説明

顧客宅内機器を加入者のデータレコード、分界点装置、およびネットワーク要素に割り当てる方法

本発明は、中央局COと、アクセスネットワークと、複数の分界点装置DPUnと、それに接続された顧客宅内機器ONTnとを有する通信のネットワークが、顧客宅内機器ONTnを、中央局COに登録された加入者のデータレコードに割り当てる方法に関し、顧客宅内機器ONTnが受信した信号振幅を中央局COに定期的な報告間隔で報告するときに、顧客宅内機器ONTnは、顧客宅内機器ONTnに割り当てられた分界点装置DPUnにより信号振幅に一意的に影響を与えることによって加入者のデータレコードに割り当てられ、一定の加入者のデータレコードへのこの割り当ては中央局COにおいて知られており、信号振幅に影響を与えることは、分界点装置DPUnに固有のデジタル署名が信号振幅に埋め込まれるように行われ、署名の基礎となるビットクロックは報告間隔に適合され、中央局COは、顧客宅内機器ONTnから報告された信号振幅のシーケンスから分界点装置DPUnの署名を回復し、それから顧客宅内機器ONTnと加入者のデータレコードの間の、ならびに分界点装置およびネットワーク要素への割り当てを導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客宅内機器を、請求項1のプリアンブルによる加入者のデータレコードに、請求項4のプリアンブルによる分界点装置に、および請求項5のプリアンブルによる中央局用のネットワーク要素に、割り当てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような通信のネットワークは、たとえば欧州特許第1986351(A1)号、欧州特許第2015480(A1)号により、よく知られている。
【0003】
通常は光および無線アクセスネットワークは共に、ポイントツーマルチポイントネットワークである。各顧客は接続ポイントを有し、顧客はそれに、単純な電話、サーバ、またはマルチメディア装置などの任意の顧客宅内機器を接続することができる。このような機器の接続は顧客自身で行われ、任意の時点で変更することもできる。用いられる機器をネットワーク運用者の中央局に登録し、それを加入者のデータレコードに曖昧さなしに割り当てる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1986351号明細書
【特許文献2】欧州特許第2015480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このために顧客が、運用者から受信したコードがその過程で入力される、一定の手順を実行することが知られている。このような登録手順は、時間がかかり、煩わしく、エラーを起こしやすい。
【0006】
本発明は、顧客宅内機器を、ネットワーク運用者の中央局に登録された加入者のデータレコードに割り当てるための方法およびそれぞれの装置を提供するという課題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によればこの課題は、請求項1の教示による方法により、請求項4の教示によるネットワーク終端装置により、および請求項5の教示による中央局用のネットワーク要素によって解決される。
【0008】
本発明は、2つの状況を利用する。
【0009】
一方では、ネットワーク運用者はしばしば、運用者のネットワークが顧客にて、いずれの顧客の装置からも隔てられた装置によって終端し、かつ顧客自身の責任であることを要求する。また、分界点装置と呼ばれるこのような装置には、曖昧でない個別の識別子が割り当てられることが知られている。このような分界点装置はネットワーク運用者の責任で設置され、したがってネットワーク運用者にはこのような分界点装置が設置された場所の顧客が分かっている。したがってネットワーク終端(Network Termination)と呼ばれる伝統的なネットワーク終端要素は、2つの部分に分けられる。一方の部分である光ネットワーク終端(Optical Network Termination)は、物理的にネットワークを終端するがこれは加入者の責任であり、他方の部分である分界点装置は、運用者の責任で終端する。
【0010】
他方では、今日、光アクセスラインに接続することが見込まれる顧客宅内機器は、動作時は受信した信号振幅を、それが接続された中央局に定期的に報告するように構成される。
【0011】
ここで発明者らの概念は、中央局から顧客の装置に到来する信号に、この信号の信号振幅に影響を与えることによって、分界点装置の識別子を印加し、それを中央局に報告させることである。もちろん識別子を印加する時間的なシーケンスは、顧客の装置の報告間隔に適合される必要がある。
【0012】
本発明の他の実施形態は、従属請求項および以下の説明に見ることができる。
【0013】
以下では本発明について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による方法を実行することができる通信のネットワークを示す図である。
【図2】本発明による分界点装置を示す図である。
