食品用の容器及び食品貯蔵方法
【課題】ユーザが開封することができて取り出し具を用いることなく食品を取り出せるように設計された従来のものとは異なる種類の容器を提供する。
【解決手段】食品用の容器は、開口(3)が設けられた中空の本体(1)から構成され、この本体が、その内部に配置されたピストン(7)を有し、使用時に、ユーザが開口(3)を介して食品を吸引することに応じてピストン(7)が本体(1)内を動く。容器は、固形または半固形の食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトのような食品を貯蔵することに用いられる。容器は、スプーンや食品取り出し具を用いることなく、容器から直接食品を消費することができるように構成されている。
【解決手段】食品用の容器は、開口(3)が設けられた中空の本体(1)から構成され、この本体が、その内部に配置されたピストン(7)を有し、使用時に、ユーザが開口(3)を介して食品を吸引することに応じてピストン(7)が本体(1)内を動く。容器は、固形または半固形の食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトのような食品を貯蔵することに用いられる。容器は、スプーンや食品取り出し具を用いることなく、容器から直接食品を消費することができるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品用の容器に関し、具体的には、本発明はアイスクリームやヨーグルトベースの産品等の冷凍及び半冷凍食品用の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍及び半冷凍食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトベースの産品をパッケージ化することついては、一般に2つの種類に分類することができる。第一の種類は、消費者が容易に容器を開けることができ、食品を直接消費することができるようにしたパッケージ化である。第二の種類は、皿やウェーハコーン等の取り分け用容器に食品を小分けする食品取り出し機具(dispensing machine)とともに用いられるようにしたパッケージ化である。第二の種類の容器に関しては、食品取り出し機具を用いなければ、消費者は食品を容易に取り出すことができない。
【0003】
本発明は、食品が容器から直接消費される第一の種類の容器に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、冷凍/半冷凍食品は、販売時または家庭の冷蔵庫から取り出された時に消費者によって破かれて開封されるプラスチックフィルムや紙をベースとした包装によって包まれている。この種の包装については、例えば、消費される際に包装の一部が開封されてチョコアイス等の食品を保持するように使用され、あるいは、食品に棒が取り付けられていて包装は食べる前に廃棄される。いずれの場合でも、アイスクリームであれば食べている途中で溶け出して、しばしば消費者の手まで流れ落ち、消費者の手がベトベトになる。
【0005】
よく知られているアイスキャンデー菓子は、先細りのチューブ状の容器を使用しており、この容器は、内面がプラスチックによって被覆されたボール紙の基部(substrate)を備える。この容器は、一端が閉じられており、他端が開口されている。開口端は、取り外し可能なカバーによって封がされている。消費者は、食品を食べたいとき、カバーを取り外し、チューブを絞って菓子を容器から押し出して消費する。この種の容器の問題点は、アイスキャンデーがチューブ内に戻ってしまうことを防止するため、食べている間、手動で容器を押し続けなくてはならない点である。ユーザが容器を絞りすぎた場合、アイスキャンデーは容器から飛び出して床に落ちてしまう。
【0006】
別のよく知られた容器は、アイスクリームのカップ容器である。このカップ容器は、アイスクリームを保持し、取り扱いが比較的便利であるが、消費者がカップ容器からアイスクリームを取り出すにはプラスチックや木のスプーンが必要である。この種の容器では、消費者が、両方の手が自由でないとアイスクリームを取り出すことができない。
【0007】
さらに別の種類の既知の容器は、「押し上げ」(push up)型と呼ばれる容器である。この種の容器は、ずんぐりしたチューブ式本体から構成され、この本体は、大径で短く、その内部を動くことができるプランジャを備える。消費者は、片手でチューブ状の本体を保持し、プランジャを用いて食品を下から押し出す。この装置を動かすには、両手が必要である。他の難点は、消費者が食品を消費する前は、プランジャがチューブ状の本体の一端に位置しており、そのハンドルがチューブから大きく突出している点である。このため、包装及び運搬に非効率的なデザインである。
【0008】
本発明は、ユーザが開封することができて取り出し具を用いることなく食品を取り出せるように設計された従来のものとは異なる種類の容器を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一つの観点に係る食品用容器は、開口が設けられた中空本体を備え、中空本体は、その内部に配置されたピストンを有し、消費者が開口を介して食品を吸引するとピストンが本体内で動く。
【0010】
容器は、冷凍及び半冷凍の食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトベースの産品を貯蔵することに用いることができる。容器は、スプーンや食品取り出し具を用いることなく、直接食品を容器から消費できるようにする。消費者が片手のみで容器を保持して吸引して食べることにより、アイスクリームが容器の本体から直接消費者の口に運ばれるので、アイスクリームが消費者の手にポタポタ垂れることなく、容器から取り出すことができる。これにより、アイスクリームが床に落ちることが防止される。消費者が容器を床に落とした場合、本体によって食品にごみが混入することが防止される。容器は本体から突出するようなハンドルを含まないので、効率よく包装することができる。
【0011】
固形及び半固形の食品用の容器であって、ピストンを含むものが公知である。例えば、特許文献1に開示された容器は、食品取り出し具において用いられるもので、容器の本体内でピストンを動かして食品を取り出すため、食品取り出し具から供給される大きな力を必要とする。容器は、ユーザが口を容器の開口の周囲に快適にフィットさせることができない程度の大きさである。さらに、アイスクリームが取り出される取り出し口は、テーパ状の壁に設けられた星形の切り欠きを有する。取り出し口は、覆いによって囲まれている。このような構成では、消費者が、容器からアイスクリームを吸引するために効率よく口を取り出し口に当てて隙間をつくらないようにすることが非常に困難であった。また、吸引によって消費者が圧力差をつくりだしても、容器の本体内のピストンを動かすには充分でなかった。
【特許文献1】欧州特許第0995685号公報
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る容器の本体は、細長い形状を有することが好ましい。中空の本体は、略均一な断面部分を有する。消費者の吸引動作に応じて、ピストンが容器のこの部分に沿って動く。
【0013】
本体は、チューブ状で、15mmから40mm、より好適には、15mmから35mm、さらに好適には、20mmから30mmの範囲の内幅を有することが好ましい。本発明の好適な実施形態では、本体は、略円筒状で、その幅が直径として上記の範囲内にある。好適な実施形態では、内径が約25mmである。
【0014】
チューブの内部断面の面積は、好適には、150mm2から1250mm2、より好適には、150mm2から1000mm2、さらに好適には、200mm2から800mm2の範囲内である。これにより、消費者が容器から食品を確実に吸引することができるようになる。また、これにより、容器は、食品を温めて本体内を流れるようにする熱を取り込むのに充分な表面面積を有することとなる。
【0015】
本発明のいくつかの好適な実施形態においては、本体は、細長いチューブ状である。本体の長さは、70mmから300mmの範囲であることが好ましい。容器をアイスクリーム又は冷凍ヨーグルト等の食品に用いた場合、少なくとも食品の一部を溶かして容器から吸引できるようにする必要がある。溶解速度を上げるため、消費者は、容器を両手で保持して身体の熱で食品を溶かす。細長い形状なので、手であたためられる表面の面積が大きい。本体は、熱を食品に伝達して、20度の周辺温度で5秒から3分の間、より好適には、30秒から2分の間、さらに好適には、45秒から90秒の間で食品を食べられるようにすることが好ましい。
【0016】
容器の本体は、ボレアリス(borealis)又はポリプロピレン等の食品の品質を維持するプラスチック材から形成される。あるいは、容器の本体は、ボール紙、プラスチックがコーティングされた紙ベースの材料から形成される。容器の本体につき、材料の選択及び材料の厚みは、冷凍食品に熱が伝達される速度に影響し、従ってどれだけ早く食品が消費できるようにさせられるかに影響する。容器の本体は、0.05mmから1mm、好適には、0.8mm前後の厚さの壁を有することが好ましい。
【0017】
容器は、略剛体である。容器は、通常の使用において、つぶれることなく、ピストンがチューブに沿って動くことができる程度に硬い。容器は、略円形の断面を有することが好ましいが、略楕円形、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、八角形等の他の形状であってもよい。
