飲料を調製するためのカートリッジ
【課題】使用に際して、複雑な機構の装備を必要としない飲料用のカートリッジを提供する。
【解決手段】1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容し、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料から形成されたカートリッジ(1)であって、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料とマニホルドチャンバ(16)とを含む、収容チャンバ(130;134)を形成し、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を前記収容チャンバ内に満たすことができる開口を有し、前記開口は、前記マニホルドチャンバを覆う第1の部分および前記収容チャンバを覆う第2の部分とを有する蓋(5)によって閉じられ、前記蓋の第1の部分は、前記マニホルドチャンバへの水媒体の流れを調整するための使用において貫通可能であり、前記蓋は、前記格納容器内の一種類または複数種類の飲料原料と水媒体とが交わることにより形成される飲料の流出を提供するために使用において貫通可能となっている。
【解決手段】1種類または複数種類の飲料原料(200)を収容し、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料から形成されたカートリッジ(1)であって、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料とマニホルドチャンバ(16)とを含む、収容チャンバ(130;134)を形成し、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を前記収容チャンバ内に満たすことができる開口を有し、前記開口は、前記マニホルドチャンバを覆う第1の部分および前記収容チャンバを覆う第2の部分とを有する蓋(5)によって閉じられ、前記蓋の第1の部分は、前記マニホルドチャンバへの水媒体の流れを調整するための使用において貫通可能であり、前記蓋は、前記格納容器内の一種類または複数種類の飲料原料と水媒体とが交わることにより形成される飲料の流出を提供するために使用において貫通可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を調製するためのカートリッジに関し、特に、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料で形成され、飲料の調製用に1種類または複数種類の原料を含有するシール済みカートリッジを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
空気に対して不透過性である個包装内に飲料調製原料をシールすることが、これまで提案されてきた。例えば、挽いたコーヒーを圧縮して含有するカートリッジやカプセルは、一般に「エスプレッソ」機械と呼ばれる特定のコーヒー調製機械で使用するものとして知られている。こうした調製機械を用いたコーヒーの製造では、コーヒーカートリッジが煎出チャンバ内に配置され、湯がこのカートリッジを比較的高い圧力で通過することにより、挽かれたコーヒーから薫り高いコーヒー成分が抽出されて、コーヒー飲料を生成する。通常、こうした機械は、6×105Paを超える圧力で動作する。このタイプの調製機械は、これに含まれる水ポンプおよびシールなどのコンポーネンツが高圧に耐えられるものでなければならないため、今まで比較的高価であった。
【0003】
従来技術には、概して0.7から2.0×105Paで動作する飲料調製用カートリッジが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このカートリッジは、商業または工業市場用飲料調製機内で使用する設計となっており、比較的高価である。したがって、カートリッジおよび飲料調製機が、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したものとなっている飲料調製用カートリッジが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/58786号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/60220号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0389141号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0334572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主として知られている飲料カートリッジでは、飲料カートリッジの入口と出口は、カートリッジの反対側に形成されている。これは、調合に使用される飲料の調整機械では、入口と出口の穴明け機を、反対方向からカートリッジとの係合位置へ移動させるために、一般的に複雑な機構の装備をカートリッジが必要とするという不都合がある。加えて、入口および出口の穴明け機は、飲料調整装置に対する飲料カートリッジの挿入、取り出しのためのアクセスを遅らせる可能性がある。特許文献2には、飲料カートリッジが提供されており、そのでは、入口と出口がカートリッジの同じ側に形成されている。しかしながら、このカートリッジは、それらが、直接的に飲料原料に接触するため、入口の穴明け機が詰まる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一種類または複数種類の飲料原料を収容し、かつ実質的に空気および水が不透過性の部材で形成されたカートリッジであって、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を収容するチャンバを形成し、前記カートリッジは、さらに蓋を備え、前記カートリッジは、水媒体の飲料と前記チャンバ内の一種類または複数種類の飲料原料との交わりにより飲料を形成するための水媒体の流入および流出の双方を提供するために、水平方向にカートリッジが存在するとき、使用時において前記蓋が貫通可能であるように構成されていることを特徴とするカートリッジをも提供する。有利なことに、使用中の前記カートリッジの前記水平位置は、カートリッジを通過する水媒体の最適な流れを可能にする。垂直方向に向けられたカートリッジにおいて、水または水媒体は、重力の影響により素早く流れ、飲料原料の部分をバイパスする。水平に方向付けられたカートリッジにおいて、特に入口と出口の間に流動成分を上向きに設定することにより、この問題は回避される。
【0007】
好ましくは、前記水媒体は、第1のチャンバへ流入し、飲料は、第2のチャンバから流出する。前記第1のチャンバは、マニホルドチャンバとすることが可能である。また、前記第2のチャンバは、注出チャンバとすることが可能である。好ましくは、一種類または複数種類の飲料原料を収容する収容チャンバをさらに備え、この収容チャンバは、前記マニホルドチャンバおよび注出チャンバとから分離されている。
【0008】
以下の説明において、用語「上方」、「下方」およびその等価の用語を、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。用語「上方」、「下方」およびその等価用語を、例えば図4に示すように、飲料調製機に挿入して引き続き調合を行う、普通の方向にあるカートリッジ(または他のコンポーネンツ)に対して指すものと理解すべきである。具体的に言えば、「上方」および「下方」は、カートリッジの頂面11からより近い相対的位置、またはより遠い相対的位置をそれぞれ指す。また、用語「内側」、「外側」およびその等価用語も、以下、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。この用語「内側」、「外側」およびその等価用語を、カートリッジ1(または他のコンポーネンツ)の中心または長軸Xからより近いまたはより遠い、カートリッジ(または他のコンポーネンツ)内での相対的位置付けをそれぞれ指すものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1および第2の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図2】図1の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示している。
【図3】スロットを示す、図1の外側部材の詳細を示す断面図である。
【図4】図1の外側部材を上から見た斜視図である。
【図5】図1の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図6】図1の外側部材を上から見た平面図である。
【図7】第1の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図8】図7の内側部材を上から見た斜視図である。
【図9】図7の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図10】図7の内側部材を上から見た平面図である。
【図11】組み立てた状態である第1の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図12】第2の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図13】口部を示す、図12の内側部材の詳細を示す断面図である。
【図14】図12の内側部材を上から見た斜視図である。
【図15】図12の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図16】図12の内側部材を示す別の断面図である。
【図17】空気入口を示す、図12の内側部材の別の詳細を示す断面図である。
【図18】組み立てた状態である第2の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図19】第3および第4の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図20】図19の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示している。
【図21】図19の外側部材を上から見た平面図である。
【図22】図19の外側部材を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図24】第3の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図25】図24の外側部材を上から見た平面図である。
【図26】内向き上方リムを示す、図24の内側部材の詳細を示す断面図である。
【図27】図24の内側部材を上から見た斜視図である。
【図28】図24の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図29】組み立てた状態である第3の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図30】本発明による第4の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図31】図30の内側部材を上から見た平面図である。
【図32】図30の内側部材を上から見た斜視図である。
【図33】図30の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図34】組み立てた状態である第4の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図35】本発明と併用する飲料調製機を示す正面斜視図である。
【図36】カートリッジヘッドが開位置にある、図35の機械を示す正面斜視図である。
【図37】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械を示す背面斜視図である。
【図38】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械を示す別の背面斜視図である。
【図39】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械のカートリッジヘッドを示す斜視図である。
【図40】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械のカートリッジヘッドを示す別の斜視図である。
【図41】閉位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図42】開位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図43】図35の機械を示す概略レイアウトである。
【図44a】図35の機械に対する第1のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図44b】図35の機械に対する第2のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図45】バーコードを含む本発明の飲料を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、実施例のみを用いて以下に説明する。
【0011】
図11に示すように、カートリッジ1は主に、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5とを含む。外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5とを組み合わせると、1種類または複数種類の飲料原料を含有するための内部120と、入口121と、出口122と、入口121から出口122までをつないで内部120を貫通する飲料流路とを有するカートリッジ1が形成される。入口121と出口122とは、当初はラミネート5でシールされているが、使用時に、そのラミネート5を穿孔または切削加工することにより開口される。飲料流路は、以下で説明するように、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5との間の空間的相互関係により画定される。この他にも、以下でさらに説明するように、フィルタ4などのコンポーネンツを任意にカートリッジ1に含めることができる。
【0012】
次に予備知識として説明する第1の型式のカートリッジ1を、図1から図11に示す。第1の型式のカートリッジ1は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーやリーフティなどの濾過生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。しかし、この型式のカートリッジ1および、以下で説明する他の型式を、ココア、コーヒー、茶、甘味料類、強壮剤類、調味料類、アルコール飲料類、調味乳、果汁類、スカッシュ類、ソース類、およびデザート類などの他の生成物に使用することも可能である。
【0013】
図5からわかるように、カートリッジ1の全体形状は、その直径が高さより大幅に大きい略円形またはディスク形状である。長軸Xは、図1に示すように、外側部材の中心を通っている。通常、外側部材2の直径全体は74.5mm±6mmであり、高さ全体は16mm±3mmである。通常、このカートリッジ1の容積は30.2ml±20%である。
【0014】
外側部材2は主に、湾曲した環状壁13を有するボール形状のシェル10と、閉じた頂部11と、開いた底部12とを含む。閉じた頂部11から開いた底部12にかけて環状壁13が広がっているため、外側部材2の直径は、その頂部11にて、底部12の直径に比較して小さくなっている。環状壁13と閉じた底部11とが共に、内部34を有する入れ物を画成している。
【0015】
中空で内側向きの円筒状延出部18が、長軸Xを中心として閉じた頂部11に設けられている。図2でさらによくわかるように、円筒状延出部18は、第1、第2および第3の部分19、20および21を有する階段状プロファイルを含む。第1の部分19は、直円筒状である。第2の部分20は、裁頭円錐形状であり、内側に先細りになっている。第3の部分21は、もう1つの直円筒であり、下方面31により閉じられている。第1、第2および第3の部分19、20および21の直径は、円筒状延出部18の頂部11から閉じた下方面31にかけて、円筒状延出部18の直径が狭まるように、段階的に小さくなっている。略水平な肩32が、第2の部分20と第3の部分21との間の結合部分にて円筒状延出部18に形成されている。
【0016】
外向きに延出する肩33が、底部12に向けて外側部材2に形成されている。この外向きに延出する肩33が、環状壁13と同軸である副次的壁15を形成し、これにより、副次的壁15と環状壁13との間にマニホルド16を形成する環状トラックを画成するようになっている。マニホルド16は、外側部材2の周囲をめぐって通っている。一連のスロット17が、環状壁13にマニホルド16と同じ高さで設けられており、これにより、マニホルド16と外側部材2の内部34との間が気体および液体連通した状態となる。図3に示すように、スロット17は、環状壁13に形成された垂直スリットを含む。20から40本のスリットを設ける。図示した実施形態では、37本のスロット17が、ほぼ等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。スロット17を、好ましくは、1.4から1.8mmの長さとする。通常、各スロットの長さは、外側部材2の高さ全体の10%である1.6mmである。各スロットの幅は、0.25から0.35mmである。通常、各スロットの幅は0.3mmである。スロット17の幅を十分に狭くして、保管時、使用時のいずれかに飲料原料がマニホルド16内に通過してしまわないようにする。
【0017】
入口チャンバ26を、外側部材2の周囲にて外側部材2内に形成する。図5で最もよくわかるように、円筒状壁部27が設けられており、これが外側部材2の内部34に入口チャンバ26を画成し、同時に入口チャンバ26を外側部材2の内部34から仕切っている。この円筒状壁部27は、長軸Xに垂直な1平面上に形成された閉じた上方面28と、外側部材2の底部12と同平面上にある開いた下方端部29とを有する。入口チャンバ26は、図1に示すように、2本のスロット30を介してマニホルド16と連通する。別法として、1から4本のスロットを用いて、マニホルド16と入口チャンバ26との間を連通させてもよい。
【0018】
外向きに延出する肩33の下方端部には、長軸Xに垂直に外向きに延出するフランジ35が設けられている。通常、このフランジ35の幅は2から4mmである。フランジ35の一部が、外側部材2の保持によってハンドル24を形成するように、拡張されている。ハンドル24には、掴みやすくするために先を上向きにしたリム25が設けられている。
【0019】
外側部材2を、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、またはこれらの2種以上の積層体から単体ピースとして形成する。適したポリプロピレンは、DSM UK Limited(Redditch、United Kingdom)から入手可能な一連のポリマー類である。この外側部材は、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。この製造処理を射出成形とすることができる。
【0020】
図7から図10に示すように、内側部材3は、環状フレーム41と、下向きに延出する円筒状漏斗40とを含む。図7に示すように、長軸Xは内側部材3の中心を通っている。
【0021】
図8で最もよくわかるように、環状フレーム41は、外側リム51と、等間隔で設けられた10本の径方向スポーク53で接合されている内側ハブ52とを含む。内側ハブ52は円筒状漏斗40と一体であり、かつ円筒状漏斗40から延出している。濾過口部55が、径方向スポーク53の間で環状フレーム41内に形成されている。この濾過口部55をカバーするように、フィルタ4が環状フレーム41上に配置される。このフィルタを好ましくは、不織繊維材料であるポリエステルなど、湿潤強さの高い材料で製造する。この他に使用可能な材料として、織紙繊維を含むセルロース材料などの水分不透過性セルロース材料が挙げられる。この織紙繊維をポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンの繊維と混合させることができる。こうしたプラスチック材料をセルロース材料内に組み合わせると、そのセルロース材料がヒートシール可能なものとなる。フィルタ4を、熱および/または圧力で活性化される材料で処理またはコーティングして、熱および/または圧力により環状フレーム41にシールできるようにしてもよい。
【0022】
図7の断面プロファイルに示すように、内側ハブ52は外側リム51より下の位置に配置されるため、環状フレーム41のプロファイルが、下方に傾斜したものとなる。
【0023】
各スポーク53の上面に、直立型ウェブ54が設けられる。このウェブが、環状フレーム41上方の孔空間を複数の通路57に分割する。各通路57はウェブ54により分割された両側と、フィルタ4の下面とにその境界を接した状態となる。通路57は外側リム51から下方に円筒状漏斗40に向けて延在し、ウェブ54の内側末端部により画成される開口56にて円筒状円筒状漏斗40に開いている。
【0024】
