説明

食器皿搬送システム

【課題】種別の異なる食器皿の洗浄を行いつつ、食器皿の種別ごとに搬送を行うことができる食器皿搬送システムを提供する。
【解決手段】飲食物を載置するための食器皿3を洗浄する皿洗浄装置112と、飲食物を調理する調理台116に洗浄された食器皿3を搬送する皿搬送装置114と、皿洗浄装置112から洗浄された食器皿3を皿搬送装置114に移載する皿移載装置115と、を有し、皿洗浄装置112は、食器皿3の種別を識別する識別部120と、識別部120の識別結果に従って食器皿3を種別毎に分別する分別部121と、を備え、皿搬送装置114は、前記分別部121によって分別された食器皿3を調理台116に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を載置するための食器皿を洗浄し、洗浄された食器皿を調理台まで搬送する食器皿搬送システムに関し、特に、食器皿の種別ごとに分別可能な食器皿搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器皿洗浄装置にて洗浄された食器皿をキャッチャーにより保持するとともに、キャッチャーをスライド面上方に移動させることで食器皿をスライド面上に移載した後、プッシャーによってスライド面上の食器皿をクレセントチェーンコンベア(皿搬送装置)まで押し出し、クレセントチェーンコンベアにて食器皿を搬送する食器皿移動装置が知られている。このような食器皿移動装置を用いることで、洗浄された食器皿を厨房における調理人が調理を行う調理台等まで自動的に搬送することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−188337号公報(第8頁、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の食器皿移動装置にあっては、食器皿洗浄装置にて洗浄された食器皿は、食器皿に載置する飲食物の値段等による食器皿の種別に関係なくクレセントチェーンコンベア(皿搬送装置)に移載されて調理人まで搬送されるため、調理人が搬送されてきた食器皿を種別毎に仕分けしなければならず、効率的に調理を行うことが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、種別の異なる食器皿の洗浄を行いつつ、食器皿の種別ごとに搬送を行うことができる食器皿搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の食器皿搬送システムは、
飲食物を載置するための食器皿を洗浄する皿洗浄装置と、飲食物を調理する調理台に洗浄された食器皿を搬送する皿搬送装置と、前記皿洗浄装置から洗浄された食器皿を前記皿搬送装置に移載する皿移載装置と、を有する食器皿搬送システムであって、
前記皿洗浄装置は、食器皿の種別を識別する識別手段と、該識別手段の識別結果に従って食器皿を種別毎に分別する分別手段と、を備え、前記皿搬送装置は、前記分別手段によって分別された食器皿を前記調理台に搬送することを特徴としている。
この特徴によれば、皿洗浄装置にて洗浄した食器皿を識別手段及び分別手段を用いて種別毎に分別するとともに、識別手段にて識別された種別毎に食器皿を皿搬送装置により調理台に搬送することで、調理台にて飲食物の調理を行う調理人は、搬送されてきた食器皿に対して種別毎に応じた調理を行うことができるので、調理人が食器皿の種別毎に仕分けをする必要が無く、調理台における飲食物の調理を効率化することができる。
【0007】
本発明の食器皿搬送システムは、
前記皿搬送装置は、少なくとも一部が前記調理台の下方に配設されており、前記皿搬送装置により搬送されている食器皿を前記調理台上に上昇させる上昇手段を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、皿搬送装置の少なくとも一部が調理台の下方に配置されることで、調理台が設置される厨房等での皿搬送装置が占める専有面積を小さくすることができるとともに、上昇手段によって食器皿が調理台上に取り出されるので、調理人は、下方の皿搬送装置から食器皿を持ち上げる動作をすること無く調理台での飲食物の調理を行うことができる。
【0008】
本発明の食器皿搬送システムは、
前記皿移載装置は、食器皿を種別毎に複数枚積層するとともに、該積層された食器皿を前記皿搬送装置に移載し、前記皿搬送装置は、前記積層された食器皿を搬送することを特徴としている。