【0018】
容器は、マウスピースを有することが好ましく、このマウスピースからの吸引により、分室内の食品がマウスピースを介して消費される。マウスピースは、消費者の口と接した際に隙間ができないような形状を有する。マウスピースは人間の口で受け止めるのに好適な形状を有し、例えば、実質的に、円形、楕円形、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、または八角形の断面を有するノズルのような形状を有する。マウスピースは、食品が吸引される本体の一端に設けられ、ピストンとマウスピースとの間の空間により、食品を受け入れる分室が仕切られる。
【0019】
マウスピースは、テーパ状の部分を含むことが好ましい。例えば、マウスピースは、取り出し口に向かって断面積は減少する。取り出し口の断面は、容器の本体の断面よりも小さいことが好ましい。あるいは、マウスピースは、非テーパ形状で、例えば、本体と同様の断面積を有してもよい(図6参照)。取り出し口の断面積は、好適には、75mm2から700mm2、より好適には、175mm2から500mm2、さらに好ましくは、200mm2から300mm2の範囲内であるとよい。取り出し口を形成するマウスピースの壁は、取り出し口が略平面的となるように配置されている。これにより、ユーザが、効率よく取り出し口の周りに隙間をつくらないようにすることができるようになり、引き剥がし式のホイルシール等のシールを取り出し口の周囲に配置することが可能となる。マウスピースは、再び封をすることができるものであってもよく、例えば、マウスピースは、開ポジションと閉ポジションとの間で折り畳めるようにフレキシブルであったり、あるいは、フレキシブルな部分を含む。あるいは、マウスピースは、ヒンジ式のシール部を含んでもよい。
【0020】
ピストンと本体の内部とは、食品が容器からこぼれることを防止するような密封効果が得られるよう配置される。例えば、ピストンをユーザが吸引動作を行っている状態で実質的に自由にチューブ内を動くことができるようにしたときに、ピストンと本体の内面との適合はこの効果を得るのに十分である。あるいは、ピストンは、密封効果を得るために少なくとも一つのシール部を含んでもよい。例えば、シール部は、ピストンの外面に形成された溝に配置される。ピストンは、複数のシール部を備えることが好ましい。シール部は、ピストンの外面に形成された溝に配置されるO‐リング等から構成される。好適な実施の形態においては、ユーザが吸引を止めた場合、ピストンは静止する。これは、ユーザが食品を吸引することを止めたとき、食品が容器から流出しないことを意味する。これにより、食品が床にこぼれ落ちることを防止する。また、食品が容器の底に戻ることも防止するので、食品は、常に開口の近傍にあり、容器の底から食品を吸引する必要がない。
【0021】
容器は、ピストンが容器の本体に沿って動くと、容器の内部を擦り取る(scraping)手段を備えることが好ましい。例えば、ピストンは、少なくとも一つのスクレーパー部を備えてもよい。スクレーパー部は、ピストンの外面に配置され、ピストンが本体内で動くと、本体の内面をこするような、らせんを含む。あるいは、スクレーパー部は、ピストンの外面から伸びる環状部材であってもよい。スクレーパー部は、ピストンの外面に形成された溝内に配置される。スクレーパー部は、フレキシブルであってもよい。本体の内面を擦り取る手段は、ピストンと本体との間を密封し、食品が容器から漏れることを防止する。ピストンは、容器の本体の内面と相互補完的な部分を有することが好ましい。ピストンは、ディスク状の部分を有することが好ましい。ピストンは、また、スカート状の部分を有することが好ましい。例えば、ピストンは、略円筒形で、ディスク及びスカート状の部分が、一端が閉じられて他端が開いた中空の円筒を形成する。スクレーパー部及び/またはシール部は、スカート部分から外側に向かって突出する。スカート部は、フレキシブルであることが好ましい。
【0022】
いくつかの実施形態においては、ピストンは、形状がつけられた上面を有する。例えば、ピストンの上面は、ドーム状、曲面状、あるいは凸面状である。あるいは、上面は、略平面であってもよい。
【0023】
ピストンは、略球状であってもよい。
【0024】
容器は、ピストンが本体内を動くと空気を容器の内部に取り込む空気吸入口を有する。これにより、アイスクリームが容器から吸引されると、ピストン下の空間を空気で満たすことができるようになる。これにより、エアロックが起こることが防止される。例えば、本体は、食品が小分けして入れられる側の端と反対側の端が開口されている。いくつかの実施形態におけるピストンと容器の内壁との間の密封は、液体が容器からこぼれることを防止するのに充分なものであり、従って食品が小分けして入れられる他端側は開いたままでもよい。
【0025】
容器は、容器の内部に空気が流れ込むことを可能にし、液体が、食品が小分けして入れられる側と反対の側の端から漏れることを防止する通気孔を有する。通気孔は、膜または細網を含むことが好ましい。膜または細網は、液体に対しては不浸透性だが、空気を通過させる。例えば、膜または細網は、中空本体の開口に渡って広がるものであってもよい。あるいは、膜または細網は、封止部内またはその上に配置されてもよい。
【0026】
容器は、液体が小分けされて入れられる側とは反対の側の中空本体の端から食品が漏れることを防止する封止部を備えてもよい。例えば、ピストンと内面との密封が、液体が容器からこぼれることを防止するのに充分でない場合、または、ピストンが中空本体から抜け落ちたり妨げになったりする場合に、封止部を備えてもよい。例えば、封止部は、本体と一体に形成され、あるいは、本体から取り外せないように、または取り外し可能に固定された別部材であってもよい。封止部は、空気吸入口または通気孔を有する。
【0027】
封止部は、液体を集める凹部を備えることが好ましい。通気孔は、凹部の底から離れた位置で凹部内に配置されることが好ましい。細網や膜は、封止部の支持部内に配置される。液体が凹部に集められると、細網や膜が液体の水平面上に位置するようになっている。少なくともいくつかの実施形態においては、ピストンと中空本体との間の密封は、少量の液体のみが凹部に集められる場合には充分である。この場合、膜や細網は、液体に対して不浸透性である必要はなく、これは、細網や膜の上に落ちる液体の量は、非常に少なく、ほんのわずかな許容できる範囲の漏れだからである。支持部は、ピストンと略同軸で、細網上に落ちる液体の量を低減する。液体に対して不浸透性の細網や膜が使用された場合は、この点について考慮する必要はない。
【0028】
本発明の他の観点によれば、上述した容器に貯蔵されるアイスクリーム、ヨーグルトベースの産品、または菓子が提供される。
【0029】
本発明の他の観点においては、食品の貯蔵方法は、中空の本体を有する容器であって、この中空本体が少なくとも一端に設けられた開口と、本体内部に配置され、この開口を介して消費者が食品を吸引する動作に応じて本体内部を動くピストンとを有する容器内に食品を貯蔵する。
【0030】
アイスクリームは、−10℃から−30℃の範囲の温度で貯蔵されることが好ましい。容器の本体は、貯蔵温度でも壊れにくい材料から形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、アイスクリーム等の冷凍食品用の容器を示す。容器は、円筒状の本体1から構成される。本体1は、チューブ状の形状を有し、容器内のアイスクリームが吸引される第一の開口3(以下、この開口3をマウスピースと総称する)と、ピストン7によって使用時に閉じられる第二の開口5を有する。本体1の大部分は、略均一な断面を有する。
【0032】
ピストン7は、先端部7aと、先端部7aと連なるスカート部7bとによって形状づけされる、中空な略円筒から構成される。従って、ピストンは一端が閉じられ、他端が開いている。先端部7aは、ドーム状の上面を有することが好ましい。これにより、ピストン7がマウスピース3に近接した際に、実質的に全てのアイスクリームが本体1から押し出されるようになる。あるいは、先端部7aは、略平面でもよい。ピストン7は、実質的に全ての食品が本体から取り出されるようにすることに役立つ。ピストン7なしでは、容器の中央部分にある食品を吸引したとしても、本体1の壁の近傍に食品が残ってしまう。
【0033】
ピストンは、スカート部の外面に形成され、スカート部の外周の周りに延伸する2つの溝9を有する。一つの溝は、先端に向かって延伸し、他の溝は、後端に向かって延伸する。溝9には、それぞれ、フレキシブルなスクレーパー部11が配置される。スクレーパー部11は、それぞれ、環状のワッシャのような部材から構成され、好ましくは、ピストン7が本体1内を動くと本体の内面を擦り取るプラスチック部材から形成されるとよい。スクレーパー部11は、ピストンと略同軸で配置され、スカート7bから略垂直に突出する。
【0034】
スクレーパー部11は、フレキシブルなため、容器の本体1内に押し込まれると弾性的に変形する。スクレーパー部11の弾性力により、スクレーパー部11が本体の内壁と接し続ける。
【0035】