円筒状円筒状漏斗40は、内側注ぎ口43を取り囲む外側チューブ42を含む。この外側チューブ42が、円筒状円筒状漏斗40の外面を形成している。注ぎ口43はその上方端部にて外側チューブ42に、環状フランジ47により接合されている。注ぎ口43は、その上方端部に位置して通路57の開口56と連通する入口45と、その下方端部に位置し、調製済み飲料を通過させてカップや他の入れ物内に注ぐ出口44とを含む。注ぎ口43は、その上方端部に略切頭円錐状部分48を、またその下方端部に円筒状円筒状部分58を含む。この円筒状円筒状部分58にわずかに先細る部分を設けて、出口44に向けて幅を細めてもよい。略切頭円錐形部分48を設けることにより、飲料に乱流を起こすことなく、飲料を通路57から出口44に向けて下向きに流動させやすくなる。略切頭円錐形部分48の上面には、円筒状円筒状漏斗40の周囲に等間隔で位置する支持ウェブ49を設ける。この支持ウェブ49の間に複数のチャネル50が画定される。支持ウェブ49の上縁部は互いに同じ高さであり、長軸Xに垂直である。
【0025】
内側部材3を、上述したように、外側部材2と同様、ポリプロピレンまたはこれに類似した材料から射出成形により単体ピースとして形成することができる。
【0026】
別法として、内側部材3および/または外側部材2を、生分解性ポリマーで製造してもよい。適した材料の例として、分解性ポリエチレン(例えば、英国ボアハムウッドのSymphony Environmental製SPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(例えば、Symphony Environmental製BAK1095)、ポリ乳酸(米国ミネソタ州のCargil製PLA)、デンプン系ポリマー、セルロース誘導体、およびポリペプチドが挙げられる。
【0027】
ラミネート5は、アルミニウムによる第1の層、および無延伸ポリプロピレンによる第2の層の2層から形成される。このアルミニウム層は0.02から0.07mmの厚さである。無延伸ポリプロピレン層は0.025から0.065mmの厚さである。一実施形態において、アルミニウム層は0.06mmの厚さであり、ポリプロピレン層は0.025mmの厚さである。このラミネートは、組み立て時の巻き込みに高い抵抗を有するため、特に有利である。このため、ラミネート5を、歪みを発生させることなく、正しいサイズおよび形状に事前に切断しておき、その後製造ラインの組み立てステーションに移送することができる。したがって、このラミネート5は溶着に特に適している。他のラミネート材料も使用可能であり、その例として、PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属被覆/PP、およびアルミニウム/PPラミネートが挙げられる。打ち抜き加工した在庫品ではなく、ロールラミネートによる在庫品を用いてもよい。
【0028】
カートリッジ1を、可撓性のラミネートではなく、剛性または半剛性の蓋で閉じてもよい。
【0029】
カートリッジ1の組み立ては、
a)内側部材3を外側部材2に挿入するステップと、
b)フィルタ4を決まった形状に切断し、内側部材3上に配置して、円筒状円筒状漏斗40上で受け、環状フレーム41に対向する位置にくるようにするステップと、
c)内側部材3、外側部材2、およびフィルタ4を超音波溶着で接合するステップと、
d)このカートリッジ1に、1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
e)ラミネート5を外側部材2に取付けるステップと
を含む。
【0030】
上記ステップについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0031】
外側部材2を、その開いた底部12を上向きにして方向付ける。次に、内側部材3をその外側部材2内に挿入して、外側リム51がカートリッジ1の頂部11において軸方向延出部14内に遊合状態で受けられるようにする。これと同時に、外側部材2の円筒状円筒状延出部18が、内側部材3の円筒状漏斗40の上方部分内に受けられる。円筒状延出部18の閉じた下方面31が内側部材3の支持ウェブ49に当たった状態で、円筒状延出部18の第3の部分21が円筒状漏斗40内に納まる。次に、フィルタ4を、フィルタ材料が環状リム51に接触するように、内側部材3上に配置する。超音波溶着処理により、このフィルタ4を内側部材3に接合し、同時に同一処理ステップにおいて、内側部材3を外側部材2に接合する。内側部材3およびフィルタ4を外側リム51に沿って溶着する。内側部材3および外側部材2は、外側リム51およびウェブ54の上方縁部に沿って溶着線により接合する。
【0032】
図11で最もよくわかるように、外側部材2および内側部材3を互いに接合すると、環状フランジ41の下方かつ円筒状漏斗40の外側に、内部120内の孔空間130ができ、これが濾過チャンバとなる。この濾過チャンバ130と環状フレーム41上方の通路57とを、濾紙4が隔てる。
【0033】
濾過チャンバ130には1種類または複数種類の飲料原料200が含有される。1種類または複数種類の飲料原料は、濾過チャンバ130内に包装される。濾過式飲料の場合、この原料は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーまたはリーフティである。濾過チャンバ130内の飲料原料の包装密度は、所望に応じて変更可能である。通常、濾過式コーヒー生成物の場合、この濾過チャンバは、通常5から14mm厚さの濾過床に5.0から10.2グラムの焙煎および挽き作業を施したコーヒーを含有する。任意に、内部120に、その中で自由に移動できるため、飲料を注ぐ時点で乱流を起こし、その飲料原料の沈殿物を砕いて混合しやすくする球体などの1種類または複数種類の物体を入れてもよい。
【0034】
次に、ラミネート5を外向きに延出するフランジ35の下面に接合するためにラミネート5の周囲に溶着部126を形成することにより、ラミネート5を外側部材2に取付ける。溶着部126を、ラミネート5を入口チャンバ26の円筒状壁部27の下方縁部に対してシールするように延在させる。さらに、この溶着部125を、ラミネート5と円筒状漏斗40の外側チューブ42の下方縁部との間に形成する。このラミネート5が、濾過チャンバ130の下方壁となり、かつ入口チャンバ26および円筒状漏斗40をシールする。ただし、ラミネート5と注ぎ口43の下方縁部との間には、調合前に小さな隙間123ができるようになっている。ラミネート5の材料特性に応じて、熱および超音波溶着など、様々な溶着方法が使用可能である。
【0035】
有利なことに、外側部材2とラミネート5との間に内側部材3がある。この内側部材3を、ポリプロピレンなどの比較的硬い材料で形成する。これにより、内側部材3は、カートリッジ1が圧縮されてもラミネート5と外側部材2との間のスペースを保つように作用する荷重受け部材となる。使用時、カートリッジ1の受ける圧縮荷重を130から280Nとすると好ましい。この圧縮力は、カートリッジが内部加圧下で破損することを防ぐ作用をすると同時に、内側部材3および外側部材2を互いに寄せる役割を果たす。これにより、確実に、カートリッジ1内の通路および口部の内側寸法は固定され、カートリッジ1が加圧されても変化しなくなる。
【0036】
このカートリッジ1を使用するには、まず、これを飲料調製機内に挿入し、入口121および出口122を、ラミネート5を穿孔してそれをバックグラウンドに折り返す、その飲料調製機の穴開け部材により開ける。通常は水である、圧力下にある水媒体を、0.1から2.0バールの圧力でカートリッジ1に入れて、入口121から入口チャンバ26内へ通す。ここから、水はスロット30を通過してマニホルド16を回り、複数のスロット17を介してカートリッジ1の濾過チャンバ130内に入る。この水は、濾過チャンバ130を介して径方向内側に押し入れられ、そこに含有されている飲料原料200と混ざり合う。この水は同時に、その飲料原料内を通って上側に押し上げられる。水がこのように飲料原料内を通過することで形成された飲料は、フィルタ4および濾過口部55を通過して、環状フレーム41上方に位置する通路57内に入る。フィルタ4がスポーク53にシールされ、リム51が外側部材2に溶着されており、他の出口がまったくない状態であるため、この飲料すべてが確実にフィルタ4を通過する。
【0037】
次に、この飲料はウェブ54間に形成された径方向通路57に沿って下向きに流動し、開口56を通過して円筒状漏斗40内に入る。続いて、チャネル50に沿って支持ウェブ47間を通過し、注ぎ口43から下の出口44に落ち、これにより、この飲料はカップなどの入れ物内に注がれる。
【0038】
好ましくは、飲料調製機に空気パージ性能を含めて、注出サイクルの終了時に圧縮空気をカートリッジ1内に押し入れることにより、残留飲料をその入れ物内に流し出す。
【0039】
次に、図12から図18は、カートリッジの第2の型式を示している。第2の型式のカートリッジ1は、クレマとして知られる細かい気泡の泡立ちを有する飲料を生成することが望ましい、焙煎および挽き作業を施したコーヒーなどのエスプレッソ型生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。第2の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指している。以下の説明では、第1の型式と第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0040】
外側部材2の構造は、第1の型式のカートリッジ1が備え、図1から図6に示すものと同じである。
【0041】
内側部材3の環状フレーム41は、第1の型式のものと同じである。また、フィルタ4が、濾過口部55をカバーするように、環状フレーム41上に配置される。円筒状漏斗40の外側チューブ42も、第1の場合と同様である。ただし、第2の型式の内側部材2に、第1の型式の場合と比較していくつか相違点がある。図16に示すように、注ぎ口43に、出口44から注ぎ口43に向けて一部延出する仕切り65が設けられている。この仕切り65を設けることにより、飲料が注ぎ口43を出る際にしぶきを飛ばす、かつ/またははねることを防止しやすくなる。注ぎ口43のプロファイルも異なっており、この注ぎ口43は、チューブ43の上方端部近傍で明確な屈曲部66を備える階段状プロファイルを含む。
【0042】
リム67が、環状フランジ47から直立して設けられて、外側チューブ42と注ぎ口43とを接合している。このリム67は入口45から注ぎ口43までを取り囲み、リム67と外側チューブ42の上方部分との間に環状チャネル69を画成する。リム67には、内向きの肩68が設けられている。リム67周囲の一箇所に、口部70がスロットの形態で設けられており、このスロットは、図12および図13で最もよくわかるように、リム67の上方縁部から肩68の高さよりわずかに下の箇所まで延在するものである。このスロットの幅は0.64mmである。
【0043】
図16および図17に示すように、環状フランジ47に、口部70と周方向に位置合わせされた空気入口71を設ける。この空気入口71は、外側チューブ42と注ぎ口43との間でフランジ47の上方箇所とフランジ47の下方の孔スペースとを流通させるように、フランジ47を貫通する口部を含む。好ましくは、図示のように、空気入口71に、上方略切頭円錐形部分73と下方円筒状部分72とを含める。空気入口71は通常、ピンなどの成形工具により形成される。空気入口71を先細りプロファイルにすると、成形工具を成形原料から取り出しやすくなる。空気入口71に近位である外側チューブ42の壁を、空気入口71から注ぎ口43の入口45へとつながるシュート75を形成する形状とする。図17に示すように、空気入口71とシュート75との間に斜めの肩74が形成されて、スロット70から噴射される飲料が、空気入口71のごく近位にあるフランジ47の上面を直接汚さないようにしている。
【0044】
第2の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様である。しかし、いくつかの相違点もある。図18に示すように、円筒状延出部18の第3の部分21は、支持ウェブに対してではなく、支持リム67内に納まる。第2の部分20と第3の部分21との間に位置する円筒状延出部18の肩32は、内側部材3の支持リム67が含む上方縁部に当たる。このようにして、内側部材3と外側部材2との間に、カートリッジ1の周囲のほぼ全体に延び、円筒状延出部18と支持リム67との間の面シールを含む界面ゾーン124が形成される。ただし、支持リム67に形成するスロット70が支持リム67を貫通して肩68のわずか下方の箇所まで下向きに延在しているため、円筒状延出部18と支持リム67との間のシールは流体密ではない。したがって、円筒状延出部18と支持リム67との間が界面嵌合することにより、スロット70が口部128へと変化して、環状チャネル69と注ぎ口43との間を気体および液体連通させている。この口部は通常、その幅が0.64mm、長さが0.69mmである。
【0045】
第2の型式のカートリッジ1で飲料を調合する操作は、第1の型式と同様であるが、いくつかの点で異なっている。径方向通路57内の飲料は、ウェブ54間に形成された通路57を下向きに流動して、開口56から円筒状漏斗40の環状チャネル69内に入る。環状チャネル69内に入った後、この飲料は、濾過チャンバ130および通路57内に収集した飲料の背圧により、圧力下で口部128から押出される。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部が形成する膨張チャンバ内に押出される。図18に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注出され、気泡が所望のクレマとなる。したがって、口部128および空気入口71が共に、空気を飲料内に取り込むように作用するエダクタとなる。このエダクタ内への飲料の流動をできる限り滑らかに保ち、圧力損失を低減しなければならない。そのためには有利なことに、エダクタの壁部を凹形表面に製造して、「壁面効果」摩擦による損失を低減しなければならない。口部128の寸法公差は小さい。好ましくは、この口部サイズを0.02mm2前後に定める。毛状物、繊維または他の表面凹凸をエダクタ内、またはエダクタの出口近傍に設けて、空気の取り込み量を増加させることがわかっている有効領域を増加してもよい。
【0046】
第3の型式のカートリッジ1を図19から図29に示す。第3の型式のカートリッジ1は、粉末、液体、シロップ、ゲルまたはこれに類似の形態でよい溶解性生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。この溶解性生成物は、使用時にカートリッジ1内を水などの水媒体が通過すると、その水媒体によって溶解する、または水媒体内に懸濁液を形成する。この飲料例として、ココア、コーヒー、乳、茶、スープ、またはこの他の、水を加えて元に戻す生成物や水溶解性生成物が挙げられる。第3の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1および第2の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指している。以下の説明では、第3の型式と第1の型式および第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0047】
第1および第2の型式の外側部材2と比較すると、図20に示すように、第3の型式の外側部材2に含まれる中空で内向きの円筒状延出部18の直径は全体として大きくなっている。具体的に言えば、第1および第2の型式の外側部材2では13.2mmであったところが、第1の部分19の直径は通常16から18mmである。さらに、第1の部分19には、図20で最もよくわかるように、凸状外面19aすなわちバルジが設けられている。このバルジの機能については以下で説明する。しかし、カートリッジ1のうち、第3の部分21の直径は同じである。このため、肩32の面積がこの第3の型式のカートリッジ1では広くなっている。通常、カートリッジ1の容積は、組み立て時で32.5ml±20%である。
【0048】
環状壁13の下方端部に設けるスロットの数および位置もまた異なっている。3から5本のスロットを設ける。図23に示すように、この実施形態では、4本のスロット36が等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。このスロット36は、第1および第2の型式のカートリッジ1の場合よりわずかに幅広で、0.35から0.45mmであり、好ましくは、0.4mm幅である。
【0049】
他の点において、カートリッジ1の外側部材2はいずれも同じである。
【0050】
内側部材3に含まれる円筒状漏斗40の構造は、第1の型式のカートリッジ1と同じであり、外側チューブ42、注ぎ口45、環状フランジ47、および支持ウェブ49が設けられている。唯一の相違点は、注ぎ口45であり、これは上方略切頭円錐形部分92と下方円筒状部分93とを備える形状となっている。
【0051】
第1および第2の型式と比較すると、図24から図28に示すように、環状フレーム41は、円筒状漏斗40を取り囲み、かつ円筒状漏斗40を環状フランジ47にまたはこの近傍に結合する8本の径方向ストラット87により円筒状漏斗40に接続されているスカート部分80に置き換えられている。このスカート部分80からは、円筒状の延出部81がストラット87から上向きに延出して、上面が開いたチャンバ90を画成している。円筒状延出部81の上方リム91は、図26に示すように、内向きプロファイルを有する。スカート部分80の環状壁82は、ストラット87から下向きに延在して、スカート部分80と外側チューブ42との間に環状チャネル86を画成している。
【0052】
環状壁82は、その下方端部に、長軸Xに垂直に位置する外側フランジ83を含んでいる。リム84が、フランジ83の下面から下向きにぶら下がり、リム84に沿って周方向に等間隔な5個の口部85を具備している。したがって、リム84の下方は、城砦型プロファイルとなっている。
【0053】
ストラット87間に口部89を設けることにより、チャンバ90と環状チャネル86との間を連通させている。
【0054】
第3の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様であるが、いくつかの相違点もある。図29に示すように、外側部材2と内側部材3とは、互いに溶着されるのではなく、互いに押し嵌めされ、スナップ嵌合構造により保持される。この2つの部材の接合時、内向き円筒状延出部18が、スカート部分80の上方円筒状延出部81の内側に受けられる。内側部材3は、円筒状延出部18に含まれる第1の部分19の凸状外表面19aが上方円筒状延出部81の内向きリム91と摩擦係合することにより、外側部材2内に保持される。
【0055】
内側部材3が外側部材2内に配置した状態になると、混合チャンバ134が、スカート部分80の外側に画成される。この混合チャンバ134が、調合前の飲料原料200を含有する。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることに留意されたい。内側部材3および外側部材2を相対的にどのように位置決めしても4つの入口36および5つの口部85を用いることで確実にこの入口と口部との間に位置のずれが発生するため、この2つの部品の互いに対する径方向位置を組み立て時に決定または固定しなくてもよい。
【0056】
1種類または複数種類の飲料原料を、カートリッジの混合チャンバ134内に包装する。この混合チャンバ134内における飲料原料の包装密度は所望に応じて変更可能である。
【0057】
次に、ラミネート5を内側部材3および外側部材2に、第1および第2の型式において上述したように取付ける。
【0058】
使用時、第1および第2の形式のカートリッジと同様に、水が、4本のスロット36を通って混合チャンバ134に入る。この水が径方向内側に混合チャンバ内に押し入れられ、そこに含有されている飲料原料と混ざり合う。この水の中に生成物が溶解または混合されて、混合チャンバ134内に飲料が形成され、これが、混合チャンバ134内の飲料および水の背圧により、口部85から環状チャネル86内に駆逐される。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることにより、水の噴射が入口スロット36から径方向に直接口部85内に入ることは、まず混合チャンバ134内で循環が発生しない限り、あり得ない。このため、生成物の溶解または混合の程度および安定性は大幅に高まる。形成された飲料は、環状チャネル86内を上方向に押し上げられ、ストラット87間の口部89を通ってチャンバ90内に入る。次にチャンバ90から支持ウェブ49間の入口45を介して注ぎ口43に入り、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれる。このカートリッジを、粘稠液またはゲルの形態である飲料原料に適用できることがわかっている。一用途において、カートリッジ1内には、周囲温度にて粘性が1700〜3900mPa、0℃にて5000〜10000mPaであり、屈折固形分が67ブリックス度±3である液状チョコレート原料が入れられる。別の用途において、カートリッジ1内には、周囲温度にて粘性が70〜2000mPa、0℃にて80〜5000mPaであり、全固形分量が40から70%である液体コーヒーが入れられる。第4の型式のカートリッジ1を図30から図34に示す。第4の型式のカートリッジ1は、濃縮型液状乳などの液状生成物の調合に用いるように特に設計されたものである。第4の型式のカートリッジ1に含まれる特徴は、その多くが第1から第3の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第4の型式と第1から第3の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0059】
外側部材2は、第3の型式のカートリッジ1の、図19から図23に示すものと同じである。
【0060】
内側部材3の円筒状漏斗40は、第2の型式のカートリッジ1に類似しているが、いくつかの点で異なる。図30に示すように、注ぎ口43は、上方略切頭円錐部分106と、下方円筒状部分107とを含む形状である。この注ぎ口43の内面には3つの軸方向リブ105が設けられて、調合された飲料を下向きに出口44に方向付け、注がれた飲料が注ぎ口内で旋回しないようにしている。したがって、リブ105はバッフルとして作用する。第2の型式のカートリッジ1と同様、空気入口71が環状フランジ47を貫通して設けられている。しかし、空気入口71の下のシュート75は、第2の型式の場合より細長くなっている。
