説明

飛行中に放出する組成物類を保管するための航空輸送可能なタンク

【課題】従来技術の航空輸送可能なタンクの短所又は欠点を少なくとも部分的に改善及び/又は修正する、飛行中に放出する組成物類を保管するための航空輸送可能なタンクを提案する。
【解決手段】本発明は、飛行中に放出する組成物類を保管するための航空輸送可能なタンク(20)に関し、タンクは、組成物類放出開口部(24)で終端する首部(23)を備え、また、その首部を延長する壁部(21)を有するとともに、前記壁部は前記首部の内部に部分的又は全体的に収容されるように十分に変形可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行中に放出する組成物類を保管するための航空輸送可能なタンク及びそのようなタンクを組み込む消火装置に関する。
【0002】
本発明の技術分野は、航空輸送可能な消火用装置を製作する分野である。
【0003】
本発明は、より詳細には、消火用に使用される流体又は粉体を保管するための航空輸送可能なタンク、そのようなタンクを組み込む装置、並びに、タンク及び/又は装置を装備した航空機、特に回転翼航空機に関する。
【0004】
本発明は、特に、ヘリコプタの機上への取付けに適し、飛行中に放出するための水等の液体を受容するように設計された、可撓性の容器又はタンクに関する。
【背景技術】
【0005】
消火装置をヘリコプタの胴体の下に固定することは既知であり、装置は、水保管タンクを備え、水保管タンクは、タンク内に保管された水を放出するために開くことができるハッチを装備する。そのような装置は、特に、ヘリコプタのグラウンドクリアランス(ground clearance)を減少させ、また小さな保管容量を有するという欠点を有する。
【0006】
国際特許出願WO2005/014394号は、胴体の内部に配置されたタンク及び消火ノズルを装備したヘリコプタを記載している。
【0007】
米国特許第3603506号は、航空機の内部に解放可能に設置することができる可撓性バッグ内に収容された化学物質を噴射するために、飛行中に使用するための装置を記載しており、このバッグは、ネットによって定位置に保持される。
【0008】
仏国特許出願FR2829103号は、航空機の操縦室の内部の、水を保管するための取外し可能な装置を記載しており、装置は、可撓性タンクと、水放出ハッチと、タンクに支承されたハッチを通して水を吐出する働きをするアクチュエータと、を備える。
【0009】
一般に、機内にタンクを装備した航空機は、機上消火システムの設置及び取外しに伴う時間及び費用により、消火以外の目的で使用することが難しいことが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、従来技術の航空輸送可能なタンクの短所又は欠点を少なくとも部分的に改善及び/又は修正する、飛行中に放出する組成物類(又は流体)を保管するための航空輸送可能なタンクを提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、そのようなタンクを備える消火装置を提供すること、また、そのようなタンク又はそのような装置を装備した航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様によれば、放出開口部で終端する首部を具備するそのようなタンクが提供され、首部を延長する壁部は、首部の内部に少なくとも部分的に収容される上で十分なように変形可能に構成されている。
【0013】
換言すれば、壁部を有するタンクが提案され、壁部は、タンク内に保管された組成物類を放出するための開口部を画定する。同タンクは、開口部から延び第1の容積を供する第1の部分又は首部を有するとともに、第1の部分の壁部を延長する1つ又は複数の壁部によって画定され、展開された構成で第1の容積より大きい第2の容積、例えば第1の容積の3倍又は5倍の容積を供する第2の部分を有する。第1の部分に結合された第2の部分の壁部は、部分的又は全体的に首部の内部に折畳み可能となるのに十分なような可撓性を呈する。
【0014】
本発明のタンクが、航空機の機体に設置されると、タンクの首部は、航空機の「腹側ウェル」又は底側ウェル内、すなわち、(機室の)床の下方に延設された胴体の外部カバー又は壁部を通って開く区画内に配置され、タンク放出孔が、それらの壁部又はカバーとほぼ平行に配設され、又はそれらの真下で延設される。
【0015】
