説明

飛しょう体指令誘導システム

【課題】想定例のものでは、すべての無線通信はいずれも高い通信レートで通信されるため、システム全体での通信データ量が多くなり、無線通信するにあたり、所要出力電力が大きくなるため、通信機器への負荷が大きくなるという問題があった。
【解決手段】本発明の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、飛しょう体の誘導状況に応じて、無線通信の通信レートを各飛しょう体毎に変化させる手段と、各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、飛しょう体の誘導状況を制御し、無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう飛しょう体の数を減少させる手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線で指令誘導を行なう飛しょう体の指令誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図14に、無線で飛しょう体の指令誘導を行なう場合の想定例を示す。
飛しょう体101aと飛しょう体101bは、それぞれ目標2a、目標2bに向けて管制装置103により飛しょう体〜管制装置間無線通信105、飛しょう体〜管制装置間無線通信106により指令誘導されている。
想定例では、飛しょう体〜管制装置間無線通信105、106は、終末誘導近くになって必要となる高い通信レートにあわせて、常時高い通信レートで通信されている。
【0003】
このため、飛しょう体〜管制装置間無線通信105、106をあわせたシステム全体(飛しょう体と管制装置の間)での通信データ量は多くなる。
さらに、システム内で同時に誘導する飛しょう体の数が多い場合は、その数に比例して通信データ量が多くなる。
通信データ量が多くなると、無線通信の場合、広い電波帯域を使用する必要があるが、既存無線通信の電波帯域などとの干渉の制限から、使用電波帯域は狭いほど望ましい。
また、通信データ量が多くなると、無線通信するにあたり、所要出力電力が大きくなるため、通信機器への負荷が大きくなる。
【0004】
図15に、中継ノードが存在する場合の想定例を示す。
移動式目標監視装置106は、目標2aの位置を検出し、同位置情報を、移動式目標監視装置〜中継ノード間無線通信107により中継ノード104に送信する。
中継ノード104は、中継ノード〜管制装置間無線通信108を経由して管制装置103に同位置情報を伝送する。
【0005】
管制装置103は、同位置情報に基づき、飛しょう体101aに対し、指令誘導情報を中継ノード〜管制装置間無線通信108を経由して中継ノード104に伝送し、中継ノード104は、中継ノード〜飛しょう体間無線通信109を経由して、同指令誘導情報を飛しょう体101aに伝送する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の想定例は公知の従来例ではなく、想定して考えられる例であるが、このような想定例のものでは、すべての無線通信はいずれも高い通信レートで通信されるため、システム全体での通信データ量は多くなる。
特に、中継ノード〜管制装置間無線通信108は、目標2aの位置情報と、飛しょう体101aに対する指令誘導情報をいずれも伝送する必要があるため、とくに同通信を経由してのデータ量は多くなる。
【0007】
本発明は、このような想定例の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、システム全体での通信データ量を少なくすることのできる飛しょう体指令誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記想定例の課題を解決するためになされたもので、特許請求の範囲に記載された各発明は、飛しょう体指令誘導システムとして、それぞれ以下に述べる各手段を採用したものである。
【0009】
(1)第1の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、前記無線通信において、同時に高い通信レートで前記無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
(2)第2の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、前記各飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して断続的に管制装置に対して画像送信をする手段と、画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
(3)第3の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、前記飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して断続的に個々の管制装置に対して画像送信をする手段と、画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に前記各飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段と、前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、同時に画像送信が必要となる前記飛しょう体の数を減少させる、あるいは、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
(4)第4の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導情報算出機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
(5)第5の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導情報算出機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段と、前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記中継ノードと前記飛しょう体の間の前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、前記各飛しょう体の飛しょう経路や発射タイミング等を制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
