説明

飲料サーバーおよび飲料サーバー用接続構造

【課題】BIBタイプの飲料容器を使用し、飲料容器と飲料サーバーとの接続作業の操作性が良好であり、また接続部の寸法が小さく飲料サーバーの小型化も可能な飲料サーバーおよび飲料サーバー用接続構造を提供する。
【解決手段】飲料サーバー用接続構造は、上方の先端側が尖鋭形状に形成され、前記先端側から飲料を流通させる流通孔が設けられた接続部材43と、飲料容器の口部が前記接続部材と対向するように前記飲料容器を位置決めするための位置決め部材と、前記位置決め部材の下面側に固定された第1筒体41と、前記位置決め部材の下面側に固定され、前記接続部材を鉛直方向の直線上を移動可能に案内するための案内部と、前記第1筒体に対して回動可能に設けられ、回動により前記接続部材を鉛直方向に移動させる第2筒体42と、前記第2筒体に固定され、前記第2筒体を回動させるための操作ハンドルとを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料水等の飲料を冷却および加熱して貯留し、それらの飲料を注出する飲料サーバーおよび飲料サーバー用接続構造に関するものであり、さらに詳しくは、BIB(バッグ・イン・ボックス)タイプの飲料容器を使用し、飲料容器と飲料サーバーとの接続作業の操作性が良好であり、また接続部の寸法が小さく飲料サーバーの小型化も可能な飲料サーバーおよび飲料サーバー用接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーター等の飲料水を冷却して冷水としたものと、加熱して熱水としたものを注出可能な飲料サーバーは公知である。このような飲料サーバーにおいて、細菌等の繁殖を防止するには、BIB(バッグ・イン・ボックス)タイプの容器を使用することが好ましい。BIBとは、紙製の箱内に柔軟樹脂からなる袋状容器が配置されたものである。BIB容器では、工場において十分に除菌・殺菌された飲料がBIB容器に充填され、内部が密封状態に保たれて最終消費地まで運搬される。このため、最終消費地に到達するまでBIB容器内の飲料に細菌等が侵入することがない。
【0003】
上記のような飲料サーバーとしては、例えば、下記の特許文献1に記載されたような技術が公知である。特許文献1には、冷却室内にBIBタイプの飲料容器を配置して、その飲料容器から冷水および熱水用の飲料を供給するようにした飲料サーバーが記載されている。BIBタイプの飲料容器を使用する飲料サーバーにおいては、飲料容器と飲料サーバーとを接続して飲料を飲料サーバーに供給するための接続部が必要である。
【0004】
図11は、BIBタイプの飲料容器10を飲料サーバーに接続するための接続部の例を示すものである。飲料容器10は口部101を下方に向けて、図示のように支持板24上に載置される。口部101の内側には封止膜が設置されており、飲料が充填された飲料容器10を密封状態に封止している。飲料容器10を支持板24上に載置する際には、ストッパ25によって飲料容器10の位置が決められる。支持板24は、水平方向に配置された回転軸26の回りに揺動可能である。
【0005】
飲料容器10を載置した後、係止部材29を係合部28から外して倒し、支持板24を下方に揺動させ、当接部27に当接させて水平状態とする。このとき、接続部40の先端部401が飲料容器10の口部101内に挿入され、先端部401が封止膜を突き破って飲料容器10の内部に進入する。そして、飲料容器10内の飲料水が接続部40側に流入する。なお、この接続部40では飲料容器10側を揺動させて接続するものであるが、逆に、接続部側を揺動させて飲料容器を接続するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−27661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の飲料サーバーは、前述のように、飲料容器側または接続部側を揺動させて、飲料容器と飲料サーバーとを接続するようにしているが、飲料容器側または接続部側を全体的に大きく揺動させる必要があり、この揺動のための空きスペースが必要であった。このため、接続部を設置するために必要な空間体積が大きくなってしまい、これが飲料サーバー自体の小型化を阻む一因ともなっていた。
【0008】
