説明

飲料の抽出用のドリッパーとこれを用いた飲料自動抽出器

【課題】サーバーを抜き差しする際の蓋側の凸部に対する引っ掛かりを軽減できるようにする。
【解決手段】収容した飲料の抽出材にドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に差し入れられるサーバー200に流出口3から流出させるドリッパー100において、前記サーバー200の差し入れ時その蓋300側の凸部5に、受動部6が引っ掛かり合って押し上げ分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁7を有し、このドリッパー弁7は、その受動部6での前記凸部5との押し上げ分力を伴う引っ掛かりによりサーバー200の差し入れ方向側上向きに傾動するようにして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーなどの飲料の抽出用のドリッパーとこれを用いた飲料自動抽出器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2は、飲料自動抽出器のドリッピング部の下に抜き差しして着脱され、収容している飲料の抽出材にドリッピングを受けて飲料を抽出するドリッパーを開示している。これらのドリッパーは、抽出飲料の流出口に常閉弁を有し、残留する抽出飲料があっても漏れ出ない利点がある。常閉弁は下動習性を有して閉じ、ドリッパーの下に側方から抜き差しされるサーバーの蓋によって上方へ押し開かれ、抽出した飲料を、蓋を通じサーバー内に流下させられるようにしている。このために、下記特許文献1、2に開示の蓋は、その中央に凸部を有し、側方から所定位置まで差し入れる過程で、この凸部がドリッパーの常閉弁の受動部との引っ掛かりによって生じる持ち上げ分力にて押し開き、押し開き位置では同心に対向し合っている。
【0003】
特許文献1に開示の蓋は、サーバーの注出口部を除く範囲を覆う単板構造で、ドーム型の凸部まわりを外周側から凸部に向けて低くして、ドリッパーから流下する抽出飲料を受け、凸部まわりの落とし口からサーバー内に抽出飲料が流下するようにしている。また、常閉弁は、下向きに凸の球面とした受動部を有し、適正位置に差し入れられたサーバー側の凸部と同心に対向し合って常閉弁が上方へ押し開かれるようになっている。結果、蓋の凸部と常閉弁の受動部とは、常閉弁を押し上げ開くだけの押動代を有して上下に対向し合い、サーバーなどの側方からの抜き差し時に常閉弁がその受動部下での凸部の進入、退避に応動するようになっている。
【0004】
特許文献2に開示の蓋は、サーバーの片口を持った開口の内周にねじ嵌合して装着され、この装着状態でサーバー内を前記片口に繋げる注出路と、この注出路を開閉する常閉の注出弁と、ドリッパーからの抽出飲料を受け入れてサーバー内に流入させる受け入れ路と、この受け入れ路を開閉する常閉のサ−バー弁とを有している。これによって、サーバーは転倒しても飲料が漏れ出ることはない。この蓋側のサーバー弁は、蓋の前記凸部を受動部とするように弁棒で繋がり、上動習性を有して閉じる。これによって、サーバーをドリッパーの下に差し入れると、凸部とドリッパー側の常閉弁であるドリッパー弁の受動部とが上下に押し退け合うことで、ドリッパー弁およびサーバー弁が押し開かれ、ドリッパーから抽出飲料が流出し、これを蓋側が凸部まわりを外周側から弁棒の貫通穴まで低くして受け、貫通穴から受け入れ路を通じサーバー内に流入する。結果、蓋側常閉弁の凸部と常閉弁の受動部とは、互いを持ち上げ分力および押し下げ分力によって上下に押し退け合い常閉弁双方を開くだけの押動代を有して上下に対向し合い、サーバーなどの抜き差し時に常閉弁が凸部の進入、退避に応動するようになっている。
【0005】
サーバー側の注出弁は、サーバー側の取っ手の上部に操作部が延びる操作レバーによって開くことができ、取っ手を把持して持ち上げ開き操作しながら飲料を注ぐことができる。サーバーは、金属製の真空二重容器による高い真空断熱性にて受け入れた飲料を長時間保温でき、電気的なウォーマーによる場合のように飲料を経時的に煮詰めるような問題を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3703739号公報
【特許文献2】特開2008−168911号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2に開示の技術は、ドリッパー側の受動部とサーバーの蓋側の凸部とは、サーバーの差し入れ、引き出しに際しドリッパー弁、または、ドリッパー弁およびサーバー弁双方を、押し開く上下の押動代を有して当接し合うので、球面どうしによる滑りはあるものの、引っ掛かり感があって、差し入れ位置や向きの関係、付着飲料の影響などでスムーズに行かない場合がある。特に、特許文献2に開示のものでは、ドリッパー側の受動部とサーバーの蓋側の凸部との上下の押動代による引っ掛かり量が、ドリッパー弁およびサーバー弁双方を押し開くために、特許文献1に記載のものの場合に比し倍加するので、強い引っ掛かり合いが抜き差し操作に影響する。しかも、ドリッパーは、底部に受動部が露出する常閉弁を保護するなどのために、受動部のまわりを囲う周壁を設けようとすると、受動部と周壁との間の窪みに蓋側の凸部が引っ掛かり、凸部の周壁下端との引っ掛かりが特に強く、サーバーが抜き差しし難くなる。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑み、サーバーを抜き差しする際の蓋側の凸部に対する引っ掛かりを軽減できる常閉弁を持った飲料の抽出用のドリッパーとこれを用いた飲料自動抽出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の飲料の抽出用のドリッパーは、収容した飲料の抽出材にドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に差し入れられるサーバーに流出口から流出させるドリッパーであって、前記サーバーの差し入れ時その蓋側の凸部に、受動部が引っ掛かり合って押し上げ分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記凸部との押し上げ分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにしたことを1つの特徴としている。