(6)第6の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記飛しょう体の誘導状況に応じて前記中継ノードと前記管制装置の間と前記中継ノードと前記飛しょう体の間の前記無線通信の更新レートを個々に変化させる手段と、前記飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して前記中継ノード経由で断続的に前記管制装置に対して画像送信をする手段と、画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
(7)第7の手段の飛しょう体指令誘導システムは、管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段と、前記飛しょう体の誘導状況に応じて前記中継ノードと前記管制装置の間の前記無線通信と前記中継ノードと前記飛しょう体間の前記無線通信の通信レートを個々に変化させる手段と、前記飛しょう体から、前記無線通信を経由して、前記中継ノード経由で断続的に前記管制装置に対して画像送信をする手段と、画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段と、前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、同時に画像送信が必要となる前記飛しょう体の数を減少させる、あるいは、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上述の各手段の飛しょう体指令誘導システムによれば、飛しょう体の誘導状況に応じて通信レートの切替を行うと共に、高い通信レートの同時発生を回避するよう複数の飛しょう体の飛しょう状況を制御することで、飛しょう体の誘導性能を低下させること無く、システム内の飛しょう体全体の通信データ量を削減することが可能となる。
これにより、システム内で同時に誘導する飛しょう体数が増えた場合においても、システム内全体で考えると、ピークでの通信データ量を多くする必要は無くなり、無線通信を実施するにあたり、使用電波帯域の拡大や、通信機器の所要出力電力の大電力化は不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の各実施の形態について図面に従って説明する。
しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる実施の形態によって限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図2は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図4は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図6は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図である。
図8は、本発明の第5の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図9は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
図10は、本発明の第6の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図11は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
図12は、本発明の第7の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図13は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
【0019】
(第1の実施の形態)
先ず、図1、図2に基づき、本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図2は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
そして、図2(a)は通信レート選択ロジックを示し、図2(b)は飛しょう経路等選択ロジックを示している。
【0020】
図1に図示のように、第1の飛しょう体1a、第2の飛しょう体1bは、それぞれ第1の目標2a、第2の目標2bに向けて管制装置3により、第1の飛しょう体〜管制装置間無線通信(以下、第1〜3の実施の形態では単に「無線通信」という)L1a、第2の無線通信L1bにより指令誘導される。
そして、第1の飛しょう体1a、第2の飛しょう体1bは、個別にそれぞれの誘導状況に応じて、第1の無線通信L1a、第2の無線通信L1bの通信レートを変化させるようになっている。
なお、目標2a、2bの位置情報は、レーダ基地等の固定式目標監視装置5から送信される。
【0021】
図1に図示の例では、第2の飛しょう体1bは、第2の目標2bと接近し、終末誘導に近づいているため、第2の無線通信L1bは、高い通信レートで通信される。
なお、通信レートとは、ビットレートのことであり、高い通信レートとは、例えば、所定の容量の情報を短い時間間隔で頻繁に行うことを意味し、低い通信レートとは、所定の容量の情報を長い時間間隔で行うことを意味する。
【0022】
終末誘導に入る直前、すなわち自らのホーミング装置で目標を捕捉する直前の第2の飛しょう体1bは、第2の飛しょう体1b内のホーミング装置による目標捕捉を高い確率で実現する必要がある。
そこで、各無線通信L1a、L1bの通信レートを、各飛しょう体1a、1b毎に変化させる手段により、固定式目標監視装置5からの各目標2a、2bの位置情報に基づき、例えば、第2の飛しょう体1bが終末誘導に近いことを判断(図2(a)のステップS1)して、無線通信L1bを高い通信レートに設定する(図2(a)のステップS12)。
そして、管制装置3は、高い通信レートにて、第2の無線通信L1bにより、第2の目標2bと第2の飛しょう体1bの相対位置を、より精密に第2の飛しょう体1bに指令するようになっている。
【0023】
一方、固定式目標監視装置5からの第1の目標2aの位置情報により、終末誘導までに、まだ十分時間があると判断(図2(a)のステップS1)された第1の飛しょう体1aは、第1の目標2aの精密な位置を知る必要が無い。
そこで、第1の飛しょう体1aに対しては、第1の無線通信L1aは低い通信レートに設定(図2(a)のステップS11)され、第1の無線通信L1aにより、低い通信レートで通信が行われるようになっている。
即ち、第1の飛しょう体1aは、第1の目標2aとの距離が、まだ遠く、初中期誘導中であり、終末誘導までは、まだ時間がある。
このため、第1の無線通信L1aは、低い通信レートで十分である。
【0024】
このように、各無線通信L1a、L1bは、各飛しょう体1a、1bの誘導状況に応じて、図2(a)に図示のごとく通信レート選択ロジックにより、各通信レートが「高」又は「低」に設定されるようになっている。
【0025】
図2(a)に図示の通信レート選択ロジックは、各飛しょう体1a、1b内の計算機に組み込んでもよく、もしくは、管制装置3内の計算機に組み込んでもよい。