タンクが空であり、使用されていないとき、タンクは、機室が通常用途のために利用可能となるように、少なくともほとんどの部分が床の下に収容される。航空機が消火のために使用されるとき、タンクの折畳み可能部分が、機室の内部で展開され、飛行中に放出するための組成物類で充填される。放出後に、タンクは、機室の床の下に再びつぶすことができる。
【0016】
首部は、分岐する部分によって構築することができ、又は、拡開する部分で終端することができる。放出開口部は、可動フラップを有する放出機構を装備することができる。
【0017】
本発明は、約0.5立方メートル(m)〜約20mの範囲内、特に、約1m又は2m〜約5m又は10mの範囲内にある容量を有するタンクに適用される。
【0018】
タンクの、折畳み可能又は展開可能な部分又は壁部は、少なくとも部分的に、可塑性材料の少なくとも1つの層を供する材料によって形成することができる。
【0019】
タンクは、タンクを2つの区画に分離する仕切りを備えることができる。好ましくは漏れ止めであるそのような仕切りは、保管された組成物類を放出するための開口部と連通する主区画を、前記開口部と連通しない従区画から分離することができる。
【0020】
従区画は、二次孔によって外部と連通させることができる。
【0021】
従区画は、消火組成物類の密度より低密度の、空気等の二次充填流体を受容するように設計することができる。
【0022】
従区画は、区画を画定する壁部が首部内に折り畳まれるとき、首部を覆うように配設することができる。
【0023】
タンクの第1及び第2の部分は、単一の部品を形成することができる。あるいは、これら2つの部分は、別個及び/又は分離可能とすることができ、第1の部分又は部品の壁部は剛性とすることができ、特に、複合材料(例えば繊維強化樹脂)で製作することができ、フランジにより、第2の部品又はリザーバに、漏れ止めを実現させるような態様で(in leaktight manner)組み付けるように適合させることができる。
【0024】
本発明はまた、本発明のタンクと、タンクが航空機の機室の内部で展開される間にタンクを保持しているための変形可能な構造と、を備える航空輸送可能な消火装置を提供する。
【0025】
保持構造は、タンクの変形可能な壁部を機室の床又は天井に連結させるように設計されたストラップ或いは1つ又は複数のネット等のフィラメント状のリンクを備えることができる。
【0026】
変形可能な保持構造は、首部を取り囲むタンクの変形可能な壁部の一部を、保管された組成物類が首部に向かって流動するのを促進する傾斜位置に維持するための、傾斜維持構造を備えることができる。
【0027】
傾斜維持手段は、首部付近の機室の床とタンクの壁部との間に延びるように設計された、膨張可能なくさび形成構造を具備することができる。
【0028】
傾斜維持構造は、タンクの首部の全部又は一部を取り囲むように配設することができる。
【0029】
変形可能な傾斜維持構造は、ベルト手段を備えることができ、ベルト手段は、膨張可能とすることができ、かつ、少なくともタンクの基部を囲繞し機室の床に対して直接的又は間接的に載置されるように設計される。
【0030】
これらの膨張可能なベルト手段は、複数の重ねられた漏れ止め(leaktight)の区画を備えることができる。
【0031】
本発明はまた、胴体、機室、胴体の壁部、機室の床、及び、機室の床と胴体の壁部との間に延設された腹側ウェル又は区画を備える航空機を提供し、航空機は、本発明のタンク又は装置を装備し、タンクの主部は、腹側ウェル又は区画内で延設される。
【0032】
航空機は、ポンプを装備した外部吸込管と、外部吸込管をタンクの変形可能な壁部内に設けられた充填孔に連結させる内部タンク充填管と、適切な場合はタンクに同様に連結される溢流管と、をさらに備える。
【0033】
本発明は、大量の水を機体に取り込むことを可能にし、これは、飛行中における放出を最適化させることを可能にする。本発明は、整備されていない地上に着陸する際の緊張を抑制し、地上及び飛行中の両方での迅速な充填を促進する。本発明は、航空機を多数の目的に継続使用することを可能にし、機上タンクの存在による飛行性に関する反動を防止し、又は少なくとも制限する。本発明は、保管された組成物類を飛行中に放出するように配設された機室から、乗客及び/又は様々な機器の輸送に適した構成へと、迅速に移行することを可能にする。航空機は、両方の構成において、緊急巻上げ(winch)又は吊下げ(sling)動作の遂行に適している。
