説明

食品容器

【課題】容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる。
【解決手段】食品Nが収容される大収容部11と、調味料Tが収容される小収容部12と、が一体に形成された食品容器1であって、その平面視形状は円形状とされるとともに、大収容部11と小収容部12との接続部分13は前記円形状の弦をなし、大収容部11および小収容部12それぞれの開口端面11a、12aは、容器軸Oに直交する同一の直交面上に位置するとともに、小収容部12の底壁部は、大収容部11の底壁部よりも容器軸O方向に沿う前記開口端面11a、12a側に位置し、大収容部11の側壁部16のうち、前記接続部分13が位置する容器軸O回りに沿う周方向部分16aは、平坦面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品が収容される食品容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の食品容器として、例えば下記特許文献1に示されるように、納豆等の食品が収容される大収容部と、調味料が収容される小収容部と、を備えるとともに、これらの両収容部が一体に形成された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−128114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、例えば大収容部内に納豆等の食品を入れたり、小収容部内に調味料を入れたりする装置等に対して、容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる食品容器が要望されている。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の食品容器は、食品が収容される大収容部と、調味料が収容される小収容部と、が一体に形成された食品容器であって、その平面視形状は円形状とされるとともに、前記大収容部と小収容部との接続部分は前記円形状の弦をなし、前記大収容部および小収容部それぞれの開口端面は、容器軸に直交する同一の直交面上に位置するとともに、前記小収容部の底壁部は、大収容部の底壁部よりも容器軸方向に沿う前記開口端面側に位置し、前記大収容部の側壁部のうち、前記接続部分が位置する容器軸回りに沿う周方向部分は、平坦面に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、小収容部の底壁部が、大収容部の底壁部よりも容器軸方向に沿う前記開口端面側に位置しているので、大収容部の側壁部のうち、前記接続部分が位置する容器軸回りに沿う周方向部分(以下、平坦部分という)を外部に露呈させることができる。これにより、食品容器の平面視形状が円形状とされていることと相俟って、食品容器の容器軸回りの位置を合わせるときに、例えば、大収容部の前記平坦部分を基準にしたり、あるいは該平坦部分を押す等の操作をしたりすることが可能になり、容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる。
さらに、食品容器の平面視形状が円形状とされ、前記接続部分が前記円形状の弦をなしているので、食品および調味料が入れられた食品容器を密封する際に、この容器を密封装置に対して容器軸回りに位置合わせする必要がない構成とすることもでき、その取り扱い性を向上させることができる。
なお例えば、前記平坦部分の容器軸方向の大きさを小収容部の容器軸方向の大きさよりも大きくして、その平面積を広くすると、容器軸回りの位置をより一層容易かつ確実に合わせることができる。
【0008】
ここで、前記小収容部の底壁部は、前記大収容部の側壁部の外面に突設されてもよい。
【0009】
この場合、小収容部の底壁部が大収容部の側壁部の外面に突設されていて、小収容部の側壁部のうち前記接続部分に連なる部分と、大収容部の側壁部のうち前記接続部分に連なる部分と、が共通の壁部により構成されているので、例えば、大収容部および小収容部それぞれの側壁部が互いに独立している場合と比べて、材料の使用量を低減することが可能になり、低コスト化を図ることができる。なお例えば、この食品容器を射出成形で形成する場合には成形性を向上させることもできる。
【0010】
また、前記大収容部の内面には凹凸部が形成されてもよい。
【0011】
この場合、大収容部の内面に凹凸部が形成されているので、大収容部内に調味料を加えた後にこの大収容部内の食品をかき混ぜるときに、効率よく調味料と食品とを混ぜ合わせることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した食品容器の斜視図である。
【図2】図1に示す食品容器の一部破断斜視図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態として示した食品容器の一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る食品容器1は、図1および図2に示されるように、食品が収容される有底筒状の大収容部11と、調味料が収容される有底筒状の小収容部12と、を備え、これらの両収容部11、12が一体に形成されている。
食品容器1の平面視形状は円形状となっている。大収容部11と小収容部12との接続部分13は前記円形状の弦をなしている。大収容部11の開口端面11aの平面積は、小収容部12の開口端面12aの平面積よりも大きくなっている。
【0015】