各飛しょう体1a、1b内の計算機に、図2(a)に図示の通信レート選択ロジックが組み込まれることで、各飛しょう体1a、1bの誘導状況に応じて、各飛しょう体1a、1bの管制装置3と間の各無線通信L1a、L1bの通信レートが「高」又は「低」に切り替えられる。
【0026】
この「ロジック」及び以下に記載の「ロジック」は、上述の計算機に組み込まれたプログラム或いはシーケンスの形態でもよく、専用の電子回路にてこの「ロジック」を実行するような形態でも良い。
更には、この「ロジック」はCD−ROM、フロッピ等の記録媒体に記憶し、既存の飛しょう体の計算機、或いは管制装置3にダウンロードするようにしても良い。
【0027】
なお、図2(b)に図示の飛しょう経路等選択ロジックのうち、飛しょう経路の変更については、各飛しょう体1a、1b側の計算機、もしくは、管制装置3の計算機に読み込むことが考えられる。
発射タイミングの変更については、管制装置3の計算機に読み込むことが考えられる。
【0028】
また、事前に第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bが同時に終末誘導に入ることが予想される場合、先ず、図2(b)に図示の飛しょう経路等選択ロジックにより、同時終末誘導発生するか否かが判断される(図2(b)のステップS21)。
同時終末誘導発生すると判断された場合は、例えば、第1の飛しょう体1aは、第2の飛しょう体1bと同時に終末誘導に入ることを避ける目的で当初の飛しょう経路Raを、変更後の飛しょう経路RaXに変更する(図2(b)のステップS23)。
なお、同時終末誘導発生しないと判断(図2(b)のステップS21)された場合には、飛しょう経路、発射タイミングは不変である(図2(b)のステップS22)。
また、第1の飛しょう体1aの発射前であれば、第1の飛しょう体1aの発射タイミングを遅らせる(図2(b)のステップS23)。
【0029】
このようにして、同時に高い通信レートで無線通信を行なう飛しょう体の数を減少させる手段により、飛しょう体1a、1bが同時に終末誘導に入ることを避けることが出来る。
【0030】
本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムは、上述のごとく構成されており、図1に図示のものでは、第2の無線通信L1bは高い通信レートに選択され、第1の無線通信L1aは低い通信レートに選択されている。
このため、第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bをあわせたシステム全体のピークでの通信データ量は、図14に示す想定例に比べて少なくなっている。
【0031】
なお、第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bがいずれも低い通信レートでの無線通信を行なっていれば、さらに通信データ量は削減できるが、使用電波帯域や所要出力電圧はピークでの通信データ量にあわせて規定されるため、ピークでの通信データ量について以下記述する。
ピークでの通信データ量が少ないため、無線通信に必要な使用電波帯域は想定例に比べて狭くて良く、また、無線通信のための所要出力電力も小さくて良い。
【0032】
また、第1の無線通信L1aは低い通信レートであるが、第1の飛しょう体1aは、終末誘導にはまだ至っていないため、高い通信レートは必要なく、低い通信レートでも誘導性能への影響は無い。
また、第1の飛しょう体1aは、第2の飛しょう体1bと同時に終末誘導に入らないように、飛しょう経路や発射タイミングが制御されるため、第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bが同時に終末誘導に入ることは無い。
【0033】
このため、各無線通信L1a、L1bが同時に高い通信レートになることは無く、各飛しょう体1a、1bをあわせたシステム全体のピークでの通信データ量が、図14に示す想定例と同程度にまで増加することはない。
また、長射程の第1の飛しょう体1a(或いは1b)においては、第1の飛しょう体1a(或いは1b)の飛しょう時間全体に占める終末誘導の時間は、短いため、同時に終末誘導に入らないように制御することは、十分可能である。
【0034】
なお、上記の実施の形態は、飛しょう体が2台の場合の例であるが、これ限定されるものではなく、3台以上でも、適用可能である。
また、例えば、同時に誘導する飛しょう体が5台であり、通信機器の所要出力がある程度大きい場合には、例えば、2台を高い通信レートとし、残りの3台を低い通信レートとすることも可能である。
【0035】
上記に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにより、各飛しょう体1a、1bの誘導状況に応じて通信レートの切替を行うと共に、高い通信レートの同時発生を回避するよう複数の飛しょう体1a、1bの飛しょう状況を制御することで、各飛しょう体1a、1bの誘導性能を低下させること無く、システム内の飛しょう体全体の通信データ量を削減することが可能となる。
これにより、システム内で同時に誘導する飛しょう体数が増えた場合においても、システム内全体で考えると、ピークでの通信データ量を多くする必要は無くなり、無線通信を実施するにあたり、使用電波帯域の拡大や、通信機器の所要出力電力の大電力化は不要となる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、図3、図4に基づき、本発明の第2の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図4は、同飛しょう体指令誘導システムにおける通信レート選択ロジックのブロック図である。
【0037】
図3に図示のように、第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bは、それぞれ第1の目標2a、第2の目標2bに向けて管制装置3により第1の無線通信L1a、第2の無線通信L1bにより指令誘導されている。
各第1の飛しょう体1a、1bは、個別にそれぞれの誘導状況に応じて、各無線通信L1a、L1bの通信レートにより、指令誘導されるようになっている。
なお、各目標2a、2bの位置情報は、図1に図示のものと同様に、固定式目標監視装置5から送信される。
【0038】
また、各飛しょう体1a、1bは、各飛しょう体1a、1bのホーミング装置等で取得した目標等の画像を、各無線通信L1a、L1bを通じて、管制装置3に送信する。
管制装置3では、操作員Mが、各飛しょう体1a、1bから送信された画像を目視することで、目標の指定や目標の敵味方識別の判定を行なうことが出来るようになっている。
【0039】
次に、図4に基づき通信レート選択ロジックにつき説明する。
図3に図示の例では、第2の飛しょう体1bは、第2の目標2bに接近している。
そこで、第2の飛しょう体1bは画像送信必要と判断(図4のステップS2)し、第2の飛しょう体1bに搭載されたホーミング装置で第2の目標2bの画像を取得する。
