顔面装着具および顔面装着具用バンド
【課題】止め部材を紛失することがなく、使用者がきつめに装着した場合に、装着感が悪くなることなく、痛みを感じることなく、使用者が幼児や老人等である場合にも抵抗なく使用することができ、非常に簡単に係合操作を行うことができる顔面装着具およびバンドを提供する。
【解決手段】装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなり、前記雌バンド2を、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとし、前記雄バンド3を、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとし、前記雌体22と雄体32とを係合可能とした。
【解決手段】装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなり、前記雌バンド2を、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとし、前記雄バンド3を、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとし、前記雌体22と雄体32とを係合可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水泳、スキーなどのスポーツをするときや、オートバイの運転などをするときに着用するゴーグル、塵埃等の有害物質の侵入を防止するために使用する防塵マスクを始めとする各種の顔面装着具および顔面装着具用バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の顔面装着具としては、例えば図11に示したような水泳用ゴーグルが存在する。この水泳用ゴーグルは、縄具51、52とリム本体53、54を組合わせ、この縄具51、52の端部にそれぞれ形成された二つの偏平端55、56に相互に係合可能な第一止め具57と第二止め具58が設けられている。そして、この第一止め具57と第二止め具58により二つの単一のリム本体53、54の縄具51、52を連結して一体としたものとしている(特許文献1)。
【0003】
さらに、この種の顔面装着具としては、例えば図12に示したようなマスクが存在する。このマスクは、横長の弾性薄板片61の後端部に、マスク62の締め紐63の一方を着脱自在として取り付けるようにし、さらにこの弾性薄板片61に設けた複数段の引っ掛け部64に、マスク62の締め紐63のもう一方を係脱自在として取り付けるようにしたものとしている(特許文献2)。
【特許文献1】実用新案登録第3067028号公報(第10頁、図2)
【特許文献2】特開平10−201866号公報(第2頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記図11に示した従来の水泳用ゴーグルでは、縄具51、52と第一止め具57、第二止め具58が別体として構成されているため、これらどうしの連結が緩んでしまったり、またこれらの連結を緩んだままにしておくと、縄具51、52から第一止め具57や第二止め具58が外れて紛失してしまう虞れがあるという問題点を有していた。特に、使用者が幼児や老人等である場合には、縄具51、52と第一止め具57、第二止め具58との連結が緩んだのに気づかず、そのままにしておくことが多く、第一止め具57や第二止め具58が外れて紛失してしまうことがある。
【0005】
さらに、上記従来の水泳用ゴーグルでは、縄具51、52については使用者の側頭部等への接触を柔らげるために、軟質の弾性体からなるものとしているが、第一止め具57、第二止め具58は連結時の耐久性や強度性を持たせるために、硬質プラスチックなどの硬い材質としている。そのため、この水泳用ゴーグルをきつめに装着してしまった場合には、縄具51と第一止め具57、縄具52と第二止め具58の連結部が使用者の後頭部等へ接触すると、装着感が悪くなったり、時には使用者が痛みを感じてしまうこともあるという問題点を有していた。特に、使用者が幼児や老人等である場合には、装着感が悪くなったり、痛みを感じてしまうと、使用に耐えることができなくなり、外してしまうこともある。
【0006】
また、上記従来の水泳用ゴーグルでは、第一止め具57、第二止め具58を硬質プラスチックなどの硬い材質としているので、これら第一止め具57と第二止め具58との係合に力がいったりして、その係合操作が困難であるという問題点を有していた。特に、使用者が手に障害のある者や幼児、老人等である場合には、第一止め具57と第二止め具58との係合操作が非常に困難なものとなる。さらに、使用者がこのような者である場合には、父兄などの保護者、すなわち使用者以外の他人に水泳用ゴーグルを装着してもらうことがあるが、このような場合にもその他人による第一止め具57と第二止め具58との係合操作が非常に困難なものとなる。
【0007】
そして、上記図12に示した従来のマスクでは、弾性薄板片61と締め紐63が別体として構成されているため、弾性薄板片61と締め紐63との連結を外れ難いようにはしているが、何らかの拍子にその連結が外れることもあり、弾性薄板片61を紛失してしまう虞れがあるという問題点を有していた。
【0008】
さらに、上記従来のマスクでは、締め紐63を軟質な素材としており、弾性薄板片61も使用者の頭部の形状に沿って撓む程度の弾性を有するものとしているので、この弾性薄板片61が使用者の後頭部等へ接触しても、装着感が悪くなることはないと言える。しかし、上記従来のマスクでは、弾性薄板片61が使用者の頭部の形状に沿って撓むが、この弾性薄板片61は硬質プラスチックなどでできているため、この弾性薄板片61や締め紐63との連結部が使用者の後頭部等へ接触すると、装着感が悪くなると感じる使用者は少ないにせよ存在すると言える。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、前記第一止め具や第二止め具、弾性薄板片に相当する止め部材を紛失してしまうことがなく、また使用者がきつめに装着してしまった場合に、その止め部材が使用者の後頭部等へ接触しても装着感が悪くなることなく、痛みを感じることがなく、使用者が幼児や老人等である場合にも抵抗なく使用することができ、さらに止め部材の係合操作がどのような使用者にとっても非常に簡単に行うことができ、しかも使用者が他人に装着してもらう場合にも、その他人による止め部材の係合操作が非常に簡単に行うことができる顔面装着具および顔面装着具用バンドを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、この発明の顔面装着具用バンドは、装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなり、前記雌バンド2を、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとし、前記雄バンド3を、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとし、前記雌体22と雄体32とを係合可能としたものにしている。
