説明

顔料およびそれらで生成されたポリマー複合物

複合材料は、ポリマーマトリックスおよびポリマーマトリックス中に分散した顔料を含む。顔料は、アルミナ水和物粒子材料および染料を含む。染料は、アルミナ水和物粒子材料の表面に共有結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してポリマー複合物および顔料に関連する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、着色プラスチックまたは着色ポリマー材料は、プラスチック消費者製品およびポリマー複合構築材料等の種々の用途での使用に望ましい。そうした着色プラスチックおよび着色ポリマー材料は、改善された外観および美的特徴をそれらが生成される対象に提供する。典型的には、着色ポリマー材料を生産するために、顔料または染料がポリマー材料に加えられる。
【0003】
しかし、従来の着色ポリマー材料は、色あせ、色落ちし、または見た目が美しくない色の変化を受ける場合がある。従来の染料はポリマー材料から滲出す場合があり、または熱的劣化もしくは紫外電磁線等の照射への曝露で生じる劣化を通して色落ちもしくは脱色する場合がある。滲出しは、ハロゲン化ポリオレフィン中で混合される染料にとって特有の問題である。したがって、そうした染料を含むポリマー材料は、色の堅牢度が不充分な場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、ポリマー材料を有する従来の顔料の分散は難しい。不充分な分散は、着色ポリマー材料の渦巻きおよび色のばらつきとなる。さらに、プラスチック物品中での顔料の分散は、望ましくない機械的特性をもたらす場合がある。したがって、典型的にはポリマー材料内で顔料を分散させるために相溶剤が使用される。そうした相溶剤は、顔料を分散させる助けをする種々の有機化合物を含む。さらに、顔料は、高せん断の機械的な工程を使用して分散される。しかし、相溶剤は一般的には高価であり、そしてまた着色ポリマー材料の機械的な特性に影響する場合がある。
【0005】
従って、業界内では、改善された堅牢度、安定性、ならびに漂白および色の浸出に対して耐性を有する顔料およびプラスチックを提供することへの要求が絶えずある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の態様では、顔料は、アルミナ水和物粒子材料および染料を含む。染料は、アルミナ水和物粒子材料の表面に共有結合している。
【0007】
別の例示的態様では、複合材料は、ポリマーマトリックスおよびポリマーマトリックス中に分散した顔料を含む。顔料は、アルミナ水和物粒子材料および染料を含む。染料は、アルミナ水和物粒子材料の表面に共有結合している。
【0008】
さらなる例示的態様では、複合材料は、顔料を取り込んだポリマーマトリックスを含む。顔料は、ベーマイト粒子材料の表面に、共有結合したトリアジン染料を含む。ベーマイト粒子材料は、約250m2/g以下の比表面積を有し、そして約1000nm以下の平均粒径を有する。
【0009】
さらなる態様では、顔料を生成させる方法は、顔料スラリーを生成させるためにアルミナ水和物粒子材料を含むスラリーを用意すること、そして染料およびスラリーを加えることを含む。染料は、アルミナ水和物粒子材料の表面基との共有結合を促進するように構成された官能基を含む。
【0010】
さらなる態様では、複合材料を生成させる方法は、ポリマー混合物を生成させるために顔料とポリマーとを混合することを含む。顔料は、アルミナ水和物粒子材料およびアルミナ水和物粒子材料の表面基に共有結合した染料を含む。該方法はまた、複合材料を生成させるために、ポリマー混合物を溶融することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
特定の態様では、複合材料は、ポリマーマトリックスおよび顔料で生成される。顔料は、アルミナ水和物粒子の表面に共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子を含む。例えば、染料は、水素の代わりにアルミナ水和物粒子のヒドロキシル表面基の酸素に共有結合していてもよい。例示的な態様では、ポリマーマトリックスは、ポリオレフィンまたはハロゲン化ポリオレフィンで形成される。
【0012】
別の例示的な態様では、顔料を生成させる方法は、アルミナ水和物粒子材料を含むスラリーを調製することを含む。該方法は、顔料スラリーを生成させるために、さらに染料をスラリーに加えることを含む。染料は、アルミナ水和物粒子材料の表面上にヒドロキシル基を有する等の、アルミナ水和物粒子材料との共有結合を促進するように構成された官能基を有する。一旦生成されると、顔料を生産するために、顔料スラリーは、乾燥されそして粉砕される。特定の態様では、顔料は、複合材料を生成するために、熱可塑性ポリマー等のポリマー材料と混合され、そして押し出されまたは溶融混合されてもよい。
【0013】
例示的な態様では、複合材料は、ポリマーマトリックスおよびポリマーマトリックス中に分散した顔料を含む。ポリマーマトリックスは、熱可塑性ポリマー材料または熱硬化性ポリマー材料で形成されていてもよい。例として、ポリマーマトリックスは、ポリオレフィンまたはハロゲン化ポリオレフィン等の熱可塑性ポリマーで形成される。例えば、熱可塑性ポリマーは、エチレン、プロピレン、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のモノマーで形成されたポリマー、ポリマー混合物、もしくはコポリマーまたはそれらの組み合わせを含んでもよい。したがって、熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリビニリデンクロライド(PVDC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。さらなる例示的態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリブチルアクリレート(PBA)等のポリアクリレート;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;またはセルロースのエステルもしくはセルロースのナイトレートを含むセルロース、を含むポリマー、ポリマー混合物、またはコポリマーを含んでもよい。さらなる例では、熱可塑性ポリマーは、エチルビニルアセテート(EVA)、エチルビニルアルコール(EVOH)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むポリマー、ポリマー混合物、またはコポリマーであってもよい。
