頭皮を採取、保存、および移植するシステムおよび方法
生体ユニット、特に毛包ユニット(FU)を採取し、保存し、移植するシステムおよび方法である。このシステムは特に、毛髪移植処置の実行に有用である。FUは、患者にくっついているか切り取った組織片である体表面から採取され、複数の受け部を有するカートリッジに移動される。受け部は除去ツールの方へ開口しているが、受け部の近位端部を覆うカバーによってFUがカートリッジから出るのが防止される。このカバーは許容性媒体でなり、これは液体透過性および/または穿孔可能である。FUを進める方法の一つは圧力差を設けることであり、例えば受け部の近位端に吸引力をかける。シャトルサブシステムが自動化されたロボットシステム内に組み込み可能であり、あるいはシャトルサブシステムは半自動またはマニュアルの装置の一部を構成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、美容および皮膚科学で用いられる物質を保存する装置、システムおよび方法に関し、これは特に頭皮や毛包の保存に有用である。
【背景技術】
【0002】
例えば、将来の検査や処置、または再利用のために、生体ユニットを採取して保存する必要があり、そこには多様な美容および皮膚科学的処理が存在する。毛髪移植処理はこれらの間でよく知られた処置であり、一般に提供者の頭皮を患者の身体のドナー領域、最も多くは頭皮から採取し、これを無毛領域(レシピエント領域)に移植する工程を含む。
【0003】
毛包ユニットは、当該ユニットにおける毛髪の本数に基づいて分類あるいは「種類分け」され、1本の毛包ユニットは「F1」、2本の毛包ユニットは「F2」、3−5本の毛包ユニットも同様に速記される。
【0004】
毛髪移植の多様な処置がこれまでに開示され、これにはマニュアルや、ある程度の自動化を伴う機械化が含まれる。あるよく知られたマニュアル処置では、皮下脂肪組織へメスで切開することにより、頭皮の線形部分がドナー領域から除去される。この切片は(顕微鏡下で)毛包ユニットの成分へと切り分けられ、これらがその後レシピエント領域に針で開けられた穿孔にそれぞれ植毛される。通常は鉗子を用いて毛包ユニット片を把持し、針の穿孔領域に配置するが、これを行う他の器具や方法も知られている。
【0005】
米国特許番号第6,585,746号は、ロボットと、当該ロボットに操作され頭皮を採取し移植する多様なツールとを用いる自動毛髪移植システムを開示する。
【0006】
毛髪移植のマニュアル、半自動、ロボット補助の方法の間は、一般に、採取した毛包ユニットまたは頭皮を移植の前に何らかの保存装置に収容し保持するのが望ましい。同様に、生体物質または組織の除去を要する他の美容および皮膚科学的処置でも、このような物質を処置、再利用、または再移植する前に収容し保存することが望ましい。これらの保存器具は、往々にして頭皮片用の容器からなり、ここから技術者が個々の植皮を移植のために取り出す。マニュアルの毛髪移植処理に用いるいくつかの毛包収容保存器具またはカートリッジの設計の試みがなされているが、マニュアル、部分的または完全自動化、あるいはロボットアシストシステムおよび方法に利用可能な改良デザインの改良型保存器具の明確な需要があった。
【発明の概要】
【0007】
本書に開示する本発明のうちの1つの一般的な態様は、例えば毛包などの生体ユニットを保持する保存器具またはカートリッジが提供される。この保存器具は、第1の面と第2の面とを有し生体ユニットをそこに保持する複数の受け部を規定する本体部を具える。この受け部はそれぞれ、前記本体部を前記第1の面から第2の面へ通り、前記本体部の第1の面に第1の開口部を、前記本体部の第2の面で少なくとも1の第2の開口部を具える。許容性媒体(permissive medium)が複数の受け部の第2の開口部をカバーする。この許容性媒体は、受け部へ/からの生体ユニットの移動を実現し、例えば、メッシュ、スクリーン、紙、シリコーン等のエラストマー材料、多種の再封止可能な材料等である。この許容性媒体は、生体ユニットが第1の開口部を通過して第2の開口部から保存器具を飛び出すのを防ぎ、同時に気体および/または液体の通過を可能にする。
【0008】
一実施例では、保存器具の本体は実質的に円筒状または円盤形状で、円筒軸方向に沿って厚さを有し、複数の受け部が本体の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されている。このパターンは、保存器具の周囲に沿って受け部が円形に少なくとも1列あるものを含むが、このパターンは他の構成であってもよく、これには所望の場合にランダムも含む。代替的に、本体は実質的に厚さ寸法を有する直線的なものであり、受け部が本体の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されていてもよい。例えば、受け部は密集した行列として配列されてもよい。受け部の圧力解放構造が、内部に生成される最大吸引力を制限する。
【0009】
許容性媒体は、本体部に取り付けられ第2の面と第2の開口部の上に少なくとも部分的に延在するカバーを具えてもよい。一実施例では、許容性媒体が受け部の第2の開口部をカバーする各部分は、穿孔されたら使用不能となり、このため保存器具はシングルユースの器具であって好適には使い捨てである。別の実施例では、許容性媒体が受け部の第2の開口部をカバーする各部分は、穿孔された場合も再封止可能であり、この場合は保存器具を2回以上再利用可能である。
【0010】
1の有用な実施例では、生体ユニットは頭皮であり、受け部は前記頭皮をぴったりと受けるよう寸法調整される。さらに、保存器具は,ロボット式毛髪移植システムに取り外し可能に収容されるよう構成される。事実、この保存器具は、1またはそれ以上のハンドヘルド型、半自動、および完全自動のデバイスまたはシステムに取り外し可能に受けられるよう構成されてもよい。複数の受け部のうちの1以上の受け部が、生体ユニット保護溶液を含んでもよく、保存器具は生体ユニットが複数の受け部のうちの1の受け部に保持されたら冷却できるように構成されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様は、毛包ユニット(FUs)を組織へ移植する器具であって、ロボットアームと制御機構を有するロボットシステムを具え、この器具はまた保存カートリッジを搭載する。内部を通る管孔を有する移植ツールが接続され、ロボットアームにより操作される。この器具は、FUを保持するのにそれぞれ適合した複数の受け部を有するカートリッジを具える。制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を移植ツールの管孔と自動的に整列させ、選択された受け部から移植ツールの管孔を通り組織へとFUを前進させる。選択されたカートリッジ受け部を通過するよう配置された閉塞具が、制御機構により、選択された受け部からFUを前進させる。代替的に、この制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を通して圧力差を生じさせ、選択されたカートリッジ受け部からFUを前進させてもよい。さらに、内部を通る管孔を有する毛包ユニット除去ツールがロボットアームに接続され、体表面にあるFUの上に除去ツールが配置されるよう操作されてもよく、ここでは制御機構は除去ツールの管孔を選択されたカートリッジ受け部に整列させ、除去ツールを通りFUを選択されたカートリッジ受け部に進めるよう適合している。
【0012】
本発明のさらなる態様は、毛包ユニットといった生体ユニットを、複数の受け部を有する保存器具の内外へシャットリングする自動プロセスである。このプロセスは、少なくとも、実質的に自動化されたプロセスを用いて第1のツールへと生体ユニットを入れる(acquire)ステップと、前記生体ユニットを前記第1のツールから前記保存器具の選択された受け部へと実質的に自動化されたプロセスを用いて前進させるステップと、前記選択された受け部内の生体ユニットを捕獲する(capture)ステップと、前記選択された保存器具の受け部から前記生体ユニットを前記第1のツールまたは異なるツールへと実質的に自動化されたプロセスを用いて移動させるステップと、を具える。
【0013】
このプロセスにおいて、第1のツールは内部を通る管孔を規定し、当該第1のツールを通り前記生体ユニットを前進させるステップは、前記第1のツールの管孔へと圧力差をかけるステップを具えることが好ましい。構造体は、第1のツールから前記保存器具の受け部へ生体ユニットが移動する経路に沿って、その部分の圧力差を低減させるべく設けられており、これにより経路における生体ユニットの速度が低減する。例えば、この経路の外側に平行する流路が設けられ、前記経路が保存器具に到達する直前で終端していてもよい。一実施例では、プロセスは、選択された受け部の近位側に吸引源を設けるとともに、各受け部の近位側に圧力解放チャネルを設けて、受け部内の最大吸引力が前記吸引源の吸引力より低く制限されるようにするステップを含む。
【0014】
代替的に、第1のツールは内部を通る管孔を規定するとともに、この第1のツールを通して前記生体ユニットを前進させるステップは、前記第1のツールの管孔を通して生体ユニットを機械的手段を用いて押すステップを具えてもよい。このプロセスはさらに、前記保存器具の受け部内に保存される間に生体ユニットを冷却するステップと、前記保存器具の受け部内に保存されている間に生体ユニットを保存液で保存するステップとを具えてもよい。好適には、この方法の少なくともいくつかのステップはコンピュータ制御され、この方法の少なくともいくつかのステップはロボットにより実行される。
【0015】
このプロセスにおいて、保存器具の受け部から生体ユニットを移動させるステップは、当該受け部を通る閉塞具を用いて生体ユニットを押すステップを具えてもよい。一実施例では、保存器具は、厚みのある本体部であって、対応する受け部の第1および第2の端部の第1の開口部と第2の開口部の間に前記本体部を通る受け部を有する本体部を具えてもよい。さらに、許容性媒体が受け部の第2の端部をカバーし、保存器具の受け部から生体ユニット移動させるステップが、許容性媒体を通り受け部に入る閉塞具を用いて前記受け部から生体ユニットを押すステップを具えてもよい。代替的に、除去ツールを通して生体ユニットを前進させるステップは、受け部の第2の端部における圧力を第2の端部に対して低減させることにより除去ツールに圧力差をかけるステップを具えてもよい。例えば、許容性媒体を通して前記受け部の第2の端部に低圧源を提供するプローブを導入する等によって、受け部の第2の端部における圧力は、許容性媒体を通して前記第2の端部に低圧源を適用することにより第1の端部に対して低減される。
【0016】
このプロセスにおいて、入れる(acquire)ステップは、本体部のある位置から前記第1のツールへ生体ユニットを除去するステップを具え、前記第1のツールは取り外し可能なツールであって、さらに前記生体ユニットを同じ除去ツールまたは異なるツールから体表面の異なる場所へ生体ユニットを移植するステップを具える。一実施例において、前記除去ツールまたは前記異なるツールは内部を通る管孔を規定する移植ツールであり、移動させるステップは前記生体ユニットを前記移植ツールの管孔へと機械的に押すステップを具える。このプロセスはさらに、保存器具の受け部から除去ツールを離すステップと、保存器具の受け部に移植ツールをつけるステップとを具えてもよい。このプロセスは特に、生体ユニットが毛包ユニットである場合に有用である。
【0017】
本発明の別の態様によると、生体ユニットを管理するシステムおよび方法が提供される(例えば、分析、分類、または保存)。例示的な一実施例では、このシステムは、それぞれ生体ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具える。このカートリッジには検査器具が操作可能に接続されており、システムはさらに、検査器具が通った生体ユニットを前記複数のカートリッジの受け部のうちの1つに移動させる機構を具える。最後に、検査器具からの信号を受けて、生体ユニットが複数のカートリッジの受け部のうちの1つへ移動する経路の登録、生体ユニットのカウント、生体ユニットの分類、の1またはそれ以上を実行するプロセッサが設けられる。このプロセッサはさらに、対応するカートリッジの受け部からの後の再収集や選択的復旧のために、登録、カウント、および分類の1以上の動作の結果を記録するのに適合している。
【0018】
生体ユニットを移動させる機構は、圧力差を有し生体ユニットが通過する開流路(open channel)を具えてもよい。一実施例では、検査器具は、生体ユニットの経路を登録するための光源と光検出器を具えてもよい。第2の実施例では、検査器具は、当該検査器具を通る生体ユニットの画像を記録するカメラを具えてもよい。このシステムはさらに、カメラの焦点下の撮像地点を定期的に照射するストロボを具えてもよい。この撮像地点の上流側の前記生体ユニットが通過する通路に隣接して配置された追跡システムが、生体ユニットの通過を記録して、ストロボライトが点灯するよう信号を送るようにしてもよい。例えば、追跡システムは光源/検出器のペアを具えてもよい。
【0019】
本発明の生体ユニット管理方法は、検査器具を通過した生体ユニットをカートリッジの複数の受け部のいずれかに移動させるステップであって、各受け部は生体ユニットを収容するサイズであるステップと、前記検査器具から受信した信号を処理するステップと、前記生体ユニットの通過の記録、前記生体ユニットのカウント、および/または前記生体ユニットの分類のいずれか1以上を実行するステップとを具える。この方法はさらに、対応するカートリッジの受け部からの後の再収集や選択的復旧のために、登録、カウント、分類のいずれか1以上の結果を記録するステップを具える。移動させるステップは、圧力差を利用して開流路を通して生体ユニットを前進させるステップを具える。各生体ユニットを撮影するのにカメラを用いてもよく、各生体ユニットの位置を予想してストロボ光を点灯させる追跡システムを組み込んでもよい。
【0020】
本発明の別の態様にかかる生体ユニットを管理するシステムは、生体ユニットを分析する検査器具と、当該検査器具を通して生体ユニットを移動させる機構と、前記検査器具からの信号を受けるプロセッサとを具える。このプロセッサはまた、前記検査器具を通る生体ユニットの経路を記録し、生体ユニットをカウントし、および/または生体ユニットを分類する。このプロセッサはさらに、前記記録、カウントおよび分類の動作の1またはそれ以上の結果を記録するのに適合している。望ましくは、前記生体ユニットは毛包ユニットである。このシステムはさらに、それぞれ生体ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具え、前記移動させる機構は前記検査器具を通過した生体ユニットを前記カートリッジの複数の受け部のいずれか1つに移動させる。このシステムは、対応するカートリッジの受け部からの生体ユニットの後の記録、カウント、または分類の再収集や選択的回収に適合している。移動させる機構は、生体ユニットが通過する内部に圧力差を有する開流路であってもよい。
【0021】
上述の検査器具は、生体ユニットの通路を記録するための光源と光検出器を具えてもよい。代替的に、この検査器具は、当該検査器具を通過するときに生体ユニットの画像を記録するカメラを具えてもよい。カメラの焦点下の撮像ポイントでストロボ光が定期的に点灯するように構成されてもよい。前記生体ユニットはチャネルを通り、追跡システムがこのチャネルに隣接して前記撮像ポイントの上流に設けられ、この追跡システムが生体ユニットの通過を記録してストロボ光を点灯させる信号を出すよう適合される。前記追跡システムは、空間を隔てて生体ユニットの位置情報を中継するよう接続された光源/検出器の複数ペアを具え、プロセッサはストロボ光を点灯させる信号を出す時期を算出するようプログラムされてもよい。
【0022】
本発明の生体ユニットを管理するさらなる方法は、検査器具を通して生体ユニットを移動させるステップと、前記検査器具から受ける信号を処理するステップと、前記検査器具を通る前記生体ユニットの通過の記録、生体ユニットのカウント、生体ユニットの分析、のうちの1以上を実行するステップと、記録、カウントおよび分析のうちの1以上の動作の結果を記録するステップとを具える。
【0023】
上記方法において、生体ユニットは毛包ユニットであり、前記方法がさらに分析された毛包ユニットを毛髪移植処置に利用することが望ましい。この方法は、前記検査器具を通過した生体ユニットを前記複数のカートリッジの受け部に移動させるステップを具え、各受け部は前記生体ユニットを受けるサイズである。この方法はまた、記録された結果に基づいて対応するカートリッジの受け部から前記生体ユニットを選択的に回収するステップを具えてもよい。
【0024】
本発明の毛包ユニットを管理する別のシステムは、体表面から毛包ユニットを除去してそれぞれある場所から別の場所への通路に沿って移動させる除去ツールを具える。このシステムはさらに、前記通路に沿って配置されそこを通る各毛包ユニットを分析する検査器具と、前記検査器具からの信号を受信し前記毛包ユニットの通過を記録するプロセッサとを備える。このプロセッサは、前記検査器具の横を通過する毛包ユニットの数をカウントし、前記検査器具の横を通過する各毛包ユニットを分類し、および/または検査器具の横を通る際に各毛包ユニットの分類をディスプレイに示すようにしてもよい。前記除去ツールはロボットアームに連結され、当該ロボットアームにより操作されるよう適合してもよい。
【0025】
本発明の生体ユニットを管理するさらなる方法は、体表面から毛包ユニットを取り出して除去ツール内の通路に沿ってある場所から別の場所へと移動させるステップと、前記通路を通過する毛包ユニットを自動的に分析するステップと、および/または前記分析から受ける信号を処理し前記毛包ユニットの通過を記録するステップとを具える。この方法は、分析された毛包ユニットの数を自動的にカウントするステップと、分析された各毛包ユニットを自動的に分類するステップと、および/または分類された各毛包ユニットの分類を自動的に表示するステップとを具える。この方法はさらに、前記通路を保存カートリッジの選択された受け部に揃えて、毛包ユニットを選択されたカートリッジの受け部に前進させるステップを具えてもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様は、体表面から生体ユニットを抽出して保存する自動化プロセスを提供する。このプロセスは、体表面から生体ユニットを除去ツールに移すステップと、前記生体ユニットを前記除去ツールを通してカートリッジの受け部に前進させるステップと、前記移した生体ユニットを分類するステップと、前記生体ユニットの分類と対応するカートリッジの受け部を後の再収集および選択的回収のために記録するステップとを具える。望ましくは、前記自動化プロセスはロボットに補助されている。
【0027】
本発明の他のさらなる目的は、以降の詳細な説明を添付の図面を参照して読んだ場合に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の特徴や利点が、明細書、クレーム、および添付の図面を参照することにより明白となり一層理解される。
【図1】図1は、毛包ユニットといった生体ユニットを採取し移植する本発明の例示的なカートリッジシャトルサブシステムの斜視組み立て図である。
【図2】図2は、図1のカートリッジシャトルサブシステムの斜視分解図である。
【図3】図3は、図1のカートリッジシャトルサブシステムの側面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線でとったカートリッジシャトルサブシステムの断面図であり、そこを通る複数のフローポートを示す。
【図5】図5は、例示的な毛包ユニット検査器具付きのカートリッジシャトルサブシステムの一実施例の部分概略図である。
【図6】図6A、6Bは、図5の例示的な検査器具付きカートリッジシャトルサブシステムの側面図と断面図である。
【図7】図7A−7Eは、図1のカートリッジシャトルサブシステムとともに用いる例示的な直線的なカートリッジの多様な斜視図、側面図、断面図である。
【図8】図8は、毛包ユニット採取モードにおける例示的なカートリッジシャトルサブシステムのカッタウェイ斜視図である。
【図9】図9は、毛包ユニット移植モードにおける例示的なカートリッジシャトルサブシステムのカッタウェイ斜視図である。
【図10】図10は、本発明の例示的なロボット生体ユニット採取・移植システムの概略斜視図である。
【図11】図11は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図12】図12は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図13】図13は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図14】図14A−14Dは、本発明による頭皮保存用の例示的なディスク型カートリッジの側面および断面図である。
