説明

飲料およびその製造方法

【課題】人工的な風味となることなく、梅果汁を含有する飲料に特有の、呈味感がないという問題が改善された、優れた梅の風味を有する飲料を提供すること。
【解決手段】脱塩梅酢と梅果汁とを含有することを特徴とする飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅の風味を有する飲料およびその製造方法ならびに梅果汁を含有する飲料の風味改善方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
梅果汁は、豊かな風味を有し、また、疲労回復や食欲増進などに有効なクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸を豊富に含んでいることから、従来から飲料などの各種の飲食品に広く利用されている。
【0003】
このような飲食品としては、例えば、黒酢を含む飲料に梅果汁を配合した風味良好で嗜好性に優れた黒酢飲料(特許文献1)や、みかん果汁、桃果汁および梅果汁とを所定の割合で配合した酸味と甘味のバランスに優れ後味のさっぱりとした飲料(特許文献2)を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、これらの飲料は、飲料の風味改善を目的として梅果汁を配合するものであり、梅果汁を含有する飲料、特に梅果汁を主体とする飲料の風味を改善する技術については、報告されていない。
【特許文献1】特許第3776002号公報
【特許文献2】特開2004−350503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の梅果汁を主体とする飲料について本発明者らが検討したところ、梅果汁を主体とする飲料は梅果汁由来の自然でかつ新鮮な梅の風味はあったが、梅の風味のベースとなる豊かな梅感、いわゆる呈味感が足りないという風味上の問題があり、梅本来の味わいを十分に楽しむには、物足りない味となっていた。
【0006】
飲料の技術分野においては、このような呈味感の不足等といった風味上の問題を解決するために、一般的に、果汁含有量を増加すること、若しくは各種合成香料を添加することにより呈味感を増強し、特徴的な風味を付与することが行われている。
【0007】
しかしながら、本発明者らのさらなる検討によると、梅果汁を含有する飲料において、梅果汁の含有量を増加させても梅の呈味感は得られないことが判明した。また、梅果汁を主体とする飲料に合成香料を添加することにより、消費者の嗜好を本当に満足させるだけの十分な呈味感を付与するためには、合成香料を大量に添加する必要があることも判明した。そして、このように合成香料を大量に添加した場合には、合成香料が梅果汁を主体とする飲料に十分になじむことができず、合成香料の風味だけが際立ったものとなってしまい、飲料全体として人工的な風味となってしまうという問題が生じていた。
【0008】
従って、本発明は、人工的な風味となることなく、梅果汁を含有する飲料に特有の、呈味感がないという問題が改善された、優れた梅の風味を有する飲料を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を配合することにより、梅本来の呈味感が付与されることを見出した。
【0010】
さらに、梅果汁と脱塩梅酢を含有する飲料にガラクトオリゴ糖を配合することにより、呈味感が増強されることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は脱塩梅酢と梅果汁とを含有することを特徴とする飲料である。
【0012】
また、本発明は、ガラクトオリゴ糖を含有することを特徴とする上記の飲料である。
【0013】
さらに、本発明は梅果汁と脱塩梅酢を添加する工程を具備することを特徴とする飲料の製造方法である。
【0014】
またさらに、本発明はガラクトオリゴ糖を添加する工程を具備することを特徴とする上記の飲料の製造方法である。
【0015】
さらにまた、本発明は梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を添加することを特徴とする梅果汁を含有する飲料の風味改善方法である。
【0016】
また、本発明はガラクトオリゴ糖を添加することを特徴とする梅果汁を含有する飲料の風味改善方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を配合することにより、人工的な風味となることなく、飲用時に感じられる呈味感のなさといった梅果汁を含有する飲料に特有の風味上の問題を改善することができるものである。
【0018】
従って、本発明により、呈味感が増強され、梅本来の豊かな梅感があり梅本来の味わいを楽しむことができる風味良好な梅果汁を含有する飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の飲料に使用される梅果汁は、梅(学名:Prunus mume)の果実(梅果)を原料として、常法に従って果汁を抽出することにより得ることができる。原料として用いられる梅果の品種としては、特に制限されるものではなく、例えば、南高梅、白加賀梅、竜峡小梅、甲州小梅等が挙げられる。また、原料として用いられる梅果の熟度は特に制限されるものではなく、未成熟の青梅でも、完熟したものでも用いることができる。
【0020】