なお、画像送信不要と判断(図4のステップS2)した場合には、低い通信レートのままとし画像送信はしない(図4のステップS11a)。
【0040】
次に、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中か否かを判断(図4のステップS3)し、否と判断した場合には、第2の無線通信L1bを高い通信レートに設定して、第2の無線通信L1bを経由して、管制装置3に画像送信する(図4のステップS12a)。
なお、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中と判断(図4のステップS3)した場合には、低い通信レートのままとし画像送信はしない(図4のステップS11b)。
【0041】
操作員Mは、第2の飛しょう体1bから送信された画像を目視確認し、目標の敵味方識別の判定を行ない、第2の無線通信L1bを経由して、第2の飛しょう体1bに対し、攻撃の続行若しくは停止命令を送信する。
【0042】
その後、第1の飛しょう体1aも目標2aに接近し、ホーミング装置で目標2aの画像を取得したが、第2の飛しょう体1bが、管制装置3に対して、画像を送信中であった場合(図4のステップS3)、図4に示すロジックに従って、低い通信レートのままとし画像送信を実施しない(図4のステップS11b)。
第2の飛しょう体1bからの画像送信が終了すると、第1の飛しょう体1aは、第2の飛しょう体1bが画像送信終了したことを検知し、図4に示すロジックに従って、第1の無線通信L1aを高い通信レートに設定して、画像送信を行なう(図4のステップS12a)。
【0043】
図4に図示の通信レート選択ロジックは、飛しょう体1a、1b内の計算機に組み込んでもよく、もしくは、管制装置3内の計算機に組み込んでもよい。
第1の飛しょう体1aから画像送信が必要な状況になった場合においては、他の第2の飛しょう体1bが画像送信中か否かを判定し、他の第2の飛しょう体1bが画像を送信中で無ければ、第1の無線通信L1aの通信レートを高く設定し、データ量が多い画像送信を実施する。
【0044】
また、当該画像を操作員Mが目視して、その結果により飛しょう体1a、1bの飛しょう経路を変更する場合、飛しょう体誘導のために一定時間内に画像を送信する必要がある。
一定時間内に画像を送信するために、画像を送信する場合も、通信レートを高く設定する。
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムは、上述のごとく構成されており、図4に示す通信レート選択ロジックを、図3に示す各飛しょう体1a、1bに適用することで、図3において、各飛しょう体1a、1bから同時に画像が送信されることはない。
すなわち、図3において、各無線通信L1a、L1bが、同時に高い通信レートになることは無く、各飛しょう体1a、1bをあわせた飛しょう体指令誘導システム全体のピークでの通信データ量を削減することが出来る。
【0046】
画像送信は、目標の敵味方識別に使用することから、各飛しょう体1a、1bが目標を捕捉する前後から目標に命中する前までの時間の間で、比較的短い時間に限定して送信することが可能である。
したがって、飛しょう体指令誘導システム内の飛しょう体1a、1bの数が比較的少なければ、他の飛しょう体1a、1bの通信状況をモニタし、他の飛しょう体1a、1bが画像送信をしていない時に、画像送信することで、本来の画像送信の目的を達成しつつ、ピークでの通信データ量の削減を実現することが出来る。
ピークでの通信データ量の削減が、無線通信を実施するにあたっての、使用電波帯域を節約や、通信機器の所要出力電力省電力化につながるのは、図1、図2に図示の本発明の第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、図5、図6に基づき、本発明の第3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
本発明の第3の実施の形態のものは、図1、図2に図示の本発明の第1の実施の形態のもののと、図3、図4に図示の本発明の第2の実施の形態を組み合わせ、通信レート選択ロジックに改良を加えたものである。
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図6は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
そして、図6(a)は通信レート選択ロジックを示し、図6(b)は飛しょう経路等選択ロジックを示している。
【0048】
図5に図示のように、第1の飛しょう体1aと第2の飛しょう体1bは、それぞれ第1の目標2a、第2の目標2bに向けて管制装置3により第1の無線通信L1a、第2の無線通信L1bにより指令誘導されている。
各飛しょう体1a、1bは、図1〜図4に図示の本発明の第1、2の実施の形態のものと同様に、各飛しょう体1a、1bの誘導状況に応じて、それぞれ第1の無線通信L1aと第2の無線通信L1bの通信レートを変化させるようになっている。
なお、各目標2a、2bの位置情報は、図1に図示のものと同様に、固定式目標監視装置5から送信される。
【0049】
また、各飛しょう体1a、1bは、各飛しょう体1a、1b内のホーミング装置等で取得した目標等の画像を、各無線通信L1a、L1bを通じて、管制装置3に送信する。
管制装置3では、操作員Mが、各飛しょう体1a、1bから送信された画像を目視することで、目標の指定や目標の敵味方識別の判定を行なうことが出来るようになっている。
【0050】
そして、図5に図示のように、第2の飛しょう体1bが先に目標2bに近づき、終末誘導に近いと判断(図6(b)のステップS1)された場合、指令誘導情報の通信レートを上げる必要があるため、第2の無線通信L1bは、中程度の通信レートにされる。
しかしながら、終末誘導近いと判断(図6(a)のステップS1)されたが、画像送信不要と判断(図6(a)のステップS2)された場合には、中程度の通信レートに設定されたままの状態を継続し、画像は送信しない(図6(a)のステップS13a)。
【0051】
更に、第2の飛しょう体1bが目標2bに近づき、画像送信必要と判断(図6(a)のステップS2)された場合には、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中か否かを判断(図6(a)のステップS3)する。
他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中で無ければ、第2の無線通信L1bの通信レートを高くして、管制装置3に画像を送信する(図6のステップS12a)。
なお、他の第1の飛しょう体1aが画像送信中であれば、通信レートは中程度のままの状態を継続する(図6(a)のステップS13b)。
【0052】
そして、操作員Mは、第2の飛しょう体1bから送信された画像を目視確認し、目標の敵味方識別の判定を行ない、第2の無線通信L1bを経由して、第2の飛しょう体1bに対し、攻撃の続行若しくは停止命令を送信する。
