食品収容用小形容器
【課題】 収容量等に応じた弾性変形が可能で、弁当箱等への配設が安定した形態でもって行うことができると共に、おかず等の食品を殆ど残存させることなく綺麗に取り出して食することができ、また、洗浄も容易で再使用可能な食品収容用小形容器を提供する。
【解決手段】 軟質合成樹脂材からなり、円形状の底部2の外周端に上方に向かって周壁部3を設けてなる軟質合成樹脂製容器1であって、周壁部3は周方向に連続した多数の縦襞3aからなると共に周壁部3の下端部は断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、さらに、上記縦襞3aはその上端から湾曲周壁面部3cに向かって徐々にその凹凸深さを浅くして下端では消失させた形状を有し、従って、全面的に綺麗に洗浄可能となると共に、湾曲周壁面部3cの部分的な弾性凹み変形が容易となり、また、周壁部3の拡縮が容易に行えるように構成している。
【解決手段】 軟質合成樹脂材からなり、円形状の底部2の外周端に上方に向かって周壁部3を設けてなる軟質合成樹脂製容器1であって、周壁部3は周方向に連続した多数の縦襞3aからなると共に周壁部3の下端部は断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、さらに、上記縦襞3aはその上端から湾曲周壁面部3cに向かって徐々にその凹凸深さを浅くして下端では消失させた形状を有し、従って、全面的に綺麗に洗浄可能となると共に、湾曲周壁面部3cの部分的な弾性凹み変形が容易となり、また、周壁部3の拡縮が容易に行えるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おかず等の食品を小分け状態で収容するための食品収容用小形容器、特に、使い捨てではなく、洗浄して何回も使用することができる軟質合成樹脂等の軟質材からなる食品収容用小形容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁当箱に数種のおかずをそれぞれ別々に小分けした状態で収容するための簡易小形容器としては、例えば、特許文献1や特許文献2等に記載されているように、アルミ箔と合成樹脂フィルムとの複層シートや合成樹脂フィルムの積層シート等のシート状物の成形品であって、円形状に形成されている底部と、この底部の外周縁から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している傾斜周壁部とを備えた食品収容用小形容器が広く知られている。
【0003】
このように構成している食品収容用小形容器によれば、傾斜周壁部を周方向に横断面波形状に連続した多数の縦襞から形成しているので、収容する食品の量に応じてこれらの縦襞の幅を周方向に拡縮させることにより周壁部を拡げたり狭めたりすることができると共に、弁当箱内に配設する際に、配置位置に配慮して隣接する容器の周壁同士を突き合わせたり、容器の周壁が弁当箱の内壁面に押し付けたりしても、それに応じて周壁が変形して所望位置に容易に配設することができるといった利点を有する。また、この食品収容用小形容器は使い捨てであるが、近年、使い捨てではなく軟質合成樹脂シート製であって、一度使用しても洗浄することにより繰り返し使用することができる食品収容用小形容器も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−30656号公報
【特許文献2】特許第4088059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記食品収容用小形容器においては、いずれも図9、図10に示すように周方向に断面波形状に連続して容器11の周壁13を形成している縦襞13a の下端は底部12の外周端に達しているため、縦襞13a の下端から底部12の外周端に連なる部分がエッジ状に屈折した屈折部14に形成され、且つ、その屈折部14の内面、即ち、容器11の内底面における外周端の内面は、上記縦襞13a の下端の連続した凹凸内壁面によって形成された構造となり、この容器11内におかずを収容した場合、おかずが凹凸内壁面における凹部15内に入り込んだ状態となって、食する際には箸の先端でその凹部15内のおかずを掻き出すことが困難となり、おかずの一部が内底部における上記凹部15内に残存した状態となって綺麗に食することができないといった問題点がある。
【0006】
さらに、繰り返し使用が可能な食品収容用小形容器においては、上記凹部14内に付着しているおかずの一部や或いは塵埃等を隅々まで洗い落とすことが困難となり、衛生上においても好ましくないといった問題点がある。
【0007】
また、容器11内におかずを収容した場合、その量に応じて縦襞13a の幅が周方向に拡縮変形して容積を増減させることができるが、縦襞13a は補強リブと同様な機能を有しているため、折り曲げ強度が大きくて、例えば、数個の容器11を弁当箱内に配設する際に、隣接する容器11、11の周壁13、13における拡開した上端部同士を互いに押し付けると、その押し付けられた上端部のみが内径方向に屈曲するのではなく、図11に示すように、底部12の外周端に連なる下端を支点として縦襞13a が全長に亘って内方に屈折して内部に収容したおかずを必要以上に圧縮され、外部に溢れ出す虞れが生じると共に、押し付けられた周壁同士の反発力が大きくなってその周壁部分を上方に浮き上がらせようとする力が発生し、弁当箱内での収納状態が不安定になる。
【0008】