【0034】
ヘリコプタの機室内で、空気膨張可能な構造によって保持される可撓性タンクは、消火をより有効に行うために十分な量の水を、保管することができる。放出は、ヘリコプタの構造内のウェルを通じ、かつ放出ハッチを通じて行われる。タンクは、変形によって迅速に空になり、これは、タンクを大気と接続するための通気システムを省略することが可能であることを意味する。アセンブリの構造及び保管部の収縮は、航空機を迅速に別の任務のために利用可能とするように、機室を解放することを可能にする。
【0035】
本発明のその他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面を参照し、いかなる特徴も限定せずに本発明の好ましい実施形態を示す、以下の説明において明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
明確に指定されるものを除き、同一の参照番号は、構造的又は機能的に同一又は同等(同様)の、要素又は部材を指定するために使用される。
【0037】
図13から図15を参照すると、タンク20は、可撓性又は剛性とすることができる壁部22を延長する可撓性壁部21を備え、壁部22は、放出開口部24によって終端させられる、容器20の狭い部分23又は「首部」を画定する。図15に示すようなその展開構成において、壁部21は、首部23を通じて開口部24と連通する主区画25を画定し、区画25の体積は、首部23の体積の10倍又はそれ以上とすることができる。
【0038】
図14に示す部分的につぶれた構成では、壁部21により画定される体積は大幅に低減され、図13に示す折り畳まれた構成では、壁部21は、壁部22によって画定される体積23内に収容される。
【0039】
図4から図6を参照すると、タンク20の首部23は、軸50に沿って垂直に、航空機29の機室28の床27内に設けられた開口部30から、航空機の胴体31の「腹」部内に設けられた開口部60へと下方に延びる、ウェル26内に挿入されている。
【0040】
可撓性壁部21は、区画25の底部33の形状を有する膨張可能なマットレス32を介して、床27上に載る。可撓性壁部21は、機室内で壁部21が拡がることができる広さを制限する、3つの重ねられた膨張可能なベルト又はチューブ34によって取り囲まれる(特に図1及び図3も参照されたい)。
【0041】
変形実施形態では、マットレス32は、胞状材料(cellular material)及び/又は可塑性材料発泡材(plastics material foam)の1つ又は複数のブロックを備える。
【0042】
ベルト34は、壁部21が展開されるとき、区画25の高さ35の一部を覆って延設される。
【0043】
主区画25を画定する壁部の中央頂部36は、壁部36と協働して、閉鎖可能な開口部39を備える漏れ止め(leaktight)の従区画38を画定する壁部37によって覆われる。壁部21が区画26内(首部23内)へとつぶされるときに、孔30を閉じて床27の連続性をもたらすように働くマットレスを形成するように、この従区画に、加圧された空気を充填することができる。
【0044】
変形可能な漏れ止め仕切り36a(図4参照)によって主区画25から分離される、空気膨張可能な従区画を構築する少なくとも1つの別の区画38aを、タンク20内に設けることができる。これにより、従区画38aが空気で充填されるときに、区画25の作用容量を減少させることが可能になる。
【0045】
これにより、主タンク25の容量を、航空機の性能に適合させることが可能になり、その性能は、動作が実行される高度、及び/又は機上タンクが充填される場所とそれが放出される場所との間で航空機が移動する距離に応じて、自発的に低減させることができる。
【0046】
放出孔24を閉じるための構造40が、首部23の口部に、漏れ止めを実現させるような態様で(in leaktight manner)連結される。この構造は、放出開口部41を備え、放出開口部41は、前記開口部の開閉を可能にする、アクチュエータ(図示せず)からの駆動を受ける稼動フラップ42(図6)によって、閉じることができる。
【0047】
内部吸込管43は、タンク25を充填するためにその内側に延びる、1つの端部44を有する。
【0048】
このために、また図1から図3に示すように、管43は、それが地上で充填されることを可能にする連結具45を、その後端部にて有する。
【0049】