【0061】
スカート部分80が、上述した第3の型式のカートリッジ1に示したものと同様に設けられている。5から12個の口部85がリム84内に設けられている。第3の型式のカートリッジ1では5個であったが、通常10個の口部を設ける。
【0062】
スカート部分80のフランジ83から、これと一体となって延出している環状ボール100が設けられている。この環状ボール100は、上方口104を上向きに開いたフレア型本体101を含む。図30および図31に示す4個の送り口部103が、この本体101内にて、スカート部分80と接合するボール100の下方端部に、またはその近傍に配置されている。好ましくは、この送り口部をボール100の周囲に等間隔で配置する。
ラミネート5は、これまでの実施形態で説明したタイプのものである。
【0063】
第4の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第3の型式の組み立てと同様である。
【0064】
第4の型式のカートリッジ1の操作は、第3の型式の操作と同様である。水が、第1から第3の形式のカートリッジと同様に、カートリッジ1および混合チャンバ134に入る。ここで、上述したように、水が液体生成物と混ざり合い、これを希釈して、上述したように、口部85を通り、出口44に向けて押出される。図34に示すように、環状ボール100に当初含有される一定割合の液体生成物は、混合チャンバ134に入った水によりすぐに希釈されるわけではない。混合チャンバ134の下方部分にある希釈された液体生成物は、上方口104から環状ボール100内に押し上げられるのではなく、口部85から出て行くことになる。したがって、環状ボール100内の液体生成物は、混合チャンバ134の下方部分にある生成物と比較して、注出サイクルまだ比較的濃縮状態を保っている。環状ボール100内の液体生成物は、送り口部103から、混合チャンバ134内にて口部85を通過する生成物流内へと滴下される。環状ボール100は、一定量の濃縮液体生成物を取り置き、注出サイクル中、定期的に液体流路内にそれを注出することにより、円筒状漏斗40に入る希釈済み液体生成物の濃度を平均化する作用をする。注出サイクル注出サイクル。
【0065】
こうした飲料は、圧力下で押出されて、濾過チャンバ134およびチャンバ90に収集される飲料の背圧により、環状チャネル86から口部128を通過する。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部が形成する膨張チャンバ内に押出される。図34に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれ、気泡が所望の泡立った外観を形成する。
【0066】
有利なことに、内側部材3、外側部材2、ラミネート5、およびフィルタ4はすべて、別個のコンポーネンツであり、個別には蛇行通路や細い隙間を含んでいないため、これらを容易に殺菌消毒することができる。必要な通路が形成されるのは、殺菌消毒後にこれらのコンポーネンツを結合した時点である。これは、飲料原料が液状乳濃縮物などの乳原料を主原料とする生成物である場合に特に重要である。
【0067】
飲料カートリッジの第4の実施形態は、液状乳などの濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物の調合に特に有利である。これまで、粉末状の乳生成物は、小袋の形態で提供され、これを事前に調製した飲料に加えるようになっていた。しかし、カプチーノタイプ飲料の場合、乳を泡立てる必要がある。これはこれまで、液状乳生成物に蒸気を通すことで実施されてきた。しかし、これには、蒸気調合用設備が必要であるため、この飲料の調合に用いる機械のコストならびに複雑度が増してしまう。また、蒸気を使用すると、カートリッジ操作時に怪我を負う危険性も高まる。したがって、本発明は、濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物を中に有する飲料カートリッジを提供するものである。乳生成物を濃縮した場合、新鮮な乳またはUHT乳と比較すると、特定容積の乳に対してより多くの量の泡沫を生成できることがわかっている。これを利用すれば、乳用カートリッジに必要なサイズが縮小される。新鮮な半脱脂乳は、およそ1.6%の脂肪分および10%の全固形分を含む。本発明による濃縮型液状乳調製物は、0.1から12%の脂肪分および25から40%の全固形分を含む。一典型的実施例では、この調製物は4%の脂肪分および30%の全固形分を含む。この濃縮型乳調製物は、以下に記載するように低圧調製機械による泡立てに適している。具体的に言えば、この乳の泡立てを、上述した第4の実施形態のカートリッジを用い、2バール未満、好ましくはおよそ1.5バールの圧力で行う。
【0068】
濃縮乳を泡立てることは、カプチーノおよびミルクセーキなどの飲料に特に都合がよい。注出サイクル注出サイクル 第4の実施形態のカートリッジも、液状コーヒー生成物の調合に有利である。
【0069】
本発明によるこの実施形態の飲料カートリッジから有利なことに、従来技術によるカートリッジと比較して、煎出した飲料の安定性を改良できることがわかっている。以下に示す表1を参照すると、焙煎および挽き作業を施したコーヒーを含有するカートリッジAおよびカートリッジBそれぞれについて、20試料を煎出して得られた収率が示されている。カートリッジAは、本発明の第1の実施形態による飲料カートリッジである。カートリッジBは、本願出願人による特許文献1に記載された従来技術による飲料カートリッジである。煎出した飲料の屈折率をブリックス度で測定し、これを、標準表および式を用いて溶解性固形分の比率(%SS)に変換する。以下の実施例において、
%SS=0.7774*(ブリックス度値)+0.0569
%収率=(%SS*煎出量(g))/(100*コーヒー重量(g))
である。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
上記データについてt検定統計分析を行ったところ、以下の結果を得た。
【0073】
【表3】
【0074】
この分析から、煎出濃さに匹敵する収率の安定性は、標準偏差が0.88%であった本発明によるカートリッジについて、従来技術によるカートリッジの標準偏差2.24%と比較して、より大幅に高かった(95%の信頼水準)ことがわかる。これは、本発明によるカートリッジにより煎出した飲料の濃さのほうが、再現可能かつ均一であるということである。これは、同じ飲料を何度も味わいたく、その飲料の濃さを恣意に変更したくない消費者に好ましい。
【0075】
上述したカートリッジの材料に、バリアコーティングを施して、酸素および/または湿気、および/または他の汚染侵入物に対する防御性を改良してもよい。このバリアコーティングを施すと、飲料原料がカートリッジから漏れることに対する防御性を改良し、かつ/または飲料原料に悪影響を与えかねないカートリッジ材料からの抽出物滲出の程度を抑えることができる。バリアコーティングの材料を、PET、ポリアミド、EVOH、PVDCまたは金属化材料からなる群から選択することができる。バリアコーティングの適用には、いくつかの機構が利用可能であり、その例として、これらに限定するものではないが、蒸着、真空蒸着、プラズマコーティング、共押出加工、インモールドラベリング、および二段/多段成形が挙げられる。
【0076】
上述した飲料カートリッジを用いる本発明における飲料調製機201を図35から図45に示す。飲料調製機201は主に、ウォータタンク220を備える筐体210と、ウォータヒータ225と、ウォータポンプ230と、空気圧縮機235と、制御プロセッサと、ユーザインターフェース240と、カートリッジヘッド250とを含む。カートリッジヘッド250はさらに、主に、使用時に飲料カートリッジ1を保持するカートリッジホルダ251と、カートリッジ識別手段252と、使用時に飲料カートリッジ1に入口121および出口122を形成する入口穿孔器253および出口穿孔器および254とを含む。
【0077】
筐体210は、機械201の他のコンポーネンツを定位置に含み、かつ保持する。この筐体210の全体または一部を、好ましくは、ABSなどの頑丈なプラスチック材料で製造する。別法として、筐体210の全体または一部を、ステンレス鋼、またはアルミニウムなどの金属材料で製造することも可能である。筐体210に、好ましくは、前方半体211および後方半体212を有して、組み立て時に機械201のコンポーネンツを嵌めるために手を入れられ、嵌め終わったら互いに接合して筐体210の内部213を画成することのできるクラムシェル設計を含める。後方半体212には、ウォータタンク220を装着するための凹部214が設けられている。筐体210は、別個のシャシを必要とすることなく機械201のコンポーネンツを定位置に保持するできるように、爪、当たり、ボスおよびネジつき部分などの手段を備えて形成されている。このため、機械201の全体のコストおよび重量が削減されている。筐体210の基部215に好ましくは、安定して機械を載せる脚を設ける。別法として、基部215自体を、安定な支持台となる形状にしてもよい。
【0078】
筐体210の前方半体211は、飲料の注出が行われる注出ステーション270を含む。この注出ステーション270は、ドリップトレイ272を形成する中空内部を有する入れ物スタンド271を含む。この入れ物スタンドの上面273には、入れ物を配置する格子274が形成されている。ドリップトレイ272は、収集した水分を簡単に空にできるよう、筐体210から着脱自在となっている。凹部275は、入れ物スタンド271の上方の、筐体210の前方半分に形成され、その寸法の入れ物を収容できるようになっている。
【0079】
カートリッジヘッド250は、図35および図36に示すように、入れ物スタンドの上方で、筐体210の頂部に向けて配置されている。好ましくは、カートリッジヘッド250に対する格子274の高さを、異なる寸法の入れ物を収容するために調節できるようにする。調合した飲料が入れ物に接触する前に落ちる必要のある距離を最小限にするために、この入れ物がカートリッジヘッド250にできるだけ近くなり、同時に、その入れ物を注出ステーション270に挿入し、そこから取り出すことができるようにすることが好ましい。これにより、飲料の噴霧および飛び散りを最小限に抑え、混入させる気泡がある場合は、その損失量を最小限に抑えることができる。好ましくは、70mmから110mmの高さの入れ物を、格子274とカートリッジヘッド250との間に挿入できるようにする。
【0080】
機械ユーザインターフェース240は、筐体210の正面に配置されており、開始/終了ボタン241と、複数の状況表示器243〜236を含む。
【0081】
状況表示器243〜246に好ましくは、機械201の準備状況を表示する発光ダイオード(LED)243と、機械201の操作にエラーが発生した場合にそれを表示するLED244と、機械201が手動モードで操作されているか、自動モードで操作されているかを表示する1個または複数個のLED245〜246とを含める。LED243〜246を、機械201の状況に応じて、一定の輝度で証明するように、間欠に点滅するように、またはこの両方ができるように調節することができる。LED243〜246の色は、緑、赤、および黄など様々でよい。
【0082】
開始/終了ボタン241は、注出注出サイクルの始動を制御するものであり、手動操作による押しボタン、スイッチ、またはこれに類似したものである。
【0083】
容積調整コントロールを設けて、機械201の利用者が、他の操作特徴を変更することなく、送出される飲料の容積を手動で調節できるようにしてもよい。好ましくは、この容積調整コントロールにより、容積の20%増または20%減を調節できるようにする。この容積調整コントロールを、回転ノブ、直線状滑動部、増量ボタンおよび減量ボタンのデジタル読出し、またはこれに類似したものとすることができる。より一般には、利用者が開始/終了ボタン241を操作することで容積を制御する。
【0084】
手動電源スイッチ(図示せず)を機械201に設けてもよい。別法として、主電源に電源プラグを差し込む、または主電源から電源プラグを抜くことにより、単純に電源を制御することもできる。
【0085】
ウォータタンク220は、筐体210の後方に配置され、筐体210の後方半体212に接続される。ウォータタンク220は、外観上の理由から所望に応じて、直円であっても錐台であってもよい略円筒状の本体221を含む。このタンクは、これに水を充填するための、使用時には手動で着脱自在な蓋222で閉じられる入口を含む。出口は、タンクの下方端部に向けて設けられ、これはウォータポンプ230と連通する。ウォータタンク220を透明または半透明材料で製造して、タンクに残っている水の量を消費者が確認できるようにすることができる。別法として、ウォータタンク220を不透明材料で製造して、確認窓をそこに設けることも可能である。さらに、または上記の代わりに、タンク内の水位が予め選択したレベルまで下がった時点で、ウォータポンプ230の動作を止め、LEDなどの警告表示器を任意に作動させる低量センサを、ウォータタンク220に設けてもよい。ウォータタンク220の内側容量を、好ましくは、およそ1.5リットルとする。
【0086】
ウォータポンプ230は、図43に概略を示すように、ウォータタンク220とウォータヒータ225との間で作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。このポンプにより、2.5バールの最大圧力にて900ml/分の水の最大流速が得られる。好ましくは、通常の使用時には、この圧力を2バールに抑える。ポンプへの電気調合を周期的に切ることにより、機械201を通る水の流速をポンプの最大流速の一定割合にするよう、制御プロセッサにより制御することができる。好ましくは、このポンプを、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のいずれかで駆動できるようにする。注入される水の容積の正確さを、好ましくは増減5%として、調合される飲料の最終容積の正確さを増減5%とする。適したポンプは、Ulka S.r.l.(イタリア、パヴィア)製EvolutionalEP8ポンプである。流量センサ(図示せず)を好ましくは、ウォータポンプ230の上流または下流にて流動ライン内に設ける。好ましくは、この流量センサを回転センサとする。
【0087】
ウォータヒータ225は、筐体210の内部に配置される。このヒータ225は、電力定格が1550Wであり、1分以内におよそ20℃の起動温度から約85℃の操作温度まで、ウォータポンプ230から受け取った水を加熱することができる。好ましくは、1注出サイクルの終了時からヒータ225が次の注出サイクルを開始できるようになるまでの休止時間を10秒未満とする。このヒータは、注出サイクル時、選択した温度を±2℃で維持する。以下で説明するように、注出サイクル用の水は、83℃または93℃でカートリッジヘッド250に送出することができる。ヒータ225は、この送出温度を通常の85℃から、83℃または93℃へと迅速に調節することができる。ヒータ225は、温度が98℃を超えるとヒータを停止させる温度過昇遮断器を含む。ヒータ225から出た水は、三方弁を介してカートリッジヘッド250およびカートリッジ1に送られる。この水の流動圧力が許容範囲内であれば、水はカートリッジ1に到達する。圧力が予め定められた限界未満または限界を超えていた場合、その水は三方弁によりドリップトレイ回収容器270内に送られる。
【0088】
空気圧縮機235は、一方向弁を介してカートリッジヘッド250に作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。この空気圧縮機235により、1.0バールにて500ml/分の空気の最大流速が得られる。使用時、有効容積35mlが2.0バールに加圧される。好ましくは、空気圧縮機235により、高速(または最大速度)および低速の2通りの流速を提供できるようにする。
【0089】
飲料調製機201の制御プロセッサは、処理モジュールおよびメモリを含む。この制御プロセッサは、ウォータヒータ225、ウォータポンプ230、空気圧縮機235、およびユーザインターフェース240に作用的に接続されて、これらの動作を制御する。
【0090】
制御プロセッサのメモリは、飲料調製機201の1種類または複数種類の操作パラメータに対する1つまたは複数の変数を含む。例示した実施形態では、この操作パラメータは、操作段階において飲料カートリッジ1を通過する水の温度、飲料カートリッジ1を装填する速度、浸透ステップの有無、調合される飲料の全容積、注出段階での水の流速、および清浄段階の流速および時間である。
【0091】
操作パラメータに対する変数は、メモリに格納される。カートリッジ1は、そのカートリッジ1における飲料の調合を最適化するために必要な操作パラメータを表すコードを、その表面上または内側に含む。このコードは、二進法による形式であり、制御プロセッサのメモリに格納される変数に対応する複数のデータビットを含む。表3は、上述した操作パラメータに対する必要な変数を表すためにデータの13ビットをどのように使用できるかを例示したものである。
【0092】
【表4】
【0093】
カートリッジ1上またはカートリッジ1内のコードは通常、エラーチェック用に1つまたは複数の余分なデータを含む。一実施例において、16ビットコードが備えられる。例えば、表3に挙げた変数を用いた場合、コード「1000100011110」を与えられたカートリッジは、次の操作パラメータを有することになる。
【0094】
10 水の温度は83℃
00 浸透を伴う高速装填
1000 調合される飲料容積は150ml
111 流速は100%
10 高流速/短時間による空気清浄
【0095】
したがって、以前の飲料調製機と異なり、この制御プロセッサのメモリは、カートリッジのタイプに基づいた飲料カートリッジに対する操作指示、すなわちコーヒーカートリッジに対する指示、ココアカートリッジに対する指示、茶カートリッジに対する指示などを格納するわけではない。この制御プロセッサのメモリが格納するのは、注出サイクルの個々の操作パラメータを調整するための変数である。これにはいくつかの利点がある。第1に、調合サイクルの調節がより一層可能となる。例えば、すべてのタイプのコーヒーに同じパラメータを用いることに比べて、等級や配合の異なるコーヒーに対してわずかに異なるパラメータを使用することができる。個々のパラメータではなくカートリッジタイプ別の指示を格納することに頼っていたこれまでのコーディング解法は、コーディング媒体および制御プロセッサ内で利用可能な格納スペースを速く消費してしまうため、類似した飲料タイプに対する注出サイクルにおけるこうした微妙な違いには不適切である。第2に、本発明のコーディング方法では、新たな飲料カートリッジ1の注出サイクルに対する操作パラメータが、飲料調製機201の販売後に決定される場合であっても、この既存の飲料調製機で新たな飲料カートリッジタイプを使用できる。これは、飲料調製機201の制御プロセッサが、その飲料が新たなタイプであることを識別する必要がないためである。本注出サイクルの操作パラメータは、飲料タイプを直接参照せずに設定されるものである。したがって、本発明によるコーディング方法は、新たな飲料タイプに対して、飲料調製機の優れた後方互換性を提供するものである。これとは逆に、これまでの機械の場合、製造者は、市場にある機械により特定される、以前より既存の調合サイクルの1つを用いて新たな飲料タイプを調合するように制限されている。
【0096】
カートリッジヘッド250を図39から図42に示す。カートリッジヘッド250のカートリッジホルダ251は、固定された下方部分255と、回転自在な上方部分256と、固定された下方部分255と回転自在な上方部分256との間に配置された枢動自在なカートリッジ取付台257とを含む。上方部分256、下方部分255、およびカートリッジ取付台257は、共通のヒンジ軸258を中心に回転する。図39から図42は、便宜上、機械201のいくつかのコンポーネンツを省いた状態でカートリッジホルダ251を示すものである。
【0097】
回転自在な上方部分256および枢動自在なカートリッジ取付台257は、クランプ機構280により固定された下方部分255に対して移動する。このクランプ機構280は、第1および第2の部材または部分281および282を有するクランプレバーを含む。クランプレバーの第1の部分281は、カートリッジホルダ251の両側に1つずつ位置する2つの第1の枢支点283で上方部分256に枢動自在に取付けられたU字型アームを含む。
【0098】
クランプレバーの第2の部分は、上方部分256を固定された下方部分255に連結しているヒンジ軸258上に位置する第2の枢支点285にて上方部分256にそれぞれ枢動自在に取付けられた、カートリッジホルダ251の両側に1本ずつ位置する、2本のオーバーセンターアーム282を含む。各オーバーセンターアーム282は、円筒部282a、ステム282b、および弾性スリーブ282cを含む往復部材である。円筒部282aは、内腔を有し、その一端にてヒンジ軸258に回転自在に取付けられている。ステム282bの第1の端部は、円筒部282aの内腔内に摺動自在に入れられている。ステム282bの反対側端部は、第3の枢支点286にてU字型アーム281に回転自在に取付けられている。第3の枢支点286は、上方部分256および下方部分255に接続されておらず、上方部分256および下方部分255に対して自由に移動可能である。弾性スリーブ282cは、ステム282bの外側に取付けられており、使用時、円筒部282aおよびステム282bの当たり面の間に延在する。弾性スリーブ282cは、オーバーセンターアーム282の縮小時にそれを吸収すると同時に、延出構造へと付勢するものである。これにより、ステム282bが円筒部282a内にて相対運動すると、第3の枢支点286がヒンジ軸258に近づく方向および離れる方向へと移動することができる。弾性スリーブ282cを、好ましくは、シリコーンで形成する。
【0099】