【0011】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21およびバンド本体31のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度20°〜55°とし、前記雌体22および雄体32のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度60°〜95°としたものにしている。
【0012】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21およびバンド本体31のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度35°〜45°とし、前記雌体22および雄体32のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度75°〜85°としたものにするのがより好ましい。
【0013】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21と雌体22の境目および前記バンド本体31と雄体32の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。
【0014】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22を、平坦部22aの後端に角を丸めた略凧形状のリング22bを形成したものとし、前記雄体32を、平坦部32aの後端に幅狭部32bを介して後端両側に円弧状のフック32c、32cを形成したものとしている。
【0015】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22のリング22bを、縦断面形状を略円形とし、前記雄体32のフック32c、32cの根元5に、雌体22のリング22bの縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したものとしている。
【0016】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、雌体22のリング22bの隣り合っている長いリング部分を、雄体32のフック32c、32cがスライド可能にしたものとしている。
【0017】
そして、この発明の顔面装着具は、前記のように構成した顔面装着具用バンドを装着具本体1に取り付けたものとしている。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、以上に述べたように構成されているため、止め部材である雌体22と雄体32を紛失してしまうことがなく、また使用者がきつめに装着してしまった場合に、その雌体22と雄体32が使用者の後頭部等へ接触しても装着感が悪くなることなく、痛みを感じることがなく、使用者が幼児や老人等である場合にも抵抗なく使用することができ、さらに雌体22と雄体32の係合操作がどのような使用者にとっても非常に簡単に行うことができ、しかも使用者が他人に装着してもらう場合にも、その他人による雌体22と雄体32の係合操作が非常に簡単に行うことができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の顔面装着具および顔面装着具用バンドを実施するための最良の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
この発明の顔面装着具用バンドは、装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなる。前記雌バンド2は、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとしている。前記雄バンド3は、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとしている。そして、前記雌体22と雄体32とを係合可能としたものにしている。
【0021】
前記装着具本体1としては、図1に示したような水泳用ゴーグル、図2に示したようなスポーツ用サングラスのほか、スキー用ゴーグル、オートバイ用ゴーグル、安全ゴーグル、防塵ゴーグル、防塵マスク等を例示することができるが、顔面装着具と呼べるものであれば特に限定されることはない。
【0022】
なお、装着具本体1とは、通常、顔面装着具の全体を指すが、顔面装着具の種類によってはその一部分を指す場合もある。例えば、図1に示したような水泳用ゴーグルではアイカップのみを指すが、図2に示したようなスキー用サングラスでは、レンズ、枠およびツルを含めたものを指し、図12に示したような従来のマスクでは、締め紐を外したマスクのみを指す。
【0023】
前記雌バンド2のバンド本体21および雄バンド3のバンド本体31のそれぞれの硬度は、シェアーA硬度20°〜55°としており、好ましくはシェアーA硬度35°〜45°とすることができる。前記硬度がシェアーA硬度20°より小さいと、装着具本体1に充分な連結力をもって取り付けることができず、また装着時に頭部への充分な保持力を得ることができない。前記硬度がシェアーA硬度55°より大きいと、柔軟性が少なく、装着時に非常に強い力が必要となる。
【0024】
前記雌バンド2の雌体22および雄バンド3の雄体32のそれぞれの硬度は、シェアーA硬度60°〜95°としており、好ましくはシェアーA硬度75°〜85°とすることができる。前記硬度がシェアーA硬度60°より小さいと、雌体22と雄体32の係合時に変形しすぎ容易に脱落する。前記硬度がシェアーA硬度95°より大きいと、雌体22と雄体32の係合時に適度に変形せず充分な係合力を得ることができない。特に、以下に示すように雌体2bをリングとし、雄体3bをフックとした場合に、前記リングが狭まらず、フックが撓らないために充分な係合力を得ることができない。また、雌体22および雄体32が装着時に頭部に沿わないため脱落し易くなる。
