説明

顔料

本発明は、基材および基材に施され金属鉄を含む鉄含有被覆を備える顔料に関する。本発明は、本発明顔料の製造方法およびその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材およびそれに施された金属鉄を含む鉄含有被覆を備える顔料、本発明の顔料の製造方法、ならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に多種多様な用途でのエフェクト顔料の使用が、重要性を増している。自動車部門、プラスチックの着色、化粧品、さらに印刷部門でも、エフェクト顔料がますます使用されるようになり、それによって着色された製品に、特別な光沢または特別な色彩効果を与えることを目的としている。一般に、エフェクト顔料は、例えば金属、雲母、またはSiO2、ガラスもしくはAl23の合成フレークを含む基材であり、例えば金属または金属酸化物を含む1以上の層で被覆されている。特に、金属酸化物は析出によって基材に施すことができ、実質的に化学的に不活性であるので、しばしば層材料に使用される。一般に使用される金属酸化物は、酸化鉄である。
【0003】
酸化鉄含有エフェクト顔料は、既知であり、例えば欧州特許第0307747号または欧州特許第0246523号に記載されている。酸化鉄(III)を用いる基材の被覆では、赤褐色のマストーンを有する顔料が得られる。酸化鉄(II)の被覆を備える顔料は、酸化物の割合に応じて、無光沢黒色顔料または光沢有色顔料のいずれかを生ずることも知られている。代わりになるものとして、欧州特許第1520883号に記載のとおり、Fe34で基材を被覆することによって、黒色顔料を得ることができる。所望の暗色のマストーンに加えて、酸化鉄含有顔料は、使用する酸化鉄の種類に応じて、例えば磁化可能であるなどの機能特性も有することができる。
【0004】
上述の顔料は、黒色のマストーンまたは高光沢のいずれかを示すが、これらの特徴の極めて望ましい組合せがないという欠点を有する。しかしながら、特に自動車の塗装の場合には、自動車メーカーおよび顧客の一部は、まさに高光沢で暗色塗装の車に大きな興味があるので、まさしくこの組合せが格別重要である。既知の技術的解決法におけるさらなる欠点は、所望の暗い色相、および隠ぺい力を生み出すために、黒色顔料としてカーボンブラックを加えなければならないことである。吸収剤および光散乱カーボンブラックは、光沢の損失の原因となる。
【0005】
既知の磁化可能な酸化鉄含有顔料の場合、この磁化能力が、常に暗色のマストーン、すなわち暗い−褐色、灰色または黒色と結びついていることも欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのために、無彩色のマストーンを有し、追加の興味深い光学効果および高光沢を有する新規な顔料に対する需要がある。加えて、広範な色スペクトルを有し、容易に磁化可能である、機能的、特に磁化可能な顔料に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、基材および金属鉄を含む被覆を備える顔料に関する。
【0008】
第1の実施形態において、本発明の顔料は、高光沢を有し、同時に色調−無彩色、好ましくは灰色〜黒色である。加えて、これらは例えば銀色または金色の高貴な外観の干渉を示す。加えて、金属鉄を含む被覆は、炭化水素や、例えばリチウム、ナトリウム、カルシウムもしくは他の金属などの金属を用いる還元に起因する炭素や他の不純物を含まない。本発明の顔料の用途では、加えて、ある暗い色相および/または隠ぺい力を生み出す目的でのカーボンブラックのさらなる添加は、完全にまたは部分的に省略することができる。したがって、様々な暗色の配合物において、本発明の顔料でカーボンブラックを部分的にまたは完全に置換することができる。
【0009】
第2の実施形態において、本発明の顔料は、磁化可能で、灰−黒色もしくはカラーのマストーンを有し、および/または着色干渉の色彩効果を示し、同時に高い隠ぺい力を有する。加えて、それらは任意に、いわゆるカラーフロップ効果、すなわち照度および/または見る角度で変化する色彩効果も有することができる。
【0010】
本発明は、最外層として酸化鉄含有被覆を有し、所望により1以上の層で被覆された基材を、窒素および水素を含むガス混合物中で反応させて、金属鉄を生成させ、場合によって、1以上の追加の層で被覆する、本発明による干渉顔料の製造方法にも関する。
【0011】
本発明の顔料は、様々な用途で使用することができる。そのため、本発明は、化粧品、表面被覆、インク、プラスチック、フィルムにおいて、セキュリティ(安全確保)用途において、レーザーマーキング、種子の着色、食品の着色において、または医薬品の被覆において、あるいは顔料組成物および乾燥調合剤の製造のために、本発明の干渉顔料を使用することにも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の顔料は、好ましくは薄片状の基材で、合成もしくは天然雲母、フィロケイ酸塩、ガラス、ホウケイ酸塩、SiO2、Al23、TiO2、黒鉛、および/またはBiOClを含むことができる基材をベースにしている。特に、基材は薄片状雲母、薄片状ガラス、薄片状SiO2または薄片状Al23である。
【0013】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、および/またはこれらの混合物を含む1以上の層を、本発明の顔料内の金属鉄を含む被覆と基材の間に更に存在させることができる。
