説明

顔料調製物

少なくとも35重量%の1以上の顔料および最大でも65重量%の分散剤樹脂を含んでいる固形顔料調製物であって、該分散剤樹脂が、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでおり、該分散剤樹脂が、30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有する顔料調製物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料および分散剤樹脂を含んでいる固形顔料調製物、顔料調製物およびコーティング組成物を調製する方法、ならびに分散剤樹脂を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、少なくとも1の顔料およびポリエーテルに基づいた少なくとも1の非イオン性界面活性添加剤を本質的に含んでいる、50〜5,000μmの平均粒子サイズを有する顆粒状顔料を記載する。該非イオン性界面活性添加剤は、純粋なポリアルキレンエーテル、たとえばポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドであることができる。特に好適なのは、アルキレンオキシドと脂肪族もしくは芳香族のアルコールまたはアミンとの重付加によって得られることができる、アルキレンオキシドに基づいたブロックコポリマーである。該顔料調製物は、撹拌混入型(stir−in)顔料として適していると記載されている。撹拌混入型顔料とは、顔料および分散剤を含んでいる乾いた一般に粉状の顔料高濃度物であり、マトリックス、たとえばコーティング組成物中へと追加的な分散段階の必要なく単純な撹拌によって混入されることができ、その故に撹拌混入型顔料の名前がある。
【0003】
該公知の顔料調製物は、色の強さおよび調色の精度に関して比較的低い必要条件を有する用途には十分に使用されることができるけれども、該公知の顔料調製物のいくつかの特性は、たとえば乗物の塗り替え用塗料のためには不十分である。より具体的には、分散するのが困難な高透明顔料が使用されるときには、該塗料の特性は改良が必要である。様々なレットダウンバインダー系との相容性も常に最適であるわけではない。
【特許文献1】国際公開第03064540号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、撹拌混入型顔料調製物として使用されることができる、顔料および分散剤樹脂を含んでいる顔料調製物を提供して、安定な、十分に分散された顔料を含有する塗料をもたらすことを目的とする。該顔料調製物はコーティング組成物中へと容易に混入され、その中に顔料が安定に分散されていなければならない。加えて、広範な顔料を有する顔料調製物を調製することが可能でなければならない。該顔料調製物は優れた特性および安定性を有する塗料の調製を、とりわけ分散し安定化するのが困難な顔料の場合に、許さなければならない。該顔料調製物は多種多様の様々なレットダウンバインダー系と相容性でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は今、顔料および分散剤樹脂を含んでいる固形顔料調製物を提供し、ここで該組成物は、顔料と分散剤樹脂との合計重量当たり、少なくとも35重量%の少なくとも1の顔料および最大でも65重量%の分散剤樹脂を含んでおり、該分散剤樹脂は、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでおり、該分散剤樹脂は、30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有する。
【0006】
国際公開第9507951号は水性コーティング組成物を記載し、その中には両親媒性乳化剤が使用されており、有意な量の有機共溶媒を必要としないで、一般的に脂肪親和性の架橋性バインダーが乳化されていることが注記されなければならない。該両親媒性乳化剤はペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の顔料調製物は、撹拌混入型顔料調製物として使用されて、安定な、十分に分散された顔料を含有するコーティング組成物がもたらされることができる。該顔料調製物はコーティング組成物中へと容易に混入され、その中に顔料は安定に分散されていることができる。加えて、広範な顔料を有する顔料調製物を調製することが可能である。優れた特性および安定性を有する塗料の調製を、とりわけ分散し安定化するのが困難な顔料の場合に、該顔料調製物は許す。その上、該顔料調製物は多種多様の様々なレットダウンバインダーと相容性である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の顔料調製物は、無機または有機の顔料を含んでいることができる。あるいは、該顔料調製物は、複数の異なった顔料、たとえば2以上の無機顔料、2以上の有機顔料、または1以上の無機顔料と1以上の有機顔料との混合物を含んでいることができる。
【0009】
該調製物内の顔料粒子は、一般に微細に分割された形態で存在する。したがって、該顔料は典型的には50nm〜5,000nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。好ましくは、平均粒子サイズは少なくとも80nm、より好ましくは少なくとも100nmである。平均粒子サイズは最大でも3,000nm、より好ましくは最大でも1,500nm、最も好ましくは最大でも1,000nmであることが好まれる。
【0010】
調製物内の顔料粒子の平均粒子サイズは、たとえば電子顕微鏡法によって測定されることができる。調製物内の顔料の平均粒子サイズは、該顔料が液体中へと撹拌混入された後のそれらの平均粒子サイズと本質的に同じであるから、顔料調製物を液状媒体に混合して、動的光散乱によってその平均顔料粒子サイズを測定することも可能である。
【0011】
有機顔料は典型的には有機の有彩顔料および黒色顔料である。無機顔料も同様に着色顔料(有彩、黒色、および白色の顔料、)およびまた光輝顔料およびフィラーとして典型的に使用される無機顔料であることができる。
【0012】
