用可能な環状の場所を示している。最も内側の場所は、孔のサイズに最も影響される。
2つの半径方向モードが考慮される場合の場所:




3つの半径方向モードが考慮される場合の場所:

4つの半径方向モードが考慮される場合の場所:

【0039】
例えば、ダイアフラムは、直径比0.2の孔を含むことができ、環状質量体は、実質的に直径比0.33、0.62、及び0.91のいずれか又は全てに配置することができ、これにより3つのモードの平衡が取られる。或いは、環状質量体は、実質的に直径比0.23、0.46、0.7、及び0.92のいずれか又は全てに配置することができ、これにより4つのモードの平衡が取られる。
【0040】
ダイアフラムは、略矩形とし、質量中心を有することができる。ダイアフラムのパラメータは、第1のダイアフラムのモードがkl=4を下回るようにすることができ、ここでkがモードの数(単位m−1)、lがメートル(m)単位のパネル長である。
【0041】
サスペンション、変換器の駆動部、及び/又は少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、ダイアフラムの質量中心及び周縁部から離れた対向する位置に位置付けることができる。ダイアフラムの単位面積当たりの質量が均一な場合、これらの対向する位置は、質量中心から等距離とすることができる。機械インピーダンス手段は、ダイアフラムの質量中心から離間した対向する位置に位置付けられた一対の質量体の形態とすることができる。
【0042】
ダイアフラムはビーム状、すなわち細長い矩形表面積を有することができ、モードはビームの長軸に沿って存在することができる。変換器、対の質量体、及び/又はサスペンションは、ビームの長軸に沿ってダイアフラムに結合することができる。
【0043】
動作周波数帯域中に2つのモードがある場合、質量体の対は、実質的に質量中心からの比0.29及び0.81のいずれか又は全てに配置することができる。質量体の対は、3つのモードの平衡が取られる場合には、実質的に質量中心からの比0.19、0.55、及び0.88のいずれか又は全てに配置することができる。或いは、4つのモードの平衡が取られる場合には、質量体の対は、実質的に質量中心からの比0.15、0.4、0.68、及び0.91のいずれか又は全てに配置することができる。或いは、5つのモードの平衡が取られる場合には、質量体の対は、実質的に質量中心からの比0.11、0.315、0.53、0.74、及び0.93のいずれか又は全てに配置することができる。設計では、既に概説されたように基本的方法に従って平衡を取るためにより多くの数のモードを選択することができる。
【0044】
ビーム状のダイアフラムの場合、ビームの短軸に平行なノード線を有するモードと、ビームの長軸に平行なノード線を有するクロスモードの2つのタイプのモードがある。クロスモードは二次モードであり、高周波数を除いて一般に音響的には重要ではない。パネルの幅に対する変換器の直径の比は、約0.8の値を有することができ、これにより最も低いクロスモードを有利に除去することができる。
【0045】
ビームの厚さが可変である場合、上述の比率の概念は、剛性の変動によって決定付けられる平均ノード領域に関係する距離で置き換えることができる。剛性の分布が対称な場合、基準として中心を用いることは、中心からの半径と同等の意味で妥当であるが、ビームが剛性の非対称分布を有するときには、駆動及び質量体の場所は、ビームの一端を基準とする。
【0046】
上述の実施形態の各々では、変換器のボイスコイルは、前記の比率の1つにおいてダイアフラムに結合することができる。円形又は環状のダイアフラムの場合、ボイスコイルはダイアフラム上に同心状に装着することができる。
【0047】
矩形パネルの場合、各々が同じ比率を有する対向する位置又は異なる比率を有する2つの対向する位置に一対の変換器を装着することができる。或いは、各々が同じ比率を有する2つの対向する位置を変換器の駆動部が駆動するように単一の変換器を装着することができる。或いは、各々が同じ比率を有する対向する位置に変換器と平衡用質量体を装着することができ、質量体は、ピストン帯域に対してダイアフラムを力学的に補償する。しかしながら、ダイアフラムのピストン動作が必要とされない場合に、ダイアフラムの揺動を防止するこのような質量補償が制約条件ではない点は理解されるであろう。
【0048】
ラウドスピーカは、軽量で剛体のカプラの形態のサイズアダプタを含むことができ、該アダプタは、駆動が平均的ノード位置にあるように好適な好都合の実利的フレームに嵌合するように選択されていたボイスコイルのサイズを適応させる。カプラは、第1の直径において変換器に結合することができ、第2の直径においてダイアフラムに結合される。第2の直径は、動作周波数帯域内のモードの第1の平均ノード位置である環状の場所とすることができる。
【0049】
カプラは円錐台とすることができる。第1の直径は、第2の直径よりも大きくすることができ、これにより逆カプラで大きなコイル組立体をより小さな駆動軌跡に適合させることができ、円錐台カプラのより小さな端部をボイスコイル組立体に固定し、より大きな端部をダイアフラムに固定することによって、より小さなコイル組立体を大きな軌跡に適合させることができる。
【0050】
小さなコイル駆動から期待されるより高い周波数に対するパワー応答を保持しながら、高パワー能力及び効率性のための特大ボイスコイル組立体の潜在的用途に関する更なる利点を手に入れることができる。反対に、適度なコストのものである場合が多い小さなボイスコイル組立体は、ここではより大きな駆動円に適合させることができる。この場合、第1の直径が第2の直径よりも小さくてもよい。例えば、円形ダイアフラムの最大周波数に対するより広い指向性のために、設計者は、直接駆動又は減少カプラを介した駆動のいずれであってもより小さなボイス駆動円を選択することになる。或いは、より高効率と最大音響レベルが要求される場合には、例えばダイアフラム上のより大きな半径の平均ノード線のようなより大きなボイスコイルがより大きな駆動円に適合される。
【0051】
サスペンションは、実質的に外側比率のいずれにおいてもダイアフラムに結合することができる。サスペンション用の好適な材料は、成形ゴム又は弾性ポリマー発泡プラスチックを含む。サスペンションの効果的な質量は、周波数に伴って僅かに移動する場合があり、質量自体が周波数と共に変化する可能性がある。これは、サスペンションの組成及び幾何学的形状寸法が、周波数に伴って特性が変化する複素機械インピーダンスを生じる場合があるためである。
【0052】
設計では、パネル上のサスペンションの物理的な位置を調整し、動作周波数帯域において最も良好な全体適合を求めることができる。付加的又は代替として、サスペンションの特性は、例えばFEAを使用して、有効な質量中心、減衰及び剛性を解明し、従ってパネル上の配置を容易にするためにモデル化することができる。
【0053】
機械インピーダンス手段の場所に関して±5%と±10%との間の許容差は、ダイアフラムの特性によっては許容可能とすることができる。機械インピーダンス手段の質量に関する±5%と±10%との間の許容差も又同様に許容可能とすることができる。一般的に、質量変化に対する許容差は、場所の変化に対する許容差よりも大きい。
【0054】
自己支持するという意味では、ダイアフラムは剛性があるのが好ましい。ダイアフラムは、モノシリック、層状、又は複合構造とすることができる。複合構造のダイアフラムは、2つのスキンの間に挟まれたコアを有する材料で作ることができる。好適なコアは、紙製コア、ハニカムコア、又は波形プラスチックコアを含み、コアは長手方向又は半径方向に溝付きであってもよい。好適なスキンは、紙、アルミニウム、及びポリマープラスチックを含む。1つの適切な複合材料は、Correx(登録商標)である。使用される材料は、織成り又は一方向硬化ファイバによって等方性又は異方性に強化することができる。
【0055】
ダイアフラムは、平面状又は皿状にすることができる。「皿状」という用語は、円形又は楕円形のいずれかの円錐状セクション及び複合曲線を含む、皿状、アーチ状、又はドーム状のいずれかに関わらず全ての非平面のダイアフラムをカバーするものとする。皿状の形態は、中心部に平面セクションを有することができる。ダイアフラムは、長さと共に変化する厚さ又は幅を有することができる。
【0056】
ラウドスピーカは、開口を含むことができる。第2のダイアフラムは、開口に装着することができる。第2のダイアフラムは、動作を第1のダイアフラムと同様にすることができ、例えば、第1の平均ノード位置に変換器を結合させることができ、第2の平均ノード位置に少なくとも1つの質量体を結合させることができる。或いは、第2のダイアフラムは、ピストン式又は撓みモード装置として動作することができる。
【0057】
シール部材を開口部に装着することができ、これにより開口部は実質上音響的にシールされて音響出力の漏洩が防止される。ダイアフラムの外側の半径に対するシールの半径の比率は、望ましい音響応答を実現するように調整することができる追加のパラメータである。
【0058】
音響装置は、エンクロージャに取り付けてもよく、エンクロージャの音響特性を選択して、音響装置の性能を改善することができる。
【0059】
音響装置は、変換器に印加される電気信号に応答して該変換器がダイアフラムに撓み波エネルギーを加えるように適合され、ダイアフラムが放射領域にわたって音響音を放射するように適合されているラウドスピーカとすることができる。或いは、音響装置は、音響音が入射したときに振動するようにダイアフラムが適合され、振動を電気信号に変換するように変換器が適合されたマイクロフォンとすることができる。
【0060】
従って、本発明の方法及び音響装置は、撓み波モードの活用に関する。対照的に、ピストン及び円錐体に関連する従来技術では、例えば減衰又は特定の構造的態様及び駆動結合の態様を使用することによってモード特性を妨げようとした。しかしながら、本発明の音響装置は最低撓み周波数に関係する。該音響装置は、これら撓み波モードが稠密又は均一に分布することを必要としない。対処されるモードは放射を促進されるが、これらのオン・アクシスの寄与は、動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置での変換器、サスペンション、及び/又は質量体の装着によって平衡が取られた放射である。
【0061】
本発明は、関連する質量体のない理論上の純粋な点荷重によって駆動して撓ませる単純な自由プレートすなわちダイアフラムによって放射される音響原理を利用する。この点荷重は、例えば電気力学的変換器又は励振器のボイスコイル組立体に起因する、不可避的に質量体を伴うことになるメカニズムによって印加される必要があるので、このことは実際には実現することができない。同様に、実際の力はまた、円形コイル巻型におけるように、一般的には単一の点にではなく線に沿ってプレートに与えられることになる。
【0062】
音響装置の設計者は、本発明の原理の範囲内で自由度を有し、周波数と共に全体的に又は選択的に正味の横断モード速度を調整することによって、変動する状況及び用途に対して性能を調整する。例えば、車両において聴音者はオフアクシスであるような、特定の用途に対して異なる周波数又は異なる放射角度で異なる周波数特性が要求される場合がある。
【0063】
本発明の以下の態様はまた同一の原理を利用し同じ副次的な機能を有する。
【0064】
本発明の別の態様によれば、円形の周縁部及び質量中心を有し動作周波数帯域内に共振モードを有するようにするダイアフラムと、該ダイアフラムに結合されて変換器に印加された電気信号に応答してダイアフラムに撓み波エネルギーを加えるように適合され、動作周波数帯域内のモードの第1の平均ノード位置で該ダイアフラムに結合されている変換器と、動作周波数帯域内のモードの第2の平均ノード位置でダイアフラムと結合又は一体化された少なくとも1つの質量体とを備えた動作周波数帯域を有する音響装置が提供される。
【0065】
本発明の別の態様によれば、質量中心を有し動作周波数帯域内に共振モードを有するようにするダイアフラムと、該ダイアフラムに結合されて変換器に印加された電気信号に応答してダイアフラムに撓み波エネルギーを加えるように適合され、ダイアフラムの質量中心から間隔を置いて配置された対向する位置及び動作周波数帯域内のモードの第1の平均ノード位置でダイアフラムに結合された変換器手段と、ダイアフラムの質量中心から間隔を置いて配置された対向する位置でダイアフラムと一体化又は結合され、動作周波数帯域内のモードの第2の平均ノード位置に位置付けられた少なくとも1対の質量体とを備えた動作周波数帯域を有するラウドスピーカが提供される。
【0066】
本発明の更に別の態様によれば、本発明は、動作周波数帯域を有し、円形の周縁部及び質量中心を有する平面ダイアフラムを備えたラウドスピーカを形成する方法であって、該方法は、動作周波数帯域内に共振モードを有するようにダイアフラムのパラメータを選択する段階と、変換器をダイアフラムの質量中心と同心円状にダイアフラムに結合し変換器に印加された電気信号に応答して撓み波エネルギーを加える段階と、該ダイアフラムの質量中心と同心円状で且つダイアフラムの周縁部から離間し、動作周波数帯域のモードの平均ノード位置の環状部に位置付けられるようにダイアフラムに弾性サスペンションを結合する段階とを含む。
【0067】
別の態様によれば、本発明は、動作周波数帯域を有し、円形の周縁部及び質量中心を有する平面ダイアフラムを備えたラウドスピーカを形成する方法であって、該方法は、動作周波数帯域内に共振モードを有するようにダイアフラムのパラメータを選択する段階と、変換器をダイアフラムに結合し、動作周波数帯域内のモードの第1の平均ノード位置で変換器に印加された電気信号に応答して撓み波エネルギーを加える段階と、動作周波数帯域内のモードの第2の平均ノード位置でダイアフラムに少なくとも1つの質量体を付加する段階とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
本発明は、添付図面において例証として図式的に示される。
図1a及び図1bは、円形パネル10の形態のダイアフラムと、該パネル10に同心円状に装着されたボイスコイル26を有する変換器12とを備えたラウドスピーカを示す。3つのリング状(又は環状)の質量体20、22、24が、接着テープを使用してパネル10に同心円状に装着されている。ボイスコイル及び質量体は、位置1から位置4と呼ぶことができる環状位置に配置され、位置1が最も内側の場所にあり、位置4が最も外側の場所にある。
【0069】
パネル及び変換器は、円形サスペンション18によってパネル10が取り付けられるフランジ16を含む円形のシャーシ14に支持される。フランジ16は、パネル10の周縁部から間隔を置いて配置されてこれを囲み、サスペンション18は、パネル10の周縁部から間隔を置いて配置された環状部に取り付けられる。このようにしてパネル端部は自由に動き、この場所にアンチノードがあるのでこれは重要なことである。同様に、パネルの中心にもアンチノードがあるので、この場所には質量体は配置されない。変換器12は、シャーシ14に接地される。
【0070】
パネル10は、等方性材料すなわち厚さ5mmのRohacell(登録商標)(発泡性ポリメチルイミド)で作られ、直径が125mmである。質量体は真鍮性ストリップであり、厚さが1mmである。ボイスコイル26、各質量体、及びサスペンションの場所は、パネルのモードの平均ノード位置であり、これは動作周波数帯域内に現れ、図7から10で説明されるように計算される。
【0071】
質量体の値は、図11aから11eで説明されるように、質量体の場所とボイスコイルの質量に対してスケーリングされる。その値を以下の表に示す。