スクレーパー部11の作用は、製作公差と容器の本体1がどの程度変形するかによって決まる。例えば、容器がアイスクリームを小分けして貯蔵することに用いられる場合、製作公差が比較的高く本体が容易には変形しないときは、スクレーパー部11は、液状のアイスクリームが本体1から漏れることを防止する。製作公差が低い場合には、シーリング作用がよく機能せず、多量の液状及び/または半固形のアイスクリームが本体1とピストン7との間を通過してしまう。しかし、後者の場合であっても、スクレーパー部11は、液状のアイスクリームと、固形及び半固形のアイスクリームの大部分を本体の内面からすくい取ってかき出す。
【0036】
チューブの長さは、典型的には、70mmから300mmの範囲内であり、その径は15mmから40mm、好ましくは、およそ20から30mmの範囲内である。径の大きさは、容器の断面を定めるうえで重要である。断面が大きすぎる場合、消費者は、容器からアイスクリームを吸引することができない。本体1の内部断面は、典型的には、1250mm2以下だとアイスクリームを容易に吸引することができ、好適には、150mm2から1250mm2、より好ましくは150mm2から1000mm2、さらに好ましくは200mm2から800mm2の範囲内にあるとよい。また、容器の断面積は、加温処理と関連を有する。本体1の断面積が食品の体積に対して小さければ小さいほど、容器内に入り込む熱にさらされる表面積が大きくなる(以下参照)。さらに、ピストン7と容器の本体1とは、容器からアイスクリームを吸引すること及びピストン7を本体1内で移動させるのに必要となる圧力差が、平均的な人でも容易に得られるように配置されることが必要である。これは、容器の断面積の適切な選択と、ピストン7と本体1とをその間の摩擦が小さくなるように配置することによって達成される。もちろん、吸引を容易とするために摩擦を小さくするような配置と、ピストン7及び本体の内面の間を液状の食品が通過しないようにすることとは、トレードオフの関係にある。
【0037】
第二の開口5は、ピストンと本体との間のシーリングが充分な場合には、外気に対して直接的に開いていてもよい。シーリングが良好でない場合、または、製品が不正に改造されるおそれがあることを考慮した場合は、空気多孔性細網(air porous gauze)や膜が第二の開口5に渡って広がっているようにしてもよい。好ましくは、細網または膜は、液体及び/または半固形の食品に対して不浸透性であるとよい。
【0038】
マウスピース3は、略円形の取り出し口を有するテーパ状のノズルから構成される。マウスピース3は、容器からアイスクリームが吸引されるようにするため、消費者がその口を使って取り出し口の周りを容易にふさぐことができるように構成されている。マウスピース3は、消費者の口により快適にフィットするように取り出し口の断面が本体の断面より小さくなるようにテーパ状になっていることが好ましい。取り出し口の断面は、典型的には、750mm2以下で、好ましくは、75mm2から700mm2、より好ましくは、175mm2から500mm2、さらに好ましくは、200mm2から300mm2の範囲内である。取り出し口は、他の形状を有していてもよく、例えば、その断面が、略楕円形または四角形であってもよい。あるいは、マウスピース3は、省略されていてもよく、この場合は、消費者は、容器の本体1から直接アイスクリームを吸引し、容器は、消費者がその周りを閉じることができるような外寸を有するとよい。
【0039】
容器は、アイスクリーム等の食品を保持し、容器の湾曲した壁の直近のアイスクリームを溶かすために冷蔵庫から取り出された際には、消費者は、チューブを両手で温めてアイスクリームを食べる。アイスクリームの一部を温めて消費者が食べられるようにするまでの時間は、20℃の環境温度で、消費者が保持してから5秒から3分の間であることが好ましい。容器は、溶解を加速するような構成を有し、例えば、薄い壁を有したり、消費者の手に接する面が広い、すなわち、例えば容器が細長い形状を有したり、小さい断面積を有したり、及び/または、容器の材料に熱伝導率がよいものが選択されている。本発明者は、本体1を備える実施の形態においては、その断面積がおよそ800mm2以下だと溶解速度が速いことを見出した。
【0040】
容器の壁の厚みは、典型的には、0.05mmから1mmの範囲内、好ましくは、およそ0.8mmである。容器は、ポリプロピレン、ボレアレス(borealis)等のプラスチック材、ボール紙、プラスチックがコーティングされた紙ベースの基材等のプラスチックがコーティングされた材料、または、アルミニウム等の金属から形成されることが好ましい。チューブは、押し出し成形、射出成形、または、ボール紙若しくは紙の基材のチューブを形成するのに好適な処理により製造される。
【0041】
ピストンは、チューブの一部に沿って動くが、チューブは、その一部の内部形状を実質的に維持するように構成されている。例えば、チューブは、略剛体である。なお、食品は、チューブが使用された際につぶれることを防止することに役立ち、従って、チューブは食品があることにより形状を維持できる程度の剛体である必要がある。典型的には、チューブ自体は、つぶれることが無い程度に充分に硬いとよい。
【0042】
容器は、好ましくは、−10℃から−30℃で貯蔵される。容器は、食品の品質を損なわないようにしながら−30℃の温度にまで冷凍できるプラスチック、例えば、ボレアリスまたはポリプロピレンから形成されることが好ましい。プラスチック材は、不透明なものが好ましいが、透明であっても色つきのものであってもよい。
【0043】
使用時には、容器は冷蔵庫から取り出される。容器のまま、その側面の近傍にあるアイスクリーム等の食品が部分的に溶けるまでの時間を与えてもよい。溶解のプロセスは、熱を加えることによって加速され、例えば、消費者は、両手で容器を保持することによって熱を加える。マウスピース3からシールがはがされる。充分なアイスクリームが溶解した場合、アイスクリームは、本体1内を流れ、消費者は、マウスピース3を介して容器からアイスクリームを吸引することができる。アイスクリームが容器から吸引されると、ピストン7は、容器の本体1内を動き、スクレーパー部11が本体の内面上で引っ張られてアイスクリームをマウスピース3に向けて押し出す。ピストン7の動きにより、容器の食品を貯蔵している空間の体積が減少する。容器の第二の端5は開口しているので、アイスクリームが取り出されると容器内に空気が流入する。これにより、吸引を困難にして最終的にはアイスクリームが取り出されることを困難とするエアロックが生じることが防止される。従って、ユーザは、片手で容器を保持しながら食品を消費することができ、アイスクリームが消費者の手に垂れることはない。
【0044】
図2aから2cは、本発明の第二の実施の形態を示す。容器の構成は第一の実施の形態と同様であるが、ピストンと同軸で2つのスクレーパー部を有する代わりに、ピストン107が外部らせん状スレッド111を有する点が異なり、このスレッド111は、スクレーパー部11と同様のかき出し機能を有する。
【0045】
図3aから3eは、本発明の第三の実施の形態を示す。容器の構成は第一の実施の形態と同様であるが、スクレーパー部11がO‐リングシール213に置換された点が異なり、このO‐リングシール213は、溝209内に配置される。この実施の形態によれば、液状食品がピストン207と本体201の内面との間を通過することを防止するさらに良好なシーリング効果が得られる。好ましくは、O‐リングシールは、自然のまたは合成のゴムから形成される。
【0046】
図4aから4bは、本発明の第四の実施の形態を示す。容器の構成は、第一の実施の形態と同様であるが、マウスピース303が、略四角形の開口を有するようにテーパがかかっている点、ピストン307が溝、スクレーパー部又は別体のシールを有しない点、及び、容器の他端に封止部313を設けた点が異なる。
【0047】
ピストン307は、略平坦な先端部307aと、それに連なるスカート307bとを有し、一端が閉じられ、他端が開口された中空の略円筒を形成するように構成されている。ピストン307は、本体の内面との間でシーリング効果をもたらすような寸法で形成されている。しかしながら、この構成では、少なくとも第一及び第三の実施形態と比べて、液状の食品がピストンと本体の内面との間を通過することを防止する効果が充分でないおそれがある。しかし、ピストンと本体の内面との間の摩擦が小さいため、ピストンが本体内をより自由に動くことができるという利点がある。そこで、封止部313を第二の開口305に配置して、容器から食品が漏れることを防止したり低減するようにした。
【0048】
封止部313は、中空の略円筒から構成され、湾曲した側面を有し、一端が開口され、他端が閉じられており、閉じられた端と側面が本体の内面とピストン307との間を通過した食品を集める食品だめ(sump)を形成する。封止部313は、第二の開口305に配置され、固定または取り外し可能に取り付けられている。例えば、封止部313は、溶接されたり、押入されている。あるいは、封止部313は、本体1と一体に形成されている。
【0049】
封止部313には、空気吸入口315が設けられている。空気吸入口315は、第二の開口305を介して、本体301に空気を取り込む。空気吸入口315は、封止部313の閉じた端に形成された開口から構成される。好ましくは、空気吸入口315は、液状の食品が食品だめに集められても、空気吸入口315から外へ出ないように、あるいは、その量が少量となるように、食品だめの底よりも上に形成されるとよい。空気吸入口315は、好ましくは、凸状部分の上部に形成される。
【0050】