【0053】
この間、第1の飛しょう体1aは、目標2aとの距離がまだ遠く初中期誘導中であり、終末誘導までは、まだ時間がある。
そこで、第1の飛しょう体1aは、終末誘導に近くないと判断され(図6(a)のステップS1)、低い通信レートを選択する(図6(a)のステップS11a)。
このようにして、第1の無線通信L1aは、低い通信レートで通信される。
【0054】
図6(a)に図示の通信レート選択ロジックは、飛しょう体1a、1b内の計算機に組み込んでもよく、もしくは、管制装置3内の計算機に組み込んでもよい。
なお、図6(b)に図示の飛しょう経路等選択ロジックについては、本発明の第1の実施の形態における図2(b)の場合と同じである。
【0055】
本発明の第2の実施の形態のものでは、システム内の飛しょう体1a、1bが2台以上と多くなり、多数の飛しょう体1a、1b等が同時に画像送信を必要とする状況が発生すると、所要の時間内に画像送信を行なえない飛しょう体1a、1b等が生じる可能性がある。
飛しょう体画像送信が必要になるのは、飛しょう体1a、1b等が終末誘導に近づいて以降のこととなる。
このため、本発明の第3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムでは、図6(b)における飛しょう経路等選択ロジックにより、同時に終末誘導に入る飛しょう体の数を減ずる事が出来れば、本発明の第1の実施の形態で見られたように、システム内での通信量を削減するのに役立つ他、本発明の第2の実施の形態のものだけでは解決が不十分となる可能性のある、多数の飛しょう体1a、1b、・・・が同時に画像送信を必要とする状況を回避する効果が期待できる。
【0056】
以上、図1〜図6に基づき、本発明の第1〜3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明したが、これらの各実施の形態は、各目標2a、2bの監視を地上等に配置されたレーダ基地等の固定式目標監視装置5により行う例である。
次に、以下に、各目標2a、2bの監視を、レーダ等を搭載した航空機、或いは地上を移動する車両等の移動式目標監視装置6により行う例につき説明する。
なお、以下に示す各実施の形態において、固定式目標監視装置5も併用することも可能である。
また、飛しょう体1a、1b、目標2a、2bの個数は、2個に限定されるものではなく、3個以上の場合も適用可能である。
【0057】
(第4の実施の形態)
次に、図7に基づき、本発明の第4の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図である。
図7に図示のように、移動式目標監視装置6は、目標2aの位置を検出し、同位置情報を、移動式目標監視装置〜中継ノード間無線通信(以下、第4〜7の実施の形態では単に「監視〜中継無線通信」という)L2により中継ノード4に送信する。
中継ノード4は、同位置情報に基づいて、第1の飛しょう体1aに対して、目標2aに向けて、中継ノード〜飛しょう体間無線通信(以下、第4〜7の実施の形態では単に「中継〜飛しょう体無線通信」という)L3aにより指令誘導を行なう。
【0058】
また、中継ノード4は、中継ノード〜管制装置間無線通信(以下、第4〜7の実施の形態では単に「中継〜管制無線通信」という)L4により、管制装置3に対して、飛しょう体1aと目標2aに関する管制情報を伝送し、同じく中継〜管制無線通信L4を経由して、管制装置3からの、管制に関する概略指示を受ける。
各無線通信L2、L3a、L4の通信レートにおいて、監視〜中継無線通信L2と中継〜飛しょう体無線通信L3aとは高通信レート、中継〜管制無線通信L4は低通信レートである。
【0059】
本発明の第4の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムは、上述のごとく構成されており、中継ノード4により、移動式目標監視装置6からの目標2aの位置情報に基づき、飛しょう体1aに対する指令誘導情報を算出する。
図15に示す想定例において、中継ノード〜管制装置間無線通信108を経由して、通信する必要のあった目標2aの位置情報と飛しょう体1aに対する指令誘導情報は通信する必要が無くなる。
即ち、想定例では、指令誘導情報の算出を管制装置で行っていたため位置情報と指令誘導情報を中継ノード〜管制装置間無線通信108を経由させる必要があった。
【0060】
これに対し、図7に図示の本発明の第4の実施の形態のものにおいては、中継ノード4から、中継〜管制無線通信L4により、管制装置3に対して、飛しょう体1aと目標2aに関する管制情報を伝送し、同じく中継〜管制無線通信L4を経由して、管制装置3から中継ノード4に対して、管制に関する概略指示を伝送する必要がある。
ここで、管制情報とは、目標2aの概略位置情報と、第1の飛しょう体1aに対する概略指令誘導情報程度の情報である。
【0061】
本発明の第4の実施の形態のもので新たに通信する必要がある、前記管制情報と管制に関する概略指示を行う中継〜管制無線通信L4は、本発明の第1〜3の実施の形態における管制装置3からの目標2aの位置情報や第1の飛しょう体1aに対するする指令誘導情報に比べると、より低い通信レートの通信で実現可能である。
すなわち、図7に示す飛しょう体指令誘導システム全体で考えると通信データ量を削減することが出来る。
通信データ量の削減は、本発明の第1〜3の実施の形態で説明したとおり、無線通信を実施するにあたっての、使用電波帯域を節約や、通信機器の所要出力電力省電力化につながる。
【0062】
また、中継ノード4で行なう指令誘導情報の算出は、管制装置3に基づく管制に関する概略指示(例えば、目標の変更や攻撃停止の指令)の下に行なわれるので、管制装置3による飛しょう体システム全体を見わたした最適な指令誘導を行なうことが可能である。
したがって、本実施例においては、図15に示す想定例とくらべて、中継ノード4に管制装置3の機能を一部移管しているが、飛しょう体システム全体としては、想定例に比べて機能が低下することはない。
【0063】
(第5の実施の形態)
次に、図8、図9に基づき、本発明の第5の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図8は、本発明の第5の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図9は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
そして、図9(a)は通信レート選択ロジックを示し、図9(b)は飛しょう経路等選択ロジックを示している。
【0064】
図8に図示のように、移動式目標監視装置6は、各目標2a、2bの位置を検出し、同位置情報を、監視〜中継無線通信L2により航空機等の中継ノード4に送信する。