【0014】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物の層またはこれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)でも高屈折率(屈折率≧1.8)でもよい。適当な金属酸化物および金属酸化物水和物は、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素、二酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特に二酸化チタン、酸化チタン水和物および例えばイルメナイト、もしくは擬板チタン石などのこれらの混合物などの層として施されるすべての金属酸化物または金属酸化物水和物である。使用することができる金属亜酸化物は、例えば亜酸化チタンである。適当な金属は、例えばクロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、または合金であり、適当な金属フッ化物は、例えばフッ化マグネシウムである。使用することができる金属窒化物または金属酸窒化物は、例えば金属チタン、ジルコニウムおよび/もしくはタンタルの窒化物または酸窒化物である。好ましくは、金属酸化物、金属、金属フッ化物、および/または金属酸化物水和物の層、ならびに非常に特に好ましい金属酸化物および/または金属酸化物水和物の層を基材に施す。さらに、高屈折率および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物の層を含む多層構造は、高屈折率層と低屈折率層を好ましくは交互に存在させてもよい。特に、交互に高屈折率層と低屈折率層を有する多層構造を備える顔料は、異なる角度から見るとカラーフロップを有することができる。金属鉄を含む被覆での本発明の顔料が、低いまたは中位の割合の金属鉄しか有していないとしても、適当な基材および金属鉄を含む適当な層の厚さの被覆を有することで、これらの顔料のカラーアピアランス、ならびに異なる角度から見たときのカラーフロップも、基材および金属鉄を含む層とは別に存在しなければならない別の層なしに得ることもできる。
【0015】
また、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物および/またはこれらの混合物を含む1以上の追加の層を、本発明の顔料中の金属鉄を含む層上に存在させることもできる。上述した材料を本発明で使用する。特に好ましいのは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物の層である。
【0016】
複数の追加の層が金属鉄を含む層上に位置すると、高屈折率層と低屈折率層が交互になるように層構造を設計するのもまた有利である。本発明の最外層については、前記高屈折率材料の1種からなるのが好ましい。金属鉄を含む層上のこの種類の層構造により、着色干渉の色彩を有する不透明顔料を生成することができる。上述の多層構造を使用するとすれば、照明および/または見る角度に応じて、興味深い色の相互作用をさらに認めることができる。
【0017】
適当な高屈折率の材料は、具体的に例えばTiO2、ZrO2、ZnO、SnO2および/またはそれらの混合物である。TiO2が、特に好ましい。ここでこれらの層の厚さは、いずれの場合も約3〜300nmであり、好ましくは20〜200nmである。
【0018】
適当な低屈折率の材料は、具体的に例えばSiO2、SiO(OH)2、Al23、AlO(OH)、B23、MgF2および/またはこれらの混合物である。SiO2が特に好ましい。これらの材料を含む個々の層の厚さは、3〜300nmであり、好ましくは20nmを超え200nmまでの厚さである。
【0019】
原則として、例えば合金、金属間化合物、新規酸化物系組成物の新しい相の生成をもたらす反応は、金属鉄を含む被覆と追加の層との間の相界面で起こる可能性がある。
【0020】
追加の層の材料およびこれらの層の厚さに応じて、本発明の顔料は、半透明または不透明である可能性がある。原則として、本発明で顔料が不透明になればなるほど、鉄含有被覆中の金属鉄の割合は高くなる。
【0021】
加えて、本発明の顔料は、多くの用途、特に様々なセキュリティ用途にとって興味深い別の特性も有することができる。それと共に、鉄含有被覆中に適正含有量の金属鉄を供給することにより、導電性または磁化可能な顔料も得ることができる。これは被覆中に比較的高い含有量の金属鉄を有する顔料の場合に、特にあてはまる。
【0022】
この種類の導電性および/または磁化可能な顔料は、セキュリティ特性にとって特に興味深く、したがって偽造防止のために、すべての種類の有価証券に好んで利用されている。
【0023】
顔料は印刷用インクで特に簡単に使用することができ、したがって有価証券の大量生産を簡単に実施できるので、補助(色、カラーフロップ)なしに目に見える特徴と隠れた特徴(電気伝導率、磁化能力)の組合せは、しばしば本発明の顔料の望ましい特性である。このように、光学的に印象的で、コピーするのが困難な(カラーフロップ)印刷イメージを得ることができるが、同時にそれらにより製造される磁化可能な信号またはそれ自身がランダムパターンを有する印刷イメージから現れる磁化可能なトラックによって、機械で分析することもできる。
【0024】
本発明の顔料の電気伝導性は、好ましくはまた顔料の色特性と組み合わせて、セキュリティ用途において有利に利用することもできる。
【0025】
使用する基材の形状およびサイズは、それ自体それほど重要ではない。基材は不規則な形状、球状または薄片状であってよい。球状の基材は、例えばSiO2またはガラスからなり、直径0.2〜10μmであり、好ましくは0.5〜5μmである。基材は、好ましくは薄片状である。一般に薄片状基材は、0.05〜5μm、特に0.1〜4.5μmの厚さを有する。例えばSiO2またはガラスなどの合成的に製造した基材は、とりわけ、様々な色特性のために様々な厚さで製造することができるという利点を本発明において有する。干渉顔料の長さまたは幅のサイズは、1〜250μmでよく、好ましくは2〜200μmの範囲であり、非常に特に好ましくは2〜100μmの範囲である。基材のサイズおよび厚さは、具体的な用途の要求に適合させることができる。