また、飲料容器側または接続部側を揺動させて接続作業を行うのは、揺動させる部分の質量も大きいため、大きな操作力を必要とするばかりでなく、操作性の点でも必ずしも良いとは言えなかった。また、飲料容器を交換する場合には、接続部を飲料容器から引き抜いて接続を解除する必要があるが、このように接続部を飲料容器から引き抜く際にも大きな操作力が必要となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、BIBタイプの飲料容器を使用し、飲料容器と飲料サーバーとの接続作業の操作性が良好であり、また接続部の寸法が小さく飲料サーバーの小型化も可能な飲料サーバーおよび飲料サーバー用接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の飲料サーバー用接続構造は、上方の先端側が尖鋭形状に形成され、前記先端側から飲料を流通させる流通孔が設けられた接続部材と、飲料容器の口部が前記接続部材と対向するように前記飲料容器を位置決めするための位置決め部材と、前記位置決め部材の下面側に固定された第1筒体と、前記位置決め部材の下面側に固定され、前記接続部材を鉛直方向の直線上を移動可能に案内するための案内部と、前記第1筒体に対して回動可能に設けられ、回動により前記接続部材を鉛直方向に移動させる第2筒体と、前記第2筒体に固定され、前記第2筒体を回動させるための操作ハンドルとを有するものである。ここで、前記第1筒体の固定個所は、前記位置決め部材に直接固定されている場合を含むが、それだけに限らず、飲料サーバー本体部などの他の部分に固定されている場合も含む。また、前記案内部は、前記第1筒体に一体的に設けられている場合、前記第1筒体や前記位置決め部材に直接固定されている場合を含むが、それだけに限らず、飲料サーバー本体部などの他の部分に固定されている場合も含む。
【0011】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記第1筒体と前記第2筒体のいずれか一方に、水平方向から傾斜するつるまき線状の傾斜溝が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記傾斜溝の上方端部には、水平方向の水平溝が連続的に形成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記第2筒体は、前記第1筒体の内周側に回動可能に配置されており、前記接続部材は、前記第2筒体に形成された前記傾斜溝によって鉛直方向に移動されるものとすることができる。
【0014】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記第2筒体は、前記第1筒体の内周側に回動可能に配置されているとともに、前記第1筒体に形成された前記傾斜溝によって鉛直方向に移動されるものであり、前記接続部材は、前記第2筒体の鉛直方向移動により鉛直方向に移動されるものとすることができる。
【0015】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記接続部材は、前記流通孔が下方で2方向に分岐するものであることが好ましい。
【0016】
また、上記の飲料サーバー用接続構造において、前記接続部材は、前記飲料容器との非接続時に前記案内部内に待避するものであることが好ましい。
【0017】
また、本発明の飲料サーバーは、上記の飲料サーバー用接続構造を有し、前記飲料容器を前記位置決め部材の上面に載置して位置決めするものである。
【0018】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記接続部材に接続され、前記飲料容器から供給された飲料を冷却した状態で貯留する低温タンクと、前記低温タンク内の飲料を注出するための低温飲料注出コックと、前記接続部材に接続され、前記飲料容器から供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンクと、前記高温タンク内の飲料を注出するための高温飲料注出コックと、前記高温タンクに設置された加熱器と、前記低温タンクを冷却するための冷却系とを有することが好ましい。
【0019】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記冷却系によって冷却され、閉鎖可能な空間である冷却室を有し、前記飲料容器および前記位置決め部材は前記冷却室に収納されるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。
【0021】
まず、本発明の飲料サーバー用接続構造によれば、操作ハンドルの操作により接続部材を直線状に移動できるので、小さな力で容易に飲料容器と接続部材との接続作業を行うことができる。また、接続部材を飲料容器から引き抜いて接続を解除する場合にも、操作ハンドルの操作により小さな操作力で容易に接続解除作業を行うことができる。さらに、飲料サーバー用接続構造が小型で簡素な機構により実現されているので、飲料サーバー全体としても、小型化および低コスト化することができる。特に高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0022】
つるまき線状の傾斜溝を利用して接続部材を移動させているので、操作ハンドルの操作力を傾斜溝の傾斜角によって拡大して接続部材に作用させることができ、これにより操作力を小さくすることができる。
【0023】