この特徴によれば、皿洗浄装置で洗浄された食器皿を複数牧積層して皿搬送装置に移載し、搬送装置では、積層されたまま食器皿を搬送することで、効率的に調理台への食器皿の搬送を行うことができるとともに、調理人は、同一種別の食器皿が積層された状態で調理台に搬送されることで、連続して同一種別の飲食物の調理を行うことができる。
【0009】
本発明の食器皿搬送システムは、
前記皿移載装置は、前記皿洗浄装置で洗浄された食器皿が積層される載置台を備えており、該載置台は、食器皿が積層される毎に次の食器皿が積層可能なように下降することを特徴としている。
この特徴によれば、皿洗浄装置で洗浄された食器皿を載置台に向けて移動させるのみで、複数の食器皿を自動的に積層させることができる。
【0010】
本発明の食器皿搬送システムは、
前記調理台には、食器皿を種別毎に要求可能な皿要求手段が設けられており、前記皿搬送装置は、前記皿要求手段により要求された食器皿を前記調理台における指定箇所に搬送することを特徴としている。
この特徴によれば、要求手段から必要な種別の食器皿のみを要求することで、要求した種別の食器皿のみが皿搬送装置によって調理台の指定箇所に搬送されるため、調理台上に配置する食器皿の量を少なく抑え、調理台周りが煩雑になることを防止することができる。
【0011】
本発明の食器皿搬送システムは、
使用済みの食器皿を回収する皿回収装置と、該皿回収装置から前記皿洗浄装置に食器皿を移載する回収洗浄間移載装置と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、使用済みの食器皿を皿回収装置から回収洗浄間移載装置によって皿洗浄装置に移載して洗浄することで、使用済みの食器皿を洗浄して再び飲食物を載置するために調理台に搬送するまでのプロセスを完全に自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例における食器皿搬送システムの全体図である。
【図2】実施例における食器皿搬送システムの概要を示す説明図である。
【図3】実施例における皿移載装置の図2のA−A断面を示す説明図である。
【図4】実施例における皿移載装置と皿搬送装置の図2のB−B断面を示す説明図である。
【図5】実施例における皿搬送装置の図2のC−C断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る食器皿搬送システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
実施例に係る食器皿搬送システムにつき、図1から図5を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施例における食器皿搬送システム100の全体図を示し、図2に、実施例における食器皿搬送システムの概要を示している。図1および図2において、食器皿搬送システム100は、使用済みの食器皿3を回収槽123まで回収する皿回収装置である食器皿回収装置111と、食器皿回収装置111から皿洗浄装置112に食器皿3を移載する回収洗浄間移載装置113(図2参照)と、食器皿3を洗浄する皿洗浄装置112と、調理台116に洗浄された食器皿3を搬送する皿搬送装置114と、洗浄された食器皿3を皿搬送装置114に移載する皿移載装置115とを有する。
【0016】
本実施例における食器皿搬送システム100は、図1に示す投入口10から投入された食器皿3を食器皿回収装置111の回収水路14〜16により回収槽123まで回収し、図2に示す回収洗浄間移載装置113により回収された食器皿3が皿洗浄装置112に移載される。図2に示す皿洗浄装置112では、食器皿3を洗浄するとともに、識別手段としての識別部120により食器皿3の種別を識別し、分別手段としての分別部121により識別部120の識別結果に従って食器皿3を種別毎に分別する。食器皿3の種別としては、食器皿3に載置する飲食物の値段等によりあらかじめ定められており、模様や色分けにより飲食客が識別可能であり、また、食器皿3に埋め込まれているRFID(Radio Frequency Identification)により電波による個体識別が可能となっており、個体識別子に食器皿3の種別情報を含めておくことで識別が可能となっている。本実施例においては、A皿と、B皿の2種類の種別がある場合を例にしているが、3種類以上設けてもよい。