説明

顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を投与することによる肺の宿主防御の増強

本発明は、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)またはその機能的ホモログを吸入投与により投与することによって、患者における肺の宿主防御を増強するための方法を提供する。本発明の方法は、肺疾患または症状の症候の緩和および/または肺疾患または症状を処置する場合に有用であって、該肺疾患または症状には、肺癌、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌および/またはウイルスの感染によるかまたはよらない肺炎(市中肺炎、院内肺炎または人口呼吸器関連肺炎を包含するが、これに限定しない)および/または細菌、真菌および/またはウイルスの感染またはコロニー形成によるかまたはよらない嚢胞性線維症、気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、特発性器質化肺炎(BOOP)ならびに/または細菌、真菌および/またはウイルス感染またはコロニー形成を包含するが、これらに限定されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において引用した全ての特許出願および非特許文献を、出典明示により本明細書にその全てを組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、例えばこれに限定しないが、肺癌、肺炎、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)または嚢胞性線維症罹患患者および/または細菌、真菌および/またはウイルス感染および/または細菌、真菌および/またはウイルスコロニー形成による重症患者における肺の宿主防御を増強するために、肺の経気道投与により有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を該患者に投与することによる方法を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子であるGM-CSFは、造血増殖因子として当初は同定された。ヒトGM-CSFは、イン・ビトロでの骨髄および赤血球前駆体の増殖を刺激し、いくつかの免疫プロセスおよび炎症性プロセスにおいて、単球、マクロファージおよび顆粒球を活性化する(Gasson et al.、1990b; Gasson et al.、1990a; Hart et al.、1988; Rapoport et al.、1992)。リンパ球、単球、内皮細胞、繊維芽細胞およびある種悪性細胞を含む多数の細胞型により産生される(Metcalf et al.、1986; Clark and Kamen、1987; Hart et al、1988; Metcalf et al.、1986)。GM-CSFは、造血前駆体細胞に対する増殖刺激および分化機能を持つことに加え、GM-CSF受容体を発現する免疫系細胞に対して様々な効果を有するものとして見出されてきた(概説のために参照のこと:Hamilton、2002; de Groot et al.、1998)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子吸入療法は、特発性肺胞タンパク症、すなわち終末気道および肺胞に貯留するサーファクタントの蓄積による呼吸機能不全を特徴とする希有な肺疾患罹患患者を処置するために開示された(Tazawa et al. Respirology 2006 1 1 :S61-S64)。
【0005】
米国特許出願公開番号第2004024762号は、ヒトの疾患の診断、予防および処置のためのエアロゾルとして、ヒトに投与され得る液体組成物の調製物のためのキットを開示する。キット中に提供され得る化合物のリストに含まれるものは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である。これらのキットを用いて処理されるべき目的とする疾患または症状のリストには、嚢胞性線維症および肺炎が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
ある態様において、本発明は、気管内、気管支内または気管支肺胞投与により、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を対象に投与することを含む、その必要がある患者における肺の宿主防御を増強させるための方法に関する。
【0007】
本発明の方法は、症候を緩和する際および/または肺疾患を処置する際に特に有用である。該肺疾患には、肺癌、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌および/またはウイルスの感染によるかまたはよらない肺炎(市中肺炎、院内肺炎または人工呼吸器関連肺炎を含むが、これに限定しない)および/または細菌、真菌および/またはウイルス感染またはコロニー形成によるかまたはよらない嚢胞性線維症、気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、細菌、真菌および/またはウイルスのコロニー形成によるかまたはよらない閉塞性細気管支炎組織肺炎(BOOP)および/または細菌、真菌および/またはウイルス感染またはコロニー形成を包含するが、これに限定するものではない。
【0008】
本発明の別の態様は、それを必要とする患者において肺の宿主防御を増強させるために、気管内、気管支内または気管支肺胞投与のための医薬品製造のためのGM-CSFの使用に関する。肺内投与によるGM-CSF投与は、肺疾患を処置する際および/または症候を緩和する際に特に有用であり、該疾患および症候には、肺癌、肺炎、ニューモシスティス・カリニならびに細菌、真菌および/またはウイルス感染および/または細菌、真菌および/またはウイルスのコロニー形成による嚢胞性線維症が含まれるが、これらに限定しない。
【0009】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、肺の宿主防御を増強させるために、精製または濃縮された天然ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)または調製されたその機能的ホモログを、成人および子供の両方を含めたヒト患者に、気管内、気管支内または肺胞内投与が含まれるがこれらに限定しないあらゆる適切な方法により投与することに関する。
【0010】
気管内、気管支内または気管支肺胞投与による、有効量のGM-CSFまたはその機能的ホモログの投与は、次のものに限定しないが、肺癌、小細胞肺癌および扁平上皮肺癌または非小細胞肺癌の両方、肺炎、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌(例えば、これに限定しないがCandidiasis種およびAspergillus種または他のあまり一般的でない真菌株等を含む)および/またはウイルス感染による嚢胞性線維症、ならびに/または該気道および/または肺実質における細菌、真菌(例えば、これに限定しないがCandidiasis種およびAspergillus種を含む)および/またはウイルスのコロニー形成を含んでいる、肺症状の症候緩和および/または該肺症状に罹患している患者の処置において特に有用である。
【0011】
GM-CSF
コロニー刺激因子は、造血前駆体の増殖を刺激し、成熟エフェクター細胞の機能活性を増強する糖タンパク質である。端的には、未熟な細胞のレベルでは、CSFはスタミナプールの自己再生を確実にして、造血分化の第一段階を活性化する;中間段階では、細胞増殖が成熟細胞に特徴的な進行獲得に関連する場合には、それらは分化細胞の数を大きく増強させる;最終段階では、それらは成熟細胞の循環および活性化を制御する。
【0012】
成熟GM-CSFは、いくつかの潜在的グリコシル化部位を有する127個のアミノ酸の単量体タンパク質である。グリコシル化の様々な程度により、14kDaから35kDaの分子量範囲となる。非グリコシル化およびグリコシル化GM-CSFは、イン・ビトロで類似の活性を示す(Cebon et al.、1990)。GM-CSFの結晶学分析から、4つの短いαヘリックスからなるバレル成形構造が明らかとなった(Diederichs et al.、1991)。GM-CSFの2つの既知の配列変異体が存在する。
