説明

飛行機の着陸装置用の小型操舵装置

【課題】
本発明は、着陸装置の脚部(13)に沿って配置された着陸装置の車輪(6)の少なくとも1つの回転駆動手段(2、3、4、5)を含むものである。
【解決手段】該着陸装置の車輪(6)の少なくとも1つの回転駆動手段(2、3、4、5)を含ことを特徴とする飛行機の着陸装置(1)用の操舵装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行機の着陸装置用の小型操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行機着陸装置用の操舵装置は、着陸装置の脚部に対し直角に配置され、前部着陸装置の脚部に作用するシリンダーを含む。
【0003】
これらのシリンダーはアームにより、着陸装置のこの脚部を受け入れる体幹部に固定され、着陸装置の脚部の回転を駆動するよう、コンパスにより着陸装置の下部回転部分に固設されたリングに自在継手により結合される。先行実施例を図1に示す。
【0004】
これらの先行装置においては、コンパスの他にも、少なくとも1つの結合要素、例ではシリンダー、が着陸装置の脚に対し直角に配置され、着陸装置の脚部から突出する。この要素は、ギアハウジング内に大きな空間を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、飛行機用着陸装置、特に前部着陸装置の可搬操舵装置の外形寸法を低減し、その結果、この着陸装置が格納されるギアハウジングの寸法を減らすことを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これを行うため、本発明は、着陸装置の脚部に沿って配置された少なくとも1つの着陸装置車輪回転操作手段を含む、飛行機の着陸装置用操舵装置に関する。
【0007】
有利には、着陸装置の脚部に沿って配置された操作手段は、少なくも1つのシリンダーおよびラックを含み、シリンダーはラックを駆動する。
【0008】
より詳細には、ラックは、角度転換ピニオンを介して、着陸装置の車輪を支承するスライドを回転駆動する回転クラウンを駆動する。
【0009】
本発明の特定の実施形態によれば、回転クラウンは着陸装置の脚部と同軸であり、前記車輪を操舵するコンパスに結合された回転リングを介して車輪を回転駆動する。
【発明の効果】
【0010】
したがって、着陸装置の脚部に沿って配置された操舵装置は、脚部に対し直角な方向において突出することなく、また、ギアが格納される時、ギアハウジングを格納するのに垂直方向および/または横方向にギアハウジングを大きくする必要がない。
【0011】
本発明のその他の特徴および長所は添付の図面を参照して行う本発明についての非限定的例についての以下の説明を読むことにより明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1Aは、技術の操舵装置を含む飛行機の前部着陸装置を示す。
【0013】
この実施例によれば、先行技術の装置は、着陸装置の脚部13の軸に対し直角に配置され相互の間にある角度を形成する2つのシリンダーAおよびBを含む。
【0014】
質量が大きく小旋回半径で回転することができる飛行機の場合、シリンダーは、充分な動作ストロークを提供するために長寸である。
【0015】
着陸装置(あるいはランディングギア)が、ギアハウジングと呼ばれるそのハウジングに格納される際、シリンダーは着陸装置の寸法を上方に向かって超えるためその体積したがって質量が増加し、このハウジングの高さが必然的に高くなり、結果として、このハウジングの上方で使用可能なスペースが減少する。
【0016】
図1Bの例は、伸縮ストラットCを具備し、シャフト22aおよびスライド22bとで構成されたギアの脚部から横方向に突出するシリンダーA1、A2、B1、B2を含む着陸装置である。
【0017】
後者の場合、これらのシリンダーの側面寸法が大きい。
【0018】
ギアハウジングの寸法および質量を減らすには着陸装置の寸法を減らすことが望ましいが、これはギアの脚部から突出する部品の寸法を制限することにより本発明により提供される。
【0019】
これを実現するため、図2Aおよび図2Bの本発明による着陸装置1の実施例は、着陸装置の車輪6について2つのシリンダー(回転駆動手段)2を含み、これら手段は着陸の脚部13に沿って配置される。
【0020】
ストラット22aと呼ばれる上部不動部分には、ハウジングへのギアの格納および取り出しが行える回転軸が頂上部に存在する補強用三角形20、21が結合される。
【0021】
補強用三角形20、21およびストラット22aは単一のパーツで作製することができ、三角形20、21は別々の部材とすることもできる。
【0022】
上部不動部分は上部管7を形成し、その下方への延長部には、可動部分すなわちスライド22bがあり、車輪6を支承し、ストラット22aの管7内で滑動し回転することができるよう、ダンパー上に固定される。
【0023】
車輪の回転は、先行技術と同様、回転リング11により回転され、ストラット22a内でスライド22bを回転させるコンパス12を介して行われる。
【0024】
着陸装置の脚部に沿って配置された駆動手段は、ここでは2対のシリンダー2を含むが、1つのシリンダーだけでもよい。
【0025】
図4の詳細によれば、各シリンダー2は、二重油圧回路23、24から供給され対向して作用する対向シングルシリンダー3、4で構成される。シリンダーは、ギアの脚部の寸法からの突出量が最小になるよう、上部管7に沿ってこの管に平行に配置される。
【0026】
対向するシリンダー3、4の間にはラック5があり、シリンダーはラックを駆動する。単数または複数のシリンダー2、3、4およびラック5は着陸装置の脚部の上部管7上に固定される。
【0027】
本発明によれば、車輪の回転応力が中程度である低質量飛行機の場合、シリンダーから出るラックを駆動する複動シングルシリンダーによる実施が可能である。
【0028】
車輪を回転させるために、ラック5は図3に示す着陸装置の車輪6の駆動用回転クラウン8を回転駆動する。