分別部121により種別毎に分別された食器皿3は、皿移載装置115の昇降装置132により食器皿3を種別毎に複数枚積層するとともに、積層された食器皿3を皿搬送装置114に移載し、皿搬送装置114は、調理台116の下方に配設されており、互いに相対移動可能に連結されたクレセントチェーンコンベアによって形成され、積層された食器皿3を搬送し、搬送した食器皿3を上昇手段である昇降部147(図5参照)により調理台116上まで上昇させ、調理台116に設けられた取出口140に積層された食器皿3が載置されることで、調理人が搬送されてきた食器皿に対して種別毎に応じた調理を行うことができるようになっている。これにより、使用済みの食器皿3を洗浄して再び飲食物を載置するために調理台116に搬送するまでのプロセスを完全に自動化することができる。
【0017】
また、本実施例における食器皿搬送システム100における皿の回収の前に、飲食者に対して飲食物を載せた食器皿3を提供するに際して、図1に示すように、飲食物を搬送する飲食物循環搬送装置1を食器皿回収装置111の上方に設けておくことができる。なお、図1においては、食器皿回収装置111の回収水路14を図面において左側の島部4cの部分に示し、他の島部4a,4bにおいては、上方に設けられた飲食物循環搬送装置1を示しているが、島部4a,4bの下方には回収水路15、16が備えられている。飲食物循環搬送装置1は、例えば回転寿司店等の飲食店において、料理人が調理を行う厨房Cと飲食客が飲食を行う店内Kとに亘って延設された支持台(図示せず)が設けられており、料理人が調理した飲食物としての寿司が載置された飲食物容器としての食器皿3を店内の飲食客に循環搬送して、寿司を提供することができる。
【0018】
図1に示すように、飲食物循環搬送装置1には、店内K側に平面視櫛歯状に3つの島部4a,4b,4cが形成された無端状の循環搬送路9が設けられ、各島部4a,4b,4cを囲むように飲食カウンタ5及び飲食テーブル6と、飲食カウンタ5及び飲食テーブル6で飲食客が着座する客席7とが配備されている。
【0019】
また、各島部4a,4b,4cでは、飲食カウンタ5及び飲食テーブル6と客席7とで飲食客が飲食可能となっている。店内Kと厨房Cとの間には、店内Kと厨房Cとを隔てる壁Wが設けられており、循環搬送路9に載置された食器皿3は、壁Wに設けられた複数の開口8を通過して店内の各島部4a,4b,4cにほぼ一定速度にて搬送されて、飲食客に提供されるようになっている。
【0020】
循環搬送路9は、互いに相対移動可能に連結された公知のクレセントチェーンコンベアによって形成されており、これらクレセントチェーンコンベアをほぼ一定速度にて移動するように駆動する図示しない駆動モータが、循環搬送路9の内部の適宜位置に設けられており、駆動モータ及びクレセントチェーンコンベアによって飲食物循環搬送装置1が構成されている。
【0021】
飲食物循環搬送装置1を構成するクレセントチェーンコンベアは、厨房Cで寿司の載置された食器皿3が投入されると、先ず、食器皿3を図1に示す店内Kの右端の島部4aに搬送し、この島部4aの先端部まで搬送した後に、折り返して再び島部4aの根元部分である厨房C側まで戻り、次いで中央の島部4bに搬送されるようになっており、最終的に左端の島部4cまで搬送された後に再び厨房Cに戻るようになっている。
【0022】
また、各島部4a,4b,4cにおける飲食物循環搬送装置1の左右側面には、各飲食カウンタ5及び飲食テーブル6にて飲食客が飲食を行って不用となった食器皿3を、飲食物循環搬送装置1の下方である支持台内に投入するための回収口10が、各飲食カウンタ5及び飲食テーブル6に対応して複数設けられている。
【0023】
これら回収口10は、食器皿3を1枚ずつ投入可能な程度の大きさに形成されている。また、これら回収口10から投入された食器皿3は、支持台内部の食器皿回収装置111を通過して、厨房C内の右側に設けられた回収槽123に搬送される。
【0024】
支持台の内部には、本発明における皿回収装置としての食器皿回収装置111が設けられている。この食器皿回収装置111は、食器皿3を厨房C内に設けられた回収槽123まで搬送するために3つの回収水路14,15,16を備えている。
【0025】