【0013】
GM-CSFは、その受容体に結合することによりその生物活性を発揮する。GM-CSF 受容体(GM-CSF-R)発現に関する最も重要な部位は、骨髄細胞、肺胞様マクロファージタイプI&II、上皮の肺の細胞および内皮の細胞の細胞表面上であるが、リンパ球はGM-CSF-Rネガティブである。ネイティブ受容体は、少なくとも2つのサブユニットαおよびβから構成される。該αサブユニットは、リガンド特異性を付与し、ナノモル親和性にてGM-CSFを結合する(Gearing et al.、1989; Gasson et al.、1986)。該βサブユニットは、インターロイキン-3およびインターロイキン-5受容体複合体の一部でもあり、GM-CSF受容体αサブユニットおよびGM-CSFの会合において、ピコモル結合親和性にて複合体を形成させる(Hayashida et al.、1990)。受容体に対するGM-CSF上の該結合ドメインはマッピングされてきた:GM-CSFは、GM-CSFの第一αヘリックス内の非常に制限された領域により、その受容体のβサブユニットと相互作用する(Shanafelt et al.、1991 b; Shanafelt et al.、1991 a; Lopez et al.、1991)。αサブユニットへの結合は、第三αヘリックス、ヘリックスC、ループ連結ヘリックスCおよびDの最初の残基およびGM-CSFのカルボキシ末端にマッピングされた(Brown et al.、1994)。
【0014】
GM-CSF 三量体の受容体複合体の形成により、JAK/STATファミリー、She、Ras、Raf、MAP キナーゼ、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼおよびNFkBの分子に関する複雑なシグナル伝達カスケードの活性化をもたらし、最終的にはc-myc、c-fosおよびc-junの転写をもたらす。活性化は、主に該受容体のβサブユニットにより誘導される(Hayashida et al.、1990; Kitamura et al.、1991 ; Sato et al.、1993)。この共有のβサブユニットは、IL-3、IL-5およびGM-CSFによりもたらされるオーバーラップ機能についても関与する(概説を参照されたい: de Groot et al.、1998)。
【0015】
その造血増殖および分化刺激活性は別として、GM-CSF機能は、特に炎症性サイトカインとして機能する。マクロファージ、例えば肺胞マクロファージタイプI&IIおよび単球に加えて好中球および好酸球は、GM-CSFにより活性となり、他のサイトカインおよびケモカイン、マトリックス分解プロテアーゼの放出をもたらし、HLA発現および細胞付着分子またはCC-ケモカインに対する受容体の発現を増加させ、次いで炎症性組織中への炎症性細胞の遊走作用を増加させる。
【0016】
Wongら(Science Vol. 228、pp. 810-815 (1985))および Kaushanskyら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、Vol. 83、pp. 3101-3105 (1986))は、哺乳類細胞における組換えGM-CSFの産生を説明している。Burgessら(Blood、Vol. 69、pp. 43-51 (1987))は、Escherichia coliで産生されたGM-CSFの精製を説明するものである。
【0017】
機能的ホモログ
GM-CSFの機能的ホモログは、配列番号1と少なくとも50%の配列同一性を有するポリペプチドであって、1以上のGM-CSF機能、例えば顆粒球、マクロファージ、好酸球および赤血球を含む様々な系統由来の造血前駆体細胞の増殖および分化に関する刺激をもつものである。
【0018】
GM-CSFは、肺胞マクロファージ(AM)の複数の機能を調節する。AMのGM-CSF刺激により、有毒な経口摂取物に選択的に反応する肺胞マクロファージが増強することが実証されており(即ち、細菌食作用中の炎症刺激)、一般的には無毒な経口摂取物は和らげられる(即ち、アポトーシス細胞の食作用中の抗炎症応答)。さらにAM機能は、GM-CSF刺激により、それに続く増殖、分化、蓄積および活性化を伴い増強される。さらに、これらのGM-CSF効果は、細胞付着、遊走作用の改善、Fc-受容体発現、補体および抗体媒介性−食作用、酸化的代謝、細菌、真菌、原生動物およびウイルスの細胞内殺傷、サイトカインシグナル伝達および抗原提示にもおよぶ。さらにGM-CSFは、AMの細胞付着における欠損、病原体関連分子パターン受容体、トル様受容体およびTLR膜貫通シグナル伝達、サーファクタントタンパク質および脂質摂取および分解を増強させる(Trapnell BC and Whitsett JA.GM-CSF regulates pulmonary syrfactant homeostasis and alvelar macrophage-mediated innate host defense. Annu. Rev. Physiol. 2002.64:775-802)。
【0019】
さらにGM-CSFは、AMの認識レセプター、いわゆるトル様レセプター(TLR)と相互作用する。GM-CSFは、宿主防御におけるTLR感応とのその相互作用により原因となる微生物のクリアランスを増強させるため、肺炎における肺の宿主防御に重要である(Chen GH、Olszewski MA, McDonald RA、Wells JC、Paine R 3rd、Huffnagle GB、Toews GB. Role of granulocyte macrophage colony-stimulating factor in host defense against plumonary Cryptococcus neoformans infection during murine allergic bronchoplumonary mycosis. Am J Pathol. 2007 Mar;170(3):1028-40)。肺は、肺炎および酸素過剰(例えば、感染への応答が弱いためにアポトーシスへの二次的宿主防御の機能障害をもたらす人口呼吸器関連肺炎(VAP)に見られるような高O2暴露に関連する)において低下される、自身の不活性なGM-CSF産生を示す。高酸素損傷は、GM-CSFによる肺胞マクロファージの活性化により、その後のTLRシグナル伝達経路の発現を介したP. aeruginosaのクリアランスにより[Baleeiro CE、Christensen PJ、Morris SB、Mendez MP、Wilcoxen SE、Paine R. GM-CSF and the impaired plumonary innate immune response following hyperoxic stress. Am J Physiol Lung Cell MoI Physiol. 2006 Dec;291 (6):L1246-55. Epub 2006 Aug 4]影響を弱めされると考えられる[Altemeier WA、Sinclair SE. Hyperoxia in the intensive care unit: why more is not always better. Curr Opin Crit Care. 2007 Feb;13(1)73-8. & Baleeiro CE、Christensen PJ、Morris SB、Mendez MP、Wilcoxen SE、Paine R. GM-CSF and the impaired plumonary innate immune response following hyperoxic stress. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2006 Dec;291(6):L1246-55. Epub 2006 Aug 4)]。
【0020】
最後に、GM-CSFは、未熟な樹状細胞(DC)へのイン・ビトロでのAMの変換をもたらし、特定の受容体または標的への成熟DCのホーミングを活性化することに関して、特定の薬剤を用いてさらに成熟され得る(Zobywalski A、Javorovic M、Frankenberger B、Pohla H、Kremmer E、Bigalke I、Schendel DJ. Generation of clinical grade dendritic cells with capacity to produce biologically active IL-12p70. J Transl Med. 2007 Apr 12;5:18)。
