食器ディスペンサ
【課題】積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能にする。
【解決手段】積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する最下食器D1を保持する保持状態および該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構30を備える。また食器ディスペンサMは、食器保持機構30を、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構50を備える。規制機構50は、食器保持機構30に連結された歯車部材51と、食器保持機構30の保持状態および放出状態の夫々において、歯車部材51に係脱可能に係止して該歯車部材51の姿勢変位を規制する係止部材52と、係止部材52に連係された取出しレバー53とを備える。
【解決手段】積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する最下食器D1を保持する保持状態および該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構30を備える。また食器ディスペンサMは、食器保持機構30を、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構50を備える。規制機構50は、食器保持機構30に連結された歯車部材51と、食器保持機構30の保持状態および放出状態の夫々において、歯車部材51に係脱可能に係止して該歯車部材51の姿勢変位を規制する係止部材52と、係止部材52に連係された取出しレバー53とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
同じ食器を多数所有するレストランやホテル等では、これら食器を食器棚内や調理台上に平積み状態で積み重ねて保管したり一時的に載せておくことが多い。従って、平積み状態で積み重ねた食器を使用する場合は、一番上の食器から順次使用し、使用した食器は、積み重ねられている食器の一番上に順次積み重ねる。なお、昇降可能な食器載置台を備えて、積み重ねた食器の重さに応じて該食器載置台が沈降するよう構成された食器ディスペンサも実施に供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−103840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平積み状態で積み重ねられた食器の全てを使用することが少ない状況では、上側に積まれている食器は使用頻度が高く、下側に積まれている食器は使用頻度が低くなる。このため、上側に積まれている食器ほど汚れやキズの付着等による劣化が早まり、同じ食器中において寿命にばらつきが発生する問題がある。また、下側に積まれている食器は、長期間に亘って使用しないと埃やゴミ等が付着してしまうから、使用前に再洗浄しなければならない問題がある。また、特許文献1に開示の食器ディスペンサでは、食器が高く積み重ねられることを抑えることはできるものの、上に積まれている食器から順次使用する態様は前記平積み状態で積み重ねられた食器の場合と同じであるから、前述した問題は何ら解決されるものではない。
【0005】
そこで本願は、積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能に構成した食器ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を保持する保持状態と、該最下食器を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構と、
前記食器保持機構を、前記最下食器の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、上下に積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を保持する保持状態および該最下食器を下方へ放出する放出状態に変位可能な食器保持機構を、規制機構により、最下食器の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器の保持状態から放出状態への変位を許容するので、積み重ねられた食器を下から順次取り出して使用することが可能である。すなわち、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取り出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記食器保持機構は、
前記最下食器の側方に位置して水平軸回りに回転可能に配設され、複数の食器保持部が外周の周方向へ配列された第1食器保持体と、
前記最下食器を挟んで前記第1食器保持体と相対して位置して、水平軸回りに該第1食器保持体と反対に同期回転可能に配設され、複数の食器保持部が外周の周方向へ配列された第2食器保持体とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、食器保持機構が、最下食器を挟んで相対して配設された第1食器保持体および第2食器保持体を備えているので、これら第1食器保持体および第2食器保持体を同期回転させることで、積み重ねられた食器のうちの最下食器を適切に放出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記規制機構は、
前記食器保持機構に連結された第1規制部と、
前記食器保持機構の前記保持状態および前記放出状態の夫々において、前記第1規制部に係脱可能に係止して該第1規制部の姿勢変位を規制する第2規制部と、
前記第2規制部に連係され、前記食器保持機構の前記保持状態において前記第1規制部と該第2規制部との係止を解除可能な操作部と、
前記第2規制部に連係され、前記食器保持機構の前記放出状態において前記第1規制部と該第2規制部との係止を解除可能な解除部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、操作部を操作することで第1規制部と第2規制部との係止が解除され、食器保持機構を最下食器の保持状態から放出状態に動作させ得るので、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を操作部の操作だけで簡単かつ容易に取出すことが可能である。また、解除部により第1規制部と第2規制部との係止を解除することで、食器保持機構を放出状態から保持状態へ復帰させ得るので、積み見重ねられた食器の最も下に位置する食器を食器保持機構で自動的に保持させることが可能である。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器の直下に位置して放出された該最下食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部を備えることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、食器保持機構から放出された最下食器が食器取出し部で受け止められるので、放出された該食器が破損することを好適に防止し得る。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器の直下に位置して放出された該最下食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部に設けられ、該食器取出し部の前記待機位置において前記解除部を前記第1規制部と該第2規制部との係止が解除するよう動作させる当接部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、食器保持機構から放出された最下食器が食器取出し部で受け止められるので、放出された該食器が破損することを好適に防止し得る。また、食器取出し部が待機位置に姿勢変位する際に第1規制部と第2規制部との係止が解除するので、食器保持機構において次の食器を最下食器として好適に保持させることができ、食器の取出し作業の簡易化を図り得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る食器ディスペンサによれば、積み重ねられた食器を下から順次取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す左側断面図である。
【図2】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す正面図である。
【図3】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す背面図である。
【図4】実施例の食器ディスペンサの全体構成を概略的に示す正面図である。
【図5】食器保持部の食器保持機構における食器保持体を、食器を保持した状態で示す概略斜視図である。
【図6】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器の保持状態に停止させた状態を示している。
【図7】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器のフリー状態とした状態を示している。
【図8】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器の放出状態に停止させた状態を示している。
【図9】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、最下食器の保持状態において取出しレバーを操作した状態を示し、(b)は、最下食器が食器取出し部に受け止められると共に、食器保持機構が放出状態となった状態を示している。
【図10】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、食器取出し部が取出し位置へ変位すると共に、規制機構により食器保持機構が放出状態にロックされて次の食器が食器保持体に到来することを示し、(b)は、食器取出し部が解除バーに当接した状態を示している。
