説明

顔料分散剤の製造方法

【目的】 各種塗料用ビヒクルに相溶性が高く、寒冷地、冬季においてもペイント中で分散剤が結晶化する事がなく、塗膜外観に影響を与えず、かつ金属面との密着性も損なわなうことのない、分散性能に優れた構造の顔料分散剤を開発する。
【構成】 (a)下記式(I)R1−OH (I)《式中のR1は炭素数1〜24の直鎖状、分岐状、脂環式、芳香族の炭化水素基等で表される置換基を示す》で表される一級のアルコール成分とラクトン化合物とヒドロキシカルボン酸から誘導される末端にヒドロキシル基を有するポリエステルと1分子中にイソシアネート基を2以上有するイソシアネート化合物との反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物および(b)数平均分子量100〜20000のポリアミン化合物を反応させることを特徴とする顔料分散剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料、インキ製造の際に顔料の分散性を向上させる分散剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗料、インキの製造において顔料の分散性を向上させ、塗料等の貯蔵安定性、色分かれの防止、塗膜の光沢をあげる目的で種々の分散剤が使用されている。
【0003】このような目的のために、ポリアミン化合物とポリエステル、あるいはアクリル樹脂を結合させた構造の分散剤が特開昭61−174939、あるいは特開昭63−197529、特開昭54−37082、特開昭48−79178に報告されているものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような分散剤のポリエステルの部分は顔料の周囲に有効なバリアー層を形成するためある程度の分子量が必要であるが、特開昭61−174939、特開昭63−197529に記載の長鎖カルボン酸でカプロラクトンのようなラクトン類を開環重合させたポリエステル鎖を有する分散剤は、カプロラクトンをカルボン酸で開環重合する際に、設計より高分子量のポリカプロラクトンと未反応のカルボン酸の混合物になってしまう。
【0005】このため、製造された分散剤は結晶性が高く常温では固形状であり作業性が悪く、またこれらを使用してペイント、インキを製造した際、寒冷地あるいは冬季に保存中、分散剤が塗料中で結晶化して塗膜の外観を損なう問題があった。
【0006】特開昭54−37082、特開昭48−79178には、12ーヒドロキシステアリン酸等の長鎖の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を脱脂縮合したポリエステルを使用した分散剤では、各種の顔料にたいして広い分散性能を有するが、高濃度の顔料分散液においては、分散液の流動性や、ペイント、インキの着色力において充分満足な性能をえるに至っていない。さらに、この様な構造の分散剤は、金属に塗工するペイント、インキにおいては塗膜と金属面の密着性を低下させるという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、各種塗料用ビヒクルに相溶性が高く、寒冷地、冬季においてもペイント中で分散剤が結晶化する事がなく、塗膜外観に影響を与えず、かつ金属面との密着性も損なわなう事のない、分散性能に優れた構造の顔料分散剤の製造方法を見いだした。
【0008】すなわち、本発明は「(a)下記式(I)R1−OH ・・・・(I)《式中のR1は炭素数1〜24の直鎖状、分岐状、脂環式、芳香族の炭化水素基あるいはR−(CH2CH2O)− <Rは脂肪族アルキル基、nは1〜3を示す>で表される置換基を示す》で表される一級のアルコール成分と下記式(II)
【化2】


・・・・・(II)《 L およびmは1から10、nは炭素数0から10、R2、R3 は水素、あるいは炭素数1〜4の脂肪族アルキル基》で表されるラクトン化合物およびヒドロキシカルボン酸から誘導される末端にヒドロキシル基を有する数平均分子量100〜10000ポリエステルと1分子中にイソシアネート基(NCO−)を2以上有するイソシアネート化合物との反応により末端にイソシアネート基を有する化合物および(b)数平均分子量100〜20000のポリアミン化合物において、上記(a)と(b)とをモル比1:1〜400:1の比率で反応させることを特徴とする顔料分散剤の製造方法」である。
【0009】本発明における成分(a)は、一級のアルコール成分、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン化合物および多価のイソシアネートからなる成分であり、末端にイソシアネート基を有する。ポリエステル部分は数平均分子量100〜10000である。ポリエステル部分は顔料の周囲に立体的な反撥層を形成する機能を有するが、ポリエステル部分の分子量が100以下では充分な厚みの立体反撥層を形成することができず、また分子量が10000以上となると樹脂や、溶剤への相溶性の点で問題となる。
【0010】一級のアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−オクタノール、2ーエチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の各種脂肪族、脂環式、芳香族アルコールが使用できる。
【0011】ヒドロキシカルボン酸を共重合させることにより、ポリラクトン類の結晶性を低下させ、樹脂、溶剤への相溶性の向上、融点を低下させる機能を持つ。これらヒドロキシカルボン酸としては、2−ヒドロキシプロピオン酸、12ーヒドロキシステアリン酸、等の直鎖状、分岐状のものが使用可能である。
【0012】ラクトン化合物としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類を使用することができる。
【0013】ヒドロキシカルボン酸のラクトン化合物に対する組成比は、モル比でヒドロキシカルボン酸:ラクトン化合物=1:99から60:40で、望ましくは10:90〜30:70の範囲である。1:99以下のヒドロキシカルボン酸含有量では、ヒドロキシカルボン酸を共重合した効果が認められず、60:40以上のヒドロキシカルボン酸を含有する場合には、分散性の低下、塗膜の金属面への密着性の低下等が起き易い。
【0014】一般式(II)において、 L およびmは1から10、nは炭素数0から10、R2、R3 は水素、あるいは炭素数1〜4の脂肪族アルキル基を表し、いずれも使用するラクトン化合物に依存する。
