飲料ディスペンサー洗浄器およびこれを用いた洗浄方法
【課題】 洗浄水と炭酸ガスを常に安定的に所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄することが可能であって、さらに、より携帯性の高いコンパクトな飲料ディスペンサーの洗浄機の提供の提供。
【解決手段】 炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管とを備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器
【解決手段】 炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管とを備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は飲料ディスペンサー洗浄器に関し、詳しくは、持ち運びが可能な小型軽量の洗浄器であって、簡単な操作により洗浄水と炭酸ガスを所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄することができる飲料ディスペンサー洗浄器およびこれを用いた洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
飲料用のディスペンサー、とりわけ、一般的な生ビールのディスペンサーとして、樽に充填されたビール等を別に用意した炭酸ガスの力で吐出させ、ジョッキ等に注入させるものがあるが、それに冷却装置を組み込み、樽からジョッキに注入させるまでに冷却させるものが広く使用されている。この冷却装置は、生ビールディスペンサー内の冷却部に螺旋状のビール配管と冷媒配管をそれぞれ設け、冷媒により冷却部の冷却水を冷却し、ビール配管を流れるビールを間接的に冷却するというものである。
【０００３】
かかる生ビールディスペンサー内部の螺旋状のビール配管は、頻繁に洗浄することが求められており、かかるビール流路内を効果的に洗浄する方法として、洗浄水と炭酸ガスなどの高圧ガスを混合したものをビール流路内に流して洗浄する方法が知られている（特許文献１）。
【０００４】
本発明者は、特に、洗浄水と高圧ガスとの混合時の圧力比をほぼ同圧とした場合に、ビール流路内において洗浄水が螺旋状に回転しながら流れるいわゆるスパイラル流が形成され、細くて長いビール流路内であっても、非常に効果的に汚れを洗浄できることを見出し、本件発明に先立ち、洗浄水と炭酸ガスを常に安定的に所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄する飲料ディスペンサーの洗浄システムを開発した（特許文献２）。
【０００５】
この洗浄システムは、洗浄水の供給源として水道を利用するものでありながら、その水圧の影響をほとんど受けることがないため、非常に実用的且つ有用なものであるが、その反面、システム全体がやや複雑となり、携帯性に欠けるきらいがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開平９−４８４９７
【特許文献２】特願２００９−０９８２１１
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従って本発明は、従来のかかる飲料用ディスペンサーの洗浄装置の欠点を克服し、洗浄水と炭酸ガスを常に安定的に所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄することが可能であって、さらに、より携帯性の高いコンパクトな飲料ディスペンサーの洗浄器およびこれを用いた洗浄方法の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を解決するものであり、炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管を備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器である。
【０００９】