【0026】
前記基材は、金属鉄を含む鉄含有被覆を備え、好ましくはこれが外側の光学活性層としての機能を果たす。鉄含有被覆の層の厚さは、1〜300nmであり、好ましくは1〜100nmである。鉄含有被覆中の金属鉄の割合は、鉄含有被覆に対し、10〜100重量%であり、好ましくは30〜99重量%であり、特に60〜85重量%である。鉄含有被覆中の金属鉄は、非常に特に好ましくはFeOおよび/またはFe34との組合せで存在する。加えて、さらに例えばTiO2、イルメナイトまたは擬板チタン石などの単純なまたは複雑な金属酸化物も、鉄含有被覆中に存在することができる。
【0027】
鉄含有被覆は、特に雲母、ガラス、SiO2またはAl23を含む薄片状基材に、好ましくは直接施す。例えば10〜100重量%の割合の金属鉄を有する鉄含有被覆が薄片状SiO2基材上に存在するとすれば、基材および鉄含有被覆の層の厚さに応じて様々なカラーフロップ(例えば赤金色または金緑色)を有し、さらに高隠ぺい力を有し、同時に導電性および/または磁化可能である顔料が得られる。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明の顔料は、追加の無機および/または有機被覆を備えることができる。このような被覆の例は、例えば欧州特許第0632109号、米国特許第5759255号、独国特許第4317019号、独国特許第3929423号、独国特許第3235017号、欧州特許第0492223号、欧州特許第0342533号、欧州特許第0268918号、欧州特許第0141174号、欧州特許第0764191号、国際公開第98/13426号または欧州特許第0465805号に提示されており、これにより、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込んだものとする。例えばオルガノシランまたは有機チタン酸塩または有機ジルコン酸塩を含む有機被覆を備える顔料は、前述した光学特性に加えて、さらに例えば湿気および光などの屋外暴露の影響に対して安定性の増大を示すが、この安定性はとりわけ工業用被覆および自動車産業部門において、特別の関心事である。安定化は追加の被覆の無機成分によって向上させることができる。加えて、追加の被覆が無機材料、特にケイ素、アルミニウム、亜鉛、スズ、セリウムおよび/またはジルコニウム元素の酸化物ならびに酸化物水和物をベースとすることもできる。全体として、追加の安定化被覆に対するそれぞれの割合は、本発明の顔料の光学特性が大きく影響されないように選択するべきである。
【0029】
本発明の顔料は、窒素および水素を含む還元ガス混合物中で、最外層として酸化鉄含有被覆を有し、任意に追加の1以上の層で被覆された基材を反応させて、金属鉄を生成させ、場合によって、このような方法で得られた顔料に1以上の追加の層でさらに被覆することによって得ることができる。これは金属鉄を含む鉄含有被覆を備えることを容易にし、金属鉄を含む層を基材上に直接に、その他の層の間に、または基材上の最外層として位置させることができる。
【0030】
一般に、光輝顔料における金属酸化物層の還元は、例えば独国特許第19953655号、独国特許第19843014号、独国特許第19822046号、独国特許第19618562号、独国特許第19511697号または独国特許第19511696号で知られている。しかしこれら文献で述べられた還元方法は、本発明による方法とは操作において顕著に異なる。他の還元剤、例えばアンモニア、炭素、炭化水素または金属がしばしば使用されている。これら還元剤の使用の顕著な欠点は、還元剤特に炭素で還元した層の汚染であり、本当に望まれている色彩効果に望ましくない変化を起こす。金属を使用する還元も、同様に顔料の特性に望ましくない変化を生じさせる恐れのある追加成分も被覆中に導入される欠点がある。
【0031】
また、最上層として存在する二酸化チタンの還元により、青味がかった色を有する亜酸化チタンが生成するが、これは従来技術のすべての顔料で起こっていた。これらの着色亜酸化物が、還元の主な標的である。酸化鉄含有被覆の金属鉄への還元は、知られていない。Fe34またはFeOなどの酸化鉄が、通常還元で最初に生成するので、本発明の顔料を、この方法で得ることができるとは予想されていなかった。
【0032】
本発明による上述の顔料の製造方法においては、酸化鉄含有被覆で被覆され、基材と酸化鉄含有層との間に1以上の追加の層を任意に備えていてもよい基材を、窒素および水素を含む還元ガス混合物中で反応させ、金属鉄が生成する。この方法では、金属鉄を含む被覆が確実に炭素を含まない。酸化鉄含有被覆に存在する酸化鉄は、好ましくは酸化鉄(III)である。酸化鉄(III)含有被覆は当業者に既知の方法で、例えば水溶液または水/溶媒混合物中で対応する鉄塩からの沈殿による湿式化学法によって生産することができる。この種類の沈殿は、例えば独国特許第2313331号で知られている。
【0033】
反応に使用する窒素および水素を含むガス混合物は、2.5〜25体積%、特に4〜10体積%、および非常に特に好ましくは5〜8体積%の範囲の水素含有量を有する。
【0034】
酸化鉄含有被覆の還元は、400〜1000℃、好ましくは500〜900℃および特に好ましくは550〜850℃の温度で実施する。焼成継続期間は、15〜240分であり、好ましくは30〜120分であり、および特に30〜90分である。
【0035】