以下は、好適な有機着色顔料の例である。
モノアゾ顔料:
C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36、38、64および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、58:2、58:4、63、112、146、148、170、175、184、185、187、191:1、208、210、245、247および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、62、65、73、74、97、120、151、154、168、181、183、および191;C.I.ピグメントバイオレット32;
ジアゾ顔料:
C.I.ピグメントオレンジ16、34、44、および72;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176、180、および188;
ジアゾ高濃度顔料:
C.I.ピグメントイエロー93、95および128;C.I.ピグメントレッド144、166、214、220、221、242、および262;C.I.ピグメントブラウン23および41;
アントラスロン顔料:
C.I.ピグメントレッド168;
アントラキノン顔料:
C.I.ピグメントイエロー147、177、および199;C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラピリミジン顔料:
C.I.ピグメントイエロー108;
キナクリドン顔料:
ピグメントオレンジ48および49;C.I.ピグメントレッド122、202、206、および209;C.I.ピグメントバイオレット19;
キノフタロン顔料:
C.I.ピグメントイエロー138;
ジケトピロロピロール顔料:
C.I.ピグメントオレンジ71、73および81;C.I.ピグメントレッド254、255、264、270、および272;
ジオキサジン顔料:
C.I.ピグメントバイオレット23および37;C.I.ピグメントブルー80;
フラバントロン顔料:
C.I.ピグメントイエロー24;
インダントロン顔料:
C.I.ピグメントブルー60および64;
イソインドリン顔料:
C.I.ピグメントオレンジ61および69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185
イソインドリノン顔料:
C.I.ピグメントイエロー109、110、および173
イソバイオラントロン顔料:
C.I.ピグメントバイオレット31;
金属錯体顔料:
C.I.ピグメントレッド257;C.I.ピグメントイエロー117、129、150、153、および177;C.I.ピグメントグリーン8;
ペリノン顔料:
C.I.ピグメントオレンジ43;C.I.ピグメントレッド194;
ペリレン顔料:
C.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179、190、および224;C.I.ピグメントバイオレット29;
フタロシアニン顔料:
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4;15:6、および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;
ピランスロン顔料:
C.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216;
ピラゾロキナゾロン顔料:
C.I.ピグメントオレンジ67;C.I.ピグメントレッド251;
チオインジゴ顔料:
C.I.ピグメントレッド88および181;C.I.ピグメントバイオレット38;
トリアリールカルボニウム顔料:
C.I.ピグメントブルー1、61および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1および169;C.I.ピグメントバイオレット1、2、3、および27;C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック);C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー);C.I.ピグメントブラウン22。
【0013】
好適な無機着色顔料の例は以下の通りである。
白色顔料:
二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、亜鉛白、顔料級酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
黒色顔料:
ブラック酸化鉄(C.I.ピグメントブラック11)、ブラック鉄マンガン、スピネルブラック(C.I.ピグメントブラック27);カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);
有彩顔料:
酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.ピグメントグリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメントグリーン50);ウルトラマリングリーン;コバルトブルー(C.I.ピグメントブルー28および36;C.I.ピグメントブルー72);ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレット;マンガンバイオレット;レッド酸化鉄(C.I.ピグメントレッド101);硫セレン化カドミウム(C.I.ピグメントレッド108);硫化セリウム(C.I.ピグメントレッド265);モリブデートレッド(C.I.ピグメントレッド104);ウルトラマリンレッド;ブラウン酸化鉄(C.I.ピグメントブラウン6および7)、スピネル相およびコランダム相の混合ブラウン(C.I.ピグメントブラウン29、31、33、34、35、37、39、および40)、クロムチタンイエロー(C.I.ピグメントブラウン24)、クロムオレンジ;硫化セリウム(C.I.ピグメントオレンジ75);イエロー酸化鉄(C.I.ピグメントイエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメントイエロー53;C.I.ピグメントイエロー157、158、159、160、161、162、163、164、および189);スピネル相(C.I.ピグメントイエロー119);硫化カドミウムおよび硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメントイエロー37および35);クロムイエロー(C.I.ピグメントイエロー34);ビスマスバナデート(C.I.ピグメントイエロー184)。
