説明

頂部把持型カートン

【課題】 容易な組立工程で確実に物品を収容することが可能であり、しかも低コストなカートンおよびカートンブランクを提供する。
【解決手段】缶等の物品を複数保持するための頂部把持型カートンであって、物品カバー構造と、一対の側壁パネルとを備え、物品カバー構造は、少なくとも1つの頂壁パネルと、各々が物品係合スリットを有する一対の物品固定パネルとを備え、一対の側壁パネルは、各々が一対の物品固定パネルの低い方の端部に接続され、隣接する側壁パネルの端部どうしは、カートンの前端部および後端部において互いに接続されて、カートンの前端部および後端部に延在して物品を固定する固定部材を形成することを特徴とする頂部把持型カートン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶などの複数の物品を収容するカートンに係り、特に、組み立てが容易で、かつ原材料コストを大幅に削減することができるカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ソフトドリンク等の飲料用缶等の物品を複数収容して流通や消費者の使用に供されるカートンが提供されている。消費者は、そのような物品をカートン単位で購入した際には、カートンの頂部に形成された把持手段によってカートンを持ち運び、物品を取り出す際は、カートンを破壊して物品を取り出している。
【0003】
一般に、物品を収容するカートンには、頂壁パネル、底壁パネルおよび前後左右の側壁パネルからなる箱状のカートンや、頂壁パネル、底壁パネルおよび一対の側壁パネルからなり、前端と後端が開放された筒状構造を有するいわゆるラウンドアップカートン等が用いられている。
【0004】
しかしながら、このような箱状カートンやラウンドアップカートンでは、収容する物品の全体を覆う必要があるため、原材料として用いられるボール紙等の使用量が多く、コストの面での改善が求められていた。
【0005】
この問題に対して、収容される物品の一部、例えば缶の上端部のみを固定するだけで缶全体を固定・収容することができ、原材料の使用量が少なくて済む頂部把持型カートンが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0006】
しかしながら、上記文献に記載の頂部把持型カートンは、缶の上端部では固定されているが、それ以外の部分、例えば缶の側面や底部においては、何ら支持手段が講じられていないので、カートンを把持して移送する際に缶の下部が水平方向に動いてしまい、その結果、缶の上端部の固定が外れて缶がカートンから脱落してしまうという問題を有していた。
【0007】
この問題に対し、缶の上端部の固定に加えて、側壁パネルおよび側壁パネル固定手段を備えた頂部把持型カートンが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このカートンによれば、缶の上端部を固定した後、側壁パネルを缶の側面に密着させ、さらにカートン前端部および後端部において、側壁パネルを固定することができるので、缶が水平方向に動いてカートンから脱落することを抑制することができる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,245,711号(図面、要約書)
【特許文献2】米国特許第3,432,202号(図面、要約書)
【特許文献3】米国特許第5,355,999号(図面、要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載のカートンの側壁パネル固定手段は、カートン前端部および後端部において、側壁パネルどうしを連結する複数のパネルの折り込み工程を必要とし、カートンの組み立てが煩雑であるという問題を有していた。また、側壁パネルどうしを連結する複数のパネルは、単に折り込んだだけではカートンの使用中に緩みが発生して物品の脱落の原因となっており、これを抑制するにはこれらのパネルの糊貼り工程を必要とし、機械を用いたカートン組立工程の自動化を達成することが困難であるという問題を有していた。