【0015】イソシアネート類は分子中にイソシアネート基を2つ以上有する各種イソシアネートとしてトリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、4,4’ーフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI、およびこれらの3量体(ビューレット結合タイプ、アダクトタイプ、ヌレートタイプ)が使用できる。次に分散剤の製造法について記載する。(a)成分は、一級アルコール、ヒドロキシカルボン酸、およびラクトン類を脱水管、コンデンサーの接続した反応器に仕込み、窒素気流化で脱水重合する事により合成する。エステル化の温度は150℃から220℃、好ましくは、170℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が150℃以下では反応速度がきわめて遅く、220℃以上では、反応物の分解や着色が起こり易い。
【0016】エステル化触媒としてはオクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド等の有機スズ化合物、酸化第一スズ、塩化第一スズ等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート等が使用できる。
【0017】触媒の使用量は0.1PPM〜1000PPM、好ましくは1PPM〜300PPMである。触媒量が1000PPM以上となると、樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。
【0018】逆に、触媒の使用量が1PPM以下になるとポリエステルの重合速度がきわめて遅くなるので好ましくない。また、空気存在化で反応すると着色する傾向があるので、窒素気流下等の不活性雰囲気下で反応させることが望ましい。
【0019】ポリエステル合成終了後、ポリエステルの末端のOHとイソシアネート化合物を反応させる。この場合、イソシアネート化合物は、ポリエステルの末端OHと反応して、イソシアネート化合物分子中のひとつのイソシアネートが残存するのに適当な量を反応させ、イソシアネート基を末端に有する(a)成分のプレポリマーを合成する。
【0020】つぎに(b)成分の数平均分子量100〜20000のポリアルキレンポリアミン化合物を、(a)成分と(b)成分をモル比1:1〜250:1の比率で反応させて目的の顔料分散剤を得る。反応は、(a)成分および(b)成分を脱水管、コンデンサーの接続した反応器に仕込み、ウレタン化反応させる。
【0021】温度は10℃から100℃、好ましくは、30℃〜70℃の範囲で行う。反応温度が10℃以下では反応速度が遅く、70℃以上では、反応が急速に進み易く、着色が起こり易い。反応は無触媒でも進行するが、ウレタン化反応触媒としてはジブチルスズジラウレート等の公知の触媒が使用できる。
【0022】触媒の使用量は0.1PPM〜1000PPM、好ましくは1PPM〜100PPMである。触媒量が1000PPM以上となると、樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。
【0023】反応は、トルエン、キシレン、MIBK等の適当な溶剤に溶解させた状態で行うことができる。これらの溶剤は、反応終了後取り除くこともできるし、そのまま分散剤として使用することもできる。逆に、触媒の使用量が1PPM以下になると触媒の添加効果が認められない。
【0024】(a)成分と(b)成分のモル比が1:1以下では、立体的な反撥層を形成するポリエステル部分の量が少なすぎて、分散剤として充分な性能を発揮する事が出来ない。また、逆に(a)成分と(b)成分のモル比が400:1以上では、ポリエステル部分が多すぎ、残存するアミノ基の量が少なく成りすぎ、この結果、顔料への吸着性能が低下して分散剤として充分な性能を与えない。
【0025】以上の顔料分散剤は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、黄色酸化鉄、べんがら、黄鉛、カーボンブラック、等の無機顔料、フタロシアニン類、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合多環系顔料(スレン系、インジゴ系、ペリレン系、ペリノン系、フタロン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系顔料)等について優れた顔料分散性を有する。
【0026】
【発明の効果】以下に本発明の顔料分散剤を実施例によって説明するが、これらによって本発明は限定されるものではない。なお、例中の部表示はいずれも重量部を示す。
【0027】[実施例1]
<中間体1>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機に2−エチルヘキシルアルコール260部、ε−カプロラクトン1305部、12−ヒドロキシステアリン酸225部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170℃で5時間脱水縮合後、205℃に昇温し、酸価が2KOHmg/g以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価は58.6 KOHmg/gであった。
【0028】<中間体2>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機に2−エチルヘキシルアルコール130部、ε−カプロラクトン1145部、12−ヒドロキシステアリン酸225部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170℃で5時間脱水縮合後、205℃に昇温し、酸価が2KOHmg/g 以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価は38.7 KOHmg/g であった。
【0029】<中間体3>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機に2−エチルヘキシルアルコール130部、ε−カプロラクトン1178部、12−ヒドロキシステアリン酸225部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170℃で5時間脱水縮合後、205℃に昇温し、酸価が2KOHmg/g 以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価は28.3 KOHmg/g であった。
【0030】<中間体4>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機にジエチレングリコールモノブチルエーテル243部、ε−カプロラクトン957部、乳酸300部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170℃で5時間脱水縮合後、205℃に昇温し、酸価が2 KOHmg/g以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価は28.3KOHmg/g であった。