【0014】
フィラーとして典型的に使用される無機顔料の例は、透明二酸化ケイ素、石英粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然マイカ、天然および沈降白亜、ならびに硫酸バリウムである。
【0015】
光輝顔料は、単相または多相構造を有する小板(フレーク)状顔料であり、その遊色効果は干渉、反射、および吸収の現象の相互作用によって特徴付けられる。その例は、アルミニウムフレークならびに1以上の被膜、とりわけ金属酸化物の被膜を持つアルミニウム、酸化鉄、およびマイカのフレークである。
【0016】
上述のように、本発明の顔料調製物は、必須成分として顔料および分散剤樹脂を含んでおり、ここで該組成物は、顔料と分散剤樹脂との合計重量当たり、少なくとも35重量%の少なくとも1の顔料および最大でも65重量%の分散剤樹脂を含んでいる。該調製物中の顔料がカーボンブラックであるときは、顔料調製物中のカーボンブラックの含有量は上記の範囲の比較的低い部分にあることが好まれる。したがって、顔料がカーボンブラックであるときは、顔料調製物は、顔料と分散剤樹脂との合計重量当たり、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%のカーボンブラック、および最大でも60重量%、好ましくは最大でも55重量%の分散剤樹脂を含んでいる。他の顔料については、顔料調製物は、顔料と分散剤樹脂との合計重量当たり、一般に少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも64重量%、より好ましくは少なくとも68重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%の少なくとも1の顔料、および最大でも40重量%、好ましくは最大でも36重量%、より好ましくは最大でも32重量%、最も好ましくは最大でも30重量%の分散剤樹脂を含んでいる。特に好まれる実施態様では、顔料と分散剤樹脂との上述の重量比は、顔料調製物の全重量当たりでも当てはまる。
【0017】
顔料調製物はさらに、顔料調製物に普通に使用される他の成分、添加剤または助剤、たとえば有機溶媒、湿潤剤、消泡剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、および他の顔料分散助剤ならびに/または界面活性剤を含んでいてもよい。
【0018】
1の実施態様では、本発明の顔料調製物は、撹拌混入型顔料として使用されるのに適している自由流動性粉体である。また、たとえばペレットまたは錠剤の形態をしている固形圧縮顔料調製物が使用されることもできる。
【0019】
本発明に従う顔料調製物およびその調製方法に使用される顔料分散剤樹脂のポリエステル骨格は、エステル生成性官能基を有する構成ブロックの一般的に知られたエステル化反応に従って調製されることができる。エステル生成性官能基の例は、カルボン酸基、(環式)カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、ヒドロキシ基、エポキシド基、オキセタン基、およびラクトン基である。ポリエステルを生成するためには、使用される構成ブロックの少なくとも一部は少なくとも2の官能基を有さなければならない。しかし、単官能性および三官能性以上の構成ブロックも同様に使用されることができる。
【0020】
好適な構成ブロックの例は、ジカルボン酸、たとえばセバシン酸、ドデカン二酸、オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸(任意の異性体または異性体の混合物)、ならびに脂肪酸二量体である。カルボン酸無水物の例は、無水デカン酸、無水ドデカン酸、無水ドデシルコハク酸、および無水ドデセニルコハク酸である。
【0021】
ヒドロキシカルボン酸およびそれから誘導されたラクトン、たとえばガンマデカノラクトンも使用されることができる。
【0022】
脂環式ポリオールの例は、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスヒドロキシメチルトリシクロデカン、およびこれらの混合物を含む。脂肪族ポリオールの例は、グリセロール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、プロポキシル化ペンタエリスリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、およびこれらの混合物を含む。
【0023】
好まれるジオールは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジメチロールプロピオン酸、および1,4−シクロヘキサンジメタノールを包含する。
【0024】
好適な環式ポリカルボン酸は、芳香族ポリカルボン酸および脂環式ポリカルボン酸を包含する。芳香族ポリカルボン酸の例は、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、およびこれらの混合物を包含する。同様に包含されるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえば無水フタル酸、無水トリメリット酸、およびこれらの混合物である。脂環式ポリカルボン酸の例は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、およびこれらの混合物を含む。同様に包含されるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえば無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、およびこれらの混合物である。