【図15】図15は、例示的なディスク型カートリッジが本発明の採取/移植システムに搭載される前の斜視図である。
【図16】図16は、図15の準備されたカートリッジをこれに直接相互作用する特定の採取/移植システムの近くに示す斜視図である。
【図17】図17は、図16の構成要素の断面図であり、採取ツールからカートリッジへの通路において生体ユニットが移動する速度を低減させる例示的な圧力差低減構造を示す。
【図18】図18は、本発明のカートリッジの近位側の部分斜視図であり、受け部のうちの1つの例示的な圧力解放構造を示す。
【図19】図19は、本発明の代替的なカートリッジの一端部の断面図であり、許容性媒体を通り受け部へと伸びる吸引プローブを示す。
【図20】図20は、本発明にかかる毛包ユニットシャトル要素の例示的な実施例の斜視図である。
【図21】図21は、シャトル要素の側面図である。
【図22】図22A−22Dは、図20の22−22線でとったシャトル要素の断面図であり、毛包ユニット採取システムの例示的な実施例におけるこれらの要素の動作シーケンスを示す。
【図23】図23A−23Bは、図20の22−22線でとったシャトル要素の断面図であり、毛包ユニット移植システムの例示的な実施例におけるこれらの要素の動作シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明において、添付図面を参照するが、図示するのは本発明を実施した場合の特定の実施例の説明である。この点において、「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」、「遠位」、「近位」などの方向的な語句は、説明にかかる図面の向きに関して用いられる。本発明の構成要素や実施例は様々な向きで配置されうるため、方向的な語句は説明目的でのみ用いられ、限定するものではない。他の実施例も実現可能であり、本発明の範囲を逸脱することなく構造的または論理的な変更を施すことができる。以下の詳細な説明は、それ故、限定する意味で解されてはならず、本発明の範囲は添付のクレームによって規定される。
【0030】
システムまたはプロセスに関する「自動化」なる装飾詞は、全体として、特定のシステムまたはプロセス中のステップの一部または全部が自律的な機構または機能を有することを意味し、すなわちこの機構または機能はマニュアル駆動を必要としない。最終的に、処置の1またはそれ以上のステップが自動化され、または自律化され、いくつかの部分はマニュアル入力を必要とする。この定義は、オペレータがONスイッチを押すか動作をスケジューリングすることが必要な自動化システムや、ハンドヘルドツールが利用されるがシステムの自動機能すなわち人間の入力なく機能を実行するシステムも包含する。本書記載の自動プロセスのいくつかは、ロボット補助またはコンピュータ\ソフトウェア/マシン語で制御されてもよい。本発明の器具や方法は、マニュアルの方法およびシステムとともに、自動化した方法およびシステムにも有用であり、特にロボットアシスト型のシステムおよび方法に有用である。対称的に、副詞「自動的に」は、システムの特定の構成要素またはプロセスの特定のステップについて用いられる場合、これらのシステムが自律的すなわちリアルタイムのマニュアル補助なく実現されることを意味する。
【0031】
毛髪移植処置に関する採取(または除去)ツールに用いられる語句「ツール(器具)」は、体表面からFUを除去または採取する様々な数のツールまたはエンドエフェクタに関する。同様に、毛髪移植に関して移植ツールに用いられる「ツール」は、体表面にFUを移植/挿入する様々な数のツールまたはエンドエフェクタに関する。この意味において、体表面は、身体に取付可能または身体から除去した皮膚弁であってもよい。このようなツールは、様々な異なる形状や構成であってもよい。いくつかの実施例では、ツールは空洞の筒型シャフトを具えてもよい。除去ツールの遠位端部(例えば、パンチ、コアリング器具、カッティングおよび/またはトリミング器具、ニードル)は通常、組織(すなわち毛包)をカットし抽出するために尖っている。移植ツールも、1の動作で穿孔しFUの供給を実行すべく尖っている。しかしながら、この穿孔は他のツールで形成されてもよく、移植ツールは比較的丸くFUを供給するのみに用いられてもよい。また、採取および移植ツールは、処置や、除去あるいは採取する対象に応じて、同じか異なる器具であってもよい。
【0032】
本発明は、採取された整体ユニットが配置される保存器具を用いる。この保存器具は、整体ユニットを受ける受け部を具え、そのまま生体ユニットを移植すべく再利用され、あるいは以降の使用のためにある期間保存される。好適な実施例において、保存器具は、厚みのある本体と、この本体を厚み寸法に沿って伸びる受け部とを具える。この保存器具は代替的に本書においてカートリッジまたは保存カートリッジとして参照される。本発明の例示的な保存器具(すなわち、毛包用カートリッジ)は、特にロボットシステムまたはコンピュータ制御システムに用いるのに適している。しかしながら、保存器具の特定の原理はマニュアルで用いられ、他の原理は自動化または部分的に自動化されたシステムおよび器具であってもよい。
【0033】
「生体ユニット」は、美容または皮膚科学の処置で用いられる個別のユニットであり、例えば、生検や移植用に抽出される皮膚ユニットなどを含む多様な組織である。特に本発明で有用な生体ユニットの一例は、頭皮または毛包あるいは「毛包ユニット」である。
【0034】
本発明は、システム全体、そのシャトルサブシステム要素、および生体ユニットを採取し移植するのに有用な保存器具を開示する。本発明は特に、毛包ユニット(FU)を採取し移植する自動化システムおよび保存器具を提供するロボット式毛髪移植に有用であるが、上述したように生体ユニットの語は多くの物質を包含する。このように、毛包ユニット(FU)の語は、本発明のいくつかの実施例を説明する目的の単なる例として用いられ、これはより幅広い生体ユニットを示すものと理解されたい。一例としてのシャトルサブシステムを最初に説明し、次にシステム全体を説明するが、ここで全体システムに関して説明するロボット原理および機構はその前に説明するサブシステムに適合して利用可能であることを理解されたい。
【0035】
本発明の一態様によると、図1−9は、シャトルサブシステム20の例示的なカートリッジの多様な構成要素および処理ステップを示す。このシャトルサブシステムは、体表面から頭皮を、および/または、移植ツールからカートリッジへ、およびカートリッジから移植ツールへ戻すよう「往復運動」または移動させる。図1、2を参照すると、サブシステム20は、遠位端24と近位端26とを有するブロック状基底部材22を具える。遠位端24から近位端26まで延在する縦方向が規定され、一方で横方向はそれに直交して水平面に延びる。基底部材22は、内部にまっすぐなカートリッジ30を受ける側方チャネル28を規定する。このカートリッジ30は、マニュアルまたは自動で、例えばロボットマニピュレータ(図示せず)の制御下で、チャネル28内を横にスライドする。
【0036】
基底部材22の遠位端24からツール32が遠位に延在している。図示した例示的なツール32は、利便性と単純さのために概略的に示すFUの除去/採取と移植ツールの双方であり、これは基底部材22に交換可能に結合することができる。通常、採取ツールは中心が抜かれた遠異端部を具え、採取ツールと移植ツールは双方とも典型的には内部に管孔またはスルーボアを規定する。細長いロッド状閉塞具34が、基底部材22の近位端26から近位方向に突出する。この閉塞具34の使用は後述する。カートリッジシャトルサブシステム20はさらに、好適に検査器具36を具える。この検査器具36は、多様な方法で用いることができる。これは採取ツールからカートリッジへ、あるいはカートリッジから移植ツールへと採取されたFUの通過を単に記録して、FUがうまく除去されカートリッジに移動されたことを確認するものであってもよい。さらに、検査器具36は、移動されたFUの数を数える目的で用いられてもよく、あるいはより進んだシステムでは、例えば採取した毛包ユニットのサイズおよび/または特性の評価や分類が可能であってもよい。
【0037】
図4を参照すると、基底部材22は、本体部のほぼ中心線を全体的に通って延在する縦チャネルを規定している。このチャネルの遠位端24は、締まりばめまたは手でねじ込むことによりツール32を受ける。ツール32のすぐ近位部には、透明な検査チューブ40が、基底部材22内のギャップ42を横切る縦チャネルの連続性を提供するスルーボアを規定する。図2に示すように、検査器具36は、ギャップ42に延びて検査チューブ40の側面に位置する一対の縦フィンガー43を具える。このフィンガー43は、例えば光検出器またはカメラ等といったセンサを具え、検査チューブ40を通過するか留まるFUを検査および/または記録する。
【0038】
非常に簡単かつ有用な動作モードにおいて、検査器具36はLED送信部と受信部の組み合わせをフィンガー43内に有する。FUが検査チューブ40を横切ると、LED光が遮断され、これが受信部により検知される。これによりFUが通過したことをシステムが検知する。1の採取ステップでFUが検知されなかったら、システムのプロセッサは、カートリッジの特定の受け部にFUが無いことを記録し、この受け部は、例えば、このカートリッジを用いる以降の移植シーケンスでスキップされる。
【0039】
FUを検査する他の手段の例は、すべての毛包ユニットの画像を取得して、例えばFUの種類、サイズ、および/または含まれる毛包の数、これらの計数などの評価に画像処理を用いる。FUを検査して分類する様々な方法が、2007年8月24に出願されFUを分類し計数するシステムおよび方法に関するPCT/US07/76726とPCT/US07/76728に開示されている。これらの出願は、明確に参照により本書に組み込まれる。後述するように、本発明のさらなる態様において、本発明の保存器具またはカートリッジはこれら2つのPCT出願に記載のシステムとともに用いて、カートリッジ30の選択された受け部内に配置された毛包の種類の情報を提供することができる。生体ユニットに応じて分類する多様な手段が用いられる。例えば、毛髪は、複数または単数の毛包ユニットであるかによって分類され、その他に生体ユニットのスキームはそのサイズ、形状、性質等であってもよい。
【0040】
好適な一実施例では、本発明のシステムは、検査器具36から信号を受信するプロセッサと、既知のカートリッジ受け部へと生体ユニットを移動させる機構とを具える。このプロセッサは生体ユニットを分類し、この分類を対応するカートリッジ受け部から後に再収集および選択的に回収するために記録する。例えば、検査器具36は画像取得装置を具え、プロセッサはこの画像取得装置により得られる画像を処理するよう構成されたイメージプロセッサであってもよい。PCT/US07/76726とPCT/US07/76728に記載のように、このイメージプロセッサは、FUを計数および/または分類するよう構成され、これには例えば、FUの分割画像の輪郭を計算し、FUの分割画像の算出された輪郭から凹部を無視した分割画像の外郭形状を算出し、外郭形状の欠損の数を検出し、最後に検出された欠損の数に少なくとも部分的に基づいてFUを分類することが含まれる。代替的に、イメージプロセッサは、FUを記録または登録できるよう構成される。
【0041】
もちろん、例えばPCT/US07/76726とPCT/US07/76728に記載の分析器具36のような、多様な画像取得装置を用いることができる。例えば、画像取得装置は、市場で入手可能な1以上のカメラであってもよい。あるいは、画像取得装置は、(カムコーダのような)映像記録装置でもよい。この画像取得装置はデジタルデバイスであることが望ましいが、必須ではない。例えば、最初の画像をアナログTVで取得して、デジタル画像へとデジタル化してもよい。イメージプロセッサは、生体ユニット(例えばFU)を記録、計数、および/または分類する方法を実行するようにプログラムされ構成された様々なデバイスを具えてもよい。適切なイメージプロセッサの非限定的な実施例は、様々な種類のパーソナルコンピュータ(「PC」)である。代替的に、画像プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を具えてもよい。このイメージプロセッサは、本発明の方法を実行するよう構成されたソフトウェアでプログラムされる。
【0042】
毛包ユニットの良好な画像を取得して検査、評価、および記録を行うために、本発明はまた、体表面および/または採取ツールから、例えば一例としてのシャトルサブシステム20を通り、保存カートリッジへと「往復運動」または移動する際のFUの位置を追跡または監視する構成要素を提供する。代替的に、FUは、保存カートリッジを用いることなく移植の前に検査器具を通るときに撮像され検査されてもよい。このような応用例では、検査されたFUなどの生体ユニットは、分類されてこの検査および/または分類に基づいてそのまま所望位置に移植される。保存カートリッジを用いる/用いないものを含む多様な実施例が、後述するような同様の技術を用いている。通常、検査装置は各FU(またはFUのサンプル)を、シャトルサブシステム20を通り移動するときに評価する。これに関し、検査器具を通過したFU(またはより一般的な生体ユニット)を、例えば、カートリッジが用いられる実施例の複数のカートリッジ受け部のうちの一つへ移動させる機構が用いられる。ここでFUを移動させる機構は、上述したような圧力差を有する開チャネルであってもよいし、コンベヤ、装着機、または類似の手段などの別の移動手段であってもよい。
【0043】
サブシステムを通り移動するFUの位置を予想/算出することにより、あるいはカメラの視野内でFUの動きを停止することにより、カメラがクリアな画像を取得できるポイントと時間にストロボ光を点灯してもよい。通常、撮像デバイス(例えばカメラ)は、FUがカートリッジへ、あるいはカートリッジから移動する際に画像を取得する。このために、シャトルサブシステム20のチャネルの撮像ポイントの上流に隣接配置された追跡システムを用いて、シャトルシステム内のFUの存在を検出しその速度を測定してもよい。この追跡システムは、プロセッサ/コントローラとともに、撮像デバイスの視野内にFUがある瞬間にストロボを点灯すべく速度情報を用いる。このストロボは、FUの動きを観測および検査のためにフリーズさせることができる。
【0044】
代替的に、FUはカメラの視野内で移動を止めて画像を記録することができる。例えば、図5は、FUなどの生体ユニットの移動を追跡/記録する本発明のシステムにおける構成要素を概略的に示す。参照目的で、これらの要素はサブシステム20に組み込まれてもよく、このため同じ要素には同じ番号を付す。実に、図6A、6BはFU追跡要素を追加した改良型カートリッジシャトルサブシステム20’の側面図と断面図である。対象となるFUのモニタ、記録、検査、評価は、FUを採取するハンドヘルド器具にも有用であり、自動化システム20’の説明は限定と解されてはならない。
【0045】
図5の例では、基底部材22の遠位端から遠位方向に突出する採取ツール32の管孔を通り、FUが速度vで移動する。上述したように、ツール32の管孔は基底部材22を通って延在する縦チャネルへと延び、検査器具36に整列した撮像ポイント44を通過する。図示する実施例の検査器具36は、カメラCと、ストロボSと、ビームスプリッタBSとを具える。ストロボSは、カメラ軸と整列して示されているが、ずれていてもよい。撮像ポイント44に到達する前に、FUは、第1の光源L1と第1の光検出部D1を具える第1または上流側のチェックポイントと、第2の光源L2と第2の光検出部D2を具える第2または下流側のチェックポイントの間を通過する。第1および第2のチェックポイントは、それぞれの光源と検出部の間の光伝達の連続性が途切れたときにFUの通過を記録する。プロセッサ/コントローラは、これらのセンサからの入力を受けて、メモリを含む多様な機器のそれぞれに出力を送る。
【0046】
プロセッサ/コントローラは、検査器具からの信号を受信し、限定しないが、検査器具やカートリッジを具える実施例ではカートリッジの複数の受け部のいずれかへ通過する生体ユニットを記録したり、生体ユニットを計数したり、生体ユニットを分類したりすることを含む1以上の追加の動作を実行するよう適合している。さらに、プロセッサ/コントローラは、記録、計数、および分類の1以上の動作結果を、対応するカートリッジの受け部からの以降の再収集および選択的な回収のために記録する。
【0047】
本発明のシステムおよび方法は、分類および/またはカートリッジの選択された受け部に保存するといったシーケンスで複数の生体ユニットを有効に管理/処理するのに特に有用であると考えられるが、本書記載の多様なコンセプトはまたマニュアルで一つ一つ行うユニット管理にも適用可能である。例えば、検査器具をマニュアル式または半自動式のハンドヘルド生体ユニット除去ツールに結合して、各生体ユニットのリアルタイムでの評価を行ってもよい。例えば、このような毛包ユニット除去ツールは、FUの種類(例えばF1、F2等)をユーザに示す検査器具を具えてもよい。ユーザはこれにより以降の動作を容易に決定することができ、これには適切な位置にFUを移植したり、この種類の毛包ユニットを保持する容器にこのFUを入れることを含む。さらに、このようなツールや検査器具は、除去された異なる種類のFUの数を追跡するプロセッサ/コントローラに連結することができる。換言すれば,本書記載の多様なシステムは自動化またはロボット生物学または毛包ユニット除去/管理/移植に特に有用であるが、これらはまたハンドヘルド型あるいは他のマニュアル型の非ロボットツールに用いても有用かつ望ましい。
【0048】
図5を再び参照すると、第1のチェックポイントと第2のチェックポイントの間の距離はl1で示され、第2のチェックポイントと撮像ポイント44との間の距離はl2で示される。チェックポイント間をFUが移動する時間がΔt1が記録され、FUの速度vが以下の式を用いて算出できる:
v=l1/Δt1
【0049】
続いて、FUが第2のチェックポイントと撮像ポイント44巻を移動する時間Δt2を以下の式で算出する:
Δt1=l2/v
【0050】
次にコントローラは、FUが第2または下流側のチェックポイントを通過してからΔt2後にストロボSをトリガし、カメラCに撮像ポイント44の写真を撮るよう命令する。適切な応答タイムで、FUは撮像ポイント44の中心にくるか、少なくともカメラの視野44’内に入り、ストロボSがたかれカメラCが撮像する。このように、本システムは取得される各FUの鮮明な画像を確保する。FUの画像からの情報はその後複数の目的で利用され、これは限定しないが、シャトルシステムを通る各FUの記録、カートリッジに送られるものを含むFUの計数、例えばサイズ、特性、含まれる毛髪の本数に基づくFUの分類および選別(例えば、「F1」は単一の毛包ユニット、「F2」は2つの毛包ユニットなど)、カートリッジの各受け部に含まれるFUの種類の情報の追跡および記録を含む。吸引が比較的安定的であるため、システムを通るFUの速度v、チェックポイント間と撮像ポイント44の間の時間もまったく安定に維持され、これらがさらに過渡現象を排除して画像取得の成功を保証する。さらに、オペレータが画像をサンプルして、FUが正確に撮像ポイント44の中心にない場合にタイミングを僅かに調節してもよい。
【0051】
図6A、6Bは、FU追跡要素を追加した改良型シャトルサブシステム20’を示す。図1、2のオリジナルの実施例にあるように、サブシステム20’は、遠位端24と近位端26を有するブロック状基底部材22を具える。縦方向は遠位端24から近位端26に延び、横方向はこの水平面に直角に延在する。基底部材22の横チャネルが、マニュアルまたは例えばロボット操作(図示せず)の制御下で自動的にスライドする真っ直ぐなカートリッジを受ける。例示的な除去/移植ツール32が、基底部材22の遠位端24から遠位側に延在する。
【0052】
図6Bはサブシステム20’の水平断面を示し、図4のように、検査器具36が内部に配置された基底部材22のギャップ42を示す。この検査器具36は、図5に関して上述したカメラC、ストロボSおよびビームスプリッタBSのアセンブリを概略的に示すことに留意されたい。基底部材22はまた、第1および第2のチェックポイント45a、45bを対応する空間46内に受ける。上述のように、チェックポイント45a、45bはそれぞれ、FUがサブシステム20’の縦の通路を通るのを検知する光源と光検出部とを具える。図5の概略図にあるように、上流側と下流側のチェックポイント45a、45bは距離l1だけ離れ、下流側のチェックポイント45bは撮像ポイント44と距離l2だけ離れている。
【0053】