【0031】<中間体5>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機にベンジルアルコール94部、ε−カプロラクトン1106部、乳酸300部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170℃で5時間脱水縮合後、205℃に昇温し、酸価が2 KOHmg/g 以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価が28.3 KOHmg/g であった。
【0032】<分散剤1>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機にTDI100を174部仕込み、ついで反応温度60℃で中間体1を957部仕込み、イソシアネート末端を有するプレポリマーを合成した。ついで、ポリエチテンイミン(日本触媒製sp200)を143部添加し、残存イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を継続した。
【0033】<分散剤2>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機にTDI100を174部仕込み、ついで反応温度60℃で中間体2を1450部仕込み、イソシアネート末端を有するプレポリマーを合成した。ついで、ポリエチテンイミン(日本触媒製sp200)を143部添加し、残存イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を継続した。
【0034】<分散剤3>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2リットル反応機にTDI100を174部仕込み、ついで反応温度60℃で中間体3を1980部仕込み、イソシアネート末端を有するプレポリマーを合成した。ついで、ポリエチテンイミン(日本触媒製sp200)を143部添加し、残存イソシアネートが0.1%以下になるまで反応を継続した。
【0035】<分散剤4>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体1を957部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)143部を使用した。
【0036】<分散剤5>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体1を957部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)286部を使用した。
【0037】<分散剤6>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体2を1450部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)143部を使用した。
【0038】<分散剤7>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体2を1450部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)286部を使用した。
【0039】<分散剤8>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体3を1982部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)286部を使用した。
【0040】<分散剤9>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体4を963.9部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)286部を使用した。
【0041】<分散剤10>分散剤1と同様の合成法であるが、中間体5を1516部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)143部を使用した。
【0042】<分散剤11>12.7部の分散剤1をテトラヒドロフラン100CCに溶解し、ジメチル硫酸2.5部を加え、反応させた。反応終了後、溶媒を除去し分散剤11を得た。
[応用例1]酸化チタン(石原産業製 タイペークCR95:C.I−Pigment White 6)70部、分散剤1 1部、キシレン14.5部,ブチルセロソルブアセテート14.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0043】[応用例2]カーボンブラック(三菱化成 MA−100:C.I−Pigment Black 7)50部、分散剤2 4部、キシレン23部,ブチルセロソルブアセテート23部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0044】[応用例3]フタロシアニンブルー(大日精化工業製 クロモファインブルー4920:C.I−Pigment Blue15:3)45部、分散剤3 4部、キシレン25.5部,ブチルセロソルブアセテート25.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散一時間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0045】[応用例4]フタロシアニングリーン(大日精化工業製 クロモファイングリーン5310:C.I−Pigment Green7)45部、分散剤4 4部、キシレン25.5部,ブチルセロソルブアセテート25.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散一時間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0046】[応用例5]ベンツイミダゾロンイエロー(大日精化工業製 クロモファインイエロー2080:C.I−Pigment Yellow154)30部、分散剤5 2部、キシレン34部,ブチルセロソルブアセテート34部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0047】[応用例6]黄色酸化鉄(チタン工業製 マピコエローLLXLO:C.I−Pigment Yellow42)70部、分散剤6 1部、キシレン14.5部,ブチルセロソルブアセテート14.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0048】[応用例7]べんがら(C.I−Pigment Red 101)70部、分散剤7 2部、キシレン14部,ブチルセロソルブアセテート14部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0049】[応用例8]キナクリドン(大日精化工業製 クロモファインレッド6820:C.I−Pigment Violet19)30部、分散剤8 4部、MIBK33部,ブチルセロソルブアセテート33部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0050】[応用例9]ブリリアントカーミン6B(大日本インキ化学工業製 シムラーブリリアントカーミン6B 236:C.I−Pigment Red 57:1)40部、分散剤9 5部、MIBK27.5部,ブチルセロソルブアセテート27.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0051】[応用例10]ジスアゾイエロー(大日精化工業製 セイカファストイエロー2300:C.I−Pigment Yellow12)30部、分散剤10 4部、MIBK33部,ブチルセロソルブアセテート33部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。