以下、前記円形状の中心を通り、かつ大収容部11の開口端面11aおよび底壁部14に直交する直線を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って大収容部11の開口端面11a側を上側、大収容部11の底壁部14側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
大収容部11および小収容部12それぞれの開口端面11a、12aは、容器軸Oに直交する同一の直交面上に位置している。また、小収容部12の底壁部15は、大収容部11の底壁部14よりも上側に位置しており、小収容部12は大収容部11よりも浅くなっている。
【0016】
そして本実施形態では、大収容部11の側壁部16のうち、前記接続部分13が位置する容器軸O回りに沿う周方向部分(以下、「平坦部分」という)16aは、平坦面に形成されている。すなわち、平坦部分16aは、容器軸O方向、および食品容器1の平面視で前記接続部分13が延在する方向の双方向に沿って延びる平坦面に形成されている。図示の例では、前記平坦部分16aの容器軸O方向の大きさが、小収容部12の容器軸O方向の大きさよりも大きくなっている。
【0017】
また本実施形態では、大収容部11の側壁部16のうち、底壁部14に連なり下側に位置する下側部分17は、この部分17に上側から連なる中間部分(開口端面側部分)18よりも小径に形成されるとともに、中間部分18に第1段部20を介して連なっている。
図示の例では、大収容部11の側壁部16のうち、前記平坦部分16a以外に位置する部分は、これらの下側部分17、第1段部20および中間部分18のみならず、中間部分18よりも大径に形成された上端部分19、およびこの上端部分19を中間部分18に連結する第2段部21をも備えている。
なお、大収容部11の側壁部16のうち、下側部分17の容器軸O方向の大きさが最大とされ、上端部分19の容器軸O方向の大きさが最小となっている。また、下側部分17の容器軸O方向における長さは、側壁部16の容器軸O方向における長さの半分程度となっている。
【0018】
さらに本実施形態では、大収容部11の内面に凹凸部22が形成されている。図示の例では、凹凸部22は、大収容部11の側壁部16における下側部分17のうち、前記平坦部分16a以外の部分の内面に形成されている。凹凸部22は、前記下側部分17のうち平坦部分16a以外の部分の内面に、容器軸O方向の全長にわたって連続して延びる凹部および突部が周方向に沿って交互に配設されて構成されている。図示の例では、凹凸部22は、大収容部11の内面のみならず外面にも形成されていて、大収容部11の側壁部16の肉厚は全域にわたって同等になっている。
【0019】
ここで本実施形態では、小収容部12の底壁部15は、大収容部11の側壁部16における前記平坦部分16aの外面に突設されている。これにより、小収容部12の側壁部23のうち前記接続部分13に連なる部分と、大収容部11の側壁部16のうち前記接続部分13に連なる部分と、が共通の壁部24により構成されている。なお図示の例では、小収容部12の底壁部15、および前述の第2段部21はそれぞれ、容器軸O方向に沿うほぼ同じ位置に配設されている。
【0020】
小収容部12の側壁部23のうち、前記接続部分13に連なる部分を除く小円弧部分23aは、大収容部11の側壁部16のうち前記平坦部分16a以外の部分に位置する上端部分19に、段差無く連なっており、これらの小円弧部分23aおよび上端部分19の全体で容器軸Oを中心とする円環状体をなしている。また小円弧部分23aおよび上端部分19それぞれの上端開口縁には、全周にわたって容器軸Oを中心とする円環状のフランジ部25が径方向の外側に向けて突設されている。
【0021】
なお、図示の例では、前記共通の壁部24は、フランジ部25の上面よりも下方に位置している。また、大収容部11内には食品として納豆Nが収容され、小収容部12内には調味料としてゼリー状のたれTが収容されている。さらに、フランジ部25の上面にシートSが貼着されることにより、大収容部11内の納豆Nおよび小収容部12内のたれTが密封されている。
【0022】
以上説明したように、本実施形態による食品容器1によれば、小収容部12の底壁部15が、大収容部11の底壁部14よりも上側に位置しているので、大収容部11の側壁部16における前記平坦部分16aを外部に露呈させることができる。これにより、食品容器1の平面視形状が円形状とされていることと相俟って、食品容器1の容器軸O回りの位置を合わせるときに、例えば、大収容部11の前記平坦部分16aを基準にしたり、あるいは該平坦部分16aを押す等の操作をしたりすることが可能になり、容器軸O回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる。
【0023】
さらに、食品容器1の平面視形状が円形状とされ、前記接続部分13が前記円形状の弦をなしているので、納豆NおよびたれTが入れられた食品容器1を密封する際に、この容器1を密封装置に対して容器軸O回りに位置合わせする必要がない構成とすることもでき、その取り扱い性を向上させることができる。
【0024】
さらに本実施形態では、小収容部12の底壁部15が大収容部11の側壁部16の外面に突設されていて、小収容部12の側壁部23のうち前記接続部分13に連なる部分と、大収容部11の側壁部16のうち前記接続部分13に連なる部分と、が共通の壁部24により構成されているので、例えば、大収容部11および小収容部12それぞれの側壁部16、23が互いに独立している場合と比べて、材料の使用量を低減することが可能になり、低コスト化を確実に図ることができる。
また、小収容部12の底壁部15が大収容部11の側壁部16の外面に突設されていることから、この食品容器1を射出成形で形成する場合に成形性を向上させることもできる。
【0025】