中継ノード4は、同位置情報に基づいて、第1の飛しょう体1a、第2の飛しょう体1bに対して、それぞれ第1の目標2a、第2の目標2bに向けて、第1の中継〜飛しょう体無線通信L3a、第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bにより指令誘導を行なう。
【0065】
また、中継ノード4は、中継〜管制無線通信L4により、管制装置3に対して、各飛しょう体1a、1bと各目標2a、2bに関する管制情報を伝送し、同じく中継〜管制無線通信L4を経由して、管制装置3からの、管制に関する概略指示を受ける。
なお、中継〜管制無線通信L4は、本発明の第4の実施の形態のものと同様に低通信レートのままである(図9(a)のステップS14、S15)。
【0066】
図8に図示の例では、第2の飛しょう体1bは、第2の目標2bに接近し、終末誘導に近づいているため、飛しょう体に近いと判断され(図9(a)のステップS1)、第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bは、高い通信レートで通信される(図9(a)のステップS15)。
一方、第1の飛しょう体1aは、第1の目標2aとの距離がまだ遠く、初中期誘導中であり、終末誘導まではまだ時間がある。
このため、第1の中継〜飛しょう体無線通信L3aは、低い通信レートで通信される(図9(a)のステップS14)。
【0067】
次に、図9(a)に基づいて、通信レート選択ロジックついて説明する。
なお、中継〜管制無線通信L4は、低い通信レートのままである(図9(a)のステップS14、15)。
図8に図示の例では、終末誘導に入る直前、すなわち自らのホーミング装置で目標を捕捉する直前の第2の飛しょう体1bは、第2の飛しょう体1b内のホーミング装置による目標捕捉を高い確率で実現する必要がある。
そこで、中継ノード4は、移動式目標監視装置6からの第2の目標2bの位置情報に基づき、第2の飛しょう体1bが終末誘導に近いことを判断(図9(a)のステップS1)して、中継〜管制無線通信L4の無線通信を低い通信レートのままとすると共に、中継〜飛しょう体無線通信L3bの無線通信を高い通信レートに設定する(図9(a)のステップS15)。
【0068】
そして、中継ノード4は、管制装置3からの概略指示を受けて、高い通信レートにて、第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bにより、第2の目標2bと第2の飛しょう体1bの相対位置を、より精密に第2の飛しょう体1bに指令する。
【0069】
一方、移動式目標監視装置6からの第1の目標2aの位置情報により、中継ノード4にて、終末誘導までに、まだ十分時間があると判断(図9(a)のステップS1)された第1の飛しょう体1aは、第1の目標2aの精密な位置を知る必要が無い。
そこで、第1の中継〜飛しょう体無線通信L3aは、低い通信レートを継続している(図9(a)のステップS14)。
【0070】
このように、各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bは、各飛しょう体1a、1bの誘導状況に応じて、図9(a)に図示のごとく通信レート選択ロジックにより、通信レートが「高」又は「低」に設定されるようになっている。
図9(a)に図示の通信レート選択ロジックは、飛しょう体1a、1b内の計算機に組み込んでもよく、中継ノード4内の計算機に組み込んでもよい。
なお、図9(b)に図示の飛しょう経路等選択ロジックについては、本発明の第1の実施の形態の図2(b)の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0071】
このように、本発明の第5の実施の形態は、図1、図2に図示の本発明の第1の実施の形態のものと、図7に図示の本発明の第4の実施の形態のものとを組み合わせたものである。
本発明の第1、2の実施の形態のものでは、中継ノード4が存在しなかったが、本発明の第1の実施の形態ものの通信量削減の効果は、本発明の第4の実施の形態のもので示すような中継ノード4が存在する場合においても、同様に、期待することが出来る。
【0072】
(第6の実施の形態)
次に、図10、図11に基づき、本発明の第6の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図10は、本発明の第6の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図11は、同飛しょう体指令誘導システムにおける通信レート選択ロジックのブロック図である。
【0073】
図10に図示のように、移動式目標監視装置6は、各目標2a、2bの位置を検出し、同位置情報を、監視〜中継無線通信L2により中継ノード4に送信する。
中継ノード4は、同位置情報に基づいて、第1の飛しょう体1a、第2の飛しょう体1bに対して、それぞれ第1の目標2a、第2の目標2bに向けて、第1の中継〜飛しょう体無線通信L3a、第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bにより指令誘導を行なう。
【0074】
また、各飛しょう体1a、1bは、各飛しょう体1a、1b内のホーミング装置等で取得した各目標等の画像を、各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3aを通じて、中継ノード4に送信し、中継ノード4は、同画像を中継〜管制無線通信L4を通じて管制装置3へ送信する。
【0075】
操作員Mは、管制装置3を用いて、中継ノード4を介して各飛しょう体1a、1bから送信された画像を目視することで、各目標2a、2bの指定や目標の敵味方識別の判定を行なう。
各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3b、中継〜管制無線通信L4は、それぞれ個別に通信レートが設定される。
第2の飛しょう体1bが、目標2bに接近し、続いて第1の飛しょう体1aが目標2aに接近し、第2の飛しょう体1bが、先に画像を第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bにより送信し、同送信が終了後、第1の飛しょう体1aが、続いて画像を第1の中継〜飛しょう体無線通信L3aにより送信する順序については、本発明の第2の実施の形態での説明と同じである。
【0076】
このように、図11に図示の各飛しょう体1a、1bと中継ノード4と間の通信レート選択ロジックは、図4に図示の本発明の第2の実施の形態における各飛しょう体1a、1bと管制装置3と間の通信レート選択ロジックのものとほぼ同じである。
異なる点は、中継〜管制無線通信L4と各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bとを同時に切り替える点である。
【0077】
即ち、図10に図示の例では、第2の飛しょう体1bは、目標2bに接近している。
そこで、第2の飛しょう体1bは画像送信必要と判断(図11のステップS2)し、第2の飛しょう体1bに搭載されたホーミング装置で第2の目標2bの画像を取得する。