【0072】
図2a及び図2bは、3つのリング質量体を有するラウドスピーカ(実線)と質量体のないラウドスピーカ(破線)のオン・アクシス音圧及び半空間パワーを示す。質量体を有するラウドスピーカは、拡張オフアクシス周波数応答を有し、聴音領域にわたって改善された音質と明瞭度を有する。別の利点は、質量体を有する装置が周波数に伴なう有意な遅延が一貫してないことである。従って、正確なステレオイメージを形成することができる。
【0073】
質量体のないラウドスピーカダイアフラム組立体の質量は、11.8gであり、質量体が更に10.8gを追加する。図2a及び図2bに示されるように、この特別な設計は、ピストン領域(すなわち600Hよりも下)で約6dBの損失につながる。図3に示されるように、装置の周波数帯域は、有限要素解析(FEA)によって求められるパネルのモードによって帯域分割することができる(破線で示される)。各帯域は、関連付けられた特定の質量体を有し、質量体が大きくなるとその帯域の感度が低下し、逆も又同様である。ピストン領域の感度は、最も外側の位置の質量体によって制御される。周縁部に向かってパネルの機械インピーダンスが低下し、従って、最も外側の位置ではより小さな質量体を必要とする可能性がある。
【0074】
図4aは、位置4で合計質量が1.25gだけ減少した場合の作用を示している。破線は、減少した質量体に対する応答を示し、実線はこれよりも大きな質量体に対する応答を示す。予想通り、150から600Hzで感度が向上している。しかしながら、中間帯域で感度の低下があり、これは最も外側の位置の質量体が4kHzまで周波数応答に影響を及ぼすことを示唆している。150Hzを下回ると感度は変わらない。サスペンションの質量の寄与度は周波数に伴って変動する可能性があり、質量の寄与度は85Hzで求められたが、これはより高い周波数ではモードを正確に平衡させることに関して誤差の発生源となる可能性がある。
【0075】
図4b及び図4cは、最も外側の位置の質量体の減少がどのように実現されるかを示している。図4b(及び図1a)の装置で使用されたサスペンション18は、半円形セクション34の両側に延びる2つの同じ大きさにされたフランジ30、32を含む対称断面を有する。フランジ30、32は、パネル10及びシャーシのフランジ16にそれぞれ取り付けられる。図4cでは、パネル10に取り付けられたフランジ36の大部分が除かれ、サスペンションの質量が0.25gだけ低減されている。質量体40もまた1gにまで低減され、全体で1.25gの低減を可能にする。
【0076】
図2a及び図2bは、パネル端部からの回折が存在することを示唆している。図5aは、バッフル28に装着された図1aの装置を示す。図5bは、バッフルを有する装置(実線)とバッフルのない装置(破線)の感度のシミュレーションを示す。装置をバッフルに面一に取り付けると、高周波数で見られる干渉パターンが平滑になる。
【0077】
第2の実施形態では、パネル材料が1mm厚さのアルミニウムに変更され、以下の表で材料特性とモード値を比較している。

【0078】
アルミニウムパネルは、有意に高い撓み剛性を有する。これはオン・アクシス音圧又は音響パワーを大幅に変えることはないが、モード周波数を変化させる。従って一般的には、パネル直径に対してパネルが十分に迅速なモード性を確実に有するように剛性を選択して調整し、高周波数への拡張及び平滑性の利点を備えた良好な音響パワーをもたらすことができる。加えて、モードの周波数は、各パネル剛性に対して異なるが、第1のモードに対する各モードの周波数の比率は同じであり以下に示される。従って、ボイスコイル、質量体、及びサスペンションに対する環状位置は同じままである。加えて、第5のモードの周波数が第1のモードの周波数の27倍であるので、最初の5つのモードを処理することにより、モード平衡化の約6オクターブの有効範囲を達成し、ピストン領域へ追加することができる。

【0079】
図6a及び図6bは、アルミニウムパネルを使用した装置のオン・アクシス音圧及び180出力を示す。実線は質量体のある装置、破線は質量体なしの装置を示す。図示のように、質量体のない装置は使用できないが、3つの質量体を追加することにより有意な性能の改善が得られる。最も大きな改善は、中間帯域、特に第2のモードの周波数である2.6kHz近傍で示される。アルミニウムパネルはかなり重量があり減衰性が小さいので、Rohacell(商標)パネルを使用した実施形態ほど改善は顕著ではない。従って、パネル質量に対する追加質量の比率が低下し、全体の感度の損失が小さくなる。恐らくは第6のモードに起因して、16kHzでの大きなピークは、図示の質量体の追加によって影響を受けないようである。
【0080】
図7aから図10までは、質量体及びサスペンションの環状位置と図1a及び図6aの装置の駆動場所を選択するための方法を示している。図7aは、パネルの中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される、自由な円形の平坦な剛体パネルを含む理論上のピストン式ラウドスピーカの音圧レベルと音響パワーレベルを示す。音圧は周波数に対して一定であるが、音響パワーは、約1kHzまでは一定であり、これを越えると周波数の増加に伴って徐々に低下する。[ka>2]
【0081】
図7bは、パネル中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由共振円形パネルを含む理論上のラウドスピーカの音圧及び音響パワーレベルを示す。音圧はやはり周波数に対してほぼ一定であるが、ここでは音響パワーの低下は図7aに示されたものに比べて有意に改善されている。パネルモードは、モデルが電気力学的減衰を使用しないので、ここでは解析に対して見ることができる。モードが見えない場合には、自由共振円形パネルは、一定のオン・アクシス音圧並びにほぼ一定の音響パワーを出力する。
【0082】
図7cは、図7bのものと同等であるが、直径が25mmでボイスコイルの設計(材料、巻数など)に応じた有限の質量体を有するボイスコイルを備えた変換器によって駆動される、実際のラウドスピーカの音圧及び音響パワーレベルを示している。周波数に伴う音響パワーの低下は、図7aのものと比較して依然として改善されている。しかしながら、ここではオン・アクシス音圧と音響パワーの両方が周波数に対してもはや一定ではない。
【0083】
ラウドスピーカは軸対象であるので、モードに対し単純なモデル化を使用することができる。図8は、図7bと図7cのラウドスピーカの発振器平面の最初の5つのモードに対する速度プロファイルを示す。直線状の破線は対称軸を表し、点線は発振器平面である。2つのセットのモード間の適合度は低い。図7bの理論上理想のモードは、「全体変位」又は「ピストン」モードを除いた範囲まで慣性上の平衡が取られ、これらは全てゼロ平均変位を有する(すなわち、発振器平面より上のモード形状によって囲まれる領域は、平面より下のモード形状と同等である)。
【0084】
対照的に、図7cの実際のラウドスピーカのモードは平衡が取られていない。しかしながら、この特性は、ノード等高線、従って実際のラウドスピーカのモードと速度プロファイルとを理論上理想のラウドスピーカのものに数学的にマッピングすることによって処理することができる。これは、理論上のラウドスピーカのモードにおいてアドミタンスYmが最小になる場所を計算し、これらの場所にボイスコイル、サスペンション、及び/又は質量体を装着することによって実現することができる。
【0085】
図8の破線の曲線は、平均アドミタンス最小値又はノードを使用して補正された状況に相当する。図8に示されるように、破線のモードのセットは、点線のセットよりも実線のモードのセット(すなわち理論上の理想)に対して良好に適合性がある。図8では、垂直方向の破線は対称軸を表し、水平方向の点線は発振器平面である。
【0086】
インピーダンスZmとアドミタンスYmの実数部は、モードの総和から計算され、従ってこれらの値は考慮されるモード数に依存する。アドミタンスYmと半径ρと共に変動するその対数平均μ(ρ)は、次式を用いて計算される。



ここで、
N=モードの番号
S=動作周波数帯域にわたるスケーリング係数
λi=固有値≒(n−1/2)・π/(1−ρ0);ρ0=0.2
ω=周波数
γ(i,ρ)=i番目のモードのモード形状
である。
【0087】
図9aから9eまでは、それぞれ1から5までのモードに対するパネル直径を備えたYmの変動を示している。最小値は以下の表に示される。

【0088】
減衰が殆どないパネルの場合には、各最小値の幅は極めて狭い。これは、環状の場所での装着が極めて限界に近い場合があり、許容差が僅か2%程度の場合があることを示唆している。これは、単独で取られた第1のモードについて特に当てはまる。ポリマーフィルム被覆発泡コアパネルなどの通常減衰を伴うパネルの場合、図9d及び9e、更に図36e及び36fなどの以後の同様の図に見られるように、許容差は10%程まで増大する可能性がある。
【0089】
動作周波数帯域にわたって平均が取られるので、この範囲外の周波数におけるモードは結果に影響しない点に留意されたい。これは、ひとつには、一般に5以上の高いモードの影響がその前のモードよりも少ない理由を説明している。従って、より高いモードが関心対象の周波数帯域外にあり、パネルに適度の剪断剛性があるときに最初の4つのモードがマップされる場合には、より高次のモードを十分にマップすることができる。これが当てはまらない場合には、より高次のモード平衡を取ることが可能である。
【0090】
本方法は十分に柔軟性があるので、設計者は特定のモードだけをマップすることができる。最初の4つ又は5つのモードに対して計算された環状の場所は、図1a及び図6aの装置の質量体とボイスコイルの位置に対応する。
【0091】
図9fは、環状の場所を理論上のラウドスピーカのモード形状と比較している。第1のモードには、ノード線54の内側に2つの環状の場所50、52があり、外側には2つの環状位置56、58がある。モード次数が高くなると、ノード線54の両側に配置された環状の場所が存在する。
【0092】
図9gは、固定されることになるモード数が増大する(この場合8つまで)と、観測により漸近性になりそうなアドミタンス曲線のパターンがあるようであることを示している。内側及び外側の最小値の比率は、それぞれ約0.13と0.95の値に落ち着き始める。同様に、モード次数が高くなるにつれ、インピーダンスの最小値は互いにより近くなり、連続体に向かう。
【0093】
最小値に装着される質量体は、依然として小さく且つ分離しており、別個の円として示される。ボイスコイル及びサスペンションの場所は、それぞれCとSで示される。実際には、質量体のサイズは十分に拡大することができ、図9hに示されるように表すことができる。ここでは、個別の質量体が拡大された矩形として示されており、殆ど接触している。別個の質量体は、この質量がパネルを剛性化しない場合には、単一の連続質量体に置き換えることができる。
【0094】
図9i及び図9jは、別個の質量体M1及びM2を使用するラウドスピーカ(実線)と連続質量体を使用するラウドスピーカ(破線)の音響音圧と音響パワーとを示す。解決策には少量の構造的減衰(5%)が印加される。
【0095】
個別の質量体の解決策における場所は以下の通りであった。

連続質量体の解決策における場所は以下の通りであった。

【0096】
連続質量体は、極めて可撓性のある薄いシェルとしてモデル化され、密度は好適であるがヤング率が非常に低く、従って、ダイアフラムのどのような剛性化も回避された。図9i及び図9jはラウドスピーカの応答が同一ではないことを示しているが、連続質量体の解決策は許容可能な結果をもたらす。全体的感度には僅かな不利点があるように見えるが、連続質量体の代替案は実装がより簡単な場合がある。それにもかかわらず、特に連続質量体の解決策の設計はより限定的であり、コイル及びサスペンションの位置に対して漸近的な値を使用する必要があるので、個別の質量体の解決策の方が依然として望ましい。
【0097】
連続質量体の固有減衰量が小さい場合には、連続質量体の解決策において望ましくないピークのうちの幾つかの振幅を低減することが可能な場合がある。これは、正確な質量と僅かな量の追加の減衰性とをもたらす可撓性製ゴムシート又は同様のものなどの材料を使用することによって実現することができる。
【0098】
アドミタンスを使用する代替策として、ゼロになる傾向がある正味の横断モード速度を以下に述べる最適化により実現することができる。最初にモデルが定義され、例えば円形のダイアフラムにおいて、同一材料の同心円リングを含み且つ該リングの接合部に円形の線質量体を備えたディスクを考えると、モード周波数及びモード形状は次式から導出される。
N−モード固定;μl=リング質量体の単位長さ当たりの質量
セクション0 Ψ0=A0・J0(k・r)+C0・I0(k・r)
セクションn=1..N Ψn=An・J0(k・r)+Bn・Y0(k・r)+Cn・I0(k・r)+Dn・K0(k・r)
境界
連続性
Ψ(k・rnn=Ψ(k・rn)n-1
Ψ’(k・rnn=Ψ(k・rn) n-1
MR(k・rnn=MR(k・rnnー1
MR(k・R)=0
力の平衡
QR(k・rnn=QR(k・rnn-1+αn・μI・(ω2/(k3/B))・Ψ(k・rnn-1

QR(k・R)=0
ここで、
Ψ0は円形中心セクションのモード形状
Ψnはn番目のリングのモード形状
kは波数
rは半径
μlはリング質量の単位長さ当たりの質量
Nは処理されるべき最も高いモードの数
J(0)は第1の種類の0次のベッセル関数
Y(0)は第2の種類の0次のベッセル関数
I(0)は第1の種類の修正ベッセル関数
K(0)は第2の種類の修正ベッセル関数
n、Bn、Cn、及びDnは定数
MRは撓みモーメントの半径方向の成分
QRは剪断力の半径方向の成分
αはリング質量体の長さ当たりの質量と長さ当たりの基準質量との比率、一般的にはボイスコイルの比率であり、通常、最も外側のリングを除く全てのリングに対してα=1である。
正味容積の変位は次式で計算される。