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、少ない原材料の使用でコストを軽減することができ、確実に物品を固定・収容することが可能であり、しかも容易な組立工程によって自動化を達成することも可能な頂部把持型カートンおよびそのカートンブランクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、缶等の物品を複数保持するための頂部把持型カートンであって、物品カバー構造と、一対の側壁パネルとを備え、物品カバー構造は、少なくとも1つの頂壁パネルと、各々が物品係合スリットを有する一対の物品固定パネルとを備え、一対の側壁パネルは、各々が一対の物品固定パネルの低い方の端部に接続され、隣接する側壁パネルの端部どうしは、カートンの前端部および後端部において互いに接続されて、カートンの前端部および後端部に延在して物品を固定する固定部材を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の本発明の頂部把持型カートンにあっては、主に頂壁パネルおよび側壁パネルによって物品を固定し、しかも隣接する側壁パネルの端部を互いに接続して固定部材とすることができるので、物品を確実に固定・収容することができるのはもちろんのこと、前後端パネルや底壁パネルを必要とする従来のカートンと比較して原料コストを大幅に削減することができる。また、側壁パネルの接続手段が従来のカートンと比較して簡素化されているため、機械化されたラインで組み立ての自動化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下に説明する形態のカートンおよびカートンブランクに限定されない。
図1には、缶などの物品を複数収容するためのカートンを形成するためのものであって、ボール紙またはそれに類する折り曲げ自在なシート材から作製されたブランク1aが示されている。図1において、ブランク1aは、第1側壁パネル10aと、物品固定パネル11,13と、第1頂壁パネル12と、把持パネル14aと、物品固定パネル15,17と、第2頂壁パネル16と、第2側壁パネル18aとを備え、これらは折目線20〜28によって折り曲げ自在に連続的に接続されている。これらパネルを折り曲げることによって、物品固定パネルおよび頂壁パネルによって缶等の物品の頂部を固定し、側壁パネルによって物品の側面を支持するカートンが形成される。これらパネル10a〜18a上およびパネルの縁部には、以下に説明する各種のフラップおよびスリットが形成されている。
【0014】
物品固定パネル11,13上には、切り込み線からなる物品固定スリット41によって物品固定フラップ31が打ち抜き形成されている。この物品固定スリット41は、第1頂壁パネル12と物品固定パネル11,13との境界線である折目線21,22上に突出するように形成されている。この物品固定スリット41および物品固定フラップ31は、対をなして複数対形成されている。また、同様に、物品固定パネル15,17上にも、切り込み線からなる物品固定スリット41によって物品固定フラップ31が打ち抜き形成されており、この物品固定スリット41は、第2頂壁パネル16と物品固定パネル15,17との境界線である折目線26,27上に突出するように、かつ対をなして複数対形成されている。
【0015】
カートンが組み立てられた状態においては、これら物品固定フラップ31を物品の頂面に接触させ、同時に、これら物品固定スリット41に物品の頂面の端部を引っ掛けて物品固定フラップ31および物品固定スリット41の挟み込みによって物品を支持し、カートンから脱落するのを防ぐ。この支持機構は、物品の頂面を固定しているので、物品の鉛直方向の脱落を防止することができる。
【0016】
第2側壁パネル18aの前端側(図1において左側)および後端側(同右側)においては、スライドロックフラップ30が形成されている。また、第1側壁パネル10aの前端側および後端側においては、スライドロックフラップ受容スリット40が打ち抜き形成されている。
【0017】
カートンが組み立てられた状態においては、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aは、それぞれ端部に形成されたスライドロックフラップ30をスライドロックフラップ受容スリット40に挿入することにより、カートンの前端および後端において延在し物品を支持する固定部材を形成する。この固定部材は、物品の側面を支持して物品を水平方向に拘束しており、カートンから物品が脱落するのを防ぐことができる。
【0018】
2つの把持パネル14a上には、把持フラップ32aがそれぞれ打ち抜き形成されている。これら把持フラップ32aは、カートンが組み立てられた状態において把持手段(取っ手)を形成し、使用者は、この把持手段を把持して、物品を収容したカートンの持ち運びを容易にすることができる。
【0019】
図1に示すブランク1aからカートンを組み立てるために、連続的な折り曲げ作業が行われる。折り曲げ作業は、直線状の機械ラインでブランクないしカートンを反転または回転させることなく行われる。以下はその手順を示すものであるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0020】