画像送信不要と判断(図11のステップS2)した第1の飛しょう体1aについての、第1の中継〜飛しょう体無線通信L3a及び中継〜管制無線通信L4は、低い無線通信の通信レートのままとする(図11のステップS14a)。
【0078】
次に、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中か否かを判断(図11のステップS3)し、否と判断した場合には、第2の中継〜飛しょう体無線通信L3b及び中継〜管制無線通信L4を高い通信レートに設定して、管制装置3に画像送信する(図11のステップS16)。
なお、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中と判断(図11のステップS3)した場合には、低い通信レートのままとし画像送信はしない。
この場合、中継〜管制無線通信L4は、他の第1の飛しょう体1aが画像を送信中であるので、高い通信レートに設定されている(図11のステップS17)。
【0079】
操作員Mは、第2の飛しょう体1bから送信された画像を目視確認し、目標の敵味方識別の判定を行ない、中継〜管制無線通信L4及び第2の中継〜飛しょう体無線通信L3bを経由して、高い通信レートにて、第2の飛しょう体1bに対し、攻撃の続行若しくは停止命令を送信する。
【0080】
一方、第1の飛しょう体1aは、目標2aに接近し、ホーミング装置で目標2aの画像を取得したが、第2の飛しょう体1bが、管制装置3に対して、画像を送信中であったので(図11のステップS3)、画像送信を実施しない(図11のステップS17)。
第2の飛しょう体1bからの画像送信が終了すると、第1の飛しょう体1aは、他の第2の飛しょう体1bが画像を送信中でないと判定し(図11のステップS3)、中継〜管制無線通信L4及び第1の中継〜飛しょう体無線通信L3aの通信レートを高く設定し、画像送信を実施する(図11のステップS16)。
【0081】
図11に図示の通信レート選択ロジックは、各飛しょう体1a、1b内の計算機に組み込んでもよく、もしくは、中継ノード4、管制装置3内の計算機に組み込んでもよい。
【0082】
本発明の第6の実施の形態は、本発明の第2の実施の形態に対し中継ノード4が存在する場合の形態であり、本発明の第2の実施の形態における通信量削減の効果は、中継ノード4が存在する場合においても、各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3b及び中継〜管制無線通信L4の通信レートをそれぞれ切り替えることにより、同様に、期待することが出来る。
【0083】
(第7の実施の形態)
次に、図12、図13に基づき、本発明の第7の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムにつき説明する。
図12は、本発明の第7の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図、図13は、同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図である。
そして、図13(a)は通信レート選択ロジックを示し、図13(b)は飛しょう経路等選択ロジックを示している。
【0084】
図13(a)の各中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bの通信レート選択ロジックは、図6に図示の本発明の第3の実施の形態における各飛しょう体〜管制装置間無線通信L1a、L1bの通信レート選択ロジックのものと同じである。
異なる点は、中継〜管制無線通信L4の通信レートも選択するようにした点にある。
なお、図13(b)に図示の飛しょう経路等選択ロジックについては、本発明の第1、3、5の実施の形態の場合と同様である。
【0085】
図13(a)の通信レート選択ロジックにおいて、中継〜管制無線通信L4は、第1の飛しょう体1a或いは第2の飛しょう体1bから画像送信を行なう時にのみ、画像を送信するために通信レートを高く設定し(図13(a)のステップS16、S19)、それ以外のときは、通信レートを低く設定する(図13(a)のステップS14a、S18)。
【0086】
一方、中継ノード〜飛しょう体間無線通信L3a、L3bについては、終末誘導付近でないと判定したとき(図13(a)のステップS1)は、管制情報のみであり、データ量が少ないため、中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bの通信レートを低くする(図13(a)のステップS14a)。
終末誘導に近くなったが画像送信が不要でないと判定したとき(図13(a)のステップS2)は、中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bの通信レートは中程度とする(図13(a)のステップS18)。
【0087】
また、画像送信が必要であっても他の飛しょう体が送信中と判定した場合(図13(a)のステップS3)も、中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bの通信レートは中程度とする(図13(a)のステップS19)。
そして、画像を送信するようになった場合には、中継〜飛しょう体無線通信L3a、L3bを高い通信レートにする(図13(a)のステップS16)。
【0088】
この本発明の第7の実施の形態のものは、本発明の第3、5、6の実施の形態を組み合わせると共に、いずれかの飛しょう体1a、1bが画像送信するときには、中継〜管制無線通信L4を高い通信レートにしたものである。
【0089】
本発明の第7の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムによれば、本発明の第3、5、6の実施の形態を組み合わせた作用効果を奏する。
すなわち、本発明の第5の実施の形態のものでは、システム内の飛しょう体1a、1b・・・が多くなり、多数の飛しょう体1a、1b・・・が同時に画像送信を必要とする状況が発生すると、所要の時間内に画像送信を行なえない飛しょう体1a、1b・・・が生じる可能性がある。
飛しょう体1a、1b・・・の画像送信が必要になるのは、飛しょう体1a、1b・・・が終末誘導に近づいて以降のこととなる。
【0090】
このため、図13(b)における飛しょう経路等選択ロジックにより、同時に終末誘導に入る飛しょう体1a、1b・・・の数を減ずる事が出来れば、本発明の第5の実施の形態のもので見られたように、システム内での通信量を削減するのに役立つ他、本発明の第5の実施の形態のものだけでは解決が不十分となる可能性のある、多数の飛しょう体1a、1b・・・が同時に画像送信を必要とする状況を回避する効果が期待できる。
【0091】
