説明

顔のリフトアップマッサージ方法

【課題】 痛みを感じることなく、また、特別なテクニックを要せずに、誰でも簡単に実施できる顔のリフトアップマッサージ方法を提供すること。
【解決手段】 フェイスブラシを用いた顔のリフトアップマッサージ方法であって、次の各マッサージ(1)〜(3)
(1)鼻筋から、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋へと筋肉に直交してマ
ッサージを行う頬のマッサージ、
(2)眼輪筋および眉毛下制筋に沿ったマッサージを行う目の周りのマッサージ、
(3)後頭前頭筋に直交するマッサージを行う額のマッサージ
を少なくとも1回行うことを特徴とする顔のリフトアップマッサージ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔のリフトアップマッサージ方法に関し、更に詳細には、フェイスブラシを用い、効率的に顔の皮膚をリフトマッサージすることのできる、顔のリフトアップマッサージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔の皮膚には、加齢と共にたるみやシワの発生が認められるようになるが、女性にとってはこのようなたるみやシワをなくし、若いときと同様な皮膚を維持するということは、永遠の願望である。
【0003】
従来、マッサージ法により、顔の皮膚のたるみやシワをなくす手段として、種々のマッサージ方法が提唱されている。しかしながら、これらの方法は、顔筋を強くマッサージするため痛かったり、また、正しい力で目的の顔筋をマッサージする必要があるため、施術方法が難しく、テクニックを要するという問題があった。
【0004】
一方、顔面皮膚を回復させるために特定のマッサージクリームを利用して顔筋をのばす方向にマッサージする方法(特許文献1)や目元化粧料の効果を高めるための施術方法(特許文献2)、あるいは、所定の順序のマッサージにより、より魅力的な笑顔を作る方法(特許文献3)も知られている。
【0005】
更に、刷毛によるマッサージと液状化粧料の塗布により、化粧とエステティックを同時に行う方法(特許文献4)も知られている。
【0006】
しかしながら、これらの方法は、顔のリフトアップマッサージという観点ではまだ不十分な部分もあり、だれでも簡単に実施可能な顔のリフトアップマッサージ方法の提供が求められている。
【特許文献1】特開2005−314329号公報
【特許文献2】特開2002−45231号公報
【特許文献3】特開2008−6132号公報
【特許文献4】特開2001−104042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した顔のリフトアップマッサージを、痛みを感じることなく、また、特別なテクニックを要せずに、誰でも簡単に実施できることが求められており、このような方法の提供が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、顔の筋肉の配置や、血管、リンパ腺等の位置などを考慮した上で、有効な顔のリフトアップマッサージ法を確立すべく、鋭意検討を行った結果、フェイスブラシを用い、特定の順序、方向で顔の表面をマッサージすることにより、高いリフトアップ効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、フェイスブラシを用いた顔のリフトアップマッサージ方法であって、次の各マッサージ(1)〜(3)
(1)鼻筋から、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋へと筋肉に直交してマ
ッサージを行う頬のマッサージ、
(2)眼輪筋および眉毛下制筋に沿ったマッサージを行う目の周りのマッサージ、
(3)後頭前頭筋に直交するマッサージを行う額のマッサージ
を少なくとも1回行うことを特徴とする顔のリフトアップマッサージ方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明方法によれば、だれでも簡単に、痛みを感じることなく、顔のリフトアップマッサージを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の顔のリフトアップマッサージ方法においては、フェイスブラシを用いる。このフェイスブラシとしては、一般に提供されているものであっても良いが、ブラシ全長(毛束、留め具および柄(持ち手)が70mm以上であることが好ましい。このような大きさであると施術者の手の大きさに合い、施術し易い。
【0012】
一方、ブラシの毛束は、十分なマッサージ効果が得られるよう接触面積がある程度確保できる毛量(太さ、幅、長さ、厚み)であり、ある程度のコシがあることが必要である。
【0013】