【0025】
非環式ポリカルボン酸の例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、およびこれらの混合物を含む。同様に包含されるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえばマロン酸のジメチルエステルおよびジエチルエステル、無水コハク酸、およびこれらの混合物である。
【0026】
少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基が一般に、共有結合を介してポリエステル骨格に結合されていることが理解されなければならない。該少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基は、エステル生成性官能基および少なくとも1のペンダントのポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有する構成ブロックをエステル化反応に使用することによって導入されることができる。2のエステル生成性官能基および1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドに基づいた基を有する化合物の例は、エーテル基末端を有するポリプロピレンオキシドまたはポリエチレンオキシドに基づいたセグメントで、1のヒドロキシル基が封止されているトリオールから誘導されるものである。このようなジオールの商業的に入手可能な例は、独国、Tego Chemie Service社からのTegomer D 3403である。
【0027】
あるいは、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を重合後の反応で導入することが可能である。すなわち、まずポリエステル骨格を調製し、その後に少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を該骨格にグラフトすることである。
【0028】
この後者の経路の場合には、
(i) 式(I)

(この式で、Rはアミン基との反応後のモノエポキシド化合物の残基であり、RはC〜Cアルキル基から選択され、nは0〜25であり、mは1〜50であり、ただしn+m≦50である。)
の親水性ポリアルキレンオキシドモノアミンモノアルキルエーテル、および
(ii) 電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有するポリエステル骨格
の付加反応によって、顔料分散剤樹脂を調製することが特に適している。
【0029】
式(I)のRが、アミン基との反応後の、1〜20炭素原子を有するモノエポキシド化合物の残基であり、Rがメチル基であり、nが2〜4であり、かつmが16〜20であることが好まれる。Rが、アミン基との反応後の、一般式(II)

のモノエポキシド化合物の残基であることが特に好まれ、この式でRは4〜10炭素原子を有するアルキル基である。
【0030】
式(I)に従う化合物を調製するための好適なモノエポキシド出発物質の例は、エポキシ化オレフィン、たとえばエポキシ化α−オレフィン;モノヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル、たとえばエチルヘキシルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル;ならびにカルボン酸のグリシジルエステル、たとえばプロピオン酸グリシジルエステル、ヘキサン酸グリシジルエステル、エチルヘキサン酸グリシジルエステル、デカン酸グリシジルエステル、およびHexion社からCardura(商標)E10の品名下に商業的に入手可能なバーサティック酸グリシジルエステルである。
【0031】
式(I)または(II)に従う化合物を調製するための好適なアミン出発物質の例は、ポリアルキレンオキシドに基づいたアミンであり、これはHuntsman社からJeffamine(商標)Mの商品表示下に商業的に入手可能である。
【0032】
電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有するポリエステル骨格は、上記のようにエステル生成性官能基を有する構成ブロックから調製されることができる。エステル生成性官能基および少なくとも1の電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有する構成ブロックをエステル化反応に使用することによって、電子欠乏性炭素−炭素二重結合は導入されることができる。エステル生成性官能基および電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有する化合物の例は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ならびにアクリル酸およびメタクリル酸およびこれらのエステル生成性誘導体である。2のエステル生成性官能基および少なくとも1の電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有する構成ブロックが好まれる。2のエステル生成性官能基および少なくとも1の電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有する最も好まれる構成ブロックは、無水マレイン酸である。
【0033】
電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有するポリエステル骨格は、単一段階反応でまたは2以上の反応段階で調製されることができる。該ポリエステル骨格の数平均分子量は、一般に500〜120,000の範囲にある。好ましくは、ポリエステル骨格の数平均分子量は80,000未満、より好ましくは40,000未満、最も好ましくは20,000未満である。
【0034】
顔料分散剤樹脂は、好適には低い酸価を有する。すなわち、好ましくは顔料分散剤樹脂の酸価は、該分散剤樹脂の非揮発性物質当たり5mgKOH/gを超えない。