その上、上述したように、縦襞13a の下端が底部12の外周端に達していてその下端から底部12の外周端に連なる部分がエッジ状に屈折した屈折部14形成されているから、縦襞13a が全長に亘って大きな剛性を発揮して、弁当箱に配設した際に、その外底面の外周一部が弁当箱内のご飯の盛り上がり部分やその他の食品A上に乗り上げた状態となった場合には、屈折部14が変形することなくそのまま容器全体が傾いた状態で配設されることになる。また、屈折部14を図12に示すように、食品A上に押し付けて凹入、変形させた場合、縦襞13a が全長に亘って直状形態を保持したまま、屈曲部14が内方に向かって座屈するように凹み変形し、容器全体の形状が崩れるばかりでなく、押し付け力を解消すると、容器11が弾性変形可能な軟質材からなる場合には、屈曲部14が直ちに大きな弾性復元力を奏して元の容器形状となり、上述したように傾いた収納形態となって使用勝手が悪いといった問題点がある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、おかず等が付着しやすい部分を無くすると共に、繰り返し使用可能で使用時等には内部を隅々まで洗浄可能にし、且つ、周壁部を周方向に連続した縦襞から形成しているにもかかわらず、底部や周壁部の一部、特に、底部の外周端と周壁部の下端との連設部分を内方に向かって容易に凹入変形可能にして弁当箱内への配設位置に食品の一部が存在していても、安定した状態で弁当箱内に配設することができる食品収容用小形容器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の食品収容用小形容器は、請求項1に記載したように、底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している周壁部とからなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させている構造を有する。
【0011】
なお、この食品収容用小形容器の上記底部の形状としては、請求項2に記載したように、円形又は楕円形、或いは、三角形、四角形等の多角形に形成しておけばよく、さらには動物や植物等の輪郭形状であってもよく、特に限定されない。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、長円形状の底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径してなる一定高さの周壁部とからなり、この周壁部の少なくとも平面円弧状に湾曲した両側湾曲周壁部分に横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成してなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられてあり、且つ、これらの縦襞は上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させている構造を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の食品収容用小形容器によれば、繰り返し使用可能な軟質合成樹脂材等の軟質材からなり、この容器の周壁部を周方向に連続した横断面波形状の縦襞によって形成していると共に、容器の底部外周端に連なるこの周壁部の下端部においては全周に亘って縦襞部分が存在しない断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成しているので、おかず等の食品を容器内に収容した場合、容器の底部内では上記滑らかな湾曲周壁面部の内周面に食品が接触した状態となるから、食する際には箸の先端によって該部分の食品を該内周面から取り出すことができ、食品を綺麗に食することができるばかりでなく、その内周面に食品の一部が付着した状態で残存していても、或いは、その内周面に塵埃等が付着していても、内周面が周方向に滑らかに湾曲しているので、容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【0014】
さらに、容器の周壁部を形成している上記各縦襞の下端は、上記底部の外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその縦襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させているので、容器内に収容する食品の量に応じて縦襞が幅方向に拡縮して容器の容積を変化させる際に、その幅方向の拡縮量は下端から上端に向かって大きくなって容器を無理なく円滑に且つ安定した収容形態となるように変化させることができると共に、各縦襞はその上端から下端に向かって徐々に凹凸深さが浅くなっていて折り曲げ強度が弱くなるように形成されているから、数個の容器を弁当箱に互いに隣接する容器の周壁における拡開した上端部同士を押し付けた状態で配設した場合、縦襞が下端側から上端に向かって緩やかに内径方向に傾斜することになり、従って、安定した状態で弁当箱内に配設することができる。
【0015】
その上、上述したように、容器の底部外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、縦襞はその上端から下端に向かって襞の凹凸深さを徐々に浅くして上記湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させているので、上記周壁部における下端湾曲周壁面部の一部を押圧すると押圧された部分が容易に容器の底部内に向かって弾性的に凹入、変形することができ、従って、例えば、弁当箱内のご飯の盛り上がり部分やその他の食品A上に容器の外底面の外周部が乗り上げた状態となった場合には、その食品等の表面に沿って上記湾曲周壁面部が容易に凹入、変形し、その状態を維持して弁当箱内に安定した状態で確実に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明食品収容用小形容器の斜視図。