【0025】
前記雌バンド2および雄バンド3の材質としては、柔軟性またはゴム弾性を有するシリコーンゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー(スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなど)等とすることができる。
【0026】
前記バンド本体21に雌体22を一体化したり、バンド本体31に雄体32を一体化するには、直圧成形もしくは射出成形によるのが好ましいが、接着剤を用いたり、熱溶着によっても一体化することができる。
【0027】
前記バンド本体21は、先端から雌体22側にかけて徐々に厚みを厚くすると共に徐々に幅を広くしており、雌体22をこのバンド本体21の徐々に厚くした厚みと同一の厚みとし、バンド本体21と雌体22の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。また、前記バンド本体31も、先端から雄体32側にかけて徐々に厚みを厚くすると共に徐々に幅を広くしており、雄体32をこのバンド本体31の徐々に厚くした厚みと同一の厚みとし、バンド本体31と雄体32の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。このようにすれば、装着感がより良いものとなる。
【0028】
また、前記バンド本体21は、先端に凹部などとした指示部21aを設け、本体部に小突起などとした複数の目印21bを等間隔に設けたものとし、また前記バンド本体31は、先端に凹部などとした指示部31aを設け、本体部に小突起などとした複数の目印31bを等間隔に設けたものとしている。このようにすると、前記バンド本体21およびバンド本体31を、装着具本体1の両端部に設けた連結具4の通し孔41に連結する場合に、この通し孔41に通して折り返したバンド本体21、31の指示部21a、31aが、複数の目印21b、31bのいずれかに位置するようになり、これによって装着具本体1に連結するバンド本体21およびバンド本体31の長さ調整の位置決めとすることができる。なお、図示したものでは、装着具本体1の両端部に連結具4を設けて、その通し孔41にバンド本体21、31を連結したものとしているが、装着具本体1の両端部に直接通し孔(図示せず)を設けて、その通し孔にバンド本体21、31を連結したものとしてもよい。
【0029】
前記雌体22は、平坦部22aの後端に角を丸めた略凧形状のリング22bを形成したものとし、前記雄体32は、平坦部32aの後端に幅狭部32bを介して後端両側に円弧状のフック32c、32cを形成したものとしている。なお、前記雌体22のリング22bは、角を丸めた略菱形状、楕円形状などとすることもできる。
【0030】
さらに、前記雌体22のリング22bは、縦断面形状を略円形としている。そして、前記雄体32のフック32c、32cの根元5には、雌体22のリング22bの縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したものとしている。このようにすることにより、雌体22のリング22bがフック32c、32cの根元5に係合し易くなり、また係合した状態を維持し易いものとなる。
【0031】
また、前記雄体32のフック32c、32cの両側間の距離Lは、雌体22のリング22b内に形成される略凧形の短い対角線の長さLaよりも長く、同略凧形の長い対角線の長さLbよりも短くしたものとすることにより、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、雌体22のリング22bの隣り合っている長いリング部分を、雄体32のフック32c、32cがスライド可能にしたものとしている。このようにすることにより、雌体22と雄体32との位置合わせがし易くなり、両者の係合操作が行い易いものとなる。なお、前記雄体32のフック32c、32cの両側間の距離Lは、雌体22のリング22bを略菱形とした場合には、その雌体22のリング22b内に形成される略菱形の短い対角線よりも長くし、同略菱形の長い対角線よりも短くしたものとし、雌体22のリング22bを楕円形とした場合には、その雌体22のリング22b内に形成される楕円形の短径の長さよりも長くし、同楕円形の長径の長さよりも短くしたものとしている。
【0032】
さらに、前記雌体22のリング22b内および雌体32の平坦部32aには、ローレット加工や梨地加工を施したりして強摩擦部6を設けたものとし、これらの部分の摩擦力を増大させ、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、これらの部分を持ったときに手が滑らないようにして、両者の係合操作がより行い易いものとしている。
【0033】
そして、この発明の顔面装着具は、このように構成した顔面装着具用バンドを装着具本体1に取り付けたものとしている。すなわち、顔面装着具を図1に示したような水泳用ゴーグルとした場合は、左右のアイカップの端部に設けた連結具4の通し孔41、または左右のアイカップの端部に直に設けた通し孔に、雌バンド2のバンド本体21、雄バンド3のバンド本体31をそれぞれ通す。また、顔面装着具を図2に示したようなスキー用サングラスとした場合は、左右のツルの端部に設けた連結具4の通し孔(図示せず)に雌バンド2のバンド本体21、雄バンド3のバンド本体31をそれぞれ通す。そして、これらバンド本体21、バンド本体31の先端側を装着具本体1または連結具4に連結して、雌バンド2と雄バンド3を装着具本体1に取り付けたものとしている。
【0034】
以上のように構成されたこの発明の顔面装着具は、次のようにして使用者の顔面に装着される。
【0035】
先ず、使用者が他人に装着してもらう場合、例えば使用者が手に障害のある者や幼児、老人等である場合には、父兄などの保護者等に装着してもらうことがある。このような場合には、使用者が装着具本体1を顔面の所定の位置に当て、手でその装着具本体1を顔面に押さえておく。そこで、他人が雌バンド2と雄バンド3を引っ張りながら、バンド本体21、31を側頭部に沿わせるようして後頭部に回し、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。そして、雌体22のリング22bを雄体32のフック32cに引っ掛けるか、雄体32のフック32cを雌体22のリング22b内に差し込んでから、雌バンド2と雄バンド3を引っ張っていた力を抜く。すると、リング22bが幅狭部32bをスライドしてフック32cの根元5に係合することになり、使用者が他人に装着してもらう場合に、非常に簡単に装着することができる。