カートリッジ30は、FUを受けるための複数の受け部を具える。各FUが器具36により検査され特定されるため、コントローラはカートリッジ32を操作して特定のFUを特定の受け部に配置し、あるいは単にカートリッジの受け部の内容の目録を管理する。例えば、F1のFUのすべてが受け部の1の選択群に配置され、F2以上のFUが残りの受け部に配置される。
【0054】
図4を参照すると、基底部材22の中央を通る縦チャネルが、カートリッジ30に形成された多数の受け部のうちの1つを通って横チャネル28(図2に示す)を横切って連続する。管状スリーブ47が、縦チャネルの遠位部を形成するスルーボアを規定する。この管状スリーブ47は、基底部材22に形成されたボアに嵌合し、基底部材にぼるとどめされたカバー48でそこに固定される。閉塞具34が管状スリーブ47のスルーボア内にぴったりフィットする。図4に示す複数のOリングまたはシール49がチャネルおよび外部の様々な場所から液漏れが生じるのを防いでいる。
【0055】
基底部材22は、縦チャネルを横切る複数の横方向流体ポートを規定する。特に、一対の近位ポート50a、50bが基底部材22の反対側に延在して中央で合流し、管状スリーブ47の対の側部ポート51(図2参照)に合流する。一対の遠位ポート52a、52bが基底部材22の反対側に延在して中央で合流し、ツール32と検査チューブ40間の縦チャネルの小さな断面に流体接続する。ポート50、52は流体源または真空源のコネクタ(図示せず)を受ける。したがって、サブシステム20の使用の説明で後述するように、縦チャネルに沿って圧力差が形成される。好適には、サブシステム20に圧力をかけるのに用いる流体は食塩水であるが、気体を用いてもよい。毛包には、採取および/または移植処置の間に食塩水がFUの水和作用を維持するのに好適である。しかしながら、本発明では様々な保存液が等しく有用である。保存液を用いると、各受け部が、FUを収容した後に望ましくいくらかの保存液を含むことができる。さらに、FUを良好に保存するために、保存液は必要に応じて冷却あるいは冷凍されてもよい。
【0056】
本発明の別の態様によれば、保存器具またはカートリッジ30が設けられる。このようなカートリッジはFU(または他の適切な生体物質)を小さな空間に保存する孔または受け部を高密度で具える。さらに、このカートリッジは、例えば、滅菌あるいは水分が維持され、または所望の冷却温度などに制御された環境でFUを保存可能であることが望ましい。保存器具またはカートリッジ30の形状または構成は多様な形態をとることができ、真っ直ぐあるいは後述する筒状または円盤形状も必要あるいは制限に応じて、適用対象によって帰ることができる。本発明の保存容器は、好適に生体ユニットを受ける複数の受け部を規定するよう構成されている。この保存器具は、各受け部を例えば連続的に採取および/または移植ツールとともに記録するよう操作可能である。好適には、保存器具はサブシステム全体またはシステム内で容易に交換可能である程度に小さく、再利用される場合に容易に滅菌可能である。あるいは、保存器具は再利用を不能とする特定の構造を有し、これにより使い捨てであってもよい。
【0057】
図7A−7Eは、サブシステム20で用いる真っ直ぐなカートリッジ30の一例の多様な図である。図7Aは遠位面(または第1の面)60を示し、図7Bは近位面(または第2の面)62を示す。これらの面60、62は平坦で真っ直ぐであり、平行に延在する。真っ直ぐなカートリッジの非限定的な実施例は、立方体または長方体の形状である。図7Bに示す厚さ寸法tは、面60、62に垂直に延びる。複数の受け部64がカートリッジ30全体に、遠位面60から近位面62へと延在する。各受け部64は、遠位/第1の面60に第1の開口部66を、近位/第2の面62に一対の第2の開口部68を規定する。本実施例における正確な受け部64の形状を図7D、7Eの断面図で示し、これは例えば遠位面60から1つの大きな孔を穿孔し、近位面62から2つの小さな孔を穿孔することで容易に形成することができる。カートリッジ30はさらに、近位側の上縁部に沿って複数の指示ノッチ70を具える。これらのノッチ70はカートリッジ30を外すため、あるいは各受け部64の位置を示すために用いられる。受け部64に加えて、一定の直径の中央ボア72が面60、62間に延在している。後述するように、ボア72により閉塞具34がカートリッジ30を通過することができる。
【0058】
図8、9は、FUを最初に採取して次に移植する2つのステージを示す。FUは、図8においてツール32の近位部に示されている。本実施例において、ツール32は体表面からFUを除去するよう設計され、尖った遠位端部またはFUを把持して取り去る他の何らかの構造を具えてもよい。カートリッジ30の横の配置は、一端部の最初または他の所望の受け部64が縦チャネルと合うよう配置される。これにより受け部64が縦チャネルおよびポート50、52と流体接続する。オペレータあるいは自動化システムは、FUがツール32の管孔74に入るようシャトルサブシステム20を操作する。例えば、オペレータはツール32をFU周囲の体表面に進入させる。
【0059】
FUが管孔74内に入ったら、ツール32は体表面から引き戻され、圧力差が管孔74にかけられてFUが受け部64に向かって近位方向に移動する。縦チャネルに沿った圧力差は、ポート50、52で関連する流体圧により制御される。FUが検査チューブ40を通過すると、検査器具36がこれを記録し、カウントし、および/または分類する。望ましくは、FUは縦チャネルを通り受け部64へと一定の速度で進む。あるいは、FUは検査チューブ40内で停止またはスローダウンし、検査器具36が分類目的で十分な画像を取得できるようにする。
【0060】
いくつもの実施例において、図5、6A−6Bに示すFU監視要素(または同様の結果または機能を得られるよう設計された他の代替的構成要素)を用いて、縦チャネルを通過するFUの位置、特にカメラなどの撮像器具を備える検査器具36を各FUが通過する位置をモニタしてもよい。各FUの画像は、例えばFUの特性、係数、サイズ、または他の特徴を判定すべくリアルタイムで分析され、例えば選択された受け部にFUを受けためにカートリッジ30を横チャネル28に整列させるなど、さらに処理が行われる。
【0061】
移動の終わりに、FUは第1の受け部64の近位端にある。受け部の近位端の対の第2の開口部68の構成により、流体は通過するがFUは通過しない。平行流路(図示せず)を設けたり、いくつかを別の実施例として後述する他の様々な構成手段により、FUの速度は受け部64に近づくにつれ低減する。
【0062】
このステージにおいて、FUは受け部64に保存される。システムまたはオペレータはカートリッジ30を横チャネル28にスライドさせ、他の受け部のうちの1つを縦チャネルに合わせてFU採取プロセスを反復できるようにする。所望の受け部64の全部または一部がFUを含んだら、FUを患者の体表面に移植するのに用いるまでカートリッジ30を取り外してもよい。実際、移植処理の前に複数のカートリッジ30を充填するようにしてもよい。あるいは、各カートリッジに保存されるFUは、カートリッジを交換することなくそのまま移植されてもよい。
【0063】
カートリッジ30の受け部64の線形パターンは一例であって、多くの受け部のパターンを用いることができることに留意されたい。もちろん、受け部64が線形に並んでいない場合、サブシステム20を通して縦チャネルに各受け部を合わせるのにカートリッジを少なくとも2方向に置き換える必要がある。また、通常の間隔の垂直列でない密接配置マトリクスを用いてもよい。
【0064】
移植処置の最初のステップでは、FUが入った受け部を有するカートリッジ30が基底部材22に配置され、1の受け部64が縦チャネルに合わせられる。カートリッジから移植ツールへの毛包の移動は、様々なアプローチで実現することができる。いくつかの実施例では、遠位方向への圧力差によりFUを受け部から出し、検査チューブ40または移植ツール32へ送ってもよい。例えば、近位方向にFUを引っ張る圧力差を発生させる上述の吸引チューブ136を、FUを遠位方向に向ける逆の圧力差をかけるのに用いてもよい。読者は、移植ツール32は前に用いられる採取ツールと同一であってもよいが、通常は異なる構成であり、したがって変更が必要であることを理解するであろう。
【0065】
別の実施例では、例えば図9に示すような閉塞具などの機械的デバイスを用いて、FUをカートリッジから移植ツールに押し出してもよい。図9は、カートリッジ30が横にずらされボア72が縦チャネルと合致する状態を示す。このステージにおいて、オペレータまたはシステムは、移植ツール32の遠位端を患者の体表面に進入させる。これを実現すべく、移植ツール32の遠位端は尖っており、あるいはツールが前もって形成された孔または切り込みに案内される。オペレータまたはシステムは、閉塞具34全体を縦チャネルに通して並進移動させ、これによりFUがツール32へ押し出される。別の代替的実施例では、FUをカートリッジから出すのに機械的押し出しおよび圧力差を用いてもよい。
【0066】
図10は、本発明の別の態様にかかるロボット毛包ユニット採取・移植システム100の実施例の概略斜視図である。システム100は、ロボットアームのダウンチューブ106に回転可能に搭載されたヘッドアセンブリ104を有するロボットアーム102を具える。複数の矢印がシステム100の可動能力を説明するため示されている。さらに、以下に示すように、ヘッドアセンブリ104に組み込まれたモータやこのような可動デバイスが、操作チップ108の複数の方向への精密な移動を可能にする。操作チップ108は、本例では毛包を有する組織片である体表面110の上に位置して示されている。パーソナルコンピュータ112が、例えばロボットコントロール114を介してロボットアーム102とヘッドアセンブリ104の様々な可動デバイスを制御する。この制御システムまたは機構114は、機能的にロボットアームに接続され、ロボットアームの動作を制御するよう構成され、これにはこのシステムで利用可能な様々な画像取得装置で取得された画像またはデータに基づく動きが含まれる。代替的に、採取・移植ツール、ロボットアーム、およびアセンブリの他の様々な可動部品、画像取得装置で取得した画像またはデータに基づくもの、を含むすべてのツールのすべての動作のすべての処理や制御は、1の処理または制御システム114に組み込まれてもよい。オペレータは、モニタ115、キーボード116、マウス118を通して状況を監視して命令を発する。体表面110の拡大画像をモニタ115で見ることができる。
【0067】
図11−13は、システム100のヘッドアセンブリ104の概略図である。図12の側面図は、操作チップ108と体表面110とを近くに示している。LED120の列が体表面110を照射し、図示する実施例では対のカメラ122である撮像デバイスが鮮明な画像を取得してモニタ115に伝送する。複数の回路ボード124が操作チップ108から見てヘッドアセンブリの左側に搭載され、様々なサブシステムのリアルタイムな制御を提供する。様々な要素が、ロボットアーム102のダウンチューブ106に関して回転または線形移動を行うよう搭載されている。ステッパモータ、油圧シリンダ、その他も用いられるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0068】
図11−13は、図示する実施例におけるヘッドアセンブリ104に搭載された筒型カートリッジ130を示し、操作チップ108に延びるシャフト132の軸に平行な軸で回転する。シャフト132はヘッドアセンブリに、その軸に沿って線形移動可能なように搭載される。シャフト132の近位端134は、カートリッジ130の遠位端の方に向かって突出する。この特定の実施例は真空システムを用いるため、カートリッジの近位側に吸引チューブ136がヘッドアセンブリ104に、その遠異端部が線形移動可能なように設けられている。
【0069】
図14A−14Dは、本発明の別の態様にかかるディスク型カートリッジ130の実施例の様々な図である。このカートリッジ130は、内部に複数の受け部を規定する本体140を具える。この本体140は、外側円筒面144と、平坦な円形遠位面(または第1の面)146と、平坦な円形近位面(または第2の面)148とを具える。面146、148間の軸方向距離は、図14Dに示すように厚み寸法tを規定する。受け部140は本体140を通り、遠位面146の第1の開口部150から近位面148の第2の開口部152まで軸方向に延在する。各受け部142は、図1−9記載の前述したカートリッジシャトルサブシステム20の受け部64と互換性がある。
【0070】
図14Aは、カートリッジ130の遠位側を示し、遠位/第1の面146と、対応する受け部142用の複数の第1の開口部150を示す。これらの受け部142は、カートリッジ130の軸の周囲に円形パターンで配列される。図示する実施例では、受け部142の円形パターンはカートリッジの外辺近傍に配置され(外周に沿って)、相互間に必要な間隔を最小化しているため受け部の数を最大化している。このカートリッジを通して多重の円形または非円形の受け部のパターンを設けてもよいことを理解されたい。後述するように、シャフト132の軸に整列する円形パターンの受け部142が図13に示されている。カートリッジ130をずらすか回転させると、これにより、受け部142の1つがシャフト132の近位端134に合致する。もちろん、これらの受け部142は多種の方法で配列されてよく、対応してシャフト132に対するカートリッジ130(あるいは逆)に必要な動きも変化してよい。例えば、受け部142は、図示するように保存器具外周に沿った1以上の円形配列の受け部パターンであってもよいし、このパターンは最初のパターンより小さい半径で同心円状に配列された第2(または第3・・・)の円形配列を具えてもよい。この場合、パターンはランダムでも特定の順番でもよく、整列された列または円形その他の配列であってよい。このパターンは、シャフト132に対するカートリッジ130(または逆)の潜在的な動きによってのみ制限される。
【0071】
カートリッジ130はさらに、その近位/第2の側に受け部142の第2の開口部152の上に延在するカバー160を具える。このカバー160は許容性媒体でなり、後述するように多数の手段が受け部にアクセスすることができる。
【0072】
「許容性媒体」の語句は、本発明の一態様にかかる保存器具に用いることができ、カートリッジ受け部から生体ユニットの出し入れが可能な多数の材料のいずれかを意味する。このような媒体の例は、メッシュ、スクリーン、紙、シリコーン等のエラストマ材料、多種の接触性(contiguous)ポリマ、自分で閉じたり再封止されるスリットまたは孔を形成可能な多種の再封止可能材料等を含む。上記したいずれかの例示的な材料は、カートリッジの後側(または近位側)をカバーしてFUが通過してカートリッジから出るのを防ぎ、同時に気体および/または液体が通過可能である。本発明に利用可能な許容性媒体は、例えば毛包ユニット(FU)を保存するカートリッジの受け部の開口部をカバーするのに用いられ、ある速度で受け部へ進むFUの通過を防ぐ十分な構造強度を呈する。他方、この許容性媒体は好適には多孔性であり、気体や液体が自由に通過可能(気体/液体透過性)であり、あるいは工具で孔開け可能である。
【0073】
許容性媒体のサブセットの1つは、気体および/または液体透過性媒体である。カバー160が気体や液体透過性である場合、カバー材料を介して受け部に圧力差を確立することができる。例えば、食塩水を通過するメッシュは透過性媒体であり、したがって許容性媒体である。しかしながら、他の許容性媒体のサブセットである「穿孔可能な媒体」は、少なくとも一時的に、比較的容易に孔を開けられる様々な数の媒体を意味する。「穿孔可能な媒体」は、メッシュのように気体および/または液体透過性であってよい。カバー160が気体透過性で穿孔可能な場合、例えばこのカバーを通して受け部内に延びるプローブを用いて受け部に圧力差をかけることができる。金属であっても、フォイルのように非常に薄く、あるいはメッシュまたはスクリーンのように構成されていれば、穿孔可能な媒体となりうる。この穿孔は閉塞具(あるいは通常は金属のロッド、ニードル)を用いて実行可能であり、これにより開口部が形成され気体/液体が通過可能となる。この開口部は恒久的に形成されてもよいし、再封止可能な媒体の場合には一時的に形成されてもよい。開口部を形成すると、上述のように、圧力差または真空を用いてカートリッジの受け部にFUを吸引する実施例および/またはステップにおける吸引プローブの導入が可能となる。代替的に、開口部は食塩水や他の公知の保存液を受け部に導入できるようにするために形成されてもよい。
【0074】
穿孔可能な媒体の例は、メッシュ/スクリーン(例えばポリマ製)、通気性があるが液体非透過性の医療用フィルタ材料、シリコーンラバーを含む。望ましくは、穿孔可能な媒体は非摩損性であり、すなわち穿孔により細片が落ちたり切れたりしないものである。このような細片は受け部内の生体ユニットを劣化あるいは汚染する可能性がある。
【0075】
許容性媒体の一例は、受け部142を通りフィットする寸法の閉塞具により穿孔できる医療用シリコーンラバーのポリジメチルシロキサン(PDMS)である。図14Dに示すように、本体160は、保持リング162によりカートリッジ130の本体140に取り付けられる。図示しないが、保持リング162は、本体140にネジかボルトで固定でき、あるいはより恒久的な取付のために接着剤を用いてもよい。代替的に、保持リングを用いずに、カバー160を、接着、溶接、クリップ止めなどで直接カートリッジ本体に取り付けてもよい(恒久的あるいは着脱可能に)。カバー160を本体140に止める2つの異なる方法が、図17と19に示されている。
【0076】
望ましくは、ある量の食塩水や他の公知の保存液がカートリッジ130の各受け部142に配備され、毛包または他の生体物質が保存中に含水または低温に維持される。これを実現する1の方法は、第2の開口部152に対し保存液を保持するカバー160に許容性媒体を用い、保存液を表面張力効果(すなわち毛細管現象)により各受け部に移動させることである。別の方法は、各受け部142に液体を直接滴下することである。
【0077】
カートリッジ130(または前の実施例では30)は、図10のロボットシステムに用いるのに限られず、他の処置にも有用である。上述したように、多種の生体ユニットを本発明のカートリッジを用いて管理することができる。一例では、複数の生検サンプルを取得して後の分析のために保存する。このシステムは、ドナー位置を受け部に合わせ、いずれかの生検サンプルを必要に応じて、これが取得された身体領域の情報とともに供給しうる。さらに、上述したように、カートリッジは本書記載のロボットシステムの補助のない原始的なマニュアルシステムに用いてもよい。明確のために、本発明のカートリッジは、例えばハンドヘルド器具を用いて、この器具や処置がいくぶん自動化されている場合でも、マニュアルで、あるいは採取および/または移植が人間(外科医または熟練技術者)により実行される原始的なマニュアルシステムに用いることができる。
【0078】
図15は、採取/移植システム100に装填する前のディスク状カートリッジ130の斜視図である。カートリッジの近位側が図示され、カバー160は示されておらず、受け部142が露出している。
【0079】
図16は、カートリッジ130の斜視図であり、直接的に相互作用する特定の採取/移植システム100の構成要素の近くに装填されいる。カートリッジ130は図15と同じ向きであり、近位側が左に向き、この使用図では許容媒体のカバー160が受け部142を塞いでいる。図16はまた、カバー160を取り付ける代替構成も示している。図17を参照すると、内側および外側取付リング164a、164bがカートリッジ130の本体をボルト止めしており、保持リング166a、166bをカートリッジ130の近位面の溝(符号なし)内に保持する。この保持リング166a、166bが、可撓性材料でなるか溝内に押し込むことができるカバー160の内側および外側周縁を把持して摩擦保持する。例えば、カバー160はシリコーン(PDMS)エラストマで円形に形成され、その内側および外側の端縁はリング164、166により溝内に保持されている。
【0080】
図16は、ヘッドアセンブリ104(図13)に搭載されたフレーム部材168を通る吸引チューブ136を示している。バネ部材170が吸引チューブ136の終端部に示されており、これがチューブとカートリッジ130の近位面の良好な吸引接続を補助し、その相対位置の許容度の厳格性を緩和する。ここでも、ヘッドアセンブリ104は、吸引チューブ136を両側矢印で示すようにカートリッジ130に近づけたり離したりする移動機構(図示せず)を具える。
【0081】