まず、缶の上端部を下にして頂壁パネル上に載置する方法を説明する。水平に置かれたブランク1aの第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル16上に例えば缶等の物品を1列ずつ載置する。次に、折目線21に沿って物品固定パネル11および第1側壁パネル10aを上方(カートン内方)に折り曲げ、物品固定フラップ31と物品固定スリット41との間に生じた空隙に一方の列の缶の頂面の端部を挿入する。同様に、折目線27に沿って物品固定パネル17および第2側壁パネル18aを上方に折り曲げ、他方の列の缶の頂面の端部を挿入する。続いて、折目線24が下方(カートン外方)に、かつ折目線23および25が上方(カートン内方)に移動するように同時に折り曲げて把持パネル14aどうしを近接させるとともに折目線22および26に沿って物品固定パネル13および15を上方(カートン内方)に折り曲げ、物品固定フラップ31と物品固定スリット41との間に生じた空隙に缶の頂面の他端部を挿入する。
【0021】
最後に、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aを缶の外周を包むように折り曲げて缶の側面に密着させ、第2側壁パネル18aの両端部に形成されたスライドロックフラップ30を対向する第1側壁パネル10aの両端部に形成されたスライドロックフラップ受容スリット40に挿入して、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aを接続し、固定部材とする。こうして図11に示すような、カートンに複数の缶が荷積みされたパッケージが完成する。
【0022】
なお、上述の方法においては、缶を最初に2列載置して左右対称にカートンの組み立てを行なったが、他の実施形態として、缶をまず一方の頂壁パネル上に1列載置して物品固定フラップ31と物品固定スリット41による缶の頂面の両端の固定を行い、続いてもう一方の頂壁パネル上に缶を載置して物品固定フラップ31と物品固定スリット41による缶の頂面の固定を順次行なってもよい。
【0023】
次に、缶の上端部を上にして並べ、その上にカートンブランクを載置する方法を説明する。水平に2列に並べられた缶の上に、ブランク1aの第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル16上の物品固定スリット41の位置を合わせてブランク1aを載置する。次に、折目線21に沿って物品固定パネル11および第1側壁パネル10aを下方(カートン内方)に折り曲げ、物品固定フラップ31と物品固定スリット41との間に生じた空隙に一方の列の缶の頂面の端部を挿入する。同様に、折目線27に沿って物品固定パネル17および第2側壁パネル18aを下方に折り曲げ、他方の列の缶の頂面の端部を挿入する。続いて、折目線24が上方(カートン外方)に、かつ折目線23および25が下方(カートン内方)に移動するように同時に折り曲げて把持パネル14aどうしを近接させるとともに折目線22および26に沿って物品固定パネル13および15を下方(カートン内方)に折り曲げ、物品固定フラップ31と物品固定スリット41との間に生じた空隙に缶の頂面の他端部を挿入する。
【0024】
最後に、上述の方法と同様に、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aを缶の外周を包むように折り曲げて缶の側面に密着させ、第2側壁パネル18aの両端部に形成されたスライドロックフラップ30を対向する第1側壁パネル10aの両端部に形成されたスライドロックフラップ受容スリット40に挿入して、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aを接続し、固定部材とする。
【0025】
本実施形態のカートンにおいては、頂壁パネルおよび物品固定パネルによって物品の上端面を固定して物品を鉛直方向に固定しているとともに、側壁パネル、および側壁パネルの端部からなる固定部材によって物品を水平方向に拘束しているので、従来の箱状カートンやラウンドアップカートンと比較して少ない原材料の使用にもかかわらず物品の脱落を確実に抑制することができる。また、側壁パネル端部からなる固定部材の形成方法がスライドロックフラップのスライドロックフラップ受容スリットへの挿入という簡素化されたものであるため、組み立てを容易に行なうことができるばかりでなく、組み立てラインを自動化することも可能である。しかも、スライドロックフラップは、スライドロックフラップ受容スリットに係合していて容易には外れないので、従来のカートンのように使用に伴って緩みが発生することも抑制される。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態に係るカートンブランク1bを図2に示す。図2において、ブランク1bは、第1側壁パネル10aと、物品固定パネル11と、第1頂壁パネル12と、把持パネル14と、第2頂壁パネル16と、物品固定パネル17と、第2側壁パネル18aとを備え、これらは折目線20〜28によって折り曲げ自在に連続的に接続されている。図1のブランク1aと異なっている点は、図1における物品支持パネル13,15が省略されて把持パネルと一体化し、把持パネル14bに物品支持パネルとしての機能を持たせた点である。これらパネルを折り曲げて、物品固定パネルと頂壁パネルによって物品の頂面の一端を固定し、把持パネルと頂壁パネルによって物品の頂面の他端を固定し、さらに側壁パネルによって物品の側面を支持するカートンが形成される。これらパネル10a〜18a上およびパネルの縁部には、以下に説明する各種のフラップおよびスリットが形成されている。