この方法で得られた顔料は、その後必要であれば、1以上の追加の層で被覆することもでき、これらの組成はすでに上述している。これらの層は、任意に同様に基材上で酸化鉄含有層より下に存在する層のように、例えば水溶液中で対応する鉄塩からの沈殿による湿式化学法、流動層中で有機金属化合物からの析出、およびCVD法またはPVD法などの既知の方法により施すこともできる。この種類の方法は、通常顔料基材の被覆に使用され、例えば独国特許第1467468号、独国特許第1959988号、独国特許第2009566号、独国特許第2214545号、独国特許第2215191号、独国特許第2244298号、独国特許第2313331号、独国特許第2522572号、独国特許第3137808号、独国特許第3137809号、独国特許第3151343号、独国特許第3151354号、独国特許第3151355号、独国特許第3211602号、独国特許第3235017号に記載されている。
【0036】
加えて、本発明による同様の方法で、無機および/または有機被覆を追加的に外層として施すこともできる。この種類の被覆法の例は、とりわけ欧州特許第0632109号、米国特許第5759255号、独国特許第4317019号、独国特許第3929423号、独国特許第3235017号、欧州特許第0492223号、欧州特許第0342533号、欧州特許第0268918号、欧州特許第0141174号、欧州特許第0764191号、国際公開第98/13426号または欧州特許第0465805号に提示されている。有機被覆の例およびそれに関連した利点は、本発明の顔料の構造の中に、すでに上述されている。有機被覆を施す方法のステップは、本発明による方法のその他のステップの後、直ちに実施することができる。ここで施される物質は、顔料全体の0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の重量比率で含まれるに過ぎない。
【0037】
本発明の顔料は、用途が広く、多くの分野で使用することができる。それゆえに本発明は、同様に化粧品、表面被覆、インク、プラスチック、フィルムにおける、セキュリティ用途における、種子の着色、食品の着色における、医薬品の被覆における、レーザーマーキング、ならびに顔料組成物および乾燥調合剤の製造における本発明の顔料を使用することに関する。
【0038】
化粧品の場合、本発明の顔料は、例えばマニキュア、カラーパウダー、口紅、またはアイシャドーなどの装飾用化粧品、石鹸、歯磨き粉等々の製品および配合物に特に適している。本発明による干渉顔料は、当然配合物中ですべての種類の化粧品原料および助剤と配合することもできる。これらに含まれるものは、とりわけ、油、脂肪、ワックス、皮膜形成剤、防腐剤ならびに塗布特性を一般に決定する助剤、例えば増粘剤およびレオロジー添加剤、例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭化水素、および/または表面活性助剤等々などである。本発明による干渉顔料を含む配合物は、親油性、親水性または疎水性タイプに属してもよい。不連続の水相および非水相を有する不均一な配合物の場合には、本発明による粒子は、各場合で2相のうち一方のみに存在してもよく、または代わりに両相にわたり分布していてもよい。
【0039】
水性配合物のpH値は、1〜14であってよいが、好ましくは2〜11であり、および特に好ましくは5〜8であるとよい。配合物中の本発明による干渉顔料濃度は、何の制限もされない。その濃度は、用途に応じて、0.001%(水で洗い流す製品、例えばシャワー用ジェル)〜99%(例えば特殊用途のための光沢効果用品)である。本発明による干渉顔料は、さらに化粧用活性化合物と配合することもできる。適当な活性化合物は、例えば防虫剤、UV A/BC保護フィルター(例えばOMC、B3、MBC)、老化防止活性化合物、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンA、C、E等々)、セルフタンニング剤(例えばとりわけDHA、エリトルロース)ならびに例えばビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、ビオフラボノイドおよびこれらの誘導体などの他の化粧用活性化合物である。
【0040】
顔料を表面被覆およびインクにおいて使用する場合、当業者に既知のすべての領域で応用が可能であり、例えば粉末被覆、自動車用ペイント、印刷用インクとしてグラビア、オフセット、スクリーン、またはフレキソ印刷用のもの、および屋外用途における表面被覆などが可能である。印刷用に使用される本発明の顔料は、好ましくは薄片状基材をベースにしている。本発明による表面被覆およびインクは、例えば放射線硬化、物理的乾燥または化学的硬化であってよい。印刷用インクまたは液状表面被覆剤を製造するためには、例えばアクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチラート、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、デンプン、もしくはポリビニルアルコール、アミノ樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物をベースとする多種類のバインダーが、特に水溶性タイプにおいて適している。表面被覆は、粉末被覆または水もしくは溶剤ベースの被覆であってもよく、被覆成分の選択は、当業者の通常の知識に従う。粉末被覆のための一般的な高分子バインダーは、例えばポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、アクリレートまたはこれらの混合物である。
【0041】