【図3】本発明によるネットワーク要素の一実施例としてネットワークアナライザを含む中央局を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、通信のネットワーク、およびその中の信号の流れを表す図の両方を示す。
【0016】
通信のネットワークは、中央局COと、ラベルが付けられていないアクセスネットワークと、複数のネットワーク終端装置の1つを表す分界点装置DPUnと、加入者の顧客宅内機器を表す光ネットワーク終端装置ONTnとを含む。
【0017】
ここでは中央局COは、光ライン終端装置OLTと、ネットワークアナライザNAとを含むように示される。
【0018】
光ライン終端装置OLTは、光部分と電気部分の間の変換、および電力レベルを適合させるなどの伝送技術的な機能を行う。
【0019】
ネットワークアナライザNAは、ある種のネットワーク動作タスクを行う。
【0020】
実際の実現形態では上述のネットワークアナライザNAは、しばしば光ライン終端装置OLTから空間的に隔てられ、さらにほとんどの場合は2つ以上の光ライン終端装置OLTに共通なネットワーク要素であることに留意されたい。これは本発明の概念には影響を与えない。
【0021】
図の下に示される信号の流れは、中央局CO内の光ライン終端装置OLTから、光ネットワーク終端装置ONTnへの信号の流れである。分界点装置DPUnから先は、分界点装置DPUnによって印加される追加の信号要素が付加される。
【0022】
この信号の流れの図は一定の縮尺で示されたものではなく、いずれの印加された信号要素の持続時間も、それが受ける伝播時間とは関係ない。光ライン終端装置OLTからの信号のクロックは、分界点装置DPUnから印加された信号要素のクロックと比較してずっと高いので、図にも示されない。光ライン終端装置OLTからの信号の振幅と、分界点装置DPUnから印加された信号要素の間の関係は小さく、すなわちおよそ数%の範囲内であり、20%を超えずむしろ5%の範囲内である。光ライン終端装置OLTから光ネットワーク終端装置ONTnに向かう途中の信号の減衰も示していない。
【0023】
分界点装置DPUnによって印加される追加の信号要素は、厳密にこの分界点装置DPUnに割り当てられた曖昧でない個別の識別子を表す。したがってこれは、この分界点装置DPUnに固有のデジタル署名を表す。
【0024】
これらの追加の信号要素の振幅は、一方では、ネットワーク終端装置ONTnの一部であるとされる送受信器パラメータモニタによって明確に検出できるように選ばれなければならない。他方では、この振幅は、光ライン終端装置OLTと光ネットワーク終端装置ONTnの間の正常なデータの流れが乱されないように低く保たれるべきである。
【0025】
分界点装置DPUnからの信号要素が、分界点装置DPUn内で光ライン終端装置OLTからの信号を減衰することによって印加されるときには、光ライン終端装置OLTからの信号の振幅と、分界点装置DPUnから印加される信号要素との間の関係についても同じ考察が当てはまる。
【0026】
全体の信号振幅を増加するには、レーザまたは発光ダイオードなどの光信号源が必要である。全体の信号振幅を減少するには、影響を与えることができる結合係数を有するカプラなどのある種の切り換え可能減衰器、または切り換えることができるいずれかの終端が必要である。
【0027】
信号の流れにこのような署名を印加するのに用いられるクロックは、光ネットワーク終端装置ONTn内の送受信器パラメータモニタが、その監視および報告タスクを確かに実行しながら、また認識される変化を監視および報告することが確実になるように、低くなければならない。したがってこのクロックは、このような送受信器パラメータモニタの報告間隔が、印加される署名の1ビットより短くならないように報告間隔に適合されなければならない。
【0028】
図2は、本発明によるこのような分界点装置DPUnの一実施例を示す。中央局COと、加入者の顧客宅内機器内のネットワーク終端装置ONTnの間の光ラインは、貫通する線で示されるように、この分界点装置DPUnを通ってループスルーされる。分界点装置DPUnはさらに、マイクロプロセッサの通常の省略形であるuPとしてここに示される制御要素と、光送信器Txと、光送信器Txをループスルーされる光ラインに結合する光カプラとを含む。
【0029】
制御要素としてマイクロプロセッサuPを用いることは、このような分界点装置DPUnが通常行うべき他のタスクによって正当化される。この目的のためにマイクロプロセッサuPは、両方向のいずれかからのデータを受信するための受信手段、または中央局に向かって送信もする手段を用いて、ループスルーされる光ラインに結合することもできる。
【0030】
原理上は本発明は、分界点装置DPUnが絶えずその署名を信号の流れに印加する場合に、正しく動作する。制御要素によってもたらされるインテリジェンス、および制御要素が光ラインに結合されるやり方に応じて、署名の印加は、通信の開始での短い期間、または中央局からの要求に限定することができる。
【0031】