U字型アーム281は、カートリッジホルダ251の正面をめぐって延在しており、下向きに垂れ下がった2つのフック部材287を含む。このフック部材はそれぞれ、カートリッジホルダ251の片側に1つずつ位置して、ヒンジ軸258に向くカム表面288を含んでいる。カートリッジホルダ251の固定された下方部分255には、その正面縁部260またはその近傍に下方部分255の片側に1つずつ位置する2つのボス259または爪が、このフック部材287にほぼ位置合わせされた状態で設けられている。
【0100】
図39に示すように、U字型アーム281を、人間工学的な作りのハンドグリップおよびフック部材287をそのアームと一体に含めて、ワンピースのプラスチック成形物から形成することができる。
【0101】
カートリッジ取付台257は、カートリッジホルダ251の下方部分255と上方部分256との間で回転自在に取付けられている。取付台257には、使用時に飲料カートリッジ1を入れる、実質的に円形である凹部290が設けられている。凹部290は、飲料カートリッジ1のハンドル部分24を収容すると同時に、カートリッジホルダ251内における飲料カートリッジ1の回転を防止するように作用する不規則形状部291を含む。カートリッジ取付台257は、図41に示すように、開位置において、固定された下方部分255と接触しない位置に付勢されて、出口および入口穿孔部材254、253と接触しない位置に移動するように、固定された下方部分255に対して跳ね上げられる。カートリッジ取付台257には、出口および入口穿孔部材253、254を中に受け入れる口部292と、カートリッジ取付台257が閉位置に移動するとカートリッジを識別する手段252のヘッド300とが設けられている。
【0102】
上方部分255は、略円形の本体310を含み、この本体は、注出サイクル時に消費者が飲料カートリッジ1を見ることができ、さらにカートリッジ1が機械201に搭載されていることを目で確認することができる円形ののぞき窓312を収容している。のぞき窓312は、カートリッジホルダ251が閉じられた時点で飲料カートリッジ1のフランジ35と係合し、かつこれを下方部分256に対して把持する下向きリム311を有するカップ形状である。同時に、この窓312は、カートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。こののぞき窓312と円形本体310との間にウェーブスプリング(図示せず)が配置されており、これにより、のぞき窓312を軸方向に円形本体310に対してわずかに移動させることができる。リム311がフランジ35にかける圧力、および窓312が閉じた頂部11にかける圧力により、カートリッジ1とカートリッジホルダ251との間に流体密なシールが確実に形成される。
【0103】
下方部分255は、入口穿孔器253および出口穿孔器254と、カートリッジ識別手段252のヘッド300とを含む。入口穿孔器253は、使用時に飲料カートリッジ1のラミネート5を穿孔するための鋭利な端部241を有する中空の針様管260を含む。図42に示すように、入口穿孔器253は、下方部分255内を通過してウォータヒータ225の出口導管263に接続された水導管262と流体連通している。出口穿孔器254は、従来技術に記載されている出口穿孔器と似たタイプであり(例えば、本願出願人の特許文献3および本願出願人の特許文献4参照)、注ぎ口43より寸法の大きな円形またはD字型断面を有する、開口端部を備えた円筒部264を含む。出口穿孔器254が含む上方端部の弓状部分265は、飲料カートリッジ1のラミネートを穿孔し、結果として切断するように鋸歯状となっている。この他の上方端部部分は、少なくとも鋸歯状の歯266の基部まで、円筒部の長手方向に切り取られて低くなっており、飲料がそこを通って調合される前に、切断したラミネート5を出口口部から離れた方向に折り曲げる、または引っ張るようになっている。出口穿孔器254は、注ぎ口43のラミネート5を外側から穿孔し、カートリッジ取付台257が閉位置に来ると、その注ぎ口43と注出漏斗40の外壁42との間の環帯内に納まる。出口穿孔器254により、切断されたラミネート105は環帯内に折り返される。これにより、出口穿孔器254も切断されたラミネート105も、注出される飲料にぶつからない位置に保持される。
【0104】
出口穿孔器254は、周囲より0.5mm隆起している出張り254aで囲まれている。
【0105】
有利なことに、出口穿孔器254は、下方部分255に対して着脱自在となっているため、例えば食洗器などで全体を洗浄することができる。着脱自在な出口穿孔器254を装着すると、これを受けるのは下方部分255の凹部267である。入口穿孔器253および/または出口穿孔器254を、ステンレス鋼などの金属またはプラスチック材料で製造することができる。有利なことに、非金属材料で穿孔および切断できるラミネート5を使用した場合、プラスチックで製造した切削加工要素を使用することができる。したがって、穿孔器253、254をあまり鋭利ではなく製造して、消費者に怪我を負わせる危険性を低めることができる。さらに、プラスチック製穿孔要素は、さびにくい。好ましくは、入口穿孔器253および出口穿孔器254を、下方部分255に対して着脱自在な単一の一体ユニットとして形成する。
【0106】
使用時、カートリッジホルダ251の上方部分256は、図36に示すように、垂直に、または垂線に向けて方向付けられた開位置から、実質的に水平に、かつカートリッジ取付台257の固定下方部分255と係合した状態に方向付けられる閉位置まで移動可能である。クランプレバーを操作すると、上方部分256は開位置から閉位置へと移動する。上方部分256を閉じるには、利用者は、U字型アーム281によりクランプレバーを掴み、これを下向きに下げる。これにより、上方部分256が回転して、まずカートリッジ取付台257において、のぞき窓312のリム311が飲料カートリッジ1のフランジ35に接触し、のぞき窓312自体がカートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。上方部分256をさらに回転させると、上方部分256およびカートリッジ取付台257が下向きに回転して、下方部分255に接触する。U字型アーム281をさらに回転させると、U字型アーム281が上方部分256および下方部分255に対して回転するため、カム表面288がボス259に被る状態で、上方部分256のフック部材287が下方部分255のボス259に係合する。この最後の回転段階において、カートリッジ1は、カートリッジ取付台257とのぞき窓312との間に圧縮される。この結果、のぞき窓312は、ウェーブスプリングの付勢に対抗して、上方部分256の円形本体310に対して軸方向に移動する。この動作により、飲料カートリッジ1および飲料調製機の公差が吸収され、カートリッジに印加される圧縮力の量が確実に許容範囲内に保たれる。ウェーブスプリングの作用によりこの機構の型締め力は弱められるため、カートリッジにかかる型締圧力は130〜280Nとなる。好ましくは、この力をおよそ200Nとする。約130N未満の力では十分なシールが得られず、約280Nを超える力になると、カートリッジ1のコンポーネンツの塑性破壊が起こる。カートリッジヘッドを閉じる間、カートリッジ1のラミネート5は、出口穿孔器254を取り囲む出張り254aに接触し始めながらぴんと張った状態になるため、円筒状漏斗を含む外側チューブ42の遠位端がフランジ35に対して0.5mm上向きに移動すると、ラミネート5が面外に撓む。この動作により、カートリッジに印加された圧縮力の大半が、荷重を受けた内側部材3を介してカートリッジ1の中央領域内へと確実に作用する。閉位置において、カートリッジ1は、のぞき窓312のリム311によりフランジ35に沿って固締され、のぞき窓312および出張り254aに接触することによりカートリッジの閉じた頂部11と内側部材3の外側チューブ42との間にしっかり固締される。この型締め力が作用することで、圧縮時のカートリッジ1の破損防止が強化され、確実に内側部材3および外側部材2が互いに十分に納まり合うため、内部加圧が作用している間でさえ、すべての内部通路および口部がその所期寸法を保つことができる。
【0107】
カートリッジホルダ251の第1の枢支点283と第2の枢支点285との間に、仮基準線を引くことができる。図41でわかるように、開位置では、第3の枢支点286は、固定された下方部分255に最も近い基準線側にある。上方部分256が閉位置に近づくにつれて、クランプレバーの第3の枢支点286は、第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線を越えて、固定された下方部分255から最も遠い、基準線の反対側に行く。したがって、U字型アーム281は、第1の安定位置から第2の安定位置へと「速動」することになる。この速動動作は、オーバーセンターアーム282を収縮させ、これにより弾性スリーブ282cを圧縮することにより対応するものである。第3の枢支点286が仮基準線を越えると、弾性スリーブ282cが復元するため、第3の枢支点286はさらに仮基準線から遠くへと移動し続ける。したがって、クランプレバーは、開位置または閉位置では安定であるが、第3の枢支点286が第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線上にある地点では不安定であるという点で、双安定動作を有する。そこで、このクランプレバーの速動動作は、クランプレバーの回転最終段階において、U字型アーム281および第2のアーム284の速動動作がフック部材287をしっかりボス259との係合状態に押し入れる確かな閉鎖作用を引き起こす確動閉鎖機構となる。さらに、第3の枢支点286を戻して第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線に一致させるようにスリーブ282cを十分に圧縮するのに必要な力は最小限でよいため、弾性スリーブ282cを、上方部分256が再び開くことに対する抵抗とすることができる。有利なことに、フック部材287とボス259とが係合していることにより、クランプレバーを回転させない限り、上方部分と下方部分とを分離することはできない。これは、カートリッジヘッド250が内部加圧を受ける操作時にカートリッジヘッド250が開かないようにするのに有用である。
【0108】
カートリッジ識別手段252の目的は、機械201に、挿入された飲料カートリッジ1のタイプを識別させ、それにしたがって1種類または複数種類の操作パラメータを調整させることである。典型的実施形態において、カートリッジ識別手段252は、図45に示すように、飲料カートリッジ1のラミネート5にある印刷されたバーコード320を読取る光学式バーコードリーダーを含む。バーコード320は、対照的な色の複数本のバーで形成されている。好ましくは、このバーを、その対照を最も際立たせるため、白色背景に対する黒色とする。バーコード320は、公開されている標準に準拠したものでなくともよいが、EAN−13、UPC−A、またはインターリーフ2of5などのバーコード標準フォーマットを使用してもよい。光学式バーコードリーダーは、そのバーコード320を照明するための1つまたは複数のLED321と、バーコードの画像を取得するための焦点レンズ322と、取得した画像を表す電気信号を生成する電荷結合素子(CCD)323と、LEDおよびCCD用支持回路構成要素とを含む。バーコードリーダーを収容する下方部分のスペースには限界がある。したがって、1枚または複数枚の鏡324を用いて、LED321からの光を、下方部分255内に配置されていない焦点レンズに反射してもよい。概略構造を図44aおよび図44bに示す。下方部分255は、飲料カートリッジ1上のバーコード320と同じサイズの口部326を含む。使用時、生成された電気信号が信号処理ソフトウェアにより復号されると、その結果が制御プロセッサに送信される。このソフトウェアは、バーコードの読取りにエラーが含まれているかどうかを識別することができるものである。エラーメッセージが消費者に表示される前に、バーコード320を何回も再走査することができる。機械201がバーコードを読取れない場合、消費者は、手動モードの操作により、飲料カートリッジ1を使用して飲料を調合することができる。
【0109】
カートリッジヘッド250はまた、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを検知するカートリッジセンサを含む。
【0110】
カートリッジヘッド250はまた、カートリッジホルダ251が適切に閉じられたかどうかを検知する係止センサを含む。好ましくは、この係止センサに、カートリッジホルダ251が閉じて係止すると始動するマイクロスイッチを含める。好ましくは、このカートリッジセンサおよび係止センサを直列に接続し、これにより、注出サイクルが開始される前に双方のセンサの出力が条件を満たしている、すなわち、カートリッジがあり、かつ機構が係止されている状態としなければならない。
【0111】
機械201の操作は、飲料カートリッジ1をカートリッジヘッド250内に挿入するステップと、飲料を調合する注出サイクルを実施するステップと、カートリッジ1を機械から取り出すステップとを含む。
【0112】
機械201の操作挙動は、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。この機械の操作を「状態」として説明することができる。機械201は普通はある特定の状態にあり、状態遷移と呼ばれるステップである、その状態を変化させる何らかの事象が発生するまでその状態にある。
【0113】
表4は、一実施形態である飲料調製機201について、その状態および状態遷移を例示する状態遷移表である。
【0114】
【表5−1】
【0115】
【表5−2】
【0116】
以下の実施例は、この制御プロセッサによる状態遷移の用い方を例示するものである。 機械201は当初、電源が切られ、カートリッジヘッド250にカートリッジ1が挿入されていないものと仮定する。機械201の電源を入れると、制御プロセッサは状態1となる。ウォータヒータ225の電源を入れる。温度が85℃になると、制御プロセッサが状態2に遷移する。状態1または2のいつであっても、カートリッジホルダ251が閉じていれば、係止センサが始動して、カートリッジホルダ251が適切に閉じていることを示す信号を制御プロセッサに送信する。すると、制御プロセッサは、「リードポッドreadpod」指示を送信して、カートリッジセンサに応答させる。カートリッジセンサは制御プロセッサに信号を返して、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを示す。カートリッジがない場合、制御プロセッサは状態3に遷移し、カートリッジホルダ251が再度開かれて制御プロセッサが状態2に戻るまで、準備完了状態を続ける。状態2においてカートリッジがあれば、制御プロセッサは状態4に遷移し、操作が自動的に開始される。状態4から9の間、水の温度は、飲料カートリッジ1のバーコードによる操作パラメータに設定されている通り、所望温度の要件許容範囲内にあるようにバックグラウンドで調節される。調合の注出段階が終了すると、状態8で空気パージが開始される。空気パージが終了すると、この注出サイクルは終了し、機械は、状態10の待機モードに入る。操作中にエラーが発生した場合、この処理装置は状態11に遷移する。低水位が検知されると、この処理装置は状態12に遷移する。
【0117】
カートリッジ1を挿入するには、カートリッジホルダ251を上述したように開いて、カートリッジ取付台257を露出させる。凹部290内に受けられているカートリッジ取付台257上にカートリッジ1を配置して、カートリッジのハンドル24を不規則形状部291内に配置する。カートリッジ1の光学式または磁気バーコードを、カートリッジ取付台257内の口部326のすぐ上に向ける。次に、カートリッジホルダ251を、上述したようにクランプレバーの操作により閉じる。この閉じる動作時に、入口穿孔器253および出口穿孔器254がカートリッジ1のラミネート5を穿孔して、カートリッジの入口121および出口122を形成する。上述したように、出口穿孔器254により切断されたラミネート5は、注ぎ口43を取り囲む環帯内へ折り上げられる。カートリッジホルダ251は、閉じられると、カートリッジ取付台257と上方部分256との間、および窓311とカートリッジ1の頂部11との間でカートリッジ1をそのリム35に沿って把持し、注出サイクル中に発生する圧力に耐えられるだけの十分な完全性を備えた流体密シールを形成する。
【0118】
この注出サイクルを開始するには、消費者が開始/終了ボタン241を操作する。
【0119】
この注出サイクルは、カートリッジ識別ステップと、注出サイクルステップとを含む。
【0120】
カートリッジの識別は、カートリッジセンサおよび係止センサからの出力が条件を満たしていると仮定して、上述したように光学式カートリッジ識別手段252により行われる。バーコード320を復号したら、機会201の操作パラメータを、制御プロセッサが調整する。すると、注出サイクルが自動的に開始される。
【0121】
注出サイクルには、
(i)予備湿潤、
(ii)停止、
(iii)煎出/混合、
(iv)パージ
の主要な4段階があるが、すべての飲料タイプにすべての段階があるわけではない。
【0122】
予備湿潤段階では、ウォータポンプ230により、水貯蔵タンク220から水がカートリッジに注がれる。この注水により、濾過チャンバ130内にある飲料原料200が湿潤される。この注水は、600ml/分の「速い」流速、または325ml/分の「遅い」流速で実施可能である。遅い注水速度であれば、粘稠性である液体飲料原料を含むカートリッジの場合、こうした原料はさらに高い体積流量率でポンプ注入する前にある程度の希釈しなければならないため、特に有用である。カートリッジ内へ入れる水の容積は、水または飲料をこの段階でカートリッジ出口122から滴下させないように選択する。
【0123】
停止段階では、予め定められたサイクル時間、予備湿潤段階で入れられた水を飲料原料200に吸収させる。予備湿潤段階も吸収段階も、飲料原料200からの抽出量を増加させ、最終的に得られる飲料の芳香を改善することが知られている。この予備湿潤段階および吸収段階は、飲料原料が焙煎および挽き作業を施したコーヒーである場合に特に用いられる。
【0124】
煎出/混合段階では、飲料原料200から飲料を生成するために、水がカートリッジ1を通過する。この水の温度は、ウォータタンク220からカートリッジヘッド250へと通過する水を加熱するようにウォータヒータ225に指示を送信する制御プロセッサにより決定される。水は、導管262を抜け、入口弁および入口穿孔器253を介して飲料カートリッジ1の入口チャンバ126に到達し、カートリッジホルダ251の下方部分255に入る。飲料カートリッジ1からの飲料の煎出および/または混合、これに引き続く調合は、複数の型式の飲料カートリッジを参照して上述した通りである。
【0125】
空気パージ段階は、飲料調製機および飲料カートリッジ1内に加圧空気を吹き込んで、確実に、飲料すべてを調合し、流路を別の飲料を調合できるように清浄することを含む。この空気パージは煎出/混合段階の停止と共に開始されるのではないため、流体の大半を予め流路から出すことができる。これにより、空気パージの開始時に内圧が許容範囲を超えて急激に上昇することが防止される。
【0126】
通常の操作では、利用者は、開始/終了ボタン241を操作することで手動により機械201を停止させる。
【0127】
注出サイクルが終了すると、消費者は、カートリッジホルダ251を開け、手動でカートリッジを取り出して処理することにより、カートリッジ1を取り出す。別法として、機械201に、カートリッジホルダ251を開けると自動的にカートリッジを取り出す自動排出機構を設けてもよい。
【0128】
機械201およびカートリッジ1を用いて飲料を送出する時間は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーの場合には10〜120秒、好ましくは30から40秒であり、ココアの場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒であり、乳の場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒である。
【0129】
機械201はまた有利なことに、制御プロセッサと動作通信しているメモリを含むことができ、このメモリは、利用者により調合される飲料タイプについての情報を格納する。このため、機械201の注出サイクルを、次のカートリッジ1用に調節することができる。これは、飲料を形成するために2つまたはそれ以上の飲料カートリッジ1を連続して使用する場合に特に有利である。例えば、コーヒーカートリッジを調合してから、乳カートリッジを調合して、カプチーノ飲料を形成することができる。別法として、ココアカートリッジを使用してから、乳カートリッジを用いて、クリーム入りホットココア飲料を生成することも可能である。調合した第1の飲料についての情報を格納するメモリを用いて、第2のカートリッジ、すなわち乳カートリッジの調合方式を変更して、最適な飲料を実現してもよい。上述の例では通常、ホットココア用に調合する乳を、コーヒーに添加する乳より希釈することができる。また、ココア用に調合する乳をより遅い速度で調合して、飲料の泡立ち程度を抑えてもよい。様々なカートリッジの組合せが可能であり、当業者であれば、操作パラメータについても同様に明らかであろう。さらに、メモリを用いて、機械201に、利用者が次に調合したい飲料タイプを「予想」させてもよい。例えば、利用者が1つの飲料タイプばかりを飲む場合、その飲料タイプに最適な温度に水を維持するよう、機械から、ウォータヒータに指示を出させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を調製するためのカートリッジに関し、特に、実質的に空気および水分に対して不透過性である材料で形成され、飲料の調製用に1種類または複数種類の原料を含有するシール済みカートリッジを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