梅果から果汁を抽出する際の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、梅果を圧搾し搾り出す方法、糖の浸透圧により抽出する方法、またはアルコールにより抽出する方法が挙げられる。
【0021】
このようにして得られる梅果汁は、そのまま用いてもよいが、常法により、精製、濃縮等したものを用いてもよい。精製方法は、特に制限されるものではなく、例えば、ペクチン分解酵素等の酵素により酵素処理をする方法、遠心分離機でパルプ分を除く方法、限外ろ過により不溶物を除く方法等が挙げられる。また、濃縮方法も、特に制限されるものではなく、例えば、真空濃縮、凍結濃縮、膜濃縮等が挙げられる。これらの方法を用いる時の条件は、特に制限されるものではなく、用いる方法に適した条件で行えばよい。なお、本発明で用いる梅果汁としては、上記のようにして製造されるものの他に、市販されているものを用いてもよい。このような市販品としては、例えば、商品名:梅濃縮果汁1/5(南海果工株式会社製)等を挙げることができる。
【0022】
また、本発明の飲料に使用される脱塩梅酢は、梅果を塩漬けにした際に梅果から浸出する梅酢から、常法に従って塩分を除去することにより得られるものである。梅酢を製造する際に用いられる梅果としては、前記梅果汁を得るものと同様のものが挙げられる。またこの脱塩梅酢は、塩分濃度が0〜0.2質量%(以下、単に「%」という)であることが好ましい。なお、上記塩分濃度は、脱塩梅酢の量をクエン酸相当酸度7.0%の脱塩梅酢の量に換算した時の値であり、本発明におけるクエン酸相当酸度とは、飲料中に含まれる全ての酸をクエン酸と仮定した場合のクエン酸の質量パーセント濃度を指し、飲料10gを0.1規定の水酸化ナトリウムを用いてpH=8となるまで滴定し、その滴定量から算出することができる。
【0023】
上記脱塩梅酢を製造するにあたっての、梅酢から塩分を除去する方法は、特に制限されるものではないが、例えば、電気透析処理を施す方法を挙げることができる。また、これらの方法を用いる時の条件も、特に制限されるものではなく、採用する方法に適した条件で行えばよい。このようにして得られた脱塩梅酢は、そのまま用いてもよいが、常法により濃縮したものも用いることができる。脱塩梅酢の濃縮方法は、特に制限されるものではなく、例えば、梅果汁と同様の方法が挙げられる。これらの方法を用いる時の条件は、特に制限されるものではなく、用いる方法に適した条件で行えばよい。また、脱塩工程と濃縮工程の順序は、どちらが先でもよいが、脱塩に要するコストをより低くするためには、濃縮工程の後に脱塩工程を行うことが好ましい。
【0024】
また、脱塩梅酢の製法が、例えば、特許第3765716号等に記載されているので、これに従って製造したものを用いても良い。
【0025】
なお、本発明で用いる脱塩梅酢としては、上記のようにして製造されるものの他に、市販されている脱塩梅酢を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、商品名:脱塩濃縮梅酢BX70(株式会社紀州ほそ川製)等を挙げることができる。
【0026】
本発明の飲料の調製は、上記梅果汁と脱塩梅酢を常法に従って混合することにより行われる。本発明飲料中での、梅果汁の含有量は特に制限されるものではないが、その含有量が5〜20%であることが好ましい。本発明の飲料における梅果汁の含有量が5%未満であると、梅の風味が十分でないため、その含有量が5〜20%である場合に比べて好ましくなく、含有量が20%を超えると、梅果汁特有の酸味や渋味が強くなりすぎて飲料の風味が劣化することがあるため、その含有量が5〜20%である場合に比べて好ましくない。なお、上記梅果汁の含有量は、飲料中の梅果汁の含有量をクエン酸相当酸度3.5%の梅果汁の含有量に換算した時の値である。
【0027】
また、本発明の飲料中の脱塩梅酢の含有量も特に制限されるものではないが、飲料として好ましい程度の呈味感のあるものとするためには、脱塩梅酢の含有量は0.5〜6%であることが好ましい。本発明の飲料における脱塩梅酢の含有量が0.5%未満だと、梅の呈味感が弱いことがあるため、その含有量が0.5〜6%である場合に比べて好ましくなく、脱塩梅酢の含有量が6%を超えると、梅の呈味感が強すぎてくどい味になることがあるため、その含有量が0.5〜6%である場合に比べて好ましくない。なお、上記脱塩梅酢の含有量は、飲料中の脱塩梅酢の含有量をクエン酸相当酸度7.0%の脱塩梅酢の含有量に換算した時の値である。
【0028】
さらに、本発明の飲料の梅果汁(クエン酸相当酸度3.5%換算量)と脱塩梅酢(クエン酸相当酸度7.0%換算量)の質量比も特に制限されるものではないが、飲料としてより好ましい程度の呈味感のあるものとするためには、それらの質量比が1:0.05〜0.6の範囲であることが好ましい。本発明の飲料における脱塩梅酢の量が、梅果汁と脱塩梅酢の質量比で1:0.05である場合に比べて少ない時は、脱塩梅酢による風味改善効果が弱くなることがあるため、その質量比が1:0.05〜0.6である場合に比べて好ましくなく、脱塩梅酢の量が、梅果汁と脱塩梅酢の質量比で1:0.6である場合に比べて多い時は、梅の呈味感が強すぎてくどい味になることがあるため、その質量比が1:0.05〜0.6である場合に比べて好ましくない。
【0029】
以上のようにして得られる本発明の飲料のクエン酸相当酸度は、特に限定されるものではないが、風味がより良い飲料としての酸度は、0.28〜0.84%である。本発明の飲料におけるクエン酸相当酸度が0.28%未満であると、酸味が弱いことがあるため、その酸度が0.28〜0.84%である場合に比べて好ましくなく、クエン酸相当酸度が0.84%を超えると、酸味が強くなりすぎることがあるため、その酸度が0.28〜0.84%である場合に比べて好ましくない。