【0010】
このような構成では、ドリッパーは、ドリッピング位置にて、収容している飲料の抽出材にドリッピングを受けることで飲料を抽出するが、自身の下にサーバーが差し入れられてその蓋の凸部にて流出口にある常閉のドリッパー弁が上方に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、流出口を通じサーバー内に流出させられる。ドリッパー弁は、特に、ドリッパーの下にサーバーが側方から差し入れられて、サーバーの蓋側の凸部に受動部が引っ掛かり合いながら押し上げ分力を受けて押し開かれる際、この押し上げ分力を伴う引っ掛かり合いによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動させられるので、蓋側の凸部との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられる。
【0011】
本発明の飲料の抽出用のドリッパーは、また、収容した飲料の抽出材にドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に差し入れられるサーバーに流出口から流出させるドリッパーであって、前記サーバーの差し入れ時その蓋側の凸部に、受動部が引っ掛かり合って押し上げ分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記凸部との押し上げ分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにし、受動部を囲う底部周壁の下端および受動部の少なくとも一方を自立するように載置する接地部としたことを別の特徴としている。
【0012】
このような構成では、ドリッパーは、ドリッピング位置にて、収容している飲料の抽出材にドリッピングを受けることで飲料を抽出するが、自身の下にサーバーが差し入れられてその蓋の凸部にて流出口にある常閉のドリッパー弁が上方に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、流出口を通じサーバー内に流出させられる。ドリッパー弁は、特に、ドリッパーの下にサーバーが側方から差し入れられて、サーバーの蓋側の凸部に受動部が引っ掛かり合いながら押し上げ分力を受けることにより押し開かれる際、この押し上げ分力を伴う引っ掛かり合いによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動させられて、凸部との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられる。また、ドリッパー弁の受動部がサーバーの蓋側の凸部との引っ掛かり合いのためにドリッパーの底部流出口下に露出しているところ、これを囲う底部周壁があることによって取り扱い時にまわりと干渉するなどして不用意な外力を受けることから保護できるし、この底部周壁および受動部の少なくとも一方がなす接地部にて自立状態に着座させられる。
【0013】
本発明の飲料自動抽出器は、給水タンクと、この給水タンク内の水を導入して加熱し吐出口へと一方通行で送り吐出する給湯手段とを装備した器体と、この器体の上部の前記吐出口が下向きに開口しているドリッピング部の下に装着されて、収容している飲料の抽出材に吐出口から湯のドリッピングを受け飲料を抽出し流出口から流出させるドリッパーと、このドリッパーの下に差し入れられてドリッパーからの飲料を受け入れるサーバーと、サーバーの開口に着脱できるように装着されて、サーバー内の飲料を外部に注出する注出路と、この注出路を開閉する常閉の注出弁およびこれを外部操作する操作手段と、ドリッパーからの飲料を受けてサーバー内に流入させる受け入れ路と、この受け入れ路上に突出する受動凸部を有して受け入れ路を開閉する常閉のサーバー弁とが設けられた蓋と、を備え、ドリッパーは、サーバーの差し入れ時その蓋上に突出した受動凸部に、受動部が引っ掛かり合って互いに上下に押し退け合う押し退け分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記受動凸部との押し退け分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにしたことを特徴している。
【0014】
このような構成では、ドリッパーは、器体のドリッピング部に装着されて、収容している飲料の抽出材に器体側の給水タンクから給湯手段を経て吐出口から吐出される湯のドリッピングを受けることで飲料を抽出するが、自身の下にサーバーが差し入れられてその蓋の受動凸部と引っ掛かり合い互いを上下に押し退け合って流出口にある常閉のドリッパー弁が上方に押し開かれ、蓋にある常閉のサーバー弁が下方に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、ドリッパーの流出口から流出させ、蓋の受け入れ路を通じサーバー内に流入させられる。ドリッパー弁は、特に、サーバーが側方から差し入れられて自身の受動部がサーバー弁の受動凸部と引っ掛かり合って互いを押し退け合う押し退け分力によって押し開かれる際、これら押し退け分力を伴う引っ掛かり合いによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動されるので、受動凸部との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられる。飲料を受け入れたサーバーを引き出すと蓋側の受動凸部およびドリッパー側の受動部は互いの押し退け合いから解放されてサーバー弁およびドリッパー弁共に自閉し、サーバーは操作手段によって注出弁を開くことで注出路を通じ飲料を外部に注出できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、飲料の抽出用のドリッパーの1つの特徴によれば、ドリッピング位置にて、ドリッピングを受けることで飲料を抽出し、自身の下にサーバーが差し入れられてその蓋の凸部にて常閉のドリッパー弁が押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を流出口からサーバー内に流出させられるが、ドリッパー弁は押し開かれる過程で、押し上げ分力を伴う蓋の凸部との引っ掛かり合いにより受動部と共に、サーバーの差し入れ方向側上向きに傾動させられて、蓋側の凸部との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられるので、引っ掛かり合いが軽減されまたは回避される度合いに応じサーバーはスムーズに所定位置まで差し入れられ、ドリッパー弁を押し開いて保持することができ、使用しやすいものとなる。また、逆の挙動にてサーバーをドリッパーの下からスムーズに抜き出し、ドリッパー弁を凸部による押し開きから解放して自閉させられる。
【0016】
本発明の、飲料の抽出用のドリッパーの別の特徴によれば、1つの特徴の場合に加え、さらに、ドリッパー弁の受動部がサーバーの蓋側の凸部との引っ掛かり合いのためにドリッパーの底部流出口下に露出しているのを底部周壁に囲われて不用意な外力を受けることから保護されるので、ドリッパー弁の耐久性が向上するし、この底部周壁および受動部の少なくとも一方がなす接地部にて、構造の複雑化なしに自立状態に着座させられ、フィルターを嵌め込み、抽出材を投入するのに便利であるし、そのままどこにでも置ける利点がある。
【0017】
本発明の飲料自動抽出器によれば、ドリッパーは、器体のドリッピング部に装着されて器体側の給水タンクから給湯手段を経た湯を吐出口からドリッピングを受けて飲料を抽出するが、自身の下にサーバーが差し入れられてドリッパー弁の受動部とサーバー弁の受動凸部とが引っ掛かり合い互いを上下に押し退け合って常閉のドリッパー弁およびサーバー弁が共に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、ドリッパーの流出口、蓋の受け口、注出路を通じサーバー内に流入させられる。飲料を受け入れたサーバーがドリッパーの下から引き出されると、ドリッパー弁およびサーバー弁は互いの押し退け合いから解放されて自閉するので、ドリッパーに残留飲料があっても漏れ出るのを防止し、サーバーが転倒しても受け入れている飲料が漏れ出るのを防止することができる。しかも、ドリッパー弁は、特に、サーバーが側方から差し入れられて押し開かれる過程で、自身の受動部とサーバー弁の受動凸部との互いを押し退ける分力を伴う引っ掛かり合いによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動されて、受動凸部との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させるので、引っ掛かり合いが軽減されまたは回避される度合いに応じサーバーはスムーズに所定位置まで差し入れられ、ドリッパー弁を押し開いて保持することができ、使用しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るドリッパーの1つの具体例を着座状態で示す断面図。
【図2】同ドリッパーの使用状態、および同ドリッパーを用いた飲料自動抽出器の1つの具体例をサーバーの差し入れ途中の状態で示す断面図。
【図3】同ドリッパーの使用状態、および同ドリッパーを用いた飲料自動抽出器の1つの具体例をサーバーの所定位置への差し入れ状態で示す断面図。
【図4】図3でのドリッパー弁およびその受動部とサーバー弁の受動凸部との関係を示す一部の断面図である。
【図5】サーバー弁と操作手段との連結構造を示す横断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る飲料の抽出用のドリッパーとこれを用いた飲料自動抽出器の1つの具体例につき、図1〜図5を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0020】
本実施の形態に係る図1に示すドリッパー100は、収容した飲料の抽出材に図2、図3に示すドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に図2に示す途中状態を経て図3に矢印Aで示す方向に差し入れられるサーバー200に流出口3から流出させるが、サーバー200の差し入れ時その蓋300側の凸部5に、受動部6が矢印Aの方向に引っ掛かり合って押し上げ分力Bを受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁7を有している。このドリッパー弁7は、特に、その受動部6での前記凸部5との押し上げ分力を伴う矢印A方向での引っ掛かりにより矢印Cで示すサーバー200の差し入れ方向側上向きに傾動するようにしている。
【0021】
