説明

顕微鏡スライド自動読み取りシステム

自動で顕微鏡スライドを読み取るためのシステム。すなわち、顕微鏡スライドカートリッジであって、空間を囲み、前縁および後縁を有する、長方形の箱状の構造として構成される、上壁、底壁、第1の側壁、および第2の側壁を有する筐体と、前記空間に面する内面および外側に面する外面を有する、前記長方形の箱状の構造のそれぞれの壁と、概して前記前縁から前記後縁に延在する、前記底壁に平行な、複数の等間隔のレールが組み込まれた前記第1の側壁の前記内面と、前記前縁から前記後縁へ部分的に延在する、前記底壁に平行なフレキシブルフィンガーを形成する、部分的に切断された、等間隔のスロットセットを有する前記第2の側壁と、前記第1の側壁の前記内面上に位置する前記レールと同一平面上に配設されるように、第2のレールセットを組み込んだ、前記第2の側壁の前記内面であって、前記第2の側壁のレールのそれぞれは、前記フレキシブルフィンガーの1つに組み込まれる、前記内面とを含み、前記第1および前記第2の側壁の内面の間の間隔は、顕微鏡スライドが前記カートリッジに挿入される際に、前記フレキシブルフィンガーのそれぞれを変位させるように構成される顕微鏡スライドカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には顕微鏡スライドを自動で読み取るためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体材料用顕微鏡は、概して、患者から採取したサンプルを顕微鏡スライド上に載せるという、煩雑な準備過程を伴い、その後、その患者の試料が生物医学的状態を示すかどうかを判定するために、検鏡者が各スライドを連続して評価しなければならなかった。このスライド評価プロセスは、コストがかかるだけでなく、時間を浪費し、検出されうる生物医学的疾患の治療を遅らせるものである。
【0003】
顕微鏡の効率を高める1つの手段は、顕微鏡下での解析用に、スライドを供給するプロセスを自動化することである。この自動化をなしうるアプローチは、ともにタイトルが自動顕微鏡スライドである、米国特許第4,248,498号および第4,367,915号においてGeorgesによって教示されている。それらにおいて開示されている機構には、保存カートリッジ内に取り出し可能に格納される顕微鏡スライドと、各スライドをカートリッジから連続して取り出す第1の作動機構が含まれる。こうして取り出されたスライドは、XYZステージによる顕微鏡的観察用に直接セットされる。観察後、第2の作動装置によって、スライドがスライドカートリッジ内の元の位置に自動で戻される。カートリッジは位置を変えて、検査される次のスライドにアクセスし、この処理が繰り返される。スライドの識別は、カートリッジ内のその位置によってのみ決定される。与えられたスライドに関するデータは全て個別に記録され、カートリッジ内のスライドのアドレスの場所を参照する手段によってのみスライドと関連付けられる。米国特許第4,248,498号および第4,367,915号は、それぞれに指定された場所にセットされないスライドを独自に識別する手段、あるいはスライドと、そのスライドの個別に記録されたデータの関連を保証する手段を扱っていない。さらに、スライド上の目的とする領域の場所は、直接的にアドレス指定はできず、位置データはスライドホルダーに関して決定できるのみである。
【特許文献1】米国特許第4,248,498号
【特許文献2】米国特許第4,367,915号
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願では、組織サンプルスライドの読み取りの効率を向上させるためのシステムが開示される。
【0005】
一実施形態では、その面上に解析の対象となる材料を持ち、スライドカセット内に格納された、データをコード化した複数の顕微鏡スライドの顕微鏡による解析を自動化するコンピュータシステムにおける方法が開示され、該方法は(a)カセット内に格納された顕微鏡スライドの枚数と位置を判定するステップと、(b)上述のカセット内のスライドの1つ以上をカセットから取り出すステップと、(c)カセットから取り出されたスライドのそれぞれに関する、コード化されたデータをダウンロードするステップと、(d)上述の顕微鏡スライド上の材料の解析用に、ダウンロードしたコード化されたデータを、規定のプロトコルと関連付けるステップとを含む。コード化されたデータは、スライド上に物理的に保存された、あるいはスライドに関連付けられた電子機器内にあるデータを含んでもよい。