【0099】
正味の容積変位がゼロである傾向にあるように固定値rに対して最も外側のαNを最適化することで、rNの正確な値に応じて約0.75と0.80の間のαNの値が得られる。上述のアドミタンス法を使用して計算された平均ノード位置により、約0.79と0.80の間のαNの最適値が得られる。最後のモードに対して実際のノード位置を用いる場合には、0.74から0.76のαNの値が最適と思われる。
【0100】
一例として、最適化法を用いて、32mmボイスコイルを有する変換器によって駆動される直径92mmのパネルが設計される。アドミタンス法を用いて計算される2つのモードの解決策により、ボイスコイルの半径方向場所0.4と0.84が得られる。しかしながら、パネルに対するコイル直径の比率は0.348である。
【0101】
B=7Nm、μ=0.45kg/m2、ν=1/3、R=0.046m、コイル質量=1.5gmと仮定し、2つのモードすなわちN=2について最適化法で外側のリングの位置と質量を変化させることにより次の結果が得られる。
N=0.816764
αN=0.915268

【0102】
従って、選択された変換器によって駆動されるパネルに直径75.14mm(0.816764x2R=0.816764x92mm)で質量3.224gm(0.915268x75.14/32x1.5gm)のリングを装着することによって、図9kに示されるように最初の2つのモードに対するモードの残りの容積変位が殆ど消失した。第3のモードは依然として平衡がとれていない。
【0103】
第2の実施例として、第3のモードの各モード線に質量体が置かれ、次いで、最適化を用いて最初の2つのモードを平衡させる質量体の値が求められる。結果は以下の通りである。
場所(半径比率):0.257、0.591、及び0.893.
単位長さ当たりの最適化質量はまた、以下に示されるように比率1、0.982、及び0.744にスケーリングされる。
【0104】
本発明の第1の2つの実施形態では、パネルは最も内側の環状位置(0.2)で駆動される。しかしながら、他の環状位置も平均ノード線にあるので、これらの位置の1つ又はそれ以上の位置でパネルを駆動し、残りの場所に環状質量体を備えて変換器の質量の平衡を取るようにしてもよい。質量の平衡作用は、駆動点及び/又はパネル中心からの相対距離に関係する。例えば、0.91の駆動点に装着された単一の8グラムの変換器では、他の場所での良好な近似結果に対する質量体の値は、以下の表から導出することができる。

【0105】
図10aは、円形ダイアフラムを含むラウドスピーカの3つの異なる帯域での周波数応答を示す。図10aは、第1のモードよりも下方のピストン帯域、第1のモードから第2のモードまでの帯域、及び第2のモードとそれよりも上方の帯域を示す。あらゆる周波数における応答は、モードとピストンの寄与度の線形和と見なすことができる。動作周波数内の全てのモードは音響応答に寄与する。
【0106】
図10bは、各帯域における図10aのラウドスピーカのピストン変位を示す。ピストン変位は、これらの帯域の各々に等しく共通している。図10cは、各帯域での第1のモードのモード変位を示す。ピストン帯域の第1のモードよりも下方ではモード変位は存在しない。モードは、平衡がとられておらず、過度の負の寄与を有し、これにより周波数応答において共に可聴であるレベルのピーク356と低下358とが生じることになる。同様に図10dは、第2のモードに対する変位の形状の平衡が取られていないことを示す。この場合も同様に過度の負の寄与があり、これにより応答において共に可聴であるレベルのピーク356と低下358とをもたらす。
【0107】
図10eは、第1及び第2のモードの平衡が取られたラウドスピーカの3つの異なる帯域に対する周波数応答を示す。図10fは、各帯域におけるラウドスピーカのピストン変位を示す。図10bと同様に、ピストン変位は、これらの帯域の各々に等しく共通している。
【0108】
図10f及び10gは、各帯域の第1と第2のモードに対するモード変位を示す。ピストン帯域ではモード変位は存在しない。各モードは、平衡が取られており、すなわち各々の平均横断変位の合計がゼロになる傾向にあり、従ってその正味の寄与は平衡が取られている。この結果、応答におけるレベルの変化が存在しない。単純で鮮鋭なノッチ360が残っているが、これは音響心理学的に悪影響がない。
【0109】
図10iは10eに対応する。図10jから図10lは、3つの帯域での極性応答を示す。図10jに示されるように、低周波数では単純なピストンの期待される半球状出力が存在する。中間帯域の周波数では、発生源のサイズによりピストン成分の指向性が狭くなり始める。図10kに示されるように、第1のモード放射も現れてピストン帯域からの出力に付加され、従って指向性が有効に拡大される。更に高い周波数では、ピストン成分は、狭いローブであり、第1の撓みモードからの成分によって助けられ、ここでは図10lに示される更に広い放射角度を有する第2のモードの寄与の追加によって増大される。このようにモード寄与には、周波数帯域にわたって広い指向性を維持する上で有利な効果がある。
【0110】
図11aは、上記で示された平衡用質量体と共に0.91の比率で8gの質量を有する変換器によって駆動される円形パネルについての周波数に対する音圧及びパワーの変動を示す。図11b、11c、及び11dは、それぞれ質量が6.06g、3.864g、及び1.76gの変換器を使用して、0.69、0.44、及び0.2の比率で駆動された同じパネルの周波数に対する音圧及びパワーの変動を示す。上記で示された値の質量体が、駆動されない各環状位置に装着される。シミュレーションの各々は、どのような構造的減衰もない状態で計算される。より小さなボイスコイルは、高周波数に対してパワーを復元するが、より低いモードでは同様に平衡が取られない。外側の質量体を7gに落とすことによって、図11eに示されるように性能が改善される。
【0111】
図12aは、円形パネルのダイアフラムが環状パネル60に置き換えられたことを除いて図1aと同様である本発明の別の実施形態を示す。環状パネル60の内側半径は外側半径の0.2である。パネルの中心開口内にコンプライアント音響シール61が装着されている。変換器のボイスコイル62は、半径の0.33の環状の場所に装着され、リング質量体64、66は、半径の0.62と0.91の環状の場所に配置されている。0.62の場所のリング質量64とボイスコイル62とは質量が同じであり、0.91の場所のリング質量体66は、ボイスコイル62の質量の3/4である。
【0112】
図12bは図12aの変形実施形態を示し、ボイスコイル62が半径の0.62の環状の場所に装着され、リング質量体64、66が0.33と0.91の場所に装着されている。ボイスコイルとリング質量体の相対質量は変更していない。
【0113】
図12cは、図12aと図12bの装置(それぞれ破線と実線)におけるパワー応答の変動を同じサイズのピストン式環状放射体(点線)と比較している。第2のケースでは、部分的に除去された第1のモードを有するので、そのパワー応答は第2のモードよりも下方ではピストンに追従している。中心の駆動が可能ではないので、フラットなパワーを実現することはできない。しかしながら、第2のモードよりも上方では、両方のケースがピストンよりも多くの音響パワーを放射している。
【0114】
質量体及びボイスコイルの環状の場所は、上記で概説されたインピーダンスの式と同様の方法でこの式を用いて計算される。
【0115】
図13は、パネルの半径に伴って変動するときの図12a及び図12bのパネルの最初の3つのモード(N=3)の応答の対数平均を示す。計算では、第1のモードが400Hzで発生し第4のモードが約9.6kHzで発生するようにパネルに任意の材料が選定される。環状パネルの最初の4つのモードが1対5対12対23の比率の周波数を有するので、最初の3つのモードを処理することは、装置が相当な広帯域幅をカバーできることを意味する。半径の0.33、0.62、及び0.91で最小値が発生し、従って、ボイスコイル及び/又は質量体はこれらの場所に置かれる。最も外側の環状の場所は、図1aの円形パネルの場所に対応する。
【0116】
図14は、内側の半径が外側の半径の0.20である環状パネル72と該環状パネル72の開口内に同心円状に装着された円形パネル70とを含む装置を示す。円形パネル70は、音響シールとして作用するコンプライアントサスペンション74によって環状パネル72に装着される。
【0117】
環状パネル72は、同心円状に取り付けられた変換器によって駆動され、該変換器はパネルの半径の0.62の位置に装着されたボイスコイル82を有する。リング質量体78は、半径の0.91の環状の場所で環状パネルに装着される。環状パネル72は、0.91の環状の場所に装着された環状サスペンション80によって図1aのようにシャーシに装着される。
【0118】
円形パネル70は同心円状に装着された変換器によって駆動され、該変換器は、パネルの半径の0.62の位置に装着されたボイスコイル84を有する。リング質量体86は、半径の0.91の環状の場所で円形パネルに同心円状に装着される。
【0119】
図15から図19までは、環状の場所の許容差と質量体の影響とを示す。図15は、環状の場所0.26に装着された32mmのボイスコイル変換器と0.59及び0.89の直径比率に装着された質量体とを備えた、直径121mmの円形パネルに対する周波数応答を示す。この周波数応答は、「公称」で表記され、材料の剪断作用に起因して期待される帯域幅は約11−12kHzである。図15はまた、最も内側の環状の場所で質量をそれぞれ10%増加及び減少させた同じ装置に対する周波数応答を示す。図16は、図15の公称周波数応答と共に、環状の場所を10%だけ増加又は減少させた装置に対する周波数応答を示す。図17aと図18aは、0.59と0.89の直径比率で質量が10%と20%変動した影響を示し、図17bと図18bは、場所自体が10%と5%変動した影響を示す。図19は、最も内側の環状の場所で質量と環状の場所を20%だけ同時に変更した場合の影響を示す。
【0120】
一般に、質量の変化の許容差は、場所の変化の許容差よりも大きい。更に、場所の変化の周波数応答に対する影響は、最後に平衡したモードよりも上の周波数で最も厳しい。全体的に、変化に対して最も大きな許容差は、質量中心に最も近い位置にある。この場所は、直径比又は質量のいずれかのかなり広範な変化に対して許容性があるばかりでなく、通過帯域においてはこれらの変化が互いに補われることも観測された。単位長さ当たりの質量が変化しない場合には、質量又は直径比のいずれかの±30%までの変化を処理できる場合がある。外側の場所が比率の変化に対してより影響を受けるが、場合によっては質量の変化に対してはあまり影響されない。
【0121】
最適な解決策の場合、相対平均変位Ψrel=0である。2モードの最適設定では、外側質量の半径の変動は、以下の式に従って最適値から移動する。

ここで、r2はプレート半径で除算した質量の半径である。
【0122】
換言すれば、r2の1%の変化はΨrelの1.75%の変化を生じる。上記の作用では、r2の±5%から±10%までの許容差は受け入れ可能であることが示される。これは、Ψrelに関してそれぞれ8%と18%の間の許容差に対応する。
【0123】
図9aから9e、及びこれ以降の同様の図では、平均インピーダンスのグラフにおける最小値は広範であり、従って質量体の位置決めにある程度の許容差を見込む必要がある。これは図15から図19により裏付けられる。
【0124】
剪断可撓性が考慮されるときには、モード周波数は、薄板理論によって予測されるであろうものから実質的に変えることができる。しかしながら、モード形状は、あまり大きくは変わらない。例えば、一般的に使用される材料では、約0.01から0.02の直径比の減少により、モードの平衡が僅かに良好になる。この改善は、前記段落で説明された許容差を考えると、主として非実用的なものである。単純な同等の補償は、通常1又は2mmだけ僅かにパネルを大きく作ることである。
【0125】
パネルのサイズは、変換器のボイスコイルのサイズによって制限される。工業規格のコイルサイズを考慮する場合、パネルのサイズが制限される。しかしながら、上述のように装置の周波数応答は、最も内側の比率での変化に対してかなり影響を受けにくく、この所見を有利に用いて、表に示された値から場合によっては少なくとも±10%のパネル直径の変化を許容することができる。例えば、最初に必要とされるものに最も近いパネル/変換器の組み合わせを見つけ(変換器のボイスコイルは最も内側の直径比に対して設定されることになる)、次にボイスコイルのもの以外の直径比率及び質量体の全てをスケーリングして正確なパネルサイズを得ることにより、本方法を適応させることができる。
【0126】
或いは、環状形状のパネルに対する作用を利用して、パネルサイズに対する制約から設計者を解放することができる。その論拠は、孔が小さい場合にはその影響もまた小さいので、恐らくはその制約は必要ではないということである。環状パネルに関連して示された表は、直径比が0.1よりも小さい孔のサイズは環状の場所に対して最小限の影響しかないことを示唆している。従って、本方法は、円形パネルを構築するのではなく環状パネルを設計することによって適応させることができる。例えば、孔の比率が0.14である環状パネルを設計することによって、32mmのコイルを備えた108mmのパネル直径を実現することができる。最も近い円形設計では、28mmのコイルが要求されるはずである。図20は、28mm又は32mmのボイスコイルの変換器によって駆動される円形パネルと、32mmのボイスコイルの変換器によって駆動される環状パネルについての周波数応答を示す。環状パネルに対する通過帯域応答は多少変動があるが、帯域外の応答は恐らく間違いなく良好である。
【0127】
上記で説明された方法、すなわち許容差又は環状形状を用いてパネルサイズに対する制約を緩和するいずれかの方法を更に用いて、高周波数における平坦な応答からのより適切な離脱に有利である通過帯域モード平衡の「離調」を行うことができる。処理されるモード数が目的とする帯域幅を完全にはカバーしない場合、又はパネル材料中の剪断により高次モードが生じ、該高次モードが帯域内に現れるポイントまで周波数が低下する場合にはこれは重要である。周波数応答は、特にボイスコイルがこれらの高いモードの1つのアンチノード上又はその近傍に位置する場合、このより高いモード近傍で不規則になることが多い。この高次のモードにおける改善は、許容差の使用又は環状形状の選択によって対処することができる。
【0128】
図21は、最初の2つのモードの平衡が取られ、単一の減衰パッドが装着されたラウドスピーカに対するオン・アクシスの音圧レベル(SPL)の曲線と音響パワーレベル(SWL)の曲線(それぞれ下側と上側の曲線)を示す。ラウドスピーカは、32mmのボイスコイル変換器によって駆動される直径85mmの円形パネルを含む。直径71mmの環状リングがパネルに装着され、減衰パッドがパネルの中心に装着される。減衰パッドは、9mmx9mmで、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDR)で作られる。
【0129】
中心減衰ディスクの使用は、円形パネルではこれが常にアンチノードである(パネル端部と同様)ので従来の教示に従う。しかしながら、これは、加えられる幾らかの減衰を全てのモードが有することになるが、残念なことに速度プロファイルの全てが等しく減衰される訳ではないことを意味する。従って図21に示されるように、減衰パッドの効果は、SPL曲線の第3のモードを減衰することである。しかしながら、第3のモードは、音響パワー応答、すなわちSWL曲線の11kHzにおいて依然として明白に見える。その結果、オン・アクシス応答は改善されたように見えるが、パワーは改善されない。
【0130】
第3のモードからこのピークをどのようにして効果的に減衰させることができるかを理解するためには、図9cの3つのモードを有するパネルにおけるパネルアドミタンス曲線に立ち戻る必要がある。既に説明されたように、このグラフ上で狭い谷である低速度領域に平衡用の質量体が追加される。減衰については、関心対象の高速度領域であり、これは高速度領域が最大パネル撓みを表すことに起因する。図9cに示されるように、最大速度の典型的な場所は、全てのモードに対して最大値であることによりパネルの中心及び端部である。
【0131】
パネル直径の0.42と0.74にピークとなる高速度の他の2つの広範囲な領域もある。これらの領域では選択的な減衰を有効に加えることができる。この領域は広範なアドミタンスであるので、減衰場所は平衡用の質量体の場所ほど重要ではない。図21aに示されたラウドスピーカの場合、これらの比は35.7mmと63mmである。しかしながら、変換器のボイスコイルは32mmであり(従って出力の大きなピーク)、そのため35.7mmに減衰を加えることは理想的ではない。63mmの直径は適切であるが、全モード形状の十分な選択的減衰に影響を及ぼすためには、少なくとも第2の領域が必要とされる。比率が0.2と0.27の間の領域も高速度を有する。この領域が中心領域に侵入し始めるが、これは、速度がかなり急激に上昇し、その結果表面減衰材料が伸張状態となる領域である。
【0132】
図22aは、32mmのボイスコイル変換器92によって駆動される直径85mmの円形パネル90を含むラウドスピーカを示す。直径71mmの環状平衡用リング94が、直径63mmの減衰リング96及び直径9mmの中心減衰パッドと共にパネルに装着されている。減衰リング96、98は、エチレンプロピレンジエンゴムで作られる。
【0133】
図22bは、図22aのラウドスピーカに対するオン・アクシス音圧レベル(SPL)と音響パワーレベル(SWL)曲線(それぞれ下側と上側の曲線)を示す。いずれの曲線においても11kHzにはピークがないので、環状リングを使用することによって第3のモードが効果的に減衰されている。
【0134】
減衰リングの場所は、平衡が取られるモードの数によって決定付けられる。図9aから図9eまでを用いて、第2から第5モードまでを減衰させる減衰リングの環状の場所を以下の表に示す。