管43が外部吸込管46に連結されることを可能にするように、T字形接合部46が管43内に挿入され、その底部47は、放出される組成物類を飛行中に容器に充填するために、ポンプ48と関連付けて使用することができる。
【0050】
特に、図1及び図11を参照すると、溢流管49もまたタンク25と連通させられている。
【0051】
特に、図1〜図3、図10及び図11を参照すると、本発明の装置は、例えば約4000リットル(L)の容量を有する、機室の床上に配置される可撓性タンク20と、胴体の下に位置決めされタンクに結合される放出システム(40から42)と、タンク20を充填しそれを通気するためのシステムと、を備える。結果的に得られる混合物が放出される前に、タンク20内に収容された組成物類と混合するための、添加剤を受けるためのより小さい容量のタンク(図示せず)もまた、機上に設置しタンク20に連結させることができる。
【0052】
ポンプ46と、管43、48、49とを含む充填部材は、グラウンドクリアランス(ground clearance)の問題を限定するために、タンク及び航空機の構造に、解放可能に連結される。これらの部材は、タンクから分離されるとき、機室へのアクセスの妨害を回避するように、また、例えばドアを摺動させる等機室へのアクセスドアを閉めることをより容易にするように、航空機の貨物室内に収容することができる。
【0053】
タンク20は、放出システムに、漏れ止めを実現させるような態様で(in leaktight manner)連結されるほぼ矩形のブロック形状の可撓性リザーバによって、基本的に構築することができる。リザーバ20と、放出部材40〜42と、の間の連結は、リザーバの壁部21を構築するものと同じ種類の材料で製作することができ、その中に一体化させることができる(首部23を画定する)スリーブ22を介して行われる。このスリーブは、腹側ウェル26の内部形状と一致するようになされる形状のものである。
【0054】
壁部36及び37(図4参照)は、リザーバ内に一体化された膨張可能なクッション38を形成し、タンク23、25が空でウェル26内へと折り畳まれるとき、及び、航空機が乗客又は様々な種類の機器を輸送するために使用されているときに、床27内に形成された開口部30が覆われ及び/又は閉じられることを可能にする。
【0055】
タンクに組成物類が充填されているときに、組成物類がはね上る作用を低減するために、クッションを床と平行に維持するストラップにより、クッションを航空機の構造に連結させることができる。
【0056】
タンク内に収容された組成物類の質量及び航空機の加速により生じる慣性力の作用を受ける、飛行中の充填されたタンクの何らかの変形及び/又は移動をさらに制限するように、タンクは、バッグの壁部21に固定された1つ又は複数の可撓性の仕切りによって(完全に又は部分的に)分離され、ほぼ垂直に延びることができる複数の区画を備えることができる。
【0057】
特に、タンクが収容した組成物類を放出する間に、壁部36の下向きの運動及びタンクの頂部の畳み込みを案内する目的で、ストラップ51、ネット52(図12)、又は何らかの同等の手段により、タンクの底部及び/又は頂部とキャリヤ構造との間に連結部を設けることができる。
【0058】
膨張可能な閉じるクッションは、ヘリコプタの構造に係留されるストラップによって保持することができる。クッションは、それにより画定される区画38を充填及び/又は通気及び/又は溢流させるための配管(図示せず)用の、1つ又は複数の連結部を備える。
【0059】
乗客又は品物を輸送するときは、タンク23、25を空にし、ベルト34及び(マットレスが膨張可能な場合)マットレス32を収縮させ、壁部21を首部23内に配置し、開口部30を「クッション」36〜38によって閉じ又は覆えば十分である。
【0060】
非常時は、タンクを空にし、ベルト34を収縮させ、機室の床を覆って壁部21を広げれば十分とすることができ、前記壁部は、その上を乗客が歩くことに耐えるように設計され、クッション38によって大部分が保護される。
【0061】
特に、図4〜図6及び図9〜図11に示すように、可撓性タンクは、以下を備える膨張可能な構造により、機室内で定位置に保持される。
・例えば可撓性又は強力なPVCで製作される複数の重ねられた膨張可能な管34を備え、タンクを取り囲むベルト。これらの管は、航空機の構造要素に当たる外面を有することができ、航空機の長手軸上にタンクを保持するためのストラップを設けることができ、タンクが機室よりも狭い場合、膨張可能なベルトを、航空機の構造に取り付けられたストラップにより定位置に保持することができる。