フレーム部材168は、吸引チューブ136の終端部の近くに、穿孔機172を搭載するプラットフォームを設けている。この穿孔機172は、カートリッジ130の回転軸から吸引チューブ136と同じ半径距離にある好ましくは尖った鋭利な細いロッドを具える。換言すれば、穿孔機172は受け部142の円形パターンと整列している。この穿孔機172は、各受け部のカバー160に予め穿孔あるいはスリット形成するのに用いることができる。穿孔機172は、吸引チューブ136の終端部が受け部に入る細いプローブを具える場合であって、このプローブが自身できれいな孔を形成できるほど尖っていない場合に用いることができる。このような実施例は図19を参照して後述する。代替構成では、吸引チューブ136の終端部は尖っており、別個の穿孔器具を用いることなく穿孔を実行するようにしてもよい。
【0082】
図16はまた、カートリッジ130を回転あるいはずらすステッパモータのような回転原動力が配置されるハウジング174も示している。カートリッジ130の正確な回転により受け部142が吸引チューブ136に位置整合する。この移動機構を制御するソフトウェアにより、任意の受け部142を必要に応じて位置整合させることができる。例えば、上述のように、各FUの特性を評価する検査システムをこの採取処置に組み込んでもよく、各受け部142にどの種類のFUがあるかを把握すると、システムがある位置に小さなFUを移植し、別の位置に大きなFUを移植することが可能となる。このような多くの移植スキームがこの分野で知られており、ここでのさらなる説明は行わない。読者は、吸引チューブ136とカートリッジ130の相対的な半径方向の移動をシステムに組み込んで、図示するアレイと同心円上に配列された受け部142の第2の円形アレイ(図示せず)に吸引チューブ136を位置合わせしてもよい。
【0083】
図17は、図16の遠位側の部品の拡大断面図であり、カートリッジ130に向かって移動する生体湯一途の速度を低下させるために望ましく設けられた例示的な圧力差低減構造を示す。本システムを用いる方法では、採取プロセスにおいて選択された受け部142の近位側に吸引源が適用され、近位方向へ圧力差を生成し、これによりFUが受け部へと前進する。圧力差の度合いは通常、採取ツールから受け部142への経路に沿ってFUが移動する間一定に維持され、FUを本体面から引き抜くのに必要な吸引が比較的高いため、FUが受け部に向かって速い速度で移動することになる。この高速移動は、カートリッジ受け部の近位端で止まる際、例えばカバー160と当たるときにFUが損傷する原因となる。しかしながら、移動時間が短いため、採取ツールと受け部間の途中で吸引力を低下させるシステムを設けるのは不可能でないが困難である。
【0084】
精巧な(すなわち高価な)多重ステージ圧力低減システムを組み込むよりも、除去ツールから保存器具の受け部へと生体ユニットが移動する通路に沿って、この部分に沿って圧力差を低減して経路に沿ったFUの速度を低減する構造を設けてもよい。例えば、この構造は主通路とは別に、経路がカートリッジに到達する直前で終端する平行な流路を具えてもよい。図17では、FUは、操作チップ108から遠位シャフト132を通り、外側チューブ175で囲まれた主チューブ173に沿って移動する。チューブ173と175の間には環状の空間が形成されている。実質的にシャフト132の長さの間隔を開けた2セットのバイパス孔177により、環状空間に流入できるようになっている。これにより主チューブ173の圧力が低減し、このためこの領域におけるFUの移動が遅くなる。
【0085】
図18を参照すると、カートリッジ受け部142用の圧力解放構造の例が示されている。採取プロセスにおいて吸引源が選択された受け部142の近位側に適用されるとき、FUが受け部に到達した後の短い時間圧力差が継続する。この間、例えば受け部の近位側にFUがある場合に、FUの吸引の脱水効果を緩和することが望ましい。図18では、受け部142の1つに圧力解放チャネル174が設けられ、この受け部内に形成される最大吸引力が吸引源の大きさ以下となるようにしている。別の方法で述べると、吸引チューブ136は吸引源を具え、これは受け部142の近位端の周囲に密閉されると、ある大きさの吸引を受け部にかける。圧力解放チャネル174がないと、受け部内のFUが最大吸引力にさらされる。吸引チューブ136に液体または気体用の別の流路を設けることにより、FUがさらされる最大吸引力は吸引源の大きさ以下となる。
【0086】
圧力解放チャネル174は、受け部142の第2の開口部または近位端に、複数の交差パターンの小さなノッチとして示されている。もちろん、他の構成を用いてもよく、例えば1つのノッチであってもよい。さらに、圧力解放チャネル174は、例示目的で1の受け部にのみしか示さないが、すべての受け部に設けられていることが望ましい。
【0087】
図19は、受け部142に(圧力差を形成する)吸引源をかける代替的な方法を示す。ここでは、吸引プローブ176が吸引チューブ136の遠位端から延在している。この吸引プローブ176は先が鈍く閉じた端部177と、この閉じた端部の近くに1以上の側部ポート178を具える。吸引プローブ176の外径は、受け部142の内径より十分に小さく、ギャップが形成されてプローブの周りと側部ポート178内に気体や液体が流れるようになっている。
【0088】
吸引プローブ176は、許容性媒体のカバー160を通り受け部142内に延在する。本例では、カバー160は選択的にカートリッジ130の近位面にプレート179によって保持され、さらにこれが外側リング181により固定されている。プレート179のテーパした開口部(符号なし)の円形配置が、各受け部142に刻まれており、これがプローブ176を受け部に導入しやすくしている。吸引プローブ176は、様々な許容性媒体とともに用いることができるが、比較的液体を透過しないカバー160に特に有用である。このような材料を通して直接吸引するのは現実的ではなく、このため、プローブ176はカバー160を通して受け部内に挿入される。望ましくは、カバー160は、プローブ176を取り去ったときに自律的に再封止する材料、例えばシリコーン(PDMS)エラストマーで作られる。
【0089】
プローブ176は、カバー160を通して直接押されてもよいが、先の鈍い形状を考慮すると、予め形成されたスリットまたは孔が設けられていることが望ましい。例えば、図16に示す穿刺チューブ172を用いてこのような孔を設けることができる。特に有用な穿刺チューブ172は、芯に孔のない設計のHuber針の形状であるが、代わりに自動的に再シールされるスリットを形成するだけでもよい。代替的に、吸引プローブ176の終端部は尖っていて、Huber針の形状のように、それ自体が孔を形成してもよいが、尖ったプローブとFUが接触する場合の影響について考慮すべきである。
【0090】
図20、21は、ヘッドアセンブリ104全体から分離された毛包ユニットシャトル部品の斜視図と側面図である。これらの要素は図11−13にヘッドアセンブリ104に組み込まれて示されている。本システムの重要な動作上の相互作用を説明するために、または、操作チップ108、カートリッジ130と吸引チューブ136を含むシステムの近位端との間の相対動作が以下に説明される。図22A−22Dは、FUの採取シーケンスを示し、図23A−23Bは、FUの移植シーケンスを示す。これらの動作は、最初にカートリッジ130を充填し、これをシステムから取り外さずに空にすることである。しかしながら、カートリッジ130の受け部142の数によっていくつものカートリッジが必要となり、移植処置の直前に採取動作を実行してもよい。例えば、1のカートリッジは125−500のFUを保持することができ、一方で一般的な施術は2000ものFUを必要とする。受け部の数はもちろん変更可能であるが、単一のカートリッジで必要なすべての数を保持するようにしてもよい。
【0091】
図22A−22Dは、シャトル部品を図20の22−22線でとった断面図であり、体表面110から毛包ユニットを採取または除去してカートリッジ130に移動させる施術シーケンスを示す。図22Aは、シャフト132が左のシリンダ180内に移動された後を示す。この動作により、採取/除去ツール182が体表面110に予め定められた深さだけ穿孔する。ツール182の穿孔深さは、シャフト132の移動前に、ツールと体表面の距離の知識を用いて決定される。
【0092】
図22Bで、毛包ユニットFUが、除去ツール182の管孔内に位置して示されている。また、シャフト132とシリンダ180のアセンブリが右へ移動され、近位端134がカートリッジ130に接触する。シャフト132のスルーボアが、カートリッジ130の受け部142の一つと合致する。
【0093】
図22Cは、FUが除去ツール182からシャフト132を通してカートリッジの受け部142に移動されるステップを示す。これは、例えば吸引チューブ136を介して吸引することにより形成される圧力差を用いて実現できる。図22CのFUを移動させるステップは、図17に関連して上述した速度低減バイパス構造や、図18に関連して述べた圧力低減チャネルを用いることが望ましい。代替的に、FUを受け部142に移動させるのに機械シャトルを用いてもよい。例えば、シャフト132を通って延びてFUが受け部142に収まるまで押すロッドまたは閉塞具(図示せず)を具えてもよい。
【0094】
最後に、図22Dは、シャフト132がカートリッジ130から遠位方向に離れるアセンブリを示し、このアセンブリは、カートリッジ130から離れる吸引チューブ136を具える。この地点で、カートリッジ130は回転自在となり、別の受け部がシャトルサブシステムの遠位と近位の部品に合致するようずらされる。
【0095】
図23Aを参照すると、本質的に図22Dの位置にあるシャトルサブシステムの部品が示されているが、採取/除去ツールの代わりに、シャフト132の遠位端には移植ツール184が構成されている。FUを擁する受け部142が、シャフト132の管孔に合わせられる。近位側では、吸引チューブ136が切り離され、固体のロッド状閉塞具186に交換される。この閉塞具186は、受け部142とシャフト132の長さ全体を通ってその軸方向に移動し、これは複数のホイール188との接触など様々な方法で推進される。
【0096】
図23Bは3つの要素を一緒に示し、FUが移植ツール184に到達するまで閉塞具186が受け部142とシャフト132全体を貫通している。移植ツール184は、FUを体表面に予め形成された切開部に挿入するか、新たに切開部を形成する。
【0097】
読者は、カートリッジから移植ツールへの毛包の移動は、いくつかの代替的アプローチを用いて実現可能であることを理解するであろう。一例として、カートリッジからFUを上述のような閉塞具で移植ツールの遠位端を通して全部押すことがある。別の選択肢は、圧力差を用いてFUを各受け部から採取ツールへ送ることである。例えば、圧力差を生成してFUを近位方向に前進させる上述の吸引チューブ136を、FUを圧力差で逆に遠位方向に進めるのに用いてもよい。あるいは、物理的に押すことと圧力を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
上記説明および記載した本発明の実施例は、多様な変更と代替的な形態で実現可能であり、本発明は通常、本書記載の特定の実施例と同様に、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、本発明の意図と範囲内において様々な別の実施例が可能である。さらに、本発明の一実施例の個々の特徴をある実施例では説明または図示して別の実施例ではしていないが、1の実施例の個々の特徴は、別の実施例の1またはそれ以上の特徴あるいは複数の実施例の特徴と組み合わせてもよいことは明白である。
【0099】
本発明を好適な実施例について説明したが、用いられている語句は説明のための語句であって限定するものではないと理解されたい。したがって、添付のクレームの範囲内で本発明の真の範囲を逸脱することなく変更を施すことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、美容および皮膚科学で用いられる物質を保存する装置、システムおよび方法に関し、これは特に頭皮や毛包の保存に有用である。
【背景技術】
【0002】
例えば、将来の検査や処置、または再利用のために、生体ユニットを採取して保存する必要があり、そこには多様な美容および皮膚科学的処理が存在する。毛髪移植処理はこれらの間でよく知られた処置であり、一般に提供者の頭皮を患者の身体のドナー領域、最も多くは頭皮から採取し、これを無毛領域(レシピエント領域)に移植する工程を含む。
【0003】
毛包ユニットは、当該ユニットにおける毛髪の本数に基づいて分類あるいは「種類分け」され、1本の毛包ユニットは「F1」、2本の毛包ユニットは「F2」、3−5本の毛包ユニットも同様に速記される。
【0004】
毛髪移植の多様な処置がこれまでに開示され、これにはマニュアルや、ある程度の自動化を伴う機械化が含まれる。あるよく知られたマニュアル処置では、皮下脂肪組織へメスで切開することにより、頭皮の線形部分がドナー領域から除去される。この切片は(顕微鏡下で)毛包ユニットの成分へと切り分けられ、これらがその後レシピエント領域に針で開けられた穿孔にそれぞれ植毛される。通常は鉗子を用いて毛包ユニット片を把持し、針の穿孔領域に配置するが、これを行う他の器具や方法も知られている。
【0005】
米国特許番号第6,585,746号は、ロボットと、当該ロボットに操作され頭皮を採取し移植する多様なツールとを用いる自動毛髪移植システムを開示する。
【0006】
毛髪移植のマニュアル、半自動、ロボット補助の方法の間は、一般に、採取した毛包ユニットまたは頭皮を移植の前に何らかの保存装置に収容し保持するのが望ましい。同様に、生体物質または組織の除去を要する他の美容および皮膚科学的処置でも、このような物質を処置、再利用、または再移植する前に収容し保存することが望ましい。これらの保存器具は、往々にして頭皮片用の容器からなり、ここから技術者が個々の植皮を移植のために取り出す。マニュアルの毛髪移植処理に用いるいくつかの毛包収容保存器具またはカートリッジの設計の試みがなされているが、マニュアル、部分的または完全自動化、あるいはロボットアシストシステムおよび方法に利用可能な改良デザインの改良型保存器具の明確な需要があった。
【発明の概要】
【0007】
本書に開示する本発明のうちの1つの一般的な態様は、例えば毛包などの生体ユニットを保持する保存器具またはカートリッジが提供される。この保存器具は、第1の面と第2の面とを有し生体ユニットをそこに保持する複数の受け部を規定する本体部を具える。この受け部はそれぞれ、前記本体部を前記第1の面から第2の面へ通り、前記本体部の第1の面に第1の開口部を、前記本体部の第2の面で少なくとも1の第2の開口部を具える。許容性媒体(permissive medium)が複数の受け部の第2の開口部をカバーする。この許容性媒体は、受け部へ/からの生体ユニットの移動を実現し、例えば、メッシュ、スクリーン、紙、シリコーン等のエラストマー材料、多種の再封止可能な材料等である。この許容性媒体は、生体ユニットが第1の開口部を通過して第2の開口部から保存器具を飛び出すのを防ぎ、同時に気体および/または液体の通過を可能にする。
【0008】
一実施例では、保存器具の本体は実質的に円筒状または円盤形状で、円筒軸方向に沿って厚さを有し、複数の受け部が本体の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されている。このパターンは、保存器具の周囲に沿って受け部が円形に少なくとも1列あるものを含むが、このパターンは他の構成であってもよく、これには所望の場合にランダムも含む。代替的に、本体は実質的に厚さ寸法を有する直線的なものであり、受け部が本体の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されていてもよい。例えば、受け部は密集した行列として配列されてもよい。受け部の圧力解放構造が、内部に生成される最大吸引力を制限する。
【0009】
許容性媒体は、本体部に取り付けられ第2の面と第2の開口部の上に少なくとも部分的に延在するカバーを具えてもよい。一実施例では、許容性媒体が受け部の第2の開口部をカバーする各部分は、穿孔されたら使用不能となり、このため保存器具はシングルユースの器具であって好適には使い捨てである。別の実施例では、許容性媒体が受け部の第2の開口部をカバーする各部分は、穿孔された場合も再封止可能であり、この場合は保存器具を2回以上再利用可能である。
【0010】
1の有用な実施例では、生体ユニットは頭皮であり、受け部は前記頭皮をぴったりと受けるよう寸法調整される。さらに、保存器具は,ロボット式毛髪移植システムに取り外し可能に収容されるよう構成される。事実、この保存器具は、1またはそれ以上のハンドヘルド型、半自動、および完全自動のデバイスまたはシステムに取り外し可能に受けられるよう構成されてもよい。複数の受け部のうちの1以上の受け部が、生体ユニット保護溶液を含んでもよく、保存器具は生体ユニットが複数の受け部のうちの1の受け部に保持されたら冷却できるように構成されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様は、毛包ユニット(FUs)を組織へ移植する器具であって、ロボットアームと制御機構を有するロボットシステムを具え、この器具はまた保存カートリッジを搭載する。内部を通る管孔を有する移植ツールが接続され、ロボットアームにより操作される。この器具は、FUを保持するのにそれぞれ適合した複数の受け部を有するカートリッジを具える。制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を移植ツールの管孔と自動的に整列させ、選択された受け部から移植ツールの管孔を通り組織へとFUを前進させる。選択されたカートリッジ受け部を通過するよう配置された閉塞具が、制御機構により、選択された受け部からFUを前進させる。代替的に、この制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を通して圧力差を生じさせ、選択されたカートリッジ受け部からFUを前進させてもよい。さらに、内部を通る管孔を有する毛包ユニット除去ツールがロボットアームに接続され、体表面にあるFUの上に除去ツールが配置されるよう操作されてもよく、ここでは制御機構は除去ツールの管孔を選択されたカートリッジ受け部に整列させ、除去ツールを通りFUを選択されたカートリッジ受け部に進めるよう適合している。
【0012】
本発明のさらなる態様は、毛包ユニットといった生体ユニットを、複数の受け部を有する保存器具の内外へシャットリングする自動プロセスである。このプロセスは、少なくとも、実質的に自動化されたプロセスを用いて第1のツールへと生体ユニットを入れる(acquire)ステップと、前記生体ユニットを前記第1のツールから前記保存器具の選択された受け部へと実質的に自動化されたプロセスを用いて前進させるステップと、前記選択された受け部内の生体ユニットを捕獲する(capture)ステップと、前記選択された保存器具の受け部から前記生体ユニットを前記第1のツールまたは異なるツールへと実質的に自動化されたプロセスを用いて移動させるステップと、を具える。
【0013】
このプロセスにおいて、第1のツールは内部を通る管孔を規定し、当該第1のツールを通り前記生体ユニットを前進させるステップは、前記第1のツールの管孔へと圧力差をかけるステップを具えることが好ましい。構造体は、第1のツールから前記保存器具の受け部へ生体ユニットが移動する経路に沿って、その部分の圧力差を低減させるべく設けられており、これにより経路における生体ユニットの速度が低減する。例えば、この経路の外側に平行する流路が設けられ、前記経路が保存器具に到達する直前で終端していてもよい。一実施例では、プロセスは、選択された受け部の近位側に吸引源を設けるとともに、各受け部の近位側に圧力解放チャネルを設けて、受け部内の最大吸引力が前記吸引源の吸引力より低く制限されるようにするステップを含む。
【0014】
代替的に、第1のツールは内部を通る管孔を規定するとともに、この第1のツールを通して前記生体ユニットを前進させるステップは、前記第1のツールの管孔を通して生体ユニットを機械的手段を用いて押すステップを具えてもよい。このプロセスはさらに、前記保存器具の受け部内に保存される間に生体ユニットを冷却するステップと、前記保存器具の受け部内に保存されている間に生体ユニットを保存液で保存するステップとを具えてもよい。好適には、この方法の少なくともいくつかのステップはコンピュータ制御され、この方法の少なくともいくつかのステップはロボットにより実行される。
【0015】