【0135】
例えば第4のモードが減衰されることになる場合、減衰パッドは直径比率0.32、0.52、及び0.77に装着する必要がある。
【0136】
図23は、円錐台カプラ100を示す。図24に示されるように、カプラ100は、円形パネルのダイアフラム102と変換器のボイスコイル104との間に配置される。変換器の磁石組立体は明瞭にするために省略されている。ダイアフラム102は、環状サスペンション106によりシャーシ108上に支持される。点線はカプラの先端角を示す。
【0137】
図25に示されるように、カプラは、ボイスコルの直径である第1の直径110において変換器のボイスコイルに結合される。カプラは、第1の直径よりも大きい第2の直径112でダイアフラムに結合される。このように、適度なコストのものとすることができる小さなボイスコイル組立体がより大きな駆動円形に適合される。加えて、カプラは、不適当なボイスコイルの直径を比較的低コストで適正な駆動直径に適合されている。
【0138】
図26aから図26dまでは、有限要素解析によって得られた音圧レベルと音響パワーレベルを示す。図26aは、本発明による、すなわち環状質量体が装着されたパネル型ダイアフラムを備えたラウドスピーカのモデルの出力を示す。ダイアフラムと変換器のボイスコイルとの間に管状カプラが装着される。カプラは厚さ0.5mmのコーン紙で直径が25.5mmであり、ダイアフラムからボイスコイルまでの距離が5mmに設定され、従って先端角はゼロ度である。
【0139】
図26aから図26dでは、ダイアフラムでのカプラの直径は不変のままでボイスコイルの直径を2mm刻みで減少させ、従って、カプラは、漸次的な急斜面を備えて管状から円錐台に変化する。ゼロの先端角から始まり、図26bでは23度の先端角に相当し、図26cでは44度の先端角に相当し、図26dではθ=62度の先端角に相当するようにボイスコイルの直径を段階的に減少させた。
【0140】
図26aでは、モデルでは減衰が殆ど又は全くなく、実際に適度に平滑な軸方向の周波数応答が発生する。図26bから図26dまでは、カプラの共振が高周波限界で明確に見ることができ、コイル直径が減少し、すなわちカプラ角度が増加するにつれてこのカプラの共振周波数が低下することに留意されたい。カプラの共振がスピーカの動作周波数帯域外である場合には、性能に対する悪影響はない。従って、共振が帯域幅の限度にあるので、直径の小さな変化に対応することができる。
【0141】
モデルのカプラは薄い紙であったが、直径比率の整合、許容可能なカプラ質量、及びコストによっては、炭素繊維強化樹脂及びVectraなどの結晶配向成形熱可塑性樹脂のような、カプラにより強いシェル構造を利用可能である。モデルでのカプラが単一の円錐台である場合、典型的な湾曲ラウドスピーカコーンに類似したフレア付き装置としてカプラを構成することも可能であろう。
【0142】
図27a及び図27bは、ダイアフラム120が円錐角158°を有する円錐状である図12bの実施形態に対する変形形態を示す。前出の実施形態の場合と同様に、ボイスコイル122は、半径の0.62である環状の場所に装着され、リング質量体124、126は、0.33と0.91の場所に装着される。
【0143】
両方の実施形態において、パネル110は、等方性材料、すなわち5mm厚さのRohacel(登録商標)(発泡ポリメチルイミド)で作られ、直径100mmの外側周縁部と直径20mmの内側周縁部とを有する。質量体の平衡作用は、駆動点及び/又はパネル中心からの相対距離に関係する。質量体の値は、以下の表のように平衡が取られる。

【0144】
図28a及び図28bは、それぞれ図12b及び図27aのラウドスピーカのオン・アクシス音圧と半空間パワーとを示す。図28bは、158°の先端角を有し、円錐の3質量体平衡取りの解決策に対する概略の限定的事例を示すように選択されている。両方のラウドスピーカは、やはり聴音領域にわたって拡張オフアクシス周波数応答及び良好な音質並びに明瞭度を達成する。図28c及び図28dは、円錐角度が174°と166°に減少した図27aの3質量体装置の変形形態について性能がどのように改善されるかを示している。図28aから図28dまでの各々において、音響パワーは、第2のモードで逓減して高周波数限界までこのレベルにとどまる。
【0145】
図29a及び図29bは、質量体及びボイスコイルの場所が4つのモードを補償するように選択された図12bの装置の変形形態を示す。ダイアフラムは、0.92の直径比でボイスコイル132がパネル10に同心円状に装着された変換器を備える環状フラットパネル130である。3つのリング状(又は円形状)の質量体134、136、138が、接着テープを使用して直径比0.23、0.46、及び0.7でパネル130に同心円状に装着される。上記で概略が説明されたように、質量体の値はボイスコイルの質量に対してスケーリングされ、ボイスコイルの質量が8gmなので、質量体は、それぞれ1.76gm、3.864gm、及び6.06gmの値を有する。質量の値は、パネルの中心に向かうほど減少する。
【0146】
図30a及び図30bは、図29aの実施形態に対する変形形態を示し、ここではダイアフラム140が円錐角158°の円錐状である。前出の実施形態と同様に、ボイスコイル142は、半径の0.92の環状の場所に装着され、リング質量体は、0.23、0.46、及び0.70の場所に装着される。ボイスコイルとリング質量体の相対質量は変わらない。
【0147】
図31は、図29aのパネルの半径が変化したときのパネルの最初の4つのモード(N=4)の応答の対数平均を示す。半径の0.23、0.46、0.70、及び0.92で最小値が発生し、これらは、図29a及び図29bで使用されたボイスコイルと質量体の場所である。最初の4つのモードからの解決策は、最初の3つのモードからの解決策の拡張ではない。
【0148】
図32a及び図32bは、それぞれ図29a及び図30aのラウドスピーカのオン・アクシス音圧と半空間パワーとを示す。ラウドスピーカは両方とも、聴音領域にわたって拡張オフアクシス周波数応答及び良好な音質並びに明瞭度を有する。装置の周波数帯域は、有限要素解析(FEA)によって求められたパネルのモードによる帯域に分割することができる。各帯域は、これらに関連付けられた特定の質量体を有し、質量体が大きくなるにつれて当該帯域の感度が低下し、その逆も同様である。ピストン領域の感度は、最も外側の位置にある質量体によって制御される。周縁部に向けてパネルの機械インピーダンスが低下するので、従って最も外側の位置ではより小さな質量体が必要とされる可能性がある。次の位置の質量体を小さくすることも有利とすることができる。
【0149】
次に、図32c及び図32dは、それぞれ図29aと29bの装置の変形形態を示し、ここでは質量体の値が性能を改善するように変更される。
【0150】
図32cは、フラットパネル上で変換器の質量を6gまで、0.7の場所の質量体の値を6.06gmから5.8gmにまで減少させた効果を示す。図32dは、158°円錐上で変換器の質量を5.4gまで、0.7の場所の質量体の値を6.06gmから5.6gmにまで減少させた効果を示す。期待される通り感度が向上し、両方の実施形態について応答がほぼ改善されている。図32dでは、3kHzから始まる広範な谷があり、これは円錐キャビティの効果とすることができる。一般に、両方の実施形態の性能は、3つのモードだけが考慮された装置と比較して改善されている。
【0151】
図33a及び図33bは、前出の実施形態に組み込むことができる代替のダイアフラムを示す。図33a及び図33bでは、ダイアフラムは内側及び外側周縁部170、172を備えた環状である。図33aでは、ダイアフラム174は、周縁部間で上から見たときに凸型の湾曲を有し、図33bでは、ダイアフラム176は、周縁部の間で上から見たときに凹型の湾曲を有する。
【0152】
上記の実施形態の各々では、環状質量体はパネルに装着された別個の質量体である。質量体の幅又は面積範囲は、質量体の中心が適正な環状の場所を基準としている場合には重要ではないように思われる。加えて、質量体は、ボイスコイルとは反対側のパネル面に装着する必要はない。環状の場所のパネル密度を高めることによって、これらの場所に質量体を追加することができる。パネルは、環状の場所の追加される質量体と共に射出成形してもよい。
【0153】
図34a及び図34bは、ビーム形パネル220の形態のダイアフラムとそこに装着される2つの変換器とを備えるラウドスピーカを示す。2対の質量体228、226は、パネルの対称線(又は中心)から端部までの距離(すなわち、パネルの全長の半分にわたって)の0.19と0.88の場所に装着される。各変換器のボイスコイル222、224は、パネルの中心から0.55離れた場所に装着される。パネル220は、0.88の場所に装着されたサスペンション223を介してシャーシ221に装着される。
【0154】
ボイスコイル222、224と0.19にある質量体228は同じ質量を有する。ビームの幅が一定であるので、質量体は単位長さ当たりの質量に比例するが、位置には無関係である。しかしながら、端部効果により、パネル端部に最も近い質量体は、有利には通常最大約30%まで小さな値にすることができる。
【0155】
図35a及び35bは、図34aのラウドスピーカにおいて、両方の対の質量体を備えた(実線)もの、1対だけの質量体を備えた(破線)もの、及び質量体を備えない(点線)もののオン・アクシス音圧と半空間パワーとを示している。質量体を備えていない装置では、変換器がパネルのノードに装着される。モデル化に際して、第1のモードが約280Hzにある長さ200mmのパネルが選択された。ボイスコイルは、中心から55mmに装着され、質量体の各対は中心からそれぞれ19mmと88mmに装着された。55mmにあるボイスコイルと内側の質量体は、各々550mgであり、外側の質量は400mgである。
【0156】
図35a及び図35bに示されるように、質量体のないパネルは、約1500Hzすなわち第2のモードまでの帯域幅のみを有する。対照的に、両方の対の質量体を備えたパネルは、拡張オフアクシス周波数応答を有し、約7kHzまですなわち第4のモードまでは改善された音質及び明瞭度を有する。
【0157】
図36aから図36gまでは、図34aの装置に対する質量体の位置と駆動場所を選択するための方法を示す。図36aは、パネルの中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由ビーム状の平坦な剛体パネルを含む理論上のピストン式ラウドスピーカの音圧レベルと音響パワーレベルを示す。音圧は周波数に対して一定であるが、音響パワーは、約1kHzまでは一定であり、これを越えると周波数の増加に伴って徐々に低下する。
【0158】
図36bは、パネル中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由共振ビーム形パネルを含む理論上のラウドスピーカの音圧及び音響パワーレベルを示す。音圧は依然として周波数に対してほぼ一定であるが、ここでは音響パワーの低下は図36aに示されたものに比べて有意に改善されている。パネルモードは、モデルが電気力学的減衰を使用しないので、ここでは解析において見ることができる。これらのモードが見えない場合には、自由共振パネルは、一定のオン・アクシス音圧並びにほぼ一定の音響パワーを出力する。
【0159】
図36cは、図36bのものと同等であるが、直径が25mmでボイスコイルの設計(材料、巻数など)に応じた有限の質量体を有するボイスコイルを備えた変換器によって駆動される、実際のラウドスピーカの音圧及び音響パワーレベルを示している。周波数に伴う音響パワーの低下は、図36aのものと比較して依然として改善されている。しかしながら、ここではオン・アクシス音圧と音響パワーの両方が周波数に対してもはや一定ではない。
【0160】
ラウドスピーカは準一次元であるので、モードに対し単純なモデル化を使用することができる。その結果は、図8で示されたものと同等であり、図36bの理論上理想的なモードが「全体変位」モードを除いて全てがゼロ平均変位を有する範囲まで慣性的に平衡が取られる。対照的に、図36cの実際のラウドスピーカのモードは平衡が取られていない。しかしながら、この特性は、上記で概略が説明されたように、ノード等高線、従って実際のラウドスピーカのモードと速度プロファイルとを理論上理想のラウドスピーカのものに数学的にマッピングすることによって処理することができる。
【0161】
上記で概略が説明されたように、場所は、平均低速度の位置すなわちアドミタンスが最小値の位置である。ビーム形パネルにおいて、アドミタンスYmとその対数平均μ(ξ)は、全長の半分ξによって変化するとき、以下の式を使用して計算される。
【数1】