加えて、本発明の顔料は、フィルムおよびプラスチック、例えば農業用シート、赤外線反射フィルムおよびシート、ギフト用ホイル、プラスチック容器ならびに当業者に既知のすべての用途のための成形品に使用することができる。本発明による干渉顔料の混合に適したプラスチックは、すべての一般的なプラスチック、例えば熱硬化性または熱可塑性プラスチックである。可能な応用および使用することができるプラスチック、加工方法ならびに添加剤は、例えばRD472005またはR.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel、Perlglanzpigmente 「Pearlescent Pigments」、Curt R.Vincentz Verlag、1996、83ff.に記載されており、その開示内容は、本明細書中に組み込んだものとする。
【0042】
すでに上述のように、本発明の顔料は、特にセキュリティ用途で有利に使用することができる。本明細書のセキュリティ用途とは、製品の真正性を明白にし、および/もしくは偽造防止のために、アクセス認可を安全にするため等々に使用するセキュリティ特性を製品に提供するすべての用途、またはこれらの特性を照合するための装置および測定器の使用を意味しているとする。
【0043】
本発明の顔料は、好ましくは有価証券のセキュリティ特性に使用することができる。有価証券とは、銀行券、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、本人確認書類、アクセス認可身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、郵便切手、ラベル、シールなどの製品を意味する。しかし、本発明の顔料は、例えば医薬品、食品、香水、たばこなどの包装などの包装材料のセキュリティ特性に、または例えば直接に、衣類、靴、家庭用品、家庭用電化製品などの日用品のセキュリティ特性に使用することもできる。顔料を含むことができるすべての形態のセキュリティ特性に適しており、例えばラベル、全領域または部分領域被覆、印刷、ホログラフィック素子等々がある。本発明でのセキュリティ特性は、単層または多層構造を有してもよく、同様のまたは異なる種類の1種以上の他のセキュリティ特性と組み合わせて存在してもよい。
【0044】
本発明の顔料は、従来の印刷用インクに良好に分散させることができ、セキュリティ特性の製造のために非常に可変的な印刷方法を用いることができるので、好ましくはセキュリティ印刷のための印刷用インクに使用する。
【0045】
しかし本発明の顔料は、セキュリティ製品のためのベースの材料、例えば紙に、ボード、ボール紙などの紙状物質に、ならびに/またはプラスチックの中に、首尾よく直接混合することもできる。本発明で顔料のランダム分布を達成し、最終製品の光学および/または機能特性から検出することができる。
【0046】
すでに上述のように、本発明の顔料に存在する可視特性と機能特性(磁化能力、電気伝導度)の組合せは、特にセキュリティ用途で有利に使用することができる。その結果、薄片状基材を有し、かつ着色している本発明の顔料、および特に異なる角度から見ると被覆にカラーフロップを示すこれらを、セキュリティ用途のために使用することが好まれる。この特性のみが、容易にわかり、コピー機を用いてコピーすることができない色彩設計を有する本発明の顔料を含む印刷イメージ、被覆等々を提供する。
【0047】
また、顔料の機能特性は、この特性(例えば電気伝導性、磁化能力)を定性的におよび/もしくは定量的に検出するか、あるいはパターン、ライン、ロゴ、英数字等々の形での被覆を介して検出するかにも使用でき、更に本発明の顔料を用いての全体または部分的な製造を通して、後者を機械可読にするためにも使用することができる。自然光または人工光の作用の下で見たとき、印刷イメージが有利に光学的に可変であり、すなわちカラーフロップを有していて、機械にのみ可視可能および/または検出可能である電気伝導性または磁化能力を有する「フィンガープリント」を含んでいると、例えば文書の真正性をそれに従って証明することができ、文書にさらなるセキュリティ要素を提供する。「フィンガープリント」については、予め定めた領域に各顔料の印刷イメージが、印刷の間に機会が生じるにつれて単にあるだけで十分である。この種類のランダムイメージは、製品の製造の間にコンピュータにより技術的に記録することができ、これらの製品の後の真正性を照合する間に再びデータから呼び出すことができる。また、本発明の顔料を含む被覆は、従来の固定磁石を使用し、未だ湿った状態で、記載およびコード化することができ、可視可能で機械可読でもあるセキュリティ特性を作り出すことを可能にする。
【0048】
適当な基材および適当な層の厚さを備えた本発明の顔料が、所望の光学特性(カラーフロップ)と所望の機能特性の両方を持ち合わせていることは特に有利である。この目的のために特に適しているのは、十分に透明な、例えば雲母、ガラスまたはSiO2を含む薄片状基材を有している本発明の顔料である。
【0049】
顔料は、農業分野では種子および他の出発原料の着色に、加えて食品分野では食品の着色に使用することができる。本発明の顔料は、例えば錠剤または糖衣錠などの医薬品被覆の着色にも同様に使用することができる。
【0050】
例えば、Ullmann、第15巻、457頁以下、Verlag VCHに記載されているような既知のすべての熱可塑性プラスチック、ならびに既知のすべての種類および組成の紙は、本発明の顔料を用いるレーザーマーキングに使用することができる。適当なプラスチックは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステル−エステル、ポリエーテル−エステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンならびにこれらのコポリマーおよび/または混合物である。
【0051】