【0036】
次に、使用者が自分で装着する場合には、装着具本体1を顔面の所定の位置に当て、雌体22と雄体32のそれぞれの強摩擦部6を指で摘んで、雌バンド2と雄バンド3を引っ張りながら、バンド本体21、31を側頭部に沿わせるようして後頭部に回し、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。そして、前記したのと同様の操作を行えば、リング22bがフック32cの根元5に係合することになり、使用者が自分で装着する場合にも、非常に簡単に行うことができる。
【0037】
また、使用者が自分で装着する場合に、図8に示したように、雌体22と雄体32のそれぞれの強摩擦部6を指で摘んで、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。次に、雌体22のリング22b内に雄体32のフック32cを差し込み、図9に示したように、フック32cをリング22bの隣り合っている長いリング部分の上に載せるようにして、雌体22と雄体32をそれぞれ反対方向に引っ張る。すると、フック32cが、リング22bの隣り合っている長いリング部分をスライドして、図10に示したように、フック32cの根元5に係合することになる。そして、前記リング22bとフック32cとが係合した状態で、バンド本体21、31を反対方向に引っ張って伸ばしながら、雌バンド2と雄バンド3を使用者の頭部の上から被り、側頭部および後頭部に沿わせるようにして下げていくことによっても、この発明の顔面装着具を非常に簡単に装着することができる。
【0038】
このようにしてこの発明の顔面装着具を使用者の顔面に装着すると、雌バンド2の雌体22と、雄バンド3の雄体32は使用者の後頭部に強く接触するが、これら雌体22と雄体32は硬質弾性体よりなっており、さらに雌体22がバンド本体21と一体化され、雄体32もバンド本体31と一体化されており、しかもバンド本体21と雌体22の境目、バンド本体31と雄体32の境目にはいずれも、頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じていないので、装着感が悪くなることはなく、使用者が痛みを感じることがない。
【0039】
さらに、この発明の顔面装着具を使用者の顔面に装着するには、前記したように雌体22と雄体32とを係合操作すればよく、この係合操作はどのような使用者にとっても、また使用者が他人に装着してもらう場合には、その他人にとっても非常に簡単に行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の顔面装着具を水泳用ゴーグルとした場合の斜視図である。
【図2】この発明の顔面装着具をスポーツ用サングラスとした場合の斜視図である。
【図3】この発明の顔面装着具用バンドの雌バンドの平面図である。
【図4】この発明の顔面装着具用バンドの雌バンドの断面図である。
【図5】この発明の顔面装着具用バンドの雄バンドの平面図である。
【図6】この発明の顔面装着具用バンドの雄バンドの断面図である。
【図7】この発明の顔面装着具の装着具本体と雄バンドとの連結状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図9】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図10】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図11】従来の水泳用ゴーグルの分解斜視図である。
【図12】従来のマスクの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 装着具本体
2 雌バンド
3 雄バンド
5 根元
21 バンド本体
22 雌体
22a 平坦部
22b リング
31 バンド本体
32 雄体
32a 平坦部
32b 幅狭部
32c フック
【技術分野】
【0001】
この発明は、水泳、スキーなどのスポーツをするときや、オートバイの運転などをするときに着用するゴーグル、塵埃等の有害物質の侵入を防止するために使用する防塵マスクを始めとする各種の顔面装着具および顔面装着具用バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の顔面装着具としては、例えば図11に示したような水泳用ゴーグルが存在する。この水泳用ゴーグルは、縄具51、52とリム本体53、54を組合わせ、この縄具51、52の端部にそれぞれ形成された二つの偏平端55、56に相互に係合可能な第一止め具57と第二止め具58が設けられている。そして、この第一止め具57と第二止め具58により二つの単一のリム本体53、54の縄具51、52を連結して一体としたものとしている(特許文献1)。
【0003】
さらに、この種の顔面装着具としては、例えば図12に示したようなマスクが存在する。このマスクは、横長の弾性薄板片61の後端部に、マスク62の締め紐63の一方を着脱自在として取り付けるようにし、さらにこの弾性薄板片61に設けた複数段の引っ掛け部64に、マスク62の締め紐63のもう一方を係脱自在として取り付けるようにしたものとしている(特許文献2)。
【特許文献1】実用新案登録第3067028号公報(第10頁、図2)
【特許文献2】特開平10−201866号公報(第2頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記図11に示した従来の水泳用ゴーグルでは、縄具51、52と第一止め具57、第二止め具58が別体として構成されているため、これらどうしの連結が緩んでしまったり、またこれらの連結を緩んだままにしておくと、縄具51、52から第一止め具57や第二止め具58が外れて紛失してしまう虞れがあるという問題点を有していた。特に、使用者が幼児や老人等である場合には、縄具51、52と第一止め具57、第二止め具58との連結が緩んだのに気づかず、そのままにしておくことが多く、第一止め具57や第二止め具58が外れて紛失してしまうことがある。
【0005】
さらに、上記従来の水泳用ゴーグルでは、縄具51、52については使用者の側頭部等への接触を柔らげるために、軟質の弾性体からなるものとしているが、第一止め具57、第二止め具58は連結時の耐久性や強度性を持たせるために、硬質プラスチックなどの硬い材質としている。そのため、この水泳用ゴーグルをきつめに装着してしまった場合には、縄具51と第一止め具57、縄具52と第二止め具58の連結部が使用者の後頭部等へ接触すると、装着感が悪くなったり、時には使用者が痛みを感じてしまうこともあるという問題点を有していた。特に、使用者が幼児や老人等である場合には、装着感が悪くなったり、痛みを感じてしまうと、使用に耐えることができなくなり、外してしまうこともある。