空気に対して不透過性である個包装内に飲料調製原料をシールすることが、これまで提案されてきた。例えば、挽いたコーヒーを圧縮して含有するカートリッジやカプセルは、一般に「エスプレッソ」機械と呼ばれる特定のコーヒー調製機械で使用するものとして知られている。こうした調製機械を用いたコーヒーの製造では、コーヒーカートリッジが煎出チャンバ内に配置され、湯がこのカートリッジを比較的高い圧力で通過することにより、挽かれたコーヒーから薫り高いコーヒー成分が抽出されて、コーヒー飲料を生成する。通常、こうした機械は、6×105Paを超える圧力で動作する。このタイプの調製機械は、これに含まれる水ポンプおよびシールなどのコンポーネンツが高圧に耐えられるものでなければならないため、今まで比較的高価であった。
【0003】
従来技術には、概して0.7から2.0×105Paで動作する飲料調製用カートリッジが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このカートリッジは、商業または工業市場用飲料調製機内で使用する設計となっており、比較的高価である。したがって、カートリッジおよび飲料調製機が、特に、価格、性能および信頼性の面で家庭向け市場に適したものとなっている飲料調製用カートリッジが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/58786号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/60220号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0389141号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0334572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主として知られている飲料カートリッジでは、飲料カートリッジの入口と出口は、カートリッジの反対側に形成されている。これは、調合に使用される飲料の調整機械では、入口と出口の穴明け機を、反対方向からカートリッジとの係合位置へ移動させるために、一般的に複雑な機構の装備をカートリッジが必要とするという不都合がある。加えて、入口および出口の穴明け機は、飲料調整装置に対する飲料カートリッジの挿入、取り出しのためのアクセスを遅らせる可能性がある。特許文献2には、飲料カートリッジが提供されており、そのでは、入口と出口がカートリッジの同じ側に形成されている。しかしながら、このカートリッジは、それらが、直接的に飲料原料に接触するため、入口の穴明け機が詰まる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一種類または複数種類の飲料原料を収容し、かつ実質的に空気および水が不透過性の部材で形成されたカートリッジであって、前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を収容するチャンバを形成し、前記カートリッジは、さらに蓋を備え、前記カートリッジは、水媒体の飲料と前記チャンバ内の一種類または複数種類の飲料原料との交わりにより飲料を形成するための水媒体の流入および流出の双方を提供するために、水平方向にカートリッジが存在するとき、使用時において前記蓋が貫通可能であるように構成されていることを特徴とするカートリッジをも提供する。有利なことに、使用中の前記カートリッジの前記水平位置は、カートリッジを通過する水媒体の最適な流れを可能にする。垂直方向に向けられたカートリッジにおいて、水または水媒体は、重力の影響により素早く流れ、飲料原料の部分をバイパスする。水平に方向付けられたカートリッジにおいて、特に入口と出口の間に流動成分を上向きに設定することにより、この問題は回避される。
【0007】
好ましくは、前記水媒体は、第1のチャンバへ流入し、飲料は、第2のチャンバから流出する。前記第1のチャンバは、マニホルドチャンバとすることが可能である。また、前記第2のチャンバは、注出チャンバとすることが可能である。好ましくは、一種類または複数種類の飲料原料を収容する収容チャンバをさらに備え、この収容チャンバは、前記マニホルドチャンバおよび注出チャンバとから分離されている。
【0008】
以下の説明において、用語「上方」、「下方」およびその等価の用語を、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。用語「上方」、「下方」およびその等価用語を、例えば図4に示すように、飲料調製機に挿入して引き続き調合を行う、普通の方向にあるカートリッジ(または他のコンポーネンツ)に対して指すものと理解すべきである。具体的に言えば、「上方」および「下方」は、カートリッジの頂面11からより近い相対的位置、またはより遠い相対的位置をそれぞれ指す。また、用語「内側」、「外側」およびその等価用語も、以下、本発明の特徴要素の相対的位置付けを説明するために用いる。この用語「内側」、「外側」およびその等価用語を、カートリッジ1(または他のコンポーネンツ)の中心または長軸Xからより近いまたはより遠い、カートリッジ(または他のコンポーネンツ)内での相対的位置付けをそれぞれ指すものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1および第2の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図2】図1の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示している。
【図3】スロットを示す、図1の外側部材の詳細を示す断面図である。
【図4】図1の外側部材を上から見た斜視図である。
【図5】図1の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図6】図1の外側部材を上から見た平面図である。
【図7】第1の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図8】図7の内側部材を上から見た斜視図である。
【図9】図7の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図10】図7の内側部材を上から見た平面図である。
【図11】組み立てた状態である第1の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図12】第2の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図13】口部を示す、図12の内側部材の詳細を示す断面図である。
【図14】図12の内側部材を上から見た斜視図である。
【図15】図12の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図16】図12の内側部材を示す別の断面図である。
【図17】空気入口を示す、図12の内側部材の別の詳細を示す断面図である。
【図18】組み立てた状態である第2の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図19】第3および第4の実施形態であるカートリッジの外側部材を示す断面図である。
【図20】図19の外側部材の詳細を示す断面図であり、内側向きの円筒状延出部を示している。
【図21】図19の外側部材を上から見た平面図である。
【図22】図19の外側部材を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図24】第3の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図25】図24の外側部材を上から見た平面図である。
【図26】内向き上方リムを示す、図24の内側部材の詳細を示す断面図である。
【図27】図24の内側部材を上から見た斜視図である。
【図28】図24の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図29】組み立てた状態である第3の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図30】本発明による第4の実施形態であるカートリッジの内側部材を示す断面図である。
【図31】図30の内側部材を上から見た平面図である。
【図32】図30の内側部材を上から見た斜視図である。
【図33】図30の内側部材を逆向きにして上から見た斜視図である。
【図34】組み立てた状態である第4の実施形態のカートリッジを示す断面図である。
【図35】本発明と併用する飲料調製機を示す正面斜視図である。
【図36】カートリッジヘッドが開位置にある、図35の機械を示す正面斜視図である。
【図37】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械を示す背面斜視図である。
【図38】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械を示す別の背面斜視図である。
【図39】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械のカートリッジヘッドを示す斜視図である。
【図40】便宜上いくつかの部品を省いた、図35の機械のカートリッジヘッドを示す別の斜視図である。
【図41】閉位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図42】開位置にあるカートリッジヘッドを示す断面図である。
【図43】図35の機械を示す概略レイアウトである。
【図44a】図35の機械に対する第1のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図44b】図35の機械に対する第2のコード認識手段を示す概略レイアウトである。
【図45】バーコードを含む本発明の飲料を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、実施例のみを用いて以下に説明する。
【0011】
図11に示すように、カートリッジ1は主に、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5とを含む。外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5とを組み合わせると、1種類または複数種類の飲料原料を含有するための内部120と、入口121と、出口122と、入口121から出口122までをつないで内部120を貫通する飲料流路とを有するカートリッジ1が形成される。入口121と出口122とは、当初はラミネート5でシールされているが、使用時に、そのラミネート5を穿孔または切削加工することにより開口される。飲料流路は、以下で説明するように、外側部材2と、内側部材3と、ラミネート5との間の空間的相互関係により画定される。この他にも、以下でさらに説明するように、フィルタ4などのコンポーネンツを任意にカートリッジ1に含めることができる。
【0012】
次に予備知識として説明する第1の型式のカートリッジ1を、図1から図11に示す。第1の型式のカートリッジ1は、焙煎および挽き作業を施したコーヒーやリーフティなどの濾過生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。しかし、この型式のカートリッジ1および、以下で説明する他の型式を、ココア、コーヒー、茶、甘味料類、強壮剤類、調味料類、アルコール飲料類、調味乳、果汁類、スカッシュ類、ソース類、およびデザート類などの他の生成物に使用することも可能である。
【0013】
図5からわかるように、カートリッジ1の全体形状は、その直径が高さより大幅に大きい略円形またはディスク形状である。長軸Xは、図1に示すように、外側部材の中心を通っている。通常、外側部材2の直径全体は74.5mm±6mmであり、高さ全体は16mm±3mmである。通常、このカートリッジ1の容積は30.2ml±20%である。
【0014】
外側部材2は主に、湾曲した環状壁13を有するボール形状のシェル10と、閉じた頂部11と、開いた底部12とを含む。閉じた頂部11から開いた底部12にかけて環状壁13が広がっているため、外側部材2の直径は、その頂部11にて、底部12の直径に比較して小さくなっている。環状壁13と閉じた底部11とが共に、内部34を有する入れ物を画成している。
【0015】
中空で内側向きの円筒状延出部18が、長軸Xを中心として閉じた頂部11に設けられている。図2でさらによくわかるように、円筒状延出部18は、第1、第2および第3の部分19、20および21を有する階段状プロファイルを含む。第1の部分19は、直円筒状である。第2の部分20は、裁頭円錐形状であり、内側に先細りになっている。第3の部分21は、もう1つの直円筒であり、下方面31により閉じられている。第1、第2および第3の部分19、20および21の直径は、円筒状延出部18の頂部11から閉じた下方面31にかけて、円筒状延出部18の直径が狭まるように、段階的に小さくなっている。略水平な肩32が、第2の部分20と第3の部分21との間の結合部分にて円筒状延出部18に形成されている。
【0016】
外向きに延出する肩33が、底部12に向けて外側部材2に形成されている。この外向きに延出する肩33が、環状壁13と同軸である副次的壁15を形成し、これにより、副次的壁15と環状壁13との間にマニホルド16を形成する環状トラックを画成するようになっている。マニホルド16は、外側部材2の周囲をめぐって通っている。一連のスロット17が、環状壁13にマニホルド16と同じ高さで設けられており、これにより、マニホルド16と外側部材2の内部34との間が気体および液体連通した状態となる。図3に示すように、スロット17は、環状壁13に形成された垂直スリットを含む。20から40本のスリットを設ける。図示した実施形態では、37本のスロット17が、ほぼ等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。スロット17を、好ましくは、1.4から1.8mmの長さとする。通常、各スロットの長さは、外側部材2の高さ全体の10%である1.6mmである。各スロットの幅は、0.25から0.35mmである。通常、各スロットの幅は0.3mmである。スロット17の幅を十分に狭くして、保管時、使用時のいずれかに飲料原料がマニホルド16内に通過してしまわないようにする。
【0017】
入口チャンバ26を、外側部材2の周囲にて外側部材2内に形成する。図5で最もよくわかるように、円筒状壁部27が設けられており、これが外側部材2の内部34に入口チャンバ26を画成し、同時に入口チャンバ26を外側部材2の内部34から仕切っている。この円筒状壁部27は、長軸Xに垂直な1平面上に形成された閉じた上方面28と、外側部材2の底部12と同平面上にある開いた下方端部29とを有する。入口チャンバ26は、図1に示すように、2本のスロット30を介してマニホルド16と連通する。別法として、1から4本のスロットを用いて、マニホルド16と入口チャンバ26との間を連通させてもよい。
【0018】
外向きに延出する肩33の下方端部には、長軸Xに垂直に外向きに延出するフランジ35が設けられている。通常、このフランジ35の幅は2から4mmである。フランジ35の一部が、外側部材2の保持によってハンドル24を形成するように、拡張されている。ハンドル24には、掴みやすくするために先を上向きにしたリム25が設けられている。
【0019】
外側部材2を、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、またはこれらの2種以上の積層体から単体ピースとして形成する。適したポリプロピレンは、DSM UK Limited(Redditch、United Kingdom)から入手可能な一連のポリマー類である。この外側部材は、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。この製造処理を射出成形とすることができる。
【0020】
図7から図10に示すように、内側部材3は、環状フレーム41と、下向きに延出する円筒状漏斗40とを含む。図7に示すように、長軸Xは内側部材3の中心を通っている。
【0021】
図8で最もよくわかるように、環状フレーム41は、外側リム51と、等間隔で設けられた10本の径方向スポーク53で接合されている内側ハブ52とを含む。内側ハブ52は円筒状漏斗40と一体であり、かつ円筒状漏斗40から延出している。濾過口部55が、径方向スポーク53の間で環状フレーム41内に形成されている。この濾過口部55をカバーするように、フィルタ4が環状フレーム41上に配置される。このフィルタを好ましくは、不織繊維材料であるポリエステルなど、湿潤強さの高い材料で製造する。この他に使用可能な材料として、織紙繊維を含むセルロース材料などの水分不透過性セルロース材料が挙げられる。この織紙繊維をポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンの繊維と混合させることができる。こうしたプラスチック材料をセルロース材料内に組み合わせると、そのセルロース材料がヒートシール可能なものとなる。フィルタ4を、熱および/または圧力で活性化される材料で処理またはコーティングして、熱および/または圧力により環状フレーム41にシールできるようにしてもよい。
【0022】
図7の断面プロファイルに示すように、内側ハブ52は外側リム51より下の位置に配置されるため、環状フレーム41のプロファイルが、下方に傾斜したものとなる。
【0023】
各スポーク53の上面に、直立型ウェブ54が設けられる。このウェブが、環状フレーム41上方の孔空間を複数の通路57に分割する。各通路57はウェブ54により分割された両側と、フィルタ4の下面とにその境界を接した状態となる。通路57は外側リム51から下方に円筒状漏斗40に向けて延在し、ウェブ54の内側末端部により画成される開口56にて円筒状円筒状漏斗40に開いている。
【0024】
円筒状円筒状漏斗40は、内側注ぎ口43を取り囲む外側チューブ42を含む。この外側チューブ42が、円筒状円筒状漏斗40の外面を形成している。注ぎ口43はその上方端部にて外側チューブ42に、環状フランジ47により接合されている。注ぎ口43は、その上方端部に位置して通路57の開口56と連通する入口45と、その下方端部に位置し、調製済み飲料を通過させてカップや他の入れ物内に注ぐ出口44とを含む。注ぎ口43は、その上方端部に略切頭円錐状部分48を、またその下方端部に円筒状円筒状部分58を含む。この円筒状円筒状部分58にわずかに先細る部分を設けて、出口44に向けて幅を細めてもよい。略切頭円錐形部分48を設けることにより、飲料に乱流を起こすことなく、飲料を通路57から出口44に向けて下向きに流動させやすくなる。略切頭円錐形部分48の上面には、円筒状円筒状漏斗40の周囲に等間隔で位置する支持ウェブ49を設ける。この支持ウェブ49の間に複数のチャネル50が画定される。支持ウェブ49の上縁部は互いに同じ高さであり、長軸Xに垂直である。
【0025】
内側部材3を、上述したように、外側部材2と同様、ポリプロピレンまたはこれに類似した材料から射出成形により単体ピースとして形成することができる。
【0026】
別法として、内側部材3および/または外側部材2を、生分解性ポリマーで製造してもよい。適した材料の例として、分解性ポリエチレン(例えば、英国ボアハムウッドのSymphony Environmental製SPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(例えば、Symphony Environmental製BAK1095)、ポリ乳酸(米国ミネソタ州のCargil製PLA)、デンプン系ポリマー、セルロース誘導体、およびポリペプチドが挙げられる。
【0027】
ラミネート5は、アルミニウムによる第1の層、および無延伸ポリプロピレンによる第2の層の2層から形成される。このアルミニウム層は0.02から0.07mmの厚さである。無延伸ポリプロピレン層は0.025から0.065mmの厚さである。一実施形態において、アルミニウム層は0.06mmの厚さであり、ポリプロピレン層は0.025mmの厚さである。このラミネートは、組み立て時の巻き込みに高い抵抗を有するため、特に有利である。このため、ラミネート5を、歪みを発生させることなく、正しいサイズおよび形状に事前に切断しておき、その後製造ラインの組み立てステーションに移送することができる。したがって、このラミネート5は溶着に特に適している。他のラミネート材料も使用可能であり、その例として、PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属被覆/PP、およびアルミニウム/PPラミネートが挙げられる。打ち抜き加工した在庫品ではなく、ロールラミネートによる在庫品を用いてもよい。
【0028】
カートリッジ1を、可撓性のラミネートではなく、剛性または半剛性の蓋で閉じてもよい。
【0029】
カートリッジ1の組み立ては、
a)内側部材3を外側部材2に挿入するステップと、
b)フィルタ4を決まった形状に切断し、内側部材3上に配置して、円筒状円筒状漏斗40上で受け、環状フレーム41に対向する位置にくるようにするステップと、
c)内側部材3、外側部材2、およびフィルタ4を超音波溶着で接合するステップと、
d)このカートリッジ1に、1種類または複数種類の飲料原料を充填するステップと、
e)ラミネート5を外側部材2に取付けるステップと
を含む。
【0030】
上記ステップについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0031】