これにより、ドリッパー100は、ドリッピング位置にて、収容している飲料の抽出材にドリッピングを受けることで飲料を抽出するが、自身の下にサーバー200が矢印Aで示す方向に差し入れられてその蓋300の凸部5にて流出口3にある常閉のドリッパー弁7が上方に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、流出口3を通じサーバー200内に流出させられる。ドリッパー弁7は、特に、ドリッパー100の下にサーバー200が側方から差し入れられて、サーバー200の蓋300側の凸部5に受動部6が矢印Aで示す方向に引っ掛かり合いながら押し上げ分力Bを受けて押し開かれる際、この押し上げ分力Bを伴う引っ掛かり合いにより矢印Cで示すサーバー200の差し入れ方向側上向きに傾動させられるので、蓋300側の凸部5との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられる。
【0022】
この結果、ドリッピング位置にあるドリッパー100は、ドリッピングを受けて飲料を抽出し、自身の下にサーバー200が差し入れられてその蓋300の凸部5にて常閉のドリッパー弁7が押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を流出口3からサーバー200内に流出させられるが、ドリッパー弁7は押し開かれる過程で、押し上げ分力Cを伴う蓋300の凸部5との矢印Aで示す方向での引っ掛かり合いにより受動部6と共に、サーバー200の矢印Bで示す差し入れ方向側上向きに傾動させられて、蓋300側の凸部5との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられるので、引っ掛かり合いが軽減されまたは回避される度合いに応じサーバー200はスムーズに所定位置まで差し入れられ、ドリッパー弁7を押し開いて保持することができ、使用しやすいものとなる。また、逆の挙動にてサーバー200をドリッパー100の下からスムーズに抜き出し、ドリッパー弁7を凸部5による押し開きから解放して自閉させられる。
【0023】
ここで、サーバー200の側方からの差し込み時に蓋300の凸部5によって受動部6を介し押し開かれる常閉のドリッパー弁7は、下動習性をもって閉じ状態を維持することが必須となる。それには、自重によることもできるが、本例ではドリッパー弁7の弁体7aと受動部6とを繋ぐ弁棒7bのまわりで、受動部6とドリッパー100の底部との間にばね、具体的にはコイルスプリング9を働かせて下動習性を与えている。ドリッパー100の流出口3は、ドリッパー100の底部に開口し、この流出口3を弁棒7bが貫通して弁棒7bの上端部外周の溝部に弾性的に装着して保持した弁体7aが流出口3の上に位置し、流出口3の口縁から立ち上がる筒状の弁座7cに上方から対向し、コイルスプリング9による下動習性にて弁体7aが弁座7cに圧着してドリッパー弁7は落ち着き、流出口3を密閉する状態に安定する。
【0024】
また、受動部6と凸部5との間の矢印A方向の引っ掛かり合いによる押し上げ分力Bは、図示例では下に凸の球面とした受動部6と上に凸の球面であるドーム状とした凸部5との押し上げ代を有した矢印Aでの引っ掛かり合いによって生じるようにしている。このような球面どうしの引っ掛かり合いによれば、サーバー200の差し入れが矢印A方向を含むどの方向から行われてもよい。しかし、サーバー200に取っ手11を設けるのが一般的で、取っ手11を手前にして片手で把持し前に差し出すようにしてドリッパー100の下に差し入れ、また抜き出す操作が自然で、抜き差し方向が矢印A方向に特定しても使用に不便はない。このように抜き差し方向が矢印A方向に特定する場合、凸部5および受動部6の曲面は少なくとも矢印A方向にだけ形成されればよいし、特定方向での、曲面と平面または斜面、斜面と平面の組み合わせなどとすることもできる。もっとも、押し開かれたドリッパー弁7が閉じ状態に復帰する下動習性によって、ドリッパー100とサーバー200とが所定のドリッピング位置、差し入れ位置に安定するのを防止する配慮は必要である。しかし、実際上は、ドリッパー弁7に必要な下動習性力は小さくてよくそのような心配は不要である。
【0025】
ドリッパー弁7は、受動部6の下面が球面としていることに対応して、弁座7cの下端まわりに広がる椀状に形成して、流出口3から流出する飲料が受動部6の弁座7cと繋がる中央部に集まらせ、弁座7cまわりに弁座7cと受動部6とを周方向的数か所、具体的には3か所で連結する連結リブ6a間に飲料を流下させる流下口6bを形成して、ドリッパー100から流出する飲料を限られた範囲に広がりを制限してサーバー200側に流下させるようにしている。流出口3は流下口6bよりも小さくその開口縁に水切りリブ3bを設けて流出飲料の広がりを抑えながら、その外まわりに流出飲料のさらなる広がりを防止する水切りリブ3bよりも長く下方に垂下する広がり制限リブ3cを形成して、流出飲料が受動部6の外周まわりに万一にも及んで溢れ出るのを回避するようにしている。
【0026】
ドリッパー弁7の、サーバー200の差し込み時に、蓋300側の凸部5との矢印A方向での引っ掛かりと押し上げ分力Bとを受けて、矢印Cで示すサーバー200の差し込み方向側上向きに傾動する動きは、傾動中心を支持軸や瞬間移動中心を満足させて与えて行わせ、開閉ストローク上平行移動域が必要な場合はその範囲で支持軸が移動するようにして対応できる。しかし、それでは、軸支構造が必要であるし、場合によっては平行移動域に対応する軸移動構造も必要になる。また、軸支ではドリッパー弁7に対する拘束性が高く、弁座7cとの閉じ条件がシビアになりすぎる不便がある。これらを回避するのに図示例では、図1〜図4に示すように、ドリッパー弁7をその受動部6に対する外まわりからの案内面14の案内によって、所定の開閉動作域への安定を図りながら、矢印Aとは反対の反差し入れ方向側案内面14の途中に受動部6を押し上げ当初または途中で受け止めて、図示例では押し上げ当初から受け止めてドリッパー弁7が傾動するための、つまりflap動作するための支点15を与える段部14aを形成してある。これにより、ドリッパー弁7は、蓋300側の凸部5との押し上げ分力Bを伴う矢印Aでの引っ掛かり合いによって、受動部6の案内面14の段部14aへの当接位置を支点15として、受動部6を伴い矢印Cの差し入れ方向側上向きに傾動させられて、受動部6の反支点15側が図2に示すようにドリッパー100の底部に当接して最大開き位置に安定する。