【0014】
あるいは、ポリマーマトリックスは、熱硬化性ポリマーで形成されていてもよい。例えば、ポリマーマトリックスは、エポキシ、フェノール樹脂、メラミン、フラン、尿素ホルムアルデヒド、ポリウレタン、シリコーン、ビニルエステル、または不飽和ポリエステル樹脂等のポリマーで形成されていてもよい。
【0015】
例示的な態様では、複合材料は、ポリマーマトリックス中に分散した顔料を含む。顔料は、アルミナ水和物粒子の表面に共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料を含む。
【0016】
一般的に、アルミナ水和物粒子材料は、次式に従う水和アルミナを含む:Al(OH)ab(式中、0<a≦3およびb=(3−a)/2である)。一般的に、アルミナ水和物粒子材料は、重量で、約15%〜約38%の含水量等の約1%〜約38重量%の含水量を有する。特定の態様では、アルミナ水和物粒子材料には、非アルミナセラミック材料がなく、そして特にシリカおよびアルミノシリケート材料がない。一例として、a=0の場合、式はアルミナ(Al23)に相当する。
【0017】
アルミナ水和物粒子材料は、ギブサイト、バイヤライト、またはボーキサイトとして通常公知の鉱物性形態で、ATH(アルミニウムトリ水酸化物)等の水酸化アルミニウムを含むことができ、またはベーマイトとも呼ばれるアルミナモノ水和物を含むことができる。そうした鉱物性形態の水酸化アルミニウムは、顔料の生成に有用なアルミナ水和物粒子材料を生成でき、または種のある熱水処理中等でさらに処理するためにアルミニウム前駆体として使用でき、下記に更に詳細を記載する。
【0018】
態様によれば、アルミナ水和物粒子は、最長寸法の、該最長寸法に垂直な2番目の最長寸法に対する比として規定された、一般的に少なくとも約2:1、そして、特に、少なくとも約4:1、または少なくとも約6:1等の、少なくとも約3:1のアスペクト比を有する。特定の態様は、少なくとも約8:1、少なくとも約10:1、そして、特定の例では、少なくとも約14:1等の比較的細長い粒子を有する。
【0019】
アルミナ水和物粒子のモルホロジーに特に関連して、針形、楕円形、および小平板形粒子等の異なるモルホロジーが有用である。例えば、針形のモルホロジーを有する粒子は、2番目の最長寸法の、1番目且つ2番目の最長寸法に垂直な3番目の最長寸法に対する比、として規定された第2アスペクト比を参照して、さらに特徴付けてもよい。針形粒子の第2アスペクト比は、一般的に約3:1以下、典型的には約2:1以下、または約1.5:1以下、およびしばしば約1:1である。第2アスペクト比は、一般的に最長寸法に垂直な平面内の粒子の断面形状を記述する。アスペクト比の語は、最長寸法の、2番目の最長寸法に対する比、を意味するために、本明細書中で使用されるので、第1アスペクト比とも呼ばれてもよいことに注意する。
【0020】
別の態様によれば、アルミナ水和物粒子は、一般的に針形粒子に関連した上記の第1アスペクト比を有する細長い構造の平板または小平板形粒子であることができる。しかし、小平板形粒子は、一般的に反対の主表面を有し、該反対の主表面は、一般的に平面で且つ一般的に互いに平行である。さらに、小平板形粒子は、少なくとも約6:1、または少なくとも約10:1等の一般的に少なくとも約3:1の、針形粒子のアスペクト比より大きい第2アスペクト比を有することに特徴があってもよい。典型的には、反対の主表面または面に垂直な最短寸法または稜寸法は、一般的に約40ナノメートル未満、または約30ナノメートル未満等、50ナノメートル未満である。
【0021】
別の態様によれば、アルミナ水和物粒子は、一般的に針形粒子に関連して、上記の第1アスペクト比を有する細長い構造の楕円形粒子であることができる。さらに、楕円形の粒子は、約2:1以下、約1.5:1以下、または約1:1の第2アスペクト比を有することに特徴があってもよい。
【0022】
アルミナ水和物粒子材料のモルホロジーは、粒径、そしてさらに特に平均粒径に関して、さらに規定されてもよい。本明細書中で使用される場合、"平均粒径"は、粒子の最長寸法の平均を意味するために使用される。一般的に、平均粒径は、約75ナノメートル〜約1000ナノメートル等の約1000ナノメートル以下である。例えば、平均粒径は、約800ナノメートル以下、約500ナノメートル以下、または約300ナノメートル以下であってもよい。微粒子材料に照らして、態様では、225ナノメートル以下等の250ナノメートル以下の粒径を有する。ある態様の工程の制約により、最小の平均粒径は、一般的に少なくとも約100ナノメートル、または少なくとも約135ナノメートル等の少なくとも約75ナノメートルである。
【0023】
特性決定法は、一般的に粒子が球状または球状に近いという前提に基づくので、従来の特性決定法は、粒子の細長いモルホロジーのために平均粒径を測定するためには一般的に不充分である。従って、複数の代表的なサンプルをとり、そして代表的なサンプル中に見いだされた粒径を物理的に測定することによって平均粒径が決定された。そうしたサンプルは、走査電子顕微鏡(SEM)による等の種々の特性決定法によって取られてもよい。平均粒径の語はまた、分散形態または凝集形態のいずれかで、個々に特定可能な粒子に関連する一次粒径を意味する。もちろん、凝集体は平均粒径より比較的大きい粒径を有し、そして本開示は凝集体の大きさを調べることに焦点を当てていない。
【0024】