さらに本発明は、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器を用い、飲料タンクより取り外したディスペンスヘッドを前記混合器のディスペンスヘッド取付部に接続し、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれ接続されている三方分岐菅の第三の分岐に前記ガス配管の他端部を接続し、前記ガス注入口および前記ディスペンスヘッドに同圧ないしほぼ同圧で炭酸ガスを送出することにより飲料流路内で洗浄水と炭酸ガスのスパイラル流を形成し、洗浄することを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄方法である。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の飲料ディスペンサー洗浄器およびそれを用いた洗浄方法によると、三方分岐菅によりニ系統に分岐された高圧ガスの一方は、洗浄水タンクの洗浄水をタンクに注入されたガスと同じ圧力で混合栓へと送り出す役割を果たし、他方はそのまま直接ディスペンスヘッドへと送られるため、混合栓において洗浄水と高圧ガスが混合されるときの圧力比は、同圧もしくはほぼ同圧となり、これにより、飲料配管内において洗浄に効果的なスパイラル流を形成することができる。
【００１１】
そして、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器は、全体として簡潔な構成を採用しているため、従来のものよりも、携帯性も高くコンパクトである。そして、水道設備に頼ることなく洗浄が可能なため、飲料ディスペンサーの近くに水道設備がない店舗、または水道の水圧が低い店舗等においても、容易に洗浄作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の一部切り欠き正面図。
【図２】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の側面図。
【図３】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の平面図。
【図４】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の底面図。
【図５】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓の側面図。
【図６】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓の断面図。
【図７】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの営業時における各配管の接続状態を模式的に表した図。
【図８】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの洗浄時における各配管の接続状態を模式的に表した図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【００１４】
図１は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の一部切り欠き正面図、図２は同側面図、図３は同平面図、図４は同底面図である。図中、１は飲料ディスペンサー洗浄器、１０は洗浄水タンク、１１は蓋部、１２は取っ手、１３は混合栓、１４は注水バルブ、１５はガスバルブ、１６は水配管、１７はガス配管、１０１は鍔部、１０２は台座部、１０３はガス注入口、１０４は水排出口、１１１はガス抜きボタン、１１２は安全弁をそれぞれ示す。図に示すように、本実施態様の飲料ディスペンサー洗浄器１は、洗浄水タンク１０の上部側面より鍔部１０１が水平方向に突設しており、該鍔部１０１の上面には、混合栓１３が設けられている。
【００１５】
洗浄水タンク１０について詳しく見ると、上部には着脱自在な蓋部１１を備え、側面上部にはガス注入口１０３が、また底面には水排出口１０４がそれぞれ設けられている。そして、ガス注入口１０３には、ガスバルブ１５を経てガス配管１７が接続されており、また、水排出口１０４には水配管１６が接続されている。
【００１６】
図１の切り欠き部分からも分かるように、ガス注入口１０３は、洗浄水タンク１０の側面上端に設けられた鍔部１０１に隠れる位置に設けられている。このように、側面の高い位置にガス注入口１０３を設けることにより、内部の洗浄水の水面より上位からガスを洗浄水タンク１０内に注入することができる。また、洗浄水タンク１０は、台座部１０２によってタンク底面が接地しないようになっているため、図４に示すように水排出口１０４を洗浄水タンク１０の底面に設けることが可能となり、洗浄水タンク１０内の洗浄水を残さず最後まで使い切ることが可能となる。
【００１７】
混合栓１３は、その側面に取水口１３２とその上面にディスペンスヘッド取付部１３１を有しており、取水口１３２には、注水バルブ１４を経て、他端側が排出口１０４に接続されている水配管１６が接続されている。
【００１８】