傾斜溝の上方端部に水平方向の水平溝が連続的に形成されているものでは、接続部材を上昇させる操作と、接続部材を上昇端位置でロックする操作とを操作ハンドルの1方向の揺動で連続的に行うことができ、飲料容器との接続作業の操作性が大幅に向上する。飲料容器との接続解除作業についても同様であり、接続部材のロック解除と、接続部材を下降させる操作を操作ハンドルの1方向の揺動で連続的に行うことができ、作業の操作性が大幅に向上する。
【0024】
非接続時に接続部材が案内部内に待避するものでは、飲料容器との非接続時に先端部が接続部の本体内部に待避しているので、衛生上の観点からも優れた飲料サーバーとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は、飲料サーバー1の全体構成を示す正面側から見た断面図である。
【図3】図3は、支持板24および接続部4の構成を示す平面図である。
【図4】図4は、接続部4の構成と動作を示す斜視図である。
【図5】図5は、接続部4の構成と動作を示す斜視図である。
【図6】図6は、第1筒体41の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、第2筒体42の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、第2筒体42の傾斜溝421および水平溝422の展開図である。
【図9】図9は、接続部材43の構成を示す正面図である。
【図10】図10は、接続部材43の構成を示す側面図である。
【図11】図11は、従来の飲料サーバーの接続部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは飲料としては、ミネラルウォーター等の飲料水を例にとって説明する。図1および図2は、本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す概略図である。図1は飲料サーバー1を右側面側から見た断面図であり、図2は正面側から見た断面図である。飲料サーバー1の上部には、飲料容器10を収納して飲料容器10ごと内部の飲料水を冷却するための冷却室2が配置されている。
【0027】
冷却室2の周囲の壁面21および前面の扉22は、内部に断熱材が充填されている。扉22を閉じた状態では、冷却室2の内部と外部とは熱的に遮断される。冷却室2の壁面21奥部に配置された冷却器23によって冷却室2の内部空間が冷却され、飲料容器10ごとその内部の飲料水を冷却する。飲料水は、冷水としての適温(例えば、10℃以下)まで冷却される。
【0028】
飲料容器10としては、例えば、BIB(バッグ・イン・ボックス)タイプの容器が好ましい。BIBとは、紙製の箱内に柔軟樹脂からなる袋状容器が配置されたものである。冷却室2に収納可能な形状であり口部の構造が同じであれば、BIB以外の容器、例えば合成樹脂製ボトル等も使用できる。飲料容器10としては、例えば容量10〜20L程度のものが使用できる。飲料容器10は接続口を下方に向けて、図示のように位置決め部材としての支持板24上に載置される。飲料容器10の冷却室2への収納や交換は、扉22を前面側に開放して行う。
【0029】
支持板24は、飲料容器10を支持しその口部101の位置決めをするための板状の部材であり、冷却室2の壁面21に固定されている。支持板24の位置決め構造に関しては後述する。支持板24の下面の前面側には接続部4がねじ止め等により固定されている。接続部4は、飲料容器10と飲料サーバー1のタンクとを接続して、飲料容器10内の飲料を各タンクに供給するためのものである。接続部4の構造の詳細は後に説明する。本発明の接続部4では、操作ハンドル44を回動させる操作により、小さな操作力で容易に飲料容器10との接続作業を遂行することができる。
【0030】
冷却室2の下方は下部空間3とされ、この下部空間3には低温タンク5および高温タンク6をはじめ種々の機器類が収納されている。低温タンク5は飲料を冷水としての適温(例えば、10℃以下)を保持した状態で貯留するためのものである。また、高温タンク6は飲料をほぼ一定の高温(例えば、85〜95℃)に保った状態で貯留するためのものである。飲料容器10から供給される飲料は、接続部4内で2つに分岐し、配管52および配管62を介して低温タンク5および高温タンク6に流入する。
【0031】
低温タンク5には冷却器54が設けられており、低温タンク5内の飲料を適温に冷却している。また、下部空間3にはコンプレッサー7、放熱器71、冷却ファン72が設けられている。コンプレッサー7、放熱器71、冷却器23および冷却器54は、冷媒用の配管で接続されており、これらが冷却系統を構成している。この冷却系統により冷却室2と低温タンク5が冷却される。また、冷却室2および低温タンク5には温度センサが設けられており、それぞれ適温となるように冷却系統が制御されている。
【0032】
高温タンク6の内部には加熱ヒータ64が設けられており、飲料を加熱してその温度をほぼ一定の高温に保っている。高温タンク6にも温度センサが設けられており、ほぼ一定の高温を保つように加熱ヒータ64が制御されている。これらの冷却系統および加熱ヒータ64は、制御部9によって制御されている。