【0162】
図36dは、図34aのパネルの対称線(又は中心)から端部までの距離(すなわち、パネルの全長の半分にわたって)と共に変動するときのパネルの最初の2つのモード(N=2)の対数平均アドミタンスを示す。最小値は、全長の半分の0.29と0.81で発生し、従ってボイスコイル及び。又は質量体はこれらの場所に置くことができる。
【0163】
図36eは、図34aのパネルの対称線(又は中心)から端部までの距離(すなわち、パネルの全長の半分にわたって)と共に変動するときのパネルの最初の3つのモード(N=3)の対数平均アドミタンスを示す。ビーム形パネルの最初の5つのモードが、1対5.4対13対25対40の比率の周波数を有するので、最初の3つのモードを処理することは、装置がかなり広範囲の帯域幅をカバーできることを意味する。最小値は、全長の半分の0.19、0.55、及び0.88で発生するので、ボイスコイル及び/又は質量体は、これらの場所に置くことができる(例えば図34a及び図34bに示されるように)。
【0164】
図36fは、図34aのパネルの対称線(又は中心)から端部までの距離(すなわち、パネルの全長の半分にわたって)と共に変動するときの最初の4つのモード(N=4)の対数平均アドミタンスを示す。最小値は、全長の半分の0.15、0.40、0.68、及び0.91で発生する。従って、最初の4つのモードからの解決策は、最初の3つのモードからの解決策の拡張ではない。
【0165】
より高いモードが関心対象の周波数帯域外にあるときに最初の4つのモードがマップされ、且つパネルに適度の剪断剛性がある場合には、より高次のモードを充分にマップすることができる。これが当てはまらない場合には、例えば5つ又はそれ以上のモードなどのより高次のモードの平衡を取ることが可能である。
【0166】
図36gは、図34aのパネルの対称線(又は中心)から端部までの距離(すなわち、パネルの全長の半分にわたって)と共に変動するときの最初の5つのモード(N=5)の対数平均アドミタンスを示す。アドミタンスYmの最小値は、5つのモードを考慮するときには、それぞれ0.11、0.315、0.53、0.74、及び0.93にある。
【0167】
種々の最小値は、パネル上の変換器の場所を制限し、従って、全体のパネルサイズは、工業規格のボイスコイルのサイズによって決定付けることができる。しかしながら、パネル上に1つよりも多い変換器を有することができるので、パネルサイズに対する制約が緩和される。クロスモードの表示上でのパネル幅に対する変換器の直径の比率は、極めて大きな影響を有し、この比率に対する約0.8の値は、最も低いクロスモードを有効に除去することができる。
【0168】
図36hは、1対の変換器が装着されたダイアフラムからの出力(点線)をその対の変換器及び周波数帯域内の2つのモードの平均ノード位置に装着された1対の質量体とを有する同じダイアフラム(実線)と比較している。第1のモードは、変換器の場所に起因していずれの場合にも見られない。第2のモードは、質量体の追加によって平衡が取られている。平均ノード場所は、0.29と0.81であり、上記の同じ方法を使用して計算される。ノード場所は、ダイアフラムの長さの分数として表現したときに、0.095、0.355、0.645、及び0.905の場所に平衡移動される。
【0169】
図36iは、変換器だけが装着されたダイアフラムからの出力(破線)をその変換器及び周波数帯域内の5つのモードの平均ノード位置に装着された1対の質量体を有する同じダイアフラム(実線)と比較している。平均ノード半径は、0.11、0.315、0.53、0.74、及び0.93であり、これらは、0.035、0.13、0.235、0.3425、0.445、0.555、0.675、0.765、0.87,及び0.965の場所(ダイアフラムの長さの分数として)に平行移動される。
【0170】
図37は、図34aの装置において使用されたもののようなビーム形パネルに単一の変換器が装着された本発明の別の実施形態を示す。変換器は、本質的に0.19の場所で駆動されるようにパネルの中心に装着された大きなボイスコイル242を有する。2対の質量体244、246が、0.55と0.88の場所に装着される。ボイスコイルの質量は二重の場所で二分され、その結果、質量体はコイル質量全体の半分に設定される。図34aの装置と同様、質量体及びボイスコイルの場所は、3つのモードについて補償するように選択される。
【0171】
図38は、図34aの装置に対する別の変形形態を示し、ここでは質量体及びボイスコイルの場所が4つのモードについて補償するように選択されている。ビーム形パネル230は、これに装着された4つの変換器を有し、各変換器のボイスコイル231、232、233、234は、パネルの中心から0.4離れた対称的な場所に対単位で装着される。対称的に配置された対の質量体235、238、240は、パネルの中心から0.15、0.68、及び0.91離れた位置に配置される。質量体は、端部効果によって場合によっては最大で約30%低減されたより小さな値が有用となる結果をもたらす0.91の場所のものを除き、個々のボイスコイルの質量の2倍に等しい。従って、例えば、ボイスコイルの質量が225mgの場合、質量体は、400mgまで減少した0.91の場所の質量体を除いては550mgである。
【0172】
図39a及び図39bは、図38aのラウドスピーカにおいて、質量体の3つ対全てを備えた(実線)ものと質量体がない(破線)ものにおけるオン・アクシス音圧と半空間パワーとを示す。質量体がない装置において、変換器はパネルのノードに装着される。図38のラウドスピーカの帯域幅は、図34aのものと比較して4kHzだけ増大される。しかしながら、高周波数では、ボイスコイルのサイズがもはや臨界状態にあるので、パネルは二次元物体として動作し始めている。3つから4つのモードに拡張する別の解決策は、分割変換器ではなくバー状カプラを使用するものであり、その結果、第4のモードもまた平衡を取ることができる。また、最も外側の質量を分割して最も低いクロスモードのノード線上に位置するようにすることにより追加の改善も可能とすることができる。図39a及び図39bに示されるように、第4のモードの調整は、音圧応答において確実に第5のモードを自由に提供するように見える。
【0173】
図40a及び図40bは、ビーム形パネル250の厚さが長さと共に変動する本発明の別の実施形態を示す。パネル250の全長は306mmであり、厚さは、各端部でt1=2mmから中心でt2=5mmまで直線的に増大している。各変換器のボイスコイル252、254は、ビームの中心から0.08離れている。質量体の対256、258、260は、対称線からパネルの端部までの距離の0.28、0.53、及び0.80の場所に装着される。0.28と0.53に装着された質量体は、ボイスコイル252、254の質量と同じであるが、0.8にある質量体の対では質量が低減されている。従って、モデル化の目的では、装着場所は12mm、45mm、85mm、及び128mmである。ボイスコイルと内側の2つの対の質量体は、各々550mgであり、外側の質量体は400mgである。
【0174】
パネルが対称的であるので、図41aは、図40aで使用された実施形態のパネルの各半分の最初の4つのモードの形状を示す。図41bは、これら4つのモードに対するフーリエ変換を示す。
λa=k・a・sin(θ)
ここで、kは音響波数、aはパネルの全長の半分、θはパネルの軸から測定された放射角度である。剛体モードFTC(0,λa)以外では、変換はλa=0で全てゼロになる点に留意されたい。これは、ゼロ周波数又はゼロ角度、すなわちオン・アクシスに相当する。
【0175】
図41c及び図41dは、対称線(又は中心)からパネル端部までの距離(すなわち全長の半分にわたって)と共に変動するときの図41aのパネルの最初の4つのモード(N=1...4)の応答の対数平均を示す。最小値は以下の表に示される。

【0176】
図9aから図9eまでに関連して上述されたように、本方法は十分に柔軟性があるので、設計者は特定のモードだけをマップすることができる。最初の4つのモードに対して計算された場所は、図40aの装置での質量体及びボイスコイルの位置に対応する。
【0177】
以下の表は、1mmと4.5mmの間で変動する最小幅t1に対する図40aのウエッジの最初の5つの自由対称モードの周波数を示す。中心の厚さは5mmのままである。

【0178】
最初の4つのモードに対するノード線の概略の場所が以下の表に示される。パネルが対称なので、パネルの半分のノード線だけが示され、「x」における線は「200−x」におけるものを意味する。



【0179】
図41c及び図41dのものとこれらの結果を比較すると、t1=2では、第2のモードに対するノード線の場所は0.16と0.63にあり、2つのモードに対する平均ノード場所は0.16と0.65にある。第3のモードに対するノード線の場所は、0.10、0.41、及び0.79にあり、3つのモードに対する平均ノード場所は、0.11、0.39、及び0.75にある。従って上記で示されたように、平均ノード場所は、考慮されている最も高いモードのノード線の近くにある。
【0180】
図42aは、パネルの中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由対称ウエッジ形剛体パネルを含む理論上のラウドスピーカの音圧レベルと音響パワーレベルとを示す。パネルは、長さが20mm、幅が20mmであり、厚さが中心で5mmから両端で2mmまでのテーパがある。音圧及び音響パワーは、周波数に対して約10kHzまではほぼ一定であるが、4.8kHzと9.5kHzでのモードの幾らかの急増がある。遠距離場のオン・アクシス音圧は平面状のはずであるが、音圧は200mmでシミュレートされるので変動がある。
【0181】
図42bは、直径25mmのボイスコイルと該ボイスコイルの設計(材料、巻数など)に応じた有限質量体を有する変換器によって駆動される自由ウエッジ形パネルを含む実際のラウドスピーカに対する音圧レベルと音響パワーレベルを示す。図42aに示されたものと比較して音圧と音響パワーは有意に低下した。
【0182】
図42cは、図42bと同等であるが図42aに示された理想のものにマップされた実際のラウドスピーカに対する音圧レベルと音響パワーレベルを示す。従って、図40で教示されたように平衡用質量体が適用されている。図42bのものと比較して性能が改善されている。更に、この音圧は、遠距離場ではなく200mmでシミュレートされているので、装置は図42cが示すものよりも良好とすることができる。
【0183】
図42aから図42cまでの各々では、音圧レベル(20.4μPaに関する)は200mmでシミュレートされ、音響パワーレベル(1Wに関する)は入力=1Nでシミュレートされた。測定値は、オン・アクシス、ビームの長軸に沿って90°オフアクシス、及びビームの短軸に沿って90°オフアクシスで取られた。
【0184】
図43aは、ビーム形パネル270が長さと共に変動し且つ対称ではない厚さを有する本発明の別の実施形態を示す。パネル270の全長は153mmであり、厚さは一方端での2mmから他端部での5mmまで平方根依存関係で増大する。各変換器のボイスコイル274、272は、パネルのより薄い端部から離れた0.23と0.43の場所に装着される。対の質量体276、278、279は、パネルのより薄い端部からの距離の0.06、0.66、及び0.88の場所に装着される。0.66と0.88に装着された質量体は、ボイスコイル272、274と質量が等しいが、0.06における対の質量体280の質量は減少していた。従ってモデル化の目的では、装着場所は、9mm、35mm、66mm、10mm、及び134mmである。ボイスコイルと内側の2つの対の質量体は各々550mgであり、外側の質量体は400mgである。
【0185】
図43bは、図43aで使用された実施形態のパネルの最初の4つのモードの形状を示す。図43c及び図43dは、パネルの長さに沿って変動するときの(より薄い端部からより厚い端部まで)これらの最初の4つのモード(N=1...4)の対数平均アドミタンスを示す。最小値は以下の表に示される。

【0186】
図9aから図9eまでに関連して上述されたように、本方法は十分に柔軟性があるので、設計者が特定のモードだけをマップすることができる。最初の4つのモードに対して計算される場所は、図43aの装置での質量体及びボイスコイルの位置に対応する。
【0187】
以下の表は、1mmから4.5mmの間で変化する最小幅t1に対する図43aのウエッジの最初の5つの自由対称モードでの周波数を示す。最大幅は5mmで変わらない。パネル材料は、実際の材料、すなわちRohacell(登録商標)発泡プラスチックである。

【0188】
最初の4つのモードに対するノード線の概略場所は以下の表に示される。





【0189】
図43c及び図43dのものとこの結果を比較すると、t1=2では、第2のモードに対するノード線の場所は0.115、0.46、及び0.85にあり、2つのモードに対する平均ノード場所は0.12、0.44、及び0.80にある。第3のモードに対するノード線の場所は、0.08、0.31、0.60、及び0.89にあり、3つのモードに対する平均ノード場所は、0.08、0.30、0.56、及び0.84にある。従って上記で示されたように、平均ノード場所は、考慮されている最も高いモードのノード線の近くにある。比率の両方のセットは、ゼロに近くなる傾向がある正味平均変位の望ましい作用をもたらす可能性がある。
【0190】
図43aは、長さxと共に直線的に厚さが変化するビームを示す。xにおいて幅方向で取られたビームの細いスライスを考えると、特性が均一な別の概念的ビームが得られる。図44aに示されるように、ビームの幅はxと共に直線的に変化する。モード周波数は以下の表で比較される。

【0191】
幅が変化するビームのモード形状は図44bに示される。2つの実施形態のモード形状とモード周波数が実際には極めて類似していることが分かる。この図は、実際の実装において、解決策のセットに何らかの利用可能な許容差があり、設計規則の解釈において幾らかの「芸術的自由度」を許容することを示すものと理解することができる。これはまた、設計者が「概念的」クロスモードを一定の周波数に設定することを可能にする。この周波数は、

に比例し、ここでBはxp+2に比例し、幅が長さの平方根に対して変化するパネルは、この基準を満足する。
【0192】
各々のモードに対する平均体積速度Vnが、以下の表に示され、ここで、V0は「ピストン」モードの平均体積速度である。

