説明

顔料分散物の製造方法及び顔料分散物製造装置

【課題】 近年のインクジェット法を用いた印刷に対する高画質化、高速印刷化に対する要求は、従来の顔料分散方法で作られた顔料ではその要求を満たすことが困難であり、(1)均一な小粒径分散、(2)広分散剤選択性、(3)広溶媒選択性、(4)長期分散安定が可能な顔料分散物が求められていた。
【解決手段】 本発明の顔料分散物の製造方法は、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を冷却し溶解した顔料を晶析させる工程と、晶析した顔料を分散剤にて分散する工程を有する顔料分散物の製造方法であって、該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と、冷媒と、分散剤溶液とを各々の供給口を通して外部冷却されたマイクロリアクターの1本の流路内に層流で流通させ、相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により結晶化と分散を段階的に行うことを特徴とする顔料分散物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散物及びその製造方法ならびに顔料分散物製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェト記録方法は、直接記録方法として、コンパクト、低消費電力という大きな特徴がある。また、ノズルの微細化等により急速に高画質化、高速印刷化が進んでいる。
【0003】
インクジェット記録方法は、インクタンクから供給されたインクをノズルから吐出させ、記録媒体に画像を形成させるという方法で、インクタンクから供給されたインクを、ノズル中のヒーターで加熱することで蒸発発泡させノズルからインクを吐出させる方法や、ピエゾ素子を振動させることでノズルからインクを吐出させる方法等がある。
【0004】
インクジェット記録方法に使用されるインクは、通常染料水溶液が用いられるため、色の重ね合わせ時ににじみが生じたり、記録媒体上の記録箇所に紙の繊維方向にフェザリングと言われる現象が現れたりする場合があった。
【0005】
これらを改善する目的で顔料分散インクを使用することが検討されている。例えば特開平4−28776号公報では染料に代わりに顔料を用いたインク、特開平6−136311号公報では、高分子分散剤を用いて顔料を分散安定化させたインクが開示されている。顔料分散インクは、その耐光性や耐水性、定着性が染料の場合に比べて大幅に向上することが確認されている。しかしながら、インクに用いられる顔料は、一般的には市販されている顔料の凝集物をボールミルなどの分散機を用いて機械的に微粉砕する工程により得るため、典型的には、微粉砕工程後の顔料の平均粒径は、約100nm(0.1μm)よりも大きく、さらに、粒度分布が比較的広いもので、80〜180nmである。
【0006】
上記の欠点を改良するものとして、マイクロジェットリアクターを利用した顔料分散方法が知られている。マイクロジェットリアクターを利用した顔料分散方法を用いた顔料分散インクの製造方法として、例えば、特開2002−161218号公報には、粗顔料、凝集安定性液体、液体媒体の懸濁液をリアクターチャンバー内でノズルから噴霧による共衝突にて粗顔料の粉砕と分散を同時に行う方法が開示されている。
【特許文献1】特開平4−28776号公報
【特許文献1】特開平6−136311号公報
【特許文献1】特開2002−161218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら近年のインクジェット法を用いた印刷に対する高画質化、高速印刷化に対する要求は、従来の顔料分散方法で作られた顔料ではその要求を満たすことが困難であり、
(1)均一な小粒径分散
(2)広分散剤選択性
(3)広溶媒選択性
(4)長期分散安定
が可能な顔料分散物が求められていた。
【0008】
本発明は、この様な要求を鑑みてなされたものであり、上記の要求を満たす顔料分散物を製造する方法及び顔料分散物製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の顔料分散物の製造方法は、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を冷却し溶解した顔料を晶析させる工程と、晶析した顔料を分散剤にて分散する工程を有する顔料分散物の製造方法であって、該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と、冷媒と、分散剤溶液とを各々の供給口を通して外部冷却されたマイクロリアクターの1本の流路内に層流で流通させ、相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により結晶化と分散を段階的に行うことを特徴とする顔料分散物の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記の製造方法を用いて製造された顔料分散物である。
【0011】