【0006】
また、上記従来の水泳用ゴーグルでは、第一止め具57、第二止め具58を硬質プラスチックなどの硬い材質としているので、これら第一止め具57と第二止め具58との係合に力がいったりして、その係合操作が困難であるという問題点を有していた。特に、使用者が手に障害のある者や幼児、老人等である場合には、第一止め具57と第二止め具58との係合操作が非常に困難なものとなる。さらに、使用者がこのような者である場合には、父兄などの保護者、すなわち使用者以外の他人に水泳用ゴーグルを装着してもらうことがあるが、このような場合にもその他人による第一止め具57と第二止め具58との係合操作が非常に困難なものとなる。
【0007】
そして、上記図12に示した従来のマスクでは、弾性薄板片61と締め紐63が別体として構成されているため、弾性薄板片61と締め紐63との連結を外れ難いようにはしているが、何らかの拍子にその連結が外れることもあり、弾性薄板片61を紛失してしまう虞れがあるという問題点を有していた。
【0008】
さらに、上記従来のマスクでは、締め紐63を軟質な素材としており、弾性薄板片61も使用者の頭部の形状に沿って撓む程度の弾性を有するものとしているので、この弾性薄板片61が使用者の後頭部等へ接触しても、装着感が悪くなることはないと言える。しかし、上記従来のマスクでは、弾性薄板片61が使用者の頭部の形状に沿って撓むが、この弾性薄板片61は硬質プラスチックなどでできているため、この弾性薄板片61や締め紐63との連結部が使用者の後頭部等へ接触すると、装着感が悪くなると感じる使用者は少ないにせよ存在すると言える。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、前記第一止め具や第二止め具、弾性薄板片に相当する止め部材を紛失してしまうことがなく、また使用者がきつめに装着してしまった場合に、その止め部材が使用者の後頭部等へ接触しても装着感が悪くなることなく、痛みを感じることがなく、使用者が幼児や老人等である場合にも抵抗なく使用することができ、さらに止め部材の係合操作がどのような使用者にとっても非常に簡単に行うことができ、しかも使用者が他人に装着してもらう場合にも、その他人による止め部材の係合操作が非常に簡単に行うことができる顔面装着具および顔面装着具用バンドを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、この発明の顔面装着具用バンドは、装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなり、前記雌バンド2を、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとし、前記雄バンド3を、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとし、前記雌体22と雄体32とを係合可能としたものにしている。
【0011】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21およびバンド本体31のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度20°〜55°とし、前記雌体22および雄体32のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度60°〜95°としたものにしている。
【0012】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21およびバンド本体31のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度35°〜45°とし、前記雌体22および雄体32のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度75°〜85°としたものにするのがより好ましい。
【0013】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記バンド本体21と雌体22の境目および前記バンド本体31と雄体32の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。
【0014】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22を、平坦部22aの後端に角を丸めた略凧形状のリング22bを形成したものとし、前記雄体32を、平坦部32aの後端に幅狭部32bを介して後端両側に円弧状のフック32c、32cを形成したものとしている。
【0015】
さらに、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22のリング22bを、縦断面形状を略円形とし、前記雄体32のフック32c、32cの根元5に、雌体22のリング22bの縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したものとしている。
【0016】
また、この発明の顔面装着具用バンドは、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、雌体22のリング22bの隣り合っている長いリング部分を、雄体32のフック32c、32cがスライド可能にしたものとしている。
【0017】
そして、この発明の顔面装着具は、前記のように構成した顔面装着具用バンドを装着具本体1に取り付けたものとしている。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、以上に述べたように構成されているため、止め部材である雌体22と雄体32を紛失してしまうことがなく、また使用者がきつめに装着してしまった場合に、その雌体22と雄体32が使用者の後頭部等へ接触しても装着感が悪くなることなく、痛みを感じることがなく、使用者が幼児や老人等である場合にも抵抗なく使用することができ、さらに雌体22と雄体32の係合操作がどのような使用者にとっても非常に簡単に行うことができ、しかも使用者が他人に装着してもらう場合にも、その他人による雌体22と雄体32の係合操作が非常に簡単に行うことができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の顔面装着具および顔面装着具用バンドを実施するための最良の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