回収水路14,15,16は、ポンプ(図示せず)により水が送水され内部に水流を発生させるようになっている。このため、回収口10から投入された食器皿3は、回収水路14〜16内それぞれに発生した水流によって回収水路14〜16の下流部側である回収槽123まで搬送されるようになっている。回収水路14〜16内から回収槽123に注がれた水流は、再びポンプによって吸入された後に店内側回収水路14〜16それぞれの先端に向けて吐き出されるようになっており、回収水路14〜16と回収槽123とポンプとによって水の循環系が形成され、食器皿回収装置111を形成している。
【0026】
また、本実施例では、回収水路14〜16と皿洗浄装置112とポンプとによって水の循環系を形成し、ポンプから水を店内側回収水路14〜16の先端に向けて送水することで、回収水路14〜16内に水流が発生するようにしたが、店内側回収水路14〜16の先端に上水道から水を送水し、店内側回収水路14から回収槽123に注がれた水はそのまま下水道等に排水されるようにしてもよい。
【0027】
図2に示すように、回収水路14,15,16より搬送された食器皿3は回収槽123の下方部に設けられる投入口117より投入され、回収槽123内部に設けられた皿案内ガイド(図示せず)に従って、水流により食器皿3が回収槽内の搬送路118まで流れ着くように構成されている。回収槽内の搬送路118は、下方部の投入口117に接続され、回収槽内の下方部から、回収洗浄間移載装置113側では回収槽123の上方部まで搬送するように傾斜面が設けられ、回収洗浄間移載装置113に接続するように傾斜面に沿って搬送される。搬送路118は、上昇ベルトコンベアなどにより構成され、図示しないモータにより駆動される。搬送路118では、アタッチメント119によって食器皿3が個別に保持されて水に浸されながら回収槽内を搬送される。図2においては、搬送路118は一つ設ける例を示しているが、回収水路14〜16ごとに搬送路118をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0028】
回収洗浄間移載装置113では、回収槽123で搬送された食器皿3を皿洗浄装置112まで移載する。回収洗浄間移載装置113としては、搬送された食器皿3を搬送路129で受け取って載置し、搬送路129をモータ(図示せず)で駆動させることで皿洗浄装置112の内部の受け口122まで食器皿3を移載できるような構成を備えていればよい。搬送路129は、ベルトコンベアなどにより構成される。また、回収洗浄間移載装置113の搬送路129には、食器皿3を複数枚保持しておくような保持手段を設けておいてもよい。この場合、回収槽123から搬送された食器皿3が多くなった場合、次の皿洗浄装置112に移載するまでに保持手段で保持しておくことができる。
【0029】
皿洗浄装置112の受け口122で受け取られた食器皿3は、受け口122の近傍に備えられた通過センサ123により食器皿3が受け口122に載置されたことを検出されると、食器皿3を搬送しながら洗浄を開始するとともに、皿洗浄装置112の内部に設けられた識別部120のタグリーダーにより、食器皿3に埋め込まれているRFIDの個体識別子が読み取られ、食器皿3の種別情報が識別されて、A皿であるかB皿であるかが識別される。皿洗浄装置112の洗浄方法は、洗浄搬送路(図示せず)を備えて、食器皿3を1枚ごとに搬送して洗浄するものであればよい。皿洗浄装置112の洗浄搬送路は、食器皿3の種別の数に応じて分岐路(図示せず)が設けられ、各分岐路は、食器皿3の種別に応じて設けられた排出口124Aまたは124Bにそれぞれ連結されている。識別部120で識別された食器皿3の種別に従って、食器皿3は分岐路で分岐され、各種別に対応した排出口124A、124Bまで搬送される。本実施例においては、排出口124AはA皿用、排出口124BはB皿用の排出口とする。分岐路と排出口124Aと124Bとで分別手段としての分別部121を構成している。排出口124A、124Bに排出された食器皿3は、各排出口124A、124Bに設けられたレバー125A、125Bにより皿移載装置115の受け口130まで一枚ずつ押し出される。
【0030】