更に、本発明の顔料分散物製造装置は、亜臨界もしくは超臨界流体中に溶解した顔料を段階的に結晶化と、分散を行う顔料分散剤の製造装置であって、外部冷却手段に覆われたマイクロリアクターの流路の略中心に該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体の入流体口と、該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体の入流体口の周囲に冷媒の入流体口と、該冷媒の入流体口の外側に分散剤溶液の入流体口が設けられ、該流路が該流路内を流れる流体が各々層流をなして相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により混合、反応させる流路であることを特徴とする顔料分散剤の製造装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造法によれば、分散剤の選択範囲が広がり、好適な溶媒、冷媒の組み合わせが可能になり、均一且つ小粒径且つ長期分散安定な顔料分散物を製造することが可能となる。更に、本発明の顔料分散物製造装置を用いることで、均一且つ小粒径且つ長期分散安定な顔料分散物を好適な分散剤や溶媒が選定し、安定して製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
超臨界と呼ばれる領域では、媒体が気相、液相のいずれでもない中間的な状態となって、物理的、化学的に特異な性質を示すことが知られている。超臨界流体とは、臨界圧力以上、かつ臨界温度以上の条件の流体を意味する。また、亜臨界流体とは、臨界温度以上かつ臨界圧力未満あるいは、臨界温度未満かつ臨界圧力以上の状態にある流体を示し臨界点に僅かに達しない温度・圧力の状態にある流体である。
【0014】
本発明は、この超臨界流体あるいは亜臨界流体を用いた、顔料分散物を製造する方法、顔料分散物、および顔料分散物を製造する製造装置を提供するものである。
【0015】
本発明で使用する顔料分散物製造装置に用いるマイクロリアクターは、一本の流路の一端に流体を導入ための複数の入流体口、他端に流体を導出する導出口とから構成され、複数の入流体口は、第一の入流体口が流路の略中央部に形成され、残りの入流体口は、該第一の入流体口の外周囲を取り巻くように順次に形成されている。更に、マイクロリアクターの該周囲に形成された冷却手段を有し、第一の入流体口から導入される亜臨界もしくは超臨界流体と、前記第一の入流体口に接し、前記第一の入流体口の外周囲に形成された第二の入流体口から導入される溶液とから亜臨界もしくは超臨界流体中に溶解した顔料を析出する手段と、析出した顔料を、第二の入流体口に接し、前記第二の入流体口の外周囲に形成された第三の入流体口から導入された分散剤溶液に分散する手段とを有することを特徴とする顔料分散剤の製造装置である。
【0016】
マイクロリアクターを形成する一本の流路に溶液を導入する入流体口は、流路の一端に例えば同心円状に形成されている。流路の略中心に形成された第一の入流体口から顔料が溶解された亜臨界もしくは超臨界流体をマイクロリアクターに導入し、第一の入流体口に接し、第一の入流体口の外周囲に形成された第二の入流体口から冷媒を導入し、第二の入流体口に接し、第二の入流体口の外周囲に形成された第三の入流体口から分散剤溶液を導入すると、マイクロリアクターの流路幅が微小なため、顔料が溶解された亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒および分散剤溶液は乱流にならず略層流を形成する。
【0017】
入流体口は、顔料が溶解された亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒および分散剤溶液がこの順になるような層流状態が形成される配置であれば同心円状以外の配置であっても構わないことは言うまでもない。
【0018】
層流の界面で、温度が高い状態である亜臨界もしくは超臨界流体は、冷媒および外部の冷却手段により冷却される。冷却されることで亜臨界もしくは超臨界流体中に溶解している顔料が析出し、冷媒中を分散し、更に分散剤溶液中に分散される。
【0019】
上述の顔料の溶液からの析出および分散は、流路の中央部から外周部に亜臨界もしくは超臨界流体が分散される過程で順序良く行なわれ、且つ、亜臨界もしくは超臨界流体中で行なわれるために析出した顔料は微小で且つ粒径のそろったものが得られる。この微小で且つ粒径のそろった顔料が分散剤溶液中に分散することで本発明目的である、均一な小粒径分散で且つ、長期分散安定性のある顔料分散剤を得ることができる。
【0020】
更に、本発明の顔料分散剤の製造方法は、顔料を亜臨界もしくは超臨界流体に溶解する工程と、該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と、冷媒と、分散剤溶液とを各々の供給口を介して外部冷却されたマイクロリアクターに流入させる工程と、マイクロリアクターの1本の流路内で前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を前記冷媒に拡散する工程と、マイクロリアクターの冷却手段により前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体が拡散した前記冷媒から顔料を析出する工程と、前記析出した顔料を前記分散剤溶液に分散する工程とを有する顔料分散物の製造方法である。
【0021】