【0021】
好ましくは、様々な近縁種(例えば配列アラインメントにより評価された)のGM-CSF間の進化的保存を用いて、個々の残基に対する進化圧の程度を特定できる。好ましくは、GM-CSF配列は、GM-CSF機能が保存されている種間、例えば、これに限定しないが、齧歯類、サルおよび類人縁を包含する哺乳動物の間で比較される。高い選択圧下にある残基は、種間で変化する残基よりも容易には置換され難い必須アミノ酸を示す傾向がある。妥当な数のヒトGM-CSF配列の修飾または変更は、本発明のGM-CSF分子の活性と干渉しないことは上記から明白である。かかるGM-CSF分子は、本明細書で、ヒトGM-CSFの機能的等価物として示され、例えば下記に記載したとおりのネイティブヒトGM-CSF変異体およびフラグメントであってもよい。
【0022】
本明細書で使用したとおり、「変異体」なる表現は、好適にはヒトGM-CSFであって、該基本タンパク質に相同であるポリペプチドまたはタンパク質を指すが、これらが得られるタンパク質由来の基本配列とは異なる、即ち該配列内の1以上のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されているポリペプチドまたはタンパク質を指す。アミノ酸置換は、"保存的"と考えられており、ここでアミノ酸は広範囲に類似した特性を有する異なるアミノ酸で置換されている。非保存的置換とは、アミノ酸が異なるタイプのアミノ酸で置換される部分である。一般的には、ポリペプチドの生物学的活性を変更させずに、少数の非保存的置換は可能であろう。
【0023】
当業者は、「保存的」アミノ酸置換の行い方および評価の仕方を知っており、これにより1つのアミノ酸は、1以上の共通する化学的および/または物理的特徴を有する別のアミノ酸に置換される。保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能には影響をあまり及ぼさない。アミノ酸は、共通する特徴に従ってグループ分けされることができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸の予め決定されたグループ内の1つのアミノ酸を、同グループ内の別のアミノ酸との置換であり、ここで予め決定されたグループ内の該アミノ酸は、類似した、または実質的に類似した特徴を示す。本明細書で用いられるとおり、用語「保存的アミノ酸置換」の意味において、1つのアミノ酸は、アミノ酸のグループ内の別のアミノ酸に置換され得る、該グループは下記特徴を示す;
i) 極性側鎖(Asp、GIu、Lys、Arg、His、Asn、GIn、Ser、Thr、Tyr、およびCys)
ii) 非極性側鎖(GIy、Ala、VaI、Leu、lie、Phe、Trp、Pro、およびMet)
iii) 脂肪族側鎖(GIy、Ala VaI、Leu、lie)
iv) 環式側鎖(Phe、Tyr、Trp、His、Pro)
v) 芳香族側鎖(Phe、Tyr、Trp)
vi) 酸性側鎖(Asp、GIu)
vii) 塩基性側鎖(Lys、Arg、His)
viii) アミド側鎖(Asn、GIn)
ix) ヒドロキシ側鎖(Ser、Thr)
x) 硫黄含有側鎖(Cys、Met)、ならびに
xi) アミノ酸は、モノアミノ-ジカルボン酸またはモノアミノ-モノカルボン-モノアミドカルボン酸(Asp、GIu、Asn、GIn)である。
【0024】
本発明の範囲内にある機能的ホモログは、配列番号1によって同定されるとおり、ヒトGM-CSFと、少なくとも50%配列同一性、好ましくは少なくとも60%、70%の配列同一性を示すポリペプチドである。好ましくは、機能的ホモログは、配列番号:1と少なくとも75%配列同一性、例えば少なくとも80%配列同一性、例えば少なくとも85%配列同一性、例えば少なくとも90%配列同一性、例えば少なくとも91%配列同一性、例えば少なくとも91%配列同一性、例えば少なくとも92%配列同一性、例えば少なくとも93%配列同一性、例えば少なくとも94%配列同一性、例えば少なくとも95%配列同一性、例えば少なくとも96%配列同一性、例えば少なくとも97%配列同一性、例えば少なくとも98%配列同一性、例えば99%配列同一性を有する。
【0025】
配列同一性は、十分に知られる多数のアルゴリズムを用いて、および多数の異なるギャップペナルティを適用して計算され得る。あらゆる配列アラインメントアルゴリズム、例えば、これに限定しないが、FASTA、BLASTまたはGETSEQは、ホモログを探索するためおよび配列同一性を計算するために使用できる。さらに、適切なあらゆる共通した既知の置換マトリックス、例えばこれに限定しないが、PAM、BLOSSUMまたはPSSMマトリックスは、探索アルゴリズムと共に適用できる。例えば、PSSM(位置特異的スコアリングマトリックス)は、PSI-BLASTプログラムを介して適用され得る。さらに、配列アラインメントは、ギャップ・オープニングおよびエクステンションに対するペナルティの範囲を用いて行われ得る。例えば、BLAST アルゴリズムは、範囲5-12内でのギャップ・オープニング・ペナルティおよび範囲1-2内でのギャップ・エクステンション・ペナルティとともに用いられ得る。
【0026】
従って、本発明のその変異体またはフラグメントは、その配列またはフラグメントの同変異体内に、またはその配列またはフラグメントの異なる変異体間に、少なくとも1つの置換、例えば独立して別のものを導入した複数の置換を含み得る。
【0027】
上記概説から明らかであろうが、その同一変異体またはフラグメントは、上記に定義されたとおりの保存的アミノ酸の1以上のグループ由来の1以上の保存的アミノ酸の基の置換を含みうる。
【0028】
20個の標準的アミノ酸および2つの特異的アミノ酸、セレノシステインおよびピロロシンに加えて、イン・ビボではタンパク質中には導入されない非常に多数の「非標準アミノ酸」がある。標準的でないアミノ酸の例示には、硫黄含有タウリンおよび神経伝達物質GABAおよびドーパミンが包含される。他の例示には、ランチオニン、2-アミノイソラク酸およびデヒドロアラニンがある。さらに非標準アミノには、オルニチンおよびシトルリンがある。
【0029】
非標準アミノ酸は、通常、修飾により標準的アミノ酸に形成される。例えば、タウリンは、システインの脱カルボキシル化により形成される、一方ドーパミンは、チロシンから合成され、ヒドロキシプロリンは、プロリンの翻訳後修飾により作成され得る(コラーゲンと共通)。非天然アミノ酸の例示は、例えば37 C. F. R. section 1 .822(b)(4)に列挙されており、これら全ては出典明示により本明細書の一部とする。
【0030】
本明細書に記載した標準および非標準アミノ酸残基の両方は、"D"または"L"異性体形態で存在することができる。
【0031】
本発明の機能的等価物は、非標準アミノ酸を包含するあらゆるアミノ酸を含み得ると理解される。好ましい実施形態において、機能的等価物は、標準的アミノ酸のみを含む。
【0032】
標準および/または非標準アミノ酸は、ペプチド結合または非ペプチド結合により結合され得る。用語「ペプチド」は、また当分野で知られているとおり化学的または酵素触媒反応により導入された翻訳後の修飾をも含む。かかる翻訳後の修飾は、所望により、分割する前に導入され得る。本明細書で特定されたアミノ酸は、L-立体異性体形態で優先的に存在するであろう。アミノ酸アナログは、20個の天然のアミノ酸の代わりに用いられ得る。いくつかのかかるアナログは、知られており、フルオロフェニルアラニン、ノルロイシン、アゼチジン-2-カルボン酸、S-アミノエチルシステイン、4-メチルトリプトファン等を包含する。
【0033】
好適な変異体は、少なくとも60%同一であって、好ましくは少なくとも70%同一であり、従って、変異体は、ヒトGM-CSFの予め決定された配列と、少なくとも75%配列同一性、例えば少なくとも80%配列同一性、例えば少なくとも85%配列同一性、例えば少なくとも90%配列同一性、例えば少なくとも91% 配列同一性、例えば少なくとも91%配列同一性、例えば少なくとも92%配列同一性、例えば少なくとも93%配列同一性、例えば少なくとも94%配列同一性、例えば少なくとも95%配列同一性、例えば少なくとも96%配列同一性、例えば少なくとも97%配列同一性、例えば少なくとも98%配列同一性、例えば99%配列同一性を有するのが好ましい。
【0034】