図5aから5iは、本発明の第五の実施の形態を示す。第五の実施の形態は、第四の実施の形態と同様であるが、ピストン407が先端と後端のリム411を有する点が異なり、このリム411は、第一の実施の形態のスクレーパー部11と同様の作用を有する。リム411は、例えば、成形によってピストン407と一体に形成される。ピストン407は、第一の実施の形態と同様に、湾曲した先端部407aを有する。
【0051】
封止部413は、第四の実施の形態の封止部313と同様のものであるが、空気吸入口415が、空気吸入口415に渡って広がる細網または膜419から構成される通気孔を備える点が異なる。好ましくは、細網または通気孔419は、空気を通過させることができるが、食品に対しては不浸透性であるとよい。これにより、本体1に空気が入り込み、エアロックが生じることが防止され、また、アイスクリームが、例えば本体から漏れることを防止する。細網または膜419は、食品だめの底から細網または膜を持ち上げる支持部内に配置される。
【0052】
図6は、第六の実施の形態を示す。第六の実施の形態は、第四の実施の形態と同様であるが、ピストンが略球状のボールから構成される点が異なり、このボールは、好ましくはプラスチック材から形成される。あるいは、ボールは、キャンディやチョコレート等の食べられるものから作られてもよい。封止部513は、本体501と一体に形成されている。封止部513は、空気吸入口515をその閉じられた端に有し、第二の開口505を介して空気が本体501内に流れ込むことを許容する。図示する第六の実施の形態では、マウスピースを備えておらず、従って、食べられるボールを容器から取り出すことができるようになっているが、取り外し可能なマウスピースを使用してもよい。
【0053】
本発明者は、本体1を用いた実施の形態において、本体の断面積が、およそ800mm2以下であると、溶解時間が早く、本体501の周りを消費者が快適に隙間を作らないよう閉じることができ、容器からアイスクリームを吸引することが容易であることを見出した。
【0054】
いつくかの実施の形態によれば、容器からアイスクリームを最初に吸引するために、ピストンを手動で押す必要がある場合がある。しかし、容器からアイスクリームが吸引された後は、ピストンを押す必要はない。
【0055】
本発明の実施の形態に係る構成要素は、それぞれの実施の形態以外に、他の実施の形態においても用いることができる。例えば、第四から第六の実施の形態で用いられた封止部を、他の実施の形態で用いてもよい。
【0056】
マウスピースは、再度封をすることが可能であってもよく、例えば、マウスピースは、開閉フリップ(flip)、ヒンジ蓋を備えていてもよく、容器を閉じたり再度開けることができるようにしてもよい。これにより、消費者は、食品の一部のみを食べ、残りを後で食べるために再度封をすることができる。
【0057】
ピストンは、略固体構造を有することができる。
【0058】
本体の断面は、非円形であってもよく、例えば、実質的に、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形であってもよい。
【0059】
本体との間にシールを備えるマウスピースとともに本体が使用される場合、マウスピースが、その周りを消費者が確実に隙間をつくらないように閉じることができるように本体と比べて小さい断面積を有する取り出し口を備えるようであれば、本体は広い断面積を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1a】図1aは、本発明の第一の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図1b】図1bは、第一の実施の形態に係るピストンの分解斜視図である。
【図1c】図1cは、図1bのピストンの側面図である。
【図1d】図1dは、フレキシブルワッシャがそのまま取り付けられた状態の図1bのピストンの側面図である。
【図1e】図1eは、図1dのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図2a】図2aは、本発明の第二の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図2b】図2bは、第二の実施の形態に係るピストンの側面図である。
【図2c】図2cは、図2bのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図3a】図3aは、本発明の第三の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図3b】図3bは、第三の実施の形態に係るピストンの分解斜視図である。
【図3c】図3cは、図3bのピストンの側面図である。
【図3d】図3dは、O‐リングがそのまま取り付けられた図3bのピストンの側面図である。
【図3e】図3eは、図3dのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図4a】図4aは、本発明の第四の実施の形態を説明するための分解斜視図である。
【図4b】図4bは、図4aの断面図である。
【図5a】図5aは、本発明の第五の実施の形態を説明するための分解斜視図である。
【図5b】図5bは、第五の実施の形態で用いるピストンの斜視図である。
【図5c】図5cは、図5bのピストンの側面図である。
【図5d】図5dは、図5cのピストンの矢線B−Bに沿った断面図である。
【図5e】図5eは、図5bのピストンの上面図である。
【図5f】図5fは、第五の実施の形態で用いる封止部の斜視図である。
【図5g】図5gは、図5fの封止部の側面図である。
【図5h】図5hは、図5g中の封止部の矢線A−Aに沿った断面図である。
【図5i】図5iは図5fの封止部を上から見た平面図である。
【図6】本発明の第六の実施の形態を説明するための断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は食品用の容器に関し、具体的には、本発明はアイスクリームやヨーグルトベースの産品等の冷凍及び半冷凍食品用の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍及び半冷凍食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトベースの産品をパッケージ化することついては、一般に2つの種類に分類することができる。第一の種類は、消費者が容易に容器を開けることができ、食品を直接消費することができるようにしたパッケージ化である。第二の種類は、皿やウェーハコーン等の取り分け用容器に食品を小分けする食品取り出し機具(dispensing machine)とともに用いられるようにしたパッケージ化である。第二の種類の容器に関しては、食品取り出し機具を用いなければ、消費者は食品を容易に取り出すことができない。
【0003】
本発明は、食品が容器から直接消費される第一の種類の容器に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、冷凍/半冷凍食品は、販売時または家庭の冷蔵庫から取り出された時に消費者によって破かれて開封されるプラスチックフィルムや紙をベースとした包装によって包まれている。この種の包装については、例えば、消費される際に包装の一部が開封されてチョコアイス等の食品を保持するように使用され、あるいは、食品に棒が取り付けられていて包装は食べる前に廃棄される。いずれの場合でも、アイスクリームであれば食べている途中で溶け出して、しばしば消費者の手まで流れ落ち、消費者の手がベトベトになる。
【0005】
よく知られているアイスキャンデー菓子は、先細りのチューブ状の容器を使用しており、この容器は、内面がプラスチックによって被覆されたボール紙の基部(substrate)を備える。この容器は、一端が閉じられており、他端が開口されている。開口端は、取り外し可能なカバーによって封がされている。消費者は、食品を食べたいとき、カバーを取り外し、チューブを絞って菓子を容器から押し出して消費する。この種の容器の問題点は、アイスキャンデーがチューブ内に戻ってしまうことを防止するため、食べている間、手動で容器を押し続けなくてはならない点である。ユーザが容器を絞りすぎた場合、アイスキャンデーは容器から飛び出して床に落ちてしまう。
【0006】
別のよく知られた容器は、アイスクリームのカップ容器である。このカップ容器は、アイスクリームを保持し、取り扱いが比較的便利であるが、消費者がカップ容器からアイスクリームを取り出すにはプラスチックや木のスプーンが必要である。この種の容器では、消費者が、両方の手が自由でないとアイスクリームを取り出すことができない。
【0007】
さらに別の種類の既知の容器は、「押し上げ」(push up)型と呼ばれる容器である。この種の容器は、ずんぐりしたチューブ式本体から構成され、この本体は、大径で短く、その内部を動くことができるプランジャを備える。消費者は、片手でチューブ状の本体を保持し、プランジャを用いて食品を下から押し出す。この装置を動かすには、両手が必要である。他の難点は、消費者が食品を消費する前は、プランジャがチューブ状の本体の一端に位置しており、そのハンドルがチューブから大きく突出している点である。このため、包装及び運搬に非効率的なデザインである。
【0008】