【0035】
上述のように、顔料分散剤樹脂の数平均分子量は1,000〜150,000の範囲にある。好ましくは、数平均分子量は50,000を超えない。
【0036】
顔料分散剤樹脂は、任意的に他の官能基、たとえばヒドロキシ基を含んでいる。分散剤樹脂のヒドロキシル価は、該分散剤樹脂の非揮発性物質当たり10〜300mgKOH/gの範囲にあることが好まれる。
【0037】
さらに、顔料分散剤樹脂は、たとえばポリエステル骨格の不飽和の一部のみが親水性ポリアルキレンオキシドモノアミンモノアルキルエーテルと反応したときに、任意的に炭素−炭素二重結合(C=C結合)を含んでいる。好ましくは、分散剤樹脂のC=C当量は100〜50,000g/当量の範囲にある。
【0038】
上述のように、分散剤樹脂は、分子当たり少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドに基づいた側基を含んでいる。分散剤樹脂は、分子当たり少なくとも2の、より好ましくは少なくとも3のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドに基づいた側基を含んでいることが好まれる。典型的な実施態様では、分散剤樹脂のポリエステル骨格は、本質的に直鎖で好ましくは脂肪親和性であり、ペンダントの親水性ポリアルキレンオキシド側基を有する。このようなポリマーは、くし形ポリマーと説明されてもよい。
【0039】
好適なアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドに基づいた側基は、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドまたはこれらの混合物に基づいていることが好まれる。これまでのところ、ポリアルキレンオキシドに基づいた側基の全重量当たり、その少なくとも50重量%、好ましくは70重量%がエチレンオキシドに基づいているところのポリアルキレンオキシドに基づいた側基で、非常に良好な結果が得られている。
【0040】
上述のように、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでいる分散剤樹脂であって、30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有する分散剤樹脂が、撹拌混入型顔料調製物の調製のために使用されることができる。
【0041】
本発明はさらに、
a) 顔料および分散剤樹脂を、任意的に添加された水または有機希釈剤とともに、撹拌して、流動化された顔料スラリーが形成される段階、
b) 任意的に、該スラリーを粉砕する段階、および
c) 該スラリーを乾燥する段階
の段階を含む顔料調製物を調製する方法に関し、ここで該分散剤樹脂は、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでおり、該分散剤樹脂は30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有する。
【0042】
顔料調製物に関連して上述したように、本発明の方法に使用される顔料は、有機または無機の顔料であることができる。顔料の混合物、たとえば2以上の無機顔料の混合物、2以上の有機顔料の混合物、または無機および有機の顔料の混合物を使用することも可能である。多種多様の顔料を本発明の方法に使用することが可能である。顔料は、標準的な乾燥された粉状顔料として該工程中へと導入されることができる。凝集物を壊しおよび所要の顔料粒子サイズを達成するのに、粉砕段階は役立つ。有機顔料はいわゆるプレスケーキとしても入手可能である。有機顔料は、合成されたときには、一次粒子と呼ばれる非常に小さい結晶の形態をしている。顔料の合成の目的は、顔料施与特性、たとえば色強度、色調および明度、流れ特性、ならびに透明性または不透明性を最適化するサイズの一次粒子を製造することである。プレスケーキは、本質的にこの非凝集化された形態をしている顔料を含有している。したがって、凝集物を壊し所要の顔料粒子サイズを達成するのに、要求されるエネルギーがより少ない。分散剤樹脂なしに顔料プレスケーキを乾燥する際には、一次粒子は合体して、集合物および凝集物が形成されるだろう。したがって、有機顔料が本発明の方法に使用されるときには、顔料プレスケーキの形態をしている有機顔料を使用することが可能でありかつ好まれる。顔料プレスケーキが使用されるときには、所要の顔料粒子サイズを得るために、流動化された顔料スラリーの単純な撹拌が十分でありうる。このような場合には、該スラリーの粉砕は余計でありうる。
【0043】
顔料と分散剤樹脂との混合物を流動化するために追加の液体が要求されるときは、該液体は水であることが好まれる。水の代わりにまたは水に追加して、グリコールまたはグリコールエーテル、たとえばエチレングリコールもしくはその高級同属体またはエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルのような有機溶媒が使用されることができる。
【0044】
顔料の粒子サイズを壊して小さくするために普通に用いられる周知の粉砕装置を使用して、任意的な粉砕段階は実施されることができる。該工程を実施するのに適した装置の例は、ビーズミル、ジェットミル、超音波ミル、バスケットミル、ロールミル、および高速度溶解機である。一般に平均粒子サイズが50nm〜5,000nmの範囲内になるまで、粉砕は続けられる。好ましくは、平均粒子サイズは少なくとも80nm、より好ましくは少なくとも100nmである。平均粒子サイズは最大でも3,000nm、より好ましくは最大でも1,500nm、最も好ましくは最大でも1,000nmであることが好まれる。
【0045】
乾燥の好適な方法の例は、スプレー顆粒化および流動床乾燥、スプレー乾燥、パドルドライヤー中での乾燥、蒸発およびその後の粉砕、ならびに凍結乾燥である。選択された乾燥方法は、本発明の顔料調製物の粒子サイズに影響を与えうる。乾燥段階は、好ましくは凍結乾燥によってまたはスプレー乾燥によって実施される。
【0046】