機能的等価物には、さらに化学修飾を含みうる、例えばユビキチン化、標識化(例えば、放射性核種、様々な酵素等)、ペグ化(ポリエチレングリコールを用いる誘導体化)、またはアミノ酸(アミノ酸、例えばヒトタンパク質において通常生じないオルニチン)の挿入(または、化学合成による置換)を含み得る。
【0035】
本明細書に記載したペプチジル化合物に加えて、ペプチド構造の重要な部分を擬態するように立体的に類似した化合物を製剤でき、そしてかかる化合物もまた、本発明のペプチドと同じ方法で使用できる。これは、当業者には知られたモデル構築および化学的設計技術によって達成され得る。例えば、エステル化および他のアルキル化は、アミノ末端、例えばジアルギニンペプチドバックボーンを修飾し、テトラペプチド構造を擬態するように用い得る。このような立体的に類似した全ての構築体は、本発明の範囲内にあると理解されるであろう。
【0036】
また、N末端アルキル化およびC末端エステル化を有するペプチドは、本発明の範囲内を含む。また、機能的等価物とは、グリコシル化および同一分子を用いて形成された共有結合性または凝集性結合体を含んでおり、ダイマーまたは非関連化学的部分を包含している。かかる機能的等価物は、当業者には既知の手段により、NおよびC末端のいずれか1つまたは両方にて含んでいるフラグメントに存在する基と官能基とを結合することにより調製される。
【0037】
用語「そのフラグメント」とは、所定のアミノ酸配列のあらゆる部分を示し得る。フラグメントは、共に連結された、全長タンパク質内からの1以上の部分を含み得る。好適なフラグメントは、欠失または付加突然変異体であってよい。少なくとも1つのアミノ酸の付加は、好ましくは2〜250個のアミノ酸、例えば10〜20個のアミノ酸、例えば20〜30個のアミノ酸、例えば40〜50個のアミノ酸の付加であってもよい。フラグメントは、タンパク質由来か、またはこれらの組合せ物由来の小さな領域を包含し得る。
【0038】
好適なフラグメントは、欠失または付加突然変異体であり得る。少なくとも1つのアミノ酸の付加または欠失は、好ましくは2〜250個のアミノ酸、例えば、10〜20個のアミノ酸、例えば20〜30個のアミノ酸、例えば40〜50個のアミノ酸の付加または欠失であってもよい。欠失および/または付加は、互いが独立して、配列内および/または配列の末端での欠失および/または付加であってよい。
【0039】
欠失突然変異体は、配列番号:1によって同定されたとおりの該配列のより短い配列であり得る、好適には少なくとも20または40個の連続するアミノ酸、より好ましくは少なくとも80または100個の連続するアミノ酸長を含む。従って、かかるフラグメントは、少なくとも20個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも30個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも40個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも50個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも60個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも70個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも80個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも90個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも95個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも100個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも105のアミノ酸、例えば少なくとも110個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも115個の連続するアミノ酸、例えば少なくとも120個の連続するアミノ酸を含んでおり、ここで該欠失突然変異体は、配列番号:1と好ましくは少なくとも75%配列同一性を有し、例えば少なくとも80%配列同一性、例えば少なくとも85%配列同一性、例えば少なくとも90%配列同一性、例えば少なくとも91%配列同一性、例えば少なくとも91%配列同一性、例えば少なくとも92% 配列同一性、例えば少なくとも93%配列同一性、例えば少なくとも94%配列同一性、例えば少なくとも95%配列同一性、例えば少なくとも96%配列同一性、例えば少なくとも97%配列同一性、例えば少なくとも98%配列同一性、例えば99%配列同一性を有する。
【0040】
GM-CSFの機能的ホモログは、多くて500個、より好ましくは多くて400個、さらにより好ましくは多くて300個、またより好ましくは多くて200個、例えば多くて175個、例えば多くて160個、例えば多くて150個のアミノ酸、例えば多くて144個のアミノ酸を含むのが好ましい。
【0041】
用語「そのフラグメント」とはは、所定のアミノ酸配列のあらゆる部分を示し得る。フラグメントは、共に連結された、全長タンパク質内からの1以上の部分を含み得る。一部分は、好適には、該基本配列から少なくとも5つ、好ましくは少なくとも10の連続するアミノ酸を含む。それらは、タンパク質またはこれらの組合せ物由来の小さな領域を包含し得る。
【0042】
ヒトGM-CSFの2つの既知の変異体がある;T115I置換の変異体およびI117T置換の変異体2。従って、本発明の一実施態様において、GM-CSFの機能的ホモログは、配列番号:1またはスプライス変異体のいずれかと高い配列同一性を有する配列を含む。
【0043】
GM-CSFのアナログは、例えば、Deeleyらの米国特許番号5,229,496、5,393,870および5,391,485に記載されている。かかるアナログは、本発明の範囲に含まれる機能的等価物でもある。
【0044】
組換え産生
本発明は、肺の宿主防御を増強させるための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)または調製されたその機能的ホモログの肺の投与に関するものである。GM-CSFは、様々な方法で生成され得る、例えばヒトまたは動物血清からの単離、または細胞、例えば原核生物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞中での発現、または細胞不含系で生成され得る。
【0045】
本発明の一実施態様において、GM-CSFは宿主細胞により組換え産生される。
【0046】
こうして、本発明のある態様において、GM-CSFは、該宿主細胞中で発現させることが出来る第二の核酸と操作可能に結合したGM-CSFをコードする第一の核酸配列を含む宿主細胞により産生される。こうして、第二の核酸配列は、該細胞中の目的とするタンパク質の発現をもたらすプロモーターを含むか、またはプロモーターから構成され得る。当業者は、所与の宿主細胞において使用するための有用な第二の核酸配列を同定することが容易にできる。
【0047】
組換えGM-CSFを産生する方法は、一般的に下記のステップを含む:
-宿主細胞を提供すること、
-宿主細胞中の目的とする該タンパク質の発現をもたらし得る第二の核酸と操作可能に結合したGM-CSFをコードする第一の核酸を含む遺伝子発現構築体を調製すること、
-該宿主細胞を該構築体と共に形質転換すること、
-該宿主細胞を培養し、これによりGM-CSFの発現を得ること。
【0048】
このようにして産生された組換え体GM-CSFは、例えば本明細書下記に記載したタンパク質の単離のためのいずれかの従来方法により単離され得る。当業者は、GM-CSFを精製するための適切なタンパク質の単離ステップを同定することができる。
【0049】
本発明の一実施態様において、組み換え的に産生したGM-CSFは、宿主細胞により分泌される。GM-CSFが分泌される場合、目的とする組換え体タンパク質を産生する方法は下記ステップを含み得る;
-宿主細胞を提供すること、
-該宿主細胞において目的とする該タンパク質の発現をもたらし得る第二の核酸と操作可能に結合したGM-CSFをコードする第一の核酸を含む遺伝子発現構築体を調製すること、
-該宿主細胞を該構築体と共に形質転換すること、
-該宿主細胞を培養し、これにより培養培地中でのGM-CSFの発現およびGM-CSFの分泌を得ること、
-これにより、GM-CSFを含む培養培地を得ること。
【0050】