アルミナ水和物粒子材料のアスペクト比および平均粒径に加えて、粒子材料のモルホロジーは、比表面積に関してさらに特徴付けられてもよい。本明細書中において、粒子材料の比表面積は、通常使用できるBET技術によって測定可能な比表面積に関する。本明細書中の態様について、アルミナ水和物粒子材料は、一般的に約20m2/g,30m2/g超、または約40m2/g超等の約10m2/g超の比表面積を有する。比表面積は、粒径および粒子モルホロジーの関数であるので、一般的に態様での比表面積は約200m2/g以下または約100m2/g以下等の約250m2/g以下である。特に、表面積は、約50m2/g〜250m2/gであってもよい。例示的な態様では、針形のアルミナ水和物粒子は、約100m2/g〜約250m2/gの比表面積を有する。別の例示的な態様では、小平板形のアルミナ水和物粒子は、約50m2/g〜約98m2/gの比表面積を有する。
【0025】
特定の態様では、一般式Al(OH)ab(式中、0<a≦3およびb=(3−a)/2)でaがほぼ1の場合、アルミナ水和物材料はベーマイトに相当する。さらに一般的に、"ベーマイト"の語は、典型的には15%のオーダーの含水量を有するAl23・H2Oであり、そして20〜38重量%等の15%超の含水量を有する擬ベーマイト(pseudoboehmite)である鉱物性ベーマイトを含むアルミナ水和物を意味するために、本明細書中で使用される。したがって、"ベーマイト"の語は、重量で、15%〜30%の含水量等の15%〜38%の含水量を有するアルミナ水和物を意味するために使用されるであろう。(擬ベーマイトを含む)ベーマイトは、特別なそして特定可能な結晶構造、従って独自のX線回折パターンを有し、したがって、他の水和したアルミナを含む他のアルミニウム材料と区別されることに注意する。ベーマイトは、望ましいモルホロジーおよび粒子特徴を提供するために、種のある処理経路を通してアルミニウム前駆体等のアルミニウム鉱物を処理することによって得ることができる。
【0026】
ある態様によって、ベーマイト粒子は、少なくとも約2:1、および特に少なくとも3:1、少なくとも4:1、または少なくとも6:1のアスペクト比を有する。実際、ある態様は、8:1超、10:1超、およびある場合には、14:1超等の比較的細長い粒子を有する。すでに説明したアルミニウム材料のように、ベーマイトは、針形、楕円形、および小平板形粒子等の種々のモルホロジーを有する。
【0027】
ベーマイト粒子材料を製造できる方法の詳細に目を向けると、一般的に楕円、針、または小平板形のベーマイト粒子は、所有者が共通する上記の特許、米国特許第4,797,139号明細書中に一般的に記載された熱水処理によって、ベーマイト前駆体は、典型的にはボーキサイト鉱物を含むアルミニウム材料から生成される。さらに具体的に言うと、ベーマイト粒子材料は、原料からベーマイト粒子材料への転化を起こすために、ベーマイト前駆体とベーマイトの種を懸濁液中で混合させること、懸濁液(またはゾルもしくはスラリー)を熱処理に曝すことによって生成でき、さらに、懸濁液中に提供されたベーマイトの種に影響される場合がある。加熱は、処理の間に高圧が発生するように、一般的に内因的な環境、すなわちオートクレーブ中で行われる。懸濁液のpHは、一般的に7未満または8超の値から選択され、そしてベーマイトの種材料は、約0.5μmより微細な粒径を有する。一般的に、種粒子は、(Al23として計算された)ベーマイト前駆体の約1重量%超の量で存在し、そして加熱が約125℃超、または約130℃超等の約120℃超の温度および内因的に発生した圧力、典型的には約30ポンド/平方インチである圧力で行われる。
【0028】
粒子材料は、比較的低い種のレベルと酸性pHとを組み合わせた幅広い熱水条件で加工でき、1つの軸または2つの軸に沿ったベーマイトの優先的な成長を生じる。より長い熱水処理は、ベーマイト粒子のさらに長く且つより高いアスペクト比および/またはより大きい粒子を生産するために一般的に使用されてもよい。
【0029】
熱水処理による等の熱処理およびベーマイトの転化に続き、液体内容物は、限外ろ過工程を通してまたは残りの液体を蒸発させるための熱処理によって等で一般的に除去された。その後、生じるマス(mass)は一般的に100メッシュ等に粉砕される。本願中に記載された粒径は、ある態様(例えば、凝集された材料であることを要求する製品)のままであることができる凝集体よりむしろ、一般的に処理を通して生成された単独の結晶を記述することに注意する。
【0030】
ベーマイト原料の処理の間に、所望のモルホロジーをもたらすために、幾つかの変数が改変されてもよい。これらの変数は、とりわけ重量比、すなわち、ベーマイト前駆体の、ベーマイトの種に対する比、処理で使用される酸または塩基の詳しいタイプまたは種類(並びに相対的なpHレベル)、および系の(内因的な熱水環境中での圧力に直接比例する)温度を含む。
【0031】
特に、他の変数を一定に保ちながら重量比を改変すると、ベーマイト粒子材料を生成する粒子の形およびサイズが改変される。例えば、2重量%の硝酸溶液中90:10のATH(ATHはベーマイト前駆体の一種である):ベーマイト種の比で、処理が180℃で2時間行われる場合、合成される粒子は一般的に針形粒子である。対照的に、ATH:ベーマイト種の比が80:20の値に減少する場合、粒子はさらに楕円形の形になる。またさらに、比がさらに60:40に減少する場合、粒子は球状に近くなる。従って、最も典型的には、ベーマイト前駆体:ベーマイト種の比は、約70:30超または約80:20超等の約60:40超である。しかし、所望の微粒子モルホロジーを促進させるのに充分な種のレベルを確かにするために、ベーマイト前駆体:ベーマイトの種、の重量比は、一般的に約98:2以下である。先の記載に基づき、重量比の増加は一般的にアスペクト比を増加させる一方で、重量比の減少は、一般的にアスペクト比を減少させる。
【0032】
さらに、他の変数を一定に保ちながら酸または塩基のタイプを改変すると、粒子の形(例えば、アスペクト比)およびサイズが影響される。例えば、処理が、2重量%の硝酸溶液中90:10のATH:ベーマイトの種比で、180℃で2時間行われる場合、合成された粒子は、一般的に針形である。対照的に、酸を1重量%以下の含有量のHClと置き換えると、合成された粒子は一般的に球状に近い。2重量%以上のHClが利用されると、合成された粒子は一般的に針形になる。1重量%のギ酸では、合成された粒子は、小平板形である。さらに、1重量%KOH等の塩基性溶液の使用では、合成された粒子は、小平板形である。1重量%KOHおよび0.7重量%硝酸等の酸及び塩基の混合物が利用される場合、合成された粒子のモルホロジーは、小平板形である。注目すべきは、上記の酸及び塩基の重量%の値は、各固体懸濁液またはスラリーの固体含有量にのみ基づき、そしてスラリーの全重量の、全重量%に基づかないことである。