【0027】
ブランク1aと同様に、物品固定パネル11,17上には切り込み線からなる物品固定スリット41によって物品固定フラップ31が打ち抜き形成されており、この物品固定スリット41は、第1頂壁パネル12と物品固定パネル11との境界線である折目線21および第2頂壁パネル16と物品固定パネル17との境界線である折目線27上に突出するように形成されている。また、切り込み線からなる物品固定スリット41によって打ち抜き形成された物品固定フラップ31は、第1頂壁パネル12と把持パネル14bとの境界線22、第2頂壁パネル16と把持パネル14bとの境界線26上にも突出するように形成されており、それぞれ対をなして複数対形成されている。
【0028】
また、ブランク1aと同様に、第2側壁パネル18aの前端側および後端側においては、スライドロックフラップ30が形成され、第1側壁パネル10aの前端側および後端側においては、スライドロックフラップ受容スリット40が打ち抜き形成されている。
【0029】
2つの把持パネル14b上には、指掛け孔42および指掛けフラップ32bが打ち抜き形成されている。指掛け孔42は、カートンが組み立てられた状態において、使用者は、指を挿入するためのものであり、物品を収容したカートンの持ち運びを容易にすることができる。また、指掛けフラップ32bは、指掛け孔42に指を挿入した際に鋭利なブランクの端部が指に押圧されるのを緩和するために設けられている。
【0030】
ブランク1bからカートンを組み立てるための連続的な折り曲げ作業は、上述のブランク1aに準じるので説明を省略する。ブランク1aと異なる点である把持パネル14bは、折目線24がカートン内方に移動するように折り曲げられる。このブランク1bを組み立てた複数の缶が荷積みされたパッケージを図12に示す。
【0031】
本発明の他の実施形態に係るカートンブランク1cを図3に、1dを図4に示す。ブランク1cおよび1dを構成する各パネル、折目線、フラップ、およびスリットはブランク1aおよび1bに準じるので説明を省略する。ブランク1aおよび1bと異なる点は、カートンの前端部および後端部に該当する第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aの両端部(図3および図4において右側および左側)である。この部分は、糊付け部となっており、第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aを接続する際にどちらか一方に糊付けを行い、これらパネルを接続し、固定部材とすることができる。
【0032】
本発明の他の実施形態に係るカートンブランク1e〜1hをそれぞれ図5〜図8に示す。ブランク1e〜1hにおいては、ブランク1a〜1dにおける第1側壁パネル10aおよび第2側壁パネル18aがそれぞれ第1短縮側壁パネル10bおよび第2短縮側壁パネル18bに置き換えられている。これらブランク1e〜1hのブランクに複数の缶が荷積みされたパッケージの斜視図を図13および図14に示す。図に示すように、短縮側壁パネルは、収容される缶のうちの一部(中央)の缶のみに密着して固定されている。
【0033】
これらカートンの組み立て手順としては、第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル16上の中央部のみに缶を1個ずつ載置する以外は上述の手順と同様に、カートンを構成する各パネルを順次折り曲げ、第1短縮側壁パネル10bおよび第2短縮側壁パネル18bをこれら2個の缶の周囲に密着させて、第1短縮側壁パネル10bおよび第2短縮側壁パネル18bの両端に形成されたスライドロックフラップあるいは糊付けの接続手段によって第1短縮側壁パネル10bおよび第2短縮側壁パネル18bを互いに接続し、固定部材とする。最後に第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル16上の残りの箇所に缶を配置して、物品固定フラップ31および物品固定スリット41によって固定する。
【0034】