・タンク25の底部33に「ダイヤモンド先端(diamond point)」形状を与え、ヘリコプタの姿勢に関わらず水がウェル26内に流れることを可能にする、膨張可能な床部32。
【0062】
機室の床を、人及び/又は機器の輸送に利用可能とするために、リザーバ維持システム全体を縮小させることができる。
【0063】
設置時に、このアセンブリは、ヘリコプタの下方からウェルの内部に設置される。空間の利用可能性の理由から、充填システムの要素を機室内に設置することができる。
【0064】
特に、図7〜図11を参照すると、腹側ウェル26(図7)を装備したヘリコプタ機上の装置の設置は、以下の操作を含むことができる。
・タンク及び放出システムアセンブリを腹側ウェル内に挿入し、それを航空機に締結させること(図8)。
・タンクを支持するためのマットレス32をウェルの周りに設置し、それを拡げ、固定し、膨張させること(図9)。
・リザーバ上の壁部21、36を床27上に拡げ、リザーバ内に含まれる閉鎖クッション(36〜38)を膨張させること。
・ベルト34を拡げ、固定し、膨張させること(図10)。
・適切ならば、リザーバをベルト34及び航空機29の構造に固定すること。
・充填、通気、溢流管43、49(図11)を、少なくともタンクの主区画25に接続させること。
【0065】
タンク内に収容された組成物類の放出を含む任務の実行後に、ベルト及び床を収縮させることにより、航空機機室の容積の主な部分を使用することが可能になる。
【0066】
リザーバ21を、展開されたリザーバの高さ35の半分付近の1つ又は複数の管34に取り付けることによって、タンク25が空にされる間にリザーバを畳み込むことがより容易になる。
【0067】
航空機を、通常用途のための構成に変換するために、充填及び溢流アセンブリが取り外され、ベルト及び床が畳み込んで収容され、タンクアセンブリ(リザーバ)が航空機の構造の底部内に形成されたウェル内に折り畳まれて収容され、ウェルが閉鎖床によって閉じられる。
【0068】
図12に示す変形した形態では、可撓性タンクが、機室の頂部に嵌められた水平レール53に固定され、ストラップのシステムにより機室の床上に保持される。
【0069】
上述で説明したように、タンクと放出システム40との間の連結は、腹側ウェル内の利用可能な空間内で行われる。
【0070】
タンクは、スナップホックにより構造の係留点に固定された1列のストラップ及びタンクの底部上を横断する2対のストラップによって保持される。
【0071】
図16を参照すると、タンクは剛性壁部22を有し、壁部22は航空機の構造部に固定され、軸50の周りで下向きに拡がるほぼ円錐台形を示す。この壁部は、その頂部にて、ボルト55を通すための孔で穿通されたフランジ54を備える。タンクの可撓性壁部21はベロー21b及びカラー21aで終端する。カラーは、フランジ54と、ボルト55を通すための孔で同様に穿通された裏当てフランジ56と、の間に延設される。ボルトは、壁部21及び22の間に漏れ止め(leaktight)連結部を設けるように締め付けられる。
【0072】
言うまでもなく、当業者なら、本発明の範囲を逸脱することなく、上述に説明した様々な実施形態に対して、構造的要素及び機能的構成要素の両方に関する様々な追加、省略又は修正等を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の消火装置を装備したヘリコプタを示す概略的な切取り斜視図である。
【図2】ヘリコプタの機上に取り付けられた、図1に示すものと同様の消火装置を示す側面図である。
【図3】ヘリコプタの機上に取り付けられた、図1に示すものと同様の消火装置を示す平面図である。
【図4】本発明の装置の好ましい1つの実施形態と、それがどのように航空機内に設置されるかを示す長手概略断面図である。
【図5】本発明の装置の好ましい1つの実施形態と、それがどのように航空機内に設置されるかを示すものであって、図4に示す装置の平面V-Vに沿った概略断面図である。
【図6】本発明の装置の好ましい1つの実施形態と、それがどのように航空機内に設置されるかを示すものであって、図4に示す装置の平面VI-VIに沿った概略断面図である。
【図7】ヘリコプタの機上への装置の取付けにおけるステップをある視点から示し、「腹側」ウェルの特徴も示す図である。