【0033】
好適な酸および塩基は、硝酸等の鉱酸、ギ酸等の有機酸類、塩酸等のハロゲン酸、ならびに硝酸アルミニウムおよび硫酸マグネシウム等の酸性塩を含む。効果的な塩基は、例えば、アンモニアを含むアミン、水酸化カリウム等のアルカリ性水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ性水酸化物、および塩基性塩を含む。
【0034】
またさらに、他の変数を一定に保ちながら温度を改変すると、典型的には粒径の変化を示す。例えば、処理が、2重量%の硝酸溶液中90:10のATH:ベーマイト種の比で、150℃で2時間行われる場合、XRD(X線回折特徴)から結晶サイズは115オングストロームと見いだされた。しかし、160℃では平均粒径は143オングストロームと見いだされた。従って、温度が上昇するにつれて、粒径と温度との間で直接的な比例関係を示して、粒径もまた増加する。
【0035】
本願中に記載された態様によって、前駆体ベーマイト生成物で所望のモルホロジーを設計するために、比較的強力且つ柔軟なプロセス手順が用いられてもよい。特に重要なのは、種の処理を利用する態様は、所望の微細平均粒径、および制御された粒径分布を生じることができる高度のプロセス制御で、費用効率が高い処理経路となることである。(i)重量比、酸および塩基の種類ならびに温度等の、プロセス手順の中の重要な変数を特定して制御することと、(ii)種に基づく技術との組み合わせは、所望のベーマイト粒子材料モルホロジーの繰り返し可能なそして制御可能な処理を提供し、特に重要である。
【0036】
上記の様に、顔料は、染料に共有結合したアルミナ水和物等の、アルミナ水和物でできている。例示的な態様では、染料は、有機染料である。例えば、染料は、アントラセン染料、アゾ染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、キノリン染料、ポリメチン染料、ヒドラゾン染料、トリアジン染料、ポルフィリン染料、ポルフィラジン染料、硫黄染料、キナクリドン染料、フォルマザン(formazane)染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾメチン染料またはポリオール染料等の有機染料であってもよい。特定の態様では、染料は、それぞれCiba Specialty Chemicalsから入手可能であるCibacron HD200%(赤),PBN−GR(赤),C−2BL(赤),FN−2BL(赤),PB6R−GR150%(茶色),CB(ネイビー)、またはFN−B(ネイビー)等のトリアジン染料を含む。別の態様では、染料はポリオール染料を含む。
【0037】
特定の態様では、染料は、アルミナ水和物との共有結合を促進するように構成された官能基を含む。例えば、官能基は、アルミナ水和物粒子の表面上でヒドロキシル基の酸素と共有結合を形成するために反応を受けることができる。特に、官能基は、水素の代わりにヒドロキシル基の酸素と共有結合を形成する等、アルミナ水和物粒子の表面上で、ヒドロキシル基での求核置換または求核付加を促進できる。例示的官能基は、フッ素、塩素、または臭素等のハロゲン原子を含む。官能基のさらなる例は、スルファトエチルスルホンを含む。さらに例示的官能基は、シラノール、ジルコネート、チタネート、カルボン酸およびエステル、アルデヒド、スルホン酸、またはホスホン酸を含んでもよい。典型的には、官能基は、有機染料の官能環の炭素原子等の、有機染料の炭素原子に付いている。特定の態様では、官能基は、染料のトリアジン環の炭素原子に結合している。
【0038】
粒子の表面上の弱い第2の結合メカニズム、または材料の層間のインターカレーションメカニズムとは対照的に、染料のアルミナ水和物粒子材料の表面への共有結合の証拠が、下に示す表1で具体的に説明される。表1はアルミナ水和物粒子材料(この場合は、ベーマイト)の表面のアルミニウム原子と酸素原子との平均結合エネルギーを具体的に示し、そしてベーマイトおよび染料を含有するサンプルと、これらの結果を比較する。表面アルミニウムと酸素原子との平均結合エネルギーは、オージェ分光法を使用して測定される。表1は、染料添加後のアルミニウム原子の平均結合エネルギーの減衰を示し、そしてアルミナ水和物粒子材料の表面上の酸素原子の平均結合エネルギーの増加を示して、ベーマイト粒子の表面上の染料と酸素原子との間の共有結合を示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1:染料の添加でベーマイトの表面上のAlとO原子との結合エネルギーの変化を示す2つのサンプルのオージェ分光スペクトル。
顔料を生成させるために、染料は粒子アルミナ水和物と反応してもよい。例えば、スラリーは、粒子のアルミナ水和物で生成されていてもよい。スラリーは、水性液体または有機液体を含んでもよい。例示的な態様では、スラリーは、約20重量%以下または約15重量%以下のアルミナ水和物粒子等の約30重量%以下のアルミナ水和物粒子を含む水性スラリーである。さらなる例示的態様では、スラリーは、約5.0以下等の約7.0以下のpHを有する。
【0041】
例示的な方法では、スラリーは、約40℃〜約80℃等の約25℃〜約100℃の範囲に加熱される。アルミナ水和物への共有結合を促進するように構成された官能基を有する染料がスラリーに適用される。例示的な態様では、染料は、スラリーに加えられる染料溶液中に含まれてもよい。特定の例では、染料溶液は、約10重量%以下の染料を含む水溶液である。さらなる例では、染料は、スラリーに加えられる粉末であってもよい。スラリーは、機械的に混合されまたは攪拌されてもよい。
【0042】
一旦顔料が生成されると、顔料は乾燥されてもよい。例えば、顔料は、スプレー乾燥されてもよい。顔料粉末を生成するために、乾燥された顔料は、ボールミル粉砕を通して等で粉砕されてもよい。
【0043】
熱可塑性ポリマーがポリマーマトリックスを形成する場合、複合材料の生成方法は、ポリマー混合物を生成させるために、ポリマーと顔料との乾燥混合を含む。ポリマー混合物は、複合物を生成するために、溶融されてもよい。例えば、ポリマー混合物は押し出されてもよい。あるいは、ポリマー混合物は溶融混合されてもよい。
