説明

食品や生もののMA貯蔵のための、再封・繰り返し使用可能なプラスチック製保存容器と通気性膜を備えた蓋

【課題】延長された保存期間のために冷却された温度において、食物の最適な保存のための最適な内部の相対湿度、高レベル二酸化炭素及び低レベル酸素状態を維持するために、二酸化炭素と水蒸気との交換が可能な密封容器を提供する。
【解決手段】家庭で又は組織的に使用される、果物や野菜などの品質を維持するための新規な処置に関し特には自発的に容器内の気相調節(二酸化炭素が1%から50%、酸素が1%から15%)をすると共に相対湿度を50%RHから94%RHに維持する新規の容器において、特殊なフィルムとミクロな穿孔を利用して様々な調整気相選択をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新鮮な果物や野菜のMA貯蔵のための、新規な方法と、繰り返し使えるプラスチック製保存容器に関する。詳細には、本発明は、延長された保存期間のために冷却された温度において、食物の最適な保存のための最適な内部の相対湿度、高レベル二酸化炭素及び低レベル酸素状態を維持するために、二酸化炭素と水蒸気との交換が可能な密封容器による食物の完全かつ安全な保存に関する。この容器は、密封でき繰り返し使用できるよう設計されている。
【背景技術】
【0002】
新鮮で食べ頃の果物や野菜やその他の食物は、1週間程度のうちに利用される意図で消費者によって購入される。丸ごとの新鮮な果物や野菜は、家庭や飲食店などで消費される前にしばしば剥皮され芯や種を取られ切り分けられる。市販の保存容器は、1日や2日よりも長い期間のための食物の安全な環境における最適な品質を維持するのに適した環境を提供するのに充分でない。
【0003】
繰り返し使用可能な保存容器は、しばしば食品の新鮮さや品質を保つため、下ごしらえされた果物や野菜が入れられる。このような容器のほとんどは食品を乾燥から守るため、食品の湿度を上げる役割を果たす。この活用方法は短期間での利益はあるのだが、食品の呼吸により湿気が発生し、飽和した状態まで発達すると、食物の安全性や品質に影響するようなバクテリアやイースト、カビなどの増殖を招く。さらに、過剰な湿度は、食品の軟化と急速な質の劣化を招く。
【0004】
多くの新鮮な果物や野菜は、相対湿度が50%RHから94%RHの間に維持された状態で、その品質を保っている。しかし、これらのカビやバクテリアなどの増殖に対して非常に敏感な食品(すなわちピーマン、キノコ、ベリー類など)にとっては、50%RHから80%RHの相対湿度により最適な品質が保たれる。
【0005】
容器内部の食品周囲の気体組成を改質することにより、果物や野菜や他の食品の保存期間を延ばすことができる。MA貯蔵(MAP)は、容器内の酸素を減少させ二酸化炭素を蓄積するために、食物の呼吸を利用したものである。低酸素・高二酸化炭素の雰囲気下では、呼吸が遅くなり、また、食物の劣化を遅らせ、食品の質の低下を招く微生物の増殖やその胞子の発芽を抑制する。(Powrie, Skura著, "Modified Atmosphere Packaging of Fruits and Vegetables", Ellis Horwood社, 1991年, P.169-245; Zagory. "Modified Atmosphere Packaging", A. Brody, K. Marsh 編, The Wiley Encyclopaedia of Packaging p.1023.より)
【0006】
今日、繰り返し使用可能な食品保存用の容器には、さまざまなタイプがある。だが、蓋と容器の材質は、それを通して酸素や二酸化炭素、水蒸気が通過するのを阻む素材と厚みになっている。プラスチック保存容器では、蓋部と容器縁との嵌合部を通して酸素と二酸化炭素と水蒸気の通過が起こり、それは調節されていない。この気体の通過は、嵌合部の2面の密着度による。
【0007】
市販のプラスチック製保存容器の多くは、容器外周縁に接する蓋部に密封部材が備えられていない。このような容器では、酸素や二酸化炭素は容器の内部と外部を蓋と容器の嵌合部を通過して自由に拡散され、通常の空気(1%以下の二酸化炭素17%から20%の酸素)と釣り合った状態に落ち着く。これでは、容器本体の雰囲気内にあっても生鮮食品はいかなる益も得られない。だが、このようなプラスチック容器の非密封シールは水蒸気の通過を妨げるため、容器内の相対湿度が高くなる。
【0008】