マイクロリアクターの流路幅が微小なため、顔料が溶解された亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒および分散剤溶液は乱流にならず略層流を形成するので、顔料の析出する工程は、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と冷媒との界面で顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体が溶媒中に分散し、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体から顔料を析出させることができる。この析出した顔料を、分散剤溶液に分散する工程は、析出した顔料が、分散剤溶液と冷媒との界面で分散剤溶液中に分散することができる。
【0022】
上記のように、顔料が溶解された亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒および分散剤溶液は、マイクロリアクター中で層流となるが、この層流は、流路方向の法線方向に亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒、分散剤溶液の順の層流であることが好ましい。
【0023】
分散剤溶液にブロック共重合体が含まれることが好ましく、ブロック共重合体は両親媒性であることがより好ましい。
【0024】
本発明で利用するマイクロリアクターを詳細に説明する。マイクロリアクターは、反応や混合を行うために使用される小型の3次元構造体でマイクロ空間での現象を利用したケミカルデバイスである。
【0025】
マイクロリアクターは、マイクロスケールの複数の流路を有する反応や混合装置を一般に総称するものであり、例えば、“Microreactors New Technology for Modern Chemistry”(Wolfgang Ehrfeld、Volker Hessel、Holger Loewe著、WILEY−VCH社 2000年発行)等に詳細に記載されている。
【0026】
次に、本発明に用いたマイクロリアクターを、図面を用いて説明する。
【0027】
図1(a)に示すマイクロリアクター1は、外部の冷却手段2によって冷却されたマイクロリアクター1の流路内に、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体6を第1の入流体口3から、冷媒7を第2の入流体口4から、分散剤溶液8を第3の入流体口5からマイクロリアクター1の流路内に層流で流通させ相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により結晶化と分散を段階的に行う。
【0028】
入流体口は、図1(b)の示すように、流路の略中心に形成された第一の入流体口、第一の入流体口に接し、第一の入流体口の外周囲に形成された第二の入流体口および第二の入流体口に接し、第二の入流体口の外周囲に形成された第三の入流体口から形成されている。
【0029】
図2に示すマイクロリアクター1は、外部の冷却手段2によって冷却されたマイクロリアクター1の流路内に、顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体6を第1の入流体口3から、冷媒7を第2の入流体口4から、マイクロリアクター1に中央部に流路を介して流入させ、分散剤溶液8を該流路とマイクロリアクター1と間隙により形成される第3の入流体口5からマイクロリアクター1の流路内に層流で流通させ相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により結晶化と分散を段階的に行う。
【0030】
図2に示したマイクロリアクター1は、第三の入流体口5がマイクロリアクター1の途中で第一の入流体口3および第二の入流体口4からマイクロリアクター1に導入された顔料を溶解した亜臨界もしくは超臨界流体および冷媒と接することができる。この結果、冷媒中に分散した顔料を溶解した亜臨界もしくは超臨界流体が分散剤溶液と接するので分散剤溶液中に顔料が析出した亜臨界もしくは超臨界流体を分散させることができる。
【0031】
マイクロリアクター1は熱交換が効率的であり、流体の熱容量も小さいため急激な発熱を伴う反応や急速冷却を必要とする反応に好適である。したがって、マイクロリアクター1の流路を外部冷却することにより、流路内を流れる流体を効率的に温度制御することが可能となる。
【0032】
本発明で利用するマイクロリアクター1の流路は流路幅が数μmから数百μmないし数千μmのマイクロスケールであり、寸法が小さく流路内を流れる流体の流速も小さいためレイノルズ数は小さい。よってマイクロスケールの流路内を流れる流体は一般的な反応装置のような乱流支配でなく層流支配となる。層流支配とは、必ずしも完全に層流になっているということを意味するものではなく、通常の場合は層流であるが、部分的に層流が乱れた部分が生じても、乱流のように不秩序な境界で接する流体が完全に交じり合うことはなく層流状態を維持していることを意味し、略層流といっても良い状態である。
【0033】