【0044】
熱硬化性ポリマーがポリマーマトリックスを形成する場合、複合材料の生成方法は、顔料とポリマー前駆体の溶液とを混合させることを含む。例えば、乾燥顔料は、高せん断条件下で溶液と混合されてもよい。さらなる例では、顔料溶液は、ポリマー前駆体溶液と混合されてもよい。
【0045】
例示的な態様では、複合材料は、約2重量%〜約25重量%の顔料を含む。例えば、複合材料は、約5重量%〜約10重量%の顔料を含む。さらに、複合材料は、約70重量%〜約95重量%のポリマー材料等の約60重量%〜約98重量%のポリマー材料を含んでもよい。組成物が重量パーセンテージ等のパーセンテージ中で表される場合、特定成分のパーセンテージの詳細が、組成物内の他の成分のパーセンテージに影響し、そして100%超の全成分の累積パーセンテージには決してならないと理解される。
【0046】
顔料に加えて、複合物はまた、相溶剤、フィラー、抗酸化剤、紫外線吸収剤、可塑剤またはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、複合物は、加工性を改善させるために可塑剤を含んでもよい。さらなる例では、複合物は、耐候性を改善するために抗酸化剤または紫外線吸収剤を含んでもよい。さらなる態様では、複合物は、ポリマー混合物のポリマー間の相溶性を改善するため、または顔料の分散を改善するために、相溶剤を含んでもよい。あるいは、アルミナ水和物粒子に共有結合した染料は、相溶特性を提供してもよい。特定の態様では、アルミナ水和物粒子の等しいまたは高められた分散を示すにもかかわらず、複合物には相溶剤がない。
【0047】
例示的態様によれば、ポリマーマトリックスを含む複合材料およびアルミナ水和物粒子の表面に共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料は、アルミナ水和物粒子材料のないポリマーマトリックスの相対曲げ弾性率と比較して、改善された相対曲げ弾性率を有する。ある態様では、複合物は、アルミナ水和物粒子材料のないポリマーマトリックスの相対曲げ弾性率と比較して、少なくとも8%、少なくとも10%、または少なくとも15%等の少なくとも約5%の改善された相対曲げ弾性率を有する。
【0048】
別の例示的な態様では、ポリマーマトリックスおよび共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料を含む複合材料は、共有結合した染料を有さないアルミナ水和物粒子材料を同量充填したポリマーマトリックスの衝撃強度と比較して、改善された衝撃強度を有する。したがって、ある態様において、ポリマーマトリックスおよび顔料を有する複合物は、共有結合した染料を有さないアルミナ水和物粒子材料を有する複合材料に比較した場合、少なくとも約8%、または少なくとも約10%等の少なくとも約5%の衝撃強度における改善を示す。
【0049】
さらなる例示的態様では、複合材料の相対パーセント結晶化度は、特定の固体充填含有量のアルミナ水和物粒子材料および共有結合した染料を有する複合物において、改善された。ある態様によれば、少なくとも5重量%の固体充填で、共有結合した染料を含むアルミナ水和物粒子材料を有するポリマーマトリックスを有する複合材料は、顔料のないポリマーマトリックスと比較して、相対パーセント結晶化度において少なくとも約5%の増加を有する。別の態様では、相対パーセント結晶化度の増加は、顔料のないポリマーマトリックスと比較して、複合材料では、少なくとも約10%、または少なくとも約11%等の少なくとも約8%である。さらなる態様によれば、約10重量%のアルミナ水和物粒子材料等の、より多い固体充填含有量を有する複合材料は、非複合物ポリマーマトリックスと比較して、相対パーセント結晶化度において少なくとも約7%または少なくとも約10%等の少なくとも約5%の増加を示す。
【0050】
アルミナ水和物粒子の表面に共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料の添加は、より高いT50等の他の改善された特徴を提供する。T50は、熱重量分析においてサンプルがその元のサンプル重量の半分を有する温度である。例示的な態様では、共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料を取り込んだポリマーマトリックスを含有する複合物のT50は、非複合ポリマーマトリックスと比較して、改善される。ある態様によって、共有結合した染料を有するアルミナ水和物粒子材料を取り込んだポリマーマトリックスを含有する複合物は、非複合ポリマーマトリックスと比較して、少なくとも約3%、または少なくとも約10%等の少なくとも約1%の増加したT50を有する。
【実施例】
【0051】
例1.顔料合成
上記の様に処理したベーマイト粒子材料に、アルミナ水和物の粒子物質を提供する。ベーマイトは、針形のモルホロジーを有し、そして約15重量%のベーマイトの固体充填を有するベーマイトゾルを生成するために、水性溶媒に取り込む。ベーマイトゾルのpHは、酸性であり、そして約60℃〜70℃の温度にゾルを加熱し、そして混合する間、約3.0〜4.0の範囲で維持した。
【0052】
400mlの脱イオン水中で0.5グラムのスルファトエチルスルホン官能基を有するトリアジン染料を混合することによって、染料溶液を生成する。染料溶液を約60℃〜70℃の温度に加熱し、そして混合する。
【0053】
顔料ゾルを生成させるために、約2時間、60℃〜70℃の温度で混合を続ける間に、染料溶液を、ベーマイトゾルに加える。混合後、顔料ゾルを冷却し、過剰液体をデカントし、そして顔料粉末を生成するために、顔料ゾルを冷凍乾燥または回転ドラム乾燥のいずれかによって乾燥する。凝集を分散させるために、顔料粉末を次にボールミル中で約2時間粉砕する。
【0054】
例2.複合物
顔料粉末をポリプロピレンポリマーマトリックスと混ぜ合わせる。混ぜ合わせを、400rpmで運転するWerner & Pfleideredによって、30mm,40:1L/D, ZSK−30共回転インターメッシュツイン押出機で行う。区画温度の設定点は、ダイ温度を450華氏度に設定すると、第1の区画の388華氏度から450華氏度まで増加的に増える。例1の方法に従って、粉末形態のポリプロピレンを、針形のベーマイトおよびCIBACROM HD200%から生成できる、赤色染料ベーマイトとプラスチックバッグ内で混合する。混合物をツイン押出機の供給ホッパー内に配置し、そして供給は約20ポンド/時間である。