洗浄水タンク１０内には洗浄水が貯蔵され、使用時（洗浄時）には、高圧ガスがガス配管１７およびガスバルブ１５を経て、ガス注入口１０３から洗浄水タンク１０内に送り込まれ、その結果、洗浄水タンク１０の内圧が高まり、洗浄水が水排出口１０４から水配管１６、および注水バルブ１４を経て混合栓１３へと送られる。
【００１９】
以下では、混合栓１３の構成について更に詳細に説明する。図５は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓１３の側面図、図６は同断面図である。図中、１３１はディスペンスヘッド取付部、１３２は取水口、１３３は内筒体、１３４は水流入路、１３５は外筒体、１３６はバネ部をそれぞれ示す。
【００２０】
図に示すように、ディスペンスヘッド取付部１３１は底部に開口を有する皿状に形成されており、かかる開口から外筒体１３５が混合栓１３内部に突設されている。そして、外筒体１３５内には、内筒体１３３が縦方向に摺動可能に設けられており、内筒体１３３の底部と混合栓１３内部の床面との間には、バネ部１３６が設けられている。また、内筒体１３３の下部側壁には、水流入路１３４が側壁を貫通して形成されており、混合栓１３にディスペンスヘッドを取り付けていない状態では、バネ部１３６により内筒体１３３が上方へ付勢され、内筒体１３３とともに水流入路１３４は外筒体１３５内に収納された状態になっている。
【００２１】
混合栓１３にディスペンスヘッド（図示せず）を接続すると、ディスペンスヘッドの下部が外筒体１３５内に挿入され、内筒体１３３は下方へと押し下げられる。その結果、内筒体１３３の下部が外筒体１３５内から露出し、水流入路１３４が混合栓１３内の空間と連通することになる。したがって、取水口１３２に接続された水配管（図示せず）により混合栓１３内に洗浄水が供給されると、水流入路１３４を通って外筒体１３５へと送られ、外筒体１３５内に挿入されたディスペンスヘッドの下部より送られた高圧ガスと混合し、ディスペンスヘッド内へと流入する。
【００２２】
図７は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの営業時における各配管の接続状態を模式的に表したものである。図に示すように、炭酸ガスボンベ３から高圧ガスを三方分岐管２を経て飲料タンク４内に送り込むことにより、飲料タンク４内の飲料はディスペンスヘッド５から注出され、飲料配管８を介して飲料サーバー６へと送られる。ガス圧により、タンク内の飲料を飲料サーバーへと送る方法については、従来公知の飲料ディスペンサーと変わるところはないが、本発明では、炭酸ガスボンベ３と飲料タンク４とを接続するガス管７の途中に、三方分岐管２を設けたところに特徴を有する。
【００２３】
三方分岐管２は文字通り、三方に分岐するパイプ状の接続部材であるが、その第一の分岐は炭酸ガスボンベ３へと繋がるガス管７が接続され、その第二の分岐は飲料タンク４へと繋がるガス管７がそれぞれ接続されている。そして、第三の分岐は、営業時には栓が取り付けられている。したがって、営業時における高圧ガスは、炭酸ガスボンベ３から分岐されることなく飲料タンク４へと送られることになる。
【００２４】
図８は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの洗浄時における各配管の接続状態を模式的に表したものである。図に示すように、洗浄時には、飲料タンク４から取り外したディスペンスヘッド５を飲料ディスペンサー洗浄器１の混合栓１３に装着し、三方分岐管２の第三の分岐にはガス配管１７を接続する。
【００２５】
上記の接続によれば、まず、炭酸ガスボンベ３から送られる高圧ガスは、三方分岐管２において、ニ系統に分岐され、一方は混合栓１３に装着されたディスペンスヘッド５へ、他方はガス配管１７を通って洗浄水タンク１０へと注入される。そして、洗浄水タンク１０内の洗浄水は、注入された高圧ガスと同圧もしくはほぼ同圧で混合栓１３に送られることになり、ディスペンスヘッド５を介して混合栓１３に送られている高圧ガスと同圧もしくはほぼ同圧で混合され、飲料配管８へと送り出される。このように、洗浄水および高圧ガスが同圧もしくはほぼ同圧で混合されることにより、飲料配管８と飲料サーバー６内の飲料流路では、洗浄水と高圧ガスによるスパイラル流が形成され、流路内を効果的に洗浄する。
【００２６】
本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器による洗浄作業の手順は以下の通りである。
１）営業終了後、洗浄水タンク１０の蓋部１１を外してタンク内に洗浄水を注入する。蓋部１１を元通り装着して、飲料ディスペンサーの近くに設置する。