層流支配下では各々の流体の流れを接触させても界面を通じた拡散が支配的となる。また、マイクロスケール空間では単位体積あたりの表面積が大きいため各流体の層流が接触する界面での拡散混合に非常に有利といわれている。またFickの法則により混合に要する時間は拡散距離の2乗に比例する。よって、分子拡散による混合は流路幅を小さくすればするほど混合時間は速くなる。具体的には流路幅が1/10になれば混合時間は1/100になる。したがって流路幅として10000μm以下であり、好ましくは1000μm以下であり、好ましくは500μm以下である。流路長は各流路幅が小さいほど短くて済む。それは前記Fickの法則より流路幅が小さい程、拡散距離が小さいため、混合に必要な流路長は短くなる。
【0034】
本発明では流路内に層流で流通させ相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により晶析(析出)と分散が段階的に行われる。マイクロスケールの空間では機械的攪拌などを用いなくても分子輸送、反応、分離が分子の自発的挙動だけで速やかに行われる。したがって、マイクロリアクターの層流下の反応では、これまでのマクロな反応装置を用いる場合の乱流下での反応に比べて、一般に反応速度が高まるといわれている。
【0035】
さらに相隣接する流体が常に同じタイミングで接し、層流をなして混合ないし反応が進行していくことにより均一な混合や反応の秩序性を維持することができる。よって顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を冷媒によって冷却し、晶析させる工程をマイクロリアクター内で行えば、流体は瞬時に冷却され多数の核が生じ、それに基づき多数の顔料が成長するため、一次粒径の小さい顔料が形成される。また、反応に秩序性があることにより粒度分布を狭く抑えることができる。
【0036】
また分散もマイクロリアクター内で行うことによって均一な分散が可能になる。ここで層流を図1や2に示すように第一の入流体口3に顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体、第二の入流体口4に冷媒、第三の入流体口5に分散剤溶液というように、流通方向の法線方向に亜臨界もしくは超臨界流体6、冷媒7、分散剤溶液8の順に層流を形成させれば高温の亜臨界もしくは超臨界流体が直接分散剤溶液に触れない。亜臨界もしくは超臨界流体は冷媒で冷却された後に分散剤溶液と接触するため、容易に熱分解してしまう分散剤も使用することが可能となり分散剤の選択性が向上する。またマイクロリアクター1の流路の壁近傍は分散剤溶液がキャリア流体として機能し、晶析した顔料の壁への付着が回避でき、詰まりを防止することができる効果を奏する。
【0037】
また、図4に示すように、第四の入流体口9を設け、必要に応じて、種々の添加剤、助剤等を添加することができる。例えば添加剤、助剤としてpH調整剤、防黴剤、キレート化剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、着色剤等を第四の入流体口から導入してもよい。
【0038】
尚、これらの入流体口は、図1のように同一平面に形成しても良いが、図2のように分散剤溶液を、マイクロリアクターの途中から導入する、あるいは、図4に示すように、添加剤、助剤等をマイクロリアクターの途中から導入するようにすることができ、導入する溶液の性質等を加味して種々変形することができることはいうまでもない。
【0039】
本発明の分散粒子の製造装置を、図3を用いて詳細に説明する。図3に示す分散粒子の製造装置は、溶媒タンク10と溶媒タンク内の溶媒を顔料が入った亜・超臨界反応器13に供給する高圧ポンプ11と、冷媒タンク15と、冷媒タンク15に貯えられた冷媒をマイクロリアクター1に供給するための高圧ポンプ16と、分散剤溶液タンク17と分散剤タンク17に貯えられた分散剤をマイクロリアクター1に供給するための高圧ポンプ18と高圧の印加された亜・超臨界反応器の圧力を所定の圧力に変換するための圧力レギュレーター14とマイクロリアクター1で製造された顔料分散物を回収するための回収器19とから構成されている。
【0040】
本発明で使用する亜臨界もしくは超臨界流体を発生させる装置は顔料粒子が超臨界流体もしくは亜臨界流体と接触して超臨界流体もしくは亜臨界流体中へ溶解する機能を有した装置であればなんら図3に示す装置構成に限定されるものではない。
【0041】
次に、図3の分散粒子の製造装置の動作の説明を行なうが、マイクロリアクター1は、図1で説明したマイクロリアクターを用いて説明する。溶媒タンク10に入っている溶媒は、高圧ポンプ11で、溶媒供給管9を介して、亜・超臨界反応器13に高圧で送液される。溶媒は溶媒供給管9で送液されている途中に、高圧ポンプ11と亜・超臨界反応器13の間に設置されている予熱部(不図示)で所望の温度まで予備加熱される。
【0042】
亜・超臨界反応器13に送液された溶媒は、亜・超臨界反応器の周囲に取り付けられた加熱部(不図示)で、亜臨界もしくは超臨界状態の所望の温度まで加熱され、亜・超臨界反応器の中にあらかじめ入れておかれた顔料を溶解し、この顔料を溶かした流体は入流体口(第一の入流体口3)を介してマイクロリアクター1に送られる。
【0043】
亜・超臨界反応器13内の圧力及び亜臨界もしくは超臨界流体のマイクロリアクター内への供給流量は圧力レギュレーター14で制御される。
【0044】
冷媒は冷媒タンク15から高圧ポンプ16にてマイクロリアクター1の第二の入流体口4に導入され、分散剤溶液は分散剤溶液タンク17から高圧ポンプ16にてマイクロリアクター1の第三の入流体口5から導入される。また、マイクロリアクター1の流出口近傍に背圧弁を設けても良い。これにより背圧弁でマイクロリアクター1内の圧力を所定の圧力に保つことが可能になる。