プラスチック顆粒と干渉顔料を混合し、その後加熱作用の下で混合物を成形することにより、熱可塑性プラスチックの中に本発明の顔料を混合する。干渉顔料を混合している間に、稼働状態下で温度安定性があり、当業者に既知であるすべての接着剤、ポリマー相溶性有機溶媒、安定剤および/または界面活性剤を、プラスチック顆粒に加えることができる。着色プラスチック顆粒は、一般にプラスチック顆粒を適当な混合機の中に導入し、顆粒をすべての添加剤で湿潤し、その後干渉顔料に加えて、混合することによって製造する。その後、この方法で得られた混合物は、直接に押出機または射出成型機の中で加工処理することができる。続いてマーキングは、適当な放射線を使用して実施する。
【0052】
紙の場合、顔料は被覆および/または製紙用パルプの中に混合することができる。
【0053】
マーキングの間、一般に使用される好ましい高エネルギー放射線は、波長157〜10,600nmの範囲であり、特に300〜10,600nmの範囲である。本明細書では、例えば、CO2レーザー(10,600nm)、Nd:YAGレーザー(1064nmもしくは532nm)または紫外パルスレーザー(エキシマレーザー)を挙げることができる。エキシマレーザーは以下の波長を有する:F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrClエキシマレーザー(222nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、XeClエキシマレーザー(308nm)、XeFエキシマレーザー(351nm)、355nm(周波数−3倍)または265nm(周波数−4倍)の波長を有する周波数−複数倍Nd:YAGレーザー。特に好ましいのは、Nd:YAGレーザー(1064nmまたは532nm)およびCO2レーザーの使用である。使用するレーザーのエネルギー密度は、一般に0.3mJ/cm2〜50J/cm2の範囲であり、好ましくは0.3mJ/cm2〜10J/cm2である。
【0054】
レーザー刻印は、試験片をパルスレーザー、好ましくはCO2レーザーまたはNd:YAGレーザーの光路上に導入することによって実施する。さらに、エキシマレーザーを使用し、例えばマスク技術を用いることで刻印が可能である。しかし、使用するレーザー光吸収物質が高い吸収率を示す範囲の波長を有するものであれば、従来のタイプの他のレーザーを使用しても、所望の結果を達成することができる。得られるマーキングは、照射時間(またはパルスレーザーではパルス数)およびレーザーの照射パワーにより、ならびに使用するプラスチック系または被覆系により決定される。使用するレーザーのパワーは、具体的な用途に応じて、当業者であれば個別に容易に決定することができる。
【0055】
パルスレーザーの使用においては、パルス周波数は、一般に1〜30kHzの範囲である。本発明による方法で使用することができるふさわしいレーザーは、市販されている。
【0056】
本発明の顔料は、上述のすべてのプラスチックおよび紙にレーザーマーキングするために使用できる。この方法で着色したプラスチックは、電気、電子および自動車産業で成型品として使用することができる。レーザー刻印のさらに重要な利用分野は、非常に多種多様な種類の有価証券および動物の個体識別用のプラスチックタグである。本出願でのレーザーマーキングの場合、プラスチック中の顔料の割合は、0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%であり、特に0.1〜3重量%である。本発明の顔料で着色されたプラスチックからなる包装材、電線、キーキャップ、装飾用ストリップ、ならびに加熱、換気および冷却領域での機能性部品、またはスイッチ、プラグ、レバーおよびハンドルについてのラベル貼付や刻印は、レーザー光を用いてようやく届くような場所でも実施することができる。マーキングは、耐摩耗性および耐擦過性を有し、後工程の滅菌プロセスに耐えるものであって、マーキングプロセスでも衛生的に清潔な方法で実施できるという点で格別なものである。
【0057】
上述の利用範囲において、本発明の顔料は、同様に既知のすべての有機もしくは無機染料および/または顔料と混合して使用するのに適している。有機顔料および染料は、例えばモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、多環式顔料、陽イオン性、陰イオン性または非イオン性染料である。無機染料および顔料は、例えば白色顔料、有色顔料、黒色顔料またはエフェクト顔料である。適当なエフェクト顔料の例は、金属−エフェクト顔料、真珠光沢顔料、または干渉顔料であり、一般に雲母、ガラス、Al23、Fe23、SiO2等々をベースにした単層被覆または多層被覆フレークをベースにしている。前記顔料の構造および特別な特性の例は、例えばRD471001またはRD472005に提示されていて、これにより、その開示内容を、参照により本発明に組み込んだものとする。加えて、本発明の顔料と混合するのに適したさらなる着色剤は、発光染料および/もしくは顔料ならびにホログラフィック顔料またはLCPs(液晶高分子)である。本発明の顔料は、市販の顔料および充填剤といかなる比でも混合することができる。
【0058】
顔料が暗色のマストーンを有しているとすれば、隠ぺい力の発現のためにカーボンブラックの代わりに様々な配合物に使用することもできる。
【0059】
充填剤の例は、例えば天然および合成雲母、ナイロン粉末、純粋もしくは充填剤入りメラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリンに、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の酸化物もしくは水酸化物、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、およびこれらの物質の物理的または化学的組合せである。充填剤の粒子形状に関する制限はない。充填剤は要求に合わせて、例えば薄片状、球形または針状でもよい。