【0006】
別の実施例では、顕微鏡スライドを格納するためのスライドカートリッジ/カセットが開示され、カートリッジは(a)上面、底面、2つの側面を有し、これらの面がその間の空間を画定する筐体と、(b)筐体の各側面に付属し、その間の空間に突出する複数の係合構造の対であり、係合構造の対のそれぞれは、反対側の側面に付属する別の係合構造の対と実質的に平行である複数の係合構造の対とを含み、それぞれ平行な係合構造の対は、係合構造の間で単一の顕微鏡スライドを固定し保持できるように、またその間の空間のいずれかの一方から、平行な係合構造の一対に対して直交するように力が適用された際に、スライドが係合構造に対して移動できるように構成され離間する。
【0007】
かかるカセットのスライドは、自動取り出し機構によって読み取られてもよい。一実施形態では、顕微鏡スライドカートリッジ/カセットに格納されたスライドを移動させるためのスライド供給装置が開示される。より一般的には、上面、底面2つ以上の側面を有するスライドを、第1の場所から第2の場所へと移動させるためのスライド供給装置を開示し、本スライド供給装置は、x−y方向に移動するように動作可能に構成されるステージと、ステージに連結されたクレンメルからなり、クレンメルは、スライドの2つ以上の側面からの圧力による固定によりスライドを保持するように動作可能に構成されている。
【0008】
スライド供給装置は、読み取り用にスライドをステージ上に供給することができる。本発明の一実施形態では、顕微鏡は複数のステージを含む。一実施形態では、x−y軸の方向にのみ移動するように動作可能に構成される第1のステージに加えて、第1のステージに付随し、z―z軸の方向にのみ移動可能な第2のステージが存在する。かかる実施形態では、かかる軸方向に沿う第2のステージの移動により、第1のステージによって保持される顕微鏡スライドが同一方向に移動する。
【0009】
スライド上で試料の読み取りは、顕微鏡システムによって検出可能な、スライド上に1つ以上の基準座標点を設けることにより向上する可能性がある。一実施形態では、顕微鏡スライドを観察するための自動顕微鏡スライド解析システムを開示し、該システムは(a)1つ以上の電子的にアドレス可能な位置タグを、その面上に有する1つ以上の顕微鏡スライドと、(b)顕微鏡スライド上の定められた視野を観察できるように動作可能に構成される対物レンズと、(c)電子的にアドレス可能な位置タグのうち少なくとも1つに向かって電磁波を放出するように動作可能に構成されるエミッタと、(d)タグの電磁波に対する反応から、位置タグの少なくとも1つを検出するように動作可能に構成される検出装置と、電子的にアドレス可能な位置タグの少なくとも1つに関して、観察する、あるいは、マーキングを希望する視野の位置を決定するために、検出装置および対物レンズからの情報を処理するように構成されるプロセッサを含む。
【0010】
一実施形態では、スライドは顕微鏡スライド画像取得システムによって画像化され、本システムは、(a)少なくとも1つのCMOS検出装置を有し、1秒間に少なくとも約300枚以上の画像を取得できるように動作可能に構成されるカメラと、(b)各画像を取得する間に、x−y−z空間における、顕微鏡スライドの移動を検出するように設置された複数のセンサと、カメラからの画像および複数のセンサからのデータを処理し、画像を修正する、あるいは破棄することで、画像の取得中に、画像の移動を補正するように動作可能に構成されるプロセッサからなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
顕微鏡システムによって得られた画像は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースによって観察者へ提供されてもよい。一実施形態では、顕微鏡システム中のグラフィカル・ユーザ・インターフェースが開示され、これは(a)顕微鏡スライドの標本面と、その面上の目的とする視野の相対位置を画像として表示する第1の部分と、(b)目的とする視野を複数の倍率で画像として表示する第2の部分とを含み、第1および第2の画像表示は、少なくともx軸およびy軸に沿って移動可能である。