【0045】
マイクロリアクター1の略中心に設けられた、第一の入流体口3から流入した顔料を溶解した亜臨界もしくは超臨界流体は、第一の入流体口3の外側に設けられた第二の入流体口4からマイクロリアクター1に供給される冷媒とマイクロリアクター内部で接触し、顔料を溶解した溶媒が冷媒中に拡散し、マイクロリアクター1中の冷却手段により冷却され、顔料が昌析する。昌析した顔料は、第二の入流体口4の外側に設けられた第三の入流体口5から供給される分散剤中に分散し顔料が分散した顔料分散物が製造される。
【0046】
マイクロリアクター1の流路内を流れる流体が各々層流をなすように流路や入流体口を設計することにより、この流路を流れる流体は相隣接する相互流体間に開放界面が形成され拡散、移動により混合、反応させることが可能になる。本発明の流路の相当直径が10000μm以下であり、好ましくは1000μm以下であり、好ましくは500μm以下である。
【0047】
本発明のマイクロリアクター1の流路として使用される材料の例を挙げれば、耐熱、耐圧および耐溶剤性の点で好適なのは金属、ガラス、シリコン、テフロン、セラミックスであるが、好ましくは金属である。金属の例としてステンレス、ハステロイ(Ni−Fe系合金)ニッケル、金、白金、タンタル等が挙げられるが本発明に用いるマイクロリアクター1の流路の金属材料はこれらに限定するものでない。また、流路の耐食性や所望の表面エネルギーを得るために流路表面にライニング加工を施したものを用いてもよい。
【0048】
本発明では超臨界流体として一般に良く知られている、水、二酸化炭素、アンモニア、アセトンやメタノール、エタノールなどのアルコール類、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類などが使用できる。
【0049】
例えば、水の場合374℃以上かつ22MPa以上、アセトンは235℃以上かつ4.7MPa以上、メタノールは240℃以上かつ7.9MPa以上、エタノールは243℃以上かつ6.3MPa以上、二酸化炭素は31℃以上かつ7.3MPa以上で超臨界状態となる。このような超臨界流体は、各種物質を溶解させることが知られているが本発明に用いる亜臨界もしくは超臨界流体はこれらに限定するものでない。これらは単独もしくはいくつか組み合わせて用いることができる。また、ここで亜臨界もしくは超臨界流体に酸やアルカリ溶液を使わなければ耐酸性もしくは耐アルカリ性の低い分散剤を用いることが可能になり分散剤の選択性が拡がる。
【0050】
本発明で使用する顔料の種類は特に限定されず、公知の顔料を用いることができる。例えば、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料;不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ系顔料;キナクリドン系顔料;イソインドリノン系顔料;インダンスロン系顔料;ジケトピロロピロール系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリレン系顔料;ペリノン系顔料;アントラキノン系顔料等が挙げられるが、使用可能な顔料はこれらに限定されるわけではない。
【0051】
上記顔料としては、市販されている顔料を用いても良く、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている顔料を以下に例示する。
【0052】
黒色の顔料としては、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRA II、Raven1190 ULTRA II(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0053】
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
黄色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明に使用する冷媒は亜臨界もしくは超臨界流体および分散剤溶液中の分散剤ならびにその溶媒と混合されやすい組み合わせを選択する。冷媒としては水、アセトンやメタノール、エタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が挙げられるが本発明に用いる冷媒はこれらに限定するものでない。また、これらの冷媒は単独もしくはいくつか組み合わせて用いることができる。
【0057】
本発明では分散剤にブロック共重合体を使用する。マイクロリアクターで分散が行なわれることにより分散の秩序性がよく粒径も非常に揃い易くなる。またここで、両親媒性のブロック共重合体を使用することによって内包状態の安定化する。粒子を内包させる上では、ブロック共重合体を形成する両親媒性の共重合体が安定な高分子ミセル形成能を持つという点から、良好な内包状態すなわち良好な分散安定性を示す。
【0058】
さらにブロック共重合体が両親媒性であることは、マイクロリアクターでブロック共重合体にて粒子を分散させる際に、分散剤溶液の溶媒や冷媒の選択性が広げられ、効率の良い分散を可能にする溶媒の組み合わせが選べる。
【0059】
次に本発明にさらに特徴的に用いられる成分であるブロック共重合体について説明する。