上記フェイスブラシの毛束留め具から出ている毛束の長さ、すなわち毛丈は、20〜55mm程度が好ましく、毛束留め具の根元厚(毛束根元の厚み)は、5〜25mm程度、毛束留め具の根元幅(毛束根元の横幅)は、20〜40mm程度であることがそれぞれ好ましい。
【0014】
また、フェイスブラシの材料(毛質)も特に制約されるものではないが、山羊、リス、イタチ類、馬、ムジナ等の動物の毛や、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート等の合成繊維が好ましく、特に、山羊およびリスの毛が好ましい。
【0015】
上記のブラシ毛束におけるコシは、例えば、下記方法により測定した屈曲回復率として、60%以上90%以下であることが好ましい。ちなみに、通常のポリエチレンの屈曲回復率は44%であるのに対し、ポリブチレンテレフタレート及びポリヘキシレンテレフタレートの屈曲回復率は67〜69%である。
【0016】
[ 屈曲回復率の測定方法 ]
長さ2cmの繊維を紙に固定し、これを中央で折り曲げた状態で、その上から300gの荷重をかけ、3分間放置した後、荷重を取り除き、紙から繊維をはずして10分間放置した時の開き角度のもとの状態に対する割合を屈曲回復率とする。
【0017】
このフェイスブラシの形状は、特に制約はないが、好ましいものとしては、平筆であって、先端がやや斜めにカットされた形状、例えば足ヒレ状、フライ返し状ともいいうるような形状のものを挙げることができる。
【0018】
更にまた、フェイスブラシの柄(持ち手)は、棒状、卵型(紡錘状)、平板状等何れの形状であっても良く、その長さは、留め具も含め、40mm以上であることが好ましく、太さも、その断面が円形の場合は直径10mm以上、その他の形状の場合は厚さ(長径)10mm以上であり、不定形の場合は最も太い部分の長さが10mm以上であることが好ましい。
【0019】
上記のフェイスブラシを用いる顔のリフトアップマッサージは、基本的に、
(1)鼻筋から、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋へと筋肉に直交してマ
ッサージを行う頬のマッサージ、
(2)眼輪筋および眉毛下制筋に沿ったマッサージを行う目の周りのマッサージ、
(3)後頭前頭筋に直交するマッサージを行う額のマッサージ
を少なくとも1回行うことが必要である。
【0020】
具体的に、マッサージを行う方向を示す図1(但し、右半面しか示していない)に基づき説明を行う。なお、参考のため、顔面に存在する筋の名称を、図2で示す。(1)の頬のマッサージは、まず、図1に、(1)で示したような、鼻筋から上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋(小鼻横の筋)、小頬骨筋および大頬骨筋(耳と口を結ぶ筋)と直交する方向のマッサージの組み合わせである。このマッサージでは、フェイスブラシを弱い力、具体的には、ブラシがしなる程度の程度の力加減で、顔の中心から左右外側下方に向かってマッサージしていくことが好ましい。
【0021】
また、(2)の目の周りのマッサージは、図1の(2)で示すような、眼輪筋(目の周りの筋)に沿ったマッサージおよび眉毛下制筋(眼輪筋と鼻根筋の間に存在する筋)に沿ったマッサージの組み合わせである。このうち、眼輪筋のマッサージは、眼輪筋に沿って、目の上側の部分は、顔の中心から外に向かって、目の下側の部分は、顔の中心に戻るよう行うことが好ましく、眉毛下制筋は、これに沿って顔の中心から外側に向かってマッサージすることが好ましい。なお、目に周りのマッサージにおける、フェイスブラシのタッチは、頬のマッサージ(1)と同様とすることが好ましい。
【0022】
更に、(3)の額のマッサージは、図1の(3)で示すように、後頭前頭筋(額部にある上下方向の筋)を、その筋方向に直交するように行われ、顔の中心部から外側部へ、横方向にマッサージすることが好ましい。このマッサージも、頬のマッサージ(1)と同様のフェイスブラシのタッチで行うことが好ましい。
【0023】
上記の、(1)ないし(3)のマッサージは、各マッサージ回数を、3回づつ位とし、この順序で行うことを基本とする。このマッサージは、1回だけであっても、また繰り返して行ってなっても良いが複数回繰り返し行うことが効果の面からは好ましい。
【0024】
本発明のマッサージの好ましい例の一つとしては、マッサージを、(1)、(2)、(3)、(2)および(1)の順序で1セットとして行う方法を挙げることができる。このように、頬から額へと上がって下がる順番にするのは動作に連続性をもたせるためであるが、このような連続性があると施術しやすく、心地もよい。
【0025】
なお、上記の1セットは、13〜20秒程度で行うことが好ましく、1セット以上の施術で効果があり、2〜3セット行うのがより好ましい。
【0026】