２）ディスペンスヘッド５を飲料タンク４から取り外し、ディスペンサー洗浄器１の混合栓１３に装着する。
３）三方分岐管２の第三の分岐の栓を外し、代わりにガス配管１７を接続する。
４）飲料サーバー６の注出口に水受けを置き、注出口を開く。
５）ガスバルブ１５を開き、更に注水バルブ部１４を開く。
６）ディスペンスヘッド５のハンドルを押しながら時計方向に半回転する。
７）半回転（開放）と同時に、混合栓１３で混合された高圧ガスおよび洗浄水が、スパイラル流を形成して、飲料流路内を洗浄する。
８）約３０秒でタンク内の洗浄水（１．８ｌ）は流水を終える。流水終了を確認後、注水バルブ１４を閉め、注出口の水のはき出し終了を確認して、ガスバルブ１５を閉じる。
９）ディスペンスヘッド５のハンドルを押しながら反時計方向に回転し閉とする。
１０）洗浄終了後、炭酸ガスボンベ３の減圧弁を閉じて、ガス抜きボタン１１１によりタンク内のガスを抜く。
１１）三方分岐管２の第三からガス配管１７を外し、代わりに栓を取り付ける。
【００２７】
なお、流路内の汚れが特にひどい場合には、ディスペンスヘッド５の上部より洗浄スポンジ玉を数個投入すれば、より効果的に洗浄を行うことができる。なお、スポンジ玉を飲料流路に通して洗浄する通常の作業では、一度に投入できるスポンジ玉は洗浄水圧の関係で、１ないし２個程度だが、本発明では、洗浄水と高圧ガスによるスパイラル流により３ないし５個のスポンジ玉を同時に投入することができる。
【００２８】
以上説明したように、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器は、比較的シンプルな構成のためコンパクトであり、上部に取り付けられた取っ手１２により持ち運びも容易である。そして、あらかじめ炭酸ガスボンベ３と飲料タンク４とを接続するガス管７の途中に三方分岐管２を設けておけば、飲料ディスペンサー洗浄器本体は飲料ディスペンサーの近くに設置しておく必要がないため、営業時におけるスペースを有効に確保でき、また、コンパクトなサイズのため収納保管にも便利である。さらに、水道設備に頼ることなく洗浄が可能なため、飲料ディスペンサーの近くに水道設備がない店舗、または水道の水圧が低い店舗等においても、簡易に洗浄作業を行うことができる。
【符号の説明】
【００２９】
１ … … ディスペンサー洗浄器
２ … … 三方分岐菅
３ … … 炭酸ガスボンベ
４ … … 飲料サーバー
５ … … ディスペンスヘッド
６ … … 飲料サーバー
７ … … ガス管
８ … … 飲料配管
１０ … … 洗浄水タンク
１１ … … 蓋部
１２ … … 取っ手
１３ … … 混合栓
１４ … … 注水バルブ
１５ … … ガスバルブ
１６ … … 水配管
１７ … … ガス配管
１０１ … … 鍔部
１０２ … … 台座部
１０３ … … ガス注入口
１０４ … … 水排出口
１１１ … … ガス抜きボタン
１１２ … … 安全弁
１３１ … … ディスペンスヘッド取付部
１３２ … … 取水口
１３３ … … 内筒体
１３４ … … 水流入路
１３５ … … 外筒体
１３６ … … バネ部
【技術分野】
【０００１】
本発明は飲料ディスペンサー洗浄器に関し、詳しくは、持ち運びが可能な小型軽量の洗浄器であって、簡単な操作により洗浄水と炭酸ガスを所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄することができる飲料ディスペンサー洗浄器およびこれを用いた洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
飲料用のディスペンサー、とりわけ、一般的な生ビールのディスペンサーとして、樽に充填されたビール等を別に用意した炭酸ガスの力で吐出させ、ジョッキ等に注入させるものがあるが、それに冷却装置を組み込み、樽からジョッキに注入させるまでに冷却させるものが広く使用されている。この冷却装置は、生ビールディスペンサー内の冷却部に螺旋状のビール配管と冷媒配管をそれぞれ設け、冷媒により冷却部の冷却水を冷却し、ビール配管を流れるビールを間接的に冷却するというものである。
【０００３】
かかる生ビールディスペンサー内部の螺旋状のビール配管は、頻繁に洗浄することが求められており、かかるビール流路内を効果的に洗浄する方法として、洗浄水と炭酸ガスなどの高圧ガスを混合したものをビール流路内に流して洗浄する方法が知られている（特許文献１）。
【０００４】