このように、GM-CSFおよび核酸を含む組成物は、本発明のこの実施態様において、上記培養培地または上記培養培地から調製された組成物であり得る。
【0051】
本発明の別の実施態様において、該組成物は、動物、その一部または細胞から調製された抽出物またはかかる抽出物の単離画分である。
【0052】
本発明の実施態様において、GM-CSFは、宿主細胞においてイン・ビトロで組み換え産生され、そして細胞溶解物、細胞抽出物から単離されるか、または組織培養上清から単離される。より好ましい実施態様において、GM-CSFは、GM-CSFを発現するこのような方法で改変される宿主細胞により産生される。本発明のさらにより好ましい実施態様においては、該宿主細胞は、GM-CSFを産生および分泌するように形質転換される。
【0053】
肺の宿主防御
呼吸器系は、吸入物質に対する防御の第一線である。この系には、力学的メカニズム、反射メカニズム、細胞メカニズムに関する、ならびに局所的および全身的に誘導された防御分子を産生する、複雑で多層化された防御系がふくまれる。
【0054】
上気道および主気管支は、咳反射、粘膜繊毛組織および分泌イムノグロブリンA(IgA)と関連する解剖学的障壁にて肺を保護する。粘膜の表在層の下で、樹状細胞の緊密なネットワークは、あらゆる侵入有機体を感知かつ捕獲して、気道周辺または門(hilum)中のリンパ節へと移送する。呼吸細気管支をこえる呼吸構成単位において、粒子は、例えばIgG、補体、サーファクタントおよびフィブロネクチンなどのエレメントが多い環境においては、肺胞マクロファージにより捕獲される。これらの構成単位において、様々な量の好中球およびリンパ球が必要とされる場合に補充される。
【0055】
肺の上皮は、防御機能を提供すること、また環境的な攻撃を標的とする物質を分泌することにより、特に気腔空間を保護し、正常な呼吸器の機能を維持する。肺の上皮は、感染、例えばウイルス感染により損傷を受ける可能性があり、これにより細菌の付着が可能となる。
【0056】
肺防御の細胞部分は、ムチン、抗生物質および/または抗酸化剤、例えばサーファクタント、イムノグロブリンおよび補体タンパク質および抗プロテアーゼを包含する。コレクチンは、細胞性肺の防御にも関与してきた。
【0057】
炎症性細胞は、肺の上皮で分泌された化学誘引物質を介して気道に動員される、これにより順に上皮を横切る炎症性細胞の移動がもたらされる。該上皮は、さらにサイトカインを放出し、炎症性細胞活性を調節する。上皮細胞は、例えばIL-8およびGM-CSFなどの因子を放出するのに対し、マクロファージはIL-1およびTNFを放出し、さらに上皮の細胞を刺激する。
【0058】
本発明の目的のために、「肺の宿主防御の増強」とは、増加する宿主の肺の系において感染に対する防御を増加させる、宿主におけるあらゆる検出可能な変化を意味する。肺の宿主防御の増強は、例えば白色細胞計測数の変化および/または気管吸引物からまたは気管支肺胞洗浄から得たサイトカイン放出などの局所の肺の宿主防御パラメーターをモニターすることにより決定できる。あるいはさらに、肺の宿主防御の増強は、例えば選択的および/または特異的な表面レセプターを有するかまたは有さない肺胞マクロファージ、ならびに/または気管吸引物および/または気管支肺胞洗浄液に見出されたサブグループ等の肺由来の細胞に関するフローサイトメトリー分析により決定され得る。肺由来の細胞のフローサイトメトリー分析のための方法は、Garn et al.in Experimental and Toxicologic Pathology 2006 57:S2:21-24に記載されている。
【0059】
医薬適応
気管内、気管支内または呼吸細気管支投与による、有効量のGM-CSFまたはその機能的ホモログの投与は、次のものに限定しないが、肺癌、小細胞肺癌および扁平上皮肺癌もしくは非小細胞肺癌の両方、肺炎、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌または他の一般的でない真菌株および/またはウイルス感染による嚢胞性線維症、または該気道および/または肺実質における細菌、真菌および/またはウイルスのコロニー形成を含んでいる症状の症候緩和および/または該症状に罹患している患者の処置において特に有用である。疾患の範囲には、後記の様な肺疾患の症状および/または感染が含まれる;気管支炎、嚢胞性線維症、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、細気管支炎、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、特発性器質化肺炎(BOOP)、あらゆる原因の肺炎、例えば市中肺炎、院内肺炎および人口呼吸器関連肺炎(VAP)を包含するが、これらに限定するものではない。
【0060】
感染は、例えば、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫による感染でありうる。例えば、寄生虫、例えばPlasmodium falciparumによる感染である。例えば、1以上の細菌による感染は下記群から選択される;Achromobacter xylosoxidans、Acinetobacter calcoaceticus、好ましくはA. anitratus、A. haemolyticus、A. alcaligenes および A. Iwoffii、Actinomyces israelii、Aeromonas hydrophilia、Alcaligenes species、好ましくは A. faecalis、A. odorans および A. denitrificans、Arizona hinshawii、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Borrelia recurrentis、Brucella species、好ましくはB. abortus、B. suis、B. melitensis および B. canis、Calymmatobacterium granulomatis、Campylobacter fetus ssp. intestinalis、Campylobacter fetus ssp. jejuni、Chlamydia species、好ましくは C. psittaci および C. trachomatis、Chromobacterium violaceum、Citrobacter species、好ましくはC. freundii および C. diversus、Clostridium botulinum、Clostridium perfringens、Clostridium difficile、Clostridium tetani、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium、好ましくはC. ulcerans、C. haemolyticum および C. pseudotuberculosis、Coxiella burnetii、Edwardsiella tarda、Eikenella corrodens、Enterobacter、好ましくはE. cloacae、E. aerogenes、E. hafniae (Hafnia alveiとも呼ばれる)および E. agglomerans、Erysipelothrix rhusiopathiae、Escherichia coli、Flavobacterium meningosepticum、Francisella tularensis、Fusobacterium nucleatum、Gardnerella vaginalis、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Helicobacter species、Klebsiella species、好ましくはK. pneumniae、K. ozaenae og K. rhinoscleromatis、Legionella species、Leptospira interrogans、Listeria monocytogenes、Moraxella species、好ましくはM. lacunata and M. osloensis、Mycobacterium bovis、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma species、好ましくはM. pneumoniae、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Nocardia