この発明の顔面装着具用バンドは、装着具本体1の一端部に取り付けられる雌バンド2と、装着具本体1の他端部に取り付けられる雄バンド3とからなる。前記雌バンド2は、軟質弾性体よりなるバンド本体21に、硬質弾性体よりなる雌体22を一体化したものとしている。前記雄バンド3は、軟質弾性体よりなるバンド本体31に、硬質弾性体よりなる雄体32を一体化したものとしている。そして、前記雌体22と雄体32とを係合可能としたものにしている。
【0021】
前記装着具本体1としては、図1に示したような水泳用ゴーグル、図2に示したようなスポーツ用サングラスのほか、スキー用ゴーグル、オートバイ用ゴーグル、安全ゴーグル、防塵ゴーグル、防塵マスク等を例示することができるが、顔面装着具と呼べるものであれば特に限定されることはない。
【0022】
なお、装着具本体1とは、通常、顔面装着具の全体を指すが、顔面装着具の種類によってはその一部分を指す場合もある。例えば、図1に示したような水泳用ゴーグルではアイカップのみを指すが、図2に示したようなスキー用サングラスでは、レンズ、枠およびツルを含めたものを指し、図12に示したような従来のマスクでは、締め紐を外したマスクのみを指す。
【0023】
前記雌バンド2のバンド本体21および雄バンド3のバンド本体31のそれぞれの硬度は、シェアーA硬度20°〜55°としており、好ましくはシェアーA硬度35°〜45°とすることができる。前記硬度がシェアーA硬度20°より小さいと、装着具本体1に充分な連結力をもって取り付けることができず、また装着時に頭部への充分な保持力を得ることができない。前記硬度がシェアーA硬度55°より大きいと、柔軟性が少なく、装着時に非常に強い力が必要となる。
【0024】
前記雌バンド2の雌体22および雄バンド3の雄体32のそれぞれの硬度は、シェアーA硬度60°〜95°としており、好ましくはシェアーA硬度75°〜85°とすることができる。前記硬度がシェアーA硬度60°より小さいと、雌体22と雄体32の係合時に変形しすぎ容易に脱落する。前記硬度がシェアーA硬度95°より大きいと、雌体22と雄体32の係合時に適度に変形せず充分な係合力を得ることができない。特に、以下に示すように雌体2bをリングとし、雄体3bをフックとした場合に、前記リングが狭まらず、フックが撓らないために充分な係合力を得ることができない。また、雌体22および雄体32が装着時に頭部に沿わないため脱落し易くなる。
【0025】
前記雌バンド2および雄バンド3の材質としては、柔軟性またはゴム弾性を有するシリコーンゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー(スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなど)等とすることができる。
【0026】
前記バンド本体21に雌体22を一体化したり、バンド本体31に雄体32を一体化するには、直圧成形もしくは射出成形によるのが好ましいが、接着剤を用いたり、熱溶着によっても一体化することができる。
【0027】
前記バンド本体21は、先端から雌体22側にかけて徐々に厚みを厚くすると共に徐々に幅を広くしており、雌体22をこのバンド本体21の徐々に厚くした厚みと同一の厚みとし、バンド本体21と雌体22の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。また、前記バンド本体31も、先端から雄体32側にかけて徐々に厚みを厚くすると共に徐々に幅を広くしており、雄体32をこのバンド本体31の徐々に厚くした厚みと同一の厚みとし、バンド本体31と雄体32の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしている。このようにすれば、装着感がより良いものとなる。
【0028】
また、前記バンド本体21は、先端に凹部などとした指示部21aを設け、本体部に小突起などとした複数の目印21bを等間隔に設けたものとし、また前記バンド本体31は、先端に凹部などとした指示部31aを設け、本体部に小突起などとした複数の目印31bを等間隔に設けたものとしている。このようにすると、前記バンド本体21およびバンド本体31を、装着具本体1の両端部に設けた連結具4の通し孔41に連結する場合に、この通し孔41に通して折り返したバンド本体21、31の指示部21a、31aが、複数の目印21b、31bのいずれかに位置するようになり、これによって装着具本体1に連結するバンド本体21およびバンド本体31の長さ調整の位置決めとすることができる。なお、図示したものでは、装着具本体1の両端部に連結具4を設けて、その通し孔41にバンド本体21、31を連結したものとしているが、装着具本体1の両端部に直接通し孔(図示せず)を設けて、その通し孔にバンド本体21、31を連結したものとしてもよい。
【0029】
前記雌体22は、平坦部22aの後端に角を丸めた略凧形状のリング22bを形成したものとし、前記雄体32は、平坦部32aの後端に幅狭部32bを介して後端両側に円弧状のフック32c、32cを形成したものとしている。なお、前記雌体22のリング22bは、角を丸めた略菱形状、楕円形状などとすることもできる。
【0030】
さらに、前記雌体22のリング22bは、縦断面形状を略円形としている。そして、前記雄体32のフック32c、32cの根元5には、雌体22のリング22bの縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したものとしている。このようにすることにより、雌体22のリング22bがフック32c、32cの根元5に係合し易くなり、また係合した状態を維持し易いものとなる。
【0031】
また、前記雄体32のフック32c、32cの両側間の距離Lは、雌体22のリング22b内に形成される略凧形の短い対角線の長さLaよりも長く、同略凧形の長い対角線の長さLbよりも短くしたものとすることにより、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、雌体22のリング22bの隣り合っている長いリング部分を、雄体32のフック32c、32cがスライド可能にしたものとしている。このようにすることにより、雌体22と雄体32との位置合わせがし易くなり、両者の係合操作が行い易いものとなる。なお、前記雄体32のフック32c、32cの両側間の距離Lは、雌体22のリング22bを略菱形とした場合には、その雌体22のリング22b内に形成される略菱形の短い対角線よりも長くし、同略菱形の長い対角線よりも短くしたものとし、雌体22のリング22bを楕円形とした場合には、その雌体22のリング22b内に形成される楕円形の短径の長さよりも長くし、同楕円形の長径の長さよりも短くしたものとしている。