本発明者は、特に、洗浄水と高圧ガスとの混合時の圧力比をほぼ同圧とした場合に、ビール流路内において洗浄水が螺旋状に回転しながら流れるいわゆるスパイラル流が形成され、細くて長いビール流路内であっても、非常に効果的に汚れを洗浄できることを見出し、本件発明に先立ち、洗浄水と炭酸ガスを常に安定的に所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄する飲料ディスペンサーの洗浄システムを開発した（特許文献２）。
【０００５】
この洗浄システムは、洗浄水の供給源として水道を利用するものでありながら、その水圧の影響をほとんど受けることがないため、非常に実用的且つ有用なものであるが、その反面、システム全体がやや複雑となり、携帯性に欠けるきらいがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開平９−４８４９７
【特許文献２】特願２００９−０９８２１１
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従って本発明は、従来のかかる飲料用ディスペンサーの洗浄装置の欠点を克服し、洗浄水と炭酸ガスを常に安定的に所定の圧力比で混合して飲料流路を洗浄することが可能であって、さらに、より携帯性の高いコンパクトな飲料ディスペンサーの洗浄器およびこれを用いた洗浄方法の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記課題を解決するものであり、炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管を備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器である。
【０００９】
さらに本発明は、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器を用い、飲料タンクより取り外したディスペンスヘッドを前記混合器のディスペンスヘッド取付部に接続し、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれ接続されている三方分岐菅の第三の分岐に前記ガス配管の他端部を接続し、前記ガス注入口および前記ディスペンスヘッドに同圧ないしほぼ同圧で炭酸ガスを送出することにより飲料流路内で洗浄水と炭酸ガスのスパイラル流を形成し、洗浄することを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄方法である。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の飲料ディスペンサー洗浄器およびそれを用いた洗浄方法によると、三方分岐菅によりニ系統に分岐された高圧ガスの一方は、洗浄水タンクの洗浄水をタンクに注入されたガスと同じ圧力で混合栓へと送り出す役割を果たし、他方はそのまま直接ディスペンスヘッドへと送られるため、混合栓において洗浄水と高圧ガスが混合されるときの圧力比は、同圧もしくはほぼ同圧となり、これにより、飲料配管内において洗浄に効果的なスパイラル流を形成することができる。
【００１１】
そして、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器は、全体として簡潔な構成を採用しているため、従来のものよりも、携帯性も高くコンパクトである。そして、水道設備に頼ることなく洗浄が可能なため、飲料ディスペンサーの近くに水道設備がない店舗、または水道の水圧が低い店舗等においても、容易に洗浄作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の一部切り欠き正面図。
【図２】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の側面図。
【図３】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の平面図。
【図４】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の底面図。
【図５】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓の側面図。
【図６】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓の断面図。
【図７】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの営業時における各配管の接続状態を模式的に表した図。