species、好ましくはN. asteroides および N. brasiliensis、Pasterurella haemolytica、Pasteurella multocida、Peptococcus magnus、Plesiomonas shigelloides、Pneumococci、Proteus species、好ましくは P. mirabilis、P. vulgaris、P. rettgeri および P. morganii (各々Providencia rettgeri および Morganella morganiiとも呼ばれる)、Providencia species、好ましくはP. alcalifaciens、P. stuartii および P. rettgeri (Proteus rettgeriとも呼ばれる)、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mallei、Pseudomonas pseudomallei、Rickettsia、Rochalimaia henselae、Salmonella species、好ましくはS. enteridis、S. typhi および S. derby、および最も好ましくは Salmonella DT104型のSalmonella species、Serratia species、好ましくはS. marcescens、Shigella dysenteriae、S. flexneri、S. boydii および S. sonnei、Spirillum minor、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Streptobacillus moniliformis、Streptococcus、好ましくはS. faecalis、S. faecium および S. durans、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Treponema carateum、Treponeam pallidum、Treponema pertenue、好ましくはT. pallidum、Ureaplasma urealyticum、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Yersinia enterocolitica および Yersinia pestis。
【0061】
感染は、原生動物感染、例えばこれに限定しないが、Trichomonas感染、例えばPentatrichomonas 感染を含む。例えば T. buccalis、T. tenax、T. foetus、T. galli'nae、T. gallina'rum、T. ho'minis、T. intestinalis、T. te'nax、T. vaginalisである。
【0062】
本発明の別の実施態様において、GM-CSFは、Aspergillosis、Blastomycosis、Candidiasis、Coccidioidomycosis、Cryptococcosis、Histoplasmosis、Paracoccidiomycosis、Sporotrichosis、Zygomycosis、pheumocystis cariniiを包含するがこれに限定しない真菌感染によって引き起こされるあらゆる症状の処置に使用され得る。また、該組成物は、例えばクロモブラスト真菌症、真菌性角膜炎、内因性真菌性眼感染、伸長眼真菌症(Extension oculomycosis)、ロボ真菌症、菌腫、爪、髪および皮膚疾患(例えば、爪甲真菌症(爪白癬)、砂毛症、癜風、白癬性毛瘡、頭部白癬、体部白癬、頑癬、黄癬、黒癬、足白癬)、外耳道真菌症、フェオフィホ真菌症、リノスポリジウム症などの症状における真菌感染の処置に使用できる。
【0063】
投与
気管内、気管支内または気管支肺胞投与の方法には、液体として、GM-CSFが溶解されている生理学的に許容し得る組成物を用いて、噴霧、洗浄、吸入、洗浄または点滴が包含されうが、これらに限定するものではない。本明細書で使用した場合、用語「気管内、気管支内または肺胞内投与」には、かかる投与の全ての形態が包含される、こうしてGM-CSFは、該気管、気管支また肺胞へと各々、安定化剤または他の賦形剤を加えるかまたは加えずに、GM-CSFの溶液の点滴注入によるか、粉末形態でGM-CSFを適用するか、またはエアロゾル化された溶液または懸濁液または噴霧用溶液または懸濁液または吸入用粉末またはゲルとしてGM-CSFの吸入により、気道の要部に送達することにより適用される。
【0064】
気管支内/肺胞投与方法には、洗浄液として生理学的に許容し得る組成物を用いる当業者にはよく知られた方法である気管支肺胞洗浄(BAL)を包含するが、これに限定するものではない。この組成物中のGM-CSFは、溶解されているか、また実際には賦形剤を含むかまたは含まずに、乾燥形態にてGM-CSFを含む吸入用粉末の使用、または気管支鏡検査中に溶液または懸濁液または粉末形態にあるGM-CSFの直接適用を含めた、気管支投与のあらゆる有効な形態である。気管内投与のための方法は、溶解されたGM-CSFまたはGM-CSF懸濁液と類似の溶液を用いるブラインド気管洗浄(blind tracheal washing)、またはこの目的に適切なあらゆる噴霧装置(ネブライザー)の使用によって得られる溶解したGM-CSFまたはGM-CSF懸濁液を含有する噴霧用液滴の吸入が包含される。
【0065】
別の実施態様において、気管内、気管支内または肺胞内投与は、該生成物の吸入を包含しないが、気管または下気道中へのGM-CSF溶液またはGM-CSF含有粉末またはゲルの点滴または適用を包含する。
【0066】
投与の他の好ましい方法は、下記の装置の使用を包含し得る:
1. 圧縮した空気/酸素混合物を用いる加圧式ネブライザー
2. 超音波ネブライザー
3. 電子マイクロポンプネブライザー(例えば、Aeroneb Professional Nebulizer)
4. 定量噴霧式吸入器 (MDI)
5. 乾燥粉末吸入システム(DPI)。
【0067】
エアロゾルは、人工呼吸器(装置1、2および3)期間に、a)フェイスマスク、またはb)挿管された患者における気管内麻酔チューブにより送達され得る。装置4および5も、患者が自発的に噴霧装置を使用できるという条件で、補助なしで患者により使用できる。
【0068】
GM-CSFを含有する溶液のための好ましい濃度および/またはGM-CSFの機能的ホモログまたは変異体は、ml溶液あたり0.1μg〜10000μg活性成分の範囲である。適切な濃度は、ml溶液あたり0.1μg〜5000μgの範囲であることが多い。例えば、ml溶液あたり約0.1μg〜3000μgの範囲、特にml溶液あたり約0.1μg〜1000μgの範囲、例えばml溶液あたり約0.1μg〜250μgである。好ましい濃度は、約0.1〜約5.0mg、好ましくは約0.3mg〜約3.0mg、例えば約0.5〜約1.5mg、特にml溶液あたり0.8〜1.0 mgの範囲である。
【0069】
医薬組成物
本発明における使用のための医薬組成物または製剤には、GM−CSFまたはその機能的ホモログの組合せ物が包含されるが、これらは好ましくは医薬上許容し得る担体、好ましくは水溶性担体または希釈剤に溶解されているか、ペグ化した調製物として、または吸入によるエアロゾルとして投与されるリポソームまたはナノ粒子の調製物として、または気管支肺胞洗浄としてまたはブラインド気管内洗化または洗浄として気管支鏡を介して投与される洗浄液として下気道に送達される。様々な水性担体を使用することができ、これには例えば0.9%の生理食塩水、緩衝生理食塩水、生理学的に相溶し得る緩衝液等が包含されるが、これに限定しない。該組成物は、当業者には周知の従来技術により滅菌されうる。得られる水溶液は、使用するために包装されるか、無菌状態下で濾過されるか、また凍結乾燥されてもよく、該凍結乾燥調製物は投与前に滅菌水溶液に溶解される。
【0070】
一実施態様において、凍結乾燥GM-CSF調製物は、例えば単回用量ごとに予め包装されていてもよい。さらにより好ましい実施態様において、単回用量単位は患者に対して調整される。
【0071】
該組成物は、医薬的に許容し得る助剤またはアジュバンドを含有し得る、これには例えばpH調整剤および緩衝剤および/または等張化剤、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0072】