以上、本発明を、本発明の第1〜7の実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図2】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図4】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図6】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図9】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図11】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係る飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図13】同飛しょう体指令誘導システムにおける選択ロジックのブロック図。
【図14】想定例の飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【図15】想定例の別の飛しょう体指令誘導システムの概要図。
【符号の説明】
【0093】
1a、1b 飛しょう体
2a、2b 目標
3 管制装置
4 中継ノード
5 固定式目標監視装置
6 移動式目標監視装置
L1a、L1b 飛しょう体〜管制装置間無線通信
L2 移動式目標監視装置〜中継ノード間無線通信
L3a、L3b 中継ノード〜飛しょう体間無線通信
L4 中継ノード〜管制装置間無線通信
M 操作員
Ra、Rb 飛しょう経路
RaX 飛しょう経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、
前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、前記無線通信において、同時に高い通信レートで前記無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項2】
管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、
前記各飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して断続的に管制装置に対して画像送信をする手段と、
画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、
前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項3】
管制装置から、無線通信を用いて複数の飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、
前記飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して断続的に個々の管制装置に対して画像送信をする手段と、
画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、
前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に前記各飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段と、
前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、同時に画像送信が必要となる前記飛しょう体の数を減少させる、あるいは、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項4】
管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導情報算出機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段を備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項5】
管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導情報算出機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段と、
前記飛しょう体の誘導状況に応じて、前記中継ノードと前記飛しょう体の間の前記無線通信の通信レートを前記各飛しょう体毎に変化させる手段と、
前記各飛しょう体の飛しょう経路や発射タイミング等を制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項6】
管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記飛しょう体の誘導状況に応じて前記中継ノードと前記管制装置の間と前記中継ノードと前記飛しょう体の間の前記無線通信の更新レートを個々に変化させる手段と、
前記飛しょう体に設けられ前記無線通信を経由して前記中継ノード経由で断続的に前記管制装置に対して画像送信をする手段と、
画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、
前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。
【請求項7】
管制装置から、中継ノードを含む無線通信を用いて飛しょう体の指令誘導を行なう飛しょう体指令誘導システムにおいて、
前記中継ノードが前記管制装置の制御の下で、前記飛しょう体の指令誘導機能を分担することで、前記中継ノードと前記管制装置間の通信量を節約する手段と、
前記飛しょう体の誘導状況に応じて前記中継ノードと前記管制装置の間の前記無線通信と前記中継ノードと前記飛しょう体間の前記無線通信の通信レートを個々に変化させる手段と、
前記飛しょう体から、前記無線通信を経由して、前記中継ノード経由で断続的に前記管制装置に対して画像送信をする手段と、画像送信時には前記無線通信の通信レートを高く設定する手段と、
前記各飛しょう体が、前記画像送信を実施するにあたって、他の前記飛しょう体の画像送信状況を検知し、画像送信タイミングを調整することで、同時に多数の前記飛しょう体が画像送信を行なうことを避ける手段と、
前記各飛しょう体の飛しょう経路及び又は発射タイミングを制御することで、前記飛しょう体の誘導状況を制御し、同時に画像送信が必要となる前記飛しょう体の数を減少させる、あるいは、前記無線通信において、同時に高い通信レートで無線通信を行なう前記飛しょう体の数を減少させる手段とを備えたことを特徴とする飛しょう体指令誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−192423(P2007−192423A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8474(P2006−8474)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)