【0030】
なお、本発明の飲料は、梅果汁と脱塩梅酢とを配合することにより、上記範囲の酸度とすることができるが、さらにクエン酸相当酸度を調整するために、有機酸を含有させてもよい。具体的な有機酸としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
【0031】
上記した本発明の飲料には、さらに呈味感が増強されたものとするために、ガラクトオリゴ糖を含有させることが好ましい。このガラクトオリゴ糖は、天然物から常法に従い得られたもの、或いは一般的な製造方法、例えば、乳糖を含む原料に酵素を作用させる方法に従い得られたものであれば、何れを用いてもよく、市販されているガラクトオリゴ糖を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、商品名:オリゴメイト55N、オリゴメイトS−HP(何れもヤクルト薬品工業株式会社製)、商品名:カップオリゴ(日新製糖株式会社製)等が挙げられる。また、本発明の飲料におけるガラクトオリゴ糖の含有量は、特に制限されるものではないが、より風味をよくするためには、0.4〜10%であることが好ましい。なお、本発明の飲料におけるガラクトオリゴ糖の含有量が0.4%未満だと、コクや飲み応えが弱くなることがあるため、その含有量が0.4〜10%である場合に比べて好ましくなく、含有量が10%を超えるとコクや飲み応えが強くなりすぎることがあるため、その含有量が0.4〜10%である場合に比べて好ましくない。なお、上記ガラクトオリゴ糖の含有量は、ガラクトオリゴ糖の固形分の含有量である。
【0032】
さらに、本発明の飲料には、梅果汁由来の渋味や苦味を軽減し、風味をより好ましいものとするために、クエン酸ナトリウムを含有させることが好ましい。このクエン酸ナトリウムは、天然物から常法に従い得られたもの、或いは一般的な製造方法に従い得られたものであれば、いずれを用いてもよく、市販されているクエン酸ナトリウムを用いてもよい。このような市販品としては、例えば、商品名:クエン酸三ナトリウム(扶桑化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、本発明の飲料におけるクエン酸ナトリウムの含有量は、特に制限されるものではないが、0.01〜0.7%であることが好ましい。なお、本発明の飲料におけるクエン酸ナトリウムの含有量が0.01%未満だと、渋味や苦味の低減効果が十分でないことがあるため、その含有量が0.01〜0.7%である場合に比べて好ましくなく、その含有量が0.7%を超えると、飲料の後口が重くなりすぎることがあるため、その含有量が0.01〜0.7%である場合に比べて好ましくない。
【0033】
本発明の飲料には、さらに製品の風味を損なわない程度で、各種糖質や乳化剤、増粘剤、甘味料、果汁等の副原料を含有させてもよい。
【0034】
具体的な副原料としては、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、澱粉、ジェランガム等他の増粘(安定)剤、リンゴ果汁、レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁やそれらの香料等が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等を添加することが可能である。なお、これら食品素材を添加する際の添加順序について特に制限はない。
【0035】
本発明の飲料は、前記のように常法に従い、通常の飲料原料中に梅果汁と脱塩梅酢を配合することにより製造することができるが、この際の、梅果汁と脱塩梅酢の添加時期は特に制限されるものではない。また、本発明の飲料の呈味感を増強させるために、さらにガラクトオリゴ糖やクエン酸ナトリウムを添加する場合であっても、その添加時期は特に制限されるものではない。
【0036】
斯くして得られる本発明の飲料は、呈味感が増強され、梅本来の豊かな梅感があり梅本来の味わいを楽しむことができる風味良好な梅果汁を含有する清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料等の飲料である。
【0037】
なお、本発明の飲料は、製造後に、さらに、レトルト殺菌機やHTST殺菌機などを用いて加熱殺菌し、缶、PET容器、瓶、紙などの容器に充填、密封し、長期間の保存に適した形としてもよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
【0039】
実 施 例 1
飲料の製造(1):
果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖2%、クエン酸ナトリウム0.05%、香料を0.05%、梅果汁および脱塩梅酢を表1に示すとおりの配合量で混合溶解後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これを缶容器に充填した後冷却し、飲料を得た。得られた飲料をパネラー5名で飲用し、下記評価基準により風味評価した。この結果も表1に示した。
【0040】
<風味評価基準>
(評価) (内容)
◎ : 風味がとてもよい
○ : 風味がよい
△ : どちらでもない
× : 風味が悪い
【0041】
【表1】