【図8】ヘリコプタの機上への装置の取付けにおけるステップを図7とは別の視点から示す図である。
【図9】ヘリコプタの機上への装置の取付けにおけるステップを図7とは別の視点から示し、タンクを押し込むための装置の特徴も示す図である。
【図10】ヘリコプタの機上への装置の取付けにおけるステップを図7とは別の視点から示す図である。
【図11】ヘリコプタの機上への装置の取付けにおけるステップを図7とは別の視点から示す図である。
【図12】本発明の別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図13】本発明のタンクの構造及び動作を示す、概略側面図である。
【図14】本発明のタンクの構造及び動作を示す、概略側面図である。
【図15】本発明のタンクの構造及び動作を示す、概略側面図である。
【図16】本発明の別の実施形態における、タンクを形成する2つの部品の間の連結を示した要部の切取り断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中に放出用の組成物類を保管するためのタンク(20)であって、
前記タンクは、
組成物類放出開口部(24)で終端する首部(23)と、
前記首部を延長する壁部(21)と、を備え、
前記壁部(21)は、前記首部の内部に部分的又は完全に収容されるように十分に変形可能であるように構成された、
タンク。
【請求項2】
前記タンクは、前記首部を含むとともに前記放出開口部から延びる第1の部分を備え、前記第1の部分は第1の体積を供し、前記タンクは、さらに、少なくとも前記壁部により画定される第2の部分を具備し、前記第2の部分は、展開構成において前記第1の体積より大きい第2の体積を供し、前記第2の部分の前記壁部は、前記首部の内部に部分的又は全体的に折畳みできるように十分な可撓性を供するように構成された、
請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記首部の少なくとも一部を画定する剛性を有した第1の部品(22)と、前記第1の部品から分離可能であり前記変形可能な壁部(21)を備える第2の部品と、を具備して構成された、
請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記放出開口部は、可動フラップ(42)を有する放出機構を装備し、前記首部は、拡開部分で終端するように構成された、
請求項1から3のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
容量が約0.5m〜約20mの範囲内であり、
前記折畳み可能かつ展開可能な壁部は、少なくとも部分的に、可塑性材料の少なくとも1つの層を供する材料によって形成されて成る、
請求項1から4のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項6】
前記タンクの2つの区画(25、及び38、38a)を分離する仕切り(36、36a)を備えるように構成された、
請求項1から5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
漏れ止め(leaktight)の仕切り(36、36a)は、前記保管された組成物類を放出するための前記開口部と連通する主区画(25)を、前記開口部と連通しない従区画(38、38a)から分離するように構成された、
請求項1から6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記従区画は、二次孔(39)を介して外部と連通させることができるように構成された、
請求項7に記載のタンク。
【請求項9】
前記従区画は、飛行中に放出用の前記流体の密度よりも低密度の二次充填流体を受容するように設計される、
請求項7又は8に記載のタンク。
【請求項10】
前記二次充填流体は、空気である、
請求項9に記載のタンク。
【請求項11】
前記主区画を画定する前記壁部は、前記首部の内部に折り畳まれるときに前記従区画が前記首部を覆うように配設されるよう構成された、
請求項7から10のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項12】
機室(28)を有する航空機(29)で輸送可能な組成物類保管装置であって、
前記装置は、
組成物類放出開口部(24)で終端する首部(23)と、前記首部を延長させる壁部(21)と、を含むとともに、前記壁部(21)が、前記首部の内部に部分的又は全体的に収容されるように十分変形可能である構成を備え、飛行中に放出用の組成物類を保管するためのタンク(20)と、