【図2】その縦断正面図。
【図3】その要部の拡大縦断面図。
【図4】容器同士を突き合わせた状態の縦断面図。
【図5】食品の一部上に容器の外底面における外周部を載せた状態の縦断面図。
【図6】本発明食品収容用小形容器の変形例を示す斜視図。
【図7】その縦断正面図。
【図8】その要部の拡大縦断面図。
【図9】従来の食品収容用小形容器の斜視図。
【図10】その縦断正面図。
【図11】容器同士を突き合わせた状態の縦断面図。
【図12】食品の一部上に容器の外底面における外周部を載せた状態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、食品収容用小形容器1は、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等の軟質合成樹脂やシリコーンゴムなどの合成ゴム等の弾性変形可能な軟質材からなり、平面が円形状に形成されている底部2と、この底部2の外周端にその下端が一体的に連設し、且つ、底部2の外周端から上端に向かって徐々に拡径するように斜め外方に傾斜している一定高さを有する周壁部3とから構成されている。さらに、この周壁部3は、多数の縦襞3a、3a、3a・・・3aを周方向に横断面波形状に連続形成してなる構造を有し、各縦襞3aは容器1の内側から外方に向かって横断面凸円弧状に突出した形状に形成されていると共に、隣接する縦襞3a、3a間は容器1の外側から容器内に向かって横断面凹円弧状に凹入した凹溝部3bによって周方向に連続している。
【0018】
上記底部2の外周端に連なる周壁部3の下端部は、容器1の内面側から外面側に向かって縦断面凸円弧状に湾曲した内外面が全周に亘って凹凸のない滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、上記全ての縦襞3aは容器1の開口端からこの湾曲周壁面部3cの上端に向かって徐々にその幅を狭くしていると共に、その深さ、即ち、縦襞3aの頂面と凹溝部3bの溝底面間の凹凸深さも徐々に浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部において襞を消失させている。従って、湾曲周壁面部3cには襞部は存在しなく、上述したように、周方向及び高さ方向に対して凹凸のない滑らかな内外面に形成されている。なお、この容器1の底部2や周壁部3の厚みは1mm程度であって、従来から広く知られているアルミ箔と合成樹脂フィルムとの複層シートや合成樹脂フィルムの積層シート等のシート状物からなる使い捨ての食品収容用小形容器よりも肉厚に形成されている。
【0019】
なお、上記実施例においては、容器1の底部2の形状を円形状に形成しているが、底部2の形状が三角形状、四角形、或いは、楕円形、さらには、動物や植物の輪郭形状であっても本発明を満足させることができる。
【0020】
上記のように構成したので、容器1の周壁部3を形成している縦襞3aは、容器1の開口端に達しているその上端から、周壁部3の下端部によって形成している内外面が平滑な湾曲周壁面部3cに向かって徐々に凹溝部3bまでの深さを浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部においてはその襞を消失させているから、この容器1内におかずを詰め込んだ場合に、縦襞3aがその詰め込み力によって下端から上端に向かって徐々に大きく拡がって、おかずを無理なく安定した状態に収容することができると共に、縦襞3aは上述したように、その上端から下端に向かって徐々に深さが浅くなっていて折り曲げ強度、即ち、腰が徐々に弱くなるように形成されているから、数個の容器1、1を弁当箱内に、図4に示すように、隣接する容器1、1の対向する周壁部3、3における上端部同士を押し付けた状態となるように配設した場合、対向する縦襞3a、3aが下端側から上端に向かって内径方向に断面弓形状に緩やかに傾斜して、容器1が浮き上がったり妄動することなく、弁当箱内の所定位置に安定した状態で配設することができる。
【0021】
さらに、容器1における周壁部3の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cに形成してあり、且つ、縦襞3aの下端部はこの湾曲周壁面部3cの上端に至るまでに消失させているから、図5に示すように、おかずを収容した容器1の底部2の外周一部が弁当箱内に収容したご飯の端部や別な食品Aの端部上に乗り上げた状態に配設された場合においても、湾曲周壁面部3cがこれらの食品の端部表面に沿って容易に弾性的に凹入、変形して容器1が傾くことなく、安定した配設形態を保持することができる。
【0022】
また、容器1内のおかずを食する際に、箸の先を縦襞3aの内面側によって形成されている縦溝3a' 内に入れてこの縦溝3a' の上端から下端に向かって移動させると、縦襞3a(縦溝3a' )は下端に行くに従って浅くなり、且つ、下端においては消失しているので、縦溝3a' 内の食品を該縦溝3a' の下端から凹凸面のない上記湾曲周壁面部3cの内面側に押し出すことができ、従って、縦溝3a' 内に食品を残存させることなく綺麗に食することができるものであり、その上、使用後においてこの容器1を洗浄する際に、凹凸面の存在しない湾曲周壁面部3cの内面は勿論、縦襞3aの上記凹溝3a' 内も容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【0023】