最近の容器の設計では、蓋を容器に固定するつまみや羽を使用しているものがある。これらのような、蓋を容器に固着するつまみや羽は、気密性を備えた、容器外周縁に接合する蓋の設計及び/又はパッキンの使用があれば、密封状態を作り出すことができる。本願においては、容器を封じる蓋は密封されることが必要であり、容器の内部と外部環境との間でのガス交換は、容器の材質か、変更された蓋の構造に含まれる選択されたフィルムかのどちらかによって調整される。
【0009】
家庭や業務用で使用される新規で機能的な繰り返し使える食品保存容器は、食品の質の維持し、家庭や外食産業における食品の消費期限を延長し、食品の安全において、より大きな消費者の信頼を得る、という重要な利益を与えることができる。
【非特許文献1】Powrie, Skura著, "Modified Atmosphere Packaging of Fruits and Vegetables", Ellis Horwood社, 1991年
【非特許文献2】Zagory. "Modified Atmosphere Packaging", A. Brody, K. Marsh 編, The Wiley Encyclopaedia of Packaging
【発明の概要】
【0010】
本発明は、5日間乃至20日間に渡る保存期間の間、冷蔵温度で保持された製品のために水蒸気、酸素、二酸化炭素の透過を同時に制御し管理する機能を備えた新規な装置に関する。
【0011】
このシステムの設計や構成、実装から達成される本発明の目的は:
1.剥皮され、種が取り除かれ、余分なものが取り除かれ、ぶつ切り薄切りあるいは角切りにされたりした、下ごしらえされた果物や野菜など調製済みのものの品質保持;
2.調製済みの食物に対するカビ、イースト菌やバクテリアの繁殖の抑制;
3.カビやイーストやバクテリアの繁殖及び/又は生理的な老化、生理的な経過によってもたらされる臭気の抑制;
【0012】
この発明は、新規な容器の設計とその応用である以下を含むが、これに限定されない:
1.果物又は野菜を洗浄し、清潔にし、皮をむき、余分なものを取り除き、及び/又は和え物にして準備する;
2.留め具との接触のための容器の対向する位置の2又は4の接触面となる連続的にそり返った上端外周縁を備えた開口型の箱構造からなるカスタム設計の容器への食品の収容。蓋は2つの部品からなる:
i/ 容器の上端縁とともに密封シールを形成し、酸素と二酸化炭素の透過のためにフィルムに選択された透過性を備えさせるミクロあるいはマクロの多孔質パネル;
ii/ ロール状に巻かれるか、あらかじめ切られるか、あるいは、蓋のパネルと容器のそり返った上端外周縁を押圧して密封するプラスチックフレームに囲まれて使用される気体透過性フィルム。あるいは代わりに、最適な気体の透過のためにプラスチックフレームにゴム/プラスチックからなる透過性のパッキンを適用し、フィルムには酸素と二酸化炭素の透過しにくい高い障壁を備えたものを選択する。後者の場合、水蒸気の透過特性を向上させるために、フィルムはポリアミドにより構成される。
蓋のパネルは、蓋とフィルムを押圧するために回転して容器の外周縁に密封シールを形成する2つまたは4つの対向する留め具を備えている。
3.容器本体は、ポリアミド(ナイロン6,66,11,または12、あるいはこれらの混合)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはこれらの混合物などのプラスチック材から成るが、上記のものに限定されない。
4.蓋はポリアミド(ナイロン6、66、11、または12、あるいはこれらの混合)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはこれらの混合物などのプラスチック材から成るが、上記のものに限定されない。
5.容器本体と蓋部との間を密封する、異なる浸透性のフィルム膜は、以下のプラスチックの範囲の物質を含むがこれに限定されない。ポリアミド(酸素、二酸化炭素に対する高い障壁と、水蒸気の浸透性とを備える)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、あるいはこれらの混合物及び/又はこれらの薄膜から成る。
【0013】
生鮮食品を保持する容器と蓋は、酸素と二酸化炭素に対して高障壁特性を有する半剛体の壁を備えている。フィルムの特性は、具体的に食品のタイプによって4つの浸透性の範囲のうちから1つが選択される。
1.カテゴリー1:
高バリアフィルム:
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの酸素透過率が100から1500cm