【0012】
一実施形態では、その面上の、組織サンプルの由来や所望の処理に関する情報を、デジタル処理によって読み込み可能な方式でその面上にコード化した顕微鏡スライドを開示する。スライド上のデータのコード化は、任意の適切な手段によって行うことができる。かかる手段の例には、一次元または二次元(またはその他の)バーコード形式でのデータの記録、デジタルデータに代表される光学的不均一性の形式(例えばCDまたはDVDに見られるような、ピットやランドの形式による)での記録が含まれ、あるいはスライド上の電子タグ(例えばRFID、あるいはその他のコンピュータチップを用いて)に記録される。スライドデータのコード化処理は、スライドを管理過程に回す際に、処理に有用と考えられる情報をスライドに付加する目的で、オンザフライのデータのコード化が可能になるように選択されてもよい。例えば、患者から採取された組織を含むスライドに関しては、コード化された顕微鏡スライドは、患者の名前、住所、年齢、性別、人種、病歴を初めとした情報を含む可能性があり、医師がオーダーした検査の臨床情報とともに、検査をオーダーした医師に関する情報や、検査によって得られた情報を送付する医師または検査施設の情報を含んでもよい。スライドの読み取りの祭には、好ましくは、スライド上のデータを保存する手段によって、将来的な参考資料として、読み取られたスライドからの情報をスライドへ付加できるようになる。(例えば、スライドの読み取り日時、スライドの読み取り手段(例えば、xの自動顕微鏡システム)、読み取りを行ったクリニック、読み取りの結果)。コード化されたデータはまた、スライド上の材料の分析用に選択されたプロトコルに関する情報を含んでもよく、複数の時点で得られた1つ以上の画像を記憶してもよい。かかる画像は、サンプルの劣化を判定する上で有用である場合がある。記憶データまたは画像の上書きを防ぐために、一度だけ書き込みが可能で、読み出しは何度でも可能な(WORM)記憶装置にデータを記録してもよく、あるいは他の方法として、データの完全な、または部分的な上書きが可能な記憶装置に記録してもよい。一実施形態では、記憶データ中の選択された部分のみの上書きが許容される。
【0013】
カセット上のスライド上のコード化は、スライドを、そのスライドが元々セットされていたカートリッジ内の特定の位置と関連付けるために使用されてもよい。自動顕微鏡を用いる際、かかる情報を用いると、スライドを読み取り、カートリッジの同じ位置、例えば、そのスライドが保持されていた同一の係合構造の間にスライドを戻すことができる。
【0014】
スライドの処理用に、解析用の規定のプロトコルが提供された場合、スライドのレビュー自動化を実施することができる。一実施形態では、その面上に解析の対象となる材料を有し、スライドカセット内に格納された、データをコード化した複数の顕微鏡スライドの顕微鏡による解析を自動化するコンピュータシステムにおける方法を開示し、該方法は(a)カセット内に格納された顕微鏡スライドの枚数と位置を判定するステップと、(b)カセット内のスライドの1つ以上をカセットから取り出すステップと、(c)前記カセットから取り出されたスライドのそれぞれに関する、コード化されたデータをダウンロードするステップと、(d)顕微鏡スライド上の材料の解析のために、ダウンロードしたコード化されたデータを、規定のプロトコルと関連付けるステップとを含む。コード化されたデータは、スライド上に物理的に保存されたデータ、あるいはスライドに関連付けられた電子機器内にあるデータを含んでもよい。
【0015】