上記実施例においては、底部2を円形状や楕円形状等に形成し、且つ、縦襞3aを周壁部3の全周に亘って連続形成した食品収容用小形容器の構造を示したが、図6〜図8に示すように、平面長円形状に形成されている底部2'を有する食品収容用小形容器1'であって、一部に縦襞3aを設けていない周壁部分を設けた構造であってもよい。即ち、この容器1'は上記容器1と同じ軟質合成樹脂等の軟質材からなり、平面が長円形状に形成されている底部2'と、この底部2'の外周端にその下端が一体的に連設し、且つ、底部2'の外周端から上端に向かって徐々に拡径するように斜め外方に傾斜している一定高さを有する周壁部3'とから構成されている。
【0024】
この周壁部3'は、底部2'における互いに平行な両側端にその下端を連設している前後周壁部分31、31と、これらの前後周壁部分31、31の両側端にその両側端を連設させている平面半円形の円弧状に湾曲した両側湾曲周壁部32、32とからなり、互いに平行に対向している上記前後周壁部分31、31には縦襞3aを設けることなく内外面ともに平坦な面に形成されている一方、両側湾曲周壁部32、32は上記実施例の周壁部3と同様に、多数の縦襞3a、3a、3a・・・3aを周方向に横断面波形状に連続形成してなり、各縦襞3aは容器1'の内側から外方に向かって横断面凸円弧状に突出した形状に形成されていると共に、隣接する縦襞3a、3a間は容器1の外側から容器内に向かって横断面凹円弧状に凹入した凹溝部3bによって周方向に連続している。
【0025】
さらに、上記底部2'の外周端に連なる周壁部3'の下端部は、上記実施例と同様に、容器1'の内面側から外面側に向かって縦断面凸円弧状に湾曲した内外面が全周に亘って凹凸のない滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、上記全ての縦襞3aは容器1の開口端からこの湾曲周壁面部3cの上端に向かって徐々にその幅を狭くしていると共に、その深さ、即ち、縦襞3aの頂面と凹溝部3bの溝底面間の凹凸深さも徐々に浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部において襞を消失させている。従って、湾曲周壁面部3cには襞部は存在しなく、上述したように、周方向及び高さ方向に対して凹凸のない滑らかな内外面に形成されている。
【0026】
このように構成した食品収容用小形容器1'によれば、上記底面が円形の食品収容用小形容器1と同様に、周方向に連続波形状に縦襞3aを形成している容器1'における両側湾曲周壁部32、32においては、これらの縦襞3aはその上端から周壁部3'の下端部に形成している内外面が平滑な湾曲周壁面部3cに向かってその深さを浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部においてはその襞を消失させているから、下端から上端に向かって徐々に大きく拡がることができる共に、上端側においては内外方向に対する曲げ抵抗が大きくなり、下端にゆくに従って曲げ抵抗が小さくなっているから、隣接する容器1'、1'の対向する周壁部32、32同士を押し付けた場合に、縦襞3a、3aが下端側から上端に向かって内径方向に断面弓形状に緩やかに傾斜して、容器1が浮き上がったり妄動したりすることなく、弁当箱内の所定位置に安定した状態で配設することができる。
【0027】
さらに、容器1'の底部2'の外周一部が弁当箱内に収容したご飯の端部や別な食品の端部上に乗り上げた状態に配設された場合においても、上記実施例と同様に、周壁部3'の下端部の断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cがこれらの食品の端部表面に沿って容易に弾性的に凹入、変形して容器1'が傾くことなく、安定した配設形態を保持することができ、また、容器1'内のおかずを食する際にも、上記実施例で説明したように、綺麗に食することができると共に、使用後においてこの容器1'を洗浄する際には、凹凸面の存在しない湾曲周壁面部3cの内面は勿論、縦襞3aの内面側の縦溝3a' 内も容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
2 底部
3 周壁部
3a 縦襞
3b 凹溝部
3c 湾曲周壁面部
【技術分野】
【0001】
本発明は、おかず等の食品を小分け状態で収容するための食品収容用小形容器、特に、使い捨てではなく、洗浄して何回も使用することができる軟質合成樹脂等の軟質材からなる食品収容用小形容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁当箱に数種のおかずをそれぞれ別々に小分けした状態で収容するための簡易小形容器としては、例えば、特許文献1や特許文献2等に記載されているように、アルミ箔と合成樹脂フィルムとの複層シートや合成樹脂フィルムの積層シート等のシート状物の成形品であって、円形状に形成されている底部と、この底部の外周縁から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している傾斜周壁部とを備えた食品収容用小形容器が広く知られている。
【0003】