【0029】
クラウンは着陸装置の脚部13と同軸であり、ラックにより角度変換歯車9、10を介して駆動される。
【0030】
角度変換歯車9、10は円錐歯車であり、歯車9は脚部の軸に対し直角な軸を中心として回転し、歯車10は脚部の軸を中心として回転する。
【0031】
本発明によれば、回転クラウン8は、脚部に平行に配置されたラックが、スライド22bの回転を駆動するコンパス12に結合された回転リング11を介して着陸装置の車輪6を駆動できるよう、先行技術のコンパスと同様のコンパスに連結された回転リング11と同軸に作製される。
【0032】
歯車9、歯車10、および回転リング11は組み合せ要素であっても、あるいは単一部品を切削加工してもよい。
【0033】
上で見てきたように、角度変換歯車9、10は、着陸装置の脚部の軸に対し直角な軸15であって、クラウン8と同軸な第2円錐歯車10と噛合する第1円錐歯車9を含む。第1円錐歯車9は平歯車14を含む部品で作製され、ラック5は、第1円錐歯車9と同軸な平歯車14と噛合する。
【0034】
シリンダー2は2つの対向シリンダー3、4を含み、ラック5は、上下方向に配置された2つの対向シリンダー3、4のピストン16、17間の共通中央ロッド内に作製される。
【0035】
したがって、油圧作動液が上側シリンダー3のピストン16を押すと、ラックが降下し、軸15を中心として第1円錐歯車9を回転させ、それによりクラウン8およびリング11を第1方向に回転させるが、油圧作動液が下側シリンダー4のピストン17の空洞に充満されると、ラックが上昇し、クラウン8を反対方向に回転させる。
【0036】
ラックを支承する中央ロッドのたわみを防止するために、このロッドは、平歯車14とは反対側のラックの側に配置された少なくとも1つの案内ローラー18、19に載架する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は図示例に限定されるものではなく、シリンダーラックおよび第1円錐歯車アセンブリーの代りに、特に、クラウンに固設された第2円錐歯車に直接噛合し着陸装置1の脚部13に沿って配置された垂直軸の円錐回転歯車モーターのような単一の駆動手段を使用することができる。
【0038】
また本発明は、伸縮ストラットを具備するまたは具備しないギアストラットにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】先行技術の操舵装置を具備する着陸装置の斜視図である。
【図1B】先行技術の操舵装置を具備する着陸装置の斜視図である。
【図2A】それぞれ直進位置および旋回位置にある本発明による装置を具備する着陸装置の斜視図である。
【図2B】それぞれ直進位置および旋回位置にある本発明による装置を具備する着陸装置の斜視図である。
【図3】本発明による装置の斜視詳細図である。
【図4】本発明の個別の実施形態によるシリンダーおよびラック装置の略図である。
【図5】図2Aおよび図2Bの歯車システムの断面図ある。
【符号の説明】
【0040】
A、B シリンダー
C ストラット
1 着陸装置
2、3、4 シリンダー
5 ラック
6 車輪
7 上部管
8 クラウン
9、10 角度変換歯車
11 回転リング
12 コンパス
13 脚部
14 平歯車
15 軸
16、17 ピストン
18、19 ローラー
20、21 補強用三角形
22a ストラット
22b スライド
23、24 二重油圧回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着陸装置の脚部(13)に沿って配置された着陸装置の車輪(6)の少なくとも1つの回転駆動手段(2、3、4、5)を含み、少なくとも1つのシリンダー(2、3、4)とラック(5)を含み、シリンダーが、着陸装置の車輪(6)を支承するスライド(22b)を回転駆動する回転クラウン(8)を角度変換歯車(9、10)を介して回転駆動するラック(5)を駆動することを特徴とすること、着陸装置の脚部に沿って配置された少なくとも1つのシリンダーが、上部管7に沿ってこの管に平行に配置されること、および、角度変換歯車(9、10)が、クラウン(8)と同軸な第2円錐歯車(10)と噛合する着陸装置の脚部の軸に対し直角な軸(15)の第1円錐歯車(9)を含むことを特徴とする飛行機の着陸装置(1)用の操舵装置。
【請求項2】
回転クラウン(8)が着陸装置の脚部(13)と同軸であり、車輪(6)を操舵するコンパス(12)に結合された回転リング(11)を介して前記車輪(6)を駆動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
着陸装置の脚部が、シリンダー(2、3、4)およびラック(5)が固定された上部管(7)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
ラック(5)が、第1円錐歯車(9)と同軸な平歯車(14)に噛合することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記シリンダー(2)が2つの対向シリンダー(3、4)を含むこと、およびラック(5)が、2つの対向シリンダー(3、4)のピストン(16、17)の間の共通中央ロッド内に作製されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
中央ロッドが少なくとも1つの案内ローラー(18、19)に載架することを特徴とする請求項5に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−543676(P2008−543676A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518796(P2008−518796)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063480
【国際公開番号】WO2007/000411
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)