【0033】
低温タンク5内の飲料は冷水用配管53を介して冷水コック51に供給される。冷水コック51のレバーを操作して開状態とすると、低温の冷水が冷水コック51から注出される。冷水コック51から冷水が注出されると、同量の飲料が飲料容器10から低温タンク5内に導入される。このように、低温タンク5内は常に満水状態となっている。低温タンク5の周囲は断熱部材32によって包囲されており、低温タンク5を外部から熱的に遮断している。
【0034】
また、高温タンク6内の飲料は熱水用配管63を介して熱水コック61に供給される。熱水コック61のレバーを操作して開状態とすると、高温の熱水が熱水コック61から注出される。熱水コック61から熱水が注出されると、同量の飲料が飲料容器10から高温タンク6内に導入される。このように、高温タンク6内は常に満水状態となっている。高温タンク6の周囲は断熱部材33によって包囲されており、高温タンク6を外部から熱的に遮断している。
【0035】
飲料サーバー1の前面側最下部には受け部31が設けられている。冷水コック51や熱水コック61から注出した飲料がこぼれた場合でも飲料は受け部31に落ちる。また、この受け部31にグラス、紙コップ、湯飲茶碗等の容器を載置して、冷水コック51や熱水コック61からその容器に飲料を注出することができる。
【0036】
熱水循環用ポンプ66は、配管やタンク内に熱水を循環させて殺菌処理を行うためのものである。高温タンク6の下部からは配管65から熱水循環用ポンプ66に熱水が供給可能にされている。熱水循環用ポンプ66の排出側からは殺菌用配管67を介して冷水用配管53に接続されている。殺菌用配管67の中間部には電磁開閉弁68が配置されている。殺菌処理は随時手動によって開始および停止したり、タイマ等により一定の時刻に開始および停止したりすることができる。このような殺菌処理を定期的に行うことにより、飲料サーバー1を清潔に保つことができる。
【0037】
なお、ここでは飲料サーバー1の低温タンク5を下部空間3に配置するようにしているが、これには限定されない。低温タンク5を冷却室2内に配置するようにしてもよい。低温タンク5を冷却室2内に配置すると、冷却系統を近接集中させて効率よく冷却を行うことができる。
【0038】
図3は、支持板24および接続部4の構成を示す平面図である。図3は支持板24を上方から見た図であり、飲料容器10の載置位置が二点鎖線で示されている。支持板24の下面の前面側には接続部4がねじ止め等により固定されている。また、支持板24の前面側には、飲料容器10の口部101を位置決めするための位置決め凹部241が形成されている。位置決め凹部241は、飲料容器10を支持板24上に載置して冷却室2の奥に向けて移動させると、口部101が位置決め凹部241に入り込んで自然に位置決めされるような形状とされている。
【0039】
口部101が位置決め凹部241の最奥部まで入り込んで突き当たると、口部101が接続部4の接続部材43の真上の対向位置にちょうど位置決めされるようになっている。また、位置決め凹部241には、口部101の抜け止めのための突起242が形成されている。突起242によって口部101が正規位置から移動してしまうことが抑止されており、振動等によって口部101の位置が動いてしまうことも防止される。
【0040】
図4および図5は、接続部4の構成と動作を示す斜視図である。接続部4は、外側の第1筒体41、第1筒体41の内側に配置された第2筒体42、接続部材43、操作ハンドル44とから構成されている。第1筒体41の上端部は鍔状の固定部410とされており、この固定部410が支持板24の下面にねじ止め等により固定される。また、固定部410の前面側および第1筒体41の前面側上部は口部101が通過できるように切り欠かれている。
【0041】
第2筒体42は略円筒形であり第1筒体41の円筒部の内側に回動可能に配置されている。第2筒体42の外径は第1筒体41の内径よりもわずかに小さく形成されており、第2筒体42はがたつきや遊びがなく第1筒体41内で回動することができる。接続部材43は第1筒体41に設けられた案内部411(図6参照)により上下方向に移動可能となっている。後に詳しく説明するが、接続部材43は回動せずに鉛直方向に直線状に移動可能となっており、操作ハンドル44により第2筒体42を回動させて、上下に移動させることができる。
【0042】
図4では操作ハンドル44が正面から見て右側端にあり、接続部材43は最も下方の位置にある。この状態では接続部材43の先端部が案内部411内にほぼ隠れており、接続部4の本体内部に待避している。このように、飲料容器との非接続時に接続部材43の先端部が接続部4の本体内部に待避しているので、衛生上の観点からも好ましい。飲料容器10を冷却室2に収納したり、飲料容器10を交換する場合は、接続部4を図4の状態としてから行う。
【0043】