顕微鏡での読み取りの効率を向上させるために、スライドカートリッジまたはカセットにスライドを格納してもよい。カートリッジは、スライドのカートリッジからの引き出しを容易にする、改良型カートリッジ10であってもよい。例えば、スライドカートリッジは、空間70を囲み、前縁80および後縁90を有する、長方形の箱状の構造として構成される、上壁20、底壁30、第1の側壁40、および第2の側壁50を有する筐体から構成されてもよい。構造の各壁は、空間に面する内面と、外側に面する外面を有する。第1の側壁40の内面には、底壁と平行に、概して前縁80から後縁90に延在する複数の等間隔のレール100が組み込まれる。第2の側壁110は、等間隔のスロット120が部分的に切断され、底壁30と平行なフレキシブルフィンガー130を形成し、部分的に前縁80から後縁90に延在する。第2の側壁50の内面には、第1の側壁上に位置する、レール100と同一平面上に存在する第2のレールセット140が組み込まれる。第2の側壁のレール140のそれぞれは、フレキシブルフィンガー130の1つに部分的に組み込まれてもよい。第1の側壁40および第2の側壁50の内面の間隔は、対応する第1の壁面上のレール100と第2の壁面上のレール140上に載るように、顕微鏡スライドがカートリッジ10に挿入された際、それぞれのフレキシブルフィンガー130は変位することにより、スライドに対して締め付け力を与える。第2の側壁50には、第1のスロットセット120と同一平面上に、底壁30と平行なフレキシブルフィンガー160を形成する、後縁90から部分的に前縁80に延在する第2の等間隔のスロットセット150をもたらすように、任意で、部分的に切断されてもよい。フレキシブルフィンガー130、160の構造は、顕微鏡スライドを、対応する設置位置に保持するクリック止めを提供することができる。したがって、空間的定位にかかわりなく、カートリッジからの顕微鏡スライドの脱落を防止することができる。
【0016】
運転中、顕微鏡スライドは、上述の第1の側壁の上述の内面の等間隔のレールと、上述の第2の側壁の上述の内面の等間隔のレールの間の、上述の空間内に全体にセットされ、上述の顕微鏡スライドは、少なくとも1つのフレキシブルフィンガーに付随するスナップ式固定係合構造によってカートリッジ内の所定の位置にロックされる。スナップ式固定係合構造の一例は、フィンガーの面上にある断絶である。
【0017】
スライドがカートリッジ10またはカセット内に格納され、カートリッジ/カセットが自動顕微鏡システム上に取り付けられる場合、顕微鏡システムが、カートリッジ/カセット用に最適化されたスライド供給装置を備えていると好都合である。
【0018】
本発明の一実施形態では、スライドの2つの外側面に沿ってスライドを挟む、すなわちスライドへの圧力による固定によってスライドを保持することによりカートリッジ10からスライドを取り出す、スライド供給装置(図示せず)により、スライドはカートリッジ10から取り外される。かかるシステムは、サンプルの視野にアーチファクトがもたらされる(例えば、下方からスライドを引っ掻く、スライド内の読み込み部分に埃が付着するなど)リスクを低減するという点において好都合である。一実施形態では、上面、底面、および2つ以上の側面を有するスライドを、第1の場所から第2の場所へと移動させるためのスライド供給装置を開示し、本スライド供給装置は、(a)x−y方向に移動するように動作可能に構成されるステージと、ステージに連結されたクレンメルからなり、クレンメルは、スライドの2つ以上の側面への圧力による固定によりスライドを保持するように動作可能に構成される。
【0019】
次に、スライド供給装置は、読み取りのため、スライドをステージにセットする。一実施形態では、顕微鏡スライドを読み取るための顕微鏡が提供され、顕微鏡は、(a)顕微鏡スライドを保持し、x−y軸の方向にのみ移動するように動作可能に構成される第1のステージと、(b)第1のステージに付随し、z軸の方向にのみ移動可能な第2のステージからなり、かかる軸方向に沿う第2のステージの移動により、第1のステージによって保持される顕微鏡スライドが同一方向に移動する。
【0020】
特に患者から採用された組織サンプルに対する自動診断を提供するようにシステムが設計される自動顕微鏡が用いられる場合、サンプルの複数の画像を得ると好都合である。一実施形態では、顕微鏡スライドの画像取得システムが提供され、(a)少なくとも1つのCMOS検出装置(またはその他の適切な画像検出装置、例えばCCD)を有し、1秒間に、例えば、少なくとも約300枚以上の画像を取得できるように動作可能に構成されるカメラと、(b)各画像の取得中に、x−y−z空間における顕微鏡スライドの移動を検出するように設置された複数のセンサと、カメラからの画像および複数のセンサからのデータを処理し、画像を修正する、あるいは破棄することにより、画像の取得中の画像の移動を補正するように動作可能に構成されるプロセッサとを含む。