【0052】[応用例11]ブリリアントカーミン6B(大日本インキ化学工業製 シムラーブリリアントカーミン6B 236:C.I−Pigment Red 57:1)40部、分散剤11 5部、MIBK27.5部,ブチルセロソルブアセテート27.5部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめし、1週間経過後も、流動性を示した。[比較例]
<中間体6>コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計を備えた2L反応機に2−エチルヘキシルアルコール130部、カプロラクトンモノマー1370部、テトラブチルチタネート0.15部を仕込み、窒素気流下、170度で残存カプロラクトンが1%以下になるまで反応させた。得られた中間体のポリカプロラクトンOH価が38.5KOHmg/g であった。
【0053】[分散剤12]分散剤1と同様の合成法であるが、中間体6を1457部、イソシアネートとしてIPDIを222部、ポリエチレンイミン(日本触媒sp200)143部を使用した。
【0054】[応用例12]カーボンブラック(三菱化成 MA−100:C.I−Pigment Black 7)50部、分散剤12 4部、キシレン23部,ブチルセロソルブアセテート23部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で分散30分分散させた。分散ペーストは、良好な流動性をしめした。
【0055】[応用例13]応用例1および応用例12で製造した顔料ペーストを、表1に示した配合組成で塗料化し、塗膜作成直後および低温放置(5度、10日間)後の表面光沢度の測定(60度)を行った。
【0056】
表1 組成 塗料配合1 塗料配合2 アルキド樹脂 *1) 38 38 顔料ヘ゜ースト(応用例2) 20 顔料ヘ゜ースト(応用例12) 20 溶剤 キシレン 10.3 10.3 フ゛チルセロソルフ゛ 10.3 10.3 アセテート レベリング剤 *2) 0.4 0.4 メラミン樹脂 *3) 10 10 配合直後グロス 95 90 低温試験後 *4)グロス 94 75 *1) 大日本インキ社製 オイルフリーアルキト゛樹脂 M6005-60*2) モンサント製 レベリング剤 モダフロー*3) 大日本インキ社製 ブチル化メラミン樹脂スパーベッカミンJ820−60*4) 5℃、10日間放置焼付け条件は150度×30分である。
【0057】表1の結果から、ヒドロキシカルボン酸を共重合したポリカプロラクトン鎖を有する顔料分散剤を使用した場合には、低温放置後もグロスの低下が起こらず、塗料調製にきわめて有効であることが分かる。(以下余白)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)下記式(I)R1−OH ・・・・・(I)《式中のR1は炭素数1〜24の直鎖状、分岐状、脂環式、芳香族の炭化水素基あるいはR−(CH2CH2O)− <R は脂肪族アルキル基、nは1〜3を示す>で表される置換基を示す》で表される一級のアルコール成分と下記式(II)
【化1】


・・・・・(II)《 L およびmは1から10、nは炭素数0から10、R2、R3 は水素、あるいは炭素数1〜4の脂肪族アルキル基》で表されるラクトン化合物およびヒドロキシカルボン酸から誘導される末端にヒドロキシル基を有する数平均分子量100〜10000ポリエステルと1分子中にイソシアネート基(NCO−)を2以上有するイソシアネート化合物との反応により末端にイソシアネート基を有する化合物および(b)数平均分子量100〜20000のポリアルキレンポリアミン化合物において、上記(a)と(b)とをモル比1:1〜400:1の比率で反応させることを特徴とする顔料分散剤の製造方法。
【請求項2】 ヒドロキシカルボン酸のポリエステル中の含有量が、0.1重量%〜30重量%である請求項1記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項3】 (b)のポリアミン化合物が、ポリエチレンイミンである請求項1記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項4】 (b)のポリアミン化合物のアミノ基の一部が4級アンモニュウム塩である請求項1記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項5】 ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸、リシノール酸、ひまし油脂肪酸、水添ひまし油脂肪酸、δ−ヒドロキシ吉草酸、ε−ヒドロキシカプロン酸、P−ヒドロキシエチルオキシカルボン酸、2ーヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸、2ーヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、ヒドロキシピバリン酸、11−オキシヘキサデカン酸、2−オキシドデカン酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グリセリン酸、メバロン酸から選ばれるいずれか少なくとも1つである請求項1記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項6】 微細な固体を分散させた有機溶剤系分散液の分散剤として、請求項1記載の分散剤を含有する分散液。
【請求項7】 請求項6に記載の分散液からなる塗料組成物。
【請求項8】 請求項6に記載の分散液からなる印刷インキ。

【公開番号】特開平7−149855
【公開日】平成7年(1995)6月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−297047
【出願日】平成5年(1993)11月26日
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)