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの二酸化炭素透過率が300から4500cm
2.カテゴリー2:
中バリアフィルム
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの酸素透過率が1500から5000cm
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの二酸化炭素透過率が4500から15000cm
3.カテゴリー3:
低バリア(高透過性)フィルム
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの酸素透過率が25000+cm以上
1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの二酸化炭素透過率が75000+cm以上
【0014】
3つに区分されるフィルムは、特定の食品群に対して適用の単純化のため色分けされる。色分けは、フィルムかプラスチックフレームに適用される。例として、緑色に色分けしたカテゴリー1は、緑色の葉野菜(呼吸値は低〜中)に適用し、赤色に色分けしたカテゴリー2は、切り分けられた果物(中間の呼吸値)に適用し、白色に色分けしたカテゴリー3は、キノコ類(高呼吸値)に適用する。
【0015】
フィルムの選別は、フィルムを透過する酸素に対して二酸化炭素が3倍から4倍の比率でフィルムを通過するように、つまり二酸化炭素:酸素の拡散率が1:3から1:4という値であるよう考慮されなければならない。例えば、極小の通気孔を使用すると、二酸化炭素:酸素の拡散比は1:1.0乃至1.5となる。
【0016】
容器の蓋部材、箱部材の材質はポリアミド系素材を用い、構造的な厚みと密封した容器内部と冷蔵状態の外部環境との間の湿度勾配を利用することによって、容器内部の相対湿度を50%RH乃至94%に保つことができる。あるいはその代わりに、気体調節フィルムをポリアミドで構成し、フィルム自体またはパッキンに50乃至90ミクロンの孔を開けて、水蒸気の交換や酸素と二酸化炭素の交換を促進する。
【0017】
容器は、密封される前に真空によって空気を抜かれる。
【0018】
呼吸する生鮮食品を入れる密封容器は、容器の総容積に対し、0.3から0.6の割合の量を収容することができる。密封容器上部空間の気体構成は、1乃至50%の二酸化炭素と0.5%乃至15%の酸素で内部相対湿度は75%RHから100%RHになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の記載を通して、発明の一層の理解を提供するために具体的な詳細について説明する。だが本発明は、このような事項なしでも実施可能である。既知の要素は、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるため、詳細まで表示・説明されていない場合もある。従って、明細書は限定的というよりは説明に役立つよう考慮されている。
【0020】
この発明は、洗浄し、剥皮し、余分なものや種を取り除き、切り分けた果物・野菜をMAP(MA貯蔵)によって、後からそのまま消費するための食品の保存に係わる新規な保存容器を提供する。生鮮食品は、密封容器内で呼吸し続け、酸素を消費し、二酸化炭素と水蒸気を容器内に放出し、それらは気相調整される。この自然の過程においては、酸素容量が減少し二酸化炭素容量が増加する。この状態は、食物の呼吸を減少させ、微生物の増殖とその胞子の発芽を抑制し、エチレン作用の促進による老化を抑制するため、それによって食物の成熟度合いを保持し劣化を防ぐ。
【0021】
機能的で、再封可能で、繰り返し使用できるMA貯蔵の保存容器、蓋及びフィルムは図1及び図2に示されている。この装置は、密封された容器の内外と周囲の環境における酸素、二酸化炭素および水蒸気の透過の同時あるいは独立な調節を提供する。酸素と二酸化炭素の透過は、特定の酸素と二酸化炭素の透過率を備えた様々な特化されたフィルム及び/又は、極小の孔を空けたパッキンあるいは極小の孔を空けたフィルムによって調整される。通常、極小の孔が全面に形成されると、50乃至200ミクロンになるが、それは特定の食物区分に応じて変えることができる。蓋には、蓋の表面の面積1%までの面積部分に大きな又は小さな孔が穿孔されている。
【0022】