以上説明したブランク1e〜1hによれば、第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル18上の中央部に配置された缶が互いに短縮側壁パネルおよび短縮側壁パネルの両端部に形成された固定部材によって拘束されているため、第1頂壁パネル12および第2頂壁パネル16が互いに固定されて乖離することができない。その結果、カートンに固定された全ての缶の水平方向への動きを抑制することができる。さらに、短縮された側壁パネルを用いているので、カートンの原料コストをさらに削減することができて好適である。
【0035】
以上の実施形態においては、固定部材の形成方法としてスライドロックフラップとスライドロックフラップ受容スリットの係合および糊付けの例を説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、任意の接続手段を講じることができる。
【0036】
そのような他の接続手段の例としては、図9に示すプランジャロック機構が挙げられる。図9(A)において符号33は、第2側壁パネル18a,bの端部に形成されたプランジャロックフラップであり、符号43は、隣接する第1側壁パネル10a,bの端部に打ち抜き形成されたプランジャロックフラップ受容スリットである。図9(B)に示すように、プランジャロックフラップ33をプランジャロックフラップ受容スリット43と重ね、プランジャロックフラップ33の延在方向に対して垂直にプランジャロックフラップ33を押圧し、プランジャロックフラップ受容スリット43内に挿入し、係合させることで固定部材を形成することができる。
【0037】
さらに他の接続手段の例としては、図10に示すヒールアンドトウロック機構が挙げられる。図10(A)において符号34は、第2側壁パネル18a,bの端部に形成されているトウフラップであり、符号35は、第2側壁パネル18a,bの端部より内方打ち抜き形成されたヒールフラップであり、符号44は、隣接する第1側壁パネル10a,bの端部に打ち抜き形成されたヒールアンドトウロックフラップ受容開口部である。この機構は、まず、トウフラップ34を受容開口部44に挿入してスライドさせ、第1側壁パネルおよび第2側壁パネルを図9(B)に示す位置になるように重ね合わせ、トウフラップ34を受容開口部44の一端に係合させる。続いて、ヒールフラップ35を垂直に押圧して受容開口部44内に挿入し、受容開口部44の他端に係合させることで固定部材を形成することができる。このヒールアンドトウロック機構は、トウフラップおよびヒールフラップの両フラップが受容開口部の両端に係合しており、強固な固定部材が得られて好適である。
【0038】
以上説明した本発明の実施形態では、一対の頂壁パネルを有し、2列の缶を収容するカートンを例に取って説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、例えば、1個の頂壁パネルを有して1列からなる物品を収容するカートン、あるいは3列、4列といった任意の列数・個数の物品を収容するカートンに応用することが可能である。
【0039】
また、以上説明した本発明の実施形態では、把持手段を形成するための把持パネルを有するカートンの例を説明したが、把持手段は必須の構成要素ではなく、本発明は、把持パネルを省略した形のカートンや、他の任意の把持手段が形成されたカートンに応用することが可能である。
【0040】
上記の説明で使用した頂、底、端、前、後、内側、および外側などの方向を表わす用語は、それぞれのパネルをそのような方向に限定するものではなく、単にパネルどうしを互いに区別するためのものにすぎない。折目線という用語は必ずしも単一の折目線を指すものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、1または複数の刻み線や、例えばミシン目やプレス型押しで薄くした線等の容易に折れたり曲がったりする線であっても良い。また、本発明は、発明の範囲から逸脱することなく、種々の配列の物品のカートンに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明によれば、少ない原材料の使用でコストを軽減することができ、確実に物品を固定・収容することが可能であり、しかも容易な組立工程によって自動化を達成することも可能な頂部把持型カートンおよびカートンブランクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】把持手段(取っ手)およびスライドロックフラップ接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図2】指掛け手段およびスライドロックフラップ接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