【図11】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、食器取出し部が解除バーを押し上げてロックが解除されて、食器保持機構が再び保持状態となって次の食器を最下食器として保持している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る食器ディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、図4において、食器が積み重ねられる方向を食器ディスペンサの上下方向、食器が取り出される方向を食器ディスペンサの前側とし、前側から見た正面左側を食器ディスペンサの左側、正面右側を食器ディスペンサの右側とする。なお実施例では、図1に示すように、上に開口して上縁部外径が最も大きく、底部に向かうにつれて徐々に小さくなる所謂すり鉢形状をなす食器を例示するが、積み重ね可能でかつ外面に食器保持機構の食器保持体により保持可能な部分を有するものであれば、食器の形状はこれに限定されない。
【実施例】
【0014】
図4は、実施例の食器ディスペンサMを、積み重ねた食器Dを保持した状態で示す正面図である。実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム10と、このフレーム10の上部に配設された食器保持機構30と、該フレーム10内において食器保持機構30の下側に配設された食器取出し部45とを備えている。食器Dは食器保持機構30に対して上方から順次載置され、積み重ねられた食器Dは、下から1つずつ食器取出し部45へ放出されて、該食器取出し部45から取出し得るようになっている。
【0015】
フレーム10は、図1〜図3に示すように、左右に離間して相対する1対の左縦壁部11および右縦壁部12と、両縦壁部11,12の上端間に水平に配設された上壁部13と、両縦壁部11,12の前端間に垂直に配設された前壁部29とを備えており、正面から見て倒伏コ字型を呈している。左縦壁部11および右縦壁部12には、食器保持機構30における第1回転軸33の軸方向端部を支持する第1軸受部材14と、該食器保持機構30における第2回転軸34の軸方向端部を支持する第2軸受部材15と、食器取出し部45を支持する支持軸21の軸方向端部を支持する第3軸受部材16とが設けられている。右縦壁部12には、食器保持機構30における第1中間ギア37を支持する第1支軸17および第2中間ギア38を支持する第2支軸18が配設されている。また、右縦壁部12の前側上部には、規制機構50が配設されている。上壁部13には、積み重ねられた食器Dを通過を許容する円形の開口部19が形成されていると共に、該開口部19の周囲には、4本の棒状の食器ガイド20が垂直に立設され、積み重ねられた食器Dを側方から支持するようになっている。
【0016】
食器保持機構30は、図1〜図3および図5に示すように、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する食器(以降「最下食器D1」という)を保持する保持状態と、該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能に構成されている。すなわち食器保持機構30は、最下食器D1の前側に位置して水平軸回りに回転可能に配設された第1食器保持体31と、前記最下食器D1を挟んで前記第1食器保持体31と相対するよう該最下食器D1の後側に位置して、水平軸回りに回転可能に配設された第2食器保持体32とを備えている。第1食器保持体31は、前記左縦壁部11および右縦壁部12に配設された第1軸受部材14,14に両端が支持されてフレーム10の前側上部に左右水平に配設された第1回転軸33が、該第1食器保持体31の軸方向に貫通することで該第1回転軸33に回転不能に固定され、第2食器保持体32は、前記左縦壁部11および右縦壁部12に配設された第2軸受部材15,15に両端が支持されてフレーム10の後側上部に左右水平に配設された第2回転軸34が、該第2食器保持体32の軸方向に貫通することで該第2回転軸34に回転不能に固定されている。なお、第1回転軸33および第2回転軸34は短手方向での断面形状が六角形をなしており、第1食器保持体31および第2食器保持体32は、各々が配設された第1回転軸33および第2回転軸34に対して好適に回り止めが図られている。
【0017】
前記第1回転軸33の右縦壁部12側の端部には平歯車状の第1ギア35が配設され、前記第2回転軸34の右縦壁部12側の端部には、平歯車状で前記第1ギア35と同径・同一歯数の第2ギア36が配設されている。右縦壁部12に配設した第1支軸17には、前記第1ギア35と噛合する平歯車状の第1中間ギア37が回転自在に配設されると共に、右縦壁部12に配設した第2支軸18には、平歯車状で前記第1中間ギア37と同径・同一歯数の第2中間ギア38が、該第1中間ギア37および前記第2ギア36に夫々噛合した状態で配設されている。従って、第1回転軸33に配設した第1食器保持体31と第2回転軸34に配設した第2食器保持体32とは、前後に離間することで食器Dの保持空間を確保した状態で配置され、第1食器保持体31は前方へ回転すると共に第2食器保持体32は反対の後方へ同期回転可能となっている。なお右縦面部12には、図1〜図3に示すように、第2中間ギア38に噛合する第1ロータリーダンパ39が設けられている。この第1ロータリーダンパ39は、一方向への回転軸の回転時には抵抗が発生すると共に他方向への該回転軸の回転時にはフリー回転となり、前記食器保持機構30が最下食器D1の保持状態から放出状態への姿勢変位時には抵抗が発生するように配設されている。従って食器保持機構30は、保持状態から放出状態へ低速で変位して最下食器D1をゆっくりと放出する。
【0018】
第1食器保持体31および第2食器保持体32は、同一形状に形成されたもので、左右方向に長い略円柱状で、左右の両端部が最も太く左右中央部が最も細い小鼓型に形成されたブロック体であり、特に食器Dとの接触時に滑り難いシリコンゴム等を材質とする。そして、第1食器保持体31および第2食器保持体32の外周面には、軸方向(左右方向)に凹湾曲状に延在する食器保持部40が、周方向へ所要間隔(実施例では60度)毎に複数個(実施例では6個)設けられている。凹湾曲状をなす前記各食器保持部40は、食器Dにおける上開口縁部の外形形状に合致するようになっている。第1食器保持体31および第2食器保持体32は、後述する規制機構50により、互いの食器保持部40を相対させ、積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を保持する保持状態と、適宜回転して該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに回転して変位する。
【0019】
食器取出し部45は、図1〜図3および図9に示すように、食器保持機構30から下方へ放出される前記最下食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部46と、この食器受部46の後側に左右水平に延在するように設けられて、前記支持軸21の挿通を許容する円筒状の支持筒部47とを備えている。食器取出し部45は、支持筒部47に貫通させた前記支持軸21を、フレーム10の左縦壁部11および右縦壁部12に配設した前記第3軸受部材16,16に支持することで、左右水平に支持された該支持軸21に枢支された状態でフレーム10に取付けられている。そして食器取出し部45は、食器受部46が水平前方へ延出し、最下食器D1の直下に位置して放出された該最下食器D1を受け入れ可能な待機位置(図1〜図3参照)と、食器受部46が前下がり(例えば水平に対して45度程度)に傾斜し、該食器受部46に受け入れた該最下食器D1の取出しを可能とする取出し位置(図10参照)とに姿勢変位可能となっている。なお、前記食器受部46には、図9等に示すように、温度調整手段としてのヒータ48が配設されており、該食器受部46に受け入れた食器Dを温め得るようになっている。
【0020】
前記支持軸21には、図1〜図3に示すように、フレーム10および食器取出し部45に夫々アーム部が係止された捻りバネ22が、常には食器取出し部45を取出し位置側から待機位置側へ付勢した状態で配設されている。この捻りバネ22の付勢力は、食器受部46に食器Dが受け入れられていない場合に、食器取出し部45を待機位置に上昇させて該待機位置に保持すると共に、食器受部46に食器Dが受け入れられている場合に、食器取出し部45を取出し位置に降下して該取出し位置に保持するのを許容する強さに設定されている。
【0021】
また前記支持軸21は、図3に示すように、該支持軸21に固定した作動ギア24により、フレーム10に固定した第2ロータリーダンパ23と連係している。この第2ロータリーダンパ23は、一方向への回転軸の回転時には抵抗が発生すると共に他方向への該回転軸の回転時にはフリー回転となるようになっており、前記食器取出し部45の待機位置から取出し位置への姿勢変位に対しては抵抗が発生し、該食器取出し部45の取出し位置から待機位置への姿勢変位に対してはフリー回転するように取付けられている。従って食器取出し部45は、食器Dを受け入れた食器受部46は待機位置から取出し位置へゆっくり姿勢変位し、取出し位置から待機位置へは前記捻りバネ22の付勢力により抵抗なく姿勢変位する。
【0022】
規制機構50は、図1〜図3および図6〜図8に示すように、前記食器保持機構30を、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位および放出状態から保持状態への復帰を許容するものである。この規制機構50は、食器保持機構30に連結された歯車部材(第1規制部)51と、食器保持機構30の保持状態および放出状態の夫々において歯車部材51に係脱可能に係止して、該歯車部材51の姿勢変位を規制する係止部材(第2規制部)52とを備えている。また規制機構50は、係止部材52に連係されて、食器保持機構30の最下食器D1の保持状態において歯車部材51と該係止部材52との係止を解除可能な取出しレバー(操作部)53と、係止部材52に連係されて、食器保持機構30の最下食器D1の放出状態において歯車部材51と該係止部材52との係止を解除可能な解除部54とを備えている。