【0060】
さらに本発明の顔料は、1種または複数種の本発明による粒子、バインダーおよび任意に1種または複数種の添加剤を含む流動性顔料組成物および乾燥調合剤の製造に適している。乾燥調合剤とは、0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%、特に3〜6重量%の水および/または溶媒もしくは混合溶媒を含む製剤を意味しているものとする。乾燥調合剤は、好ましくはペレット、顆粒、チップ、ソーセージ、または豆炭の形状で、0.2〜80mmの粒径を有する。乾燥調合剤は、特に印刷用インクの製造および化粧品配合物に使用される。
【0061】
上記のすべての特許出願、特許および刊行物の完全な開示内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0062】
次の実施例は、本発明をさらに詳細に説明することを意図するもので、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1
粒径10〜60μmの雲母100gを、脱塩水1.9l中で撹拌しながら75℃に加熱する。懸濁液のpHを、10%塩酸を使用して3.0に調整する。その後、30%FeCl3溶液200gを計量して加え、この間、pHは32%水酸化ナトリウム溶液を同時に滴下して加えることによって一定に保つ。生成物をろ過して、洗浄し、乾燥し、さらに窒素および水素(水素の割合:8体積%)を含むガス混合物中750℃で還元して、銀色干渉、灰色〜黒色のマストーンおよび高光沢を有し、その被覆が74重量%の金属鉄からなる光沢顔料を生成する。
【0064】
実施例2
粒径10〜60μmの雲母100gを、脱塩水1.9l中で撹拌しながら75℃に加熱する。懸濁液のpHを、10%塩酸を使用して3.0に調整する。その後30%FeCl3溶液300gを計量して加え、この間、pHは32%水酸化ナトリウム溶液を同時に滴下して加えることによって一定に保つ。生成物をろ過して、洗浄し、乾燥し、さらに窒素および水素(水素の割合:8体積%)を含むガス混合物中600℃で還元して、金色着色干渉、灰色〜黒色のマストーンおよび高光沢を有し、その被覆が26重量%の金属鉄からなる光沢顔料を生成する。
【0065】
実施例3
実施例2からの乾燥顔料を、窒素および水素(水素の割合:8体積%)を含むガス混合物中800℃で還元して、金色着色干渉、灰色〜黒色のマストーンおよび高光沢を有し、その被覆が80重量%の金属鉄からなる光沢顔料を生成する。
【0066】
実施例4
粒径10〜60μmのSiO2フレーク(厚さ365nm)100gを、脱塩水1.9l中で撹拌しながら85℃に加熱する。懸濁液のpHを、10%塩酸を使用して2.8に調整する。その後7%FeCl3溶液1149gを計量して加え、この間、pHは32%水酸化ナトリウム溶液を同時に滴下して加えることによって一定に保つ。生成物をろ過して、洗浄し、乾燥し、さらに窒素および水素(水素の割合:8体積%)を含むガス混合物中700℃で還元し、赤色から金色までを発するカラーフロップおよび高光沢を有し、その被覆が44.5重量%の金属鉄からなる不透明な光沢顔料を生成する。
比較例(欧州特許第0246523号に対応)
粒径10〜60μmの雲母100gを、脱塩水2.5l中で撹拌しながら80℃に加熱する。懸濁液のpHを、15%水酸化ナトリウム溶液を使用して8.0に調整する。その後、600gのFeSO4*7H2O、濃硫酸50mlおよび水2000mlからなる溶液、ならびに150gのKNO3および水2000mlからなる2番目の溶液を、同時に1時間にわたって計量して加え、この間、pHは15%水酸化ナトリウム溶液を加えることによって一定に保つ。生成物をろ過して、洗浄し、さらに100℃で3時間乾燥して、被覆が100重量%の磁鉄鉱からなる無光沢、つや消し、黒色顔料を生成する。
レーザーマーキング
PP顆粒(DSM製のPP−HD、Stamylan PPH 10)は、実施例1からの顔料0.1重量%を加え、射出成型することによって加工処理する。その後、得られた成型品(プレートレット)を、SHT−Nd:YAGレーザーを用いて刻印する。パルス周波数2.5kHzおよび書き込み速度300mm/sで、プレートレットは黒色、高コントラストおよび耐摩耗性の刻印を示す。エネルギー密度の増加に伴って、刻印は次第に濃くなっていく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材および金属鉄を含む被覆を備える顔料。
【請求項2】
最外層として酸化鉄含有被覆を有し、所望により追加の1以上の層で被覆されている基材を、窒素および水素を含む還元ガス混合物中で反応させ、金属鉄を生成させ、所望によって、1以上の追加の層でさらに被覆することにより得られる請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
鉄含有被覆中の金属鉄の割合が、鉄含有被覆を基準として10〜100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の顔料。
【請求項4】
鉄含有被覆中の金属鉄が、FeOおよび/またはFe34との組合せで存在することを特徴とする請求項1から3の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項5】
基材が酸化チタン、合成もしくは天然雲母、フィロケイ酸塩、ガラス、SiO2、Al23、黒鉛、および/またはBiOClを含むことを特徴とする請求項1から4の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項6】