【0021】
取得された画像は、その画像の閲覧に関心を持つ検鏡者に対して、特に自動顕微鏡システムの仮診断を確認するために、種々の方法で表示されてもよい。一実施形態では、顕微鏡システムにおけるグラフィカル・ユーザ・インターフェースが開示され、これは(a)顕微鏡スライドの標本面と、その面上の目的とする視野の相対位置を画像として表示する第1の部分と、(b)目的とする視野を複数の倍率で画像として表示する第2の部分を含み、第1および第2の画像ディスプレイは、少なくともx軸とy軸に沿って移動可能である。
【0022】
一実施形態では、上述の検出装置と、上述対物レンズからの情報を処理するように構成されたプロセッサは、観察される視野、あるいは上述の電子的にアドレス可能な位置タグのうち少なくとも1つに関連して、マーキングを希望する視野の位置を決定するために用いられてもよい。プロセッサはまた、上述の基準位置タグに対応してマーキングを希望する視野の位置を、上述のスライドに関連付けられた電子データ記憶装置に書き込んでもよい。プロセッサはさらに、顕微鏡視野の画像を、上述のスライドに関連付けられた上述の電子データ記憶装置に書き込んでもよい。
【0023】
画像の評価を行った後、特定のスライドを再度観察することは臨床的に有用である場合があり、これは仮診断の基盤である。異常の疑いがあるスライドの特定の細胞または場所に再び戻るためには、全く同じ細胞または場所を迅速に特定することが可能なシステムがあると便利である。本願で提案する、これを行う1つの方法は、顕微鏡スライド上に1つ以上のタグを利用するもので、これはスライド上で基準点として機能し、観察されるスライド上の特定の場所に「GPS様の」顕微鏡の対物レンズの再配置を提供する。基準タグは、自動的に検出可能で、スライド上の特定の基準位置と相関しなければならない。スライド上のかかる1つ以上のタグに対して、各画像の位置を計算し、画像とともにその位置を記録することにより、スライド上の元の観察視野に迅速に戻ることができる。これにより、目的とする視野を見つけるために、検体全体にわたって再検索する必要がなくなる。
【0024】
一実施形態では、顕微鏡スライドを観察するための自動顕微鏡スライド解析システムを開示し、該システムは(a)1つ以上の電子的にアドレス可能な位置タグを、その面上に有する1つ以上の顕微鏡スライドと、(b)顕微鏡スライド上の定められた視野を観察できるように動作可能に構成される対物レンズと、(c)電子的にアドレス可能な位置タグのうち少なくとも1つに向かって電磁波を放出するように構成されるエミッタと、(d)タグの電磁波に対する反応から、位置タグの少なくとも1つを検出するように動作可能に構成される検出装置と、観察される視野、あるいは電子的にアドレス可能な位置タグの少なくとも1つに関して、マーキングを希望する視野の位置を決定するために、検出装置および対物レンズからの情報を処理するように構成されるプロセッサとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好適な実施形態に関連して本発明を説明したが、添付の請求項によって定義される、本発明の精神と範囲から逸脱せずに、本発明に対して種々の変更および/または改変を加えてもよいことを当業者は容易に理解するであろう。本願で引用した全ての文章は、付加的または代替的な詳説、特徴および/または技術的背景の教示がふさわしい場合に、参照することにより、本願に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】スライドカートリッジの一実施形態の斜視図である。
【図2】第1の側壁の内面の概略図である。
【図3】第1の側壁の斜視図である。
【図4】第2の側壁の外面の概略図である。
【図5】レール構造を示す、第2の側壁の端面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡スライドカートリッジであって、
空間を囲み、前縁および後縁を有する、長方形の箱状の構造として構成される、上壁、底壁、第1の側壁、および第2の側壁を有する筐体と、