【0023】
歯車部材51は、前記第1回転軸33の右端側において前記第1ギア35に隣接した部位で、第1回転軸33に外装されて貫通した該第1回転軸33に回転不能に固定されており、前記第1食器保持体31と同方向へ同期回転するようになっている。この歯車部材51は、端面形状が略六角形をなす板状部材であって、外周の各突角部には、径方向外方へ突出した爪部55が一体的に形成されている。各爪部55は、第1食器保持体31と同じ方向に回転する歯車部材51の回転方向前方を指向する係止面55Aが設けられている。すなわち係止面55Aは、第1回転軸33の真上に到来した状態においては食器ディスペンサMの後側を指向すると共に、該第1回転軸33の後方においては食器ディスペンサMの下側を指向する。
【0024】
係止部材52は、図6〜図8に示すように、右縦壁部12において前記第1回転軸33を支持する第1軸受部材14の後上方に水平に設けた第1支持ピン25に揺動自在に配設され、該第1支持ピン25が貫通する支持孔59が設けられた支点部56で略90度に曲がった略L字形を呈する板状部材である。係止部材52は、支点部56から前方へ略水平に延出する第1アーム部57と、該支点部56から略垂直下方へ延出する第2アーム部58とを備え、第1アーム部57の先端側が上下方向(第2アーム部58の先端側が前後方向)へ変位するよう前記第1支持ピン25に揺動自在に配設されている。すなわち係止部材52は、第1アーム部57が水平前方へ延出すると共に第2アーム部58が垂直に延出する第1係止姿勢(図6参照)と、図7において反時計方向へ揺動して第1アーム部57が前上がり状に延出すると共に第2アーム部58が前下がり状に延出する第2係止姿勢(図7、図8参照)との間で揺動可能となっている。第1アーム部57の前後中間部分には、取出しレバー53との係合に供される連結孔60が、前後に延在すると共に厚み方向に貫通した長孔状に形成されている。また、第2アーム部58の後端における上下中間部分には、解除部54のストッパ70が上方から係脱可能に係止する被係止部61が、上方を指向する段状に形成されている。更に、第2アーム部58の後端における被係止部61の上方には、上に行くにつれて前方へ変位する傾斜部62が設けられている。
【0025】
前記係止部材52には、前記第1アーム部57の先端部に、下方へ突出すると共に前側を指向する第1係止爪部63が一体に形成されている。この第1係止爪部63は、係止部材52の前記第1係止姿勢(図6参照)において、前記歯車部材51の爪部55の係止面55Aに後側から当接する第1係止面63Aを備えている。また係止部材52は、前記第2アーム部58の先端部に、前側へ突出すると共に上方を指向する第2係止爪部64が一体に形成されている。この第2係止爪部64は、係止部材52の前記第2係止姿勢において(図8参照)、前記歯車部材51の爪部55の係止面55Aに下方から当接する第2係止面64Aを備えている。
【0026】
取出しレバー53は、図6〜図8に示すように、前記係止部材52を前記第1係止姿勢から第2係止姿勢へ姿勢変位させて、該係止部材52と前記歯車部材51との係止を解除させ、食器保持機構30で保持されていた最下食器D1を前記食器取出し部45に向けて放出させるきっかけを発現する部材である。この取出しレバー53は、前後方向に延在する棒状部材であり、前後方向の中間部分には、前記第1回転軸33の上方において左縦壁部11と右縦壁部12との間に水平に架設されたシャフト26に係合する支持孔65が設けられている。そして取出しレバー53は、支持孔65から前側部分が、前記前壁部29から前方へ延出して手で把持し得る把持部66となっており、該支持孔65から後側部分が作用部67となっている。作用部67の後端部には、前記係止部材52の連結孔60に遊嵌状態で挿通される連結ピン68が設けられている。これにより、取出しレバー53が水平となっている非操作状態においては、係止部材52が前記第1係止姿勢に保持され(図6参照)、把持部66が下方へ変位して取出しレバー53が前下がりとなった操作状態においては、係止部材52が前記第2係止姿勢に保持される(図7、図8参照)。
【0027】
解除部54は、図6〜図8に示すように、前記係止部材52における第2アーム部58の後方において右縦壁部12に配設されたストッパ70と、該ストッパ70を揺動変位させる解除バー71とを備えている。ストッパ70は、右縦壁部12に配設した第2支持ピン27に揺動自在に配設されて前方へ延出したフラップ状部材であり、前端に係止端73が設けられた係止部72と、該係止部72の後側に設けられて前記第2支持ピン27が挿通する支持孔が設けられた支持部74とから構成されている。また、係止部72の前端側には、前記解除バー71の挿通を許容する貫通孔75が形成されている。従ってストッパ70は、前記第2支持ピン27を中心として係止部72が揺動変位することで、係止端73が昇降移動するようになっている。
【0028】
解除バー71は、図6〜図8に示すように、右縦壁部12に設けた略L形に形成されたステー28に垂直に設けた支持筒部28Aに貫通支持され、垂直姿勢で昇降移動が可能に配設されている。そして解除バー71は、前記食器取出し部45の食器受部46における右前側に延出形成された当接部49の上面に、該解除バー71の下端71Aが当接する関係となっている。すなわち解除バー71は、食器取出し部45が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に該待機位置へ到来する直前において前記当接部49と当接し、該食器取出し部45の待機位置への姿勢変位に追従して押し上げられる。また解除バー71は、上下方向の中間部分に、前記ストッパ70の貫通孔75の開口サイズより大きく形成された突起76が設けられている。従って解除バー71は、前記突起76がストッパ70の下側に位置した状態で該ストッパ70の貫通孔75に貫通した状態に配設されており、該解除バー71が上昇することで突起76がストッパ70に当接し、該ストッパ70を上方へ押し上げ得るように構成されている。
【0029】
このような解除部54は、前記係止部材52の第1係止姿勢において、ストッパ70の係止端73が該係止部材52の第2アーム部58における傾斜部62に位置するようになっており、該係止部材52が第1係止姿勢から第2係止姿勢に姿勢変位する際には、ストッパ70の係止端73が前記傾斜部62に当接しながら該係止部材52の姿勢変位を許容する(図6参照)。そして解除部54は、係止部材52が第2係止姿勢へ姿勢変位した際に、ストッパ70の係止端73が該係止部材52の前記被係止部61に係止するようになり、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢へ姿勢変位するのを規制して、該係止部材52を該第2係止姿勢に保持する(図7、図8参照)。一方、解除部54は、ストッパ70が係止部材52を第2係止姿勢に保持している状態において、前記食器取出し部45の当接部49との当接により解除バー71が上昇した場合には、該解除バー71の突起76がストッパ70を上方へ押し上げることで、該ストッパ70の係止端73と係止部材52の被係止部61との係止を解除し、該係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢へ姿勢変位することを許容する(図6参照)。
【0030】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の食器ディスペンサMの作用につき、図9〜図11を引用して説明する。
【0031】
先ず、図9(a)に示すように、取出しレバー53の非操作状態では、係止部材52が第1係止姿勢となって該係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の爪部55とが第1回転軸33の上方で係止することで、該第1回転軸33の後方側への回転が規制される。これにより、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32が保持状態にロックされ、積み上げられた食器Dにおける最下食器D1が保持される。また、食器取出し部45は、待機位置に保持されて、食器受部46が最下食器D1の真下に位置している。
【0032】
図9(a)の状態から、取出しレバー53の把持部66を下方へ押下げて該取出しレバー53を操作状態に姿勢変位させると、図9(b)に示すように、取出しレバー53の姿勢変位に連動して係止部材52が第1係止姿勢から第2係止姿勢へ姿勢変位し、係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の爪部55との係止が解除されて、食器保持機構30に対するロックが解除される。これにより食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32は、フリー状態となった該第1食器保持体31が後回りに回転すると共に該第2食器保持体32が前回りに同期回転し、食器保持部40,40で保持していた最下食器D1を、待機位置に保持されている食器取出し部45の食器受部46に向けて放出する。そして、図7および図8に示したように、最下食器D1を下方へ放出すると同時に、第2係止姿勢に姿勢変位した係止部材52の第2係止爪部64と歯車部材51の爪部55とが第1回転軸33の後方で係止し、歯車部材51が再びロックされる。これにより、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32が放出状態に保持され、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32の上縁には次の食器Dが載置された状態となる。
【0033】