【0193】
両方の場合において、全ての撓みモードの平均体積速度がゼロである(計算の許容範囲内で)ので、両方の実施形態は、実際の音響装置の平衡が取られていないモードをマップすることができる理論上理想的なものとして用いることができる。
【0194】
図45は、中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由矩形ピストンを備えた理論上のラウドスピーカに対する音圧及び音響パワーを示す。音圧は周波数に対して一定であるが、音響パワーは、kxLまでは一定であり、その後周波数が高くなるにつれて徐々に減少する。図46は、パネルの中心に加えられた質量を持たない点荷重によって駆動される自由矩形パネルを備えるラウドスピーカに対する音圧レベルを示す(破線)。実線は、ここではボイスコイルの設計(材料、巻数など)に応じた有限質量体を有する実際の25mm直径のモータによって駆動される同じパネルを示す。
【0195】
図47は、図46の圧力レベルに対応する音響パワーレベルを示す。周波数に伴う音響パワーの低下は、図45のものと比較して有意に改善された。しかしながら、実際の場合では、オン・アクシス音圧と音響パワーは両方とも周波数に対してもはや一定ではない。(より高い周波数ではモード密度は高くなり、従って、モードのインターリービング及び最適な駆動点結合に対する分散モードの教示から性能に恩恵を受ける場合がある点に留意されたい)。
【0196】
図48a及び図48bは、矩形パネル280の形態のダイアフラムとこれに装着された2つの変換器282とを備えるラウドスピーカを示す。パネルは被覆有芯軽量複合材料で作られる。2対の質量体288、286が、パネルの中心から1つのコーナーまでの距離(すなわちパネルの対角線の半分にわたって)の19%と88%の場所に装着される。各変換器282のボイスコイルは、対角線の半分に沿ってパネルの中心から55%離れた場所に装着される。パネルは、サスペンション283によってシャーシ281に装着され、バッフル(図示されていない)内にシールされる。
【0197】
変換器及び質量体の場所は、前記の実施形態と同様の方法で計算される。X軸とY軸に対するモード形状は別々に考慮され、撓み剛性とパネルの表面積質量とから計算することができる。平均ノード位置は、インピーダンス中の最小値から計算される。図示された実施形態では、質量体及び変換器の場所は、各々について最初の3つのモードが考慮されたときの両軸の平均ノード位置である。4つのモードが処理される場合には対角線に沿った別の有効な場所がある。460mmx390mmのパネルの場合、質量体及び変換器の各々の(x、y)場所は以下の表に示される。

【0198】
ボイスコイルは各々、4gの質量体を有し、該質量体の値は、以下に示されるようにボイスコイルの値までスケーリングされる。

【0199】
各変換器は駆動される軸にのみ関係するので、平衡用質量体についての値を求めるときにはコイルの質量は合計されない。
【0200】
図49及び図50は、図48aのラウドスピーカに対する音圧レベルと音響パワーレベルとを示す。平衡用質量体がない図47のラウドスピーカと比較すると、40Hzに至まで低周波数の均一性においてかなりの改善がある。応答は、例えばサスペンション特性を介して低周波数モードに減衰を適用することによって更に平滑にすることができる。質量体はまた、場所の座標を最大±5%(又は更に±8%)まで変動させることによって微調整することができる。微調整は、低周波数帯域での音響パワーの特定の態様を最適化することができる。
【0201】
外側のサスペンションが有意な質量体を有する場合には、質量体がパネルの周囲に配置される点に留意して周縁材料を選択することによって、設計者がこの質量体を配置する機会がある。この利点は、例えば単一軸モード平衡化技術の影響を受けない2D結合モードのような、より高次の減衰及び装荷を介した何らかの制御が付加されることである。
【0202】
図51a及び図51bは、図48aのラウドスピーカの変形形態に対する音圧レベルと音響パワーレベルを示す。外側の質量体はもはや個別のものではなく、これら質量体の合計質量をサスペンション中に均一に分布させることによって置き換えられている。内側の質量体の値は、外側質量体に対して十分に小さいので殆ど影響を与えずに完全に除去することができる。
【0203】
以下の表は、図48aの矩形パネルに対するモードを示し、第1のモードは72.3Hzにある。

【0204】
アスペクト比などの選択されたパネルのパラメータが、これらの高周波数で追加として分布モード動作をもたらす場合、適度なモード密度は250Hzよりも上で現れる。この種類の実施形態が全帯域である必要がない場合、共振パネルのダイアフラムから低周波数帯域で拡張ピストン式の等価な性能を提供するためには、モードの平衡化単独で十分である。
【0205】
ダイアフラムがまた、例えば分布モードなどのより高い周波数で有用なモード特性を有することが必要とされる場合には、更なる改善として、高周波数での良好なモード結合のために望ましい駆動ポイントに対し平衡用駆動位置の利用可能なオプションを繰り返すことができる。前記の教示は、中心外及び交差軸外の好ましい場所を示している。このような組み合わせの場所は、パネル面積にわたって周波数に伴うモード分布の解析を調べることによって見つけることができる。
【0206】
スピーカからより多くの出力が必要な場合、4つの励振器を使用することができ、第2の対角線を利用してここでは8つの質量体で作用させる。通常、全ての励振器は、信号源に同相接続で配線されることになる。
【0207】
図52a及び図52bは、ビーム状パネルのダイアフラム302と変換器のボイスコイル304との間に配置されたカプラ300を示す。変換器の磁石組立は明瞭にするために省略された。図52bに示されるように、カプラは、変換器のボイスコイルに結合される第1の寸法306すなわち円形と、ダイアフラムに結合される第2のサイズ308すなわち矩形とからなる外形にされる。矩形形状は、円形形状よりも有意に大きなサイズであり、その結果、小さなボイスコイル組立体がより大きな駆動装置に適合されるようになる。加えて、カプラは不適当なボイスコイル直径を駆動ポイントを補正するように適合させている。このようにして、適度なコストとすることができる標準サイズの変換器が本発明に適合される。
【0208】
図53a及び図53bは、ビーム状パネルのダイアフラム302と変換器のボイスコイル304との間に配置されたカプラ310を示す。変換器の磁石組立体は明瞭にするために省略された。図53bに示されるように、カプラは、変換器のボイスコイルに結合される第1の寸法306すなわち円形と、ダイアフラムに結合される第2のサイズ314すなわちボウタイ形とからなる外形される。ボウタイ形形状は、円形形状よりも有意に大きなサイズであり、その結果、小さなボイスコイル組立体がより大きな駆動装置に適合されるようになる。加えて、カプラは不適当なボイスコイル直径を駆動ポイントを補正するように適合させる。
【0209】
図52a及び図52bの両方において、カプラは中空のシェルであり、0.5mm厚さのコーン紙とすることができる。第1のサイズと第2のサイズの比率、許容可能なカプラの質量、及びコストによっては、炭素繊維強化樹脂、及びVectraなどの結晶配向成形熱可塑性樹脂のように、カプラのより強固なシェル構造を実現できる。
【0210】
図54aは、ボイスコイルの半径ρに対する変換器のボイスコイルの有効正味力Fのグラフである。Fは、コイルの円周の回りでモード形状の変位によって重み付けされた力を積分することによって計算され、コイル半径ρに対し明示的に、

である。
ここで、y(n,ξ)はn番目のモードのモード形状である。
【0211】
特定のモードを励振するのを回避するために、対応する平均正味力をゼロにする必要がある。換言すれば、関数F(n,ρ)のゼロ交差すなわちノード線で有効に駆動することが必要とされる。原点に最も近いノード線と共に4つのモードまでについての結果が以下の表に示される。これらの結果から、ボイスコイルの実際の直径は、ボイスコイルの有効駆動直径の1.5倍であることが示唆される。

【0212】
更に、F(1)は、0.8近辺にゼロ交差を有することに留意されたい。すなわち、パネルの幅に対する直径の比率が0.8であるボイスコイルを装着すると、最も低いクロストークが除去される。
【0213】
上記の教示は、サスペンションをダイアフラムの周縁部から離れて装着することを提案するものである。図55a及び図55bは、ロール型包囲の形態のサスペンション316、320がダイアフラムの端部に装着されたより実際的な実施形態を示す。追加のサスペンション平衡用質量体318、322がノード線の近辺に装着され、その結果、端部サスペンションとサスペンション平衡用質量体の組み合わせの効果は、パネル周縁部の内側に装着されたサスペンションに相当する。
【0214】
図55cは、1/4ダイアフラムの断面図を示し、ここで、M1がノード線近辺に装着された質量体、Msがサスペンションの接着域の質量体、Mdがサスペンションのアクティブ部分の質量体、ξ0及びξ1がダイアフラムの中心からノード線とノード線近辺の質量体までのそれぞれの距離、並びに1−ξ2が接着域の幅である。サスペンション平衡用質量体及び端部サスペンションをインボードサスペンションと確実に同等にする3つの基本的な方法がある。
【0215】
最も簡単なのは、接着域の質量体がサスペンションのアクティブ部分の質量体とまとめられて考慮される場合である。ビームの場合、これは以下の式を解くことを意味する。
F(n,ξ1)=M1y(n,ξ1)+(Md+Ms)y(n,1)=0
ここで、y(n,ξ1)はモード形状である。
【0216】
例えば、直径32mmで質量1.5gのボイスコイルを有する変換器から始めると、ダイアフラムは40mmと156.8mmの幅を有する。幅はボイスコイルの直径が幅の80%であるように選択され、長さは、4つのモードの有効正味力がゼロ、すなわちF(4)=0であるように選択される。
【0217】
モード4のノード線は、テキストブックからの対応する場所と質量体と共に以下の表に示される。