本発明によれば、下準備されている適度に熟した果物・野菜は容器に入れられ、5度において7日間貯蔵された後の容器内部空間が高い二酸化炭素レベル(5%から20%)かつ低い酸素レベル(1.5%から5%)を達成することを確実にするために、適切なガス透過率を備えるプラスチック容器(MA貯蔵)に密封される。フィルムは食物やその量に応じて提供され、食物の品質に影響を与えたり食品の安全性が問題となったりするような嫌気呼吸となる、酸素濃度が1%を下回る状況とならぬことを確実にする。
【0023】
フィルムと穿孔の最低限3つの選択肢は、果物と野菜の特定の区分によって規定される。
1.カテゴリー1:
高バリアフィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり100から1500cm
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり300から4500cm
ここに区分される食品の例:ベビーキャロット、カブ、その他の根菜類;切りたての葉野菜
2.カテゴリー2:
中バリアフィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり1500から5000cm
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたり毎24時間あたり4500から15000cm
ここに区分される食品の例:カンタロープ、ハニーデュウ、トマト、リンゴ、ナシ、サクランボ、ブドウ、モモ、ネクタリン、キウイ、イチゴ、トマト、キュウリ(一般に、柑橘類、ナシ状果、石果、液果、温室野菜)
4.カテゴリー3:
低バリア(高透過性)フィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり25000+cm以上
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり75000+cm以上
ここに区分される食品の例:キノコ、アスパラガス
【0024】
この新規な装置は、蓋、容器及びフィルムの素材の選別を通して密封容器内の相対湿度を調節するという選択により、付加的に食物製品の品質の維持を提供する。ポリアミド系素材(相対湿度50%乃至94%おける1mあたり1日あたりの、膜厚1mmにおける水蒸気の吸収/透過が5.0乃至90g)から成るフィルム、容器及び/又は蓋材の構造は、密封容器内における水蒸気の吸収と相対湿度の調節の機能を備える。さらに、密封容器内の環境と外部の冷蔵環境との間の相対湿度の勾配は、20%RH乃至70%RHの範囲の湿度差に保たなければならない。相対湿度差が高くなるにつれて、容器内部のより低い相対湿度状態が達成できる。内部相対湿度をおよそ50%RH乃至94%RHに維持すると、食物の表面に残った水分が取り除かれ、食物のわずかな水分減少をもたらすので、食物の呼吸により生じた水蒸気を除去して微生物の増殖やその胞子の発芽を抑制するような相対湿度値(0%以下)を保つことにより、食品の質を保つ。洗浄して乾燥した後の重量が−1%(wt/wt)となるように、残余水分なく食品が保存されると、切った葉野菜は、その保存期間を倍にするという効果を示している。
【0025】
例 1:
本発明の利用による、傷みやすいキウイフルーツの保存と下準備の工程は以下の点を含む:
1.調製済みで実が硬く熟しており(1乃至3kgfの硬さ)、明らかに腐敗した物は取り除かれてあるキウイフルーツが選別され、水と洗剤(あるいは入手可能ならば100ppmの塩素)で洗浄され、ペーパータオルで乾かすか自然乾燥してあり;
2.キウイフルーツは、鋭利なナイフで剥皮され、半分、一口大またはスライスなどの所望の大きさに切り分けられており;
3.約200gのキウイフルーツ(剥皮したキウイフルーツおよそ2つ)が、ポリエチレンテレフタラート製の500mL容器に蓋をして収容され;
4.キウイフルーツは、1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの酸素透過率が3000cmのプラスチックフィルムを備えた保存容器(とシリコン製のパッキン)に密封され、5℃の状態で15日間保存(MAP)される。
【0026】
MAPのキウイフルーツを非MAP管理下のもの(蓋を開閉する形態で穿孔のある容器に入った同一の果物から成る)と比較すると、保管3日後で、より上質であった。非MAP下では、顕著にふやけて半透明になり、中心部は変色しくすみ、果肉は軟化し、キウイ特有の香りも消失した。非MAP容器内のキウイは、知覚的に訓練された3名の検査員によると、3日間置いた後の、そのキウイを摂取することは許容し難いほどであった。