つぎに、皿移載装置115の動作を説明する。図3には、実施例における皿移載装置115の図2におけるA−A断面を示している。図3(a)(b)においては、皿移載装置115AのA皿用の構成を示すが、皿移載装置115BのB皿用の構成も同じであるので、以下では、皿移載装置115として説明する。皿移載装置115の受け口130では、レバー125Aにより押し出された食器皿3を受け入れる。受け口130は、搬送路131まで移載できるように回転ローラにより構成してもよい。皿移載装置115では、種別された食器皿3を複数枚積層するための昇降装置132を備えている。昇降装置132は、皿を載置する載置台としての載置部133と、載置部133の上昇・下降と、左右方向の移動制御が可能な駆動部135と、を備え、駆動部135が載置部133を上昇させ、また下降させる。載置部133は、初期位置としては上昇した位置にあり、食器皿3が載置部133に1枚ずつ載置されるごとに、載置部133が1枚分下降するように構成されている。この下降は1枚分の皿の重みにより自重で下降するように駆動部135が設定されていてもよいし、駆動部135のモータにより皿載置後に1枚分下降するようにしてもよい。載置部133に食器皿3が種別毎にあらかじめ定めた枚数分(例えば15枚)積層されると、図3(b)に示すように、次に搬送される搬送ライン136の搬送面と載置部133の載置面とが面一となるような位置まで下降する。その後、駆動部135は、載置部133の載置面に設けられたベルトを回転駆動させることで所定枚数積層された食器皿3を、図3(b)の図面において左方向に搬送させて、搬送ライン136の搬送面に移載する。搬送ライン136は、ベルトコンベアなどにより構成され、図示しないモータにより駆動される。搬送ライン136では、所定のライン終端位置137まで所定枚数積層された食器皿3を搬送し、ベルトコンベアの駆動によりライン終端位置137から移載部138まで所定枚数積層された食器皿3が搬送される。
【0031】
つぎに、移載部138の動作を説明する。図4には、実施例における皿移載装置115の移載部138と皿搬送装置114の図2のB−B断面図を示している。
【0032】
図4(a)(b)においては、皿移載装置115AのA皿用の移載部138の構成を示すが、皿移載装置115のB皿用の移載部138の構成も同じである。移載部138は、所定枚数積層された食器皿3を保持することができる保持部を備えるアーム144と、アーム144を上下方向に駆動する直動モータ142と、アーム144を左右方向に駆動する直動モータ143とを備えている。また、皿搬送装置114は、調理台116の下方に配設され、クレセントチェーンコンベア等により形成される搬送路153を有し、調理台116の両端部まで搬送した後に折り返すことで搬送路を循環搬送するように構成され、皿移載装置115により移載された所定枚数積層された食器皿3を、食器皿3の種別ごとにあらかじめ定められたトレー146に載せて搬送する。本実施例においては、A皿用とB皿用の2種類のトレー146A,Bが定められてり、トレー146Aと146Bとが交互にコンベア上に配置されているものとする。また、皿搬送装置114は、後述するようにトレー146を取出口140まで上下動させる昇降部147を備えている。図4(a)(b)においては、皿搬送装置114の折り返された2列の搬送路を示し、また、厨房Cに設けられている飲食物循環搬送装置1の2列の搬送路も示している。
【0033】
図4(a)に示すように、移載部138は、ライン終端位置137から所定枚数積層された食器皿3が搬送され、アーム144の保持部に所定枚数積層された食器皿3が載置されると、直動モータ142を駆動させてアーム144を上昇させ、つぎに、移載部138は、直動モータ143を駆動させて図4(b)に示すように、図面において左方向にアーム144を移動させて、皿搬送装置114の搬送路の上方位置までアーム144を移動させる。この際に、皿搬送装置114は、食器皿3が載置されていない空のA皿用のトレー146Aが、移載部138から食器皿3の受け取りが可能な所定の位置に存在するように搬送路を回転させておく。もしくは、A皿用のトレー146Aに、食器皿3が載置されていなければ、初期位置として移載部138から食器皿3の受け取りが可能な所定の位置にA皿用のトレー146Aをあらかじめ配置しておくようにしてもよいし、皿移載装置115からA皿用またはB皿用の移載がある旨の通知を受けて、その後搬送路を回転させてトレー146を移載部138から食器皿3の受け取りが可能な所定の位置に搬送させるようにしてもよい。
【0034】
皿搬送装置114の空のトレー146Aが所定の位置に存在すれば、移載部138は、直動モータ142を駆動させてアーム144を下降させ、トレー146A上に所定枚数積層された食器皿3を載置させる。その後、移載部138は、直動モータ143を駆動させて図面において右方向にアーム144を移動させることで、皿搬送装置114の搬送路の外方まで移動させてアーム144を食器皿3を保持しない初期位置に戻させる。
【0035】