図3】把持手段(取っ手)および糊付け接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図4】指掛け手段および糊付け接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図5】短縮側壁パネル、把持手段(取っ手)およびスライドロックフラップ接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図6】短縮側壁パネル、指掛け手段およびスライドロックフラップ接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図7】短縮側壁パネル、把持手段(取っ手)および糊付け接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図8】短縮側壁パネル、指掛け手段および糊付け接続手段を有する本発明の実施形態であるカートンブランクを示す平面図である。
【図9】プランジャロックフラップ接続手段を示す模式図である。
【図10】ヒールアンドトウロックフラップ接続手段を示す模式図である。
【図11】物品を収納した状態の図1のカートンを示す斜視図である。
【図12】物品を収納した状態の図2のカートンを示す斜視図である。
【図13】物品を収納した状態の図5および図7のカートンを示す斜視図である。
【図14】物品を収納した状態の図6および図8のカートンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1a〜1h カートンブランク
10a 第1側壁パネル
10b 第1短縮側壁パネル
11 物品固定パネル
12 第1頂壁パネル
13 物品固定パネル
14a,b 把持パネル
15 物品固定パネル
16 第2頂壁パネル
17 物品固定パネル
18a 第2側壁パネル
18b 第2短縮側壁パネル
20〜28 折目線
30 スライドロックフラップ
31 物品固定フラップ
32a 把持フラップ
32b 指掛けフラップ
33 プランジャロックフラップ
34 トウフラップ
35 ヒールフラップ
40 ロックフラップ受容スリット
41 物品固定スリット
42 指掛け孔
43 プランジャロックフラップ受容スリット
44 ヒールアンドトウロックフラップ受容開口部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶等の物品を複数保持するための頂部把持型カートンであって、
上記カートンは、物品カバー構造と、一対の側壁パネルとを備え、
上記物品カバー構造は、少なくとも1つの頂壁パネルと、各々が物品係合スリットを有する一対の物品固定パネルとを備え、
上記一対の側壁パネルは、各々が上記一対の物品固定パネルの低い方の端部に接続され、
隣接する上記側壁パネルの端部どうしは、上記カートンの前端部および後端部において互いに接続されて、上記カートンの前端部および後端部に延在して上記物品を固定する固定部材を形成することを特徴とする頂部把持型カートン。
【請求項2】
前記一対の側壁パネルおよび前記固定部材は、収容された全ての物品の外周を取り囲んで固定することを特徴とする請求項1に記載の頂部把持型カートン。
【請求項3】
前記頂部把持型カートンは、少なくとも一対の頂壁パネルを備え、前記一対の側壁パネルおよび前記固定部材は、上記少なくとも一対の頂壁パネルに接して収容された物品のうち、一方の頂壁パネルに固定された物品の側面および他方の頂壁パネルに固定された物品の側面を結ぶ外周を取り囲んで収容することを特徴とする請求項1に記載の頂部把持型カートン。
【請求項4】
前記接続手段は、前記一対の側壁パネルの端部に幅広の係合部を有するスライドロックフラップと、スライドロックフラップの係合部が挿入されて互いに係合する受容スリットとをそれぞれ形成したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の頂部把持型カートン。
【請求項5】
前記接続手段は、前記側壁パネルどうしを互いに接続する糊付けであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の頂部把持型カートン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−151468(P2006−151468A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346171(P2004−346171)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(503185105)ミードウエストベコ パッケージングシステムズ エル・エル・シー (5)
【Fターム(参考)】