【0027】
MAPにより保管されたキウイは、かかる味覚検査員によると、保存7日目でも良質な状態で、15日目でも許容可能という評価を得た。キウイの断片は、明るい緑色で、初日の質感と同様のままであった。キウイの特有の香りも、非MAP下のキウイにみられたような顕著な臭気(エタノール、アセトアルデヒド臭)もないまま15日経っても保たれていた。
【0028】
例 2:
本発明の利用による、傷みやすいベビーリーフレタスの下準備と保存の行程は以下の点を含む:
1.市販されているレッドロメイン、グリーンオーク、レッドオーク、グリーンリーフ、レッドリーフ、ロロロッサ、ラディッキオ、リトルジェム、タンゴ、グリーンロメインから成るベビーリーフレタス種の混合を購入して準備し、1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたりの酸素透過率1800cmのMAP容器に収容する;
2.包装中で6日の保存期間を経て、日付表示(5℃で12日間の保存期間と表示)まで6日間残っている、袋から取り出したベビーレタス種の混合100gを、通気性のある蓋を開閉する形態の容器と、ポリアミド系素材で構成された容器・蓋・フィルムから成る本発明それぞれ500mLに入れ替え;
3.1気圧25℃において、1mあたりで且つ1時間あたりの酸素・二酸化炭素透過率が2500cmの60ミクロン大穿孔のあるフィルムとシリコン製のパッキンで密封して、5℃で、各3日、6日、9日または12日の期間だけ保存する;
【0029】
通気性のある開閉型容器で保存されたベビーリーフは、保存3日後で葉の表面が著しくしおれるのに伴って、いくつかの種類では褐色への変化が目立ち、それが顕著だったのはラディッキオや赤色系の種類であった。6日目の時点では、ぎりぎりで消費の許容内と見なされたが、保存6日を過ぎて許容不可能と判断された。6日目で、60%以上のベビーリーフが、容器内の高い酸素レベルによりしおれるか変色するという状態となった。9日が過ぎて、粘液状の細菌(エルウィニア菌、ジュードモナス菌)により製品が腐り始め、著しい臭気が確認された。
【0030】
12日間保存された後のMA貯蔵でのベビーリーフは、5段階評価中4と評価された(5は良好な状態、3はぎりぎりで許容範囲内)。葉の褐色化としおれはなかった。12日経過後、MAPのベビーリーフは3.5の評価であり、消費可能と見なされた。臭気も無く、細菌の兆候も劣化も確認されなかった。
【0031】
前述した開示内容に関わる当業者に明らかなように、本発明の精神や範囲から逸脱することなく、発明を実施するに当たって様々な改変や修正が可能である。それゆえに、本発明の範囲は、クレームで明らかにされた内容に従って構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
開示された容器は以下に示す図面に図式的に表されている。
【図1】フィルム、蓋、容器を示しており、酸素を透過する特質を持つようなフィルムが選択されている。
【図2】フィルム、蓋、容器を示しており、フィルムは酸素・二酸化炭素に対して低い透過特性を備え、水蒸気に対しては高い透過特性を備え、フィルムまたはパッキンに形成されたミクロな孔によってガスの交換が調整されている。
【0033】
この図は、必ずしも原寸図ではなく、実施の形態は図形記号、想像線、図的表現、部分図によって描かれている。特定の場合には、開示された容器について理解するために肝要でない部分、理解し難い詳細については省略してある。もちろん、開示されたものがここに記載された特定の実施形態に限定されるものではないことは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対湿度が50%RH乃至94%RHで、酸素が1%乃至15%、二酸化炭素が1%乃至20%に気相調整された容器に、剥皮し、種をとり、切り分けて調整した新鮮な果物と野菜を包装して保存するためのシステム及び再封、繰り返し使用可能なプラスチック製容器。
【請求項2】
丸形、正方形、長方形及び長円形を含むがこれに限定されず、様々な形態に設計され、以下の2又は3の要素から成る再封、繰り返し使用可能なプラスチック製容器(図1、図2):
a)容器本体は、ポリアミド(ナイロン6,66,11,または12およびそれらの混合)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物を含むがこれに限定されないプラスチック材から成る。