外側部材2を、その開いた底部12を上向きにして方向付ける。次に、内側部材3をその外側部材2内に挿入して、外側リム51がカートリッジ1の頂部11において軸方向延出部14内に遊合状態で受けられるようにする。これと同時に、外側部材2の円筒状円筒状延出部18が、内側部材3の円筒状漏斗40の上方部分内に受けられる。円筒状延出部18の閉じた下方面31が内側部材3の支持ウェブ49に当たった状態で、円筒状延出部18の第3の部分21が円筒状漏斗40内に納まる。次に、フィルタ4を、フィルタ材料が環状リム51に接触するように、内側部材3上に配置する。超音波溶着処理により、このフィルタ4を内側部材3に接合し、同時に同一処理ステップにおいて、内側部材3を外側部材2に接合する。内側部材3およびフィルタ4を外側リム51に沿って溶着する。内側部材3および外側部材2は、外側リム51およびウェブ54の上方縁部に沿って溶着線により接合する。
【0032】
図11で最もよくわかるように、外側部材2および内側部材3を互いに接合すると、環状フランジ41の下方かつ円筒状漏斗40の外側に、内部120内の孔空間130ができ、これが濾過チャンバとなる。この濾過チャンバ130と環状フレーム41上方の通路57とを、濾紙4が隔てる。
【0033】
濾過チャンバ130には1種類または複数種類の飲料原料200が含有される。1種類または複数種類の飲料原料は、濾過チャンバ130内に包装される。濾過式飲料の場合、この原料は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーまたはリーフティである。濾過チャンバ130内の飲料原料の包装密度は、所望に応じて変更可能である。通常、濾過式コーヒー生成物の場合、この濾過チャンバは、通常5から14mm厚さの濾過床に5.0から10.2グラムの焙煎および挽き作業を施したコーヒーを含有する。任意に、内部120に、その中で自由に移動できるため、飲料を注ぐ時点で乱流を起こし、その飲料原料の沈殿物を砕いて混合しやすくする球体などの1種類または複数種類の物体を入れてもよい。
【0034】
次に、ラミネート5を外向きに延出するフランジ35の下面に接合するためにラミネート5の周囲に溶着部126を形成することにより、ラミネート5を外側部材2に取付ける。溶着部126を、ラミネート5を入口チャンバ26の円筒状壁部27の下方縁部に対してシールするように延在させる。さらに、この溶着部125を、ラミネート5と円筒状漏斗40の外側チューブ42の下方縁部との間に形成する。このラミネート5が、濾過チャンバ130の下方壁となり、かつ入口チャンバ26および円筒状漏斗40をシールする。ただし、ラミネート5と注ぎ口43の下方縁部との間には、調合前に小さな隙間123ができるようになっている。ラミネート5の材料特性に応じて、熱および超音波溶着など、様々な溶着方法が使用可能である。
【0035】
有利なことに、外側部材2とラミネート5との間に内側部材3がある。この内側部材3を、ポリプロピレンなどの比較的硬い材料で形成する。これにより、内側部材3は、カートリッジ1が圧縮されてもラミネート5と外側部材2との間のスペースを保つように作用する荷重受け部材となる。使用時、カートリッジ1の受ける圧縮荷重を130から280Nとすると好ましい。この圧縮力は、カートリッジが内部加圧下で破損することを防ぐ作用をすると同時に、内側部材3および外側部材2を互いに寄せる役割を果たす。これにより、確実に、カートリッジ1内の通路および口部の内側寸法は固定され、カートリッジ1が加圧されても変化しなくなる。
【0036】
このカートリッジ1を使用するには、まず、これを飲料調製機内に挿入し、入口121および出口122を、ラミネート5を穿孔してそれをバックグラウンドに折り返す、その飲料調製機の穴開け部材により開ける。通常は水である、圧力下にある水媒体を、0.1から2.0バールの圧力でカートリッジ1に入れて、入口121から入口チャンバ26内へ通す。ここから、水はスロット30を通過してマニホルド16を回り、複数のスロット17を介してカートリッジ1の濾過チャンバ130内に入る。この水は、濾過チャンバ130を介して径方向内側に押し入れられ、そこに含有されている飲料原料200と混ざり合う。この水は同時に、その飲料原料内を通って上側に押し上げられる。水がこのように飲料原料内を通過することで形成された飲料は、フィルタ4および濾過口部55を通過して、環状フレーム41上方に位置する通路57内に入る。フィルタ4がスポーク53にシールされ、リム51が外側部材2に溶着されており、他の出口がまったくない状態であるため、この飲料すべてが確実にフィルタ4を通過する。
【0037】
次に、この飲料はウェブ54間に形成された径方向通路57に沿って下向きに流動し、開口56を通過して円筒状漏斗40内に入る。続いて、チャネル50に沿って支持ウェブ47間を通過し、注ぎ口43から下の出口44に落ち、これにより、この飲料はカップなどの入れ物内に注がれる。
【0038】
好ましくは、飲料調製機に空気パージ性能を含めて、注出サイクルの終了時に圧縮空気をカートリッジ1内に押し入れることにより、残留飲料をその入れ物内に流し出す。
【0039】
次に、図12から図18は、カートリッジの第2の型式を示している。第2の型式のカートリッジ1は、クレマとして知られる細かい気泡の泡立ちを有する飲料を生成することが望ましい、焙煎および挽き作業を施したコーヒーなどのエスプレッソ型生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。第2の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指している。以下の説明では、第1の型式と第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0040】
外側部材2の構造は、第1の型式のカートリッジ1が備え、図1から図6に示すものと同じである。
【0041】
内側部材3の環状フレーム41は、第1の型式のものと同じである。また、フィルタ4が、濾過口部55をカバーするように、環状フレーム41上に配置される。円筒状漏斗40の外側チューブ42も、第1の場合と同様である。ただし、第2の型式の内側部材2に、第1の型式の場合と比較していくつか相違点がある。図16に示すように、注ぎ口43に、出口44から注ぎ口43に向けて一部延出する仕切り65が設けられている。この仕切り65を設けることにより、飲料が注ぎ口43を出る際にしぶきを飛ばす、かつ/またははねることを防止しやすくなる。注ぎ口43のプロファイルも異なっており、この注ぎ口43は、チューブ43の上方端部近傍で明確な屈曲部66を備える階段状プロファイルを含む。
【0042】
リム67が、環状フランジ47から直立して設けられて、外側チューブ42と注ぎ口43とを接合している。このリム67は入口45から注ぎ口43までを取り囲み、リム67と外側チューブ42の上方部分との間に環状チャネル69を画成する。リム67には、内向きの肩68が設けられている。リム67周囲の一箇所に、口部70がスロットの形態で設けられており、このスロットは、図12および図13で最もよくわかるように、リム67の上方縁部から肩68の高さよりわずかに下の箇所まで延在するものである。このスロットの幅は0.64mmである。
【0043】
図16および図17に示すように、環状フランジ47に、口部70と周方向に位置合わせされた空気入口71を設ける。この空気入口71は、外側チューブ42と注ぎ口43との間でフランジ47の上方箇所とフランジ47の下方の孔スペースとを流通させるように、フランジ47を貫通する口部を含む。好ましくは、図示のように、空気入口71に、上方略切頭円錐形部分73と下方円筒状部分72とを含める。空気入口71は通常、ピンなどの成形工具により形成される。空気入口71を先細りプロファイルにすると、成形工具を成形原料から取り出しやすくなる。空気入口71に近位である外側チューブ42の壁を、空気入口71から注ぎ口43の入口45へとつながるシュート75を形成する形状とする。図17に示すように、空気入口71とシュート75との間に斜めの肩74が形成されて、スロット70から噴射される飲料が、空気入口71のごく近位にあるフランジ47の上面を直接汚さないようにしている。
【0044】
第2の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様である。しかし、いくつかの相違点もある。図18に示すように、円筒状延出部18の第3の部分21は、支持ウェブに対してではなく、支持リム67内に納まる。第2の部分20と第3の部分21との間に位置する円筒状延出部18の肩32は、内側部材3の支持リム67が含む上方縁部に当たる。このようにして、内側部材3と外側部材2との間に、カートリッジ1の周囲のほぼ全体に延び、円筒状延出部18と支持リム67との間の面シールを含む界面ゾーン124が形成される。ただし、支持リム67に形成するスロット70が支持リム67を貫通して肩68のわずか下方の箇所まで下向きに延在しているため、円筒状延出部18と支持リム67との間のシールは流体密ではない。したがって、円筒状延出部18と支持リム67との間が界面嵌合することにより、スロット70が口部128へと変化して、環状チャネル69と注ぎ口43との間を気体および液体連通させている。この口部は通常、その幅が0.64mm、長さが0.69mmである。
【0045】
第2の型式のカートリッジ1で飲料を調合する操作は、第1の型式と同様であるが、いくつかの点で異なっている。径方向通路57内の飲料は、ウェブ54間に形成された通路57を下向きに流動して、開口56から円筒状漏斗40の環状チャネル69内に入る。環状チャネル69内に入った後、この飲料は、濾過チャンバ130および通路57内に収集した飲料の背圧により、圧力下で口部128から押出される。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部が形成する膨張チャンバ内に押出される。図18に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注出され、気泡が所望のクレマとなる。したがって、口部128および空気入口71が共に、空気を飲料内に取り込むように作用するエダクタとなる。このエダクタ内への飲料の流動をできる限り滑らかに保ち、圧力損失を低減しなければならない。そのためには有利なことに、エダクタの壁部を凹形表面に製造して、「壁面効果」摩擦による損失を低減しなければならない。口部128の寸法公差は小さい。好ましくは、この口部サイズを0.02mm2前後に定める。毛状物、繊維または他の表面凹凸をエダクタ内、またはエダクタの出口近傍に設けて、空気の取り込み量を増加させることがわかっている有効領域を増加してもよい。
【0046】
第3の型式のカートリッジ1を図19から図29に示す。第3の型式のカートリッジ1は、粉末、液体、シロップ、ゲルまたはこれに類似の形態でよい溶解性生成物の調合に使用するように特に設計されたものである。この溶解性生成物は、使用時にカートリッジ1内を水などの水媒体が通過すると、その水媒体によって溶解する、または水媒体内に懸濁液を形成する。この飲料例として、ココア、コーヒー、乳、茶、スープ、またはこの他の、水を加えて元に戻す生成物や水溶解性生成物が挙げられる。第3の型式のカートリッジ1が備える特徴は、その多くが第1および第2の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指している。以下の説明では、第3の型式と第1の型式および第2の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0047】
第1および第2の型式の外側部材2と比較すると、図20に示すように、第3の型式の外側部材2に含まれる中空で内向きの円筒状延出部18の直径は全体として大きくなっている。具体的に言えば、第1および第2の型式の外側部材2では13.2mmであったところが、第1の部分19の直径は通常16から18mmである。さらに、第1の部分19には、図20で最もよくわかるように、凸状外面19aすなわちバルジが設けられている。このバルジの機能については以下で説明する。しかし、カートリッジ1のうち、第3の部分21の直径は同じである。このため、肩32の面積がこの第3の型式のカートリッジ1では広くなっている。通常、カートリッジ1の容積は、組み立て時で32.5ml±20%である。
【0048】
環状壁13の下方端部に設けるスロットの数および位置もまた異なっている。3から5本のスロットを設ける。図23に示すように、この実施形態では、4本のスロット36が等間隔でマニホルド16の周囲に設けられている。このスロット36は、第1および第2の型式のカートリッジ1の場合よりわずかに幅広で、0.35から0.45mmであり、好ましくは、0.4mm幅である。
【0049】
他の点において、カートリッジ1の外側部材2はいずれも同じである。
【0050】
内側部材3に含まれる円筒状漏斗40の構造は、第1の型式のカートリッジ1と同じであり、外側チューブ42、注ぎ口45、環状フランジ47、および支持ウェブ49が設けられている。唯一の相違点は、注ぎ口45であり、これは上方略切頭円錐形部分92と下方円筒状部分93とを備える形状となっている。
【0051】
第1および第2の型式と比較すると、図24から図28に示すように、環状フレーム41は、円筒状漏斗40を取り囲み、かつ円筒状漏斗40を環状フランジ47にまたはこの近傍に結合する8本の径方向ストラット87により円筒状漏斗40に接続されているスカート部分80に置き換えられている。このスカート部分80からは、円筒状の延出部81がストラット87から上向きに延出して、上面が開いたチャンバ90を画成している。円筒状延出部81の上方リム91は、図26に示すように、内向きプロファイルを有する。スカート部分80の環状壁82は、ストラット87から下向きに延在して、スカート部分80と外側チューブ42との間に環状チャネル86を画成している。
【0052】
環状壁82は、その下方端部に、長軸Xに垂直に位置する外側フランジ83を含んでいる。リム84が、フランジ83の下面から下向きにぶら下がり、リム84に沿って周方向に等間隔な5個の口部85を具備している。したがって、リム84の下方は、城砦型プロファイルとなっている。
【0053】
ストラット87間に口部89を設けることにより、チャンバ90と環状チャネル86との間を連通させている。
【0054】
第3の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第1の型式の組み立てと同様であるが、いくつかの相違点もある。図29に示すように、外側部材2と内側部材3とは、互いに溶着されるのではなく、互いに押し嵌めされ、スナップ嵌合構造により保持される。この2つの部材の接合時、内向き円筒状延出部18が、スカート部分80の上方円筒状延出部81の内側に受けられる。内側部材3は、円筒状延出部18に含まれる第1の部分19の凸状外表面19aが上方円筒状延出部81の内向きリム91と摩擦係合することにより、外側部材2内に保持される。
【0055】
内側部材3が外側部材2内に配置した状態になると、混合チャンバ134が、スカート部分80の外側に画成される。この混合チャンバ134が、調合前の飲料原料200を含有する。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることに留意されたい。内側部材3および外側部材2を相対的にどのように位置決めしても4つの入口36および5つの口部85を用いることで確実にこの入口と口部との間に位置のずれが発生するため、この2つの部品の互いに対する径方向位置を組み立て時に決定または固定しなくてもよい。
【0056】
1種類または複数種類の飲料原料を、カートリッジの混合チャンバ134内に包装する。この混合チャンバ134内における飲料原料の包装密度は所望に応じて変更可能である。
【0057】
次に、ラミネート5を内側部材3および外側部材2に、第1および第2の型式において上述したように取付ける。
【0058】
使用時、第1および第2の形式のカートリッジと同様に、水が、4本のスロット36を通って混合チャンバ134に入る。この水が径方向内側に混合チャンバ内に押し入れられ、そこに含有されている飲料原料と混ざり合う。この水の中に生成物が溶解または混合されて、混合チャンバ134内に飲料が形成され、これが、混合チャンバ134内の飲料および水の背圧により、口部85から環状チャネル86内に駆逐される。4つの入口36と5つの口部85とが互い違いに周方向に配置されることにより、水の噴射が入口スロット36から径方向に直接口部85内に入ることは、まず混合チャンバ134内で循環が発生しない限り、あり得ない。このため、生成物の溶解または混合の程度および安定性は大幅に高まる。形成された飲料は、環状チャネル86内を上方向に押し上げられ、ストラット87間の口部89を通ってチャンバ90内に入る。次にチャンバ90から支持ウェブ49間の入口45を介して注ぎ口43に入り、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれる。このカートリッジを、粘稠液またはゲルの形態である飲料原料に適用できることがわかっている。一用途において、カートリッジ1内には、周囲温度にて粘性が1700〜3900mPa、0℃にて5000〜10000mPaであり、屈折固形分が67ブリックス度±3である液状チョコレート原料が入れられる。別の用途において、カートリッジ1内には、周囲温度にて粘性が70〜2000mPa、0℃にて80〜5000mPaであり、全固形分量が40から70%である液体コーヒーが入れられる。第4の型式のカートリッジ1を図30から図34に示す。第4の型式のカートリッジ1は、濃縮型液状乳などの液状生成物の調合に用いるように特に設計されたものである。第4の型式のカートリッジ1に含まれる特徴は、その多くが第1から第3の型式のものと同じであるため、同様の参照符号を用いて同様の特徴を指す。以下の説明では、第4の型式と第1から第3の型式との間の違いについて述べる。同様に機能する共通の特徴について、以下では詳細な説明を省略する。
【0059】
外側部材2は、第3の型式のカートリッジ1の、図19から図23に示すものと同じである。
【0060】
内側部材3の円筒状漏斗40は、第2の型式のカートリッジ1に類似しているが、いくつかの点で異なる。図30に示すように、注ぎ口43は、上方略切頭円錐部分106と、下方円筒状部分107とを含む形状である。この注ぎ口43の内面には3つの軸方向リブ105が設けられて、調合された飲料を下向きに出口44に方向付け、注がれた飲料が注ぎ口内で旋回しないようにしている。したがって、リブ105はバッフルとして作用する。第2の型式のカートリッジ1と同様、空気入口71が環状フランジ47を貫通して設けられている。しかし、空気入口71の下のシュート75は、第2の型式の場合より細長くなっている。
【0061】
スカート部分80が、上述した第3の型式のカートリッジ1に示したものと同様に設けられている。5から12個の口部85がリム84内に設けられている。第3の型式のカートリッジ1では5個であったが、通常10個の口部を設ける。
【0062】
スカート部分80のフランジ83から、これと一体となって延出している環状ボール100が設けられている。この環状ボール100は、上方口104を上向きに開いたフレア型本体101を含む。図30および図31に示す4個の送り口部103が、この本体101内にて、スカート部分80と接合するボール100の下方端部に、またはその近傍に配置されている。好ましくは、この送り口部をボール100の周囲に等間隔で配置する。
ラミネート5は、これまでの実施形態で説明したタイプのものである。
【0063】
第4の型式のカートリッジ1を組み立てる手順は、第3の型式の組み立てと同様である。
【0064】
第4の型式のカートリッジ1の操作は、第3の型式の操作と同様である。水が、第1から第3の形式のカートリッジと同様に、カートリッジ1および混合チャンバ134に入る。ここで、上述したように、水が液体生成物と混ざり合い、これを希釈して、上述したように、口部85を通り、出口44に向けて押出される。図34に示すように、環状ボール100に当初含有される一定割合の液体生成物は、混合チャンバ134に入った水によりすぐに希釈されるわけではない。混合チャンバ134の下方部分にある希釈された液体生成物は、上方口104から環状ボール100内に押し上げられるのではなく、口部85から出て行くことになる。したがって、環状ボール100内の液体生成物は、混合チャンバ134の下方部分にある生成物と比較して、注出サイクルまだ比較的濃縮状態を保っている。環状ボール100内の液体生成物は、送り口部103から、混合チャンバ134内にて口部85を通過する生成物流内へと滴下される。環状ボール100は、一定量の濃縮液体生成物を取り置き、注出サイクル中、定期的に液体流路内にそれを注出することにより、円筒状漏斗40に入る希釈済み液体生成物の濃度を平均化する作用をする。注出サイクル注出サイクル。
【0065】
こうした飲料は、圧力下で押出されて、濾過チャンバ134およびチャンバ90に収集される飲料の背圧により、環状チャネル86から口部128を通過する。したがって、飲料は口部128から噴射されて、注ぎ口43の上方端部が形成する膨張チャンバ内に押出される。図34に示すように、この飲料噴射は、空気入口71上をそのまま通過する。飲料が注ぎ口43に入ると、飲料噴射の圧力が降下する。この結果、空気が空気入口71を介して引き込まれるのと同時に、その空気が飲料流内に多数の小さな気泡として混入される。口部128から出た飲料噴射は、下向きに流れて集まり、出口44までくると、ここでカップなどの入れ物内に注がれ、気泡が所望の泡立った外観を形成する。
【0066】
有利なことに、内側部材3、外側部材2、ラミネート5、およびフィルタ4はすべて、別個のコンポーネンツであり、個別には蛇行通路や細い隙間を含んでいないため、これらを容易に殺菌消毒することができる。必要な通路が形成されるのは、殺菌消毒後にこれらのコンポーネンツを結合した時点である。これは、飲料原料が液状乳濃縮物などの乳原料を主原料とする生成物である場合に特に重要である。
【0067】