【0218】
サスペンションは以下の特性を有する。
Ms+Md=1.8g/mx40mm=72mg
Ks(剛性)=443.5N/m/m
Rs(減衰)=0.063Ns/m/m
幅(1−ξ2)・L/2=4.0mm、ξ2=0.949としたとき
【0219】
従って、
M1=M−Md−Ms=528mg
上のまとめられた近似値を用いると、ξ1=0.897が得られ、すなわちサスペンション平衡用質量体の場所は、ダイアフラムの一方端部から測定して8.1mmと148.7mmにある。まとめられる簡約がないと、場所は7.9mmと148.9と計算される(すなわち極めて類似している)。両方の場合において、取り付けポイントは、ノード線よりもダイアフラムの端部から少なくとも1mm離れている。
【0220】
図56a及び図56bは、それぞれサスペンション平衡用質量体がある場合とない場合のラウドスピーカの応答を示す。図56cは、サスペンション平衡用質量がある場合とない場合のパワー応答を比較している。両方の測定では、ラウドスピーカの改善は、サスペンション平衡用質量を使用することにより大幅に改善されている。
【0221】
円形ダイアフラムに対する式は以下の通りである。
F(n,ξ1)=(1/ξ)・M1y(n,ξ1)+(Md+Ms)y(n,1)=0
【0222】
これは、合計質量又は単位長さ当たりの合計質量を保持することによって解くことができる。第4のモードに対してξ0(すなわちノード線の場所)が0.919の場合、合計質量を保持することにより、ξ1=0.8947とM1=3.4が得られる。単位長さ当たりの合計質量を保持することにより、同様の結果すなわちξ1=0.8946及びM1=3.387が得られる。
【0223】
サスペンション平衡用質量体を確実に接着域まで当接することによって、サスペンション平衡用質量体をサスペンションの一部として組み込むことも可能である。ここでは数式はより複雑であり、例えばビームダイアフラムでは次式になる。
F(n,ξ1)=M1(ξ1)y(n,ξ1)+μl(yi(n,1)−yi(n,ξ1))+Mdy(n,1)=0
ここで、μlは接着域の単位長さ当たりの質量、Mは必要とされる合計質量である。
【0224】
図57a及び図57bは、図1a及び図1bのラウドスピーカとほぼ同様のマイクロフォンを示す。マイクロフォンは、円形パネル324の形態のダイアフラムと、パネル324に対して0.2の比率で同心円状に装着されたボイスコイル332を有する変換器とを備える。3つのリング状(又は環状)の質量体326、330、332が、パネル324に0.44、0.69、及び0.91の比率で同心円状に装着されている。パネル及び変換器は、円形のサスペンション334によってパネル324に取り付けられた円形のシャーシ336に支持される。サスペンション334は、0.91の比率で取り付けられる。変換器はシャーシ336に接地される。
【0225】
入射音響エネルギー338がパネルを振動させ、振動は変換器によって検出されて電気信号に変換される。信号は、配線及びマイクロフォン出力結線340を介して出力される。
【0226】
図58は、パネルの幅が一定ではないように丸み付きのコーナーを有する矩形パネル342を示す。パネルは、長さ100mm×幅36mmx厚さ3.2mmで、例えばHonipan HHM−GPである経済的な樹脂が貼り合わされた紙製複合材料で作られている。直径25mmのボイスコイルを有する変換器は、28mmの軽量結合リング344でパネルに装着される。従って、変換器は、中心から13mmすなわち0.26の比率で2つの対向する場所(又はパネルの両幅の駆動線)を効果的に駆動している。帯状質量体346の形態の機械インピーダンス手段が、中心から41.5mmの対向する位置すなわち0.83の比率で配置されている。動作周波数帯域には、変換器の位置と機械インピーダンス手段によって処理される2つのモードがある。
【0227】
ボイスコイルは、1gの質量を有するが、個別の場所で駆動していることは、各場所での有効質量は半分にされることを意味する。質量体346は単純なゴムの帯体であり、各場所でボイスコイルの有効質量を平衡させる質量、すなわち0.5gの質量を有する。
【0228】
パネルは、低機械インピーダンスのサスペンション348によって成形プラスチックのフレーム350内に支持され、これによりパネルは、基本的に自由に共振する。このようなスピーカは、高品質のフラットパネルTV及びモニタ用途に好適であり、均一な周波数及び良好なパワー応答を備えた100Hzから20kHzの定格帯域幅を有する。
【0229】
図59は、中心開口に平面状セクション354が充填された浅い環状円錐352の形態のダイアフラムを示す。平面状セクションは、中心に過度に剛性のある尖頭を取り入れることなく中心開口を実質上音響的にシールするが、これは円錐が先端まで続く場合のケースである。
【0230】
円錐352の外側半径Rに対する平面セクション354の半径rの比率は、追加のダイアフラムパラメータであり、望ましい音響応答を実現するために調整することができる。この調整は、幾つかの中間の目標で処理することができる。例えば以下の通りである。
1)円錐が、実際の音響装置の平衡が取られていないモードをマップできる別の理論上の理想であるように比率を調整することができる。この理論上の理想に対する平均ノード位置は、コイルと質量体の配置を計算し、提案するのに使用されることになる。
2)質量体の形態の機械インピーダンスを追加として、ゼロになる傾向の正味の横断モード速度を実現することができる。
【0231】
変動する可能性がある追加のパラメータは、高さh、形状、及び皿状部分の角度であり、これらの全ては、平面状のセクションに協働して関連付けるように求められる。例えば、前記の角度は、ノード線上で駆動されるモードを平衡させるために求めることができる。その結果、ただ1つの追加のバランサーで解決策を見つけることができる。駆動の場所及び1つ又は複数の平衡用機械インピーダンスは示されない。機械インピーダンスは、別のパラメータ及び目的とする動作帯域に応じて追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1a】本発明の第1の実施形態の平面図である。
【図1b】図1aの線AAに沿った断面図である。
【図2a】質量体がある場合とない場合の図1aの装置の周波数に対するオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図2b】質量体がある場合とない場合の図1aの装置の周波数に対する半空間パワー(すなわち実施形態の前方の半球を覆う一体化された音響パワー)の変動を示すグラフである。
【図3】各質量体に関連して帯域に分割された図1aの装置の周波数に対する電圧感度の変動を示すグラフである。
【図4a】最も外側の位置に2つの異なる質量体を有する図1aの装置の周波数に対する電圧感度の変動を示すグラフである。
【図4b】図3aで測定された装置の外側セクションの断面図である。
【図4c】図3aで測定された装置の外側セクションの断面図である。
【図5a】バッフルに装着された図1aの装置の断面図である。
【図5b】段付きのバッフル及び面一嵌合バッフルに装着された図1aの装置の周波数に対する電圧感度の変動を示すグラフである。
【図6a】質量がある場合とない場合の本発明の第2の実施形態の周波数に対するオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図6b】質量がある場合とない場合の本発明の第2の実施形態の周波数に対する半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図7a】理論上のラウドスピーカの周波数に対するオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図7b】理論上のラウドスピーカの周波数に対するオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図7c】実際のラウドスピーカの周波数に対するオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図8】図7b及び図7cのラウドスピーカの速度プロファイルの一部を示す図である。
【図9a】最初の5つのモードに対する第1のモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9b】最初の5つのモードに対する第1のモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9c】最初の5つのモードに対する第1のモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9d】最初の5つのモードに対する第1のモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9e】最初の5つのモードに対する第1のモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9f】最初の5つのモードと環状の場所のモード形状を示す図である。
【図9g】個々の拡張された質量体を備えた最初の8つのモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9h】個々の拡張された質量体を備えた最初の8つのモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示す図である。
【図9i−j】個々の質量体を使用して4つのモード解決策における周波数に伴って変動する音圧レベルと音響パワーレベルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある面積と動作周波数帯域とを有し、前記動作周波数帯域内に共振モードを有するようにするダイアフラムと、
前記ダイアフラムに結合され該ダイアフラムとエネルギーを交換するように適合された駆動部を有する電気機械式変換器と、
前記ダイアフラムに結合され又は一体化された少なくとも1つの機械インピーダンス手段と、
を備え、
前記変換器の駆動部及び前記少なくとも1つの機械インピーダンス手段の位置決めと質量は、前記ダイアフラムの領域にわたって正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあることを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記ダイアフラムのパラメータは、前記動作周波数帯域内に2つのダイアフラムモードがあるようにすることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記動作周波数帯域はピストン−モード移行を含み、前記変換器は前記ダイアフラムを平行移動させるように適合されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記変換器の駆動部は、前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ダイアフラムに結合されることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ダイアフラムに結合され又は一体化されることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項6】
前記変換器は、前記駆動部を形成するボイスコイルと磁石システムとを有し前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ボイスコイルを前記ダイアフラムに結合する手段を更に備える可動コイル装置であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項7】
シャーシと、前記ダイアフラムを前記シャーシに結合する弾性サスペンションとを備え、前記サスペンションは、前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ダイアフラムに結合されることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項8】
請求項6に従属する場合、前記磁石システムは、前記シャーシに接地されることを特徴とする請求項7に記載の音響装置。
【請求項9】
前記変換器の駆動部が前記ダイアフラムに結合される位置は、前記サスペンションが前記ダイアフラムに結合される位置とは異なる位置であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の音響装置。
【請求項10】
前記ダイアフラムは、略円形の周縁部と質量中心とを有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項11】
前記ダイアフラムのパラメータは、第1のダイアフラムモードがka=2未満であるようにし、kは波数、aはダイアフラム半径であることを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
請求項4から9のいずれか1項に従属する場合、前記又は各平均ノード位置は環状部にあり、前記ダイアフラムの直径に対する前記環状部の直径の比率は、前記動作周波数帯域内のモードの数に依存することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
軸方向のモードが追加として考慮されることを特徴とする請求項12に記載の音響装置。
【請求項14】
前記変換器の駆動部は、前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に結合されることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項15】
請求項7に従属する場合、前記サスペンションは、前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に該ダイアフラムの周縁部から離れて結合されることを特徴とする請求項11から12のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、環状質量体の形態であることを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項17】
前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ダイアフラムに結合され又は一体化された幾つかの環状質量体を備えることを特徴とする請求項16に記載の音響装置。
【請求項18】
前記ダイアフラムは、略矩形であり質量中心を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項19】
前記ダイアフラムのパラメータは、前記第1のダイアフラムモードがkl=4未満であるようにし、kは波数、lはダイアフラムの長さであることを特徴とする請求項18に記載の音響装置。
【請求項20】
請求項4から9のいずれか1項に従属する場合、前記又は各平均ノード位置は、1対の対向する位置にあり、前記ダイアフラムの全長の半分に対する前記質量中心からの各対向する位置の距離の比は、動作周波数帯域内のモードの数に依存することを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の音響装置。
【請求項21】
1対の変換器を備え、前記対の各1つが前記対向する位置の1つに装着されることを特徴とする請求項20に記載の音響装置。
【請求項22】
前記変換器は、該変換器の駆動部が前記2つの対向する位置を駆動するように前記ダイアフラム上の中心に装着されることを特徴とする請求項20に記載の音響装置。
【請求項23】
請求項7に従属する場合、前記サスペンションは、前記対向する位置に配置されることを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項24】
前記機械インピーダンス手段は、1対の質量体の形態であり、これらの各1つが、前記対向する位置の1つに位置付けられることを特徴とする請求項20から23のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項25】
前記ダイアフラムに結合され又は一体化された幾つかの対の質量体を備えることを特徴とする請求項24に記載の音響装置。
【請求項26】
前記ダイアフラムはビーム形であり、前記モードは前記ビームの長軸に沿っていることを特徴とする前記請求項18から25のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項27】
前記変換器手段の駆動部と前記少なくとも1つの機械インピーダンス手段は、前記ビームの長軸に沿って前記ダイアフラムに結合されることを特徴とする請求項26に記載の音響装置。
【請求項28】
前記ダイアフラムの幅に対する前記変換器の駆動部の直径の比は、例えば最も低いクロスモードを除去するものであることを特徴とする請求項18から請求項27のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項29】
前記ダイアフラムの幅に対する前記変換器の駆動部の直径の比率は、約0.8であることを特徴とする請求項28に記載の音響装置。
【請求項30】
前記質量体は、前記ダイアフラムの中心に向かって値が減少することを特徴とする請求項16又は請求項25に記載の音響装置。
【請求項31】
前記質量体は、前記変換器の駆動部の質量に対してスケーリングされることを特徴とする請求項16、請求項25、又は請求項30に記載の音響装置。
【請求項32】
前記ダイアフラムは、撓み波剛性に関して等方性であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項33】
モードを減衰させるためにダイアフラム速度が高速の場所で前記ダイアフラムに装着又は一体化された減衰手段を備えることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項34】
請求項10から17のいずれか1項に従属する場合、前記減衰手段は、前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に結合された環状パッドであることを特徴とする請求項33に記載の音響装置。
【請求項35】
前記変換器を前記ダイアフラムに結合する軽量の剛体カプラの形態のサイズアダプタを備えることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項36】
前記カプラは、第1の直径で前記変換器に結合され、第2の直径で前記ダイアフラムに結合されることを特徴とする請求項35に記載の音響装置。
【請求項37】
前記カプラは円錐台形であることを特徴とする請求項35又は請求項36に記載の音響装置。
【請求項38】
前記ダイアフラムは開口を含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項39】
前記開口内に装着され、ある面積と動作周波数帯域とを有し、前記動作周波数帯域内に共振モードを有するようにする第2のダイアフラムと、
前記ダイアフラムに結合され該ダイアフラムとエネルギーを交換するように適合された駆動部を有する電気機械式変換器と、
前記ダイアフラムに結合され又は一体化された少なくとも1つの機械インピーダンス手段と、
を備え、
前記変換器の駆動部及び前記少なくとも1つの機械インピーダンス手段の位置決めと質量は、前記第2のダイアフラムの領域にわたる正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあることを特徴とする請求項38に記載の音響装置。
【請求項40】
前記開口に装着された部材を備え、前記開口は実質上音響的にシールされることを特徴とする請求項38に記載の音響装置。
【請求項41】
前記ダイアフラムは、実質的に平面であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項42】
請求項7に従属する場合、前記サスペンションの質量は、前記変換器の駆動部の質量に対してスケーリングされることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項43】
前記音響装置はラウドスピーカであり、前記変換器は、前記変換器に供給される電気信号に応答して前記ダイアフラムに撓み波エネルギーを供給するように適合されており、前記ダイアフラムは、放射領域にわたって音響音を放射するように適合されていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の音響装置。
【請求項44】
前記ダイアフラムの放射領域を取り囲むバッフルを備えることを特徴とする請求項43に記載の音響装置。
【請求項45】
ある面積と動作周波数帯域とを有するダイアフラムを備えた音響装置を形成する方法であって、
前記動作周波数帯域内に共振モードを有するように前記ダイアフラムのパラメータを選択する段階と、
電気機械式変換器の駆動部を前記ダイアフラムに結合して前記ダイアフラムとエネルギーを交換する段階と、
前記ダイアフラムに少なくとも1つの機械インピーダンス手段を追加する段階と、
前記面積にわたる正味の横断モード速度がゼロになる傾向にあるように、前記変換器の駆動部の位置決めと質量及び前記少なくとも1つの機械インピーダンスの位置決めと質量を選択する段階と、
を含む方法。
【請求項46】
自由振動ダイアフラムの速度プロファイルを前記ダイアフラムの速度プロファイルにマッピングする段階を含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記動作周波数帯域内に2つのダイアフラムモードが存在するように前記ダイアフラムのパラメータを配置する段階を含む請求項45又は請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ピストン−モード移行を含むように前記動作周波数帯域を配置する段階と、前記ダイアフラムを平行移動させるように前記変換器を配置する段階とを含む請求項45から請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記変換器の駆動部を前記ダイアフラムに結合する段階を含む請求項45から請求項48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つの機械インピーダンス手段を前記動作周波数帯域内の前記ダイアフラムのモードの平均ノード位置にあるように配置する段階を含む請求項45から請求項49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記変換器は、前記駆動部を形成するボイスコイルと磁石システムとを有する可動コイル装置であり、前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で前記ボイスコイルを前記ダイアフラムに結合する段階を更に含む請求項45から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記動作周波数帯域内のモードの平均ノード位置で弾性サスペンションを前記ダイアフラムに結合し、前記サスペンションをシャーシに結合する段階を含む請求項45から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
請求項51に従属する場合、前記磁石システムを前記シャーシに結合する段階を含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記サスペンションが前記ダイアフラムに結合される位置とは異なる位置で前記変換器の駆動部を前記ダイアフラムに結合する段階を含む請求項52又は請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記サスペンションの質量を前記変換器の駆動部の質量に対してスケーリングする段階を含む請求項52から54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ダイアフラムを実質的に円形の周縁部と質量中心とを有するように配置する段階を含む請求項45から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
第1のダイアフラムモードがka=2(kは波数、aはダイアフラム半径)未満になるように前記ダイアフラムのパラメータを配置する段階を含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ダイアフラムの駆動直径を該ダイアフラムの中心とその周縁部との間で変化させることによって前記ダイアフラムのモードを平衡させる段階と、前記駆動直径が変化するときに平均駆動点アドミタンスを計算する段階と、前記アドミタンスの最小値によって与えられる位置に機械インピーダンスを追加する段階と、を含む請求項56又は請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項50から55のいずれか1項に従属する場合、前記又は各平均ノード位置を環状部にあるように配置する段階と、前記動作周波数帯域内の前記半径方向モードの数から前記ダイアフラムの直径に対する前記環状部の直径の比率を求める段階とを含む請求項56から58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
軸方向のモードを考慮する段階を含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記変換器の駆動部を前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に前記ダイアフラムに結合する段階を含む請求項56から60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記サスペンションを前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に該ダイアフラムの周縁部から離れて結合する段階を含む請求項56から61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの機械インピーダンスを環状質量体として配置する段階を含む請求項56から62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
幾つかの環状質量体を提供する段階を含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ダイアフラムを略矩形であり質量中心を有するように配置する段階を含む請求項45から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のダイアフラムのモードがkl=4(kは波数、lは前記ダイアフラムの長さ)未満になるように前記ダイアフラムのパラメータを選定する段階を含む請求項65に記載の方法。
【請求項67】
請求項50から55のいずれか1項に従属する場合、前記又は各平均ノード位置を1対の対向する位置にあるように配置する段階と、前記動作周波数帯域内のモードの数から前記ダイアフラムの全長の半分に対する前記質量中心からの各対向位置の距離の比を求める段階とを含む請求項65又は請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記変換器を各対向する位置に装着する段階を含む請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記変換器の駆動部が前記2つの対向する位置を駆動するように前記ダイアフラム上の中心に前記変換器を装着する段階を含む請求項67に記載の方法。
【請求項70】
請求項52に従属する場合、前記対向する位置にサスペンションを位置付ける段階を含む請求項67から69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
1対の質量体の形態の機械インピーダンス手段を付加する段階と、各質量体を前記対向する位置の1つに位置付ける段階とを含む請求項67から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記ダイアフラムに幾つかの対の質量体を付加する段階を含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ダイアフラムをビーム状で且つ前記ダイアフラムの長軸に沿ったモードを有するように配置する段階を含む請求項65から72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記変換器手段の駆動部と前記少なくとも1つの機械インピーダンスを前記ダイアフラムの長軸に沿って結合する段階を含む請求項73に記載の方法。
【請求項75】
最も低いクロスモードを除去するために前記ダイアフラムの幅に対する前記変換器の駆動部の直径の比を選定する段階を含む請求項65から74のいずれか1項記載の方法。
【請求項76】
前記ダイアフラムの幅に対する前記変換器の駆動部の直径の比が約0.8であるように選定する段階を含む請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ダイアフラムの中心に向かって値が減少するように前記質量体を配置する段階を含む請求項64から72に記載の方法。
【請求項78】
前記質量体を前記変換器の駆動部の質量に対してスケーリングする段階を含む請求項64、請求項72、又は請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ダイアフラムを撓み剛性に関して等方性であるように配置する段階を含む請求項45から78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
減衰されることになるモードを選択する段階と、前記選択されたモードが減衰されるようにダイアフラム速度が高速の場所で前記ダイアフラムに減衰手段を付加する段階とを含む請求項45から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
請求項56から64のいずれか1項に従属する場合、環状減衰パッドの形態の減衰手段を前記ダイアフラムの質量中心と同心円状に結合する段階を含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
軽量の剛体アダプタの形態のサイズアダプタを使用して前記変換器を前記ダイアフラムに結合する段階を含む請求項45から81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
第1の直径において前記カプラを前記変換器に結合する段階と、第2の直径において前記カプラを前記ダイアフラムに結合する段階とを含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記ダイアフラム中に開口を設ける段階を含む請求項45から83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記ダイアフラムの開口内に、ある面積と動作周波数帯域とを有する第2のダイアフラムを配置する段階と、
前記動作周波数帯域内に共振モードを有するように前記第2のダイアフラムのパラメータを選定する段階と、
撓み波エネルギーを交換するために前記変換器の駆動部を前記第2のダイアフラムに結合する段階と、
前記ダイアフラムに少なくとも1つの機械インピーダンス手段を取り付ける段階と、
を含む請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記開口にシール部材を装着してこれにより前記開口が実質上音響的にシールされる段階を含む請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ダイアフラムを実質的に平面であるように配置する段階を含む請求項45から86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
請求項52に従属する場合、前記サスペンションの質量を前記変換器の駆動部の質量に対しスケーリングする段階を含む請求項45から87のいずれか1項に記載の方法。