このように、移載部138の移載により、種別毎に複数枚積層された食器皿3を皿搬送装置114に移載させることができる。また、皿移載装置115のB皿用の移載部138の動作も上述したものと同様であり、皿搬送装置114の空のトレー146Bが所定の位置にあるときに、積層されたB皿用の食器皿3が皿移載装置115Bの移載部138により移載される。
【0036】
つぎに、皿搬送装置114の動作を説明する。図5には、皿搬送装置の図2のC−C断面を示している。図5(a)(b)においては、皿搬送装置114のA皿用の取出口140Aにおける構成を示すが、皿移載装置115のB皿用の取出口140Bの構成も同じである。皿搬送装置114は、クレセントチェーンコンベア(図示せず)によって形成され、積層された食器皿3を搬送する搬送路153と、搬送した食器皿3を調理台116上まで上昇させ、調理台116に設けられた取出口140に積層された食器皿3を突出させる昇降部147とを備えている。昇降部147は、所定枚数積層された食器皿3を保持することができる保持部を備えるアーム150と、アーム150を左右方向に支持するロッド149と、アーム150を左右方向に駆動するモータ148と、アーム150を上下方向に駆動する直動モータ152とを備えている。
【0037】
皿搬送装置114は、要求されたとき、もしくは、取出口140A、Bに食器皿3が無くなったときに昇降部147を駆動させて対応する食器皿3を上昇させることができる。
【0038】
ここで、食器皿3を調理台116に取出す際に調理者が取り出しを要求する場合について説明しておく。図2に示すように、調理台116には、食器皿を種別毎に要求可能な皿要求手段としての端末141と、A皿を取り出すことができる取出口140Aと、B皿を取り出すことができる取出口140Bとが設けられている。皿搬送装置114は、端末141により要求された食器皿3を調理台116の指定箇所である取出口140A、Bに搬送するようにしている。端末141は、A皿またはB皿の取り出しを指示できるようなものであればよく、PC(パーソナルコンピュータ)端末などで構成できる。また、端末141は、食器皿搬送システム100の全体を制御する制御装置を兼ねるようにしてもよい。端末141の代わりに、A皿またはB皿の取り出しを指示する皿の種別ごとの指示ボタンA,Bを設けておき、指示ボタンAまたは指示ボタンBが押下されたときに、取出口140Aまたは取出口140Bに積層されたA皿用の食器皿3または積層されたB皿用の食器皿3の取出しが可能なように上昇させて突出させることができる。
【0039】
図5(a)に示すように、皿搬送装置114のトレー146A、トレー146Bに載置された積層されたA皿用の食器皿3と積層されたB皿用の食器皿3とは、搬送路153を積層されたままの状態で搬送される。端末141から例えばA皿の取り出しが指示されると、A皿用の食器皿3が載置されたトレー146Aが取出口140Aに対応する位置までくるように搬送路153を回転させて搬送させる。A皿用の食器皿3が載置されたトレー146Aが取出口140Aに対応する位置まで搬送されると、図5(b)に示すように、皿搬送装置114は、モータ148を駆動させて昇降部147のアーム150をトレー146Aの下部まで移動させる。A皿用の食器皿3が載置されたトレー146Aが取出口140Aに対応する位置まで搬送されると、図5(c)に示すように、皿搬送装置114は、直動モータ152を駆動させて昇降部147のアーム150を上昇させ、トレー146Aを取出口140Aより上昇させて、積層されたA皿用の食器皿3の取出しが可能なように上昇させて突出させる。取出口140は、調理台116に皿が挿通可能な形状の穴が形成されていればよい。さらに、取出口140は、この穴の形状に合わせて調理台116を保護するための筒状の保護部材を図示するように設けておくことができる。また、この穴の近傍に食器皿3の上昇を許可し、食器皿3の下降を阻止する爪151を設けるようにしてもよい。トレー146Aに載置された積層されたA皿用の食器皿3が昇降部147のアーム150により上昇する場合には、爪151が跳ね上がるように軸支して構成されており、トレー146Aに載置された積層されたA皿用の食器皿3が昇降部147のアーム150により下降する場合には、食器皿3の周縁部分に爪151が引っ掛かり食器皿3が保持されるように構成されている。これにより、昇降部147のアーム150が下降してトレー146が下降しても、積層された食器皿3は、取出口140の爪151により保持されて調理台116上に維持されたままの状態としておくことができる。