また、大収容部11の内面に凹凸部22が形成されているので、大収容部11内にたれTを加えた後にこの大収容部11内の納豆Nをかき混ぜるときに、効率よくたれTと納豆Nとを混ぜ合わせつつ泡立たせることができる。
【0026】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0027】
例えば、前記実施形態では、前記共通の壁部24を、フランジ部25の上面よりも下方に位置させたが、フランジ部25の上面と同じ上下方向位置に配置してもよい。
さらに、大収容部11の側壁部16に第1段部20および第2段部21を形成したが、いずれか一方のみを形成してもよいし、あるいは図3に示されるように両者とも形成しなくてもよい。
さらにまた、図3に示されるように、大収容部11の側壁部16の内面に全周にわたって延びる凸部16cを形成することにより、複数の食品容器2を容器軸O方向に積み重ねたときに、互いに隣接する食品容器2の底壁部14同士や側壁部16同士の間に隙間が形成されることとなり、容器軸O方向に積み重ねられた複数の食品容器2を1つずつ容易かつ確実に取り出すことができる。
なお、この凸部16cは、周方向に沿って連続して延在してもよいし、断続的に延在してもよいし、あるいは点在してもよい。また、この凸部16cによって、大収容部11内にたれTを加えた後にこの大収容部11内の納豆Nをかき混ぜるときに、効率よくたれTと納豆Nとを混ぜ合わせることもできる。さらに、凸部16cに代えて、容器軸O方向に沿って延在し、かつ周方向に間隔をあけて複数配設された凸部を採用してもよい。
【0028】
また前記実施形態では、大収容部11の内面に凹凸部22を形成したが、形成しなくてもよい。
さらに凹凸部22は、大収容部11の側壁部16の内面にその全域にわたって形成してもよい。
また前記実施形態では、凹凸部22として、容器軸O方向の全長にわたって連続して延びる凹部および突部が周方向に沿って交互に配設された構成を示したが、これに限らず例えば、容器軸O方向に沿って断続的に延びる凹部および突部が周方向に沿って交互に配設された構成や、多数の凹部および突部が互いに隣接して配設された構成等適宜変更してもよい。
さらに、凹凸部22は、大収容部11の底壁部14の内面に形成してもよい。
さらにまた、前記実施形態では、小収容部12内に収容する調味料としてゼリー状のたれTを示したが、これに代えて例えば、小袋に包装されたたれやからし等を小収容部12内に収容してもよい。さらに、前記実施形態では、大収容部11内に収容する食品として納豆Nを示したが、これに限らず適宜変更してもよい。さらにまた、小収容部12を複数に区画して、これら区画された各部分に互いに異なる調味料を各別に収容するようにしてもよい。
【0029】
また前記実施形態では、小収容部12の底壁部15を大収容部11の側壁部16の外面に突設し、小収容部12の側壁部23のうち前記接続部分13に連なる部分と、大収容部11の側壁部16のうち前記接続部分13に連なる部分と、を共通の壁部24により構成したが、これに代えて例えば、図3に示されるように、小収容部12の側壁部23のうち前記接続部分13に連なる部分23bと、大収容部11の側壁部16のうち前記接続部分13に連なる部分16bと、を互いに独立させてもよい。さらにこの構成においては、小収容部12の側壁部23のうち前記接続部分13に連なる部分23bと、大収容部11の側壁部16のうち前記接続部分13に連なる部分16bと、を互いに当接させてもよいし、あるいは図3に示されるように、径方向に互いに離間させてもよい。
【0030】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
容器軸回りの位置を容易かつ確実に合わせることができる。
【符号の説明】
【0032】
1、2 食品容器
11 大収容部
11a 大収容部の開口端面
12 小収容部
12a 小収容部の開口端面
13 接続部分
14 大収容部の底壁部
15 小収容部の底壁部
16 大収容部の側壁部
16a 平坦部分(周方向部分)
22 凹凸部
N 納豆(食品)
O 容器軸
T たれ(調味料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が収容される大収容部と、調味料が収容される小収容部と、が一体に形成された食品容器であって、
その平面視形状は円形状とされるとともに、前記大収容部と小収容部との接続部分は前記円形状の弦をなし、
前記大収容部および小収容部それぞれの開口端面は、容器軸に直交する同一の直交面上に位置するとともに、前記小収容部の底壁部は、大収容部の底壁部よりも容器軸方向に沿う前記開口端面側に位置し、
前記大収容部の側壁部のうち、前記接続部分が位置する容器軸回りに沿う周方向部分は、平坦面に形成されていることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
請求項1記載の食品容器であって、
前記小収容部の底壁部は、前記大収容部の側壁部の外面に突設されていることを特徴とする食品容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の食品容器であって、
前記大収容部の内面には凹凸部が形成されていることを特徴とする食品容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−228778(P2010−228778A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77937(P2009−77937)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】