本発明は、ユーザが開封することができて取り出し具を用いることなく食品を取り出せるように設計された従来のものとは異なる種類の容器を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一つの観点に係る食品用容器は、開口が設けられた中空本体を備え、中空本体は、その内部に配置されたピストンを有し、消費者が開口を介して食品を吸引するとピストンが本体内で動く。
【0010】
容器は、冷凍及び半冷凍の食品、例えば、アイスクリームやヨーグルトベースの産品を貯蔵することに用いることができる。容器は、スプーンや食品取り出し具を用いることなく、直接食品を容器から消費できるようにする。消費者が片手のみで容器を保持して吸引して食べることにより、アイスクリームが容器の本体から直接消費者の口に運ばれるので、アイスクリームが消費者の手にポタポタ垂れることなく、容器から取り出すことができる。これにより、アイスクリームが床に落ちることが防止される。消費者が容器を床に落とした場合、本体によって食品にごみが混入することが防止される。容器は本体から突出するようなハンドルを含まないので、効率よく包装することができる。
【0011】
固形及び半固形の食品用の容器であって、ピストンを含むものが公知である。例えば、特許文献1に開示された容器は、食品取り出し具において用いられるもので、容器の本体内でピストンを動かして食品を取り出すため、食品取り出し具から供給される大きな力を必要とする。容器は、ユーザが口を容器の開口の周囲に快適にフィットさせることができない程度の大きさである。さらに、アイスクリームが取り出される取り出し口は、テーパ状の壁に設けられた星形の切り欠きを有する。取り出し口は、覆いによって囲まれている。このような構成では、消費者が、容器からアイスクリームを吸引するために効率よく口を取り出し口に当てて隙間をつくらないようにすることが非常に困難であった。また、吸引によって消費者が圧力差をつくりだしても、容器の本体内のピストンを動かすには充分でなかった。
【特許文献1】欧州特許第0995685号公報
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る容器の本体は、細長い形状を有することが好ましい。中空の本体は、略均一な断面部分を有する。消費者の吸引動作に応じて、ピストンが容器のこの部分に沿って動く。
【0013】
本体は、チューブ状で、15mmから40mm、より好適には、15mmから35mm、さらに好適には、20mmから30mmの範囲の内幅を有することが好ましい。本発明の好適な実施形態では、本体は、略円筒状で、その幅が直径として上記の範囲内にある。好適な実施形態では、内径が約25mmである。
【0014】
チューブの内部断面の面積は、好適には、150mm2から1250mm2、より好適には、150mm2から1000mm2、さらに好適には、200mm2から800mm2の範囲内である。これにより、消費者が容器から食品を確実に吸引することができるようになる。また、これにより、容器は、食品を温めて本体内を流れるようにする熱を取り込むのに充分な表面面積を有することとなる。
【0015】
本発明のいくつかの好適な実施形態においては、本体は、細長いチューブ状である。本体の長さは、70mmから300mmの範囲であることが好ましい。容器をアイスクリーム又は冷凍ヨーグルト等の食品に用いた場合、少なくとも食品の一部を溶かして容器から吸引できるようにする必要がある。溶解速度を上げるため、消費者は、容器を両手で保持して身体の熱で食品を溶かす。細長い形状なので、手であたためられる表面の面積が大きい。本体は、熱を食品に伝達して、20度の周辺温度で5秒から3分の間、より好適には、30秒から2分の間、さらに好適には、45秒から90秒の間で食品を食べられるようにすることが好ましい。
【0016】
容器の本体は、ボレアリス(borealis)又はポリプロピレン等の食品の品質を維持するプラスチック材から形成される。あるいは、容器の本体は、ボール紙、プラスチックがコーティングされた紙ベースの材料から形成される。容器の本体につき、材料の選択及び材料の厚みは、冷凍食品に熱が伝達される速度に影響し、従ってどれだけ早く食品が消費できるようにさせられるかに影響する。容器の本体は、0.05mmから1mm、好適には、0.8mm前後の厚さの壁を有することが好ましい。
【0017】
容器は、略剛体である。容器は、通常の使用において、つぶれることなく、ピストンがチューブに沿って動くことができる程度に硬い。容器は、略円形の断面を有することが好ましいが、略楕円形、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、八角形等の他の形状であってもよい。
【0018】
容器は、マウスピースを有することが好ましく、このマウスピースからの吸引により、分室内の食品がマウスピースを介して消費される。マウスピースは、消費者の口と接した際に隙間ができないような形状を有する。マウスピースは人間の口で受け止めるのに好適な形状を有し、例えば、実質的に、円形、楕円形、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、または八角形の断面を有するノズルのような形状を有する。マウスピースは、食品が吸引される本体の一端に設けられ、ピストンとマウスピースとの間の空間により、食品を受け入れる分室が仕切られる。
【0019】
マウスピースは、テーパ状の部分を含むことが好ましい。例えば、マウスピースは、取り出し口に向かって断面積は減少する。取り出し口の断面は、容器の本体の断面よりも小さいことが好ましい。あるいは、マウスピースは、非テーパ形状で、例えば、本体と同様の断面積を有してもよい(図6参照)。取り出し口の断面積は、好適には、75mm2から700mm2、より好適には、175mm2から500mm2、さらに好ましくは、200mm2から300mm2の範囲内であるとよい。取り出し口を形成するマウスピースの壁は、取り出し口が略平面的となるように配置されている。これにより、ユーザが、効率よく取り出し口の周りに隙間をつくらないようにすることができるようになり、引き剥がし式のホイルシール等のシールを取り出し口の周囲に配置することが可能となる。マウスピースは、再び封をすることができるものであってもよく、例えば、マウスピースは、開ポジションと閉ポジションとの間で折り畳めるようにフレキシブルであったり、あるいは、フレキシブルな部分を含む。あるいは、マウスピースは、ヒンジ式のシール部を含んでもよい。
【0020】
ピストンと本体の内部とは、食品が容器からこぼれることを防止するような密封効果が得られるよう配置される。例えば、ピストンをユーザが吸引動作を行っている状態で実質的に自由にチューブ内を動くことができるようにしたときに、ピストンと本体の内面との適合はこの効果を得るのに十分である。あるいは、ピストンは、密封効果を得るために少なくとも一つのシール部を含んでもよい。例えば、シール部は、ピストンの外面に形成された溝に配置される。ピストンは、複数のシール部を備えることが好ましい。シール部は、ピストンの外面に形成された溝に配置されるO‐リング等から構成される。好適な実施の形態においては、ユーザが吸引を止めた場合、ピストンは静止する。これは、ユーザが食品を吸引することを止めたとき、食品が容器から流出しないことを意味する。これにより、食品が床にこぼれ落ちることを防止する。また、食品が容器の底に戻ることも防止するので、食品は、常に開口の近傍にあり、容器の底から食品を吸引する必要がない。
【0021】
容器は、ピストンが容器の本体に沿って動くと、容器の内部を擦り取る(scraping)手段を備えることが好ましい。例えば、ピストンは、少なくとも一つのスクレーパー部を備えてもよい。スクレーパー部は、ピストンの外面に配置され、ピストンが本体内で動くと、本体の内面をこするような、らせんを含む。あるいは、スクレーパー部は、ピストンの外面から伸びる環状部材であってもよい。スクレーパー部は、ピストンの外面に形成された溝内に配置される。スクレーパー部は、フレキシブルであってもよい。本体の内面を擦り取る手段は、ピストンと本体との間を密封し、食品が容器から漏れることを防止する。ピストンは、容器の本体の内面と相互補完的な部分を有することが好ましい。ピストンは、ディスク状の部分を有することが好ましい。ピストンは、また、スカート状の部分を有することが好ましい。例えば、ピストンは、略円筒形で、ディスク及びスカート状の部分が、一端が閉じられて他端が開いた中空の円筒を形成する。スクレーパー部及び/またはシール部は、スカート部分から外側に向かって突出する。スカート部は、フレキシブルであることが好ましい。
【0022】
いくつかの実施形態においては、ピストンは、形状がつけられた上面を有する。例えば、ピストンの上面は、ドーム状、曲面状、あるいは凸面状である。あるいは、上面は、略平面であってもよい。
【0023】
ピストンは、略球状であってもよい。
【0024】
容器は、ピストンが本体内を動くと空気を容器の内部に取り込む空気吸入口を有する。これにより、アイスクリームが容器から吸引されると、ピストン下の空間を空気で満たすことができるようになる。これにより、エアロックが起こることが防止される。例えば、本体は、食品が小分けして入れられる側の端と反対側の端が開口されている。いくつかの実施形態におけるピストンと容器の内壁との間の密封は、液体が容器からこぼれることを防止するのに充分なものであり、従って食品が小分けして入れられる他端側は開いたままでもよい。
【0025】