前記空間に面する内面および外側に面する外面を有する、前記長方形の箱状の構造のそれぞれの壁と、
概して前記前縁から前記後縁に延在する、前記底壁に平行な、複数の等間隔のレールが組み込まれた前記第1の側壁の前記内面と、
前記前縁から前記後縁へ部分的に延在する、前記底壁に平行なフレキシブルフィンガーを形成する、部分的に切断された、等間隔のスロットセットを有する前記第2の側壁と、
前記第1の側壁の前記内面上に位置する前記レールと同一平面上に配設されるように、第2のレールセットを組み込んだ、前記第2の側壁の前記内面であって、前記第2の側壁のレールのそれぞれは、前記フレキシブルフィンガーの1つに組み込まれる、前記内面とを含み、
前記第1および前記第2の側壁の内面の間の間隔は、顕微鏡スライドが前記カートリッジに挿入される際に、前記フレキシブルフィンガーのそれぞれを変位させるように構成される顕微鏡スライドカートリッジ。
【請求項2】
前記顕微鏡スライドは、全体が前記第1の側壁の前記内面の離間したレールと、前記第2の側壁の前記内面の離間したレールの間の前記空間内に配置され、前記顕微鏡スライドは、少なくとも1つのフレキシブルフィンガーに付随するスナップ式固定係合構造により前記カートリッジ内の所定の位置にロックされる請求項1に記載の顕微鏡スライドカートリッジ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフレキシブルフィンガーの前記スナップ式固定係合構造は、前記フレキシブルフィンガーの表面上の断絶である請求項2に記載の顕微鏡スライドカートリッジ。
【請求項4】
前記第2の側壁は、第2の部分的に切断された等間隔に離間したスロットセットを含み、フレキシブルフィンガーを形成する前記底壁に平行であり、前記後縁から前記前縁へ部分的に延在する請求項1に記載の顕微鏡スライドカートリッジ。
【請求項5】
顕微鏡スライドを読みとるための顕微鏡であって、
顕微鏡スライドを保持し、x−y軸の方向に沿ってのみ移動するように動作可能に構成される第1のステージと、
前記第1のステージに動作可能に付随し、z−z軸の方向に沿ってのみ移動可能な第2のステージとを含み、
かかる軸に沿う、前記第2のステージの前記移動により、前記第1のステージによって保持される前記顕微鏡スライドが同一方向に移動する顕微鏡。
【請求項6】
第1の場所から第2の場所へとスライドを移動させるためのスライド供給装置であって、前記スライドは、第1の場所から第2の場所へ、上面、底面、および2つ以上の側面を有する基板を含み、前記スライド供給装置は、
x−yの方向に移動するように動作可能に構成されるステージと、
前記ステージに連結されたクレンメルであって、前記スライドの2つ以上の側面から圧力で固定することにより、前記スライドを保持するように動作可能に構成されるクレンメルとを含むスライド供給装置。
【請求項7】
その面上に配置された解析の対象となる材料を有し、スライドカセット内に格納された、データをコード化した複数の顕微鏡スライドの顕微鏡による解析を自動化するコンピュータシステムにおける方法であって、
前記カセット内に格納された前記各顕微鏡スライドの枚数と位置を判定するステップと、
前記カセット内の前記スライドの1つ以上を前記カセットから取り出すステップと、
前記カセットから取り出された前記スライドのそれぞれに関する、コード化されたデータをダウンロードするステップと、
前記顕微鏡スライド上の前記材料の解析のために、前記ダウンロードしたコード化されたデータを規定のプロトコルと関連付けるステップとを含む方法。
【請求項8】
顕微鏡スライドであって、
大型の物体から採取された試料を載せるように構成される基板と、
前記基板に取り付けられたデータ記憶装置であって、
前記試料を検査して、前記大型の物体の状態を判定するための、プロトコルに関するデータを内蔵する、前記データ記憶装置とを含み、
前記データは、データ読み取り機によって前記データ記憶装置から検索されてもよい顕微鏡スライド。
【請求項9】
前記データ記憶装置は、一度だけ書き込みが可能で、読み出しは何度でも可能な(WORM)記憶装置である、請求項8に記載の顕微鏡スライド。
【請求項10】