食器取出し部45の食器受部46に最下食器D1が受け入れられると、該食器取出し部45は、図10(a)に示すように、該食器Dの重さにより待機位置から取出し位置に向けて姿勢変位する。この際に、食器取出し部45の解除バー71に対する押し上げが解除され、該解除バー71が下方へ移動してストッパ70が下方へ変位するので、該ストッパ70の係止端73が該係止部材52の被係止部61に係止して該係止部材52が第2係止姿勢に保持される。これにより、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢に変位することが規制されるので、食器取出し部45の姿勢変位中に食器保持機構30が誤作動することが防止される。なお、食器受部46がヒータ48により加熱されているので、該食器受部46に受け入れられた食器Dが温められる。
【0034】
食器取出し部45は、取出し位置において食器Dが取り出されると、再び取出し位置から待機位置に向けて姿勢変位する。この姿勢変位時に、食器取出し部45が待機位置に戻る直前において、図10(b)に示すように、食器受部46に設けた前記当接部49が、降下していた解除バー71の下端71Aに当接する。そして、当接部49が解除バー71の下端71Aに当接した状態で食器取出し部45が待機位置へ移動する際に、食器受部46に設けた当接部49が解除バー71を押し上げるから、これに連動してストッパ70が上方へ変位し、該ストッパ70の係止端73と係止部材52の被係止部61との係止が解除される。これにより、図11に示すように、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢に向けて姿勢変位するようになり、この姿勢変位中に第2係止爪部64と爪部55との係止が解除されて、歯車部材51のロックが瞬間的に解除される。従って、食器保持機構30の第1食器保持体31が後回りに回転すると共に第2食器保持体32が前回りに回転することが許容され、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32は、次の食器保持部40,40で次の最下食器D1を再び保持するようになる。そして、食器保持機構30が再び最下食器D1の保持状態となると同時に、第1係止姿勢に姿勢変位した係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の次の爪部55とが第1回転軸33の上方で係止し、歯車部材51がロックされることで食器保持機構30は最下食器D1の保持状態となる。
【0035】
従って、実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する最下食器D1を保持する保持状態と、該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構30を、規制機構50により、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位を許容するよう構成したことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取り出して使用することが可能である。従って、上から順次積み重ねられた食器Dを下から順次取り出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0036】
そして、実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持機構30が最下食器D1を挟んで相対して配設された第1食器保持体31および第2食器保持体32を備えているので、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32を同期回転させることで、積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を適切に放出することができる。また、放出された最下食器D1を受け止める食器取出し部45を備えているので、食器保持機構30から放出された食器Dが該食器取出し部45の食器受部46で適切に受け止められ、食器Dが破損することを防止し得る。しかも、食器取出し部45の食器受部46にヒータ48を備えているので、該食器取出し部45から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0037】
更に、実施例の食器ディスペンサMでは、取出しレバー53を操作することで、食器保持機構30の作動により積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を1つだけ取出すことができ、該取出しレバー53の操作だけで食器Dの取出しを簡易かつ確実に行なうことができる。また、食器取出し部45に当接部49を設けて、該食器取出し部45が待機位置に姿勢変位する際に該当接部49を解除バー71の下端71Aに当接するよう構成したので、該食器取出し部45が待機位置へ姿勢変位するに際して係止部材52と歯車部材51との係止かせ解除され、積み重ねられた食器Dの最も下に位置する次の食器Dを下側食器D1として食器保持機構30へ自動的に保持させることができる。
【0038】
なお、実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32の配設間隔を調整することで、様々なサイズの食器Dの保持が可能であり、第1食器保持体31および第2食器保持体32の各食器保持部40の形状を変更することで様々な形状の食器Dの保持が可能である。
【0039】
(変更例)
(1)実施例では、食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体が回動式を例示したが、第1食器保持体および第2食器保持体は、最下食器を挟んで相対して配設されて、互いにスライド変位または旋回変位しながら近接・離間するタイプであってもよい。
(2)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、食器保持部が6個に限定されるものではなく、5個以下または7個以上であってもよい。
(3)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、ギアにより連係されるものに限らず、チェンやタイミングベルト等で連係されるものであってもよい。
(4)規制機構は、食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体を最下食器の保持状態および放出状態の両状態で停止保持し得るものであれば、実施例の回動式に限定されず、スライド式等であってもよい。
(5)食器保持機構は、モータやアクチュエータ等の動力により作動するものであってもよい。
(6)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、チェンおよびスプロケット形態や、タイミングベルトおよびベルト車形態等であってもよい。
(7)食器取出し部に配設された温度調整手段は、ヒータに限定されず、食器を冷却するクーラーであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
21 食器保持部,30 食器保持機構,31 第1食器保持体,32 第2食器保持体,
45 食器取出し部,49 当接部,50 規制機構,51 歯車部材(第1規制部),
52 係止部材(第2規制部),53 取出しレバー(操作部),54 解除部,D 食器,
D1 最下食器
【技術分野】
【0001】
この発明は、積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
同じ食器を多数所有するレストランやホテル等では、これら食器を食器棚内や調理台上に平積み状態で積み重ねて保管したり一時的に載せておくことが多い。従って、平積み状態で積み重ねた食器を使用する場合は、一番上の食器から順次使用し、使用した食器は、積み重ねられている食器の一番上に順次積み重ねる。なお、昇降可能な食器載置台を備えて、積み重ねた食器の重さに応じて該食器載置台が沈降するよう構成された食器ディスペンサも実施に供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−103840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平積み状態で積み重ねられた食器の全てを使用することが少ない状況では、上側に積まれている食器は使用頻度が高く、下側に積まれている食器は使用頻度が低くなる。このため、上側に積まれている食器ほど汚れやキズの付着等による劣化が早まり、同じ食器中において寿命にばらつきが発生する問題がある。また、下側に積まれている食器は、長期間に亘って使用しないと埃やゴミ等が付着してしまうから、使用前に再洗浄しなければならない問題がある。また、特許文献1に開示の食器ディスペンサでは、食器が高く積み重ねられることを抑えることはできるものの、上に積まれている食器から順次使用する態様は前記平積み状態で積み重ねられた食器の場合と同じであるから、前述した問題は何ら解決されるものではない。
【0005】
そこで本願は、積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能に構成した食器ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を保持する保持状態と、該最下食器を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構と、