次に、操作ハンドル44を正面から見て左側端まで移動させると接続部4は図5の状態となる。第2筒体42が回動して接続部材43が上方に移動される。このとき、接続部材43の先端部が飲料容器10の口部101内に挿入され、先端部が封止膜を突き破って飲料容器10の内部に進入する。そして、飲料容器10内の飲料が接続部4側に流入する。操作ハンドル44の操作により接続部材43を直線状に移動できるので、小さな力で容易に飲料容器10と接続部材43との接続作業を行うことができる。
【0044】
また、接続部材43を飲料容器から引き抜いて接続を解除する場合にも、操作ハンドル44を逆方向に揺動させるだけの簡単な操作で、しかも小さな操作力で容易に接続解除作業を行うことができる。さらに、接続部4が小型で簡素な機構により実現されているので、飲料サーバー1全体としても、小型化および低コスト化することができる。特に高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0045】
図6は、第1筒体41の構成を示す斜視図である。第1筒体41の底面からは案内部411が立設されている。案内部411は第1筒体41と一体に形成されている。案内部411は、接続部材43を回動させずに鉛直方向に直線状に移動可能とする形状となっている。案内部411に形成された2つの鉛直溝412が接続部材43の腕部432(図9参照)と係合し、接続部材43の回動を規制している。
【0046】
第1筒体41の上端は、前述のように鍔状の固定部410とされており、この固定部410が支持板24の下面にねじ止め等により固定される。また、固定部410の前面側および第1筒体41の前面側上部は飲料容器10の口部101が通過できるように切り欠かれている。第1筒体41の両側面には接続部材43の腕部432が貫通する長孔413が形成されている。長孔413は接続部材43の上下移動を妨げない形状とされている。また、第1筒体41の正面側には操作ハンドル44が貫通する水平長孔414が形成されている。水平長孔414により操作ハンドル44の水平移動範囲が規制されている。
【0047】
図7は、第2筒体42の構成を示す斜視図である。第2筒体42の側面には水平方向から傾斜するつるまき線状の傾斜溝421が形成されている。この傾斜溝421に接続部材43の腕部432(図9参照)が係合され、第2筒体42の回動によって接続部材43が上下に移動されるのである。すなわち、傾斜溝421が溝カムとして、腕部432がカムフォロアとして機能している。また、第2筒体42の正面側には、操作ハンドル44を取り付け固定するための取付孔423が設けられている。操作ハンドル44の柄部の根元側がこの取付孔423に固定される。
【0048】
図8は、第2筒体42に形成された傾斜溝421の展開図である。傾斜溝421は水平方向から一定の傾斜角で形成されており、第2筒体42の側面につるまき線状に形成されている。図示のように、傾斜溝421の上方端部には、水平方向の水平溝422が連続的に形成されている。接続部材43の腕部432が傾斜溝421に係合して上昇され、さらに水平溝422の位置にまで達すると、接続部材43はもはや下降することはない。
【0049】
接続部材43に下方向の力が加わっても、水平溝422によって係止されて下降しない。このように、水平溝422は接続部材43を上昇端位置に止まらせる機能を有する。接続部材43を下降させるには操作ハンドル44により第2筒体42を右側に回動させる。すると接続部材43の腕部432は水平溝422から傾斜溝421に係合して下方に移動される。このように、傾斜溝421および水平溝422が溝カムとして、腕部432がカムフォロアとして機能し、これらのカム機構によって接続部材43が上下に移動されるのである。
【0050】
このように、接続部材43を傾斜溝421および水平溝422によるカム機構により鉛直方向に移動させているので、操作ハンドル44を揺動させるだけの簡単な操作で、しかも小さな操作力で容易に接続作業を行うことができる。また、接続部材43を飲料容器から引き抜いて接続を解除する場合にも、操作ハンドル44を逆方向に揺動させるだけの簡単な操作で、しかも小さな操作力で容易に接続解除作業を行うことができる。接続解除の場合には、接続部材43に重力などの下方に作用する力が働いているので、接続作業のときよりも小さな操作力で接続解除が可能である。
【0051】
また、傾斜溝421の上方端部に水平溝422を連続的に配置しているので、接続部材43を上昇させる操作と、接続部材43を上昇位置でロックする操作とを操作ハンドル44の1方向の揺動で連続的に行うことができる。このため、飲料容器10との接続作業の操作性が大幅に向上している。飲料容器10との接続解除作業についても同様であり、接続部材43のロック解除と、接続部材43を下降させる操作を操作ハンドル44の1方向の揺動で連続的に行うことができ、作業の操作性が大幅に向上している。
【0052】