【0027】
また、ドリッパー100は、上記に加え、さらに、ドリッパー弁7の受動部6を底部下まわりで囲う底部周壁8を有し、この底部周壁8の下端および受動部6の少なくとも一方を、ドリッパー100が図1に示すようにテーブル面12などに自立できるように載置する接地部13としている。これにより、ドリッパー100は、ドリッパー弁7の受動部6がサーバーの蓋300側の凸部5との引っ掛かり合いのためにドリッパー100の底部流出口3の下に露出しているところ、これを囲う底部周壁8があることによって取り扱い時にまわりと干渉するなどして不用意な外力を受けることから保護できるし、この底部周壁8および受動部6の少なくとも一方がなす接地部13にてドリッパー100を自立状態に着座させられる。従って、フィルターを嵌め込み、抽出材を投入するのに便利であるし、そのままどこにでも置ける利点があり、使い勝手が格段によくなる。
【0028】
さらに、図1に示すように、ドリッパー100は、受動部6及び底部周壁8の周方向一部が接地部13をなし、受動部6の中心がドリッパー100の、例えばフィルター底部の直線方向に沿う長手方向を利用するなどして、底部周壁8の中心に対し底部周壁8の反接地部13側に難なく偏心するようにしている。これにより、ドリッパー100が受動部6と底部周壁8の周方向一部とを接地部13として着座し自立するのに、受動部6の中心が底部周壁8の中心に対する底部周壁8の反接地部13側への偏心により、同じ大きさの底部域において受動部6と底部周壁8との接地部13間の距離が、それらが同心の場合よりも大きく、着座域を拡張できる。また、底部周壁8の下端がドリッパー100の軸心に直角で、受動部6の接地部13となる中央低位部が底部周壁8の下端よりも少し下方に突出している図1に示す関係から、受動部6の中央低位部で接地した載置状態でのドリッパー100の重量バランス上、ドリッパー100がそれに一体設けた取っ手71側に傾く。そこで、底部周壁8の接地部13はその周方向の取っ手71側部分としてあり、ドリッパーをテーブル面12などに着座させると、受動部6の中央低位部および底部周壁8の取っ手71側部分が自然と接地部13となって安定する。この2つの接地部13はドリッパー100の底部の長手方向に並んで、同方向に安定させるのに好適であるが、テーブル面12などに対し点接触となるので、前記長手方向に直交する左右方向にはドリッパー100の左右対称な形状による重量バランスで安定することになる。これを重量バランスによらず安定させるには、受動部6をドリッパー100に対しサーバー200が抜き差しされる方向に一致させた、ドリッパー100の底部の長手方向にだけ、湾曲ないしは傾斜し、左右方向にはストレートな形状となるようにすれば、左右方向に線接触してドリッパー100を左右方向にも機械的に安定させられる。なお、取っ手71はドリッパー100に一体形成しているが、取っ手71のドリッパー100との上下の連結アーム間に、ドリッパー100の周壁との間に安全隙間を確保した保護フレーム71aをも一体成形して、取っ手71を把持した手がドリッパー100に触れるのを防止している。これにより、飲料を抽出した直後のドリッパー100を取っ手71で把持して取り外し取り扱う場合など、高温のドリッパー100に手が触れて熱い思いをするようなことを回避できる。保護フレーム71aの存在は取っ手71に加え、ドリッパー100を載置状態で底部長手方向に安定させるのに寄与する。
【0029】
案内面14と段部14aは、底部周壁8の内周に内側に向け張り出させた多数のリブ14bによって形成しており、受動部6の反支点15側はドリッパー100の底部に当接して最大開き位置となっているが、案内面14の反支点15側に形成した、前記段部14aよりも低い段部、に当接して傾動した最大開き位置となるようにすることもできる。図示例の段部14aを形成していない反支点15側のリブ14bによる案内面14は、受動部6の反支点15側に摺接して受動部6が支点15まわりに傾動して最大開き位置となる動きを案内し、受動部6が案内面14との間で拗れるのを防止し、スムーズに開閉するようになっている。流出口3はドリッパー弁7のそのような傾動を許容するのに、流出口3を貫通している弁棒7bとの間に遊びを持つが、弁棒7bを横断面を十字などとするリブ7dを形成して、流出口3と弁棒7bとの遊びが小さくても過不足ない流量で飲料が流出できるようにしている。コイルスプリング9は、ドリッパー100底部の制限リブ3c繋がり部内まわりと、受動部6の弁棒7b繋がり部外まわりとの間で働く逆円錐状に形成したものとしてあり、これによって、受動部6およびこれを持ったドリッパー弁7を流出口3との同心位置に復帰させる求心性を発揮するし、コイルスプリング9のドリッパー100の底部側への当接位置と、受動部6側への当接位置が不変となるので、ドリッパー弁7の開閉動作が安定する。
【0030】
さらに、受動部6と底部周壁8との間に受動凸部5が引っ掛かってサーバー200を抜き差しし難くすることにつき、案内面14を形成するリブ14bを底部周壁8の内面から受動部6の近傍まで張り出すようにしている。これにより、底部周壁8に対する受動部6の偏心によって相互距離が大きくなる底部周壁8の取っ手71側の接地部13と受動部6との間でも受動凸部5が相互間に入り込んで引っ掛かるのを防止できる。
【0031】