前記食器保持機構を、前記最下食器の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、上下に積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を保持する保持状態および該最下食器を下方へ放出する放出状態に変位可能な食器保持機構を、規制機構により、最下食器の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器の保持状態から放出状態への変位を許容するので、積み重ねられた食器を下から順次取り出して使用することが可能である。すなわち、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取り出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記食器保持機構は、
前記最下食器の側方に位置して水平軸回りに回転可能に配設され、複数の食器保持部が外周の周方向へ配列された第1食器保持体と、
前記最下食器を挟んで前記第1食器保持体と相対して位置して、水平軸回りに該第1食器保持体と反対に同期回転可能に配設され、複数の食器保持部が外周の周方向へ配列された第2食器保持体とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、食器保持機構が、最下食器を挟んで相対して配設された第1食器保持体および第2食器保持体を備えているので、これら第1食器保持体および第2食器保持体を同期回転させることで、積み重ねられた食器のうちの最下食器を適切に放出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記規制機構は、
前記食器保持機構に連結された第1規制部と、
前記食器保持機構の前記保持状態および前記放出状態の夫々において、前記第1規制部に係脱可能に係止して該第1規制部の姿勢変位を規制する第2規制部と、
前記第2規制部に連係され、前記食器保持機構の前記保持状態において前記第1規制部と該第2規制部との係止を解除可能な操作部と、
前記第2規制部に連係され、前記食器保持機構の前記放出状態において前記第1規制部と該第2規制部との係止を解除可能な解除部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、操作部を操作することで第1規制部と第2規制部との係止が解除され、食器保持機構を最下食器の保持状態から放出状態に動作させ得るので、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する最下食器を操作部の操作だけで簡単かつ容易に取出すことが可能である。また、解除部により第1規制部と第2規制部との係止を解除することで、食器保持機構を放出状態から保持状態へ復帰させ得るので、積み見重ねられた食器の最も下に位置する食器を食器保持機構で自動的に保持させることが可能である。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器の直下に位置して放出された該最下食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部を備えることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、食器保持機構から放出された最下食器が食器取出し部で受け止められるので、放出された該食器が破損することを好適に防止し得る。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器の直下に位置して放出された該最下食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部に設けられ、該食器取出し部の前記待機位置において前記解除部を前記第1規制部と該第2規制部との係止が解除するよう動作させる当接部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、食器保持機構から放出された最下食器が食器取出し部で受け止められるので、放出された該食器が破損することを好適に防止し得る。また、食器取出し部が待機位置に姿勢変位する際に第1規制部と第2規制部との係止が解除するので、食器保持機構において次の食器を最下食器として好適に保持させることができ、食器の取出し作業の簡易化を図り得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る食器ディスペンサによれば、積み重ねられた食器を下から順次取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す左側断面図である。
【図2】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す正面図である。
【図3】実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および規制機構を概略的に示す背面図である。
【図4】実施例の食器ディスペンサの全体構成を概略的に示す正面図である。
【図5】食器保持部の食器保持機構における食器保持体を、食器を保持した状態で示す概略斜視図である。
【図6】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器の保持状態に停止させた状態を示している。
【図7】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器のフリー状態とした状態を示している。
【図8】規制機構の構成を示す説明図であって、食器保持機構を食器の放出状態に停止させた状態を示している。
【図9】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、最下食器の保持状態において取出しレバーを操作した状態を示し、(b)は、最下食器が食器取出し部に受け止められると共に、食器保持機構が放出状態となった状態を示している。
【図10】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、食器取出し部が取出し位置へ変位すると共に、規制機構により食器保持機構が放出状態にロックされて次の食器が食器保持体に到来することを示し、(b)は、食器取出し部が解除バーに当接した状態を示している。
【図11】実施例の食器ディスペンサの動作図であって、食器取出し部が解除バーを押し上げてロックが解除されて、食器保持機構が再び保持状態となって次の食器を最下食器として保持している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る食器ディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、図4において、食器が積み重ねられる方向を食器ディスペンサの上下方向、食器が取り出される方向を食器ディスペンサの前側とし、前側から見た正面左側を食器ディスペンサの左側、正面右側を食器ディスペンサの右側とする。なお実施例では、図1に示すように、上に開口して上縁部外径が最も大きく、底部に向かうにつれて徐々に小さくなる所謂すり鉢形状をなす食器を例示するが、積み重ね可能でかつ外面に食器保持機構の食器保持体により保持可能な部分を有するものであれば、食器の形状はこれに限定されない。
【実施例】
【0014】
図4は、実施例の食器ディスペンサMを、積み重ねた食器Dを保持した状態で示す正面図である。実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム10と、このフレーム10の上部に配設された食器保持機構30と、該フレーム10内において食器保持機構30の下側に配設された食器取出し部45とを備えている。食器Dは食器保持機構30に対して上方から順次載置され、積み重ねられた食器Dは、下から1つずつ食器取出し部45へ放出されて、該食器取出し部45から取出し得るようになっている。
【0015】
フレーム10は、図1〜図3に示すように、左右に離間して相対する1対の左縦壁部11および右縦壁部12と、両縦壁部11,12の上端間に水平に配設された上壁部13と、両縦壁部11,12の前端間に垂直に配設された前壁部29とを備えており、正面から見て倒伏コ字型を呈している。左縦壁部11および右縦壁部12には、食器保持機構30における第1回転軸33の軸方向端部を支持する第1軸受部材14と、該食器保持機構30における第2回転軸34の軸方向端部を支持する第2軸受部材15と、食器取出し部45を支持する支持軸21の軸方向端部を支持する第3軸受部材16とが設けられている。右縦壁部12には、食器保持機構30における第1中間ギア37を支持する第1支軸17および第2中間ギア38を支持する第2支軸18が配設されている。また、右縦壁部12の前側上部には、規制機構50が配設されている。上壁部13には、積み重ねられた食器Dを通過を許容する円形の開口部19が形成されていると共に、該開口部19の周囲には、4本の棒状の食器ガイド20が垂直に立設され、積み重ねられた食器Dを側方から支持するようになっている。
【0016】
食器保持機構30は、図1〜図3および図5に示すように、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する食器(以降「最下食器D1」という)を保持する保持状態と、該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能に構成されている。すなわち食器保持機構30は、最下食器D1の前側に位置して水平軸回りに回転可能に配設された第1食器保持体31と、前記最下食器D1を挟んで前記第1食器保持体31と相対するよう該最下食器D1の後側に位置して、水平軸回りに回転可能に配設された第2食器保持体32とを備えている。第1食器保持体31は、前記左縦壁部11および右縦壁部12に配設された第1軸受部材14,14に両端が支持されてフレーム10の前側上部に左右水平に配設された第1回転軸33が、該第1食器保持体31の軸方向に貫通することで該第1回転軸33に回転不能に固定され、第2食器保持体32は、前記左縦壁部11および右縦壁部12に配設された第2軸受部材15,15に両端が支持されてフレーム10の後側上部に左右水平に配設された第2回転軸34が、該第2食器保持体32の軸方向に貫通することで該第2回転軸34に回転不能に固定されている。なお、第1回転軸33および第2回転軸34は短手方向での断面形状が六角形をなしており、第1食器保持体31および第2食器保持体32は、各々が配設された第1回転軸33および第2回転軸34に対して好適に回り止めが図られている。