【0042】
上記の結果より、梅果汁を含有する飲料において、梅果汁の濃度を高めても梅の呈味感は得られないが、梅果汁と脱塩梅酢とを組み合わせることにより梅の呈味感が得られることが明らかになった。
【0043】
実 施 例 2
飲料の製造(2):
果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖2%、クエン酸ナトリウム0.05%、香料0.05%と、梅果汁、脱塩梅酢およびガラクトオリゴ糖を表2に示すとおりの配合量で混合溶解後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これを缶容器に充填した後冷却し、飲料を得た。得られた飲料を飲用し、実施例1と同様の評価基準により風味評価した。この結果も表2に示した。
【0044】
【表2】

【0045】
上記の結果より、梅果汁と脱塩梅酢を含有する飲料に、さらに、ガラクトオリゴ糖を含有させることで、梅の呈味感やこくが増し、さらにまろやかとなることが明らかとなった。また、梅果汁とガラクトオリゴ糖を含有する飲料であっても、脱塩梅酢を含有していない飲料は呈味感が得られないことが示された。
【0046】
実 施 例 3
飲料の製造(3):
果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖2%、ガラクトオリゴ糖(商品名:オリゴメイト55N、ヤクルト薬品工業株式会社製、固形分75%、固形分中のガラクトオリゴ糖濃度55%)1.3%(固形分換算)、クエン酸ナトリウム0.05%、香料0.05%、梅果汁および脱塩梅酢を表3に示すとおりの配合量で混合溶解後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これを缶容器に充填した後冷却し、飲料を得た。得られた飲料を飲用し、実施例1と同様の評価基準により風味評価した。この結果も表3に示した。
【0047】
【表3】

【0048】
上記の結果より、飲料中の梅果汁の含有量が、5〜20%となるように梅果汁を配合し、さらに脱塩梅酢を配合することにより、新鮮な梅感があり、かつしっかりとした梅の呈味感がある飲料を得ることが明らかとなった。また、飲料中のクエン酸相当酸度が0.28〜0.84%となるように梅果汁と脱塩梅酢を配合することにより、しっかりとした梅の呈味感がある飲料を得られることが示された。
【0049】
実 施 例 4
飲料の製造(4):
果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖2%、ガラクトオリゴ糖(商品名:オリゴメイト55N、ヤクルト薬品工業株式会社製、固形分75%、固形分中のガラクトオリゴ糖濃度55%)1.3%(固形分換算)、クエン酸ナトリウム0.05%、香料0.05%、梅果汁10%、梅果汁1に対する質量比が表4に示すとおりの量の脱塩梅酢を混合溶解後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これを缶容器に充填した後冷却し、飲料を得た。得られた飲料を飲用し、実施例1と同様の評価基準により風味評価した。その結果も表4に示した。
【0050】
【表4】

【0051】
上記の結果より、梅果汁と脱塩梅酢とを含有する飲料において、梅果汁1に対して質量比で0.05〜0.6(飲料中に0.5〜6%)となるように脱塩梅酢を配合することで、しっかりとした梅の呈味感がある飲料を得られることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明飲料によれば梅果汁を含有していながらも、優れた呈味を有する飲料を提供することができる。
【0053】
従って、本発明飲料は、各種健康飲料や清涼飲料等とすることができる。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩梅酢と梅果汁とを含有することを特徴とする飲料。
【請求項2】
梅果汁の含有量が5〜20質量%であることを特徴とする請求項第1項記載の飲料。
【請求項3】
飲料のクエン酸相当酸度が0.28〜0.84質量%であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の飲料。
【請求項4】
さらに、ガラクトオリゴ糖を含有することを特徴とする請求項第1項乃至第3項の何れかの項に記載の飲料。
【請求項5】
梅果汁と脱塩梅酢を添加する工程を具備することを特徴とする飲料の製造方法。
【請求項6】
さらに、ガラクトオリゴ糖を添加する工程を具備することを特徴とする請求項第5項記載の飲料の製造方法。
【請求項7】
梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を添加することを特徴とする梅果汁を含有する飲料の風味改善方法。
【請求項8】
さらに、ガラクトオリゴ糖を添加することを特徴とする請求項第7項記載の梅果汁を含有する飲料の風味改善方法。

【公開番号】特開2010−119348(P2010−119348A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296643(P2008−296643)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【Fターム(参考)】