このように構成している食品収容用小形容器によれば、傾斜周壁部を周方向に横断面波形状に連続した多数の縦襞から形成しているので、収容する食品の量に応じてこれらの縦襞の幅を周方向に拡縮させることにより周壁部を拡げたり狭めたりすることができると共に、弁当箱内に配設する際に、配置位置に配慮して隣接する容器の周壁同士を突き合わせたり、容器の周壁が弁当箱の内壁面に押し付けたりしても、それに応じて周壁が変形して所望位置に容易に配設することができるといった利点を有する。また、この食品収容用小形容器は使い捨てであるが、近年、使い捨てではなく軟質合成樹脂シート製であって、一度使用しても洗浄することにより繰り返し使用することができる食品収容用小形容器も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−30656号公報
【特許文献2】特許第4088059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記食品収容用小形容器においては、いずれも図9、図10に示すように周方向に断面波形状に連続して容器11の周壁13を形成している縦襞13a の下端は底部12の外周端に達しているため、縦襞13a の下端から底部12の外周端に連なる部分がエッジ状に屈折した屈折部14に形成され、且つ、その屈折部14の内面、即ち、容器11の内底面における外周端の内面は、上記縦襞13a の下端の連続した凹凸内壁面によって形成された構造となり、この容器11内におかずを収容した場合、おかずが凹凸内壁面における凹部15内に入り込んだ状態となって、食する際には箸の先端でその凹部15内のおかずを掻き出すことが困難となり、おかずの一部が内底部における上記凹部15内に残存した状態となって綺麗に食することができないといった問題点がある。
【0006】
さらに、繰り返し使用が可能な食品収容用小形容器においては、上記凹部14内に付着しているおかずの一部や或いは塵埃等を隅々まで洗い落とすことが困難となり、衛生上においても好ましくないといった問題点がある。
【0007】
また、容器11内におかずを収容した場合、その量に応じて縦襞13a の幅が周方向に拡縮変形して容積を増減させることができるが、縦襞13a は補強リブと同様な機能を有しているため、折り曲げ強度が大きくて、例えば、数個の容器11を弁当箱内に配設する際に、隣接する容器11、11の周壁13、13における拡開した上端部同士を互いに押し付けると、その押し付けられた上端部のみが内径方向に屈曲するのではなく、図11に示すように、底部12の外周端に連なる下端を支点として縦襞13a が全長に亘って内方に屈折して内部に収容したおかずを必要以上に圧縮され、外部に溢れ出す虞れが生じると共に、押し付けられた周壁同士の反発力が大きくなってその周壁部分を上方に浮き上がらせようとする力が発生し、弁当箱内での収納状態が不安定になる。
【0008】
その上、上述したように、縦襞13a の下端が底部12の外周端に達していてその下端から底部12の外周端に連なる部分がエッジ状に屈折した屈折部14形成されているから、縦襞13a が全長に亘って大きな剛性を発揮して、弁当箱に配設した際に、その外底面の外周一部が弁当箱内のご飯の盛り上がり部分やその他の食品A上に乗り上げた状態となった場合には、屈折部14が変形することなくそのまま容器全体が傾いた状態で配設されることになる。また、屈折部14を図12に示すように、食品A上に押し付けて凹入、変形させた場合、縦襞13a が全長に亘って直状形態を保持したまま、屈曲部14が内方に向かって座屈するように凹み変形し、容器全体の形状が崩れるばかりでなく、押し付け力を解消すると、容器11が弾性変形可能な軟質材からなる場合には、屈曲部14が直ちに大きな弾性復元力を奏して元の容器形状となり、上述したように傾いた収納形態となって使用勝手が悪いといった問題点がある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、おかず等が付着しやすい部分を無くすると共に、繰り返し使用可能で使用時等には内部を隅々まで洗浄可能にし、且つ、周壁部を周方向に連続した縦襞から形成しているにもかかわらず、底部や周壁部の一部、特に、底部の外周端と周壁部の下端との連設部分を内方に向かって容易に凹入変形可能にして弁当箱内への配設位置に食品の一部が存在していても、安定した状態で弁当箱内に配設することができる食品収容用小形容器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の食品収容用小形容器は、請求項1に記載したように、底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している周壁部とからなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させている構造を有する。
【0011】