飲料カートリッジの第4の実施形態は、液状乳などの濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物の調合に特に有利である。これまで、粉末状の乳生成物は、小袋の形態で提供され、これを事前に調製した飲料に加えるようになっていた。しかし、カプチーノタイプ飲料の場合、乳を泡立てる必要がある。これはこれまで、液状乳生成物に蒸気を通すことで実施されてきた。しかし、これには、蒸気調合用設備が必要であるため、この飲料の調合に用いる機械のコストならびに複雑度が増してしまう。また、蒸気を使用すると、カートリッジ操作時に怪我を負う危険性も高まる。したがって、本発明は、濃縮した乳原料を主原料とする液体生成物を中に有する飲料カートリッジを提供するものである。乳生成物を濃縮した場合、新鮮な乳またはUHT乳と比較すると、特定容積の乳に対してより多くの量の泡沫を生成できることがわかっている。これを利用すれば、乳用カートリッジに必要なサイズが縮小される。新鮮な半脱脂乳は、およそ1.6%の脂肪分および10%の全固形分を含む。本発明による濃縮型液状乳調製物は、0.1から12%の脂肪分および25から40%の全固形分を含む。一典型的実施例では、この調製物は4%の脂肪分および30%の全固形分を含む。この濃縮型乳調製物は、以下に記載するように低圧調製機械による泡立てに適している。具体的に言えば、この乳の泡立てを、上述した第4の実施形態のカートリッジを用い、2バール未満、好ましくはおよそ1.5バールの圧力で行う。
【0068】
濃縮乳を泡立てることは、カプチーノおよびミルクセーキなどの飲料に特に都合がよい。注出サイクル注出サイクル 第4の実施形態のカートリッジも、液状コーヒー生成物の調合に有利である。
【0069】
本発明によるこの実施形態の飲料カートリッジから有利なことに、従来技術によるカートリッジと比較して、煎出した飲料の安定性を改良できることがわかっている。以下に示す表1を参照すると、焙煎および挽き作業を施したコーヒーを含有するカートリッジAおよびカートリッジBそれぞれについて、20試料を煎出して得られた収率が示されている。カートリッジAは、本発明の第1の実施形態による飲料カートリッジである。カートリッジBは、本願出願人による特許文献1に記載された従来技術による飲料カートリッジである。煎出した飲料の屈折率をブリックス度で測定し、これを、標準表および式を用いて溶解性固形分の比率(%SS)に変換する。以下の実施例において、
%SS=0.7774*(ブリックス度値)+0.0569
%収率=(%SS*煎出量(g))/(100*コーヒー重量(g))
である。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
上記データについてt検定統計分析を行ったところ、以下の結果を得た。
【0073】
【表3】
【0074】
この分析から、煎出濃さに匹敵する収率の安定性は、標準偏差が0.88%であった本発明によるカートリッジについて、従来技術によるカートリッジの標準偏差2.24%と比較して、より大幅に高かった(95%の信頼水準)ことがわかる。これは、本発明によるカートリッジにより煎出した飲料の濃さのほうが、再現可能かつ均一であるということである。これは、同じ飲料を何度も味わいたく、その飲料の濃さを恣意に変更したくない消費者に好ましい。
【0075】
上述したカートリッジの材料に、バリアコーティングを施して、酸素および/または湿気、および/または他の汚染侵入物に対する防御性を改良してもよい。このバリアコーティングを施すと、飲料原料がカートリッジから漏れることに対する防御性を改良し、かつ/または飲料原料に悪影響を与えかねないカートリッジ材料からの抽出物滲出の程度を抑えることができる。バリアコーティングの材料を、PET、ポリアミド、EVOH、PVDCまたは金属化材料からなる群から選択することができる。バリアコーティングの適用には、いくつかの機構が利用可能であり、その例として、これらに限定するものではないが、蒸着、真空蒸着、プラズマコーティング、共押出加工、インモールドラベリング、および二段/多段成形が挙げられる。
【0076】
上述した飲料カートリッジを用いる本発明における飲料調製機201を図35から図45に示す。飲料調製機201は主に、ウォータタンク220を備える筐体210と、ウォータヒータ225と、ウォータポンプ230と、空気圧縮機235と、制御プロセッサと、ユーザインターフェース240と、カートリッジヘッド250とを含む。カートリッジヘッド250はさらに、主に、使用時に飲料カートリッジ1を保持するカートリッジホルダ251と、カートリッジ識別手段252と、使用時に飲料カートリッジ1に入口121および出口122を形成する入口穿孔器253および出口穿孔器および254とを含む。
【0077】
筐体210は、機械201の他のコンポーネンツを定位置に含み、かつ保持する。この筐体210の全体または一部を、好ましくは、ABSなどの頑丈なプラスチック材料で製造する。別法として、筐体210の全体または一部を、ステンレス鋼、またはアルミニウムなどの金属材料で製造することも可能である。筐体210に、好ましくは、前方半体211および後方半体212を有して、組み立て時に機械201のコンポーネンツを嵌めるために手を入れられ、嵌め終わったら互いに接合して筐体210の内部213を画成することのできるクラムシェル設計を含める。後方半体212には、ウォータタンク220を装着するための凹部214が設けられている。筐体210は、別個のシャシを必要とすることなく機械201のコンポーネンツを定位置に保持するできるように、爪、当たり、ボスおよびネジつき部分などの手段を備えて形成されている。このため、機械201の全体のコストおよび重量が削減されている。筐体210の基部215に好ましくは、安定して機械を載せる脚を設ける。別法として、基部215自体を、安定な支持台となる形状にしてもよい。
【0078】
筐体210の前方半体211は、飲料の注出が行われる注出ステーション270を含む。この注出ステーション270は、ドリップトレイ272を形成する中空内部を有する入れ物スタンド271を含む。この入れ物スタンドの上面273には、入れ物を配置する格子274が形成されている。ドリップトレイ272は、収集した水分を簡単に空にできるよう、筐体210から着脱自在となっている。凹部275は、入れ物スタンド271の上方の、筐体210の前方半分に形成され、その寸法の入れ物を収容できるようになっている。
【0079】
カートリッジヘッド250は、図35および図36に示すように、入れ物スタンドの上方で、筐体210の頂部に向けて配置されている。好ましくは、カートリッジヘッド250に対する格子274の高さを、異なる寸法の入れ物を収容するために調節できるようにする。調合した飲料が入れ物に接触する前に落ちる必要のある距離を最小限にするために、この入れ物がカートリッジヘッド250にできるだけ近くなり、同時に、その入れ物を注出ステーション270に挿入し、そこから取り出すことができるようにすることが好ましい。これにより、飲料の噴霧および飛び散りを最小限に抑え、混入させる気泡がある場合は、その損失量を最小限に抑えることができる。好ましくは、70mmから110mmの高さの入れ物を、格子274とカートリッジヘッド250との間に挿入できるようにする。
【0080】
機械ユーザインターフェース240は、筐体210の正面に配置されており、開始/終了ボタン241と、複数の状況表示器243〜236を含む。
【0081】
状況表示器243〜246に好ましくは、機械201の準備状況を表示する発光ダイオード(LED)243と、機械201の操作にエラーが発生した場合にそれを表示するLED244と、機械201が手動モードで操作されているか、自動モードで操作されているかを表示する1個または複数個のLED245〜246とを含める。LED243〜246を、機械201の状況に応じて、一定の輝度で証明するように、間欠に点滅するように、またはこの両方ができるように調節することができる。LED243〜246の色は、緑、赤、および黄など様々でよい。
【0082】
開始/終了ボタン241は、注出注出サイクルの始動を制御するものであり、手動操作による押しボタン、スイッチ、またはこれに類似したものである。
【0083】
容積調整コントロールを設けて、機械201の利用者が、他の操作特徴を変更することなく、送出される飲料の容積を手動で調節できるようにしてもよい。好ましくは、この容積調整コントロールにより、容積の20%増または20%減を調節できるようにする。この容積調整コントロールを、回転ノブ、直線状滑動部、増量ボタンおよび減量ボタンのデジタル読出し、またはこれに類似したものとすることができる。より一般には、利用者が開始/終了ボタン241を操作することで容積を制御する。
【0084】
手動電源スイッチ(図示せず)を機械201に設けてもよい。別法として、主電源に電源プラグを差し込む、または主電源から電源プラグを抜くことにより、単純に電源を制御することもできる。
【0085】
ウォータタンク220は、筐体210の後方に配置され、筐体210の後方半体212に接続される。ウォータタンク220は、外観上の理由から所望に応じて、直円であっても錐台であってもよい略円筒状の本体221を含む。このタンクは、これに水を充填するための、使用時には手動で着脱自在な蓋222で閉じられる入口を含む。出口は、タンクの下方端部に向けて設けられ、これはウォータポンプ230と連通する。ウォータタンク220を透明または半透明材料で製造して、タンクに残っている水の量を消費者が確認できるようにすることができる。別法として、ウォータタンク220を不透明材料で製造して、確認窓をそこに設けることも可能である。さらに、または上記の代わりに、タンク内の水位が予め選択したレベルまで下がった時点で、ウォータポンプ230の動作を止め、LEDなどの警告表示器を任意に作動させる低量センサを、ウォータタンク220に設けてもよい。ウォータタンク220の内側容量を、好ましくは、およそ1.5リットルとする。
【0086】
ウォータポンプ230は、図43に概略を示すように、ウォータタンク220とウォータヒータ225との間で作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。このポンプにより、2.5バールの最大圧力にて900ml/分の水の最大流速が得られる。好ましくは、通常の使用時には、この圧力を2バールに抑える。ポンプへの電気調合を周期的に切ることにより、機械201を通る水の流速をポンプの最大流速の一定割合にするよう、制御プロセッサにより制御することができる。好ましくは、このポンプを、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のいずれかで駆動できるようにする。注入される水の容積の正確さを、好ましくは増減5%として、調合される飲料の最終容積の正確さを増減5%とする。適したポンプは、Ulka S.r.l.(イタリア、パヴィア)製EvolutionalEP8ポンプである。流量センサ(図示せず)を好ましくは、ウォータポンプ230の上流または下流にて流動ライン内に設ける。好ましくは、この流量センサを回転センサとする。
【0087】
ウォータヒータ225は、筐体210の内部に配置される。このヒータ225は、電力定格が1550Wであり、1分以内におよそ20℃の起動温度から約85℃の操作温度まで、ウォータポンプ230から受け取った水を加熱することができる。好ましくは、1注出サイクルの終了時からヒータ225が次の注出サイクルを開始できるようになるまでの休止時間を10秒未満とする。このヒータは、注出サイクル時、選択した温度を±2℃で維持する。以下で説明するように、注出サイクル用の水は、83℃または93℃でカートリッジヘッド250に送出することができる。ヒータ225は、この送出温度を通常の85℃から、83℃または93℃へと迅速に調節することができる。ヒータ225は、温度が98℃を超えるとヒータを停止させる温度過昇遮断器を含む。ヒータ225から出た水は、三方弁を介してカートリッジヘッド250およびカートリッジ1に送られる。この水の流動圧力が許容範囲内であれば、水はカートリッジ1に到達する。圧力が予め定められた限界未満または限界を超えていた場合、その水は三方弁によりドリップトレイ回収容器270内に送られる。
【0088】
空気圧縮機235は、一方向弁を介してカートリッジヘッド250に作用的に接続されており、制御プロセッサにより制御される。この空気圧縮機235により、1.0バールにて500ml/分の空気の最大流速が得られる。使用時、有効容積35mlが2.0バールに加圧される。好ましくは、空気圧縮機235により、高速(または最大速度)および低速の2通りの流速を提供できるようにする。
【0089】
飲料調製機201の制御プロセッサは、処理モジュールおよびメモリを含む。この制御プロセッサは、ウォータヒータ225、ウォータポンプ230、空気圧縮機235、およびユーザインターフェース240に作用的に接続されて、これらの動作を制御する。
【0090】
制御プロセッサのメモリは、飲料調製機201の1種類または複数種類の操作パラメータに対する1つまたは複数の変数を含む。例示した実施形態では、この操作パラメータは、操作段階において飲料カートリッジ1を通過する水の温度、飲料カートリッジ1を装填する速度、浸透ステップの有無、調合される飲料の全容積、注出段階での水の流速、および清浄段階の流速および時間である。
【0091】
操作パラメータに対する変数は、メモリに格納される。カートリッジ1は、そのカートリッジ1における飲料の調合を最適化するために必要な操作パラメータを表すコードを、その表面上または内側に含む。このコードは、二進法による形式であり、制御プロセッサのメモリに格納される変数に対応する複数のデータビットを含む。表3は、上述した操作パラメータに対する必要な変数を表すためにデータの13ビットをどのように使用できるかを例示したものである。
【0092】
【表4】
【0093】
カートリッジ1上またはカートリッジ1内のコードは通常、エラーチェック用に1つまたは複数の余分なデータを含む。一実施例において、16ビットコードが備えられる。例えば、表3に挙げた変数を用いた場合、コード「1000100011110」を与えられたカートリッジは、次の操作パラメータを有することになる。
【0094】
10 水の温度は83℃
00 浸透を伴う高速装填
1000 調合される飲料容積は150ml
111 流速は100%
10 高流速/短時間による空気清浄
【0095】
したがって、以前の飲料調製機と異なり、この制御プロセッサのメモリは、カートリッジのタイプに基づいた飲料カートリッジに対する操作指示、すなわちコーヒーカートリッジに対する指示、ココアカートリッジに対する指示、茶カートリッジに対する指示などを格納するわけではない。この制御プロセッサのメモリが格納するのは、注出サイクルの個々の操作パラメータを調整するための変数である。これにはいくつかの利点がある。第1に、調合サイクルの調節がより一層可能となる。例えば、すべてのタイプのコーヒーに同じパラメータを用いることに比べて、等級や配合の異なるコーヒーに対してわずかに異なるパラメータを使用することができる。個々のパラメータではなくカートリッジタイプ別の指示を格納することに頼っていたこれまでのコーディング解法は、コーディング媒体および制御プロセッサ内で利用可能な格納スペースを速く消費してしまうため、類似した飲料タイプに対する注出サイクルにおけるこうした微妙な違いには不適切である。第2に、本発明のコーディング方法では、新たな飲料カートリッジ1の注出サイクルに対する操作パラメータが、飲料調製機201の販売後に決定される場合であっても、この既存の飲料調製機で新たな飲料カートリッジタイプを使用できる。これは、飲料調製機201の制御プロセッサが、その飲料が新たなタイプであることを識別する必要がないためである。本注出サイクルの操作パラメータは、飲料タイプを直接参照せずに設定されるものである。したがって、本発明によるコーディング方法は、新たな飲料タイプに対して、飲料調製機の優れた後方互換性を提供するものである。これとは逆に、これまでの機械の場合、製造者は、市場にある機械により特定される、以前より既存の調合サイクルの1つを用いて新たな飲料タイプを調合するように制限されている。
【0096】
カートリッジヘッド250を図39から図42に示す。カートリッジヘッド250のカートリッジホルダ251は、固定された下方部分255と、回転自在な上方部分256と、固定された下方部分255と回転自在な上方部分256との間に配置された枢動自在なカートリッジ取付台257とを含む。上方部分256、下方部分255、およびカートリッジ取付台257は、共通のヒンジ軸258を中心に回転する。図39から図42は、便宜上、機械201のいくつかのコンポーネンツを省いた状態でカートリッジホルダ251を示すものである。
【0097】
回転自在な上方部分256および枢動自在なカートリッジ取付台257は、クランプ機構280により固定された下方部分255に対して移動する。このクランプ機構280は、第1および第2の部材または部分281および282を有するクランプレバーを含む。クランプレバーの第1の部分281は、カートリッジホルダ251の両側に1つずつ位置する2つの第1の枢支点283で上方部分256に枢動自在に取付けられたU字型アームを含む。
【0098】
クランプレバーの第2の部分は、上方部分256を固定された下方部分255に連結しているヒンジ軸258上に位置する第2の枢支点285にて上方部分256にそれぞれ枢動自在に取付けられた、カートリッジホルダ251の両側に1本ずつ位置する、2本のオーバーセンターアーム282を含む。各オーバーセンターアーム282は、円筒部282a、ステム282b、および弾性スリーブ282cを含む往復部材である。円筒部282aは、内腔を有し、その一端にてヒンジ軸258に回転自在に取付けられている。ステム282bの第1の端部は、円筒部282aの内腔内に摺動自在に入れられている。ステム282bの反対側端部は、第3の枢支点286にてU字型アーム281に回転自在に取付けられている。第3の枢支点286は、上方部分256および下方部分255に接続されておらず、上方部分256および下方部分255に対して自由に移動可能である。弾性スリーブ282cは、ステム282bの外側に取付けられており、使用時、円筒部282aおよびステム282bの当たり面の間に延在する。弾性スリーブ282cは、オーバーセンターアーム282の縮小時にそれを吸収すると同時に、延出構造へと付勢するものである。これにより、ステム282bが円筒部282a内にて相対運動すると、第3の枢支点286がヒンジ軸258に近づく方向および離れる方向へと移動することができる。弾性スリーブ282cを、好ましくは、シリコーンで形成する。
【0099】
U字型アーム281は、カートリッジホルダ251の正面をめぐって延在しており、下向きに垂れ下がった2つのフック部材287を含む。このフック部材はそれぞれ、カートリッジホルダ251の片側に1つずつ位置して、ヒンジ軸258に向くカム表面288を含んでいる。カートリッジホルダ251の固定された下方部分255には、その正面縁部260またはその近傍に下方部分255の片側に1つずつ位置する2つのボス259または爪が、このフック部材287にほぼ位置合わせされた状態で設けられている。
【0100】
図39に示すように、U字型アーム281を、人間工学的な作りのハンドグリップおよびフック部材287をそのアームと一体に含めて、ワンピースのプラスチック成形物から形成することができる。
【0101】
カートリッジ取付台257は、カートリッジホルダ251の下方部分255と上方部分256との間で回転自在に取付けられている。取付台257には、使用時に飲料カートリッジ1を入れる、実質的に円形である凹部290が設けられている。凹部290は、飲料カートリッジ1のハンドル部分24を収容すると同時に、カートリッジホルダ251内における飲料カートリッジ1の回転を防止するように作用する不規則形状部291を含む。カートリッジ取付台257は、図41に示すように、開位置において、固定された下方部分255と接触しない位置に付勢されて、出口および入口穿孔部材254、253と接触しない位置に移動するように、固定された下方部分255に対して跳ね上げられる。カートリッジ取付台257には、出口および入口穿孔部材253、254を中に受け入れる口部292と、カートリッジ取付台257が閉位置に移動するとカートリッジを識別する手段252のヘッド300とが設けられている。
【0102】
上方部分255は、略円形の本体310を含み、この本体は、注出サイクル時に消費者が飲料カートリッジ1を見ることができ、さらにカートリッジ1が機械201に搭載されていることを目で確認することができる円形ののぞき窓312を収容している。のぞき窓312は、カートリッジホルダ251が閉じられた時点で飲料カートリッジ1のフランジ35と係合し、かつこれを下方部分256に対して把持する下向きリム311を有するカップ形状である。同時に、この窓312は、カートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。こののぞき窓312と円形本体310との間にウェーブスプリング(図示せず)が配置されており、これにより、のぞき窓312を軸方向に円形本体310に対してわずかに移動させることができる。リム311がフランジ35にかける圧力、および窓312が閉じた頂部11にかける圧力により、カートリッジ1とカートリッジホルダ251との間に流体密なシールが確実に形成される。
【0103】
下方部分255は、入口穿孔器253および出口穿孔器254と、カートリッジ識別手段252のヘッド300とを含む。入口穿孔器253は、使用時に飲料カートリッジ1のラミネート5を穿孔するための鋭利な端部241を有する中空の針様管260を含む。図42に示すように、入口穿孔器253は、下方部分255内を通過してウォータヒータ225の出口導管263に接続された水導管262と流体連通している。出口穿孔器254は、従来技術に記載されている出口穿孔器と似たタイプであり(例えば、本願出願人の特許文献3および本願出願人の特許文献4参照)、注ぎ口43より寸法の大きな円形またはD字型断面を有する、開口端部を備えた円筒部264を含む。出口穿孔器254が含む上方端部の弓状部分265は、飲料カートリッジ1のラミネートを穿孔し、結果として切断するように鋸歯状となっている。この他の上方端部部分は、少なくとも鋸歯状の歯266の基部まで、円筒部の長手方向に切り取られて低くなっており、飲料がそこを通って調合される前に、切断したラミネート5を出口口部から離れた方向に折り曲げる、または引っ張るようになっている。出口穿孔器254は、注ぎ口43のラミネート5を外側から穿孔し、カートリッジ取付台257が閉位置に来ると、その注ぎ口43と注出漏斗40の外壁42との間の環帯内に納まる。出口穿孔器254により、切断されたラミネート105は環帯内に折り返される。これにより、出口穿孔器254も切断されたラミネート105も、注出される飲料にぶつからない位置に保持される。