図2、図3に示す上記のようなドリッパー100を用いる飲料自動抽出器400は、給水タンク21と、この給水タンク21内の水を図示しない逆止弁を介しヒータ22bに導入して加熱し吐出口22aへと一方通行で送り吐出するいわゆる瞬間湯沸かしタイプの給湯手段22とを装備した器体500と、この器体500の上部の前記吐出口22aが下向きに開口しているドリッピング部23の下に装着されて、収容している飲料の抽出材に吐出口22aから湯のドリッピングを受け飲料を抽出し流出口3から流出させるドリッパー100と、このドリッパー100の下に差し入れられてドリッパー100からの飲料を受け入れるサーバー200と、サーバー200の開口24に着脱できるように装着されて、サーバー200内の飲料を外部に注出する注出路25と、この注出路25を開閉する常閉の注出弁27およびこれを外部操作する操作手段28と、ドリッパー100からの飲料を受けてサーバー200内に流入させる受け入れ路29と、この受け入れ路29上に突出する前記凸部5を受動部である受動凸部5として有して受け入れ路29を開閉する常閉のサーバー弁31とが設けられた蓋300と、を備え、ドリッパー100は、サーバー200の差し入れ時その蓋300上に突出した受動凸部5に、受動部6が引っ掛かり合って互いに上下に押し退け合う押し退け分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁7を有し、このドリッパー弁7は、その受動部6での前記受動凸部5との押し退け分力Bを伴う引っ掛かりにより矢印Cで示すサーバー200の差し入れ方向側上向きに傾動するようにしている。
【0032】
これにより、ドリッパー100は、器体500のドリッピング部23に装着されて、収容している飲料の抽出材に器体500側の給水タンク21から給湯手段22を経て吐出口22aから吐出される湯のドリッピングを受けることで飲料を抽出するが、自身の下にサーバー200が差し入れられてその蓋300の受動凸部5と引っ掛かり合い互いを上下に押し退け合って流出口3にある常閉のドリッパー弁7が上方に押し開かれ、蓋300にある常閉のサーバー弁31が下方に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、ドリッパー100の流出口3から流出させ、蓋300の受け入れ路29を通じサーバー200内に流入させられる。ドリッパー弁7は、特に、サーバー200が側方から差し入れられて自身の受動部6がサーバー弁31の受動凸部5と引っ掛かり合って互いを押し退け合う押し退け分力B、Dによって押し開かれる際、これら押し退け分力B、Dを伴う引っ掛かり合いによりサーバー200の差し入れ方向側上向きに傾動されるので、受動凸部5との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させられる。飲料を受け入れたサーバー200を引き出すと蓋300側の受動凸部5およびドリッパー100側の受動部6は互いの押し退け合いから解放されてサーバー弁31およびドリッパー弁7共に自閉し、サーバー200は操作手段28によって注出弁27を開くことで注出路25を通じ飲料を外部に注出できる。
【0033】
この結果、ドリッパー100は、器体500のドリッピング部23に装着されて器体500側の給水タンク21から給湯手段22を経た湯を吐出口22aからドリッピングを受けて飲料を抽出するが、自身の下にサーバー200が差し入れられてドリッパー弁7の受動部6とサーバー弁31の受動凸部5とが引っ掛かり合い互いを上下に押し退け合って常閉のドリッパー弁7およびサーバー弁31が共に押し開かれていることを条件に、抽出した飲料を、ドリッパー100の流出口、蓋300の受け入れ路29を通じサーバー200内に流入させられる。飲料を受け入れたサーバー200がドリッパー100の下から引き出されると、ドリッパー弁7およびサーバー弁31は互いの押し退け合いから解放されて自閉するので、ドリッパー100に残留飲料があっても漏れ出るのを防止し、サーバー200が転倒しても受け入れている飲料が漏れ出るのを防止することができる。しかも、ドリッパー弁7は、特に、サーバー200が側方から差し入れられて押し開かれる過程で、自身の受動部6とサーバー弁31の受動凸部5との互いを押し退ける分力B、Dを伴う引っ掛かり合いによりサーバー200の矢印Cで示す差し入れ方向側上向きに傾動されて、受動凸部5との引っ掛かり合いを早期に軽減ないしは回避させるので、引っ掛かり合いが軽減されまたは回避される度合いに応じサーバー200はスムーズに所定位置まで差し入れられ、ドリッパー弁7を押し開いて保持することができ、使用しやすいものとなる。
【0034】
ここで、受け入れ路29は、蓋300上端に形成した受動部6よりも若干大きな径とした、下に凸の受皿部32の底部に繋がってサーバー200内にストレートに開口している。サーバー弁31はこの受け入れ路29の下端の開口部29aを下方から開閉する弁体33を有し、受け入れ路29の蓋300の受皿部32への開口部29b上に突出する受動凸部5と弁棒35を介し連動する弁体33とを有し、受け入れ路29を弁棒35を開口部25bから開口部25a下方へ縦通し、弁棒35の下端部の外周溝に前記弁体33を弾性的に装着してある。弁棒35は、受け入れ路29内周の上下2か所に飲料の流下を妨げないようブリッジ連結した軸受部36、37によって上下摺動できるように支持し、常閉機能のために下方の軸受部37と弁棒35の途中のフランジ部35aとの間にばね、具体的にはコイルスプリング38を働かせて上動習性を与え、弁体33を開口部25aに下方から圧接させて閉じ、その状態を維持するようにしている。サーバー弁31の受動凸部5は、ドーム形状頭部5aを有しこれが弁棒35に繋がり、弁体33の開閉に伴い受け入れ路29の上方の軸受部36より上の開口部25b側域で上下動するようにしている。
【0035】