【0040】
このように、皿搬送装置114の動作により、種別毎に複数枚積層された食器皿3を取出口140に上昇させて、取り出させることができる。また、皿搬送装置114のB皿用の取出口140の動作も上述したものと同様であり、端末141からB皿の取り出しが指示されると、B皿用の食器皿3が載置されたトレー146Bが取出口140Bに対応する位置までくるように搬送路153を回転させて、積層されたB皿用の食器皿3を昇降部147により上昇させて、取り出させることができる。これにより、調理台にて飲食物の調理を行う調理人は、搬送されてきた食器皿3に対して種別毎に応じた調理を行うことができるので、調理人が食器皿3の種別毎に仕分けをする必要が無く、調理台における飲食物の調理を効率化することができる。
【0041】
以上、本発明における食器皿搬送システム100にあっては、飲食物を載置するための食器皿3を洗浄する皿洗浄装置112と、飲食物を調理する調理台116に洗浄された食器皿3を搬送する皿搬送装置114と、皿洗浄装置112から洗浄された食器皿3を皿搬送装置114に移載する皿移載装置115と、を有し、皿洗浄装置112は、食器皿3の種別を識別する識別部120と、識別部120の識別結果に従って食器皿3を種別毎に分別する分別部121と、を備え、皿搬送装置114は、前記分別部121によって分別された食器皿3を調理台116に搬送することができる。皿洗浄装置112にて洗浄した食器皿3を識別部120及び分別部121を用いて種別毎に分別するとともに、識別部120にて識別された種別毎に食器皿3を皿搬送装置114により調理台116に搬送することで、調理台116にて飲食物の調理を行う調理人は、搬送されてきた食器皿3に対して種別毎に応じた調理を行うことができるので、調理人が食器皿3の種別毎に仕分けをする必要が無く、調理台116における飲食物の調理を効率化することができる。
【0042】
また、皿搬送装置114は、少なくとも一部が調理台116の下方に配設されており、皿搬送装置114により搬送されている食器皿3を調理台116上に上昇させる昇降部147を備えている。皿搬送装置114の少なくとも一部が調理台116の下方に配置されることで、調理台116が設置される厨房等での皿搬送装置114が占める専有面積を小さくすることができるとともに、昇降部147によって食器皿3が調理台116上に取り出されるので、調理人は、下方の皿搬送装置114から食器皿3を持ち上げる動作をすること無く調理台116での飲食物の調理を行うことができる。
【0043】
また、皿移載装置115は、食器皿3を種別毎に複数枚積層するとともに、積層された食器皿3を皿搬送装置114に移載し、皿搬送装置114は、積層された食器皿3を搬送するので、皿洗浄装置112で洗浄された食器皿3を複数牧積層して皿搬送装置114に移載し、搬送装置では、積層されたまま食器皿3を搬送することで、効率的に調理台116への食器皿3の搬送を行うことができるとともに、調理人は、同一種別の食器皿3が積層された状態で調理台116に搬送されることで、連続して同一種別の飲食物の調理を行うことができる。
【0044】
また、皿移載装置115は、皿洗浄装置112で洗浄された食器皿3が積層される載置部133を備えており、載置部133は、食器皿3が積層される毎に次の食器皿3が積層可能なように下降するので、皿洗浄装置112で洗浄された食器皿3を載置台に向けて移動させるのみで、複数の食器皿3を自動的に積層させることができる。
【0045】
また、調理台116には、食器皿3を種別毎に要求可能な端末141が設けられており、皿搬送装置114は、端末141により要求された食器皿3を調理台116における指定箇所に搬送するので、端末141から必要な種別の食器皿3のみを要求することで、要求した種別の食器皿3のみが皿搬送装置114によって調理台116の指定箇所に搬送されるため、調理台116上に配置する食器皿3の量を少なく抑え、調理台116周りが煩雑になることを防止することができる。
【0046】
また、使用済みの食器皿3を回収する食器皿回収装置111と、食器皿回収装置111から皿洗浄装置112に食器皿3を移載する回収洗浄間移載装置113と、を備えるので、使用済みの食器皿3を食器皿回収装置111から回収洗浄間移載装置113によって皿洗浄装置112に移載して洗浄することで、使用済みの食器皿3を洗浄して再び飲食物を載置するために調理台116に搬送するまでのプロセスを完全に自動化することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0048】