【0055】
サンプルを、38mm(1.5インチ)の直径および3:1の圧縮比と標準3区画スクリューを備えるVan Dorn120HT機を使用する成形を通して生成する。スクリューの先端に射出中の逆流を減少させるために、チェックリング(check ring)がある。バレルを3つのヒーターバンドによって電気的に加熱し、そしてノズルをヒーターバンドによって加熱する。温度プロファイルは、供給スロートでの380華氏度からノズルでの440華氏度に増加する。
【0056】
鋳型を水で80華氏度に冷却する。クランプ力を約78トンに設定する。約1.7cuinの実際の射出容積に関連する投与サイズは1.1インチである。射出後に、保持圧力は約1000〜1200ポンド/平方インチであり、そして保持時間は約10秒である。
【0057】
図1を参照すると、ポリプロピレンおよび共有結合した染料を有する針形のベーマイトを含む複合物は、ポリプロピレンの相対曲げ弾性率と比較して、改善された相対曲げ弾性率を示す。図1で具体的に説明したように、3重量%の顔料を有する複合物は、顔料のないポリプロピレンと比較して、約15%の相対曲げ弾性率の増加を示し、そして10重量%顔料は、約21%の増加を示す。
【0058】
例示的な態様では、色素性ポリプロピレンは、改善された衝撃強度を示す。例えば、図2を参照すると、ポリプロピレンおよび共有結合した染料を有する種々の固体充填ベーマイトを含む複合物の衝撃強度と、ポリプロピレンおよび共有結合した染料のないベーマイトを含む複合物の衝撃強度とを比較する。図2で具体的に説明したように、染料を取り込んだそれぞれの複合物は、共有結合した染料のない同量の固体充填ベーマイトのサンプルに対し、改善された衝撃強度を示す。
【0059】
特定の態様では、ポリプロピレンおよび顔料を含む複合物は、増加した相対パーセント結晶化度を示す。図3を参照すると、ポリプロピレンの相対パーセント結晶化度と、ポリプロピレンおよび共有結合した染料を有する種々の充填パーセンテージのベーマイトを含む複合物の相対パーセント結晶化度とを比較する。図3で具体的に説明したように、非複合物ポリプロピレンサンプルに比較した場合、5重量%のベーマイトおよび共有結合した染料を有する複合材料は、約11%の相対パーセント結晶化度での増加を示し、そして共有結合した染料を有する10重量%のベーマイトを含有する複合物サンプルは、約9%の相対パーセント結晶化度の増加を示す。
【0060】
図4を参照すると、ポリプロピレンのT50を、ポリプロピレンおよび顔料を含む複合物のT50と比較する。図4で具体的に説明したように、3.0重量%の顔料を有する複合材料は、非複合物ポリプロピレンサンプルと比較して、1.29%のT50の増加を示す。非複合物ポリプロピレンサンプルに比較した場合、5.0重量%の顔料を含む複合物サンプルは、3.22%のT50の増加を示し、そして10.0重量%の顔料を含むサンプルは、10.9%の測定されたT50の増加を示す。
【0061】
本発明の形態は、より高い硬度を必要とする用途、および/またはフッ素化ポリマーの溶融処理等の高温プロセスを含む用途において等の、広範な用途においてベーマイト粒子材料の利用を可能にする。難燃性、UV保護、耐候性、化学的抵抗、熱的伝導度、および電気抵抗の特性は、本顔料を有用な工業材料にする。他の使用は、紙への添加物として、インクジェット印刷でのインク吸収剤として、ろ過媒体として、または電子産業中で使用される化学的機械的な研磨に要求される研磨剤としての実施を含む。
【0062】
具体的な実施形態に照らして本発明が具体的に説明されおよび記載されたが、種々の改変および置換が本発明の範囲を離れることなく行えるので、示された詳細を限定することを目的とするわけではない。例えば、追加のまたは均等な置換物を提供することが可能であるし、そして追加のまたは均等な生産ステップを用いることが可能である。したがって、さらに本明細書中に開示された本発明の改変および均等が、只のルーチン実験を使用して当業者に可能である、そして全てのそうした改変および均等物は、以下の請求項に規定される本発明の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本開示は、よりよく理解でき、そしてその多数の特徴および利点が添付図面を参照することで、当業者に明らかにされる。
【図1】図1は、例示的ポリマー複合物の相対曲げ弾性率、衝撃強度、相対パーセント結晶化度、およびT50等の材料特性の具体的な説明を含む。
【図2】図2は、例示的ポリマー複合物の相対曲げ弾性率、衝撃強度、相対パーセント結晶化度、およびT50等の材料特性の具体的な説明を含む。
【図3】図3は、例示的ポリマー複合物の相対曲げ弾性率、衝撃強度、相対パーセント結晶化度、およびT50等の材料特性の具体的な説明を含む。
【図4】図4は、例示的ポリマー複合物の相対曲げ弾性率、衝撃強度、相対パーセント結晶化度、およびT50等の材料特性の具体的な説明を含む。
【0064】
異なる図中における同一の参照記号の使用は、類似のまたは同一の項目を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料がアルミナ水和物粒子材料の表面に共有結合している、アルミナ水和物粒子材料および染料を含む顔料。
【請求項2】
該アルミナ水和物粒子材料が、Al(OH)ab、式中0<a≦3およびb=(3−a)/2の一般組成を有する、請求項1の顔料。
【請求項3】
該アルミナ水和物粒子材料が、重量で1%〜38%の含水量を含む、請求項2の顔料。
【請求項4】
該アルミナ水和物粒子材料が、重量で15%〜38%の含水量を含む、請求項3の顔料。
【請求項5】
該アルミナ水和物粒子材料が、約250m/g以下の比表面積を有する、請求項1の顔料。
【請求項6】
該比表面積が、約200m2/g以下である、請求項5の顔料。
【請求項7】
該比表面積が、約100m2/g以下である、請求項6の顔料。
【請求項8】
該アルミナ水和物粒子材料が、約1000nm以下の最長寸法を有する、請求項1の顔料。
【請求項9】