ところで、ドリッパー弁7は、図2に示すようにサーバー200の所定位置手前への差し入れ状態で、サーバー弁31に先んじて傾動した最大開き位置となり、サーバー弁31は、サーバー200のそれ以上の図3に示す所定位置までのサーバー弁31の差し入れによって、受動凸部5が、ドリッパー弁7の最大開き位置受動部6に対応した上動限界にある受動部6により押し下げられることで、最大開き位置となるようにしている。このような関係は、ドリッパー弁7のコイルスプリング9のばね力をサーバー弁31のコイルスプリング38のばね力よりも弱くすることで実現する。これにより、サーバー200を図2の所定位置手前から図3の所定位置にまで差し入れて、サーバー弁31を最大開き位置にするのに、受動部6の傾動によって下方への押動代が軽減された条件下で所定位置まで引っ掛かり合い少なくスムーズに差し入れられる。しかも、受け入れ路29のサーバー弁31による閉止力を高められ、サーバー200の転倒時の受け入れ路29を通じた飲料の漏れ出し防止機能を高められる。もっともこれに限られることはなく、ばね力の強弱を逆にすることもできる。
【0036】
上記のようなドリッパー100の取っ手71を把持しての取り扱い上、器体500の上部から手前側に張り出したドリッピング部23の下面に、平面視して手前側に開放した馬蹄形に形成されたガイド溝41に、ドリッパー100の上端のフランジ42を反取っ手71側から抜き差しするようにしてあり、装着状態はフランジ42の左右の切り欠き42aとガイド溝41の左右の凸部41aとが弾性係合することで保持され、ドリッパー100の抜き出しは切り欠き42aと凸部41aと係合を弾性的に解除して行う。よって、ドリッパー100の抜き差しには切り欠き42aと凸部41aとの弾性的な係脱によるクリック感が伴う。器体500の下部にはドリッピング部23に対向した定置部43を有し、この定置部43上の窪み部43a内にサーバー200を受け入れて、サーバー200を図3に示すように所定の差し入れ位置に安定させられるようにしている。しかし、この窪み部43aの窪み量は微小でサーバー200の抜き差し時の受動凸部5および受動部6間の相互の押し退け合い及びその解除と、これによるドリッパー弁7およびサーバー弁31の押し開きおよび自閉に影響を与えることはない。
【0037】
サーバー200は、ステンレス鋼製の真空二重容器としてあり、底部に樹脂製の保護カバー44を無理嵌めして装着し、口部24にはそれに上方から被さる樹脂製の肩部材46を無理嵌めして装着し、片口47aを持った開口47を形成している。蓋300は、開口47に周壁がねじ嵌合して着脱できるように装着される栓部50と、この栓部50の周壁上端にその周方向数か所の切りこみによる弾性を利用した着脱できるように周壁が無理嵌めされたカバー部52とを有し、栓部50にその底部のサーバー200内への開口部25aから立ち上がって後片口47aに向け屈曲して片口47aに繋がる注出路25を周壁の片口47a側内部に形成し、底部中央から立ち上がる筒状の弁ガイド53に、開口部25aを下方から開閉する注出弁27の弁棒61を上下動できるように下方から上方に貫通させている。弁棒61は中空筒で、受け入れ路29の上方の軸受部36から下の下半部29cを兼用している。
【0038】
一方、蓋300のカバー部52は、受け入れ路29の軸受部36を含む上半部29dを一体に形成しており、この上半部29dの外周りにラフに嵌り合う貫通窓51aを途中に持った操作レバー51を配して、その一端の操作部51bがサーバー200の肩部材46に一体形成された取っ手11の上に位置するようにし、操作レバー51の他端部を栓部50の上端の反取っ手11側の左右位置に設けた軸受片50aに自身の両側に突出する軸51cによって軸支している。併せ、操作レバー51を軸51cまわりに装備した蔓巻きばね54によって操作部51bが上動する側に付勢している。その上で、注出弁27の弁体62の中央部から上方へ延びる弁棒61の上端に設けた二股片61a、61aを、図5に示すように操作レバー51の貫通窓51aに、その内周の係合ピン51dに邪魔されない位置にて下方から嵌め合わせた後、弁体62部にて係合ピン51d側に矢印Eの方向に回動させることで、二股片61a、61aの弾性を利用し係合ピン51dをカム面61bに滑り上がらせながら係合穴61cに弾性係合させて連結し、注出弁27の弁体62に上動付勢力を及ぼして常閉とし、操作レバー51を蔓巻きばね54に抗し操作部51bにより下動させることでサーバー弁31を下方に押し開く既述の操作手段28を構成している。
【0039】
なお、注出弁27により注出路25の開口部25aを閉じるのに、弁体62の外周にシールパッキン55を装着して、栓部50の開口部25aを囲う底部外周部に圧接させて、間接的に閉止するようにしている。栓部50の底部外周にもシールパッキン56を装着してサーバー200の口部45の内周ネッキング部に圧着して、栓部50の口部45との間に飲料が入り込まないようにしている。弁棒61の外周にもシールパッキン57を装着して弁ガイド53との間から飲料が外部に漏れ出るのを防止するようにしている。
【0040】
注出弁27の閉止時、図1、図2に示すように弁棒61が形成する受け入れ路29の下半部29aの上端は、カバー部52が形成する受け入れ路29の上半部29bの下端と若干嵌り合うなどして互いが1つの受け入れ路29に繋がる位置関係を保ち、ドリッパー100側からの飲料を受け入れて、漏れなくサーバー200内に流入させられる。これに対し注出弁27が下方に押し開かれると下半部29aと上半部29bとの繋がりはなくなるが、この状態で飲料が通ることはないので問題にはならない。このような受け入れ路29の下半部29cと上半部29dとの分割構造に併せ、ドリッパー弁31の弁棒35も、コイルスプリング38を働かせた下半部35cと、これに自重で連動する上半部35dとに分割し、受け入れ路29の対応する下半部29cと上半部29dとに個別に装備している。
【0041】