【0017】
前記第1回転軸33の右縦壁部12側の端部には平歯車状の第1ギア35が配設され、前記第2回転軸34の右縦壁部12側の端部には、平歯車状で前記第1ギア35と同径・同一歯数の第2ギア36が配設されている。右縦壁部12に配設した第1支軸17には、前記第1ギア35と噛合する平歯車状の第1中間ギア37が回転自在に配設されると共に、右縦壁部12に配設した第2支軸18には、平歯車状で前記第1中間ギア37と同径・同一歯数の第2中間ギア38が、該第1中間ギア37および前記第2ギア36に夫々噛合した状態で配設されている。従って、第1回転軸33に配設した第1食器保持体31と第2回転軸34に配設した第2食器保持体32とは、前後に離間することで食器Dの保持空間を確保した状態で配置され、第1食器保持体31は前方へ回転すると共に第2食器保持体32は反対の後方へ同期回転可能となっている。なお右縦面部12には、図1〜図3に示すように、第2中間ギア38に噛合する第1ロータリーダンパ39が設けられている。この第1ロータリーダンパ39は、一方向への回転軸の回転時には抵抗が発生すると共に他方向への該回転軸の回転時にはフリー回転となり、前記食器保持機構30が最下食器D1の保持状態から放出状態への姿勢変位時には抵抗が発生するように配設されている。従って食器保持機構30は、保持状態から放出状態へ低速で変位して最下食器D1をゆっくりと放出する。
【0018】
第1食器保持体31および第2食器保持体32は、同一形状に形成されたもので、左右方向に長い略円柱状で、左右の両端部が最も太く左右中央部が最も細い小鼓型に形成されたブロック体であり、特に食器Dとの接触時に滑り難いシリコンゴム等を材質とする。そして、第1食器保持体31および第2食器保持体32の外周面には、軸方向(左右方向)に凹湾曲状に延在する食器保持部40が、周方向へ所要間隔(実施例では60度)毎に複数個(実施例では6個)設けられている。凹湾曲状をなす前記各食器保持部40は、食器Dにおける上開口縁部の外形形状に合致するようになっている。第1食器保持体31および第2食器保持体32は、後述する規制機構50により、互いの食器保持部40を相対させ、積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を保持する保持状態と、適宜回転して該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに回転して変位する。
【0019】
食器取出し部45は、図1〜図3および図9に示すように、食器保持機構30から下方へ放出される前記最下食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部46と、この食器受部46の後側に左右水平に延在するように設けられて、前記支持軸21の挿通を許容する円筒状の支持筒部47とを備えている。食器取出し部45は、支持筒部47に貫通させた前記支持軸21を、フレーム10の左縦壁部11および右縦壁部12に配設した前記第3軸受部材16,16に支持することで、左右水平に支持された該支持軸21に枢支された状態でフレーム10に取付けられている。そして食器取出し部45は、食器受部46が水平前方へ延出し、最下食器D1の直下に位置して放出された該最下食器D1を受け入れ可能な待機位置(図1〜図3参照)と、食器受部46が前下がり(例えば水平に対して45度程度)に傾斜し、該食器受部46に受け入れた該最下食器D1の取出しを可能とする取出し位置(図10参照)とに姿勢変位可能となっている。なお、前記食器受部46には、図9等に示すように、温度調整手段としてのヒータ48が配設されており、該食器受部46に受け入れた食器Dを温め得るようになっている。
【0020】
前記支持軸21には、図1〜図3に示すように、フレーム10および食器取出し部45に夫々アーム部が係止された捻りバネ22が、常には食器取出し部45を取出し位置側から待機位置側へ付勢した状態で配設されている。この捻りバネ22の付勢力は、食器受部46に食器Dが受け入れられていない場合に、食器取出し部45を待機位置に上昇させて該待機位置に保持すると共に、食器受部46に食器Dが受け入れられている場合に、食器取出し部45を取出し位置に降下して該取出し位置に保持するのを許容する強さに設定されている。
【0021】
また前記支持軸21は、図3に示すように、該支持軸21に固定した作動ギア24により、フレーム10に固定した第2ロータリーダンパ23と連係している。この第2ロータリーダンパ23は、一方向への回転軸の回転時には抵抗が発生すると共に他方向への該回転軸の回転時にはフリー回転となるようになっており、前記食器取出し部45の待機位置から取出し位置への姿勢変位に対しては抵抗が発生し、該食器取出し部45の取出し位置から待機位置への姿勢変位に対してはフリー回転するように取付けられている。従って食器取出し部45は、食器Dを受け入れた食器受部46は待機位置から取出し位置へゆっくり姿勢変位し、取出し位置から待機位置へは前記捻りバネ22の付勢力により抵抗なく姿勢変位する。
【0022】
規制機構50は、図1〜図3および図6〜図8に示すように、前記食器保持機構30を、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位および放出状態から保持状態への復帰を許容するものである。この規制機構50は、食器保持機構30に連結された歯車部材(第1規制部)51と、食器保持機構30の保持状態および放出状態の夫々において歯車部材51に係脱可能に係止して、該歯車部材51の姿勢変位を規制する係止部材(第2規制部)52とを備えている。また規制機構50は、係止部材52に連係されて、食器保持機構30の最下食器D1の保持状態において歯車部材51と該係止部材52との係止を解除可能な取出しレバー(操作部)53と、係止部材52に連係されて、食器保持機構30の最下食器D1の放出状態において歯車部材51と該係止部材52との係止を解除可能な解除部54とを備えている。
【0023】
歯車部材51は、前記第1回転軸33の右端側において前記第1ギア35に隣接した部位で、第1回転軸33に外装されて貫通した該第1回転軸33に回転不能に固定されており、前記第1食器保持体31と同方向へ同期回転するようになっている。この歯車部材51は、端面形状が略六角形をなす板状部材であって、外周の各突角部には、径方向外方へ突出した爪部55が一体的に形成されている。各爪部55は、第1食器保持体31と同じ方向に回転する歯車部材51の回転方向前方を指向する係止面55Aが設けられている。すなわち係止面55Aは、第1回転軸33の真上に到来した状態においては食器ディスペンサMの後側を指向すると共に、該第1回転軸33の後方においては食器ディスペンサMの下側を指向する。
【0024】
係止部材52は、図6〜図8に示すように、右縦壁部12において前記第1回転軸33を支持する第1軸受部材14の後上方に水平に設けた第1支持ピン25に揺動自在に配設され、該第1支持ピン25が貫通する支持孔59が設けられた支点部56で略90度に曲がった略L字形を呈する板状部材である。係止部材52は、支点部56から前方へ略水平に延出する第1アーム部57と、該支点部56から略垂直下方へ延出する第2アーム部58とを備え、第1アーム部57の先端側が上下方向(第2アーム部58の先端側が前後方向)へ変位するよう前記第1支持ピン25に揺動自在に配設されている。すなわち係止部材52は、第1アーム部57が水平前方へ延出すると共に第2アーム部58が垂直に延出する第1係止姿勢(図6参照)と、図7において反時計方向へ揺動して第1アーム部57が前上がり状に延出すると共に第2アーム部58が前下がり状に延出する第2係止姿勢(図7、図8参照)との間で揺動可能となっている。第1アーム部57の前後中間部分には、取出しレバー53との係合に供される連結孔60が、前後に延在すると共に厚み方向に貫通した長孔状に形成されている。また、第2アーム部58の後端における上下中間部分には、解除部54のストッパ70が上方から係脱可能に係止する被係止部61が、上方を指向する段状に形成されている。更に、第2アーム部58の後端における被係止部61の上方には、上に行くにつれて前方へ変位する傾斜部62が設けられている。
【0025】
前記係止部材52には、前記第1アーム部57の先端部に、下方へ突出すると共に前側を指向する第1係止爪部63が一体に形成されている。この第1係止爪部63は、係止部材52の前記第1係止姿勢(図6参照)において、前記歯車部材51の爪部55の係止面55Aに後側から当接する第1係止面63Aを備えている。また係止部材52は、前記第2アーム部58の先端部に、前側へ突出すると共に上方を指向する第2係止爪部64が一体に形成されている。この第2係止爪部64は、係止部材52の前記第2係止姿勢において(図8参照)、前記歯車部材51の爪部55の係止面55Aに下方から当接する第2係止面64Aを備えている。
【0026】
取出しレバー53は、図6〜図8に示すように、前記係止部材52を前記第1係止姿勢から第2係止姿勢へ姿勢変位させて、該係止部材52と前記歯車部材51との係止を解除させ、食器保持機構30で保持されていた最下食器D1を前記食器取出し部45に向けて放出させるきっかけを発現する部材である。この取出しレバー53は、前後方向に延在する棒状部材であり、前後方向の中間部分には、前記第1回転軸33の上方において左縦壁部11と右縦壁部12との間に水平に架設されたシャフト26に係合する支持孔65が設けられている。そして取出しレバー53は、支持孔65から前側部分が、前記前壁部29から前方へ延出して手で把持し得る把持部66となっており、該支持孔65から後側部分が作用部67となっている。作用部67の後端部には、前記係止部材52の連結孔60に遊嵌状態で挿通される連結ピン68が設けられている。これにより、取出しレバー53が水平となっている非操作状態においては、係止部材52が前記第1係止姿勢に保持され(図6参照)、把持部66が下方へ変位して取出しレバー53が前下がりとなった操作状態においては、係止部材52が前記第2係止姿勢に保持される(図7、図8参照)。