該最長寸法が、約800nm以下である、請求項8の顔料。
【請求項10】
該最長寸法が、約500nm以下である、請求項9の顔料。
【請求項11】
該アルミナ水和物粒子材料が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する、請求項1の顔料。
【請求項12】
該アスペクト比が、少なくとも約4:1である、請求項11の顔料。
【請求項13】
該アスペクト比が、少なくとも約6:1である、請求項12の顔料。
【請求項14】
該アルミナ水和物粒子材料が、約3:1超の第2アスペクト比を有する小平板形の粒子を含む、請求項1の顔料。
【請求項15】
該アルミナ水和物粒子材料が、約3:1以下の第2アスペクト比を有する針形粒子を含む、請求項1の顔料。
【請求項16】
該アルミナ水和物粒子材料が、約2:1以下の第2アスペクト比を有する楕円形の粒子を含む、請求項1の顔料。
【請求項17】
該染料が、アントラセン染料、アゾ染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、キノリン染料、ポリメチン染料、ヒドラゾン染料、トリアジン染料、ポルフィリン染料、ポルフィラジン染料、硫黄染料、キナクリドン染料、フォルマザン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾメチン染料、およびポリオール染料からなる群から選択される、請求項1の顔料。
【請求項18】
該染料が、トリアジン染料である、請求項17の顔料。
【請求項19】
該アルミナ水和物粒子材料の該表面上のヒドロキシル基の水素の代わりに、該染料が共有結合している、請求項1の顔料。
【請求項20】
ポリマーマトリックスと、
該ポリマーマトリックス中に分散した顔料と、
該顔料はアルミナ水和物粒子材料および染料を含み、該染料が該アルミナ水和物粒子
材料の表面に共有結合している
を含む複合材料。
【請求項21】
該アルミナ水和物粒子材料が、Al(OH)ab、式中0<a≦3およびb=(3−a)/2の一般組成を有する、請求項20の複合材料。
【請求項22】
該アルミナ水和物粒子材料が、1%〜38%の含水量を含む、請求項21の複合材料。
【請求項23】
該アルミナ水和物粒子材料が、約250m2/g以下の比表面積を有する、請求項20の複合材料。
【請求項24】
該アルミナ水和物粒子材料が、約1000nm以下の最長寸法を有する、請求項20の複合材料。
【請求項25】
該最長寸法が、約800nm以下である、請求項24の複合材料。
【請求項26】
該アルミナ水和物粒子材料が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する、請求項20の複合材料。
【請求項27】
該アスペクト比が、少なくとも約4:1である、請求項26の複合材料。
【請求項28】
該アルミナ水和物粒子材料が、小平板形の粒子、針形粒子、および楕円形粒子の1種を主として含む、請求項20の複合材料。
【請求項29】
該染料が、アントラセン染料、アゾ染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、キノリン染料、ポリメチン染料、ヒドラゾン染料、トリアジン染料、ポルフィリン染料、ポルフィラジン染料、硫黄染料、キナクリドン染料、フォルマザン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾメチン染料、およびポリオール染料からなる群から選択される、請求項20の複合材料。
【請求項30】
該染料が、トリアジン染料である、請求項29の複合材料。
【請求項31】
該アルミナ水和物粒子材料の上のヒドロキシル基の水素原子の代わりに、該染料が共有結合している、請求項20の複合材料。
【請求項32】
該複合材料が、該複合材料の全重量に基づいて約2重量%〜約25重量%の該顔料を含む、請求項20の複合材料。
【請求項33】
該複合材料が、該複合材料の全重量に基づいて約5重量%〜約10重量%の該顔料を含む、請求項32の複合材料。
【請求項34】
該ポリマーマトリックスが、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびセルロースからなる群から選択される、請求項20の複合材料。
【請求項35】
該ポリマーマトリックスが、ポリオレフィンおよびハロゲン化ポリオレフィンからなる群から選択される、請求項20の複合材料。
【請求項36】
該ポリマーマトリックスが、ポリプロピレンである、請求項35の複合材料。
【請求項37】
該ポリマーマトリックスが、ポリビニルクロライドである、請求項35の複合材料。
【請求項38】
アルミナ水和物粒子材料のない該ポリマーマトリックスの相対曲げ弾性率と比較して、該複合材料が少なくとも約5%の相対曲げ弾性率の増加を有する、請求項20の複合材料。
【請求項39】
アルミナ水和物粒子材料のない該ポリマーマトリックスの相対曲げ弾性率と比較して、該複合材料が少なくとも約8%の相対曲げ弾性率の増加を有する、請求項38の複合材料。
【請求項40】
該複合材料が、共有結合した染料のないアルミナ水和物粒子材料を同量充填した該複合材料より、少なくとも約5%高い衝撃強度を有する、請求項20の複合材料。
【請求項41】
該複合材料が、共有結合した染料のないアルミナ水和物粒子材料を同量充填した該複合材料より、少なくとも約8%高い衝撃強度を有する、請求項40の複合材料。
【請求項42】
該複合材料が、アルミナ水和物粒子材料のないポリマーマトリックスの該相対パーセント結晶化度と比較して、少なくとも約5重量%のアルミナ水和物粒子材料を有する該複合材料で、少なくとも約5%の相対パーセント結晶化度の増加を有する、請求項20の複合材料。
【請求項43】
該複合材料が、アルミナ水和物粒子材料のない該ポリマーマトリックスより、少なくとも約1%高いT50温度を有する、請求項20の複合材料。
【請求項44】
顔料がベーマイト粒子材料の表面に共有結合したトリアジン染料を含み、該ベーマイト粒子材料が約250m2/g以下の比表面積および約1000nm以下の平均粒径を有する、顔料を取り込んだポリマーマトリックスを含む複合材料。
【請求項45】
該複合材料が、約2重量%〜約25重量%のベーマイト粒子材料を含む、請求項44の複合材料。
【請求項46】