【0032】
さらに、前記雌体22のリング22b内および雌体32の平坦部32aには、ローレット加工や梨地加工を施したりして強摩擦部6を設けたものとし、これらの部分の摩擦力を増大させ、前記雌体22と雄体32との係合操作時に、これらの部分を持ったときに手が滑らないようにして、両者の係合操作がより行い易いものとしている。
【0033】
そして、この発明の顔面装着具は、このように構成した顔面装着具用バンドを装着具本体1に取り付けたものとしている。すなわち、顔面装着具を図1に示したような水泳用ゴーグルとした場合は、左右のアイカップの端部に設けた連結具4の通し孔41、または左右のアイカップの端部に直に設けた通し孔に、雌バンド2のバンド本体21、雄バンド3のバンド本体31をそれぞれ通す。また、顔面装着具を図2に示したようなスキー用サングラスとした場合は、左右のツルの端部に設けた連結具4の通し孔(図示せず)に雌バンド2のバンド本体21、雄バンド3のバンド本体31をそれぞれ通す。そして、これらバンド本体21、バンド本体31の先端側を装着具本体1または連結具4に連結して、雌バンド2と雄バンド3を装着具本体1に取り付けたものとしている。
【0034】
以上のように構成されたこの発明の顔面装着具は、次のようにして使用者の顔面に装着される。
【0035】
先ず、使用者が他人に装着してもらう場合、例えば使用者が手に障害のある者や幼児、老人等である場合には、父兄などの保護者等に装着してもらうことがある。このような場合には、使用者が装着具本体1を顔面の所定の位置に当て、手でその装着具本体1を顔面に押さえておく。そこで、他人が雌バンド2と雄バンド3を引っ張りながら、バンド本体21、31を側頭部に沿わせるようして後頭部に回し、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。そして、雌体22のリング22bを雄体32のフック32cに引っ掛けるか、雄体32のフック32cを雌体22のリング22b内に差し込んでから、雌バンド2と雄バンド3を引っ張っていた力を抜く。すると、リング22bが幅狭部32bをスライドしてフック32cの根元5に係合することになり、使用者が他人に装着してもらう場合に、非常に簡単に装着することができる。
【0036】
次に、使用者が自分で装着する場合には、装着具本体1を顔面の所定の位置に当て、雌体22と雄体32のそれぞれの強摩擦部6を指で摘んで、雌バンド2と雄バンド3を引っ張りながら、バンド本体21、31を側頭部に沿わせるようして後頭部に回し、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。そして、前記したのと同様の操作を行えば、リング22bがフック32cの根元5に係合することになり、使用者が自分で装着する場合にも、非常に簡単に行うことができる。
【0037】
また、使用者が自分で装着する場合に、図8に示したように、雌体22と雄体32のそれぞれの強摩擦部6を指で摘んで、雌体22のリング22bに雄体32のフック32cを近づける。次に、雌体22のリング22b内に雄体32のフック32cを差し込み、図9に示したように、フック32cをリング22bの隣り合っている長いリング部分の上に載せるようにして、雌体22と雄体32をそれぞれ反対方向に引っ張る。すると、フック32cが、リング22bの隣り合っている長いリング部分をスライドして、図10に示したように、フック32cの根元5に係合することになる。そして、前記リング22bとフック32cとが係合した状態で、バンド本体21、31を反対方向に引っ張って伸ばしながら、雌バンド2と雄バンド3を使用者の頭部の上から被り、側頭部および後頭部に沿わせるようにして下げていくことによっても、この発明の顔面装着具を非常に簡単に装着することができる。
【0038】
このようにしてこの発明の顔面装着具を使用者の顔面に装着すると、雌バンド2の雌体22と、雄バンド3の雄体32は使用者の後頭部に強く接触するが、これら雌体22と雄体32は硬質弾性体よりなっており、さらに雌体22がバンド本体21と一体化され、雄体32もバンド本体31と一体化されており、しかもバンド本体21と雌体22の境目、バンド本体31と雄体32の境目にはいずれも、頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じていないので、装着感が悪くなることはなく、使用者が痛みを感じることがない。
【0039】
さらに、この発明の顔面装着具を使用者の顔面に装着するには、前記したように雌体22と雄体32とを係合操作すればよく、この係合操作はどのような使用者にとっても、また使用者が他人に装着してもらう場合には、その他人にとっても非常に簡単に行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の顔面装着具を水泳用ゴーグルとした場合の斜視図である。
【図2】この発明の顔面装着具をスポーツ用サングラスとした場合の斜視図である。
【図3】この発明の顔面装着具用バンドの雌バンドの平面図である。
【図4】この発明の顔面装着具用バンドの雌バンドの断面図である。
【図5】この発明の顔面装着具用バンドの雄バンドの平面図である。
【図6】この発明の顔面装着具用バンドの雄バンドの断面図である。
【図7】この発明の顔面装着具の装着具本体と雄バンドとの連結状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図9】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図10】この発明の顔面装着具用バンドの雌体と雄体とを係合させる操作状態を示す説明図である。
【図11】従来の水泳用ゴーグルの分解斜視図である。
【図12】従来のマスクの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 装着具本体
2 雌バンド
3 雄バンド
5 根元
21 バンド本体
22 雌体
22a 平坦部
22b リング
31 バンド本体
32 雄体
32a 平坦部
32b 幅狭部