スプレーおよび流動床顆粒化は、50〜5,000μm、とりわけ100〜1,000μmの平均粒子サイズを有する粗に分割された顆粒を製造することができる。工程条件に応じて、スプレー乾燥は微細に分割された顔料調製物を製造することもできる。スプレー乾燥は、たとえば20μm未満の平均粒子サイズを有する顆粒を製造することができる。パドルドライヤー中での乾燥によってならびに蒸発およびその後の粉砕によって、微細に分割された顔料調製物は得られることもできる。
【0047】
乾燥され得られた固形の顔料調製物の残留水分含有量は、有意に様々であることができる。残留水分含有量は、全顔料調製物の重量当たり、たとえば15重量%であることができる。一般に、残留水分含有量は15重量%を超えず、好ましくは12重量%を超えない。多くの場合、残留水分含有量はさらに5重量%未満である。顔料調製物が非水系での使用を意図されるときは、低い水分含有量が特に好まれ、たとえば2重量%未満である。
【0048】
使用に当たって、本発明の顔料調製物は、その優れた色特性のために、とりわけ色の強さ、光輝、色合いおよび隠蔽力に関して、ならびにとりわけその撹拌混入特性のために注目すべきものであり、該撹拌混入特性とは、すなわち本発明の顔料調製物が最小のエネルギー投入量で、単純に撹拌または振盪によって施与媒体中に分散されることができることである。
【0049】
本発明の顔料調製物は、さらに以下の利点を有する。すなわち、これらは高い顔料含有量を有し、貯蔵において非常に良好な安定性を示し、包装、貯蔵、および輸送に関して経済的および生態学的の双方の面において有利であり、かつ使用における柔軟性がより高い。
【0050】
本発明の顔料調製物は、任意の種類の高分子状の有機および無機の物質を着色するために非常に有用である。本明細書の文脈における液状施与媒体は、純粋に水性であることができ、水と有機溶媒、たとえばアルコールとの混合物を含んでいることができ、またはアルコール、グリコールエーテル、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、アミド、たとえばN−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミド、エステル、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル、および酢酸メトキシプロピル、または芳香族もしくは脂肪族炭化水素、たとえばキシレン、鉱油、およびミネラルスピリットのような有機溶媒にもっぱら基づいたものであることができる。水で媒体されたコーティング組成物を着色するために、本発明の顔料調製物を使用することが好まれる。
【0051】
本発明の顔料調製物で着色されることができる物質の例は、コーティング、たとえば建築用コーティング、工業用コーティング、自動車コーティング、放射線硬化コーティング、粉体コーティング;塗料、例として建物の外側および建物の内側用塗料、たとえば木材用塗料、ライムウォッシュ、ジステンパー、乳化塗料;溶媒で媒体された印刷インク、たとえばオフセット印刷インク、フレキソグラフ印刷インク、トルエンインタリオ印刷インク、織物捺染インク、放射線硬化性印刷インク;水で媒体されたインク、たとえばインクジェットインク、カラーフィルター;建築材料(典型的には建築材料および顔料調製物が乾燥混合された後ではじめて、水が添加される。)、たとえばケイ酸塩下塗り系、セメント、コンクリート、モルタル、石こう;瀝青、コーク;セルロース物質、たとえば紙、板紙、ボール紙、木材およびウッドベース(これらはそれぞれコーティングされまたは他様に仕上げ塗りされることができる。);接着剤;たとえば医薬産業において使用される膜形成性ポリマー状保護コロイド;化粧品;プラスチック;ならびに洗剤を含む。
【0052】
本発明の顔料調製物は、混色システムまたは調色システムにおける混合成分として特に有用である。その撹拌混入特性の故に、この目的のためにこれらは固体として直接に使用されることができる。しかし、所望であれば、これらはまず基本色材、混合用ワニス、および調色材へと(とりわけ高固形分含有量を有する色材、すなわち「HS色材」へと)、またはさらにより高度に顔料を加えられた調色ペーストへと姿を変えられ、これが次に混色システムの成分を構成することもできる。所望の色合いを合わせること、したがって色材成分の混合は、色見本、たとえばRAL、BS、およびNCSに基づいた非常に多数の色合い等級のカラーカード集合体によって目視で、または好ましくはコンピュータ調整の下で実施されることができ、該コンピュータ調整によって無限に多数の色合いが利用できるようになる(「コンピュータ調色」)。本発明の顔料調製物、少なくとも1の膜形成性バインダー、および少なくとも1の液状希釈剤を任意の実行可能な順番で撹拌しながら混合することを、顔料を添加されたコーティング組成物を調製する方法は含む。
【0053】
実施例
【0054】

【0055】
一般的方法
光沢がByk−Gardner光沢計を用いて測定され、結果がグロス単位で報告される。分光光度計およびCIE実験体系に基づくL値を用いて、色が測定された。
【実施例1】
【0056】
分散剤樹脂の調製
【0057】
電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有するポリエステル骨格の調製
撹拌機、熱電対、加熱外套、充填カラム、および蒸留頂部を備えた反応容器中に、1,4−ジメチロールシクロヘキサン164.6g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸82.8g、無水マレイン酸65.0g、およびIonol CP1.0gが入れられた。窒素流下に200℃までこの混合物が加熱されて、最後に32〜38mgKOH/gの酸価に到達した。温度がそれから180℃まで下げられ、Cardura E10の171.0gが添加された。酸価が1mgKOH/g未満になるまで、反応混合物は180℃に保たれた。その後、該混合物は150℃まで冷却され、Jeffamine M 1000の514.4gが添加された。混合物は150℃にもう2時間保たれ、その後室温まで冷却された。最終分散剤樹脂は53重量%のポリエチレンオキシド含有量を有し、水に可溶性であった。理論数平均分子量は5,286であった。
【実施例2】
【0058】