製剤には、ミクロスフェア、リポソーム、マイクロカプセル、ナノ粒子等を包含する医薬上許容し得る担体および賦形剤を含有し得る。従来のリポソームは、一般的に、ホスホリピド(中性または陰性に帯電した)および/またはコレステロールを含む。リポソームは、水性区画を囲む脂質二重層を基にした小胞構造である。それらは、その生理化学特性、例えばホスホリピド二重層のサイズ、脂質組成物、表面電荷および数および流動性においは変化させうる。リポソーム形成に最もよく使用される脂質は次のものである:1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-S-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-リン酸塩(一ナトリウム塩)(DMPA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸塩(一ナトリウム塩)(DPPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸塩(一ナトリウム塩)(DOPA)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ナトリウム塩) (DMPG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)] (ナトリウム塩) (DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)] (ナトリウム塩) (DOPG)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン] (ナトリウム塩) (DMPS)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン)(ナトリウム塩) (DPPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン] (ナトリウム塩) (DOPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(グルタリル)(ナトリウム塩)および1,1',2,2'-テトラミリストイルカルジオリピン(アンモニウム塩)。他の脂質またはリポソームの修飾剤を組み合わせたDPPCを含む製剤は、例えばコレステロールおよび/またはホスファチジルコリンとの組み合わせが好ましい。
【0073】
長時間循環型リポソームは、血管壁の透過性が増加される身体部分で溢出するその能力を特徴とする。長時間循環型リポソームを生成する最もよく知られている方法は、親水性ポリマーポリエチレングリコール(PEG)を、リポソームの外表面に共有結合させることである。いくつかの好ましい脂質には次のものがある:1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](アンモニウム塩)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-5000](アンモニウム塩)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩)(DOTAP)。
【0074】
リポソームに用い得る可能な脂質は、Avanti,Polar Lipids,Inc,Alabaster,AL.により提供される。さらに、リポソーム懸濁液は、貯蔵中にフリーラジカルおよび脂質過酸化的損傷に対して脂質を保護する脂質保護剤を包含し得る。脂溶性フリーラジカルクエンチャーは、例えばα-トコフェロールおよび水溶性鉄-特異的キレーター、例えばフェリオキシアニン(ferrioxianine)が好まれる。
【0075】
多様な方法がリポソームの調製に利用出来る、例えばSzoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng.9:467(1980)、U.S. Pat. Nos. 4,235,871、4,501,728および4,837,028 に記載されるように、これら全ての文献は出典明示により本明細書の一部とする。別の方法は、異なるサイズの多重層小胞を生成させる。この方法においては、この小胞形成脂質は、適切な有機溶媒または溶媒系に溶解され、真空下または不活性ガス下で乾燥させて、薄い脂質膜を形成する。所望により、該膜を、適切な溶媒、例えば三級ブタノールに再溶解し、次いで凍結乾燥させ、より容易に水和される粉末様形態にあるより均一な脂質混合物を形成させる。この膜は、標的薬剤および標的化成分の水溶液で覆われて、通常攪拌しながら15-60分かけて水和させ得る。得られる多重層小胞のサイズ分布を、より激しい攪拌状態下で脂質を水和させることによるか、または可溶化洗浄剤、例えばデオキシコール酸塩を添加することにより、さらに小さなサイズへとシフトさせうる。
【0076】
ミセルは、水溶液中の界面活性剤(疎水性部分および1以上のイオン性または強い親水性基を含有する分子)により形成した。
【0077】
当業者によく知られた一般的な界面活性剤は、本発明のミセルで使用され得る。適切な界面活性剤には、ラウリン酸ナトリウム(sodium laureate)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクタオキシエチレングリコール・モノドデシルエーテル、オクトキシノール9およびPLURONIC F-127 (Wyandotte Chemicals Corp.)が包含される。好ましい界面活性剤は、IV注射と相溶し得る非イオン性ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン洗浄剤であり、例えばTWEEN-80、PLURONIC F-68、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド等である。さらに、例えばリポソーム製品において使用するために記載されているもの等のホスホリピドはミセル形成のためにも使用できる。
【0078】
いくつかの例において、その標的に対して活性な物質の送達を促進する化合物を含むことは有利であろう。
【0079】
用量
GM-CSFの「有効用量」とは、肺内投与を介して投与された場合に、肺の宿主防御を増強させる患者の気道および/または肺柔細胞中の濃度を達成することを意味する。
【0080】
調製物は、投薬形態に適合する手法で投与され、かかる量としては治療上有効であるような量で存在する。投与されるべき量は、例えば患者の体重および年齢、処置されるべき疾患および該疾患段階などを包含する処置されるべき対象に依存する。適切な用量範囲は、通常kg体重あたりであって、約0.1μg〜10000μg/kg体重の好ましい範囲にて、投与あたり数百μgのオーダーの活性成分である。GM-CSFの有効量を提供すると考えられる用量は、一日に1回または2回の吸入により投与される0.1μg〜5000μg/kg体重の範囲、例えば約0.1μg〜3000μg/kg体重の範囲であり、特に約0.1μg〜1000μg/kg体重の範囲であり、好ましくは5μg〜500μgの範囲であり、さらにより好ましいのは約50μg〜約200μgで大抵存在するGM-CSFを含む。
【0081】
適切な一日の用量範囲は、約0.1μg〜10000μg/kg体重/日の好ましい範囲にて、通常、数百μg活性成分/日の程度のkg体重/日である。化合物の単量体形態を用いる場合、適切な用量は、0.1μg〜5000μg/kg体重/日の範囲、例えば約0.1μg〜3000μg/kg体重/日の範囲、特に約0.1μg〜1000μg/kg体重/日の範囲であり、機能的ホモログまたはフラグメントについて、配列番号1と同じ配列を持つ単量体形態を基にした場合、該用量は、該機能的ホモログまたはフラグメントの分子量に対して単量体形態の分子量を基にして計算される。
【0082】
投薬期間は、通常1日〜約4カ月の範囲、例えば2日〜約3カ月の範囲、例えば1-2日〜2カ月の範囲、例えば1-2日〜1カ月の範囲である。
【0083】
医薬包装物
本発明で使用した化合物は、単回または複数用量のいずれかで、単独または医薬上許容し得る担体または賦形剤と組み合わせて投与され得る。製剤は、当業者には知られた方法により、便宜上単位用量形態において提示し得る。
【0084】
本発明の化合物はキットで提供されるのが好ましい。通常、かかるキットは、投与のための投薬形態において活性化合物を含有する。用量形態は、患者に投与された場合に所望の効果が得られ得るような十分量の活性化合物を含有する。
【0085】