基材が薄片状であることを特徴とする請求項1から5の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項7】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、および/またはこれらの混合物を含む1以上の層が、金属鉄を含む被覆と基材との間に更に存在することを特徴とする請求項1から6の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項8】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、および/またはこれらの混合物を含む1以上の層が、金属鉄を含む被覆上に更に存在することを特徴とする請求項1から7の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項9】
その外層として追加の無機および/または有機被覆を更に備えていることを特徴とする請求項1から8の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項10】
最外層として酸化鉄含有被覆を有し、所望により追加の1以上の層で被覆されている基材を、窒素および水素を含む還元ガス混合物中反応させて、金属鉄を生成させ、所望により1以上の追加の層で被覆する、請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料の製造方法。
【請求項11】
窒素および水素を含むガス混合物中の水素の割合が2.5〜25体積%であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
400〜1000℃の温度で還元を実施することを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
無機および/または有機被覆を外層として更に施すことを特徴とする請求項10から12の一項または複数項に記載の方法。
【請求項14】
化粧品、表面被覆、インク、プラスチック、フィルムにおける、セキュリティ用途における、種子の着色における、食品の着色における、レーザーマーキングにおける、または医薬品の被覆における、または顔料組成物および乾燥調合剤の製造のための請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料の使用。
【請求項15】
請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料が、有機もしくは無機染料および/または顔料を有する混合物中に存在することを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
有価証券、特に銀行券、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、本人確認書類、アクセス認可身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、郵便切手、ラベル、シール、包装材料、特に医薬品、食品、香水、たばこの包装、または日用品、特に衣類、靴、家庭用品、家庭用電化製品が、請求項1から9の一項または複数項に記載の少なくとも1種の顔料を含む少なくとも1種のセキュリティ特性を備えていることを特徴とする請求項14に記載のセキュリティ用途。
【請求項17】
セキュリティ特性が、請求項1から9の一項または複数項に記載の少なくとも1種の顔料を含む印刷インクを使用して印刷される印刷セキュリティ特性であることを特徴とする請求項16に記載のセキュリティ用途。
【請求項18】
セキュリティ特性が、請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料を、紙、ボード、ボール紙、および/またはプラスチックのベース材料に直接混合し、それらの中およびそれらから製造された最終製品中にランダムに分配することからなることを特徴とする請求項16に記載のセキュリティ用途。
【請求項19】
セキュリティ特性が機械可読性であることを特徴とする請求項16から18の一項または複数項に記載のセキュリティ用途。
【請求項20】
請求項1から9の一項または複数項に記載の少なくとも1種の顔料を含む少なくとも1種のセキュリティ特性を備えている、有価証券、具体的には銀行券、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、本人確認書類、アクセス認可身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、郵便切手、ラベル、シール、包装材料、具体的には医薬品、食品、香水、たばこの包装、または日用品、具体的には衣類、靴、家庭用品、家庭用電化製品。
【請求項21】
同種のまたは異種の少なくとも1種の更なるセキュリティ特性を備えている請求項20に記載の有価証券、特に銀行券、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、本人確認書類、アクセス認可身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、郵便切手、ラベル、シール、包装材料、特に医薬品、食品、香水、たばこの包装、または日用品、特に衣類、靴、家庭用品、家庭用電化製品。


【公表番号】特表2008−546895(P2008−546895A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518668(P2008−518668)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005802
【国際公開番号】WO2007/000253
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】