該ベーマイト粒子材料が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する、請求項44の複合材料。
【請求項47】
該アルミナ水和物粒子材料の表面上のヒドロキシル基の水素原子の代わりに、該トリアジン染料が共有結合している、請求項44の複合材料。
【請求項48】
該ポリマーマトリックスが、ポリオレフィンおよびハロゲン化ポリオレフィンからなる群から選択される、請求項44の複合材料。
【請求項49】
該複合材料が、アルミナ水和物粒子材料のない該ポリマーマトリックスの相対曲げ弾性率と比較して、少なくとも約5%の相対曲げ弾性率の増加を有する、請求項44の複合材料。
【請求項50】
該複合材料が、共有結合した染料のないアルミナ水和物粒子材料を同量充填した該複合材料より、少なくとも約5%高い衝撃強度を有する、請求項44の複合材料。
【請求項51】
該複合材料が、アルミナ水和物粒子材料のないポリマーマトリックスの該相対パーセント結晶化度と比較して、少なくとも約5重量%アルミナ水和物粒子材料を有する該複合材料で、少なくとも約5%の相対パーセント結晶化度の増加を有する、請求項44の複合材料。
【請求項52】
該複合材料が、アルミナ水和物粒子材料のない該ポリマーマトリックスより、少なくとも約1%高いT50温度を有する、請求項44の複合材料。
【請求項53】
顔料を生成する方法、該方法は、
アルミナ水和物粒子材料を含むスラリーを用意すること;および、
顔料スラリーを生成させるために染料および該スラリーを加えること、
該染料は、該アルミナ水和物粒子材料の表面基との共有結合を促進するように構成さ
れた官能基を含む、
を含んでなる。
【請求項54】
該スラリーを用意することが、水溶液中で約30重量%以下の該アルミナ水和物粒子材料を用意することを含む、請求項53の方法。
【請求項55】
該スラリーを用意することが、水溶液中で約20重量%以下の該アルミナ水和物粒子材料を用意することを含む、請求項54の方法。
【請求項56】
該スラリーを用意することが、水溶液中で約15重量%以下の該アルミナ水和物粒子材料を用意することを含む、請求項55の方法。
【請求項57】
該アルミナ水和物粒子材料が、Al(OH)ab、式中0<a≦3およびb=(3−a)/2の一般組成を有する、請求項53の方法。
【請求項58】
該アルミナ水和物粒子材料が、1%〜38%の含水量を含む、請求項57の方法。
【請求項59】
該アルミナ水和物粒子材料が、約250m2/g以下の比表面積を有する、請求項53の方法。
【請求項60】
該アルミナ水和物粒子材料が、約1000nm以下の粒径を有する、請求項53の方法。
【請求項61】
該アルミナ水和物粒子材料が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する、請求項53の方法。
【請求項62】
該アルミナ水和物粒子材料が、小平板形の粒子、針形粒子、および楕円形の粒子の1種を主として含む、請求項53の方法。
【請求項63】
スラリーを用意することが、約7.0以下のpHを有するスラリーを用意することを含む、請求項53の方法。
【請求項64】
該スラリーが、約5.0以下のpHを有する、請求項63の方法。
【請求項65】
該スラリーを約25℃〜約100℃の温度に加熱することをさらに含む請求項53の方法。
【請求項66】
該スラリーを約40℃〜約80℃温度に加熱することをさらに含む請求項65の方法。
【請求項67】
該染料を加えることが該染料溶液を加えることを含み、水溶液中で約10重量%以下の染料の染料溶液を生成させることをさらに含む請求項53の方法。
【請求項68】
該方法が、乾燥した顔料を生成させるために、該色素性スラリーを乾燥させることをさらに含む、請求項53の方法。
【請求項69】
該方法が、粉砕された顔料を生成させるために、該乾燥した顔料を粉砕することをさらに含む、請求項68の方法。
【請求項70】
該方法が、該粉砕された顔料をポリマーマトリックスに加えることをさらに含む、請求項69の方法。
【請求項71】
該染料が、トリアジン染料である、請求項53の方法。
【請求項72】
該官能基が、ハロゲン官能基を含む、請求項53の方法。
【請求項73】
該染料が、スルファトエチルスルホン官能基を含む、請求項53の方法。
【請求項74】
共有結合を促進することが、求核置換を促進することを含む、請求項53の方法。
【請求項75】
共有結合を促進することが、求核付加を促進することを含む、請求項53の方法。
【請求項76】
複合材料を生成する方法、該方法は、
ポリマー混合物を生成させるために、顔料とポリマーとを混合することと、
該顔料は、アルミナ水和物粒子材料および該アルミナ水和物粒子材料の表面基に共有
結合で結合した染料を含む、
該複合材料を生成させるために該ポリマー混合物を溶融することと、
を含んで成る。
【請求項77】
該顔料が約2重量%〜約25重量%の該ポリマー混合物を生成する、請求項76の方法。
【請求項78】
該アルミナ水和物粒子材料が、ベーマイトを含む、請求項77の方法。
【請求項79】
該アルミナ水和物粒子材料が、約250m2/g以下の比表面積を有する、請求項76の方法。
【請求項80】
該アルミナ水和物粒子材料が、約1000nm以下の粒径を有する、請求項76の方法。
【請求項81】
該アルミナ水和物粒子材料が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する、請求項76の方法。
【請求項82】
該ポリマー混合物を溶融することが、該ポリマー混合物を押し出すことを含む、請求項76の方法。
【請求項83】
該染料が、トリアジン染料を含む、請求項76の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−515031(P2009−515031A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540138(P2008−540138)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/043401
【国際公開番号】WO2007/056404
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】