32c フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着具本体(1)の一端部に取り付けられる雌バンド(2)と、装着具本体(1)の他端部に取り付けられる雄バンド(3)とからなり、前記雌バンド(2)を、軟質弾性体よりなるバンド本体(21)に、硬質弾性体よりなる雌体(22)を一体化したものとし、前記雄バンド(3)を、軟質弾性体よりなるバンド本体(31)に、硬質弾性体よりなる雄体(32)を一体化したものとし、前記雌体(22)と雄体(32)とを係合可能としたことを特徴とする顔面装着具用バンド。
【請求項2】
前記バンド本体(21)およびバンド本体(31)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度20°〜55°とし、前記雌体(22)および雄体(32)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度60°〜95°としたことを特徴とする請求項1記載の顔面装着具用バンド。
【請求項3】
前記バンド本体(21)およびバンド本体(31)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度35°〜45°とし、前記雌体(22)および雄体(32)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度75°〜85°としたことを特徴とする請求項1記載の顔面装着具用バンド。
【請求項4】
前記バンド本体(21)と雌体(22)の境目および前記バンド本体(31)と雄体(32)の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の顔面装着具用バンド。
【請求項5】
前記雌体(22)を、平坦部(22a)の後端に角を丸めた略凧形状のリング(22b)を形成したものとし、前記雄体(32)を、平坦部(32a)の後端に幅狭部(32b)を介して後端両側に円弧状のフック(32c、32c)を形成したものとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔面装着具用バンド。
【請求項6】
前記雌体(22)のリング(22b)を、縦断面形状を略円形とし、前記雄体(32)のフック(32c、32c)の根元(5)に、雌体(22)のリング(22b)の縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したことを特徴とする請求項5記載の顔面装着具用バンド。
【請求項7】
前記雌体(22)と雄体(32)との係合操作時に、雌体(22)のリング(22b)の隣り合っている長いリング部分を、雄体(32)のフック(32c、32c)がスライド可能にしたことを特徴とする請求項5または6記載の顔面装着具用バンド。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれかに記載の顔面装着具用バンドを装着具本体(1)に取り付けたことを特徴とする顔面装着具。
【請求項1】
装着具本体(1)の一端部に取り付けられる雌バンド(2)と、装着具本体(1)の他端部に取り付けられる雄バンド(3)とからなり、前記雌バンド(2)を、軟質弾性体よりなるバンド本体(21)に、硬質弾性体よりなる雌体(22)を一体化したものとし、前記雄バンド(3)を、軟質弾性体よりなるバンド本体(31)に、硬質弾性体よりなる雄体(32)を一体化したものとし、前記雌体(22)と雄体(32)とを係合可能としたことを特徴とする顔面装着具用バンド。
【請求項2】
前記バンド本体(21)およびバンド本体(31)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度20°〜55°とし、前記雌体(22)および雄体(32)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度60°〜95°としたことを特徴とする請求項1記載の顔面装着具用バンド。
【請求項3】
前記バンド本体(21)およびバンド本体(31)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度35°〜45°とし、前記雌体(22)および雄体(32)のそれぞれの硬度を、シェアーA硬度75°〜85°としたことを特徴とする請求項1記載の顔面装着具用バンド。
【請求項4】
前記バンド本体(21)と雌体(22)の境目および前記バンド本体(31)と雄体(32)の境目に、装着時の頭部との接触面側において厚みの方向に段差が生じないものとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の顔面装着具用バンド。
【請求項5】
前記雌体(22)を、平坦部(22a)の後端に角を丸めた略凧形状のリング(22b)を形成したものとし、前記雄体(32)を、平坦部(32a)の後端に幅狭部(32b)を介して後端両側に円弧状のフック(32c、32c)を形成したものとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔面装着具用バンド。
【請求項6】
前記雌体(22)のリング(22b)を、縦断面形状を略円形とし、前記雄体(32)のフック(32c、32c)の根元(5)に、雌体(22)のリング(22b)の縦断面の略円形と略同一径のアールを形成したことを特徴とする請求項5記載の顔面装着具用バンド。
【請求項7】
前記雌体(22)と雄体(32)との係合操作時に、雌体(22)のリング(22b)の隣り合っている長いリング部分を、雄体(32)のフック(32c、32c)がスライド可能にしたことを特徴とする請求項5または6記載の顔面装着具用バンド。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれかに記載の顔面装着具用バンドを装着具本体(1)に取り付けたことを特徴とする顔面装着具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−143762(P2007−143762A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340947(P2005−340947)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000179926)山本光学株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000179926)山本光学株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]