【図9i−j】連続質量体をそれぞれ使用して4つのモード解決策における周波数に伴って変動する音圧レベルと音響パワーレベルを示すグラフである。
【図9k】最適化法の後のパネルの最初の3つのモードを示すグラフである。
【図10a】円形ダイアフラムを含むラウドスピーカの第1のモードよりも下方、第1のモードから第2のモードまで、及び第2のモードよりも上方の周波数応答をそれぞれ示す図である。
【図10b】図10aの帯域内のラウドスピーカのピストンの変位を示す図である。
【図10c】図10aの帯域内のラウドスピーカのモードの変位を示す図である。
【図10d】図10aの帯域内のラウドスピーカのモードの変位を示す図である。
【図10e】両方のモードの平衡が取られた図10aのラウドスピーカの第1のモードよりも下方、第1のモードから第2のモードまで、及び第2のモードよりも上方の周波数応答をそれぞれ示す図である。
【図10f】図10eの帯域内のラウドスピーカのピストンの変位を示す図である。
【図10g】図10eの帯域内のラウドスピーカのモードの変位を示す図である。
【図10h】図10eの帯域内のラウドスピーカのモードの変位を示す図である。
【図10i】図10eのラウドスピーカの、第1のモードよりも下方、第1のモードから第2のモードまで、及び第2のモードよりも上方の周波数応答をそれぞれ示す図である。
【図10j】図10iのラウドスピーカのピストンの指向性を示す図である。
【図10k】図10iの帯域内のラウドスピーカのモードの指向性を示す図である。
【図10l】図10iの帯域内のラウドスピーカのモードの指向性を示す図である。
【図11a】4つの異なる環状位置で駆動される円形パネルを有するラウドスピーカの周波数に伴う音圧と及びパワーの変動のシミュレーションである。
【図11b】4つの異なる環状位置で駆動される円形パネルを有するラウドスピーカの周波数に伴う音圧と及びパワーの変動のシミュレーションである。
【図11c】4つの異なる環状位置で駆動される円形パネルを有するラウドスピーカの周波数に伴う音圧と及びパワーの変動のシミュレーションである。
【図11d】4つの異なる環状位置で駆動される円形パネルを有するラウドスピーカの周波数に伴う音圧と及びパワーの変動のシミュレーションである。
【図11e】より軽量の外側質量体を備えて図11dで使用される環状位置での駆動円形パネルを有するラウドスピーカの周波数に伴う音圧及びアワーの変動のシミュレーションである。
【図12a】本発明の別の実施形態の断面図である。
【図12b】本発明の別の実施形態の断面図である。
【図12c】図12a及びと図12bの実施形態の周波数に対するパワー応答のグラフである。
【図13】半径に対する図12aと12bのパネルの最初の3つのモードの応答の対数平均のグラフである。
【図14】本発明の別の実施形態の図である。
【図15】最も内側の環状の場所に対する質量体の10%変動の作用を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図16】最も内側の環状の場所に対する環状場所の10%変動の作用を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図17a】中間の環状の場所に対する質量体の10%変動の作用を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図17b】中間の環状の場所に対する環状場所の10%変動の作用を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図18a】最も中間の環状の場所に対する質量体の10%変動の効果を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図18b】最も中間の環状の場所に対する環状の場所の10%変動の効果を示す周波数に対する音圧のグラフである。
【図19】環状の場所と質量体を20%同時に変更した影響を示す周波数(Hz)に対する音圧(db)のグラフである。
【図20】望ましい円形パネルを実現するために環状ダイアフラムを使用して近似する効果を示す周波数(Hz)に対する音圧(db)のグラフである。
【図21】最初の2つのモードの平衡が取られ、単一の減衰パッドが装着されたラウドスピーカのオン・アクシス音圧レベル(SPL)と音響パワーレベル(SWL)曲線(それぞれ下側と上側の曲線)を示す図である。
【図22a】本発明の別の態様によるラウドスピーカの平面図である。
【図22b】図22aのラウドスピーカのオン・アクシス音圧レベル(SPL)と音響パワーレベル(SWL)曲線(それぞれ下側と上側の曲線)を示す図である。
【図23】円錐台カプラの斜視図である。
【図24】図23のカプラを組み込んだラウドスピーカ駆動ユニットの側面図である。
【図25】図24の駆動ユニットの後面図である。
【図26a】図23の駆動ユニットの変形形態の周波数(Hz)に対する音圧(db)を示す図である。
【図26b】図23の駆動ユニットの変形形態の周波数(Hz)に対する音圧(db)を示す図である。
【図26c】図23の駆動ユニットの変形形態の周波数(Hz)に対する音圧(db)を示す図である。
【図26d】図23の駆動ユニットの変形形態の周波数(Hz)に対する音圧(db)を示す図である。
【図27a】本発明の第2の実施形態の平面図である。
【図27b】図27aの線AAに沿った断面図である。
【図28a】図12bの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図28b】図27aの装置における先端角が158°の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図28c】図27aの装置における先端角が174°の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図28d】図27aの装置における先端角が166°の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図29a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図29b】図29aの線AAに沿った断面図である。
【図30a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図30b】図30aの線AAに沿った断面図である。
【図31】図29aのパネルの最初の4つのモードのパネル直径を有するアドミタンスYmの実数部の平均値の変動を示すグラフである。
【図32a】図29aの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図32b】様々な環状質量体を有する図29aの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図32c】様々な環状質量体を有する図29aの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図32d】様々な環状質量体を有する図29aの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図33a】本発明の実施形態による装置内に組み込むことができる代替のパネルの断面図である。
【図33b】本発明の実施形態による装置内に組み込むことができる代替のパネルの断面図である。
【図34a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図34b】図34aの線AAに沿った断面図である。
【図35a】1つの質量体を有する、2つの質量体を有する、及び質量を持たない図34aの装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図35b】1つの質量体を有する、2つの質量体を有する、及び質量を持たない図34aの装置の周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図36a】理論上のラウドスピーカ周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図36b】理論上のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図36c】実際のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図36d】全長の半分に対する図34aのパネルの最初の2つのモードの対数平均アドミタンスのグラフである。
【図36e】全長の半分に対する図34aのパネルの最初の3つのモードの対数平均アドミタンスのグラフである。
【図36f】全長の半分に対する図34aのパネルの最初の4つのモードの対数平均アドミタンスのグラフである。
【図36g】全長の半分に対する図34aのパネルの最初の5つのモードの対数平均アドミタンスのグラフである。
【図36h】2つのモード解決策の周波数に対する音圧レベルのグラフである。
【図36i】5つのモード解決策の周波数に対する音圧レベルのグラフである。
【図37】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図38】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図39a−39b】質量体がある場合と質量がない場合の図38の装置の周波数に伴うオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図39a−39b】質量体がある場合と質量がない場合の図38の装置の周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図40a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図40b】図40aの線AAに沿った断面図である。
【図41a】図40aの実施形態のダイアフラムの最初の4つのモード形状のグラフである。
【図41b】図41aのモード形状のフーリエ変換のグラフである。
【図41c】図40aのダイアフラムの第1のモードと最初の2つのモードの両方の応答の対数平均を示すグラフである。
【図41d】図40aのダイアフラムの最初の3つのモードと最初の4つのモードの両方の応答の対数平均アドミタンスを示すグラフである。
【図42a】理論上のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図42b】理論上のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図42c】実際のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図43a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図43b】図43aの実施形態のダイアフラムの最初の4つのモード形状のグラフである。
【図43c】図43aのダイアフラムの第1のモードと最初の2つのモードの両方の対数平均アドミタンスを示すグラフである。
【図43d】図43aのダイアフラムの最初の3つのモードと最初の4つのモードの両方の対数平均アドミタンスを示すグラフである。
【図44a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図44b】図44aの実施形態のダイアフラムの最初の4つのモード形状のグラフである。
【図45】矩形ピストン式スピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図46】理論上の共振パネル型スピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図47】実際の共振パネル型スピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧と半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図48a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図48b】本発明の別の実施形態の側面図である。
【図49】図48aの実施形態の周波数に伴うオン・アクシス音圧との変動を示すグラフである。
【図50】図48aの実施形態の周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図51a】図48aの実施形態上の変動に対する周波数に伴うオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図51b】図48aの実施形態上の変動に対する周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図52a】カプラを備えたラウドスピーカの断面図である。
【図52b】カプラを備えたラウドスピーカの背面図である。
【図53a】カプラの第2の実施形態を含むラウドスピーカの断面図である。
【図53b】カプラの第2の実施形態を含むラウドスピーカの背面図である。
【図54】ボイスコイルの半径ρに対する変換器のボイスコイルの有効正味力Fのグラフである。
【図55a】円形ダイアフラムの1/4の平面図である。
【図55b】ビーム状ダイアフラムの1/4の平面図である。
【図55c】図55aと55bの1/4ダイアフラムの側面図である。
【図56a】サスペンション平衡化質量体がある場合とない場合のラウドスピーカの周波数に伴うオン・アクシス音圧の変動を示すグラフである。
【図56b】サスペンション平衡化質量体がある場合とない場合のラウドスピーカの周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図56c】サスペンション平衡化質量体がある場合とない場合のラウドスピーカの周波数に伴う半空間パワーの変動を示すグラフである。
【図57a】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図57b】図57aの線AAに沿った断面図である。
【図58】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図59】本発明の別の実施形態の部分断面図である。
【符号の説明】
【0233】
10 円形パネル
20、22、24 質量体
26 ボイスコイル
【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図9c】
image rotate

【図9d】
image rotate

【図9e】
image rotate

【図9f】
image rotate

【図9g】
image rotate

【図9h】
image rotate

【図9i】
image rotate

【図9j】
image rotate

【図9k】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図10c】
image rotate

【図10d】
image rotate

【図10e】
image rotate

【図10f】
image rotate

【図10g】
image rotate

【図10h】
image rotate

【図10i】
image rotate

【図10j】
image rotate

【図10k】
image rotate

【図10l】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図11c】
image rotate

【図11d】
image rotate

【図11e】
image rotate

【図12a】
image rotate

【図12b】
image rotate

【図12c】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17a】
image rotate

【図17b】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22a】
image rotate

【図22b】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26a】
image rotate

【図26b】
image rotate

【図26c】
image rotate

【図26d】
image rotate

【図27a】
image rotate

【図27b】
image rotate

【図28a】
image rotate

【図28b】
image rotate

【図28c】
image rotate

【図28d】
image rotate

【図29a】
image rotate

【図29b】
image rotate

【図30a】
image rotate

【図30b】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32a】
image rotate

【図32b】
image rotate

【図32c】
image rotate

【図32d】
image rotate

【図33a】
image rotate

【図33b】
image rotate

【図34a】
image rotate

【図34b】
image rotate

【図35a】
image rotate

【図35b】
image rotate

【図36a】
image rotate

【図36b】
image rotate

【図36c】
image rotate

【図36d】
image rotate

【図36e】
image rotate

【図36f】
image rotate

【図36g】
image rotate

【図36h】
image rotate

【図36i】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39a】
image rotate

【図39b】
image rotate

【図40a】
image rotate

【図40b】
image rotate

【図41a】
image rotate

【図41b】
image rotate

【図41c】
image rotate

【図41d】
image rotate

【図42a】
image rotate

【図42b】
image rotate

【図42c】
image rotate

【図43a】
image rotate

【図43b】
image rotate

【図43c】
image rotate

【図43d】
image rotate

【図44a】
image rotate

【図44b】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48a】
image rotate

【図48b】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51a】
image rotate

【図51b】
image rotate

【図52a】
image rotate

【図52b】
image rotate

【図53a】
image rotate

【図53b】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55a】
image rotate

【図55b】
image rotate

【図55c】
image rotate

【図56a】
image rotate

【図56b】
image rotate

【図56c】
image rotate

【図57a】
image rotate

【図57b】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate


【公表番号】特表2007−533230(P2007−533230A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507835(P2007−507835)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001352
【国際公開番号】WO2005/101899
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(505209670)ニュー トランスデューサーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】