説明

食品素材用玄米、これを用いて製造された食品、これが添加された食品

【課題】 食することによって、十分な栄養の摂取と、糖分や脂肪分の分解・除去といった、2つの効果が得られる、理想的な食品素材及び食品を提供すること。
【解決手段】 粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合した粉状又は粒状若しくは液状の食品素材用玄米であり、玄米は粉状化又は粒状化若しくは液状化に際して150℃〜210℃の加熱処理が施されている。また、この食品素材用玄米を用いて製造された食品や、これが添加された食品として提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養学上の効果及び成人病予防の効果が優れた食品素材用玄米の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では現在、白米が主食となっているが、古くは玄米を主食とする歴史が長期にわたって続いていた。しかしながら、経済成長に伴って食文化も高級化し、独特の臭いや硬さを有する玄米が避けられるようになり、主食の座は白米に取って代わってしまった。ところが、糖分や脂肪分の多い食材を多く摂取するようになった結果、糖尿病や心臓病などの成人病及び癌が多発するようになったことで、食生活から健康を見直し、これを維持・増進することの必要性が叫ばれるようになった。
【0003】
そこで昨今着目されているのが、かつて白米に主食の座を奪われた玄米である。玄米には白米を遥かに凌ぐタンパク質、ビタミン、鉄分、ミネラル、カルシウムなどの栄養価が認められており、健康食品として高い資質を備えている。そのため、最近では、特開2003−180276公報に示されるような胚芽玄米を加工した食品や、特開2004−109公報に示される玄米飲料食品などが開発されているが、心臓病や脳疾患といった成人病の引き金となる糖分や脂肪分を分解・除去する効果の点では不十分であった。
【特許文献1】特開2003−180276
【特許文献2】特開2004−109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明では、玄米が持つ高い栄養価はそのままに、食べながらにして体内の糖分や脂肪分を分解・除去することのできる、バランスに優れた理想的な食品素材を提供することを課題として開発された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、如上の課題を解決するための具体的手段として、以下の食品素材用玄米及びこれを用いて製造した食品、これを添加した食品を採用した。
(1)粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合した粉状又は粒状若しくは液状の食品素材用玄米(請求項1)。
(2)コタラヒムブツの発酵エキスを混合した粉状又は粒状若しくは液状の食品素材玄米(請求項2)。
(3)玄米の粉状化又は粒状化若しくは液状化に際して150℃〜210℃の加熱処理が施された請求項1又は請求項2に記載の食品素材用玄米前記玄米(請求項3)。
(4)請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品素材用玄米を用いて製造された食品(請求項4)。
(5)請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品素材用玄米が添加された食品(請求項5)。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る食品素材用玄米、これを用いて製造された食品、これが添加された食品により、玄米の優れた栄養価に加え、体内の糖分や脂肪分が分解・除去できるため、これを食品素材として用いることで、容易に健康の維持・増進が図れるようになった。具体的には以下のとおりである。
(1)玄米の栄養価はそのままに、高い糖分及び脂肪分の分解・除去効果が得られるようになった。
(2)粉状又は粒状若しくは液状のいずれの態様でも提供できるため、用途に応じて素材を使い分けることができる。
(3)コタラヒムブツから抽出した発酵エキスを用いることで、血管や腎臓への負担を軽減できる。
(4)玄米の加工に際して150℃〜210℃で加熱処理することで、長期にわたって品質を維持することができる。
(5)この素材を用いた食品を製造したり、他の食材に添加することで、栄養価が豊富で成人病予防の効果を有する食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、「食品素材用玄米」又は「これを用いて製造された食品」若しくは「これが添加された食品」として実施されることを予定しており、食品素材用玄米の場合はこれを粉状・粒状・液状の形態とすることで、例えば、クッキーやパン、更には、そば、天ぷら、飲料などあらゆる食品の材料として利用することが可能となる。また、これを用いた食品としては、この食品素材用玄米製の又はこの食品素材用玄米入りのクッキーやパン、そば、天ぷら、ハンバーグといった調理品から、ジュース、酒などの飲料、まんじゅうなどの練り食品に至るまで、様々な態様の食品としての実施が予定される。