図9および図10は、接続部材43の構成を示す図である。図9は接続部材43の正面図であり、図10は接続部材43の右側面を示す側面図である。接続部材43の胴部430の上方には先端部431が一体に設けられている。また、胴部430の下部両側面には水平方向の腕部432,432が設けられている。先端部431は尖鋭形状とされ、前述のように、飲料容器10の口部101内に設けられた封止膜を突き破ることが可能である。この胴部430および先端部431内には流通孔434が形成されており、流通孔434は先端部431の上端に開口している。
【0053】
また、流通孔434は下方で2方向に分岐しており、腕部432内の熱水供給孔435および冷水供給孔436に連通している。腕部432の先端側は配管接続部433とされており、これらの配管接続部433には熱水供給用の配管と冷水供給用の配管がそれぞれ接続される。これらの配管接続部433に接続される配管は、接続部材43の上下移動を妨げない程度の柔軟性を有するものとする。
【0054】
また、腕部432の外周はすべり抵抗の小さい樹脂部材等により被覆されている。これにより、腕部432と傾斜溝421の係合による上下方向移動が効率よく行われる。また、胴部430の上部に設けられたOリング437は、飲料容器10の口部101の内周面と接続部材43との間を封止するためのものである。これにより、接続時に口部101と接続部材43との間から飲料が漏れ出ることがない。
【0055】
以上のような、第1筒体41、第2筒体42、接続部材43および操作ハンドル44からなる接続部4は、図4および図5に示すように、操作ハンドル44の操作により接続部材43を直線状に移動できるので、小さな力で容易に飲料容器10と接続部材43との接続作業を行うことができる。操作ハンドル44の操作力を傾斜溝421の傾斜角によって拡大して接続部材43に作用させるので、操作力を小さくすることができる。
【0056】
また、接続部材43を飲料容器から引き抜いて接続を解除する場合にも、操作ハンドル44を逆方向に揺動させるだけの簡単な操作で、しかも小さな操作力で容易に接続解除作業を行うことができる。さらに、接続部4が小型で簡素な機構により実現されているので、飲料サーバー1全体としても、小型化および低コスト化することができる。特に高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0057】
そして、この接続部4は、飲料容器10との非接続時には先端部431が接続部4の本体内部に待避しているので、衛生上の観点からも優れた飲料サーバー1となる。
【0058】
なお、以上の説明では、第2筒体42に傾斜溝421および水平溝422を設けるようにしているが、この構成に限定されることはない。第1筒体41に傾斜溝421および水平溝422を設けることもできる。その場合、第1筒体41内に配置された回動可能な第2筒体42が、傾斜溝421および水平溝422との係合部を備え、回動によって第2筒体42自身が鉛直方向上下に移動するようにする。接続部材43は第2筒体42の鉛直方向移動に伴って鉛直方向に移動するように第2筒体42に接続すればよい。
【0059】
また、以上の説明では、第1筒体41が位置決め部材としての支持板24に直接固定されているが、この構成に限定されることはない。第1筒体41は、支持板24の下面側で位置が不動に固定されていればよく、飲料サーバー本体部などの他の部分に固定されていてもよい。さらに、以上の説明では、案内部411が第1筒体41に一体的に設けられているが、それに限定されることはない。案内部411は、第1筒体41や位置決め部材としての支持板24に固定されていてもよく、飲料サーバー本体部などの他の部分に固定されていてもよい。
【0060】
また、接続部材43の上下移動機構に関しても、以上に説明したような傾斜溝421と係合部材による機構のみに限らず、他の任意の機構を使用することができる。傾斜溝によるカム機構の他にも、ねじ機構、リンク機構などの機構を利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、飲料サーバーと飲料容器との接続作業や接続解除作業において、作業を小さな力で容易に遂行することができ、衛生的にも優れた飲料サーバーを提供することができる。また、飲料サーバーの小型化および低コスト化にも寄与するものである。
【符号の説明】
【0062】
1 飲料サーバー
2 冷却室
3 下部空間
4 接続部
5 低温タンク
6 高温タンク
7 コンプレッサー
9 制御部
10 飲料容器
21 壁面
22 扉
23 冷却器
24 支持板
25 ストッパ
26 回転軸
27 当接部
28 係合部
29 係止部材
31 受け部
32,33 断熱部材
40 接続部
41 第1筒体
42 第2筒体
43 接続部材
44 操作ハンドル
51 冷水コック
52,62,65 配管
53 冷水用配管
54 冷却器
61 熱水コック
63 熱水用配管
64 加熱ヒータ
66 熱水循環用ポンプ
67 殺菌用配管
68 電磁開閉弁
71 放熱器
72 冷却ファン
101 口部
241 位置決め凹部
242 突起
401 先端部
410 固定部
411 案内部
412 鉛直溝
413 長孔
414 水平長孔
421 傾斜溝