例えば、実施例に示したように、トレー146の食器皿3の種別ごとの搬送順序については、あらかじめ定めておくこともできるし、トレー146を種別することなく(トレー146を皿の種別に対応しないようにして)、皿移載装置115から搬送された順にトレー146に移載しておき、皿要求手段である端末141から要求があった時に、トレー146上の皿の種別を識別して取出口から取り出すようにしてもよい。
【0049】
また、取出口140は、少なくとも皿の種別ごとに設けられるが、同じ種別の取出口140A,Bを図1に示すように複数設けるようにしてもよい。この場合、取出口140A,Bごとに端末141を設けるようにしてもよい。
【0050】
また、前記実施例では、注文飲食物を寿司として説明したが、注文飲食物は寿司以外の料理や酒類等の飲料であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 飲食物循環搬送装置
3 食器皿(飲食物容器)
12 回収槽
100 食器皿搬送システム
111 食器皿回収装置(皿回収装置)
112 皿洗浄装置
113 回収洗浄間移載装置
114 皿搬送装置
115 皿移載装置
116 調理台
117 投入口
118、131 搬送路
119 アタッチメント
120 識別部
121 分別部
122、130 受け口
123 回収槽
124A、124B 排出口
125A、125B レバー
132 昇降装置
133 載置部
135 駆動部
136 搬送ライン
137 ライン終端位置
138 移載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載置するための食器皿を洗浄する皿洗浄装置と、飲食物を調理する調理台に洗浄された食器皿を搬送する皿搬送装置と、前記皿洗浄装置から洗浄された食器皿を前記皿搬送装置に移載する皿移載装置と、を有する食器皿搬送システムであって、
前記皿洗浄装置は、食器皿の種別を識別する識別手段と、該識別手段の識別結果に従って食器皿を種別毎に分別する分別手段と、を備え、前記皿搬送装置は、前記分別手段によって分別された食器皿を前記調理台に搬送することを特徴とする食器皿搬送システム。
【請求項2】
前記皿搬送装置は、少なくとも一部が前記調理台の下方に配設されており、前記皿搬送装置により搬送されている食器皿を前記調理台上に上昇させる上昇手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の食器皿搬送システム。
【請求項3】
前記皿移載装置は、食器皿を種別毎に複数枚積層するとともに、該積層された食器皿を前記皿搬送装置に移載し、前記皿搬送装置は、前記積層された食器皿を搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の食器皿搬送システム。
【請求項4】
前記皿移載装置は、前記皿洗浄装置で洗浄された食器皿が積層される載置台を備えており、該載置台は、食器皿が積層される毎に次の食器皿が積層可能なように下降することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の食器皿搬送システム。
【請求項5】
前記調理台には、食器皿を種別毎に要求可能な皿要求手段が設けられており、前記皿搬送装置は、前記皿要求手段により要求された食器皿を前記調理台における指定箇所に搬送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の食器皿搬送システム。
【請求項6】
使用済みの食器皿を回収する皿回収装置と、該皿回収装置から前記皿洗浄装置に食器皿を移載する回収洗浄間移載装置と、を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の食器皿搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−18571(P2013−18571A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151162(P2011−151162)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】