容器は、容器の内部に空気が流れ込むことを可能にし、液体が、食品が小分けして入れられる側と反対の側の端から漏れることを防止する通気孔を有する。通気孔は、膜または細網を含むことが好ましい。膜または細網は、液体に対しては不浸透性だが、空気を通過させる。例えば、膜または細網は、中空本体の開口に渡って広がるものであってもよい。あるいは、膜または細網は、封止部内またはその上に配置されてもよい。
【0026】
容器は、液体が小分けされて入れられる側とは反対の側の中空本体の端から食品が漏れることを防止する封止部を備えてもよい。例えば、ピストンと内面との密封が、液体が容器からこぼれることを防止するのに充分でない場合、または、ピストンが中空本体から抜け落ちたり妨げになったりする場合に、封止部を備えてもよい。例えば、封止部は、本体と一体に形成され、あるいは、本体から取り外せないように、または取り外し可能に固定された別部材であってもよい。封止部は、空気吸入口または通気孔を有する。
【0027】
封止部は、液体を集める凹部を備えることが好ましい。通気孔は、凹部の底から離れた位置で凹部内に配置されることが好ましい。細網や膜は、封止部の支持部内に配置される。液体が凹部に集められると、細網や膜が液体の水平面上に位置するようになっている。少なくともいくつかの実施形態においては、ピストンと中空本体との間の密封は、少量の液体のみが凹部に集められる場合には充分である。この場合、膜や細網は、液体に対して不浸透性である必要はなく、これは、細網や膜の上に落ちる液体の量は、非常に少なく、ほんのわずかな許容できる範囲の漏れだからである。支持部は、ピストンと略同軸で、細網上に落ちる液体の量を低減する。液体に対して不浸透性の細網や膜が使用された場合は、この点について考慮する必要はない。
【0028】
本発明の他の観点によれば、上述した容器に貯蔵されるアイスクリーム、ヨーグルトベースの産品、または菓子が提供される。
【0029】
本発明の他の観点においては、食品の貯蔵方法は、中空の本体を有する容器であって、この中空本体が少なくとも一端に設けられた開口と、本体内部に配置され、この開口を介して消費者が食品を吸引する動作に応じて本体内部を動くピストンとを有する容器内に食品を貯蔵する。
【0030】
アイスクリームは、−10℃から−30℃の範囲の温度で貯蔵されることが好ましい。容器の本体は、貯蔵温度でも壊れにくい材料から形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、アイスクリーム等の冷凍食品用の容器を示す。容器は、円筒状の本体1から構成される。本体1は、チューブ状の形状を有し、容器内のアイスクリームが吸引される第一の開口3(以下、この開口3をマウスピースと総称する)と、ピストン7によって使用時に閉じられる第二の開口5を有する。本体1の大部分は、略均一な断面を有する。
【0032】
ピストン7は、先端部7aと、先端部7aと連なるスカート部7bとによって形状づけされる、中空な略円筒から構成される。従って、ピストンは一端が閉じられ、他端が開いている。先端部7aは、ドーム状の上面を有することが好ましい。これにより、ピストン7がマウスピース3に近接した際に、実質的に全てのアイスクリームが本体1から押し出されるようになる。あるいは、先端部7aは、略平面でもよい。ピストン7は、実質的に全ての食品が本体から取り出されるようにすることに役立つ。ピストン7なしでは、容器の中央部分にある食品を吸引したとしても、本体1の壁の近傍に食品が残ってしまう。
【0033】
ピストンは、スカート部の外面に形成され、スカート部の外周の周りに延伸する2つの溝9を有する。一つの溝は、先端に向かって延伸し、他の溝は、後端に向かって延伸する。溝9には、それぞれ、フレキシブルなスクレーパー部11が配置される。スクレーパー部11は、それぞれ、環状のワッシャのような部材から構成され、好ましくは、ピストン7が本体1内を動くと本体の内面を擦り取るプラスチック部材から形成されるとよい。スクレーパー部11は、ピストンと略同軸で配置され、スカート7bから略垂直に突出する。
【0034】
スクレーパー部11は、フレキシブルなため、容器の本体1内に押し込まれると弾性的に変形する。スクレーパー部11の弾性力により、スクレーパー部11が本体の内壁と接し続ける。
【0035】
スクレーパー部11の作用は、製作公差と容器の本体1がどの程度変形するかによって決まる。例えば、容器がアイスクリームを小分けして貯蔵することに用いられる場合、製作公差が比較的高く本体が容易には変形しないときは、スクレーパー部11は、液状のアイスクリームが本体1から漏れることを防止する。製作公差が低い場合には、シーリング作用がよく機能せず、多量の液状及び/または半固形のアイスクリームが本体1とピストン7との間を通過してしまう。しかし、後者の場合であっても、スクレーパー部11は、液状のアイスクリームと、固形及び半固形のアイスクリームの大部分を本体の内面からすくい取ってかき出す。
【0036】
チューブの長さは、典型的には、70mmから300mmの範囲内であり、その径は15mmから40mm、好ましくは、およそ20から30mmの範囲内である。径の大きさは、容器の断面を定めるうえで重要である。断面が大きすぎる場合、消費者は、容器からアイスクリームを吸引することができない。本体1の内部断面は、典型的には、1250mm2以下だとアイスクリームを容易に吸引することができ、好適には、150mm2から1250mm2、より好ましくは150mm2から1000mm2、さらに好ましくは200mm2から800mm2の範囲内にあるとよい。また、容器の断面積は、加温処理と関連を有する。本体1の断面積が食品の体積に対して小さければ小さいほど、容器内に入り込む熱にさらされる表面積が大きくなる(以下参照)。さらに、ピストン7と容器の本体1とは、容器からアイスクリームを吸引すること及びピストン7を本体1内で移動させるのに必要となる圧力差が、平均的な人でも容易に得られるように配置されることが必要である。これは、容器の断面積の適切な選択と、ピストン7と本体1とをその間の摩擦が小さくなるように配置することによって達成される。もちろん、吸引を容易とするために摩擦を小さくするような配置と、ピストン7及び本体の内面の間を液状の食品が通過しないようにすることとは、トレードオフの関係にある。
【0037】
第二の開口5は、ピストンと本体との間のシーリングが充分な場合には、外気に対して直接的に開いていてもよい。シーリングが良好でない場合、または、製品が不正に改造されるおそれがあることを考慮した場合は、空気多孔性細網(air porous gauze)や膜が第二の開口5に渡って広がっているようにしてもよい。好ましくは、細網または膜は、液体及び/または半固形の食品に対して不浸透性であるとよい。
【0038】
マウスピース3は、略円形の取り出し口を有するテーパ状のノズルから構成される。マウスピース3は、容器からアイスクリームが吸引されるようにするため、消費者がその口を使って取り出し口の周りを容易にふさぐことができるように構成されている。マウスピース3は、消費者の口により快適にフィットするように取り出し口の断面が本体の断面より小さくなるようにテーパ状になっていることが好ましい。取り出し口の断面は、典型的には、750mm2以下で、好ましくは、75mm2から700mm2、より好ましくは、175mm2から500mm2、さらに好ましくは、200mm2から300mm2の範囲内である。取り出し口は、他の形状を有していてもよく、例えば、その断面が、略楕円形または四角形であってもよい。あるいは、マウスピース3は、省略されていてもよく、この場合は、消費者は、容器の本体1から直接アイスクリームを吸引し、容器は、消費者がその周りを閉じることができるような外寸を有するとよい。
【0039】
容器は、アイスクリーム等の食品を保持し、容器の湾曲した壁の直近のアイスクリームを溶かすために冷蔵庫から取り出された際には、消費者は、チューブを両手で温めてアイスクリームを食べる。アイスクリームの一部を温めて消費者が食べられるようにするまでの時間は、20℃の環境温度で、消費者が保持してから5秒から3分の間であることが好ましい。容器は、溶解を加速するような構成を有し、例えば、薄い壁を有したり、消費者の手に接する面が広い、すなわち、例えば容器が細長い形状を有したり、小さい断面積を有したり、及び/または、容器の材料に熱伝導率がよいものが選択されている。本発明者は、本体1を備える実施の形態においては、その断面積がおよそ800mm2以下だと溶解速度が速いことを見出した。
【0040】
容器の壁の厚みは、典型的には、0.05mmから1mmの範囲内、好ましくは、およそ0.8mmである。容器は、ポリプロピレン、ボレアレス(borealis)等のプラスチック材、ボール紙、プラスチックがコーティングされた紙ベースの基材等のプラスチックがコーティングされた材料、または、アルミニウム等の金属から形成されることが好ましい。チューブは、押し出し成形、射出成形、または、ボール紙若しくは紙の基材のチューブを形成するのに好適な処理により製造される。
【0041】
ピストンは、チューブの一部に沿って動くが、チューブは、その一部の内部形状を実質的に維持するように構成されている。例えば、チューブは、略剛体である。なお、食品は、チューブが使用された際につぶれることを防止することに役立ち、従って、チューブは食品があることにより形状を維持できる程度の剛体である必要がある。典型的には、チューブ自体は、つぶれることが無い程度に充分に硬いとよい。
【0042】