なお、この食品収容用小形容器の上記底部の形状としては、請求項2に記載したように、円形又は楕円形、或いは、三角形、四角形等の多角形に形成しておけばよく、さらには動物や植物等の輪郭形状であってもよく、特に限定されない。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、長円形状の底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径してなる一定高さの周壁部とからなり、この周壁部の少なくとも平面円弧状に湾曲した両側湾曲周壁部分に横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成してなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられてあり、且つ、これらの縦襞は上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させている構造を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の食品収容用小形容器によれば、繰り返し使用可能な軟質合成樹脂材等の軟質材からなり、この容器の周壁部を周方向に連続した横断面波形状の縦襞によって形成していると共に、容器の底部外周端に連なるこの周壁部の下端部においては全周に亘って縦襞部分が存在しない断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成しているので、おかず等の食品を容器内に収容した場合、容器の底部内では上記滑らかな湾曲周壁面部の内周面に食品が接触した状態となるから、食する際には箸の先端によって該部分の食品を該内周面から取り出すことができ、食品を綺麗に食することができるばかりでなく、その内周面に食品の一部が付着した状態で残存していても、或いは、その内周面に塵埃等が付着していても、内周面が周方向に滑らかに湾曲しているので、容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【0014】
さらに、容器の周壁部を形成している上記各縦襞の下端は、上記底部の外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその縦襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させているので、容器内に収容する食品の量に応じて縦襞が幅方向に拡縮して容器の容積を変化させる際に、その幅方向の拡縮量は下端から上端に向かって大きくなって容器を無理なく円滑に且つ安定した収容形態となるように変化させることができると共に、各縦襞はその上端から下端に向かって徐々に凹凸深さが浅くなっていて折り曲げ強度が弱くなるように形成されているから、数個の容器を弁当箱に互いに隣接する容器の周壁における拡開した上端部同士を押し付けた状態で配設した場合、縦襞が下端側から上端に向かって緩やかに内径方向に傾斜することになり、従って、安定した状態で弁当箱内に配設することができる。
【0015】
その上、上述したように、容器の底部外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、縦襞はその上端から下端に向かって襞の凹凸深さを徐々に浅くして上記湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させているので、上記周壁部における下端湾曲周壁面部の一部を押圧すると押圧された部分が容易に容器の底部内に向かって弾性的に凹入、変形することができ、従って、例えば、弁当箱内のご飯の盛り上がり部分やその他の食品A上に容器の外底面の外周部が乗り上げた状態となった場合には、その食品等の表面に沿って上記湾曲周壁面部が容易に凹入、変形し、その状態を維持して弁当箱内に安定した状態で確実に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明食品収容用小形容器の斜視図。
【図2】その縦断正面図。
【図3】その要部の拡大縦断面図。
【図4】容器同士を突き合わせた状態の縦断面図。
【図5】食品の一部上に容器の外底面における外周部を載せた状態の縦断面図。
【図6】本発明食品収容用小形容器の変形例を示す斜視図。
【図7】その縦断正面図。
【図8】その要部の拡大縦断面図。
【図9】従来の食品収容用小形容器の斜視図。
【図10】その縦断正面図。
【図11】容器同士を突き合わせた状態の縦断面図。
【図12】食品の一部上に容器の外底面における外周部を載せた状態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、食品収容用小形容器1は、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等の軟質合成樹脂やシリコーンゴムなどの合成ゴム等の弾性変形可能な軟質材からなり、平面が円形状に形成されている底部2と、この底部2の外周端にその下端が一体的に連設し、且つ、底部2の外周端から上端に向かって徐々に拡径するように斜め外方に傾斜している一定高さを有する周壁部3とから構成されている。さらに、この周壁部3は、多数の縦襞3a、3a、3a・・・3aを周方向に横断面波形状に連続形成してなる構造を有し、各縦襞3aは容器1の内側から外方に向かって横断面凸円弧状に突出した形状に形成されていると共に、隣接する縦襞3a、3a間は容器1の外側から容器内に向かって横断面凹円弧状に凹入した凹溝部3bによって周方向に連続している。
【0018】
上記底部2の外周端に連なる周壁部3の下端部は、容器1の内面側から外面側に向かって縦断面凸円弧状に湾曲した内外面が全周に亘って凹凸のない滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、上記全ての縦襞3aは容器1の開口端からこの湾曲周壁面部3cの上端に向かって徐々にその幅を狭くしていると共に、その深さ、即ち、縦襞3aの頂面と凹溝部3bの溝底面間の凹凸深さも徐々に浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部において襞を消失させている。従って、湾曲周壁面部3cには襞部は存在しなく、上述したように、周方向及び高さ方向に対して凹凸のない滑らかな内外面に形成されている。なお、この容器1の底部2や周壁部3の厚みは1mm程度であって、従来から広く知られているアルミ箔と合成樹脂フィルムとの複層シートや合成樹脂フィルムの積層シート等のシート状物からなる使い捨ての食品収容用小形容器よりも肉厚に形成されている。