【図８】本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの洗浄時における各配管の接続状態を模式的に表した図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の飲料ディスペンサー洗浄器の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【００１４】
図１は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の一部切り欠き正面図、図２は同側面図、図３は同平面図、図４は同底面図である。図中、１は飲料ディスペンサー洗浄器、１０は洗浄水タンク、１１は蓋部、１２は取っ手、１３は混合栓、１４は注水バルブ、１５はガスバルブ、１６は水配管、１７はガス配管、１０１は鍔部、１０２は台座部、１０３はガス注入口、１０４は水排出口、１１１はガス抜きボタン、１１２は安全弁をそれぞれ示す。図に示すように、本実施態様の飲料ディスペンサー洗浄器１は、洗浄水タンク１０の上部側面より鍔部１０１が水平方向に突設しており、該鍔部１０１の上面には、混合栓１３が設けられている。
【００１５】
洗浄水タンク１０について詳しく見ると、上部には着脱自在な蓋部１１を備え、側面上部にはガス注入口１０３が、また底面には水排出口１０４がそれぞれ設けられている。そして、ガス注入口１０３には、ガスバルブ１５を経てガス配管１７が接続されており、また、水排出口１０４には水配管１６が接続されている。
【００１６】
図１の切り欠き部分からも分かるように、ガス注入口１０３は、洗浄水タンク１０の側面上端に設けられた鍔部１０１に隠れる位置に設けられている。このように、側面の高い位置にガス注入口１０３を設けることにより、内部の洗浄水の水面より上位からガスを洗浄水タンク１０内に注入することができる。また、洗浄水タンク１０は、台座部１０２によってタンク底面が接地しないようになっているため、図４に示すように水排出口１０４を洗浄水タンク１０の底面に設けることが可能となり、洗浄水タンク１０内の洗浄水を残さず最後まで使い切ることが可能となる。
【００１７】
混合栓１３は、その側面に取水口１３２とその上面にディスペンスヘッド取付部１３１を有しており、取水口１３２には、注水バルブ１４を経て、他端側が排出口１０４に接続されている水配管１６が接続されている。
【００１８】
洗浄水タンク１０内には洗浄水が貯蔵され、使用時（洗浄時）には、高圧ガスがガス配管１７およびガスバルブ１５を経て、ガス注入口１０３から洗浄水タンク１０内に送り込まれ、その結果、洗浄水タンク１０の内圧が高まり、洗浄水が水排出口１０４から水配管１６、および注水バルブ１４を経て混合栓１３へと送られる。
【００１９】
以下では、混合栓１３の構成について更に詳細に説明する。図５は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器の混合栓１３の側面図、図６は同断面図である。図中、１３１はディスペンスヘッド取付部、１３２は取水口、１３３は内筒体、１３４は水流入路、１３５は外筒体、１３６はバネ部をそれぞれ示す。
【００２０】
図に示すように、ディスペンスヘッド取付部１３１は底部に開口を有する皿状に形成されており、かかる開口から外筒体１３５が混合栓１３内部に突設されている。そして、外筒体１３５内には、内筒体１３３が縦方向に摺動可能に設けられており、内筒体１３３の底部と混合栓１３内部の床面との間には、バネ部１３６が設けられている。また、内筒体１３３の下部側壁には、水流入路１３４が側壁を貫通して形成されており、混合栓１３にディスペンスヘッドを取り付けていない状態では、バネ部１３６により内筒体１３３が上方へ付勢され、内筒体１３３とともに水流入路１３４は外筒体１３５内に収納された状態になっている。
【００２１】
混合栓１３にディスペンスヘッド（図示せず）を接続すると、ディスペンスヘッドの下部が外筒体１３５内に挿入され、内筒体１３３は下方へと押し下げられる。その結果、内筒体１３３の下部が外筒体１３５内から露出し、水流入路１３４が混合栓１３内の空間と連通することになる。したがって、取水口１３２に接続された水配管（図示せず）により混合栓１３内に洗浄水が供給されると、水流入路１３４を通って外筒体１３５へと送られ、外筒体１３５内に挿入されたディスペンスヘッドの下部より送られた高圧ガスと混合し、ディスペンスヘッド内へと流入する。
【００２２】