【0060】
本発明に用いることができるブロック共重合体として、具体的な例をあげると、アクリル系、メタクリル系ブロック共重合体、ポリスチレンと他の付加重合系または縮合重合系のブロック共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロック共重合体等、従来から知られているブロック共重合体を用いることもできる。本発明において、ブロック共重合体はAB、ABA、ABC等のブロック形態がより好ましい。A、B、Cはそれぞれ異なるブロックセグメントを示す。本発明に用いられるブロック共重合体は両親媒性であることが好ましい。
【0061】
具体的に好ましい形としては、疎水セグメントと有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントからなるABジブロック共重合体、疎水セグメントと有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントとさらに今ひとつのセグメントを有するABCトリブロック共重合体が好ましく用いられる。
【0062】
ABCトリブロックの場合、Aが疎水セグメント、Bが非イオン性の親水セグメント、Cが有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントである形が好ましく用いられ、内包状態の安定化の意味でも好ましい。
【0063】
例えば前述したABCトリブロック共重合体を使用して、色材と溶媒としても水を使用して分散液を調製すると、色材をABCブロック共重合体が形成するミセル中に内包させることが可能であり、そのように色材内包型のインク組成物を形成することも可能となる。また、その分散組成物の粒子の粒径も非常に揃った均一なものとすることも可能である。さらにはその分散状態を極めて安定なものとすることも可能である。これらの処理を、マイクロリアクターを利用して行うと粒子の粒径も非常に揃い均一性がさらに向上する。
【0064】
本発明では両親媒性のブロック共重合体が使用される。例えば、下記式(1)の繰り返し単位構造から、疎水性のブロックセグメントと親水性のブロックセグメントを選択、合成することにより得ることができる。
【0065】
【化1】

【0066】
(式中、R1は炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、または−(CH(R2)−CH(R3)−O)l−R4もしくは−(CH2m−(O)n−R4から選ばれる。l、mはそれぞれ独立に1から12の整数から選ばれ、nは0または1である。またR2、R3はそれぞれ独立にHもしくはCH3である。R4は、H、炭素数1から6までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、Ph、Pyr、Ph−Ph、Ph−Pyr、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、CH2COOR5からなり、R4が水素原子以外である場合、炭素原子上の水素原子は、炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基またはF、Cl、Brと、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換することができる。R5はHまたは炭素数1から5のアルキル基である。)
本発明で、−Phはフェニル基、−Pyrはピリジル基、−Ph−Phはビフェニル基、および−Ph−Pyrはピリジルフェニル基を表す。ピリジル基、ビフェニル基およびピリジルフェニル基については、可能な位置異性体のいずれのものであってもよい。
【0067】
本発明で用いられるブロック共重合体の分子量分布=Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.0以下であることが好ましく、1.6以下でありことがより好ましく、1.3以下であることが更に好ましく、1.2以下であることが最も好ましい。
【0068】
本発明で用いられるブロックポリマーの数平均分子量Mnは1000〜30万であることが好ましい。本発明で用いられるブロックポリマーの数平均分子量Mnが1000〜30万であると、所定の機能を奏する物質を溶媒中において良好に分散できる。
【0069】
また、分散安定性向上、包接性向上のためにはブロック共重合体の分子運動性がよりフレキシブルであることが粒子表面と物理的に絡まり親和しやすい点を有しているため好ましい。さらには後に詳述するように被記録媒体上で被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。特にインクとして使用した場合、被記録媒体上でブロック共重合体の被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。
【0070】
このブロック共重合体の被覆層は内包された色材の酸化や光劣化を抑制し耐環境性を向上することが可能になる。このためにはブロックポリマーの主鎖のガラス転移温度Tgは、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。この点でもポリビニルエーテル構造を有するポリマーは、ガラス転移点が低く、フレキシブルな特性を有するため、好ましく用いられる。ブロックポリマーの分子運動性がフレキシブルであることによって、ブロックポリマーが機能性物質の表面と物理的に絡まり親和しやすい点を有しているからである。