422 水平溝
423 取付孔
430 胴部
431 先端部
432 腕部
433 配管接続部
434 流通孔
435 熱水供給孔
436 冷水供給孔
437 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方の先端側が尖鋭形状に形成され、前記先端側から飲料を流通させる流通孔(434)が設けられた接続部材(43)と、
飲料容器(10)の口部が前記接続部材(43)と対向するように前記飲料容器(10)を位置決めするための位置決め部材(24)と、
前記位置決め部材(24)の下面側に固定された第1筒体(41)と、
前記位置決め部材(24)の下面側に固定され、前記接続部材(43)を鉛直方向の直線上を移動可能に案内するための案内部(411)と、
前記第1筒体(41)に対して回動可能に設けられ、回動により前記接続部材(43)を鉛直方向に移動させる第2筒体(42)と、
前記第2筒体(42)に固定され、前記第2筒体(42)を回動させるための操作ハンドル(44)とを有する飲料サーバー用接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記第1筒体(41)と前記第2筒体(42)のいずれか一方に、水平方向から傾斜するつるまき線状の傾斜溝(421)が設けられている飲料サーバー用接続構造。
【請求項3】
請求項2に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記傾斜溝(421)の上方端部には、水平方向の水平溝(422)が連続的に形成されている飲料サーバー用接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記第2筒体(42)は、前記第1筒体(41)の内周側に回動可能に配置されており、
前記接続部材(43)は、前記第2筒体(42)に形成された前記傾斜溝(421)によって鉛直方向に移動されるものである飲料サーバー用接続構造。
【請求項5】
請求項3に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記第2筒体(42)は、前記第1筒体(41)の内周側に回動可能に配置されているとともに、前記第1筒体(41)に形成された前記傾斜溝(421)によって鉛直方向に移動されるものであり、
前記接続部材(43)は、前記第2筒体(42)の鉛直方向移動により鉛直方向に移動されるものである飲料サーバー用接続構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記接続部材(43)は、前記流通孔(434)が下方で2方向に分岐するものである飲料サーバー用接続構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載した飲料サーバー用接続構造であって、
前記接続部材(43)は、前記飲料容器(10)との非接続時に前記案内部(411)内に待避するものである飲料サーバー用接続構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載した飲料サーバー用接続構造を有し、
前記飲料容器(10)を前記位置決め部材(24)の上面に載置して位置決めするものである飲料サーバー。
【請求項9】
請求項8に記載した飲料サーバーであって、
前記接続部材(43)に接続され、前記飲料容器(10)から供給された飲料を冷却した状態で貯留する低温タンク(5)と、
前記低温タンク(6)内の飲料を注出するための低温飲料注出コック(51)と、
前記接続部材(43)に接続され、前記飲料容器(10)から供給された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンク(6)と、
前記高温タンク(6)内の飲料を注出するための高温飲料注出コック(61)と、
前記高温タンク(6)に設置された加熱器(64)と、
前記低温タンク(5)を冷却するための冷却系(7,71,54)とを有する飲料サーバー。
【請求項10】
請求項8,9のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記冷却系(7,71,23)によって冷却され、閉鎖可能な空間である冷却室(2)を有し、
前記飲料容器(10)および前記位置決め部材(24)は前記冷却室(2)に収納されるものである飲料サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−102146(P2011−102146A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258496(P2009−258496)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(591036996)フジテクノ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】