このプロセスにおいて、保存器具の受け部から生体ユニットを移動させるステップは、当該受け部を通る閉塞具を用いて生体ユニットを押すステップを具えてもよい。一実施例では、保存器具は、厚みのある本体部であって、対応する受け部の第1および第2の端部の第1の開口部と第2の開口部の間に前記本体部を通る受け部を有する本体部を具えてもよい。さらに、許容性媒体が受け部の第2の端部をカバーし、保存器具の受け部から生体ユニット移動させるステップが、許容性媒体を通り受け部に入る閉塞具を用いて前記受け部から生体ユニットを押すステップを具えてもよい。代替的に、除去ツールを通して生体ユニットを前進させるステップは、受け部の第2の端部における圧力を第2の端部に対して低減させることにより除去ツールに圧力差をかけるステップを具えてもよい。例えば、許容性媒体を通して前記受け部の第2の端部に低圧源を提供するプローブを導入する等によって、受け部の第2の端部における圧力は、許容性媒体を通して前記第2の端部に低圧源を適用することにより第1の端部に対して低減される。
【0016】
このプロセスにおいて、入れる(acquire)ステップは、本体部のある位置から前記第1のツールへ生体ユニットを除去するステップを具え、前記第1のツールは取り外し可能なツールであって、さらに前記生体ユニットを同じ除去ツールまたは異なるツールから体表面の異なる場所へ生体ユニットを移植するステップを具える。一実施例において、前記除去ツールまたは前記異なるツールは内部を通る管孔を規定する移植ツールであり、移動させるステップは前記生体ユニットを前記移植ツールの管孔へと機械的に押すステップを具える。このプロセスはさらに、保存器具の受け部から除去ツールを離すステップと、保存器具の受け部に移植ツールをつけるステップとを具えてもよい。このプロセスは特に、生体ユニットが毛包ユニットである場合に有用である。
【0017】
本発明の別の態様によると、生体ユニットを管理するシステムおよび方法が提供される(例えば、分析、分類、または保存)。例示的な一実施例では、このシステムは、それぞれ生体ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具える。このカートリッジには検査器具が操作可能に接続されており、システムはさらに、検査器具が通った生体ユニットを前記複数のカートリッジの受け部のうちの1つに移動させる機構を具える。最後に、検査器具からの信号を受けて、生体ユニットが複数のカートリッジの受け部のうちの1つへ移動する経路の登録、生体ユニットのカウント、生体ユニットの分類、の1またはそれ以上を実行するプロセッサが設けられる。このプロセッサはさらに、対応するカートリッジの受け部からの後の再収集や選択的復旧のために、登録、カウント、および分類の1以上の動作の結果を記録するのに適合している。
【0018】
生体ユニットを移動させる機構は、圧力差を有し生体ユニットが通過する開流路(open channel)を具えてもよい。一実施例では、検査器具は、生体ユニットの経路を登録するための光源と光検出器を具えてもよい。第2の実施例では、検査器具は、当該検査器具を通る生体ユニットの画像を記録するカメラを具えてもよい。このシステムはさらに、カメラの焦点下の撮像地点を定期的に照射するストロボを具えてもよい。この撮像地点の上流側の前記生体ユニットが通過する通路に隣接して配置された追跡システムが、生体ユニットの通過を記録して、ストロボライトが点灯するよう信号を送るようにしてもよい。例えば、追跡システムは光源/検出器のペアを具えてもよい。
【0019】
本発明の生体ユニット管理方法は、検査器具を通過した生体ユニットをカートリッジの複数の受け部のいずれかに移動させるステップであって、各受け部は生体ユニットを収容するサイズであるステップと、前記検査器具から受信した信号を処理するステップと、前記生体ユニットの通過の記録、前記生体ユニットのカウント、および/または前記生体ユニットの分類のいずれか1以上を実行するステップとを具える。この方法はさらに、対応するカートリッジの受け部からの後の再収集や選択的復旧のために、登録、カウント、分類のいずれか1以上の結果を記録するステップを具える。移動させるステップは、圧力差を利用して開流路を通して生体ユニットを前進させるステップを具える。各生体ユニットを撮影するのにカメラを用いてもよく、各生体ユニットの位置を予想してストロボ光を点灯させる追跡システムを組み込んでもよい。
【0020】
本発明の別の態様にかかる生体ユニットを管理するシステムは、生体ユニットを分析する検査器具と、当該検査器具を通して生体ユニットを移動させる機構と、前記検査器具からの信号を受けるプロセッサとを具える。このプロセッサはまた、前記検査器具を通る生体ユニットの経路を記録し、生体ユニットをカウントし、および/または生体ユニットを分類する。このプロセッサはさらに、前記記録、カウントおよび分類の動作の1またはそれ以上の結果を記録するのに適合している。望ましくは、前記生体ユニットは毛包ユニットである。このシステムはさらに、それぞれ生体ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具え、前記移動させる機構は前記検査器具を通過した生体ユニットを前記カートリッジの複数の受け部のいずれか1つに移動させる。このシステムは、対応するカートリッジの受け部からの生体ユニットの後の記録、カウント、または分類の再収集や選択的回収に適合している。移動させる機構は、生体ユニットが通過する内部に圧力差を有する開流路であってもよい。
【0021】
上述の検査器具は、生体ユニットの通路を記録するための光源と光検出器を具えてもよい。代替的に、この検査器具は、当該検査器具を通過するときに生体ユニットの画像を記録するカメラを具えてもよい。カメラの焦点下の撮像ポイントでストロボ光が定期的に点灯するように構成されてもよい。前記生体ユニットはチャネルを通り、追跡システムがこのチャネルに隣接して前記撮像ポイントの上流に設けられ、この追跡システムが生体ユニットの通過を記録してストロボ光を点灯させる信号を出すよう適合される。前記追跡システムは、空間を隔てて生体ユニットの位置情報を中継するよう接続された光源/検出器の複数ペアを具え、プロセッサはストロボ光を点灯させる信号を出す時期を算出するようプログラムされてもよい。
【0022】
本発明の生体ユニットを管理するさらなる方法は、検査器具を通して生体ユニットを移動させるステップと、前記検査器具から受ける信号を処理するステップと、前記検査器具を通る前記生体ユニットの通過の記録、生体ユニットのカウント、生体ユニットの分析、のうちの1以上を実行するステップと、記録、カウントおよび分析のうちの1以上の動作の結果を記録するステップとを具える。
【0023】
上記方法において、生体ユニットは毛包ユニットであり、前記方法がさらに分析された毛包ユニットを毛髪移植処置に利用することが望ましい。この方法は、前記検査器具を通過した生体ユニットを前記複数のカートリッジの受け部に移動させるステップを具え、各受け部は前記生体ユニットを受けるサイズである。この方法はまた、記録された結果に基づいて対応するカートリッジの受け部から前記生体ユニットを選択的に回収するステップを具えてもよい。
【0024】
本発明の毛包ユニットを管理する別のシステムは、体表面から毛包ユニットを除去してそれぞれある場所から別の場所への通路に沿って移動させる除去ツールを具える。このシステムはさらに、前記通路に沿って配置されそこを通る各毛包ユニットを分析する検査器具と、前記検査器具からの信号を受信し前記毛包ユニットの通過を記録するプロセッサとを備える。このプロセッサは、前記検査器具の横を通過する毛包ユニットの数をカウントし、前記検査器具の横を通過する各毛包ユニットを分類し、および/または検査器具の横を通る際に各毛包ユニットの分類をディスプレイに示すようにしてもよい。前記除去ツールはロボットアームに連結され、当該ロボットアームにより操作されるよう適合してもよい。
【0025】
本発明の生体ユニットを管理するさらなる方法は、体表面から毛包ユニットを取り出して除去ツール内の通路に沿ってある場所から別の場所へと移動させるステップと、前記通路を通過する毛包ユニットを自動的に分析するステップと、および/または前記分析から受ける信号を処理し前記毛包ユニットの通過を記録するステップとを具える。この方法は、分析された毛包ユニットの数を自動的にカウントするステップと、分析された各毛包ユニットを自動的に分類するステップと、および/または分類された各毛包ユニットの分類を自動的に表示するステップとを具える。この方法はさらに、前記通路を保存カートリッジの選択された受け部に揃えて、毛包ユニットを選択されたカートリッジの受け部に前進させるステップを具えてもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様は、体表面から生体ユニットを抽出して保存する自動化プロセスを提供する。このプロセスは、体表面から生体ユニットを除去ツールに移すステップと、前記生体ユニットを前記除去ツールを通してカートリッジの受け部に前進させるステップと、前記移した生体ユニットを分類するステップと、前記生体ユニットの分類と対応するカートリッジの受け部を後の再収集および選択的回収のために記録するステップとを具える。望ましくは、前記自動化プロセスはロボットに補助されている。
【0027】
本発明の他のさらなる目的は、以降の詳細な説明を添付の図面を参照して読んだ場合に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の特徴や利点が、明細書、クレーム、および添付の図面を参照することにより明白となり一層理解される。
【図1】図1は、毛包ユニットといった生体ユニットを採取し移植する本発明の例示的なカートリッジシャトルサブシステムの斜視組み立て図である。
【図2】図2は、図1のカートリッジシャトルサブシステムの斜視分解図である。
【図3】図3は、図1のカートリッジシャトルサブシステムの側面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線でとったカートリッジシャトルサブシステムの断面図であり、そこを通る複数のフローポートを示す。
【図5】図5は、例示的な毛包ユニット検査器具付きのカートリッジシャトルサブシステムの一実施例の部分概略図である。
【図6】図6A、6Bは、図5の例示的な検査器具付きカートリッジシャトルサブシステムの側面図と断面図である。
【図7】図7A−7Eは、図1のカートリッジシャトルサブシステムとともに用いる例示的な直線的なカートリッジの多様な斜視図、側面図、断面図である。
【図8】図8は、毛包ユニット採取モードにおける例示的なカートリッジシャトルサブシステムのカッタウェイ斜視図である。
【図9】図9は、毛包ユニット移植モードにおける例示的なカートリッジシャトルサブシステムのカッタウェイ斜視図である。
【図10】図10は、本発明の例示的なロボット生体ユニット採取・移植システムの概略斜視図である。
【図11】図11は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図12】図12は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図13】図13は、図10のシステムのヘッドアセンブリの斜視、側面、底面図である。
【図14】図14A−14Dは、本発明による頭皮保存用の例示的なディスク型カートリッジの側面および断面図である。
【図15】図15は、例示的なディスク型カートリッジが本発明の採取/移植システムに搭載される前の斜視図である。
【図16】図16は、図15の準備されたカートリッジをこれに直接相互作用する特定の採取/移植システムの近くに示す斜視図である。
【図17】図17は、図16の構成要素の断面図であり、採取ツールからカートリッジへの通路において生体ユニットが移動する速度を低減させる例示的な圧力差低減構造を示す。
【図18】図18は、本発明のカートリッジの近位側の部分斜視図であり、受け部のうちの1つの例示的な圧力解放構造を示す。
【図19】図19は、本発明の代替的なカートリッジの一端部の断面図であり、許容性媒体を通り受け部へと伸びる吸引プローブを示す。
【図20】図20は、本発明にかかる毛包ユニットシャトル要素の例示的な実施例の斜視図である。
【図21】図21は、シャトル要素の側面図である。
【図22】図22A−22Dは、図20の22−22線でとったシャトル要素の断面図であり、毛包ユニット採取システムの例示的な実施例におけるこれらの要素の動作シーケンスを示す。
【図23】図23A−23Bは、図20の22−22線でとったシャトル要素の断面図であり、毛包ユニット移植システムの例示的な実施例におけるこれらの要素の動作シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明において、添付図面を参照するが、図示するのは本発明を実施した場合の特定の実施例の説明である。この点において、「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」、「遠位」、「近位」などの方向的な語句は、説明にかかる図面の向きに関して用いられる。本発明の構成要素や実施例は様々な向きで配置されうるため、方向的な語句は説明目的でのみ用いられ、限定するものではない。他の実施例も実現可能であり、本発明の範囲を逸脱することなく構造的または論理的な変更を施すことができる。以下の詳細な説明は、それ故、限定する意味で解されてはならず、本発明の範囲は添付のクレームによって規定される。
【0030】
システムまたはプロセスに関する「自動化」なる装飾詞は、全体として、特定のシステムまたはプロセス中のステップの一部または全部が自律的な機構または機能を有することを意味し、すなわちこの機構または機能はマニュアル駆動を必要としない。最終的に、処置の1またはそれ以上のステップが自動化され、または自律化され、いくつかの部分はマニュアル入力を必要とする。この定義は、オペレータがONスイッチを押すか動作をスケジューリングすることが必要な自動化システムや、ハンドヘルドツールが利用されるがシステムの自動機能すなわち人間の入力なく機能を実行するシステムも包含する。本書記載の自動プロセスのいくつかは、ロボット補助またはコンピュータ\ソフトウェア/マシン語で制御されてもよい。本発明の器具や方法は、マニュアルの方法およびシステムとともに、自動化した方法およびシステムにも有用であり、特にロボットアシスト型のシステムおよび方法に有用である。対称的に、副詞「自動的に」は、システムの特定の構成要素またはプロセスの特定のステップについて用いられる場合、これらのシステムが自律的すなわちリアルタイムのマニュアル補助なく実現されることを意味する。
【0031】
毛髪移植処置に関する採取(または除去)ツールに用いられる語句「ツール(器具)」は、体表面からFUを除去または採取する様々な数のツールまたはエンドエフェクタに関する。同様に、毛髪移植に関して移植ツールに用いられる「ツール」は、体表面にFUを移植/挿入する様々な数のツールまたはエンドエフェクタに関する。この意味において、体表面は、身体に取付可能または身体から除去した皮膚弁であってもよい。このようなツールは、様々な異なる形状や構成であってもよい。いくつかの実施例では、ツールは空洞の筒型シャフトを具えてもよい。除去ツールの遠位端部(例えば、パンチ、コアリング器具、カッティングおよび/またはトリミング器具、ニードル)は通常、組織(すなわち毛包)をカットし抽出するために尖っている。移植ツールも、1の動作で穿孔しFUの供給を実行すべく尖っている。しかしながら、この穿孔は他のツールで形成されてもよく、移植ツールは比較的丸くFUを供給するのみに用いられてもよい。また、採取および移植ツールは、処置や、除去あるいは採取する対象に応じて、同じか異なる器具であってもよい。
【0032】
本発明は、採取された整体ユニットが配置される保存器具を用いる。この保存器具は、整体ユニットを受ける受け部を具え、そのまま生体ユニットを移植すべく再利用され、あるいは以降の使用のためにある期間保存される。好適な実施例において、保存器具は、厚みのある本体と、この本体を厚み寸法に沿って伸びる受け部とを具える。この保存器具は代替的に本書においてカートリッジまたは保存カートリッジとして参照される。本発明の例示的な保存器具(すなわち、毛包用カートリッジ)は、特にロボットシステムまたはコンピュータ制御システムに用いるのに適している。しかしながら、保存器具の特定の原理はマニュアルで用いられ、他の原理は自動化または部分的に自動化されたシステムおよび器具であってもよい。
【0033】
「生体ユニット」は、美容または皮膚科学の処置で用いられる個別のユニットであり、例えば、生検や移植用に抽出される皮膚ユニットなどを含む多様な組織である。特に本発明で有用な生体ユニットの一例は、頭皮または毛包あるいは「毛包ユニット」である。
【0034】
本発明は、システム全体、そのシャトルサブシステム要素、および生体ユニットを採取し移植するのに有用な保存器具を開示する。本発明は特に、毛包ユニット(FU)を採取し移植する自動化システムおよび保存器具を提供するロボット式毛髪移植に有用であるが、上述したように生体ユニットの語は多くの物質を包含する。このように、毛包ユニット(FU)の語は、本発明のいくつかの実施例を説明する目的の単なる例として用いられ、これはより幅広い生体ユニットを示すものと理解されたい。一例としてのシャトルサブシステムを最初に説明し、次にシステム全体を説明するが、ここで全体システムに関して説明するロボット原理および機構はその前に説明するサブシステムに適合して利用可能であることを理解されたい。
【0035】
本発明の一態様によると、図1−9は、シャトルサブシステム20の例示的なカートリッジの多様な構成要素および処理ステップを示す。このシャトルサブシステムは、体表面から頭皮を、および/または、移植ツールからカートリッジへ、およびカートリッジから移植ツールへ戻すよう「往復運動」または移動させる。図1、2を参照すると、サブシステム20は、遠位端24と近位端26とを有するブロック状基底部材22を具える。遠位端24から近位端26まで延在する縦方向が規定され、一方で横方向はそれに直交して水平面に延びる。基底部材22は、内部にまっすぐなカートリッジ30を受ける側方チャネル28を規定する。このカートリッジ30は、マニュアルまたは自動で、例えばロボットマニピュレータ(図示せず)の制御下で、チャネル28内を横にスライドする。
【0036】
基底部材22の遠位端24からツール32が遠位に延在している。図示した例示的なツール32は、利便性と単純さのために概略的に示すFUの除去/採取と移植ツールの双方であり、これは基底部材22に交換可能に結合することができる。通常、採取ツールは中心が抜かれた遠異端部を具え、採取ツールと移植ツールは双方とも典型的には内部に管孔またはスルーボアを規定する。細長いロッド状閉塞具34が、基底部材22の近位端26から近位方向に突出する。この閉塞具34の使用は後述する。カートリッジシャトルサブシステム20はさらに、好適に検査器具36を具える。この検査器具36は、多様な方法で用いることができる。これは採取ツールからカートリッジへ、あるいはカートリッジから移植ツールへと採取されたFUの通過を単に記録して、FUがうまく除去されカートリッジに移動されたことを確認するものであってもよい。さらに、検査器具36は、移動されたFUの数を数える目的で用いられてもよく、あるいはより進んだシステムでは、例えば採取した毛包ユニットのサイズおよび/または特性の評価や分類が可能であってもよい。
【0037】
図4を参照すると、基底部材22は、本体部のほぼ中心線を全体的に通って延在する縦チャネルを規定している。このチャネルの遠位端24は、締まりばめまたは手でねじ込むことによりツール32を受ける。ツール32のすぐ近位部には、透明な検査チューブ40が、基底部材22内のギャップ42を横切る縦チャネルの連続性を提供するスルーボアを規定する。図2に示すように、検査器具36は、ギャップ42に延びて検査チューブ40の側面に位置する一対の縦フィンガー43を具える。このフィンガー43は、例えば光検出器またはカメラ等といったセンサを具え、検査チューブ40を通過するか留まるFUを検査および/または記録する。
【0038】
非常に簡単かつ有用な動作モードにおいて、検査器具36はLED送信部と受信部の組み合わせをフィンガー43内に有する。FUが検査チューブ40を横切ると、LED光が遮断され、これが受信部により検知される。これによりFUが通過したことをシステムが検知する。1の採取ステップでFUが検知されなかったら、システムのプロセッサは、カートリッジの特定の受け部にFUが無いことを記録し、この受け部は、例えば、このカートリッジを用いる以降の移植シーケンスでスキップされる。
【0039】
FUを検査する他の手段の例は、すべての毛包ユニットの画像を取得して、例えばFUの種類、サイズ、および/または含まれる毛包の数、これらの計数などの評価に画像処理を用いる。FUを検査して分類する様々な方法が、2007年8月24に出願されFUを分類し計数するシステムおよび方法に関するPCT/US07/76726とPCT/US07/76728に開示されている。これらの出願は、明確に参照により本書に組み込まれる。後述するように、本発明のさらなる態様において、本発明の保存器具またはカートリッジはこれら2つのPCT出願に記載のシステムとともに用いて、カートリッジ30の選択された受け部内に配置された毛包の種類の情報を提供することができる。生体ユニットに応じて分類する多様な手段が用いられる。例えば、毛髪は、複数または単数の毛包ユニットであるかによって分類され、その他に生体ユニットのスキームはそのサイズ、形状、性質等であってもよい。