【0071】
疎水セグメントには芳香族構造好ましくはフェニル、フェニレン等の構造が使用されることが好ましい。また、内包状態の安定化のためにコア部の高分子すなわち疎水性セグメント部については一定以上の分子量を持っていることが好ましく、少なくとも数平均分子量として7000以上好ましくは10000以上であり、より好ましくは12000以上である。
【0072】
このようにブロック共重合体が両親媒性であることにより、水性または油性の両溶媒に対しても分散が行われる。このことはマイクロリアクターでブロック共重合体にて粒子を分散させる際に、分散剤溶液の溶媒や冷媒の選択性が広げられ、効率の良い分散を可能にする溶媒の組み合わせが選ぶことができる。
【0073】
本発明の分散剤溶液の溶媒としては、水、アセトンやメタノール、エタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が挙げられるが本発明に用いる分散剤溶液の溶媒はこれらに限定するものでない。また、これらの分散剤溶液の溶媒は単独もしくはいくつか組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
図3に示した装置を用いて銅フタロシアニン0.5gを亜・超臨界反応器13に入れ、溶媒タンク10から水を5ml/minの流量で亜・超臨界反応器13に供給した。亜・超臨界反応器内を25MPa、400℃で超臨界状態にし、超臨界流体を調製した。
【0075】
本実施例では図4に示すマイクロリアクター1を用いた。
【0076】
冷媒として水を用いた。冷媒は、冷媒タンク15に入れ、高圧ポンプ16を用いてマイクロリアクター1に供給した。分散剤はブロック共重合体として、2−(4−メチルフェニル)エチルビニルエーテルをAセグメントに、2−(2−メトキシエチルオキシ)エチルビニルエーテルをBセグメントに、4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチルをCセグメントにした共重合モル比A/B/C=90/80/14の共重合体であるトリブロック共重合体を用いた。このトリブロック共重合体6重量部をN,N−ジメチルホルムアミド47部に溶解し、分散剤溶液として用いた。分散剤は、分散剤溶液タンク17に入れ、高圧ポンプ16を用いてマイクロリアクター1に供給した。
【0077】
マイクロリアクター1は、材質が、ステンレスで、内径が3mm、長さ300mm、冷却手段2としてクライオコンプレッサを用い、20℃に設定した。第一の入流口3、第二の入流口4、第三の入流口5および第三の入流口9は同心円状に形成され、各々の口径は各々250μm、800μm、500μmおよび500μmであった。第一の入流口から導入される顔料を溶解した超臨界流体は、5ml/minの流量で、第二の入流口から導入する冷媒は、20**ml/minの流量で、第三の入流口から導入する分散剤溶液は、10ml/minの流量で、第四の入流口9から導入する分散剤溶液は、水酸化カリウム水溶液の流量でマイクロリアクター1に導入した。
【0078】
冷却手段2を用いて冷却されたマイクロリアクター1の入流体口から導入されたそれぞれの流体は、図4に示すような層流を形成し均一に混合され、その分散物の粒子の粒径も非常に揃った均一なものであり平均粒径が80nmであった。粒径の範囲は70〜100nmとその分布は狭いものであった。分散液を室温にて放置し、粒子の凝集・沈殿を観察した結果、1ヶ月間の放置後も沈殿は発生せず分散安定性が確認された。この顔料分散物をインクジェット用インクとして用いBJプリンターS530(キヤノン社製)のインクタンクに充填し、普通紙に記録すると文字がきれいに印字でき、耐光性が向上した。
(比較例1)
分散剤溶液を使わず、実施例1と同様に顔料を析出させ、得られた顔料粒子をマイクロリアクター中で分散させるのではなく、替わりに、ビーカーで、実施例1で用いた分散剤溶液を用いてメカニカルスターラーで分散処理を行ない、顔料分散剤を製造した。得られた顔料分散剤中の顔料は、平均粒径が150nmであり、粒径の範囲は120〜180nmであった。1ヶ月間の放置後、沈殿が確認された。
(第2実施例)
分散剤として2−(4−メチルフェニル)エチルビニルエーテルをAセグメントに、2−(2−メトキシエチルオキシ)エチルビニルエーテルをBセグメントに、4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチルをCセグメントにした共重合モル比A/B/C=90/80/14の共重合体であるトリブロック共重合体を用い、冷媒と分散剤溶媒にテトラヒドロフランを用いた以外は第1実施例と同様に行ったところ、平均粒径や分散安定性ともに第1実施例と同様な結果が得られた。
(第3実施例)
25MPa、250℃の亜臨界状態で行った以外は第1実施例と同様に行った結果、平均粒径や分散安定性ともに第1実施例と同様な結果が得られた。
(第4実施例)
マイクロリアクター1の流出口に背圧弁を設けて行った以外は第1実施例と同様に行ったところ平均粒径や分散安定性ともに第1実施例と同様な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明で利用できるマイクロリアクターの断面図である。