【0019】
なお、上記実施例においては、容器1の底部2の形状を円形状に形成しているが、底部2の形状が三角形状、四角形、或いは、楕円形、さらには、動物や植物の輪郭形状であっても本発明を満足させることができる。
【0020】
上記のように構成したので、容器1の周壁部3を形成している縦襞3aは、容器1の開口端に達しているその上端から、周壁部3の下端部によって形成している内外面が平滑な湾曲周壁面部3cに向かって徐々に凹溝部3bまでの深さを浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部においてはその襞を消失させているから、この容器1内におかずを詰め込んだ場合に、縦襞3aがその詰め込み力によって下端から上端に向かって徐々に大きく拡がって、おかずを無理なく安定した状態に収容することができると共に、縦襞3aは上述したように、その上端から下端に向かって徐々に深さが浅くなっていて折り曲げ強度、即ち、腰が徐々に弱くなるように形成されているから、数個の容器1、1を弁当箱内に、図4に示すように、隣接する容器1、1の対向する周壁部3、3における上端部同士を押し付けた状態となるように配設した場合、対向する縦襞3a、3aが下端側から上端に向かって内径方向に断面弓形状に緩やかに傾斜して、容器1が浮き上がったり妄動することなく、弁当箱内の所定位置に安定した状態で配設することができる。
【0021】
さらに、容器1における周壁部3の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cに形成してあり、且つ、縦襞3aの下端部はこの湾曲周壁面部3cの上端に至るまでに消失させているから、図5に示すように、おかずを収容した容器1の底部2の外周一部が弁当箱内に収容したご飯の端部や別な食品Aの端部上に乗り上げた状態に配設された場合においても、湾曲周壁面部3cがこれらの食品の端部表面に沿って容易に弾性的に凹入、変形して容器1が傾くことなく、安定した配設形態を保持することができる。
【0022】
また、容器1内のおかずを食する際に、箸の先を縦襞3aの内面側によって形成されている縦溝3a' 内に入れてこの縦溝3a' の上端から下端に向かって移動させると、縦襞3a(縦溝3a' )は下端に行くに従って浅くなり、且つ、下端においては消失しているので、縦溝3a' 内の食品を該縦溝3a' の下端から凹凸面のない上記湾曲周壁面部3cの内面側に押し出すことができ、従って、縦溝3a' 内に食品を残存させることなく綺麗に食することができるものであり、その上、使用後においてこの容器1を洗浄する際に、凹凸面の存在しない湾曲周壁面部3cの内面は勿論、縦襞3aの上記凹溝3a' 内も容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【0023】
上記実施例においては、底部2を円形状や楕円形状等に形成し、且つ、縦襞3aを周壁部3の全周に亘って連続形成した食品収容用小形容器の構造を示したが、図6〜図8に示すように、平面長円形状に形成されている底部2'を有する食品収容用小形容器1'であって、一部に縦襞3aを設けていない周壁部分を設けた構造であってもよい。即ち、この容器1'は上記容器1と同じ軟質合成樹脂等の軟質材からなり、平面が長円形状に形成されている底部2'と、この底部2'の外周端にその下端が一体的に連設し、且つ、底部2'の外周端から上端に向かって徐々に拡径するように斜め外方に傾斜している一定高さを有する周壁部3'とから構成されている。
【0024】
この周壁部3'は、底部2'における互いに平行な両側端にその下端を連設している前後周壁部分31、31と、これらの前後周壁部分31、31の両側端にその両側端を連設させている平面半円形の円弧状に湾曲した両側湾曲周壁部32、32とからなり、互いに平行に対向している上記前後周壁部分31、31には縦襞3aを設けることなく内外面ともに平坦な面に形成されている一方、両側湾曲周壁部32、32は上記実施例の周壁部3と同様に、多数の縦襞3a、3a、3a・・・3aを周方向に横断面波形状に連続形成してなり、各縦襞3aは容器1'の内側から外方に向かって横断面凸円弧状に突出した形状に形成されていると共に、隣接する縦襞3a、3a間は容器1の外側から容器内に向かって横断面凹円弧状に凹入した凹溝部3bによって周方向に連続している。
【0025】
さらに、上記底部2'の外周端に連なる周壁部3'の下端部は、上記実施例と同様に、容器1'の内面側から外面側に向かって縦断面凸円弧状に湾曲した内外面が全周に亘って凹凸のない滑らかな湾曲周壁面部3cに形成されてあり、上記全ての縦襞3aは容器1の開口端からこの湾曲周壁面部3cの上端に向かって徐々にその幅を狭くしていると共に、その深さ、即ち、縦襞3aの頂面と凹溝部3bの溝底面間の凹凸深さも徐々に浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部において襞を消失させている。従って、湾曲周壁面部3cには襞部は存在しなく、上述したように、周方向及び高さ方向に対して凹凸のない滑らかな内外面に形成されている。
【0026】