図3は、本発明によるネットワーク要素の一実施例としてネットワークアナライザNAを含む、中央局COを示す。
【0032】
すでに上述したようにここでは中央局COは、光ライン終端装置OLTと、ネットワークアナライザNAとを含むように示される。
【0033】
光ライン終端装置OLTは、光部分と電気部分の間の変換、および電力レベルを適合させるなどの伝送技術的な機能を行う。
【0034】
ネットワークアナライザNAは、ある種のネットワーク動作タスクを行う。
【0035】
光ライン終端装置OLTは、知られているこのような光ライン終端装置から変更する必要はない。顧客宅内機器から報告されたパラメータ、特に受信された電力レベルから、割り当てられた既知の分界点装置DPUnの署名を導出することができるように、中央局内のネットワークアナライザNAを適合させる必要があるだけであり、それによって顧客宅内機器をそれぞれの加入者のデータレコードに割り当てることができる。
【0036】
すでに述べたように、実際の実現形態では上述のネットワークアナライザNAは、しばしば光ライン終端装置OLTから空間的に隔てられ、さらにほとんどの場合は2つ以上の光ライン終端装置OLTおよび2つ以上の中央局に共通なネットワーク要素であることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央局(CO)と、アクセスネットワークと、複数の分界点装置(DPUn)と、それに接続された顧客宅内機器(ONTn)とを有する通信のネットワークが、顧客宅内機器(ONTn)を中央局(CO)に登録された加入者のデータレコードに割り当てる方法であって、顧客宅内機器(ONTn)が受信した信号振幅を中央局(CO)に定期的な報告間隔で報告するときに、顧客宅内機器(ONTn)は、顧客宅内機器(ONTn)に割り当てられた分界点装置(DPUn)により信号振幅に一意的に影響を与えることによって加入者のデータレコードに割り当てられ、一定の加入者のデータレコードへのこの割り当ては中央局(CO)において知られており、信号振幅に影響を与えることは、分界点装置(DPUn)に個別に割り当てられたデジタル署名が信号振幅に埋め込まれるように行われ、署名の基礎となるビットクロックは、印加される署名の1ビットが報告間隔と少なくとも同じ長さであり、中央局(CO)は、顧客宅内機器(ONTn)から報告された信号振幅のシーケンスから分界点装置(DPUn)の署名を回復し、それから顧客宅内機器(ONTn)と加入者のデータレコードの間の割り当てを導出することを特徴とする、方法。
【請求項2】
分界点装置(DPUn)が、振幅が信号振幅に比べて小さな補助信号として署名を加法的に追加することによって信号振幅に影響を与えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分界点装置(DPUn)が、署名に応じて少量だけ信号振幅を減衰することによって信号振幅に影響を与えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
中央局(CO)と、アクセスネットワークと、複数の分界点装置(DPUn)と、それに接続された顧客宅内機器(ONTn)とを有する通信のネットワークのための分界点装置(DPUn)において、顧客宅内機器(ONTn)は受信した信号振幅を定期的な報告間隔で中央局(CO)に報告する、分界点装置(DPUn)であって、分界点装置(DPUn)は、分界点装置(DPUn)が中央局(CO)から、分界点装置に接続された顧客宅内機器(ONTn)への信号の振幅に一意的に影響を与える立場にあるように構成され、信号振幅に影響を与えることは、印加される署名の1ビットが報告間隔と少なくとも同じ長さとなるような、署名の基礎となるビットクロックを用いて、分界点装置(DPUn)に個別に割り当てられたデジタル署名が信号振幅に埋め込まれるように行われることを特徴とする、分界点装置(DPUn)。
【請求項5】
中央局(CO)と、アクセスネットワークと、複数の分界点装置(DPUn)と、それに接続された顧客宅内機器(ONTn)とを有する通信のネットワークのための中央局(CO)用のネットワーク要素(NA)であって、ネットワーク要素(NA)が顧客宅内機器(ONTn)から報告された信号振幅のシーケンスから分界点装置(DPUn)の署名を回復し、それから顧客宅内機器(ONTn)と加入者のデータレコードの間の割り当てを導出する立場にあるように構成されることを特徴とする、ネットワーク要素(NA)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520895(P2013−520895A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554262(P2012−554262)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051389
【国際公開番号】WO2011/104070
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】