【図2】本発明で利用できるマイクロリアクターの断面図である。
【図3】本発明の顔料分散物製造装置の概略図である。
【図4】第一実施例で利用できるマイクロリアクターの断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 マイクロリアクター
2 冷却手段
3 第一の入流体口
4 第二の入流体口
5 第三の入流体口
6 超臨界流体
7 冷媒
8 分散剤溶液
9 第四の入流体口
10 溶媒タンク
11 高圧ポンプ
12 溶媒供給管
13 亜・超臨界反応器
14 圧力レギュレーター
15 溶媒タンク
16 高圧ポンプ
17 分散剤溶液タンク
18 回収器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を亜臨界もしくは超臨界流体に溶解する工程と、
該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と、冷媒と、分散剤溶液とを各々の供給口を介して外部冷却されたマイクロリアクターに流入させる工程と、
前記マイクロリアクターの1本の流路内で前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を前記冷媒に拡散、移動させて前記顔料を析出させる工程と、
前記析出した顔料を前記分散剤溶液に分散させる工程とを有する顔料分散物の製造方法。
【請求項2】
前記顔料を析出させる工程が、前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と前記冷媒との界面で前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体が前記冷媒中に分散し、前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体から前記顔料を析出させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項3】
前記析出した顔料を前記分散剤溶液に分散させる工程が、前記析出した顔料を、前記分散剤溶液と前記冷媒との界面で前記分散剤溶液中に分散させることを特徴とする請求項2に記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項4】
前記前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体、前記冷媒および前記分散剤溶液が層流であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項5】
前記層流が流通方向の法線方向に亜臨界もしくは超臨界流体、冷媒、分散剤溶液の順の層流であることを特徴とする請求項4に記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項6】
前記分散剤溶液にブロック共重合体が含まれることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項7】
前記ブロック共重合体は両親媒性であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の顔料分散物の製造方法。
【請求項8】
一本の流路の一端に流体を導入ための複数の入流体口と他端に流体を導出する導出口とを有し、
第一の入流体口が前記流路の略中央部に形成され、該第一の入流体口の該周囲を取り巻くように順次に形成された1以上の入流体口を有するマイクロリアクターと、該マイクロリアクターの該周囲に形成された冷却手段とを有し、
前記第一の入流体口から導入される亜臨界もしくは超臨界流体と前記第一の入流体口に接し、前記第一の入流体口の外周囲に形成された第二の入流体口から導入される溶液とから前記亜臨界もしくは超臨界流体中に溶解した顔料を析出する手段と、
前記析出した顔料を、前記第二の入流体口に接し、前記第二の入流体口の外周囲に形成された第三の入流体口から導入された分散剤溶液に分散する手段とを有することを特徴とする顔料分散剤の製造装置。
【請求項9】
前記流路の相当直径が10000μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の顔料分散物製造装置。
【請求項10】
顔料を亜臨界もしくは超臨界流体に溶解する工程と、
該顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体と、冷媒と、分散剤溶液とを各々の供給口を介して外部冷却されたマイクロリアクターに流入させる工程と、
前記マイクロリアクターの1本の流路内で前記顔料が溶解した亜臨界もしくは超臨界流体を前記冷媒に拡散、移動により顔料を析出する工程と、
前記析出した顔料を前記分散剤溶液に分散する工程とから作られたことを特徴とする顔料分散物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−124556(P2006−124556A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316151(P2004−316151)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】