顔料調製物の調製
水59.00重量部、ジメチルエタノールアミンの20重量%水性溶液12.50重量部、プロピレングリコール0.06重量部、実施例1の分散剤樹脂の84重量%水性溶液10.44重量部、消泡剤0.50重量部、Surfynol CT 141の7.50重量部、およびColor Black FW200の10.00重量部の混合物が、合計12のパス回数および2時間の循環を使用してビーズ粉砕された。このペーストの粉砕微細度は、ヘグマン(Hegman)ゲージに基づいて5ミクロン未満であった。
【0059】
2.5バールのアトマイザー圧力で作動されるDrytec小型実験室スプレー乾燥機を使用して、サンプルは乾燥された。入口温度は140℃、出口温度は60℃であった。出来上がった粉状顔料調製物は、10重量%の残留水分含有量を有していた。
【0060】
実施例3および4ならびに比較例AおよびB
【実施例3】
【0061】
コーティング組成物の調製
実施例2の顔料調製物が、水で媒体されたバインダー系Autowave 665中の撹拌混入型顔料として試験された(実施例3)。750〜760rpmで作動される4cmの撹拌刃を有するIKA RW20撹拌機が、この試験に使用された。実施例2の顔料調製物が、クリアバインダーAutowave 665に撹拌下に添加された。十分な顔料調製物が添加されて、顔料とバインダーとの比0.162を有するコーティング組成物が得られた。この混合物は合計60分間、設定速度で撹拌された。該液状コーティング組成物は次に3.5バールで作動されるSilverson L2エアミキサーに移され、さらに60分間の撹拌に付された。
【0062】
比較例A
同じバインダー系Autowave 665を乾燥前の実施例2の液状顔料調製物と混合することによって、比較コーティング組成物Aが調製された。顔料とバインダーとの同じ比0.162が実施例3におけるように使用された。
【0063】
実施例3の出来上がったコーティング組成物は優れた粉砕微細度を有し、ヘグマンゲージ試験で粒子ははっきりとは視認されなかった。K−Control Coater塗布機(バー0.7、速度3)を使用してLeneta様式2Aの不透明カード上に、実施例3および比較例Aの組成物が施与され、室温で一晩放置乾燥された。
【0064】
実施例3および比較例Aの特性が下の表1にまとめられる。
【表1】

【0065】
本発明に従う実施例3の光沢は、比較例Aの光沢よりも高い。
【0066】
コーティング組成物を白色トナーと混合することによって、白色希釈物が以下のように調製された。
【実施例4】
【0067】
実施例3のコーティング組成物が白色トナーモジュールAutowave 099と混合されて、得られた混合物中の黒色顔料と白色顔料との重量比が10:90とされた。
【0068】
比較例B
比較例Aのコーティング組成物が白色トナーモジュールAutowave 099と混合されて、得られた混合物中の黒色顔料と白色顔料との重量比が10:90とされた。
【0069】
実施例4および比較例Bのコーティング組成物が、上記の不透明カードに施与された。乾燥されたサンプルのL値が下の表2に示される。
【表2】

【0070】
実施例4の10%白色希釈混合物のL値は、比較例CのL値よりも低く、これは撹拌混入型顔料の場合に調色力がより大きいことを示している。
【0071】
比較例と同じまたはこれよりもさらに良好な特性を有する、本発明に従う乾燥された撹拌混入型顔料調製物からコーティング組成物を造ることが可能であることを、この結果は示す。
【実施例5】
【0072】
顔料調製物の調製
水31.16重量部、ジメチルエタノールアミン0.58重量部、プロピレングリコール1.75重量部、実施例1の分散剤樹脂の90重量%水性溶液7.8重量部、消泡剤0.58重量部、Surfynol CT 141の5.81重量部、およびClariant社からのNovoperm Orange HL70顔料52.32重量部の混合物が、合計8のパス回数および2時間の循環を使用してビーズ粉砕された。この液状ペーストの粉砕微細度は、ヘグマンゲージに基づいて5ミクロン未満であった。
【0073】
該液状ペースト調製物のサンプルが、工業用凍結乾燥装置を使用して凍結乾燥された。出来上がった粉状顔料調製物は10重量%未満の残留水分含有量を有していた。
【実施例6】
【0074】
顔料調製物の調製
水41.3重量部、ジメチルエタノールアミン0.5重量部、プロピレングリコール1.5重量部、実施例1の分散剤樹脂の90重量%水性溶液10重量部、消泡剤0.5重量部、Byk Chemie社からの分散剤であるDisperbyk 181の0.2重量部、およびCiba社からのIrgazin DPP レッドBO顔料46重量部の混合物が、合計10のパス回数および2時間の循環を使用してビーズ粉砕された。この液状ペーストの粉砕微細度は、ヘグマンゲージに基づいて5ミクロン未満であった。
【0075】
該液状ペースト調製物のサンプルが、工業用凍結乾燥装置を使用して凍結乾燥された。出来上がった粉状顔料調製物は10重量%未満の残留水分含有量を有していた。
【0076】
実施例7および8ならびに比較例CおよびD
水性ポリウレタン分散物27.21重量部、水性ポリアクリレート/ポリウレタン混成分散物26.8重量部、N,N−ジメチルエタノールアミンの5%水性溶液0.8重量部、水11.58重量部、ブチルグリコール6.04重量部、2%水性粘土分散物22.68重量部、ポリウレタン増粘剤4.23重量部、および界面活性剤0.66重量部を混合することによって、クリアベ−スが調製された。
【実施例7】
【0077】
以下の成分、すなわち上記のクリアベ−ス81.83重量部、水6.86重量部、および実施例5の凍結乾燥された顔料調製物11.31重量部をエアミキサーで30分間混合することによって、顔料を添加されたコーティング組成物が調製された。
【0078】
比較例C
以下の成分、すなわち上記のクリアベ−ス81.5重量部、水0.5重量部、および実施例5の液状の、凍結乾燥されていない顔料調製物(ペースト)18.04重量部を電動実験用ミキサーで10分間混合することによって、顔料入りコーティング組成物が調製された。
【実施例8】
【0079】