【0040】
好適な一実施例では、本発明のシステムは、検査器具36から信号を受信するプロセッサと、既知のカートリッジ受け部へと生体ユニットを移動させる機構とを具える。このプロセッサは生体ユニットを分類し、この分類を対応するカートリッジ受け部から後に再収集および選択的に回収するために記録する。例えば、検査器具36は画像取得装置を具え、プロセッサはこの画像取得装置により得られる画像を処理するよう構成されたイメージプロセッサであってもよい。PCT/US07/76726とPCT/US07/76728に記載のように、このイメージプロセッサは、FUを計数および/または分類するよう構成され、これには例えば、FUの分割画像の輪郭を計算し、FUの分割画像の算出された輪郭から凹部を無視した分割画像の外郭形状を算出し、外郭形状の欠損の数を検出し、最後に検出された欠損の数に少なくとも部分的に基づいてFUを分類することが含まれる。代替的に、イメージプロセッサは、FUを記録または登録できるよう構成される。
【0041】
もちろん、例えばPCT/US07/76726とPCT/US07/76728に記載の分析器具36のような、多様な画像取得装置を用いることができる。例えば、画像取得装置は、市場で入手可能な1以上のカメラであってもよい。あるいは、画像取得装置は、(カムコーダのような)映像記録装置でもよい。この画像取得装置はデジタルデバイスであることが望ましいが、必須ではない。例えば、最初の画像をアナログTVで取得して、デジタル画像へとデジタル化してもよい。イメージプロセッサは、生体ユニット(例えばFU)を記録、計数、および/または分類する方法を実行するようにプログラムされ構成された様々なデバイスを具えてもよい。適切なイメージプロセッサの非限定的な実施例は、様々な種類のパーソナルコンピュータ(「PC」)である。代替的に、画像プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を具えてもよい。このイメージプロセッサは、本発明の方法を実行するよう構成されたソフトウェアでプログラムされる。
【0042】
毛包ユニットの良好な画像を取得して検査、評価、および記録を行うために、本発明はまた、体表面および/または採取ツールから、例えば一例としてのシャトルサブシステム20を通り、保存カートリッジへと「往復運動」または移動する際のFUの位置を追跡または監視する構成要素を提供する。代替的に、FUは、保存カートリッジを用いることなく移植の前に検査器具を通るときに撮像され検査されてもよい。このような応用例では、検査されたFUなどの生体ユニットは、分類されてこの検査および/または分類に基づいてそのまま所望位置に移植される。保存カートリッジを用いる/用いないものを含む多様な実施例が、後述するような同様の技術を用いている。通常、検査装置は各FU(またはFUのサンプル)を、シャトルサブシステム20を通り移動するときに評価する。これに関し、検査器具を通過したFU(またはより一般的な生体ユニット)を、例えば、カートリッジが用いられる実施例の複数のカートリッジ受け部のうちの一つへ移動させる機構が用いられる。ここでFUを移動させる機構は、上述したような圧力差を有する開チャネルであってもよいし、コンベヤ、装着機、または類似の手段などの別の移動手段であってもよい。
【0043】
サブシステムを通り移動するFUの位置を予想/算出することにより、あるいはカメラの視野内でFUの動きを停止することにより、カメラがクリアな画像を取得できるポイントと時間にストロボ光を点灯してもよい。通常、撮像デバイス(例えばカメラ)は、FUがカートリッジへ、あるいはカートリッジから移動する際に画像を取得する。このために、シャトルサブシステム20のチャネルの撮像ポイントの上流に隣接配置された追跡システムを用いて、シャトルシステム内のFUの存在を検出しその速度を測定してもよい。この追跡システムは、プロセッサ/コントローラとともに、撮像デバイスの視野内にFUがある瞬間にストロボを点灯すべく速度情報を用いる。このストロボは、FUの動きを観測および検査のためにフリーズさせることができる。
【0044】
代替的に、FUはカメラの視野内で移動を止めて画像を記録することができる。例えば、図5は、FUなどの生体ユニットの移動を追跡/記録する本発明のシステムにおける構成要素を概略的に示す。参照目的で、これらの要素はサブシステム20に組み込まれてもよく、このため同じ要素には同じ番号を付す。実に、図6A、6BはFU追跡要素を追加した改良型カートリッジシャトルサブシステム20’の側面図と断面図である。対象となるFUのモニタ、記録、検査、評価は、FUを採取するハンドヘルド器具にも有用であり、自動化システム20’の説明は限定と解されてはならない。
【0045】
図5の例では、基底部材22の遠位端から遠位方向に突出する採取ツール32の管孔を通り、FUが速度vで移動する。上述したように、ツール32の管孔は基底部材22を通って延在する縦チャネルへと延び、検査器具36に整列した撮像ポイント44を通過する。図示する実施例の検査器具36は、カメラCと、ストロボSと、ビームスプリッタBSとを具える。ストロボSは、カメラ軸と整列して示されているが、ずれていてもよい。撮像ポイント44に到達する前に、FUは、第1の光源L1と第1の光検出部D1を具える第1または上流側のチェックポイントと、第2の光源L2と第2の光検出部D2を具える第2または下流側のチェックポイントの間を通過する。第1および第2のチェックポイントは、それぞれの光源と検出部の間の光伝達の連続性が途切れたときにFUの通過を記録する。プロセッサ/コントローラは、これらのセンサからの入力を受けて、メモリを含む多様な機器のそれぞれに出力を送る。
【0046】
プロセッサ/コントローラは、検査器具からの信号を受信し、限定しないが、検査器具やカートリッジを具える実施例ではカートリッジの複数の受け部のいずれかへ通過する生体ユニットを記録したり、生体ユニットを計数したり、生体ユニットを分類したりすることを含む1以上の追加の動作を実行するよう適合している。さらに、プロセッサ/コントローラは、記録、計数、および分類の1以上の動作結果を、対応するカートリッジの受け部からの以降の再収集および選択的な回収のために記録する。
【0047】
本発明のシステムおよび方法は、分類および/またはカートリッジの選択された受け部に保存するといったシーケンスで複数の生体ユニットを有効に管理/処理するのに特に有用であると考えられるが、本書記載の多様なコンセプトはまたマニュアルで一つ一つ行うユニット管理にも適用可能である。例えば、検査器具をマニュアル式または半自動式のハンドヘルド生体ユニット除去ツールに結合して、各生体ユニットのリアルタイムでの評価を行ってもよい。例えば、このような毛包ユニット除去ツールは、FUの種類(例えばF1、F2等)をユーザに示す検査器具を具えてもよい。ユーザはこれにより以降の動作を容易に決定することができ、これには適切な位置にFUを移植したり、この種類の毛包ユニットを保持する容器にこのFUを入れることを含む。さらに、このようなツールや検査器具は、除去された異なる種類のFUの数を追跡するプロセッサ/コントローラに連結することができる。換言すれば,本書記載の多様なシステムは自動化またはロボット生物学または毛包ユニット除去/管理/移植に特に有用であるが、これらはまたハンドヘルド型あるいは他のマニュアル型の非ロボットツールに用いても有用かつ望ましい。
【0048】
図5を再び参照すると、第1のチェックポイントと第2のチェックポイントの間の距離はl1で示され、第2のチェックポイントと撮像ポイント44との間の距離はl2で示される。チェックポイント間をFUが移動する時間がΔt1が記録され、FUの速度vが以下の式を用いて算出できる:
v=l1/Δt1
【0049】
続いて、FUが第2のチェックポイントと撮像ポイント44巻を移動する時間Δt2を以下の式で算出する:
Δt1=l2/v
【0050】
次にコントローラは、FUが第2または下流側のチェックポイントを通過してからΔt2後にストロボSをトリガし、カメラCに撮像ポイント44の写真を撮るよう命令する。適切な応答タイムで、FUは撮像ポイント44の中心にくるか、少なくともカメラの視野44’内に入り、ストロボSがたかれカメラCが撮像する。このように、本システムは取得される各FUの鮮明な画像を確保する。FUの画像からの情報はその後複数の目的で利用され、これは限定しないが、シャトルシステムを通る各FUの記録、カートリッジに送られるものを含むFUの計数、例えばサイズ、特性、含まれる毛髪の本数に基づくFUの分類および選別(例えば、「F1」は単一の毛包ユニット、「F2」は2つの毛包ユニットなど)、カートリッジの各受け部に含まれるFUの種類の情報の追跡および記録を含む。吸引が比較的安定的であるため、システムを通るFUの速度v、チェックポイント間と撮像ポイント44の間の時間もまったく安定に維持され、これらがさらに過渡現象を排除して画像取得の成功を保証する。さらに、オペレータが画像をサンプルして、FUが正確に撮像ポイント44の中心にない場合にタイミングを僅かに調節してもよい。
【0051】
図6A、6Bは、FU追跡要素を追加した改良型シャトルサブシステム20’を示す。図1、2のオリジナルの実施例にあるように、サブシステム20’は、遠位端24と近位端26を有するブロック状基底部材22を具える。縦方向は遠位端24から近位端26に延び、横方向はこの水平面に直角に延在する。基底部材22の横チャネルが、マニュアルまたは例えばロボット操作(図示せず)の制御下で自動的にスライドする真っ直ぐなカートリッジを受ける。例示的な除去/移植ツール32が、基底部材22の遠位端24から遠位側に延在する。
【0052】
図6Bはサブシステム20’の水平断面を示し、図4のように、検査器具36が内部に配置された基底部材22のギャップ42を示す。この検査器具36は、図5に関して上述したカメラC、ストロボSおよびビームスプリッタBSのアセンブリを概略的に示すことに留意されたい。基底部材22はまた、第1および第2のチェックポイント45a、45bを対応する空間46内に受ける。上述のように、チェックポイント45a、45bはそれぞれ、FUがサブシステム20’の縦の通路を通るのを検知する光源と光検出部とを具える。図5の概略図にあるように、上流側と下流側のチェックポイント45a、45bは距離l1だけ離れ、下流側のチェックポイント45bは撮像ポイント44と距離l2だけ離れている。
【0053】
カートリッジ30は、FUを受けるための複数の受け部を具える。各FUが器具36により検査され特定されるため、コントローラはカートリッジ32を操作して特定のFUを特定の受け部に配置し、あるいは単にカートリッジの受け部の内容の目録を管理する。例えば、F1のFUのすべてが受け部の1の選択群に配置され、F2以上のFUが残りの受け部に配置される。
【0054】
図4を参照すると、基底部材22の中央を通る縦チャネルが、カートリッジ30に形成された多数の受け部のうちの1つを通って横チャネル28(図2に示す)を横切って連続する。管状スリーブ47が、縦チャネルの遠位部を形成するスルーボアを規定する。この管状スリーブ47は、基底部材22に形成されたボアに嵌合し、基底部材にぼるとどめされたカバー48でそこに固定される。閉塞具34が管状スリーブ47のスルーボア内にぴったりフィットする。図4に示す複数のOリングまたはシール49がチャネルおよび外部の様々な場所から液漏れが生じるのを防いでいる。
【0055】
基底部材22は、縦チャネルを横切る複数の横方向流体ポートを規定する。特に、一対の近位ポート50a、50bが基底部材22の反対側に延在して中央で合流し、管状スリーブ47の対の側部ポート51(図2参照)に合流する。一対の遠位ポート52a、52bが基底部材22の反対側に延在して中央で合流し、ツール32と検査チューブ40間の縦チャネルの小さな断面に流体接続する。ポート50、52は流体源または真空源のコネクタ(図示せず)を受ける。したがって、サブシステム20の使用の説明で後述するように、縦チャネルに沿って圧力差が形成される。好適には、サブシステム20に圧力をかけるのに用いる流体は食塩水であるが、気体を用いてもよい。毛包には、採取および/または移植処置の間に食塩水がFUの水和作用を維持するのに好適である。しかしながら、本発明では様々な保存液が等しく有用である。保存液を用いると、各受け部が、FUを収容した後に望ましくいくらかの保存液を含むことができる。さらに、FUを良好に保存するために、保存液は必要に応じて冷却あるいは冷凍されてもよい。
【0056】
本発明の別の態様によれば、保存器具またはカートリッジ30が設けられる。このようなカートリッジはFU(または他の適切な生体物質)を小さな空間に保存する孔または受け部を高密度で具える。さらに、このカートリッジは、例えば、滅菌あるいは水分が維持され、または所望の冷却温度などに制御された環境でFUを保存可能であることが望ましい。保存器具またはカートリッジ30の形状または構成は多様な形態をとることができ、真っ直ぐあるいは後述する筒状または円盤形状も必要あるいは制限に応じて、適用対象によって帰ることができる。本発明の保存容器は、好適に生体ユニットを受ける複数の受け部を規定するよう構成されている。この保存器具は、各受け部を例えば連続的に採取および/または移植ツールとともに記録するよう操作可能である。好適には、保存器具はサブシステム全体またはシステム内で容易に交換可能である程度に小さく、再利用される場合に容易に滅菌可能である。あるいは、保存器具は再利用を不能とする特定の構造を有し、これにより使い捨てであってもよい。
【0057】
図7A−7Eは、サブシステム20で用いる真っ直ぐなカートリッジ30の一例の多様な図である。図7Aは遠位面(または第1の面)60を示し、図7Bは近位面(または第2の面)62を示す。これらの面60、62は平坦で真っ直ぐであり、平行に延在する。真っ直ぐなカートリッジの非限定的な実施例は、立方体または長方体の形状である。図7Bに示す厚さ寸法tは、面60、62に垂直に延びる。複数の受け部64がカートリッジ30全体に、遠位面60から近位面62へと延在する。各受け部64は、遠位/第1の面60に第1の開口部66を、近位/第2の面62に一対の第2の開口部68を規定する。本実施例における正確な受け部64の形状を図7D、7Eの断面図で示し、これは例えば遠位面60から1つの大きな孔を穿孔し、近位面62から2つの小さな孔を穿孔することで容易に形成することができる。カートリッジ30はさらに、近位側の上縁部に沿って複数の指示ノッチ70を具える。これらのノッチ70はカートリッジ30を外すため、あるいは各受け部64の位置を示すために用いられる。受け部64に加えて、一定の直径の中央ボア72が面60、62間に延在している。後述するように、ボア72により閉塞具34がカートリッジ30を通過することができる。
【0058】
図8、9は、FUを最初に採取して次に移植する2つのステージを示す。FUは、図8においてツール32の近位部に示されている。本実施例において、ツール32は体表面からFUを除去するよう設計され、尖った遠位端部またはFUを把持して取り去る他の何らかの構造を具えてもよい。カートリッジ30の横の配置は、一端部の最初または他の所望の受け部64が縦チャネルと合うよう配置される。これにより受け部64が縦チャネルおよびポート50、52と流体接続する。オペレータあるいは自動化システムは、FUがツール32の管孔74に入るようシャトルサブシステム20を操作する。例えば、オペレータはツール32をFU周囲の体表面に進入させる。
【0059】
FUが管孔74内に入ったら、ツール32は体表面から引き戻され、圧力差が管孔74にかけられてFUが受け部64に向かって近位方向に移動する。縦チャネルに沿った圧力差は、ポート50、52で関連する流体圧により制御される。FUが検査チューブ40を通過すると、検査器具36がこれを記録し、カウントし、および/または分類する。望ましくは、FUは縦チャネルを通り受け部64へと一定の速度で進む。あるいは、FUは検査チューブ40内で停止またはスローダウンし、検査器具36が分類目的で十分な画像を取得できるようにする。
【0060】
いくつもの実施例において、図5、6A−6Bに示すFU監視要素(または同様の結果または機能を得られるよう設計された他の代替的構成要素)を用いて、縦チャネルを通過するFUの位置、特にカメラなどの撮像器具を備える検査器具36を各FUが通過する位置をモニタしてもよい。各FUの画像は、例えばFUの特性、係数、サイズ、または他の特徴を判定すべくリアルタイムで分析され、例えば選択された受け部にFUを受けためにカートリッジ30を横チャネル28に整列させるなど、さらに処理が行われる。
【0061】
移動の終わりに、FUは第1の受け部64の近位端にある。受け部の近位端の対の第2の開口部68の構成により、流体は通過するがFUは通過しない。平行流路(図示せず)を設けたり、いくつかを別の実施例として後述する他の様々な構成手段により、FUの速度は受け部64に近づくにつれ低減する。
【0062】
このステージにおいて、FUは受け部64に保存される。システムまたはオペレータはカートリッジ30を横チャネル28にスライドさせ、他の受け部のうちの1つを縦チャネルに合わせてFU採取プロセスを反復できるようにする。所望の受け部64の全部または一部がFUを含んだら、FUを患者の体表面に移植するのに用いるまでカートリッジ30を取り外してもよい。実際、移植処理の前に複数のカートリッジ30を充填するようにしてもよい。あるいは、各カートリッジに保存されるFUは、カートリッジを交換することなくそのまま移植されてもよい。
【0063】
カートリッジ30の受け部64の線形パターンは一例であって、多くの受け部のパターンを用いることができることに留意されたい。もちろん、受け部64が線形に並んでいない場合、サブシステム20を通して縦チャネルに各受け部を合わせるのにカートリッジを少なくとも2方向に置き換える必要がある。また、通常の間隔の垂直列でない密接配置マトリクスを用いてもよい。
【0064】
移植処置の最初のステップでは、FUが入った受け部を有するカートリッジ30が基底部材22に配置され、1の受け部64が縦チャネルに合わせられる。カートリッジから移植ツールへの毛包の移動は、様々なアプローチで実現することができる。いくつかの実施例では、遠位方向への圧力差によりFUを受け部から出し、検査チューブ40または移植ツール32へ送ってもよい。例えば、近位方向にFUを引っ張る圧力差を発生させる上述の吸引チューブ136を、FUを遠位方向に向ける逆の圧力差をかけるのに用いてもよい。読者は、移植ツール32は前に用いられる採取ツールと同一であってもよいが、通常は異なる構成であり、したがって変更が必要であることを理解するであろう。
【0065】
別の実施例では、例えば図9に示すような閉塞具などの機械的デバイスを用いて、FUをカートリッジから移植ツールに押し出してもよい。図9は、カートリッジ30が横にずらされボア72が縦チャネルと合致する状態を示す。このステージにおいて、オペレータまたはシステムは、移植ツール32の遠位端を患者の体表面に進入させる。これを実現すべく、移植ツール32の遠位端は尖っており、あるいはツールが前もって形成された孔または切り込みに案内される。オペレータまたはシステムは、閉塞具34全体を縦チャネルに通して並進移動させ、これによりFUがツール32へ押し出される。別の代替的実施例では、FUをカートリッジから出すのに機械的押し出しおよび圧力差を用いてもよい。
【0066】
図10は、本発明の別の態様にかかるロボット毛包ユニット採取・移植システム100の実施例の概略斜視図である。システム100は、ロボットアームのダウンチューブ106に回転可能に搭載されたヘッドアセンブリ104を有するロボットアーム102を具える。複数の矢印がシステム100の可動能力を説明するため示されている。さらに、以下に示すように、ヘッドアセンブリ104に組み込まれたモータやこのような可動デバイスが、操作チップ108の複数の方向への精密な移動を可能にする。操作チップ108は、本例では毛包を有する組織片である体表面110の上に位置して示されている。パーソナルコンピュータ112が、例えばロボットコントロール114を介してロボットアーム102とヘッドアセンブリ104の様々な可動デバイスを制御する。この制御システムまたは機構114は、機能的にロボットアームに接続され、ロボットアームの動作を制御するよう構成され、これにはこのシステムで利用可能な様々な画像取得装置で取得された画像またはデータに基づく動きが含まれる。代替的に、採取・移植ツール、ロボットアーム、およびアセンブリの他の様々な可動部品、画像取得装置で取得した画像またはデータに基づくもの、を含むすべてのツールのすべての動作のすべての処理や制御は、1の処理または制御システム114に組み込まれてもよい。オペレータは、モニタ115、キーボード116、マウス118を通して状況を監視して命令を発する。体表面110の拡大画像をモニタ115で見ることができる。