このように、医薬包装物は、対応する投薬計画に調和する用量単位量を含むのが好ましい。従って、一実施態様において、医薬包装物は、上記に規定したような化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容し得る担体、ビヒクルおよび/または賦形剤を含有する医薬組成物を含んでおり、該包装物は、1〜7の用量単位を含んでおり、これにより1日以上の期間の用量単位となり、また7〜21の用量単位かまたはその複数回を含むことにより1週間または数週間の投与期間となる。
【0086】
用量単位とは、上記に規定したようとおりであり得る。医薬包装物は、気管内、気管支内または肺胞内投与のためのあらゆる好適な形態で存在し得る。好ましい実施態様において、該包装物は、バイアル、アンプル、チューブ、ブリスターパック、カートリッジまたはカプセル剤の形態で存在する。
【0087】
医薬包装物が1以上の投薬単位を含む場合、該医薬包装物は、1つの用量単位のみに対して各投与を調整する手法にて提供されるのが好ましい。
【0088】
好ましくは、キットは、特定期間に渡って接種されるべき用量形態の所望の作用および量を達成するための投薬形態の使用を表示する指示書を含有する。従って、一実施態様において、該医薬包装物は、医薬組成物を投与するための指示書を含む。
【0089】
さらにより好ましくは、凍結乾燥GM-CSF調製物は、例えば単回用量で予め包装されうる。さらにより好ましい実施態様において、単回用量単位は該患者に対して調整される。
【0090】
実施例
実施例1:CF-患者における吸入GM-CSF
吸入GM-CSFを、2000年の4月からマイコバクテリウム膿瘍による慢性肺感染に罹患しているCF-患者に与えた。感染開始時は、該患者は13.5歳であった。その後2年間の間に、1秒間努力呼気肺活量(FEV1)は、80%の予測値から35%の予測値に低下した。
【0091】
その後、2002年に患者は、Pseudomonas aeruginosa および Achromobacter xylosoxidansによる慢性肺感染となった。2002-2003年の約1年間、GM-CSFの筋肉内処置を行った。この処置の期間中に、肺の機能はFEVが55%の予測値まで増加した。
【0092】
2006年12月から、該患者を、各週毎に250μg b.i.d.の用量にて吸入顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を用いて12週間処置した。この処置の間に、FEVは、ほぼ5-6%程度予測値が増加した。患者はいずれの副作用の事象も経験しなかった。吸入GM-CSFによる処置を、2007年の9月に再開し、FEV1は、最初の一ヶ月間にほぼ5%程度の予測値を増加させた。全ての感染者を、継続的な吸入抗生物質により、また抗生物質を1年間に2週間4-6回の静脈注射により処置した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)またはその機能的ホモログを、肺投与により対象に投与することを含む、患者における肺の宿主防御を増強する方法。
【請求項2】
GM-CSFまたはその機能的ホモログの有効量が、気管内、気管支内または肺胞内投与により投与される、請求項1の方法。
【請求項3】
対象が、肺癌、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌および/またはウイルス感染によるかまたはよらない肺炎(市中肺炎、院内肺炎または人口呼吸器関連肺炎を包含するが、これに限定しない)および/または細菌、真菌および/またはウイルス感染またはコロニー形成によるかまたはよらない嚢胞性線維症、気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、細菌、真菌および/またはウイルスコロニー形成によるかまたはよらない特発性器質化肺炎(BOOP)、ならびに/または細菌、真菌および/またはウイルス感染またはコロニー形成に罹患している、請求項1の方法。
【請求項4】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの溶液を気管支肺胞洗浄により投与される、請求項1の方法。
【請求項5】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの溶液をブラインド気管洗浄により投与される、請求項1の方法。
【請求項6】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの噴霧用溶液または懸濁液を投与される、請求項1の方法。
【請求項7】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの噴霧用エアロゾルまたは吸入用粉末形態を投与される、請求項1の方法。
【請求項8】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの、ペグ化、リポソームまたはナノ粒子の調製された形態を投与される、請求項1の方法。
【請求項9】
対象が、気管支鏡検査中にGM-CSFまたはその機能的ホモログの直接的適用により、GM-CSFまたはその機能的ホモログを投与される、請求項1の方法。
【請求項10】
対象とは哺乳動物である、請求項1の方法。
【請求項11】
哺乳動物とはヒトである、請求項10の方法。
【請求項12】
ヒトとは、12歳齢よりも年齢が若い子供である、請求項11の方法。
【請求項13】
ヒトとは、12歳齢よりも年齢が高い成人である、請求項11の方法。
【請求項14】
肺の疾患、例えば肺癌、ニューモシスティス・カリニ、細菌、真菌および/またはウイルスの感染によるかまたはよらない肺炎(市中肺炎、院内肺炎または人口呼吸器関連肺炎を包含するが、これに限定しないが)および/または細菌、真菌および/またはウイルスの感染またはコロニー形成によるかまたはよらない嚢胞性線維症、気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、細菌、真菌および/またはウイルスの感染またはコロニー形成によるかまたはよらない特発性器質化肺炎(BOOP)、ならびに/または細菌、真菌および/またはウイルスのコロニー形成に罹患している患者の症候を緩和するかまたは処置する方法。
【請求項15】
有効量のGM-CSFまたはその機能的ホモログが、気管内、気管支内または肺胞内投与により投与される、請求項14の方法。
【請求項16】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの溶液を気管支肺胞洗浄により投与される、、請求項14の方法。
【請求項17】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの溶液をブラインド気管洗浄により投与される、請求項14の方法。
【請求項18】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの噴霧用溶液または懸濁液を投与される、請求項14の方法。
【請求項19】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログの噴霧用エアロゾルまたは吸入用粉末形態を投与される、請求項14の方法。
【請求項20】
対象が、GM-CSFまたはその機能的ホモログペグ化、リポソームまたはナノ粒子の調製された形態を投与される、請求項14の方法。
【請求項21】
対象が、気管支鏡検査中にGM-CSFまたはその機能的ホモログの直接的適用により、GM-CSFまたはその機能的ホモログを投与される、請求項14の方法。
【請求項22】
対象とは哺乳動物である、請求項1の方法。
【請求項23】
哺乳動物とはヒトである、請求項22の方法。
【請求項24】
ヒトとは、12歳よりも年齢が若い子供である、請求項23の方法。
【請求項25】
ヒトとは、12歳よりも年齢が高い成人である、請求項23の方法。

【公表番号】特表2010−508365(P2010−508365A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535569(P2009−535569)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/DK2007/050161
【国際公開番号】WO2008/052567
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(507421407)
【氏名又は名称原語表記】Drugrecure ApS
【Fターム(参考)】