顕微鏡スライドであって、大型の物体から採取された試料を載せるように構成される基板と、前記基板に取り付けられたデータ記憶装置とを含み、前記データ記憶装置は、1つ以上時点おける前記試料の顕微鏡的検査によって得られた画像データを内蔵する顕微鏡スライド。
【請求項11】
前記データ記憶装置は、一度だけ書き込みが可能で、読み出しは何度でも可能な(WORM)記憶装置である請求項10に記載の顕微鏡スライド。
【請求項12】
顕微鏡スライドであって、
患者から採取された生体試料を載せるように構成される基板と、
前記基板に取り付けられたデータ記憶装置とを含み、
前記データ記憶装置は、前記患者の名前、年齢、病歴に関するデータを内蔵する、顕微鏡スライド。
【請求項13】
前記データ記憶装置は、一度だけ書き込みが可能で、読み出しは何度でも可能な(WORM)記憶装置である、請求項12に記載の顕微鏡スライド。
【請求項14】
顕微鏡スライド画像取得システムであって、
少なくとも1つの画像検出装置を有し、1秒間に複数の画像を取得できるように動作可能に構成されるカメラと、
各画像の取得中に、x−y−z空間内での前記顕微鏡スライドの移動を検出するように動作可能に構成される複数のセンサと、
前記カメラからの画像および前記複数のセンサからのデータを処理し、画像取得中の画像の移動を、前記画像を修正する、あるいは、破棄することにより補正するように動作可能に構成されるプロセッサとを含む顕微鏡スライド画像取得システム。
【請求項15】
前記カメラは少なくとも1つのCMOS検出装置を有する、請求項14に記載の顕微鏡スライド画像取得システム。
【請求項16】
前記カメラは少なくとも1つのCCD検出装置を有する、請求項14に記載の顕微鏡スライド画像取得システム。
【請求項17】
前記カメラは、1秒間に少なくとも約300枚以上の画像を取得するように動作可能に構成される、請求項14に記載の顕微鏡スライド画像取得システム。
【請求項18】
顕微鏡システム中のグラフィカル・ユーザー・インターフェースであって、
顕微鏡スライドの標本面と、その面上の目的とする視野の相対位置を画像として表示する第1の部分と、
前記目的とする視野を複数の倍率で画像として表示する第2の部分とを含み、
前記第1および第2の画像表示は、少なくともx軸およびy軸に沿って移動可能である、グラフィカル・ユーザ・インターフェース。
【請求項19】
顕微鏡スライドを観察するための自動顕微鏡スライド解析システムであって、
その面上に1つ以上の電子的にアドレス可能な基準位置タグをそれぞれ有する、1つ以上の顕微鏡スライドと、
前記顕微鏡スライド上の定められた視野を観察できるように構成される対物レンズと、
前記電子的にアドレス可能な基準位置タグの少なくとも1つに向けて電磁波を放出するように動作可能に構成されるエミッタと、
前記位置タグの前記電磁波に対する反応から、前記位置タグを検出するように動作可能に構成される検出装置と、
観察される視野、あるいは前記電子的にアドレス可能な位置タグの少なくとも1つに関連してマーキングを希望する視野を決定するために、また前記基準位置タグに対応させて、マーキングを希望する前記視野の前記位置が、前記スライドに関連付けられた電子データ記憶装置へ書き込まれるように、前記検出装置および前記対物レンズからの情報を処理するように構成されるプロセッサとを含むシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記スライドに関連づけられた前記電子データ記憶装置への画像の書き込みを行うようにさらに構成される、請求項19に記載の自動顕微鏡解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−530667(P2009−530667A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500579(P2009−500579)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/063829
【国際公開番号】WO2007/106789
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507091897)アイコニシス インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】