このように構成した食品収容用小形容器1'によれば、上記底面が円形の食品収容用小形容器1と同様に、周方向に連続波形状に縦襞3aを形成している容器1'における両側湾曲周壁部32、32においては、これらの縦襞3aはその上端から周壁部3'の下端部に形成している内外面が平滑な湾曲周壁面部3cに向かってその深さを浅くして湾曲周壁面部3cの上端との連設部においてはその襞を消失させているから、下端から上端に向かって徐々に大きく拡がることができる共に、上端側においては内外方向に対する曲げ抵抗が大きくなり、下端にゆくに従って曲げ抵抗が小さくなっているから、隣接する容器1'、1'の対向する周壁部32、32同士を押し付けた場合に、縦襞3a、3aが下端側から上端に向かって内径方向に断面弓形状に緩やかに傾斜して、容器1が浮き上がったり妄動したりすることなく、弁当箱内の所定位置に安定した状態で配設することができる。
【0027】
さらに、容器1'の底部2'の外周一部が弁当箱内に収容したご飯の端部や別な食品の端部上に乗り上げた状態に配設された場合においても、上記実施例と同様に、周壁部3'の下端部の断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部3cがこれらの食品の端部表面に沿って容易に弾性的に凹入、変形して容器1'が傾くことなく、安定した配設形態を保持することができ、また、容器1'内のおかずを食する際にも、上記実施例で説明したように、綺麗に食することができると共に、使用後においてこの容器1'を洗浄する際には、凹凸面の存在しない湾曲周壁面部3cの内面は勿論、縦襞3aの内面側の縦溝3a' 内も容易に且つ綺麗に洗浄することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
2 底部
3 周壁部
3a 縦襞
3b 凹溝部
3c 湾曲周壁面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している周壁部とからなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させていることを特徴とする食品収容用小形容器。
【請求項2】
底部は円形又は楕円形、或いは、三角形、四角形等の多角形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食品収容用小形容器。
【請求項3】
長円形状の底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径してなる一定高さの周壁部とからなり、この周壁部の少なくとも平面円弧状に湾曲した両側周壁部分に横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成してなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞は周壁部の上端縁からその下端が上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられてあり、且つ、これらの縦襞は上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させていることを特徴とする食品収容用小形容器。
【請求項1】
底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径し、且つ、横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成している周壁部とからなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞の下端は上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられ、且つ、上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させていることを特徴とする食品収容用小形容器。
【請求項2】
底部は円形又は楕円形、或いは、三角形、四角形等の多角形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食品収容用小形容器。
【請求項3】
長円形状の底部と、この底部の外周端から上端に向かって拡径してなる一定高さの周壁部とからなり、この周壁部の少なくとも平面円弧状に湾曲した両側周壁部分に横断面波形状の縦襞を周方向に連続形成してなる食品収容用小形容器において、この容器は弾性変形可能な軟質材からなり、上記底部の外周端に連なる周壁部の下端部を全周に亘って断面凸円弧状に湾曲した滑らかな湾曲周壁面部に形成していると共に、上記全ての縦襞は周壁部の上端縁からその下端が上記底部外周端にまで達することなく上記湾曲周壁面部の上端に至る部分にまで設けられてあり、且つ、これらの縦襞は上端から下端に向かってその襞の凹凸深さを徐々に浅くして湾曲周壁面部の上端との連設部においては襞を消失させていることを特徴とする食品収容用小形容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−116437(P2011−116437A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277543(P2009−277543)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】
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