容器は、好ましくは、−10℃から−30℃で貯蔵される。容器は、食品の品質を損なわないようにしながら−30℃の温度にまで冷凍できるプラスチック、例えば、ボレアリスまたはポリプロピレンから形成されることが好ましい。プラスチック材は、不透明なものが好ましいが、透明であっても色つきのものであってもよい。
【0043】
使用時には、容器は冷蔵庫から取り出される。容器のまま、その側面の近傍にあるアイスクリーム等の食品が部分的に溶けるまでの時間を与えてもよい。溶解のプロセスは、熱を加えることによって加速され、例えば、消費者は、両手で容器を保持することによって熱を加える。マウスピース3からシールがはがされる。充分なアイスクリームが溶解した場合、アイスクリームは、本体1内を流れ、消費者は、マウスピース3を介して容器からアイスクリームを吸引することができる。アイスクリームが容器から吸引されると、ピストン7は、容器の本体1内を動き、スクレーパー部11が本体の内面上で引っ張られてアイスクリームをマウスピース3に向けて押し出す。ピストン7の動きにより、容器の食品を貯蔵している空間の体積が減少する。容器の第二の端5は開口しているので、アイスクリームが取り出されると容器内に空気が流入する。これにより、吸引を困難にして最終的にはアイスクリームが取り出されることを困難とするエアロックが生じることが防止される。従って、ユーザは、片手で容器を保持しながら食品を消費することができ、アイスクリームが消費者の手に垂れることはない。
【0044】
図2aから2cは、本発明の第二の実施の形態を示す。容器の構成は第一の実施の形態と同様であるが、ピストンと同軸で2つのスクレーパー部を有する代わりに、ピストン107が外部らせん状スレッド111を有する点が異なり、このスレッド111は、スクレーパー部11と同様のかき出し機能を有する。
【0045】
図3aから3eは、本発明の第三の実施の形態を示す。容器の構成は第一の実施の形態と同様であるが、スクレーパー部11がO‐リングシール213に置換された点が異なり、このO‐リングシール213は、溝209内に配置される。この実施の形態によれば、液状食品がピストン207と本体201の内面との間を通過することを防止するさらに良好なシーリング効果が得られる。好ましくは、O‐リングシールは、自然のまたは合成のゴムから形成される。
【0046】
図4aから4bは、本発明の第四の実施の形態を示す。容器の構成は、第一の実施の形態と同様であるが、マウスピース303が、略四角形の開口を有するようにテーパがかかっている点、ピストン307が溝、スクレーパー部又は別体のシールを有しない点、及び、容器の他端に封止部313を設けた点が異なる。
【0047】
ピストン307は、略平坦な先端部307aと、それに連なるスカート307bとを有し、一端が閉じられ、他端が開口された中空の略円筒を形成するように構成されている。ピストン307は、本体の内面との間でシーリング効果をもたらすような寸法で形成されている。しかしながら、この構成では、少なくとも第一及び第三の実施形態と比べて、液状の食品がピストンと本体の内面との間を通過することを防止する効果が充分でないおそれがある。しかし、ピストンと本体の内面との間の摩擦が小さいため、ピストンが本体内をより自由に動くことができるという利点がある。そこで、封止部313を第二の開口305に配置して、容器から食品が漏れることを防止したり低減するようにした。
【0048】
封止部313は、中空の略円筒から構成され、湾曲した側面を有し、一端が開口され、他端が閉じられており、閉じられた端と側面が本体の内面とピストン307との間を通過した食品を集める食品だめ(sump)を形成する。封止部313は、第二の開口305に配置され、固定または取り外し可能に取り付けられている。例えば、封止部313は、溶接されたり、押入されている。あるいは、封止部313は、本体1と一体に形成されている。
【0049】
封止部313には、空気吸入口315が設けられている。空気吸入口315は、第二の開口305を介して、本体301に空気を取り込む。空気吸入口315は、封止部313の閉じた端に形成された開口から構成される。好ましくは、空気吸入口315は、液状の食品が食品だめに集められても、空気吸入口315から外へ出ないように、あるいは、その量が少量となるように、食品だめの底よりも上に形成されるとよい。空気吸入口315は、好ましくは、凸状部分の上部に形成される。
【0050】
図5aから5iは、本発明の第五の実施の形態を示す。第五の実施の形態は、第四の実施の形態と同様であるが、ピストン407が先端と後端のリム411を有する点が異なり、このリム411は、第一の実施の形態のスクレーパー部11と同様の作用を有する。リム411は、例えば、成形によってピストン407と一体に形成される。ピストン407は、第一の実施の形態と同様に、湾曲した先端部407aを有する。
【0051】
封止部413は、第四の実施の形態の封止部313と同様のものであるが、空気吸入口415が、空気吸入口415に渡って広がる細網または膜419から構成される通気孔を備える点が異なる。好ましくは、細網または通気孔419は、空気を通過させることができるが、食品に対しては不浸透性であるとよい。これにより、本体1に空気が入り込み、エアロックが生じることが防止され、また、アイスクリームが、例えば本体から漏れることを防止する。細網または膜419は、食品だめの底から細網または膜を持ち上げる支持部内に配置される。
【0052】
図6は、第六の実施の形態を示す。第六の実施の形態は、第四の実施の形態と同様であるが、ピストンが略球状のボールから構成される点が異なり、このボールは、好ましくはプラスチック材から形成される。あるいは、ボールは、キャンディやチョコレート等の食べられるものから作られてもよい。封止部513は、本体501と一体に形成されている。封止部513は、空気吸入口515をその閉じられた端に有し、第二の開口505を介して空気が本体501内に流れ込むことを許容する。図示する第六の実施の形態では、マウスピースを備えておらず、従って、食べられるボールを容器から取り出すことができるようになっているが、取り外し可能なマウスピースを使用してもよい。
【0053】
本発明者は、本体1を用いた実施の形態において、本体の断面積が、およそ800mm2以下であると、溶解時間が早く、本体501の周りを消費者が快適に隙間を作らないよう閉じることができ、容器からアイスクリームを吸引することが容易であることを見出した。
【0054】
いつくかの実施の形態によれば、容器からアイスクリームを最初に吸引するために、ピストンを手動で押す必要がある場合がある。しかし、容器からアイスクリームが吸引された後は、ピストンを押す必要はない。
【0055】
本発明の実施の形態に係る構成要素は、それぞれの実施の形態以外に、他の実施の形態においても用いることができる。例えば、第四から第六の実施の形態で用いられた封止部を、他の実施の形態で用いてもよい。
【0056】
マウスピースは、再度封をすることが可能であってもよく、例えば、マウスピースは、開閉フリップ(flip)、ヒンジ蓋を備えていてもよく、容器を閉じたり再度開けることができるようにしてもよい。これにより、消費者は、食品の一部のみを食べ、残りを後で食べるために再度封をすることができる。
【0057】
ピストンは、略固体構造を有することができる。
【0058】
本体の断面は、非円形であってもよく、例えば、実質的に、三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形であってもよい。
【0059】
本体との間にシールを備えるマウスピースとともに本体が使用される場合、マウスピースが、その周りを消費者が確実に隙間をつくらないように閉じることができるように本体と比べて小さい断面積を有する取り出し口を備えるようであれば、本体は広い断面積を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1a】図1aは、本発明の第一の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図1b】図1bは、第一の実施の形態に係るピストンの分解斜視図である。
【図1c】図1cは、図1bのピストンの側面図である。
【図1d】図1dは、フレキシブルワッシャがそのまま取り付けられた状態の図1bのピストンの側面図である。
【図1e】図1eは、図1dのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図2a】図2aは、本発明の第二の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図2b】図2bは、第二の実施の形態に係るピストンの側面図である。
【図2c】図2cは、図2bのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図3a】図3aは、本発明の第三の実施の形態を説明するための部分分解斜視図である。
【図3b】図3bは、第三の実施の形態に係るピストンの分解斜視図である。
【図3c】図3cは、図3bのピストンの側面図である。
【図3d】図3dは、O‐リングがそのまま取り付けられた図3bのピストンの側面図である。
【図3e】図3eは、図3dのピストンの一部を詳細に示す図である。
【図4a】図4aは、本発明の第四の実施の形態を説明するための分解斜視図である。
【図4b】図4bは、図4aの断面図である。
【図5a】図5aは、本発明の第五の実施の形態を説明するための分解斜視図である。
【図5b】図5bは、第五の実施の形態で用いるピストンの斜視図である。