【0027】
解除部54は、図6〜図8に示すように、前記係止部材52における第2アーム部58の後方において右縦壁部12に配設されたストッパ70と、該ストッパ70を揺動変位させる解除バー71とを備えている。ストッパ70は、右縦壁部12に配設した第2支持ピン27に揺動自在に配設されて前方へ延出したフラップ状部材であり、前端に係止端73が設けられた係止部72と、該係止部72の後側に設けられて前記第2支持ピン27が挿通する支持孔が設けられた支持部74とから構成されている。また、係止部72の前端側には、前記解除バー71の挿通を許容する貫通孔75が形成されている。従ってストッパ70は、前記第2支持ピン27を中心として係止部72が揺動変位することで、係止端73が昇降移動するようになっている。
【0028】
解除バー71は、図6〜図8に示すように、右縦壁部12に設けた略L形に形成されたステー28に垂直に設けた支持筒部28Aに貫通支持され、垂直姿勢で昇降移動が可能に配設されている。そして解除バー71は、前記食器取出し部45の食器受部46における右前側に延出形成された当接部49の上面に、該解除バー71の下端71Aが当接する関係となっている。すなわち解除バー71は、食器取出し部45が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に該待機位置へ到来する直前において前記当接部49と当接し、該食器取出し部45の待機位置への姿勢変位に追従して押し上げられる。また解除バー71は、上下方向の中間部分に、前記ストッパ70の貫通孔75の開口サイズより大きく形成された突起76が設けられている。従って解除バー71は、前記突起76がストッパ70の下側に位置した状態で該ストッパ70の貫通孔75に貫通した状態に配設されており、該解除バー71が上昇することで突起76がストッパ70に当接し、該ストッパ70を上方へ押し上げ得るように構成されている。
【0029】
このような解除部54は、前記係止部材52の第1係止姿勢において、ストッパ70の係止端73が該係止部材52の第2アーム部58における傾斜部62に位置するようになっており、該係止部材52が第1係止姿勢から第2係止姿勢に姿勢変位する際には、ストッパ70の係止端73が前記傾斜部62に当接しながら該係止部材52の姿勢変位を許容する(図6参照)。そして解除部54は、係止部材52が第2係止姿勢へ姿勢変位した際に、ストッパ70の係止端73が該係止部材52の前記被係止部61に係止するようになり、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢へ姿勢変位するのを規制して、該係止部材52を該第2係止姿勢に保持する(図7、図8参照)。一方、解除部54は、ストッパ70が係止部材52を第2係止姿勢に保持している状態において、前記食器取出し部45の当接部49との当接により解除バー71が上昇した場合には、該解除バー71の突起76がストッパ70を上方へ押し上げることで、該ストッパ70の係止端73と係止部材52の被係止部61との係止を解除し、該係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢へ姿勢変位することを許容する(図6参照)。
【0030】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の食器ディスペンサMの作用につき、図9〜図11を引用して説明する。
【0031】
先ず、図9(a)に示すように、取出しレバー53の非操作状態では、係止部材52が第1係止姿勢となって該係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の爪部55とが第1回転軸33の上方で係止することで、該第1回転軸33の後方側への回転が規制される。これにより、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32が保持状態にロックされ、積み上げられた食器Dにおける最下食器D1が保持される。また、食器取出し部45は、待機位置に保持されて、食器受部46が最下食器D1の真下に位置している。
【0032】
図9(a)の状態から、取出しレバー53の把持部66を下方へ押下げて該取出しレバー53を操作状態に姿勢変位させると、図9(b)に示すように、取出しレバー53の姿勢変位に連動して係止部材52が第1係止姿勢から第2係止姿勢へ姿勢変位し、係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の爪部55との係止が解除されて、食器保持機構30に対するロックが解除される。これにより食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32は、フリー状態となった該第1食器保持体31が後回りに回転すると共に該第2食器保持体32が前回りに同期回転し、食器保持部40,40で保持していた最下食器D1を、待機位置に保持されている食器取出し部45の食器受部46に向けて放出する。そして、図7および図8に示したように、最下食器D1を下方へ放出すると同時に、第2係止姿勢に姿勢変位した係止部材52の第2係止爪部64と歯車部材51の爪部55とが第1回転軸33の後方で係止し、歯車部材51が再びロックされる。これにより、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32が放出状態に保持され、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32の上縁には次の食器Dが載置された状態となる。
【0033】
食器取出し部45の食器受部46に最下食器D1が受け入れられると、該食器取出し部45は、図10(a)に示すように、該食器Dの重さにより待機位置から取出し位置に向けて姿勢変位する。この際に、食器取出し部45の解除バー71に対する押し上げが解除され、該解除バー71が下方へ移動してストッパ70が下方へ変位するので、該ストッパ70の係止端73が該係止部材52の被係止部61に係止して該係止部材52が第2係止姿勢に保持される。これにより、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢に変位することが規制されるので、食器取出し部45の姿勢変位中に食器保持機構30が誤作動することが防止される。なお、食器受部46がヒータ48により加熱されているので、該食器受部46に受け入れられた食器Dが温められる。
【0034】
食器取出し部45は、取出し位置において食器Dが取り出されると、再び取出し位置から待機位置に向けて姿勢変位する。この姿勢変位時に、食器取出し部45が待機位置に戻る直前において、図10(b)に示すように、食器受部46に設けた前記当接部49が、降下していた解除バー71の下端71Aに当接する。そして、当接部49が解除バー71の下端71Aに当接した状態で食器取出し部45が待機位置へ移動する際に、食器受部46に設けた当接部49が解除バー71を押し上げるから、これに連動してストッパ70が上方へ変位し、該ストッパ70の係止端73と係止部材52の被係止部61との係止が解除される。これにより、図11に示すように、係止部材52が第2係止姿勢から第1係止姿勢に向けて姿勢変位するようになり、この姿勢変位中に第2係止爪部64と爪部55との係止が解除されて、歯車部材51のロックが瞬間的に解除される。従って、食器保持機構30の第1食器保持体31が後回りに回転すると共に第2食器保持体32が前回りに回転することが許容され、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32は、次の食器保持部40,40で次の最下食器D1を再び保持するようになる。そして、食器保持機構30が再び最下食器D1の保持状態となると同時に、第1係止姿勢に姿勢変位した係止部材52の第1係止爪部63と歯車部材51の次の爪部55とが第1回転軸33の上方で係止し、歯車部材51がロックされることで食器保持機構30は最下食器D1の保持状態となる。
【0035】
従って、実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する最下食器D1を保持する保持状態と、該最下食器D1を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構30を、規制機構50により、最下食器D1の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器D1の保持状態から放出状態への変位を許容するよう構成したことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取り出して使用することが可能である。従って、上から順次積み重ねられた食器Dを下から順次取り出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0036】
そして、実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持機構30が最下食器D1を挟んで相対して配設された第1食器保持体31および第2食器保持体32を備えているので、これら第1食器保持体31および第2食器保持体32を同期回転させることで、積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を適切に放出することができる。また、放出された最下食器D1を受け止める食器取出し部45を備えているので、食器保持機構30から放出された食器Dが該食器取出し部45の食器受部46で適切に受け止められ、食器Dが破損することを防止し得る。しかも、食器取出し部45の食器受部46にヒータ48を備えているので、該食器取出し部45から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0037】