【0067】
図11−13は、システム100のヘッドアセンブリ104の概略図である。図12の側面図は、操作チップ108と体表面110とを近くに示している。LED120の列が体表面110を照射し、図示する実施例では対のカメラ122である撮像デバイスが鮮明な画像を取得してモニタ115に伝送する。複数の回路ボード124が操作チップ108から見てヘッドアセンブリの左側に搭載され、様々なサブシステムのリアルタイムな制御を提供する。様々な要素が、ロボットアーム102のダウンチューブ106に関して回転または線形移動を行うよう搭載されている。ステッパモータ、油圧シリンダ、その他も用いられるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0068】
図11−13は、図示する実施例におけるヘッドアセンブリ104に搭載された筒型カートリッジ130を示し、操作チップ108に延びるシャフト132の軸に平行な軸で回転する。シャフト132はヘッドアセンブリに、その軸に沿って線形移動可能なように搭載される。シャフト132の近位端134は、カートリッジ130の遠位端の方に向かって突出する。この特定の実施例は真空システムを用いるため、カートリッジの近位側に吸引チューブ136がヘッドアセンブリ104に、その遠異端部が線形移動可能なように設けられている。
【0069】
図14A−14Dは、本発明の別の態様にかかるディスク型カートリッジ130の実施例の様々な図である。このカートリッジ130は、内部に複数の受け部を規定する本体140を具える。この本体140は、外側円筒面144と、平坦な円形遠位面(または第1の面)146と、平坦な円形近位面(または第2の面)148とを具える。面146、148間の軸方向距離は、図14Dに示すように厚み寸法tを規定する。受け部140は本体140を通り、遠位面146の第1の開口部150から近位面148の第2の開口部152まで軸方向に延在する。各受け部142は、図1−9記載の前述したカートリッジシャトルサブシステム20の受け部64と互換性がある。
【0070】
図14Aは、カートリッジ130の遠位側を示し、遠位/第1の面146と、対応する受け部142用の複数の第1の開口部150を示す。これらの受け部142は、カートリッジ130の軸の周囲に円形パターンで配列される。図示する実施例では、受け部142の円形パターンはカートリッジの外辺近傍に配置され(外周に沿って)、相互間に必要な間隔を最小化しているため受け部の数を最大化している。このカートリッジを通して多重の円形または非円形の受け部のパターンを設けてもよいことを理解されたい。後述するように、シャフト132の軸に整列する円形パターンの受け部142が図13に示されている。カートリッジ130をずらすか回転させると、これにより、受け部142の1つがシャフト132の近位端134に合致する。もちろん、これらの受け部142は多種の方法で配列されてよく、対応してシャフト132に対するカートリッジ130(あるいは逆)に必要な動きも変化してよい。例えば、受け部142は、図示するように保存器具外周に沿った1以上の円形配列の受け部パターンであってもよいし、このパターンは最初のパターンより小さい半径で同心円状に配列された第2(または第3・・・)の円形配列を具えてもよい。この場合、パターンはランダムでも特定の順番でもよく、整列された列または円形その他の配列であってよい。このパターンは、シャフト132に対するカートリッジ130(または逆)の潜在的な動きによってのみ制限される。
【0071】
カートリッジ130はさらに、その近位/第2の側に受け部142の第2の開口部152の上に延在するカバー160を具える。このカバー160は許容性媒体でなり、後述するように多数の手段が受け部にアクセスすることができる。
【0072】
「許容性媒体」の語句は、本発明の一態様にかかる保存器具に用いることができ、カートリッジ受け部から生体ユニットの出し入れが可能な多数の材料のいずれかを意味する。このような媒体の例は、メッシュ、スクリーン、紙、シリコーン等のエラストマ材料、多種の接触性(contiguous)ポリマ、自分で閉じたり再封止されるスリットまたは孔を形成可能な多種の再封止可能材料等を含む。上記したいずれかの例示的な材料は、カートリッジの後側(または近位側)をカバーしてFUが通過してカートリッジから出るのを防ぎ、同時に気体および/または液体が通過可能である。本発明に利用可能な許容性媒体は、例えば毛包ユニット(FU)を保存するカートリッジの受け部の開口部をカバーするのに用いられ、ある速度で受け部へ進むFUの通過を防ぐ十分な構造強度を呈する。他方、この許容性媒体は好適には多孔性であり、気体や液体が自由に通過可能(気体/液体透過性)であり、あるいは工具で孔開け可能である。
【0073】
許容性媒体のサブセットの1つは、気体および/または液体透過性媒体である。カバー160が気体や液体透過性である場合、カバー材料を介して受け部に圧力差を確立することができる。例えば、食塩水を通過するメッシュは透過性媒体であり、したがって許容性媒体である。しかしながら、他の許容性媒体のサブセットである「穿孔可能な媒体」は、少なくとも一時的に、比較的容易に孔を開けられる様々な数の媒体を意味する。「穿孔可能な媒体」は、メッシュのように気体および/または液体透過性であってよい。カバー160が気体透過性で穿孔可能な場合、例えばこのカバーを通して受け部内に延びるプローブを用いて受け部に圧力差をかけることができる。金属であっても、フォイルのように非常に薄く、あるいはメッシュまたはスクリーンのように構成されていれば、穿孔可能な媒体となりうる。この穿孔は閉塞具(あるいは通常は金属のロッド、ニードル)を用いて実行可能であり、これにより開口部が形成され気体/液体が通過可能となる。この開口部は恒久的に形成されてもよいし、再封止可能な媒体の場合には一時的に形成されてもよい。開口部を形成すると、上述のように、圧力差または真空を用いてカートリッジの受け部にFUを吸引する実施例および/またはステップにおける吸引プローブの導入が可能となる。代替的に、開口部は食塩水や他の公知の保存液を受け部に導入できるようにするために形成されてもよい。
【0074】
穿孔可能な媒体の例は、メッシュ/スクリーン(例えばポリマ製)、通気性があるが液体非透過性の医療用フィルタ材料、シリコーンラバーを含む。望ましくは、穿孔可能な媒体は非摩損性であり、すなわち穿孔により細片が落ちたり切れたりしないものである。このような細片は受け部内の生体ユニットを劣化あるいは汚染する可能性がある。
【0075】
許容性媒体の一例は、受け部142を通りフィットする寸法の閉塞具により穿孔できる医療用シリコーンラバーのポリジメチルシロキサン(PDMS)である。図14Dに示すように、本体160は、保持リング162によりカートリッジ130の本体140に取り付けられる。図示しないが、保持リング162は、本体140にネジかボルトで固定でき、あるいはより恒久的な取付のために接着剤を用いてもよい。代替的に、保持リングを用いずに、カバー160を、接着、溶接、クリップ止めなどで直接カートリッジ本体に取り付けてもよい(恒久的あるいは着脱可能に)。カバー160を本体140に止める2つの異なる方法が、図17と19に示されている。
【0076】
望ましくは、ある量の食塩水や他の公知の保存液がカートリッジ130の各受け部142に配備され、毛包または他の生体物質が保存中に含水または低温に維持される。これを実現する1の方法は、第2の開口部152に対し保存液を保持するカバー160に許容性媒体を用い、保存液を表面張力効果(すなわち毛細管現象)により各受け部に移動させることである。別の方法は、各受け部142に液体を直接滴下することである。
【0077】
カートリッジ130(または前の実施例では30)は、図10のロボットシステムに用いるのに限られず、他の処置にも有用である。上述したように、多種の生体ユニットを本発明のカートリッジを用いて管理することができる。一例では、複数の生検サンプルを取得して後の分析のために保存する。このシステムは、ドナー位置を受け部に合わせ、いずれかの生検サンプルを必要に応じて、これが取得された身体領域の情報とともに供給しうる。さらに、上述したように、カートリッジは本書記載のロボットシステムの補助のない原始的なマニュアルシステムに用いてもよい。明確のために、本発明のカートリッジは、例えばハンドヘルド器具を用いて、この器具や処置がいくぶん自動化されている場合でも、マニュアルで、あるいは採取および/または移植が人間(外科医または熟練技術者)により実行される原始的なマニュアルシステムに用いることができる。
【0078】
図15は、採取/移植システム100に装填する前のディスク状カートリッジ130の斜視図である。カートリッジの近位側が図示され、カバー160は示されておらず、受け部142が露出している。
【0079】
図16は、カートリッジ130の斜視図であり、直接的に相互作用する特定の採取/移植システム100の構成要素の近くに装填されいる。カートリッジ130は図15と同じ向きであり、近位側が左に向き、この使用図では許容媒体のカバー160が受け部142を塞いでいる。図16はまた、カバー160を取り付ける代替構成も示している。図17を参照すると、内側および外側取付リング164a、164bがカートリッジ130の本体をボルト止めしており、保持リング166a、166bをカートリッジ130の近位面の溝(符号なし)内に保持する。この保持リング166a、166bが、可撓性材料でなるか溝内に押し込むことができるカバー160の内側および外側周縁を把持して摩擦保持する。例えば、カバー160はシリコーン(PDMS)エラストマで円形に形成され、その内側および外側の端縁はリング164、166により溝内に保持されている。
【0080】
図16は、ヘッドアセンブリ104(図13)に搭載されたフレーム部材168を通る吸引チューブ136を示している。バネ部材170が吸引チューブ136の終端部に示されており、これがチューブとカートリッジ130の近位面の良好な吸引接続を補助し、その相対位置の許容度の厳格性を緩和する。ここでも、ヘッドアセンブリ104は、吸引チューブ136を両側矢印で示すようにカートリッジ130に近づけたり離したりする移動機構(図示せず)を具える。
【0081】
フレーム部材168は、吸引チューブ136の終端部の近くに、穿孔機172を搭載するプラットフォームを設けている。この穿孔機172は、カートリッジ130の回転軸から吸引チューブ136と同じ半径距離にある好ましくは尖った鋭利な細いロッドを具える。換言すれば、穿孔機172は受け部142の円形パターンと整列している。この穿孔機172は、各受け部のカバー160に予め穿孔あるいはスリット形成するのに用いることができる。穿孔機172は、吸引チューブ136の終端部が受け部に入る細いプローブを具える場合であって、このプローブが自身できれいな孔を形成できるほど尖っていない場合に用いることができる。このような実施例は図19を参照して後述する。代替構成では、吸引チューブ136の終端部は尖っており、別個の穿孔器具を用いることなく穿孔を実行するようにしてもよい。
【0082】
図16はまた、カートリッジ130を回転あるいはずらすステッパモータのような回転原動力が配置されるハウジング174も示している。カートリッジ130の正確な回転により受け部142が吸引チューブ136に位置整合する。この移動機構を制御するソフトウェアにより、任意の受け部142を必要に応じて位置整合させることができる。例えば、上述のように、各FUの特性を評価する検査システムをこの採取処置に組み込んでもよく、各受け部142にどの種類のFUがあるかを把握すると、システムがある位置に小さなFUを移植し、別の位置に大きなFUを移植することが可能となる。このような多くの移植スキームがこの分野で知られており、ここでのさらなる説明は行わない。読者は、吸引チューブ136とカートリッジ130の相対的な半径方向の移動をシステムに組み込んで、図示するアレイと同心円上に配列された受け部142の第2の円形アレイ(図示せず)に吸引チューブ136を位置合わせしてもよい。
【0083】
図17は、図16の遠位側の部品の拡大断面図であり、カートリッジ130に向かって移動する生体湯一途の速度を低下させるために望ましく設けられた例示的な圧力差低減構造を示す。本システムを用いる方法では、採取プロセスにおいて選択された受け部142の近位側に吸引源が適用され、近位方向へ圧力差を生成し、これによりFUが受け部へと前進する。圧力差の度合いは通常、採取ツールから受け部142への経路に沿ってFUが移動する間一定に維持され、FUを本体面から引き抜くのに必要な吸引が比較的高いため、FUが受け部に向かって速い速度で移動することになる。この高速移動は、カートリッジ受け部の近位端で止まる際、例えばカバー160と当たるときにFUが損傷する原因となる。しかしながら、移動時間が短いため、採取ツールと受け部間の途中で吸引力を低下させるシステムを設けるのは不可能でないが困難である。
【0084】
精巧な(すなわち高価な)多重ステージ圧力低減システムを組み込むよりも、除去ツールから保存器具の受け部へと生体ユニットが移動する通路に沿って、この部分に沿って圧力差を低減して経路に沿ったFUの速度を低減する構造を設けてもよい。例えば、この構造は主通路とは別に、経路がカートリッジに到達する直前で終端する平行な流路を具えてもよい。図17では、FUは、操作チップ108から遠位シャフト132を通り、外側チューブ175で囲まれた主チューブ173に沿って移動する。チューブ173と175の間には環状の空間が形成されている。実質的にシャフト132の長さの間隔を開けた2セットのバイパス孔177により、環状空間に流入できるようになっている。これにより主チューブ173の圧力が低減し、このためこの領域におけるFUの移動が遅くなる。
【0085】
図18を参照すると、カートリッジ受け部142用の圧力解放構造の例が示されている。採取プロセスにおいて吸引源が選択された受け部142の近位側に適用されるとき、FUが受け部に到達した後の短い時間圧力差が継続する。この間、例えば受け部の近位側にFUがある場合に、FUの吸引の脱水効果を緩和することが望ましい。図18では、受け部142の1つに圧力解放チャネル174が設けられ、この受け部内に形成される最大吸引力が吸引源の大きさ以下となるようにしている。別の方法で述べると、吸引チューブ136は吸引源を具え、これは受け部142の近位端の周囲に密閉されると、ある大きさの吸引を受け部にかける。圧力解放チャネル174がないと、受け部内のFUが最大吸引力にさらされる。吸引チューブ136に液体または気体用の別の流路を設けることにより、FUがさらされる最大吸引力は吸引源の大きさ以下となる。
【0086】
圧力解放チャネル174は、受け部142の第2の開口部または近位端に、複数の交差パターンの小さなノッチとして示されている。もちろん、他の構成を用いてもよく、例えば1つのノッチであってもよい。さらに、圧力解放チャネル174は、例示目的で1の受け部にのみしか示さないが、すべての受け部に設けられていることが望ましい。
【0087】
図19は、受け部142に(圧力差を形成する)吸引源をかける代替的な方法を示す。ここでは、吸引プローブ176が吸引チューブ136の遠位端から延在している。この吸引プローブ176は先が鈍く閉じた端部177と、この閉じた端部の近くに1以上の側部ポート178を具える。吸引プローブ176の外径は、受け部142の内径より十分に小さく、ギャップが形成されてプローブの周りと側部ポート178内に気体や液体が流れるようになっている。
【0088】
吸引プローブ176は、許容性媒体のカバー160を通り受け部142内に延在する。本例では、カバー160は選択的にカートリッジ130の近位面にプレート179によって保持され、さらにこれが外側リング181により固定されている。プレート179のテーパした開口部(符号なし)の円形配置が、各受け部142に刻まれており、これがプローブ176を受け部に導入しやすくしている。吸引プローブ176は、様々な許容性媒体とともに用いることができるが、比較的液体を透過しないカバー160に特に有用である。このような材料を通して直接吸引するのは現実的ではなく、このため、プローブ176はカバー160を通して受け部内に挿入される。望ましくは、カバー160は、プローブ176を取り去ったときに自律的に再封止する材料、例えばシリコーン(PDMS)エラストマーで作られる。
【0089】
プローブ176は、カバー160を通して直接押されてもよいが、先の鈍い形状を考慮すると、予め形成されたスリットまたは孔が設けられていることが望ましい。例えば、図16に示す穿刺チューブ172を用いてこのような孔を設けることができる。特に有用な穿刺チューブ172は、芯に孔のない設計のHuber針の形状であるが、代わりに自動的に再シールされるスリットを形成するだけでもよい。代替的に、吸引プローブ176の終端部は尖っていて、Huber針の形状のように、それ自体が孔を形成してもよいが、尖ったプローブとFUが接触する場合の影響について考慮すべきである。
【0090】
図20、21は、ヘッドアセンブリ104全体から分離された毛包ユニットシャトル部品の斜視図と側面図である。これらの要素は図11−13にヘッドアセンブリ104に組み込まれて示されている。本システムの重要な動作上の相互作用を説明するために、または、操作チップ108、カートリッジ130と吸引チューブ136を含むシステムの近位端との間の相対動作が以下に説明される。図22A−22Dは、FUの採取シーケンスを示し、図23A−23Bは、FUの移植シーケンスを示す。これらの動作は、最初にカートリッジ130を充填し、これをシステムから取り外さずに空にすることである。しかしながら、カートリッジ130の受け部142の数によっていくつものカートリッジが必要となり、移植処置の直前に採取動作を実行してもよい。例えば、1のカートリッジは125−500のFUを保持することができ、一方で一般的な施術は2000ものFUを必要とする。受け部の数はもちろん変更可能であるが、単一のカートリッジで必要なすべての数を保持するようにしてもよい。
【0091】
図22A−22Dは、シャトル部品を図20の22−22線でとった断面図であり、体表面110から毛包ユニットを採取または除去してカートリッジ130に移動させる施術シーケンスを示す。図22Aは、シャフト132が左のシリンダ180内に移動された後を示す。この動作により、採取/除去ツール182が体表面110に予め定められた深さだけ穿孔する。ツール182の穿孔深さは、シャフト132の移動前に、ツールと体表面の距離の知識を用いて決定される。
【0092】
図22Bで、毛包ユニットFUが、除去ツール182の管孔内に位置して示されている。また、シャフト132とシリンダ180のアセンブリが右へ移動され、近位端134がカートリッジ130に接触する。シャフト132のスルーボアが、カートリッジ130の受け部142の一つと合致する。
【0093】
図22Cは、FUが除去ツール182からシャフト132を通してカートリッジの受け部142に移動されるステップを示す。これは、例えば吸引チューブ136を介して吸引することにより形成される圧力差を用いて実現できる。図22CのFUを移動させるステップは、図17に関連して上述した速度低減バイパス構造や、図18に関連して述べた圧力低減チャネルを用いることが望ましい。代替的に、FUを受け部142に移動させるのに機械シャトルを用いてもよい。例えば、シャフト132を通って延びてFUが受け部142に収まるまで押すロッドまたは閉塞具(図示せず)を具えてもよい。
【0094】
最後に、図22Dは、シャフト132がカートリッジ130から遠位方向に離れるアセンブリを示し、このアセンブリは、カートリッジ130から離れる吸引チューブ136を具える。この地点で、カートリッジ130は回転自在となり、別の受け部がシャトルサブシステムの遠位と近位の部品に合致するようずらされる。
【0095】
図23Aを参照すると、本質的に図22Dの位置にあるシャトルサブシステムの部品が示されているが、採取/除去ツールの代わりに、シャフト132の遠位端には移植ツール184が構成されている。FUを擁する受け部142が、シャフト132の管孔に合わせられる。近位側では、吸引チューブ136が切り離され、固体のロッド状閉塞具186に交換される。この閉塞具186は、受け部142とシャフト132の長さ全体を通ってその軸方向に移動し、これは複数のホイール188との接触など様々な方法で推進される。
【0096】