そこで、受け入れ路29の下半部29cは、軸受部37に弁棒35の下半部35cを上方から挿入し、軸受部37の下に突出した下半部35cの下端部に軸受部37の軸受穴よりも大径の弁体33を弾性的に装着することで、抜け止めを兼ねるようにしている。これにより、弁体33を取り外せば注出弁27と弁棒35の下半部35cを分離できる。また、受け入れ路29の上半部29dは、弁棒35の上半部35dにおける受動凸部5の下に二股軸を軸受部36に上方から差し込み、それらの弾性変形を利用して抜け止め凸部が軸受部36の軸受穴をその仮面口縁側に潜って弾性係合し抜け止めするようにしている。この弾性係合による抜け止めは弁棒35の上半部35dを上方へ引き抜くことで解除でき、上半部29dと上半部35dとも分解できる。栓部50とカバー部52との分解、注出弁27の操作レバー51からの分離を含め、栓部50には操作レバー51が軸支されたままではあるが、全ての部材を丸洗いでき、コーヒーなど汚れが残りやすい飲料を取り扱うのに好適である。さらに、弁棒35の上半部35dの受動凸部5を持った受け入れ路29の上半部29dと嵌め合う頭部35eは、図4に示すように、外周にリブ35fを有して上半部29dとの間に飲料の流下通路を確保した上で、リブ35fに形成した下向きの段部35gが29bの口縁に当接して、閉止したドリッパー弁7の押し下げによるサーバー弁31の最大開口位置を規制され、サーバー200の所定位置への差し入れによる、ドリッパー弁7およびサーバー弁31の最大開き位置が変動しないようにしている。これにより、ドリッパー100からの飲料の流出、サーバー200への流入が損なわれることはない。以上のような、抽出した飲料の、サーバーからの流出経路構造上、蓋を通じたサーバー内への流入経路構造上、飲料の流れがスムーズであり、おいしいコーヒーの抽出時間として、ヨーロッパコーヒーブリューイングセンター(ECBC)が推奨している4〜6分を容易に実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、ドリッパーが有した常閉のサーバー弁のドリッパーの底部下に突出した受動部と、サーバーの蓋の凸部ないしはこれに代わる常閉のサーバー弁の受動凸部との、サーバーをドリッパーの下に抜き差しするときの、互いに引っ掛かり合いによって押し退け合いおよび押し退け解除によって、双方の弁を開き、自動閉止させるのに、前記引っ掛かり合いを軽減して必要な押し開きストロークを確保し、サーバーを容易に抜き差しできる。
【符号の説明】
【0043】
3 流出口
5 凸部、受動凸部
6 受動部
7 ドリッパー弁
9、38 コイルスプリング
11、71 取っ手
12 テーブル面
13 接地部
14 案内面
14a 段部
15 支点
21 給水タンク
22 給湯手段
22a 吐出口
22b ヒーター
23 ドリッピング部
25 注出路
27 注出弁
28 操作手段
29 受け入れ路
31 サーバー弁
100 ドリッパー
200 サーバー
300 蓋
400 飲料自動抽出器
500 器体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容した飲料の抽出材にドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に差し入れられるサーバーに流出口から流出させるドリッパーであって、前記サーバーの差し入れ時その蓋側の凸部に、受動部が引っ掛かり合って押し上げ分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記凸部との押し上げ分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにしたことを特徴とする飲料の抽出用のドリッパー。
【請求項2】
収容した飲料の抽出材にドリッピング位置にてドリッピングを受け飲料を抽出し、抽出した飲料を自身の下に差し入れられるサーバーに流出口から流出させるドリッパーであって、前記サーバーの差し入れ時その蓋側の凸部に、受動部が引っ掛かり合って押し上げ分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記凸部との押し上げ分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにし、受動部を囲う底部周壁の下端および受動部の少なくとも一方を自立するように載置する接地部としたことを特徴とする飲料の抽出用のドリッパー。
【請求項3】
給水タンクと、この給水タンク内の水を導入して加熱し吐出口へと一方通行で送り吐出する給湯手段とを装備した器体と、この器体の上部の前記吐出口が下向きに開口しているドリッピング部の下に装着されて、収容している飲料の抽出材に吐出口から湯のドリッピングを受け飲料を抽出し流出口から流出させるドリッパーと、このドリッパーの下に差し入れられてドリッパーからの飲料を受け入れるサーバーと、サーバーの開口に着脱できるように装着されて、サーバー内の飲料を外部に注出する注出路と、この注出路を開閉する常閉の注出弁およびこれを外部操作する操作手段と、ドリッパーからの飲料を受けてサーバー内に流入させる受け入れ路と、この受け入れ路上に突出する受動凸部を有して受け入れ路を開閉する常閉のサーバー弁とが設けられた蓋と、を備え、ドリッパーは、サーバーの差し入れ時その蓋上に突出した受動凸部に、受動部が引っ掛かり合って互いに上下に押し退け合う押し退け分力を受け上方に押し開かれる常閉のドリッパー弁を有し、このドリッパー弁は、その受動部での前記受動凸部との押し退け分力を伴う引っ掛かりによりサーバーの差し入れ方向側上向きに傾動するようにしたことを特徴とする飲料自動抽出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−11047(P2012−11047A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151315(P2010−151315)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】