【図5c】図5cは、図5bのピストンの側面図である。
【図5d】図5dは、図5cのピストンの矢線B−Bに沿った断面図である。
【図5e】図5eは、図5bのピストンの上面図である。
【図5f】図5fは、第五の実施の形態で用いる封止部の斜視図である。
【図5g】図5gは、図5fの封止部の側面図である。
【図5h】図5hは、図5g中の封止部の矢線A−Aに沿った断面図である。
【図5i】図5iは図5fの封止部を上から見た平面図である。
【図6】本発明の第六の実施の形態を説明するための断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた中空の本体から構成され、前記本体はその内部にピストンを有し、
前記ピストンが、使用時に、消費者が前記開口を介して食品を吸引した際に前記本体内で動く、ことを特徴とする食品用の容器。
【請求項2】
前記本体が細長い形状を有することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記本体は、チューブ状で、その内幅が15mmから40mm、好適には15mmから35mm、より好適には20mmから30mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記チューブの内部断面積が150mm2から1250mm2、好ましくは150mm2から1000mm2、より好ましくは200mm2から800mm2の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
略剛体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
取り出し口を有するマウスピースを備え、前記マウスピースから吸引することにより、前記取り出し口を介して食品が消費され、
前記マウスピースが、消費者が口を使って前記マウスピースの周りに隙間をつくらないように閉じることができるような形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記マウスピースが、テーパ状の部分を有することを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記ピストンと前記本体の内部とが、食品が容器から漏れないようにするのに充分なシールを提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記本体に沿って前記ピストンが動くと、容器の内部を擦り取る手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記ピストンが、形状づけられた上面を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記ピストンが、略球状であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記ピストンが前記本体内で動くと空気を取り込む空気吸入口を供えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
空気が容器内に入り込むことを可能にするとともに、液体が容器から漏れることを防止する通気孔を備えたことを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記通気孔が、膜または細網を含むことを特徴とする請求項13に記載の容器。
【請求項15】
食品が取り出される側と反対側の前記中空本体の端から液体が漏れることを防止する封止部を備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の容器。
【請求項16】
前記封止部が、液体を集める凹部を有することを特徴とする請求項15に記載の容器。
【請求項17】
アイスクリーム、ヨーグルトベースの食品または菓子を収容することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
食品を貯蔵するための方法であって、少なくとも1つの開口を有する中空の本体を有する容器であって、前記本体が、消費者が前記開口を介して食品を吸引することに応じて前記本体内を動くピストンを備える容器に食品を貯蔵する、ことを特徴とする方法。
【請求項1】
開口が設けられた中空の本体から構成され、前記本体はその内部にピストンを有し、
前記ピストンが、使用時に、消費者が前記開口を介して食品を吸引した際に前記本体内で動く、ことを特徴とする食品用の容器。
【請求項2】
前記本体が細長い形状を有することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記本体は、チューブ状で、その内幅が15mmから40mm、好適には15mmから35mm、より好適には20mmから30mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記チューブの内部断面積が150mm2から1250mm2、好ましくは150mm2から1000mm2、より好ましくは200mm2から800mm2の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
略剛体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
取り出し口を有するマウスピースを備え、前記マウスピースから吸引することにより、前記取り出し口を介して食品が消費され、
前記マウスピースが、消費者が口を使って前記マウスピースの周りに隙間をつくらないように閉じることができるような形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記マウスピースが、テーパ状の部分を有することを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記ピストンと前記本体の内部とが、食品が容器から漏れないようにするのに充分なシールを提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記本体に沿って前記ピストンが動くと、容器の内部を擦り取る手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記ピストンが、形状づけられた上面を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記ピストンが、略球状であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記ピストンが前記本体内で動くと空気を取り込む空気吸入口を供えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
空気が容器内に入り込むことを可能にするとともに、液体が容器から漏れることを防止する通気孔を備えたことを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記通気孔が、膜または細網を含むことを特徴とする請求項13に記載の容器。
【請求項15】
食品が取り出される側と反対側の前記中空本体の端から液体が漏れることを防止する封止部を備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の容器。
【請求項16】
前記封止部が、液体を集める凹部を有することを特徴とする請求項15に記載の容器。
【請求項17】
アイスクリーム、ヨーグルトベースの食品または菓子を収容することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
食品を貯蔵するための方法であって、少なくとも1つの開口を有する中空の本体を有する容器であって、前記本体が、消費者が前記開口を介して食品を吸引することに応じて前記本体内を動くピストンを備える容器に食品を貯蔵する、ことを特徴とする方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図6】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図6】
【公表番号】特表2008−546606(P2008−546606A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517599(P2008−517599)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002326
【国際公開番号】WO2007/000577
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416872)イージー ウィップ アイスクリーム リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002326
【国際公開番号】WO2007/000577
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416872)イージー ウィップ アイスクリーム リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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