b)蓋は、ポリアミド(ナイロン6,66,11,または12およびそれらの混合)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物を含むがこれに限定されないプラスチック材から成る。この蓋は、3つの要素から成る装置のときにはマクロ穿孔され、2つの要素から成る装置のときにはミクロ穿孔がされている。
c)蓋と容器との間を密封する差別的透過性を備えたフィルム膜は、以下のものを含むがこれに限定されないプラスチック材から成る:ポリアミド(酸素および二酸化炭素に対して高いバリア性を備え、水蒸気に対して透過性を備える)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物及び/又はそれらの薄膜。
【請求項3】
1%から50%の二酸化炭素と1%から15%の酸素から成る調節気相を利用した品質の維持および食品の保存のためのシステム。
【請求項4】
所定の容器容積及び製品の呼吸量に合った酸素と二酸化炭素の透過性を備えるフィルムオプションの選択を提供し、以下からなるシステム:
カテゴリー1:
高バリアフィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり100から1500cm
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり300から4500cm
ここに区分される食品の例:ベビーキャロット、カブ、その他の根菜類;切りたての葉野菜
カテゴリー2:
中バリアフィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり1500から5000cm
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり4500から15000cm
ここに区分される食品の例:カンタロープ、ハニーデュウ、トマト、リンゴ、ナシ、サクランボ、ブドウ、モモ、ネクタリン類、キウイ、イチゴ、トマト、キュウリ(一般に、柑橘類、ナシ状果、石果、液果、温室野菜)
カテゴリー3:
低バリア(高透過性)フィルム:
酸素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり25000+cm以上
二酸化炭素透過率:1気圧25℃において、1mあたりで且つ24時間あたり75000+cm以上
ここに区分される食品の例:キノコ、アスパラガス
【請求項5】
相対湿度75%乃至94%において、膜厚1mmにおいて、1mあたりで且つ1日あたり5.0乃至90gの水分吸収/透過特性を有するポリアミド材の蓋、容器又はフィルムで構成されることにより、呼吸によって発生する水分を食物から取り除くことによって、容器内の相対湿度を50%乃至94%の範囲で、好ましくは75%乃至80%の間で調節できるシステム。結果として生じる相対湿度によって、微生物による食物の腐敗を抑えることができる。
【請求項6】
様々な材料、その厚さ、および、容器内部と冷却された外部の環境との間の相対湿度の勾配の操作により、密封された容器内の相対湿度を調節できるシステム。その勾配の範囲は、20%RH乃至70%RHである。
【請求項7】
容器内の湿度と、調節気相を独立して制御する方法。
【請求項8】
容器の総容積(cm)に対し、0.3から0.6の割合の量(グラム)を収容することができる、呼吸する生鮮食品の密封容器のシステム。密封容器の上部空間の気体組成は、容器内の相対湿度50%RH乃至90%RHにおいて、二酸化炭素が1乃至50%、酸素が1乃至15%となる。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−289156(P2007−289156A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−72805(P2007−72805)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(507090580)
【氏名又は名称原語表記】LIM,Loong Keng
【住所又は居所原語表記】Suite 1380,1030 West Georgia Street,Vancouver,BC,V6E 2Y3 Canada
【出願人】(507090649)
【氏名又は名称原語表記】LEE,Kee Eng
【住所又は居所原語表記】Block 9,#07−01,Dairy Farm Road,Singapore 679038
【Fターム(参考)】