また本発明マッサージの好ましい別の例としては、更に、図1の(4)で示される口周りのマッサージおよび(5)で示される耳の前から首にかけての首のマッサージを組み合わせた方法を挙げることができる。
【0027】
この方法は、例えば、上記のマッサージを、(1)、(2)、(3)、(2)および(1)の順序で1セットとして行う方法を数セット繰り返した後、次の(4)および(5)のマッサージ
(4)頤筋および下唇下制筋のマッサージを行う口の周りのマッサージ
(5)側頭筋から耳の前を通って首の側面(胸鎖乳突筋)にかけてマッサージを行う首
のマッサージ
を行い、マッサージを終了するものである。
【0028】
このように、最後に口の周りのマッサージ(4)および首のマッサージ(5)を加えることにより、顔面外側(脇)を流れるリンパの流れを良好にし、むくみが改善され、リフトアップ効果が高まる。
【0029】
以上のような本発明の顔のリフトアップマッサージにより、皮膚のたるみや、シワをなくしたり、少なくすることができるが、被施術者の顔の大きさや形、肌の状態(たるみ具合、荒れ具合)等により、上で説明したマッサージ順番や、1つの箇所をマッサージする回数を適宜調整することができることは言うまでもない。また、本発明のリフトアップマッサージは、素顔にそのまま行っても良いが、メイキャップの仕上げとして塗布する粉白粉をブラシに含ませて化粧しながら行っても良い。
【実施例】
【0030】
実 施 例 1
リフトアップマッサージ:
(1)ブラシとして、フェイスブラシ(形状:先端が斜めにカットされた平筆形状 材料毛:山羊の毛 毛の長さ:2.5〜4.5cm ブラシ全長(毛、留め具、柄を合わせた長さ)15cm)を用い、顔の左半面のみリフトアップマッサージを行った。
マッサージの順序およびその時間は、次のとおりであった。
【0031】
( マッサージ順序と時間 )
顔の左半分を、(1)→(2)→(3)→(2)→(1)→(4)→(5)の順序で、15秒かけてマッサージを行った(1セット)。このマッサージを2セット実施した。
【0032】
(2)上記(1)のリフトアップマッサージを行った後、図3で示すようにあらかじめマーキングされていた顔面中央線から左右対称位置の測定点の垂直方向(縦)での位置変化を、下記方法で測定した。
【0033】
( 計測方法 )
まず、施術前の状態で、左右対称の測定位置、a〜eと1〜5を決め、マーキングし、この状態で写真を撮る。次いで、顔の左半面のみ所定のマッサージを行い、このマッサージ後に再度顔面の写真を撮り、施術前の写真と比較することにより、マッサージによる施術顔面の変化(顔面皮膚の上昇)を調べる。
【0034】
この結果、非施術部a〜eとこれに対応する施術部1ないし5での各ポイントの位置変化(上昇)は次の通りであった。
aに対する1: 0.54mm
bに対する2: 0.26mm
cに対する3: 0.18mm
dに対する4: 0.33mm
eに対する5: 0.44mm
【0035】
上記結果から明らかなように、本発明のリフトアップマッサージにより、各測定部位の位置が上昇し、リフトアップ効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の顔のリフトアップマッサージ方法でのマッサージの部位および方向を示す図面である。
【図2】顔面に存在する筋の位置および名称を示す図面である。なお、本図は「人体カラーアトラス(新装板)」(株式会社総合医学社発行)より引用した。
【図3】リフトアップマッサージの効果の試験状況を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスブラシを用いた顔のリフトアップマッサージ方法であって、次の各マッサージ(1)〜(3)
(1)鼻筋から、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋へと筋肉に直交してマ
ッサージを行う頬のマッサージ、
(2)眼輪筋および眉毛下制筋に沿ったマッサージを行う目の周りのマッサージ、
(3)後頭前頭筋に直交するマッサージを行う額のマッサージ
を少なくとも1回行うことを特徴とする顔のリフトアップマッサージ方法。
【請求項2】
マッサージを、(1)、(2)、(3)、(2)および(1)の順序で行う、請求項第1項記載の顔のリフトアップマッサージ方法。
【請求項3】
更に、口周りのマッサージおよび耳の前から首にかけてのマッサージを行う、請求項第1項または第2項記載の顔のリフトアップマッサージ方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−297209(P2009−297209A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154182(P2008−154182)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】