【0008】
一般的に、玄米には、その胚芽部に粗タンパク、類脂肪、ビタミンA・B1・B2・B6・B12・E、パントテン酸、葉酸、各種ミネラルなど、人の健康に欠かせない栄養素が多く含まれており、また、癌の抑制効果があるといわれるナイアシンが含まれていることが知られている。
【0009】
また、コタラヒムブツは、スリランカ原産の所謂「ハーブ」(薬木)であり、現地の伝承医学であるアーユルヴェーダによれば、血糖値を低下させる効果に加え、脂肪の吸収を抑制する効果があるといわれており、前者はコタラヒムブツに含まれるコタノールやサラシノールという含有成分が、2種類以上の糖を分解するα−グルコシダーゼという酵素の働きを阻害することで可能となり、後者はコタラヒムブツに含まれるポリフェノール類やマンジフェリンによって、腸内の脂肪代謝酵素が阻害されることで可能となる。
【0010】
コタラヒムブツについては、スリランカの医療施設で古くから糖尿病患者に服用されてきた実績があり、2002年にはWHO(世界保健機関)によって、糖分の吸収効果や脂肪分の蓄積を抑制する効果があることが正式に認められた。しかしながら、スリランカ政府によって長年にわたって禁輸措置がとられていたため、コタラヒムブツを健康維持や健康増進のために利用した製品は殆ど存在せず、特に、これを玄米と混合した食品や食品素材とすることについては、十分な栄養摂取と健康阻害物質の除去といった一挙両得の効果があり、従来にない理想的な食品素材といえる。
【実施例】
【0011】
次に、本発明に係る食品素材用玄米、これを用いて製造された食品、これが添加された食品の実施例については、以下のとおりである。
【0012】
実施例1:コタラヒムブツから抽出した発酵エキス、150℃〜210℃の加熱処理を施した玄米粉を混合した食品素材用玄米
本実施例は本発明の請求項1乃至請求項3に関連し、現実の実施状態に最も近い食品素材用玄米の態様である。本実施例では、玄米を粉砕機にかけて粉状化するに際して150℃〜210度に加熱処理して得られた玄米粉と、コタラヒムブツを粉砕機にかけて粉状化した後、これを発酵させることで得られた発酵エキスとを用い、これらを混合することによって所望の食品素材用玄米を製造する。なお、混合するコタラヒムブツの量については必ずしも限定しないが、混合する玄米との重量比1〜10%が適正数値との実験結果が得られている。玄米の加熱処理の温度については、実験では180℃前後が適切との結果が得られている。また、コタラヒムブツの発酵エキスを用いることで、血液中に容易に取り込まれるため、血管や腎臓などへの負担を軽減することができる。
【0013】
実施例2:本発明の食品素材用玄米を用いて製造された食品、本発明の食品素材用玄米が添加された食品
本実施例は本発明の請求項4及び請求項5に関連し、前者では粉状の食品素材用玄米を用いた練り生地に、各種調味料を加えて焼いたクッキーやパン、これをそば粉として打ったそば麺などの利用形態が考えられ、後者では粉状の食品素材用玄米を天ぷら粉に添加して揚げた天ぷら、液状の食品素材用玄米を添加したジュースや酒など、様々の利用形態が予想されるが、これに限定されず、それ以外の様々の態様での利用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
極めて栄養価の高い玄米と、糖分や脂肪分の分解・除去作用の高いコタラヒムブツを混合したことで、食しながらにして、十分な栄養を摂取と、体内の健康阻害物質の除去といった、2つの効果を得ることが可能である。そのため、これを食品素材用玄米として食品に用いたり、他の食品に添加することで、栄養士に拠らずとも、健康を維持・促進できる食生活が実現できるなど、食品分野全般で利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状又は粒状若しくは液状のコタラヒムブツを混合したことを特徴とする粉状又は粒状若しくは液状の食品素材用玄米。
【請求項2】
コタラヒムブツの発酵エキスを混合したことを特徴とする粉状又は粒状若しくは液状の食品素材用玄米。
【請求項3】
玄米の粉状化又は粒状化若しくは液状化に際して150℃〜210℃の加熱処理が施されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品素材用玄米。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品素材用玄米を用いて製造された食品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品素材用玄米が添加された食品。