前記タンクが機室の内部で展開されるときに、前記タンクを保持するための保持構造(32、34)と、を具備して構成される、
組成物類保管装置。
【請求項13】
前記保持構造は、前記タンクの前記変形可能な壁部を前記機室の前記床又は前記天井に接続させるように設計されたストラップ或いは1つ又は複数のネット等のフィラメント状のリンクを具備して構成される、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記保持構造は、前記首部を囲繞する前記タンクの前記変形可能な壁部の一部(33)を、前記保管された組成物類が前記首部に向かって流動するように促進する傾斜位置に維持するための傾斜維持構造(32)を備えるように構成される、
請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記傾斜維持構造は、前記機室の前記床(27)と前記首部付近の前記タンクの前記壁部との間に延設するためのくさび形成構造を備えるように構成された、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記傾斜維持構造は、少なくとも部分的に膨張可能であり、前記タンクの前記首部の全部又は一部を囲繞するように配設されるよう構成された、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記保持構造は、ベルト手段(34)を有し、前記ベルト手段(34)は、前記タンクの基部を少なくとも囲繞しかつ前記機室の前記床の上に直接的又は間接的に載置されるように設計された、
請求項12から16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記ベルト手段は、膨張可能であるとともに、複数の重ねられた漏れ止め(leaktight)の区画を具備するように構成された、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記傾斜維持構造は、胞状材料から成る1又は複数のブロックを包含して構成された、
請求項15から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記タンクの膨張可能な従区画は、前記首部及び/又は前記機室の前記床内に形成された開口部(30)が、覆われ及び/又は閉じられることを可能にする、
請求項12から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
胴体(31)、機室(28)、胴体の壁部、機室の床(27)、及び、前記機室の床と前記胴体の壁部との間に延設される腹側ウェル又は区画(26)を具備する航空機(29)であって、
前記航空機は、飛行中に放出するための組成物類を保管するためのタンク(20)を装備し、
前記タンクは、
組成物類放出開口部(24)で終端する首部(23)と、
前記首部を延長させる折畳み可能な壁部(21)と、を備え、前記首部の容積は、折畳み構成で前記折畳み可能な壁部の少なくとも一部を収容するのに十分な容積であり、
前記タンクの前記首部(23)は、少なくとも部分的に前記腹側ウェル又は区画内へと延設されるように構成された、
航空機。
【請求項22】
ポンプ(48)を装備した外部吸込管(46)と、前記外部吸込管を前記タンクの変形可能な壁部内に設けられた充填孔に連結させる内部タンク充填管(43)と、適切な場合には前記タンクに同様に接続される溢流管(49)と、をさらに備えて構成された、
請求項21に記載の航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−519170(P2009−519170A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545033(P2008−545033)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002317
【国際公開番号】WO2007/068806
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(593020038)ユーロコプテール (19)
【氏名又は名称原語表記】EUROCOPTER
【Fターム(参考)】