【0104】
出口穿孔器254は、周囲より0.5mm隆起している出張り254aで囲まれている。
【0105】
有利なことに、出口穿孔器254は、下方部分255に対して着脱自在となっているため、例えば食洗器などで全体を洗浄することができる。着脱自在な出口穿孔器254を装着すると、これを受けるのは下方部分255の凹部267である。入口穿孔器253および/または出口穿孔器254を、ステンレス鋼などの金属またはプラスチック材料で製造することができる。有利なことに、非金属材料で穿孔および切断できるラミネート5を使用した場合、プラスチックで製造した切削加工要素を使用することができる。したがって、穿孔器253、254をあまり鋭利ではなく製造して、消費者に怪我を負わせる危険性を低めることができる。さらに、プラスチック製穿孔要素は、さびにくい。好ましくは、入口穿孔器253および出口穿孔器254を、下方部分255に対して着脱自在な単一の一体ユニットとして形成する。
【0106】
使用時、カートリッジホルダ251の上方部分256は、図36に示すように、垂直に、または垂線に向けて方向付けられた開位置から、実質的に水平に、かつカートリッジ取付台257の固定下方部分255と係合した状態に方向付けられる閉位置まで移動可能である。クランプレバーを操作すると、上方部分256は開位置から閉位置へと移動する。上方部分256を閉じるには、利用者は、U字型アーム281によりクランプレバーを掴み、これを下向きに下げる。これにより、上方部分256が回転して、まずカートリッジ取付台257において、のぞき窓312のリム311が飲料カートリッジ1のフランジ35に接触し、のぞき窓312自体がカートリッジ1の閉じた頂部11に接触する。上方部分256をさらに回転させると、上方部分256およびカートリッジ取付台257が下向きに回転して、下方部分255に接触する。U字型アーム281をさらに回転させると、U字型アーム281が上方部分256および下方部分255に対して回転するため、カム表面288がボス259に被る状態で、上方部分256のフック部材287が下方部分255のボス259に係合する。この最後の回転段階において、カートリッジ1は、カートリッジ取付台257とのぞき窓312との間に圧縮される。この結果、のぞき窓312は、ウェーブスプリングの付勢に対抗して、上方部分256の円形本体310に対して軸方向に移動する。この動作により、飲料カートリッジ1および飲料調製機の公差が吸収され、カートリッジに印加される圧縮力の量が確実に許容範囲内に保たれる。ウェーブスプリングの作用によりこの機構の型締め力は弱められるため、カートリッジにかかる型締圧力は130〜280Nとなる。好ましくは、この力をおよそ200Nとする。約130N未満の力では十分なシールが得られず、約280Nを超える力になると、カートリッジ1のコンポーネンツの塑性破壊が起こる。カートリッジヘッドを閉じる間、カートリッジ1のラミネート5は、出口穿孔器254を取り囲む出張り254aに接触し始めながらぴんと張った状態になるため、円筒状漏斗を含む外側チューブ42の遠位端がフランジ35に対して0.5mm上向きに移動すると、ラミネート5が面外に撓む。この動作により、カートリッジに印加された圧縮力の大半が、荷重を受けた内側部材3を介してカートリッジ1の中央領域内へと確実に作用する。閉位置において、カートリッジ1は、のぞき窓312のリム311によりフランジ35に沿って固締され、のぞき窓312および出張り254aに接触することによりカートリッジの閉じた頂部11と内側部材3の外側チューブ42との間にしっかり固締される。この型締め力が作用することで、圧縮時のカートリッジ1の破損防止が強化され、確実に内側部材3および外側部材2が互いに十分に納まり合うため、内部加圧が作用している間でさえ、すべての内部通路および口部がその所期寸法を保つことができる。
【0107】
カートリッジホルダ251の第1の枢支点283と第2の枢支点285との間に、仮基準線を引くことができる。図41でわかるように、開位置では、第3の枢支点286は、固定された下方部分255に最も近い基準線側にある。上方部分256が閉位置に近づくにつれて、クランプレバーの第3の枢支点286は、第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線を越えて、固定された下方部分255から最も遠い、基準線の反対側に行く。したがって、U字型アーム281は、第1の安定位置から第2の安定位置へと「速動」することになる。この速動動作は、オーバーセンターアーム282を収縮させ、これにより弾性スリーブ282cを圧縮することにより対応するものである。第3の枢支点286が仮基準線を越えると、弾性スリーブ282cが復元するため、第3の枢支点286はさらに仮基準線から遠くへと移動し続ける。したがって、クランプレバーは、開位置または閉位置では安定であるが、第3の枢支点286が第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線上にある地点では不安定であるという点で、双安定動作を有する。そこで、このクランプレバーの速動動作は、クランプレバーの回転最終段階において、U字型アーム281および第2のアーム284の速動動作がフック部材287をしっかりボス259との係合状態に押し入れる確かな閉鎖作用を引き起こす確動閉鎖機構となる。さらに、第3の枢支点286を戻して第1および第2の枢支点283、285をつなぐ基準線に一致させるようにスリーブ282cを十分に圧縮するのに必要な力は最小限でよいため、弾性スリーブ282cを、上方部分256が再び開くことに対する抵抗とすることができる。有利なことに、フック部材287とボス259とが係合していることにより、クランプレバーを回転させない限り、上方部分と下方部分とを分離することはできない。これは、カートリッジヘッド250が内部加圧を受ける操作時にカートリッジヘッド250が開かないようにするのに有用である。
【0108】
カートリッジ識別手段252の目的は、機械201に、挿入された飲料カートリッジ1のタイプを識別させ、それにしたがって1種類または複数種類の操作パラメータを調整させることである。典型的実施形態において、カートリッジ識別手段252は、図45に示すように、飲料カートリッジ1のラミネート5にある印刷されたバーコード320を読取る光学式バーコードリーダーを含む。バーコード320は、対照的な色の複数本のバーで形成されている。好ましくは、このバーを、その対照を最も際立たせるため、白色背景に対する黒色とする。バーコード320は、公開されている標準に準拠したものでなくともよいが、EAN−13、UPC−A、またはインターリーフ2of5などのバーコード標準フォーマットを使用してもよい。光学式バーコードリーダーは、そのバーコード320を照明するための1つまたは複数のLED321と、バーコードの画像を取得するための焦点レンズ322と、取得した画像を表す電気信号を生成する電荷結合素子(CCD)323と、LEDおよびCCD用支持回路構成要素とを含む。バーコードリーダーを収容する下方部分のスペースには限界がある。したがって、1枚または複数枚の鏡324を用いて、LED321からの光を、下方部分255内に配置されていない焦点レンズに反射してもよい。概略構造を図44aおよび図44bに示す。下方部分255は、飲料カートリッジ1上のバーコード320と同じサイズの口部326を含む。使用時、生成された電気信号が信号処理ソフトウェアにより復号されると、その結果が制御プロセッサに送信される。このソフトウェアは、バーコードの読取りにエラーが含まれているかどうかを識別することができるものである。エラーメッセージが消費者に表示される前に、バーコード320を何回も再走査することができる。機械201がバーコードを読取れない場合、消費者は、手動モードの操作により、飲料カートリッジ1を使用して飲料を調合することができる。
【0109】
カートリッジヘッド250はまた、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを検知するカートリッジセンサを含む。
【0110】
カートリッジヘッド250はまた、カートリッジホルダ251が適切に閉じられたかどうかを検知する係止センサを含む。好ましくは、この係止センサに、カートリッジホルダ251が閉じて係止すると始動するマイクロスイッチを含める。好ましくは、このカートリッジセンサおよび係止センサを直列に接続し、これにより、注出サイクルが開始される前に双方のセンサの出力が条件を満たしている、すなわち、カートリッジがあり、かつ機構が係止されている状態としなければならない。
【0111】
機械201の操作は、飲料カートリッジ1をカートリッジヘッド250内に挿入するステップと、飲料を調合する注出サイクルを実施するステップと、カートリッジ1を機械から取り出すステップとを含む。
【0112】
機械201の操作挙動は、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。この機械の操作を「状態」として説明することができる。機械201は普通はある特定の状態にあり、状態遷移と呼ばれるステップである、その状態を変化させる何らかの事象が発生するまでその状態にある。
【0113】
表4は、一実施形態である飲料調製機201について、その状態および状態遷移を例示する状態遷移表である。
【0114】
【表5−1】
【0115】
【表5−2】
【0116】
以下の実施例は、この制御プロセッサによる状態遷移の用い方を例示するものである。 機械201は当初、電源が切られ、カートリッジヘッド250にカートリッジ1が挿入されていないものと仮定する。機械201の電源を入れると、制御プロセッサは状態1となる。ウォータヒータ225の電源を入れる。温度が85℃になると、制御プロセッサが状態2に遷移する。状態1または2のいつであっても、カートリッジホルダ251が閉じていれば、係止センサが始動して、カートリッジホルダ251が適切に閉じていることを示す信号を制御プロセッサに送信する。すると、制御プロセッサは、「リードポッドreadpod」指示を送信して、カートリッジセンサに応答させる。カートリッジセンサは制御プロセッサに信号を返して、カートリッジがカートリッジホルダ251内にあるかどうかを示す。カートリッジがない場合、制御プロセッサは状態3に遷移し、カートリッジホルダ251が再度開かれて制御プロセッサが状態2に戻るまで、準備完了状態を続ける。状態2においてカートリッジがあれば、制御プロセッサは状態4に遷移し、操作が自動的に開始される。状態4から9の間、水の温度は、飲料カートリッジ1のバーコードによる操作パラメータに設定されている通り、所望温度の要件許容範囲内にあるようにバックグラウンドで調節される。調合の注出段階が終了すると、状態8で空気パージが開始される。空気パージが終了すると、この注出サイクルは終了し、機械は、状態10の待機モードに入る。操作中にエラーが発生した場合、この処理装置は状態11に遷移する。低水位が検知されると、この処理装置は状態12に遷移する。
【0117】
カートリッジ1を挿入するには、カートリッジホルダ251を上述したように開いて、カートリッジ取付台257を露出させる。凹部290内に受けられているカートリッジ取付台257上にカートリッジ1を配置して、カートリッジのハンドル24を不規則形状部291内に配置する。カートリッジ1の光学式または磁気バーコードを、カートリッジ取付台257内の口部326のすぐ上に向ける。次に、カートリッジホルダ251を、上述したようにクランプレバーの操作により閉じる。この閉じる動作時に、入口穿孔器253および出口穿孔器254がカートリッジ1のラミネート5を穿孔して、カートリッジの入口121および出口122を形成する。上述したように、出口穿孔器254により切断されたラミネート5は、注ぎ口43を取り囲む環帯内へ折り上げられる。カートリッジホルダ251は、閉じられると、カートリッジ取付台257と上方部分256との間、および窓311とカートリッジ1の頂部11との間でカートリッジ1をそのリム35に沿って把持し、注出サイクル中に発生する圧力に耐えられるだけの十分な完全性を備えた流体密シールを形成する。
【0118】
この注出サイクルを開始するには、消費者が開始/終了ボタン241を操作する。
【0119】
この注出サイクルは、カートリッジ識別ステップと、注出サイクルステップとを含む。
【0120】
カートリッジの識別は、カートリッジセンサおよび係止センサからの出力が条件を満たしていると仮定して、上述したように光学式カートリッジ識別手段252により行われる。バーコード320を復号したら、機会201の操作パラメータを、制御プロセッサが調整する。すると、注出サイクルが自動的に開始される。
【0121】
注出サイクルには、
(i)予備湿潤、
(ii)停止、
(iii)煎出/混合、
(iv)パージ
の主要な4段階があるが、すべての飲料タイプにすべての段階があるわけではない。
【0122】
予備湿潤段階では、ウォータポンプ230により、水貯蔵タンク220から水がカートリッジに注がれる。この注水により、濾過チャンバ130内にある飲料原料200が湿潤される。この注水は、600ml/分の「速い」流速、または325ml/分の「遅い」流速で実施可能である。遅い注水速度であれば、粘稠性である液体飲料原料を含むカートリッジの場合、こうした原料はさらに高い体積流量率でポンプ注入する前にある程度の希釈しなければならないため、特に有用である。カートリッジ内へ入れる水の容積は、水または飲料をこの段階でカートリッジ出口122から滴下させないように選択する。
【0123】
停止段階では、予め定められたサイクル時間、予備湿潤段階で入れられた水を飲料原料200に吸収させる。予備湿潤段階も吸収段階も、飲料原料200からの抽出量を増加させ、最終的に得られる飲料の芳香を改善することが知られている。この予備湿潤段階および吸収段階は、飲料原料が焙煎および挽き作業を施したコーヒーである場合に特に用いられる。
【0124】
煎出/混合段階では、飲料原料200から飲料を生成するために、水がカートリッジ1を通過する。この水の温度は、ウォータタンク220からカートリッジヘッド250へと通過する水を加熱するようにウォータヒータ225に指示を送信する制御プロセッサにより決定される。水は、導管262を抜け、入口弁および入口穿孔器253を介して飲料カートリッジ1の入口チャンバ126に到達し、カートリッジホルダ251の下方部分255に入る。飲料カートリッジ1からの飲料の煎出および/または混合、これに引き続く調合は、複数の型式の飲料カートリッジを参照して上述した通りである。
【0125】
空気パージ段階は、飲料調製機および飲料カートリッジ1内に加圧空気を吹き込んで、確実に、飲料すべてを調合し、流路を別の飲料を調合できるように清浄することを含む。この空気パージは煎出/混合段階の停止と共に開始されるのではないため、流体の大半を予め流路から出すことができる。これにより、空気パージの開始時に内圧が許容範囲を超えて急激に上昇することが防止される。
【0126】
通常の操作では、利用者は、開始/終了ボタン241を操作することで手動により機械201を停止させる。
【0127】
注出サイクルが終了すると、消費者は、カートリッジホルダ251を開け、手動でカートリッジを取り出して処理することにより、カートリッジ1を取り出す。別法として、機械201に、カートリッジホルダ251を開けると自動的にカートリッジを取り出す自動排出機構を設けてもよい。
【0128】
機械201およびカートリッジ1を用いて飲料を送出する時間は通常、焙煎および挽き作業を施したコーヒーの場合には10〜120秒、好ましくは30から40秒であり、ココアの場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒であり、乳の場合は5〜120秒、好ましくは10から20秒である。
【0129】
機械201はまた有利なことに、制御プロセッサと動作通信しているメモリを含むことができ、このメモリは、利用者により調合される飲料タイプについての情報を格納する。このため、機械201の注出サイクルを、次のカートリッジ1用に調節することができる。これは、飲料を形成するために2つまたはそれ以上の飲料カートリッジ1を連続して使用する場合に特に有利である。例えば、コーヒーカートリッジを調合してから、乳カートリッジを調合して、カプチーノ飲料を形成することができる。別法として、ココアカートリッジを使用してから、乳カートリッジを用いて、クリーム入りホットココア飲料を生成することも可能である。調合した第1の飲料についての情報を格納するメモリを用いて、第2のカートリッジ、すなわち乳カートリッジの調合方式を変更して、最適な飲料を実現してもよい。上述の例では通常、ホットココア用に調合する乳を、コーヒーに添加する乳より希釈することができる。また、ココア用に調合する乳をより遅い速度で調合して、飲料の泡立ち程度を抑えてもよい。様々なカートリッジの組合せが可能であり、当業者であれば、操作パラメータについても同様に明らかであろう。さらに、メモリを用いて、機械201に、利用者が次に調合したい飲料タイプを「予想」させてもよい。例えば、利用者が1つの飲料タイプばかりを飲む場合、その飲料タイプに最適な温度に水を維持するよう、機械から、ウォータヒータに指示を出させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種類または複数種類の飲料原料を収容し、かつ実質的に空気および水が不透過性の部材で形成されたカートリッジであって、
前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を収容するチャンバを形成し、 前記カートリッジは、さらに蓋(5)を備え、前記カートリッジは、水媒体の飲料と前記チャンバ内の一種類または複数種類の飲料原料との交わりにより飲料を形成するための水媒体の流入および流出の双方を提供するために、水平方向にカートリッジが存在するとき、使用時において前記蓋が貫通可能であるように構成されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記水媒体は、第1のチャンバへ流入し、飲料は、第2のチャンバから流出することを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
第1のチャンバは、マニホルドチャンバであることを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
第2のチャンバは、注出チャンバであることを特徴とする請求項2または3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記マニホルドチャンバおよび注出チャンバとから分離される、一種類または複数種類の飲料原料を収容する収容チャンバをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項1】
一種類または複数種類の飲料原料を収容し、かつ実質的に空気および水が不透過性の部材で形成されたカートリッジであって、
前記カートリッジは、一種類または複数種類の飲料原料を収容するチャンバを形成し、 前記カートリッジは、さらに蓋(5)を備え、前記カートリッジは、水媒体の飲料と前記チャンバ内の一種類または複数種類の飲料原料との交わりにより飲料を形成するための水媒体の流入および流出の双方を提供するために、水平方向にカートリッジが存在するとき、使用時において前記蓋が貫通可能であるように構成されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記水媒体は、第1のチャンバへ流入し、飲料は、第2のチャンバから流出することを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
第1のチャンバは、マニホルドチャンバであることを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
第2のチャンバは、注出チャンバであることを特徴とする請求項2または3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記マニホルドチャンバおよび注出チャンバとから分離される、一種類または複数種類の飲料原料を収容する収容チャンバをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【公開番号】特開2012−192210(P2012−192210A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145777(P2012−145777)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2008−262045(P2008−262045)の分割
【原出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(501175214)クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド (56)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2008−262045(P2008−262045)の分割
【原出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(501175214)クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド (56)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
【Fターム(参考)】
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