更に、実施例の食器ディスペンサMでは、取出しレバー53を操作することで、食器保持機構30の作動により積み重ねられた食器Dのうちの最下食器D1を1つだけ取出すことができ、該取出しレバー53の操作だけで食器Dの取出しを簡易かつ確実に行なうことができる。また、食器取出し部45に当接部49を設けて、該食器取出し部45が待機位置に姿勢変位する際に該当接部49を解除バー71の下端71Aに当接するよう構成したので、該食器取出し部45が待機位置へ姿勢変位するに際して係止部材52と歯車部材51との係止かせ解除され、積み重ねられた食器Dの最も下に位置する次の食器Dを下側食器D1として食器保持機構30へ自動的に保持させることができる。
【0038】
なお、実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持機構30の第1食器保持体31および第2食器保持体32の配設間隔を調整することで、様々なサイズの食器Dの保持が可能であり、第1食器保持体31および第2食器保持体32の各食器保持部40の形状を変更することで様々な形状の食器Dの保持が可能である。
【0039】
(変更例)
(1)実施例では、食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体が回動式を例示したが、第1食器保持体および第2食器保持体は、最下食器を挟んで相対して配設されて、互いにスライド変位または旋回変位しながら近接・離間するタイプであってもよい。
(2)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、食器保持部が6個に限定されるものではなく、5個以下または7個以上であってもよい。
(3)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、ギアにより連係されるものに限らず、チェンやタイミングベルト等で連係されるものであってもよい。
(4)規制機構は、食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体を最下食器の保持状態および放出状態の両状態で停止保持し得るものであれば、実施例の回動式に限定されず、スライド式等であってもよい。
(5)食器保持機構は、モータやアクチュエータ等の動力により作動するものであってもよい。
(6)食器保持機構の第1食器保持体および第2食器保持体は、チェンおよびスプロケット形態や、タイミングベルトおよびベルト車形態等であってもよい。
(7)食器取出し部に配設された温度調整手段は、ヒータに限定されず、食器を冷却するクーラーであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
21 食器保持部,30 食器保持機構,31 第1食器保持体,32 第2食器保持体,
45 食器取出し部,49 当接部,50 規制機構,51 歯車部材(第1規制部),
52 係止部材(第2規制部),53 取出しレバー(操作部),54 解除部,D 食器,
D1 最下食器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する最下食器(D1)を保持する保持状態と、該最下食器(D1)を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構(30)と、
前記食器保持機構(30)を、前記最下食器(D1)の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器(D1)の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構(50)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項2】
前記食器保持機構(30)は、
前記最下食器(D1)の側方に位置して水平軸回りに回転可能に配設され、複数の食器保持部(40)が外周の周方向へ配列された第1食器保持体(31)と、
前記最下食器(D1)を挟んで前記第1食器保持体(31)と相対して位置して、水平軸回りに該第1食器保持体(31)と反対に同期回転可能に配設され、複数の食器保持部(40)が外周の周方向へ配列された第2食器保持体(32)とを備える請求項1記載の食器ディスペンサ。
【請求項3】
前記規制機構(50)は、
前記食器保持機構(30)に連結された第1規制部(51)と、
前記食器保持機構(30)の前記保持状態および前記放出状態の夫々において、前記第1規制部(51)に係脱可能に係止して該第1規制部(51)の姿勢変位を規制する第2規制部(52)と、
前記第2規制部(52)に連係され、前記食器保持機構(30)の前記保持状態において前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止を解除可能な操作部(53)と、
前記第2規制部(52)に連係され、前記食器保持機構(30)の前記放出状態において前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止を解除可能な解除部(54)とを備える請求項1または2記載の食器ディスペンサ。
【請求項4】
前記食器保持機構(30)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器(D1)の直下に位置して放出された該最下食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(45)を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項5】
前記食器保持機構(30)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器(D1)の直下に位置して放出された該最下食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(45)と、
前記食器取出し部(45)に設けられ、該食器取出し部(45)の前記待機位置において前記解除部(54)を前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止が解除するよう動作させる当接部(49)とを備える請求項3記載の食器ディスペンサ。
【請求項1】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取り出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する最下食器(D1)を保持する保持状態と、該最下食器(D1)を下方へ放出する放出状態とに変位可能な食器保持機構(30)と、
前記食器保持機構(30)を、前記最下食器(D1)の保持状態および放出状態の夫々に停止保持し得ると共に、該最下食器(D1)の保持状態から放出状態への変位を許容する規制機構(50)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項2】
前記食器保持機構(30)は、
前記最下食器(D1)の側方に位置して水平軸回りに回転可能に配設され、複数の食器保持部(40)が外周の周方向へ配列された第1食器保持体(31)と、
前記最下食器(D1)を挟んで前記第1食器保持体(31)と相対して位置して、水平軸回りに該第1食器保持体(31)と反対に同期回転可能に配設され、複数の食器保持部(40)が外周の周方向へ配列された第2食器保持体(32)とを備える請求項1記載の食器ディスペンサ。
【請求項3】
前記規制機構(50)は、
前記食器保持機構(30)に連結された第1規制部(51)と、
前記食器保持機構(30)の前記保持状態および前記放出状態の夫々において、前記第1規制部(51)に係脱可能に係止して該第1規制部(51)の姿勢変位を規制する第2規制部(52)と、
前記第2規制部(52)に連係され、前記食器保持機構(30)の前記保持状態において前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止を解除可能な操作部(53)と、
前記第2規制部(52)に連係され、前記食器保持機構(30)の前記放出状態において前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止を解除可能な解除部(54)とを備える請求項1または2記載の食器ディスペンサ。
【請求項4】
前記食器保持機構(30)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器(D1)の直下に位置して放出された該最下食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(45)を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項5】
前記食器保持機構(30)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記最下食器(D1)の直下に位置して放出された該最下食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該最下食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(45)と、
前記食器取出し部(45)に設けられ、該食器取出し部(45)の前記待機位置において前記解除部(54)を前記第1規制部(51)と該第2規制部(52)との係止が解除するよう動作させる当接部(49)とを備える請求項3記載の食器ディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−187319(P2012−187319A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54611(P2011−54611)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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