図23Bは3つの要素を一緒に示し、FUが移植ツール184に到達するまで閉塞具186が受け部142とシャフト132全体を貫通している。移植ツール184は、FUを体表面に予め形成された切開部に挿入するか、新たに切開部を形成する。
【0097】
読者は、カートリッジから移植ツールへの毛包の移動は、いくつかの代替的アプローチを用いて実現可能であることを理解するであろう。一例として、カートリッジからFUを上述のような閉塞具で移植ツールの遠位端を通して全部押すことがある。別の選択肢は、圧力差を用いてFUを各受け部から採取ツールへ送ることである。例えば、圧力差を生成してFUを近位方向に前進させる上述の吸引チューブ136を、FUを圧力差で逆に遠位方向に進めるのに用いてもよい。あるいは、物理的に押すことと圧力を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
上記説明および記載した本発明の実施例は、多様な変更と代替的な形態で実現可能であり、本発明は通常、本書記載の特定の実施例と同様に、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、本発明の意図と範囲内において様々な別の実施例が可能である。さらに、本発明の一実施例の個々の特徴をある実施例では説明または図示して別の実施例ではしていないが、1の実施例の個々の特徴は、別の実施例の1またはそれ以上の特徴あるいは複数の実施例の特徴と組み合わせてもよいことは明白である。
【0099】
本発明を好適な実施例について説明したが、用いられている語句は説明のための語句であって限定するものではないと理解されたい。したがって、添付のクレームの範囲内で本発明の真の範囲を逸脱することなく変更を施すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体ユニットを保持する保存器具であって、
第1の面と第2の面とを有し生体ユニットをそこに保持するための複数の受け部を規定する本体部であって、前記受け部がそれぞれ、前記本体部を前記第1の面から第2の面へ貫通し、前記本体部の第1の面に第1の開口部を、前記本体部の第2の面で少なくとも1の第2の開口部を具える本体部と、
複数の受け部の第2の開口部をカバーする許容的媒体とを具えることを特徴とする保存器具。
【請求項2】
請求項1に記載の保存器具において、前記本体部は実質的に円筒状または円盤形状で、円筒軸方向に沿って厚さを有し、前記受け部が前記本体部の厚みを通りあるパターンで配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項3】
請求項2に記載の保存器具において、前記パターンが、前記保存器具の周囲に沿って受け部が円形に少なくとも1列あるものを含むことを特徴とする保存器具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の保存器具において、前記複数の受け部のうちの1以上が、吸引源から受け部内部に形成される最大吸引力を制限する圧力解放構造を具えることを特徴とする保存器具。
【請求項5】
請求項1に記載の保存器具において、前記本体部は厚さ寸法を有するほぼ直線的なものであり、前記受け部は前記本体部の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項6】
請求項5に記載の保存器具において、前記受け部は、密集した行列として配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体は、メッシュ、通気性または通水性材料、および穿孔可能な材料のいずれか1以上を含むことを特徴とする保存器具。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体は、自動再封止型エラストマーを含むことを特徴とする保存器具。
【請求項9】
請求項1に記載の保存器具において、前記許容性媒体は、前記本体部に取り付けられて前記第2の面と前記第2の開口部の上に少なくとも部分的に延在するカバーを具えることを特徴とする保存器具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体が前記受け部の第2の開口部をカバーする部分はそれぞれ、穿孔されたら使用不能となり、このため前記保存器具はシングルユースの器具であることを特徴とする保存器具。
【請求項11】
請求項1乃至9に記載の保存器具において、前記許容性媒体が前記受け部の第2の開口部をカバーする部分はそれぞれ、穿孔されても再封止可能であり、このため前記保存器具は2回以上再利用可能であることを特徴とする保存器具。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の保存器具において、前記生体ユニットは頭皮であり、前記受け部は前記頭皮をぴったりと受けるよう寸法調整されていることを特徴とする保存器具。
【請求項13】
請求項1乃至12に記載の保存器具において、前記保存器具は、ハンドヘルド型、半自動型、および完全自動型のデバイスまたはシステムのうちの1以上に取り外し可能に受けられるよう構成されていることを特徴とする保存器具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の保存器具において、前記複数の受け部のうちの1以上の受け部が、生体ユニット保護液を含んでいることを特徴とする保存器具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の保存器具において、前記生体ユニットが前記複数の受け部のうちの1の受け部に保持されたら冷却できるように構成されていることを特徴とする保存器具。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の保存器具において、生体ユニットは毛包ユニット(FU)であり、前記保存器具は、ロボットアームと、制御機構と、内部を通る管孔を有する移植ツールとを有するロボットシステムに着脱可能に受けられるよう構成され、前記ロボットアームにより操作され、前記制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を前記移植ツールの管孔と自動的に整列させ、前記選択された受け部から前記移植ツールの管孔を通り組織へと前記FUを前進させるよう適合することを特徴とする保存器具。
【請求項17】
請求項16に記載の保存器具において、さらに、前記選択されたカートリッジ受け部を通過するよう配置された閉塞具を具え、前記制御機構が、前記選択された受け部に前記閉塞具を通し前記FUを前進させるよう命令することを特徴とする保存器具。
【請求項18】
請求項16に記載の保存器具において、さらに、前記選択されたカートリッジ受け部を通して圧力差を生じさせる装置を具え、前記制御機構が、前記圧力差を生じさせる装置を駆動して前記選択されたカートリッジ受け部を通して前記FUを進めることを特徴とする保存器具。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれかに記載の保存器具において、さらに、内部を通る管孔を有する毛包ユニット除去ツールを具え、この除去ツールは前記ロボットアームに接続され、体表面にあるFUの上に前記除去ツールが配置されるよう操作され、前記制御機構は前記除去ツールの管孔を選択されたカートリッジ受け部に整列させ、除去ツールを通してFUを選択されたカートリッジ受け部に進めるよう適合していることを特徴とする保存器具。
【請求項20】
毛包ユニットを管理するシステムであって、
前記毛包ユニットを分析する検査器具と、
当該検査器具を通して前記毛包ユニットを移動させる機構と、
前記検査器具からの信号を受けるプロセッサとを具え、
前記プロセッサは、前記検査器具を通る毛包ユニットの通過の記録、毛包ユニットのカウント、および毛包ユニットの分類のいずれか1以上を実行し、
前記プロセッサは、前記記録、カウントおよび分類の動作の1またはそれ以上の結果を記録するのに適合していることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、さらにディスプレイを具え、前記プロセッサは前記毛包ユニットが前記検査器具を通る際にその分類を表示することを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のシステムにおいて、さらに、それぞれ毛包ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具え、前記移動させる機構は前記検査器具を通過した毛包ユニットを前記カートリッジの複数の受け部のいずれか1つに移動させ、前記システムは、前記記録、カウント、または分類した毛包ユニットを以降に対応するカートリッジ受け部から再収集および選択的回収するのに適合していることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項20乃至22のいずれかに記載のシステムにおいて、前記移動させる機構は、内部に圧力差を有し生体ユニットが通過する開流路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項20乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、前記検査器具は、生体ユニットの通過を記録するための光源と光検出器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項20乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、前記検査器具は、当該検査器具を通過するときに生体ユニットの画像を記録するカメラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、さらに、前記カメラの焦点下の撮像ポイントで定期的に発光するストロボ光を具えることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムにおいて、さらに、前記生体ユニットが通るチャネルと、前記チャネルに隣接して前記撮像ポイントの上流に設けられ、生体ユニットの通過を記録してストロボ光を点灯させる信号を出すよう適合された追跡システムとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記追跡システムは、空間を隔てて生体ユニットの位置情報を前記プロセッサに中継するよう接続された光源/検出器の複数ペアを具え、前記プロセッサはストロボ光を点灯させる信号を出す時期を算出するようプログラムされていることを特徴とするシステム。
【請求項1】
複数の生体ユニットを保持する保存器具であって、
第1の面と第2の面とを有し生体ユニットをそこに保持するための複数の受け部を規定する本体部であって、前記受け部がそれぞれ、前記本体部を前記第1の面から第2の面へ貫通し、前記本体部の第1の面に第1の開口部を、前記本体部の第2の面で少なくとも1の第2の開口部を具える本体部と、
複数の受け部の第2の開口部をカバーする許容的媒体とを具えることを特徴とする保存器具。
【請求項2】
請求項1に記載の保存器具において、前記本体部は実質的に円筒状または円盤形状で、円筒軸方向に沿って厚さを有し、前記受け部が前記本体部の厚みを通りあるパターンで配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項3】
請求項2に記載の保存器具において、前記パターンが、前記保存器具の周囲に沿って受け部が円形に少なくとも1列あるものを含むことを特徴とする保存器具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の保存器具において、前記複数の受け部のうちの1以上が、吸引源から受け部内部に形成される最大吸引力を制限する圧力解放構造を具えることを特徴とする保存器具。
【請求項5】
請求項1に記載の保存器具において、前記本体部は厚さ寸法を有するほぼ直線的なものであり、前記受け部は前記本体部の厚さ寸法を通りあるパターンで配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項6】
請求項5に記載の保存器具において、前記受け部は、密集した行列として配列されていることを特徴とする保存器具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体は、メッシュ、通気性または通水性材料、および穿孔可能な材料のいずれか1以上を含むことを特徴とする保存器具。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体は、自動再封止型エラストマーを含むことを特徴とする保存器具。
【請求項9】
請求項1に記載の保存器具において、前記許容性媒体は、前記本体部に取り付けられて前記第2の面と前記第2の開口部の上に少なくとも部分的に延在するカバーを具えることを特徴とする保存器具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の保存器具において、前記許容性媒体が前記受け部の第2の開口部をカバーする部分はそれぞれ、穿孔されたら使用不能となり、このため前記保存器具はシングルユースの器具であることを特徴とする保存器具。
【請求項11】
請求項1乃至9に記載の保存器具において、前記許容性媒体が前記受け部の第2の開口部をカバーする部分はそれぞれ、穿孔されても再封止可能であり、このため前記保存器具は2回以上再利用可能であることを特徴とする保存器具。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の保存器具において、前記生体ユニットは頭皮であり、前記受け部は前記頭皮をぴったりと受けるよう寸法調整されていることを特徴とする保存器具。
【請求項13】
請求項1乃至12に記載の保存器具において、前記保存器具は、ハンドヘルド型、半自動型、および完全自動型のデバイスまたはシステムのうちの1以上に取り外し可能に受けられるよう構成されていることを特徴とする保存器具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の保存器具において、前記複数の受け部のうちの1以上の受け部が、生体ユニット保護液を含んでいることを特徴とする保存器具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の保存器具において、前記生体ユニットが前記複数の受け部のうちの1の受け部に保持されたら冷却できるように構成されていることを特徴とする保存器具。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の保存器具において、生体ユニットは毛包ユニット(FU)であり、前記保存器具は、ロボットアームと、制御機構と、内部を通る管孔を有する移植ツールとを有するロボットシステムに着脱可能に受けられるよう構成され、前記ロボットアームにより操作され、前記制御機構は、選択されたカートリッジ受け部を前記移植ツールの管孔と自動的に整列させ、前記選択された受け部から前記移植ツールの管孔を通り組織へと前記FUを前進させるよう適合することを特徴とする保存器具。
【請求項17】
請求項16に記載の保存器具において、さらに、前記選択されたカートリッジ受け部を通過するよう配置された閉塞具を具え、前記制御機構が、前記選択された受け部に前記閉塞具を通し前記FUを前進させるよう命令することを特徴とする保存器具。
【請求項18】
請求項16に記載の保存器具において、さらに、前記選択されたカートリッジ受け部を通して圧力差を生じさせる装置を具え、前記制御機構が、前記圧力差を生じさせる装置を駆動して前記選択されたカートリッジ受け部を通して前記FUを進めることを特徴とする保存器具。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれかに記載の保存器具において、さらに、内部を通る管孔を有する毛包ユニット除去ツールを具え、この除去ツールは前記ロボットアームに接続され、体表面にあるFUの上に前記除去ツールが配置されるよう操作され、前記制御機構は前記除去ツールの管孔を選択されたカートリッジ受け部に整列させ、除去ツールを通してFUを選択されたカートリッジ受け部に進めるよう適合していることを特徴とする保存器具。
【請求項20】
毛包ユニットを管理するシステムであって、
前記毛包ユニットを分析する検査器具と、
当該検査器具を通して前記毛包ユニットを移動させる機構と、
前記検査器具からの信号を受けるプロセッサとを具え、
前記プロセッサは、前記検査器具を通る毛包ユニットの通過の記録、毛包ユニットのカウント、および毛包ユニットの分類のいずれか1以上を実行し、
前記プロセッサは、前記記録、カウントおよび分類の動作の1またはそれ以上の結果を記録するのに適合していることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、さらにディスプレイを具え、前記プロセッサは前記毛包ユニットが前記検査器具を通る際にその分類を表示することを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のシステムにおいて、さらに、それぞれ毛包ユニットを受けるサイズの複数の受け部を有するカートリッジを具え、前記移動させる機構は前記検査器具を通過した毛包ユニットを前記カートリッジの複数の受け部のいずれか1つに移動させ、前記システムは、前記記録、カウント、または分類した毛包ユニットを以降に対応するカートリッジ受け部から再収集および選択的回収するのに適合していることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項20乃至22のいずれかに記載のシステムにおいて、前記移動させる機構は、内部に圧力差を有し生体ユニットが通過する開流路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項20乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、前記検査器具は、生体ユニットの通過を記録するための光源と光検出器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項20乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、前記検査器具は、当該検査器具を通過するときに生体ユニットの画像を記録するカメラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、さらに、前記カメラの焦点下の撮像ポイントで定期的に発光するストロボ光を具えることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムにおいて、さらに、前記生体ユニットが通るチャネルと、前記チャネルに隣接して前記撮像ポイントの上流に設けられ、生体ユニットの通過を記録してストロボ光を点灯させる信号を出すよう適合された追跡システムとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記追跡システムは、空間を隔てて生体ユニットの位置情報を前記プロセッサに中継するよう接続された光源/検出器の複数ペアを具え、前記プロセッサはストロボ光を点灯させる信号を出す時期を算出するようプログラムされていることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図23A】
【図23B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図23A】
【図23B】
【公表番号】特表2010−540070(P2010−540070A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526889(P2010−526889)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/010034
【国際公開番号】WO2009/045255
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507007418)レストレーション ロボティクス,インク. (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/010034
【国際公開番号】WO2009/045255
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507007418)レストレーション ロボティクス,インク. (13)
【Fターム(参考)】
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