以下の成分、すなわち上記のクリアベ−ス81.72重量部、水6.85重量部、および実施例6の凍結乾燥された顔料調製物11.43重量部をエアミキサーで30分間混合することによって、顔料を添加されたコーティング組成物が調製された。
【0080】
比較例D
以下の成分、すなわち上記のクリアベ−ス80.3重量部および実施例6の液状の、凍結乾燥されていない顔料調製物(ペースト)19.7重量部を電動実験用ミキサーで10分間混合することによって、顔料を添加されたコーティング組成物が調製された。
【0081】
実施例7および8ならびに比較例CおよびDの最終コーティング組成物は、調製経路、すなわちもとの液状ペーストから直接の経路、または凍結乾燥された粉体からの経路にかかわらずそれぞれ同一であった。ヘグマンによる粉砕の結果は、すべてのコーティング組成物について10ミクロン未満であり、これは優れた再分散特性を示している。
【0082】
実施例7および8ならびに比較例CおよびDの組成物が、K−Control Coater塗布機(バー0.7、速度3)を使用して透明メリネックス(Melinex)シート上に施与され、室温で一晩放置乾燥された。該コーティングについての光沢および透明度の測定値が下の表3にまとめられる。
【表3】

【0083】
水で媒体された白色トナーモジュールを用いた50:50白色希釈物について、色特性が測定された。K−Control Coater塗布機(バー0.7、速度3)を使用してLeneta様式2Aの不透明カード上に、該希釈物が施与され、室温で一晩放置乾燥された。
【0084】
色特性が下の表4にまとめられる。
【表4】

【0085】
撹拌混入型顔料から誘導された塗料の最終膜特性は明らかに優れており、もとの顔料ペーストを用いている比較例の最終膜特性と実質的に異ならなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料および分散剤樹脂を含んでいる固形顔料調製物であって、顔料と分散剤樹脂との合計重量当たり、少なくとも35重量%の少なくとも1の顔料および最大でも65重量%の分散剤樹脂を含んでいる顔料調製物において、該分散剤樹脂が、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでおり、該分散剤樹脂が、30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有することを特徴とする顔料調製物。
【請求項2】
顔料分散剤樹脂の酸価が、該分散剤樹脂の非揮発性物質当たり5mgKOH/gを超えないことを特徴とする、請求項1に従う顔料調製物。
【請求項3】
分散剤樹脂が、100〜50,000g/当量の範囲にあるC=C当量を有することを特徴とする、請求項1または2に従う顔料調製物。
【請求項4】
分散剤樹脂のヒドロキシル価が、該分散剤樹脂の非揮発性物質当たり10〜300mgKOH/gの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に従う顔料調製物。
【請求項5】
分散剤樹脂が、
(i) 式(I)

(この式で、Rはアミン基との反応後のモノエポキシド化合物の残基であり、RはC〜Cアルキル基から選択され、nは0〜25であり、mは1〜50であり、ただしn+m≦50である。)
の親水性ポリアルキレンオキシドモノアミンモノアルキルエーテル、および
(ii) 電子欠乏性炭素−炭素二重結合を有するポリエステル骨格
の付加反応によって得られることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に従う顔料調製物。
【請求項6】
Rが、アミン基との反応後の、1〜20炭素原子を有するモノエポキシド化合物の残基であり、Rがメチル基であり、nが2〜4であり、かつmが16〜20であることを特徴とする、請求項5に従う顔料調製物。
【請求項7】
Rが、アミン基との反応後の、一般式(II)

(この式で、Rは4〜10炭素原子を有するアルキル基である。)
のモノエポキシド化合物の残基であることを特徴とする、請求項6に従う顔料調製物。
【請求項8】
a) 顔料および分散剤樹脂を、任意的に添加された水または有機希釈剤とともに、撹拌して、流動化された顔料スラリーが形成される段階、
b) 任意的に、該スラリーを粉砕する段階、および
c) 該スラリーを乾燥する段階
の段階を含む顔料調製物を調製する方法であって、該分散剤樹脂が、少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでおり、該分散剤樹脂が30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有することを特徴とする、方法。
【請求項9】
顔料が、プレスケーキの形態で用意された有機顔料であることを特徴とする、請求項8に従う方法。
【請求項10】
段階c)が、凍結乾燥またはスプレー乾燥によって実施されることを特徴とする、請求項8または9に従う方法。
【請求項11】
a)請求項1〜7のいずれか1項に従う顔料調製物、
b)少なくとも1の膜形成性バインダー、および
c)少なくとも1の液状希釈剤
を任意の実行可能な順番で撹拌しながら混合することを含む、顔料を添加されたコーティング組成物を調製する方法。
【請求項12】
少なくとも1のペンダントの親水性ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテル基を有するポリエステル骨格を含んでいる分散剤樹脂であって、30〜80重量%のアルキレンオキシド単位を含んでおりかつ1,000〜150,000の数平均分子量を有する分散剤樹脂を、撹拌混入型顔料調製物の調製のために使用する方法。

【公表番号】特表2009−510245(P2009−510245A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533997(P2008−533997)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066984
【国際公開番号】WO2007/039602
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】