図７は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの営業時における各配管の接続状態を模式的に表したものである。図に示すように、炭酸ガスボンベ３から高圧ガスを三方分岐管２を経て飲料タンク４内に送り込むことにより、飲料タンク４内の飲料はディスペンスヘッド５から注出され、飲料配管８を介して飲料サーバー６へと送られる。ガス圧により、タンク内の飲料を飲料サーバーへと送る方法については、従来公知の飲料ディスペンサーと変わるところはないが、本発明では、炭酸ガスボンベ３と飲料タンク４とを接続するガス管７の途中に、三方分岐管２を設けたところに特徴を有する。
【００２３】
三方分岐管２は文字通り、三方に分岐するパイプ状の接続部材であるが、その第一の分岐は炭酸ガスボンベ３へと繋がるガス管７が接続され、その第二の分岐は飲料タンク４へと繋がるガス管７がそれぞれ接続されている。そして、第三の分岐は、営業時には栓が取り付けられている。したがって、営業時における高圧ガスは、炭酸ガスボンベ３から分岐されることなく飲料タンク４へと送られることになる。
【００２４】
図８は、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器および洗浄される飲料ディスペンサーの洗浄時における各配管の接続状態を模式的に表したものである。図に示すように、洗浄時には、飲料タンク４から取り外したディスペンスヘッド５を飲料ディスペンサー洗浄器１の混合栓１３に装着し、三方分岐管２の第三の分岐にはガス配管１７を接続する。
【００２５】
上記の接続によれば、まず、炭酸ガスボンベ３から送られる高圧ガスは、三方分岐管２において、ニ系統に分岐され、一方は混合栓１３に装着されたディスペンスヘッド５へ、他方はガス配管１７を通って洗浄水タンク１０へと注入される。そして、洗浄水タンク１０内の洗浄水は、注入された高圧ガスと同圧もしくはほぼ同圧で混合栓１３に送られることになり、ディスペンスヘッド５を介して混合栓１３に送られている高圧ガスと同圧もしくはほぼ同圧で混合され、飲料配管８へと送り出される。このように、洗浄水および高圧ガスが同圧もしくはほぼ同圧で混合されることにより、飲料配管８と飲料サーバー６内の飲料流路では、洗浄水と高圧ガスによるスパイラル流が形成され、流路内を効果的に洗浄する。
【００２６】
本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器による洗浄作業の手順は以下の通りである。
１）営業終了後、洗浄水タンク１０の蓋部１１を外してタンク内に洗浄水を注入する。蓋部１１を元通り装着して、飲料ディスペンサーの近くに設置する。
２）ディスペンスヘッド５を飲料タンク４から取り外し、ディスペンサー洗浄器１の混合栓１３に装着する。
３）三方分岐管２の第三の分岐の栓を外し、代わりにガス配管１７を接続する。
４）飲料サーバー６の注出口に水受けを置き、注出口を開く。
５）ガスバルブ１５を開き、更に注水バルブ部１４を開く。
６）ディスペンスヘッド５のハンドルを押しながら時計方向に半回転する。
７）半回転（開放）と同時に、混合栓１３で混合された高圧ガスおよび洗浄水が、スパイラル流を形成して、飲料流路内を洗浄する。
８）約３０秒でタンク内の洗浄水（１．８ｌ）は流水を終える。流水終了を確認後、注水バルブ１４を閉め、注出口の水のはき出し終了を確認して、ガスバルブ１５を閉じる。
９）ディスペンスヘッド５のハンドルを押しながら反時計方向に回転し閉とする。
１０）洗浄終了後、炭酸ガスボンベ３の減圧弁を閉じて、ガス抜きボタン１１１によりタンク内のガスを抜く。
１１）三方分岐管２の第三からガス配管１７を外し、代わりに栓を取り付ける。
【００２７】
なお、流路内の汚れが特にひどい場合には、ディスペンスヘッド５の上部より洗浄スポンジ玉を数個投入すれば、より効果的に洗浄を行うことができる。なお、スポンジ玉を飲料流路に通して洗浄する通常の作業では、一度に投入できるスポンジ玉は洗浄水圧の関係で、１ないし２個程度だが、本発明では、洗浄水と高圧ガスによるスパイラル流により３ないし５個のスポンジ玉を同時に投入することができる。
【００２８】
以上説明したように、本発明に係る飲料ディスペンサー洗浄器は、比較的シンプルな構成のためコンパクトであり、上部に取り付けられた取っ手１２により持ち運びも容易である。そして、あらかじめ炭酸ガスボンベ３と飲料タンク４とを接続するガス管７の途中に三方分岐管２を設けておけば、飲料ディスペンサー洗浄器本体は飲料ディスペンサーの近くに設置しておく必要がないため、営業時におけるスペースを有効に確保でき、また、コンパクトなサイズのため収納保管にも便利である。さらに、水道設備に頼ることなく洗浄が可能なため、飲料ディスペンサーの近くに水道設備がない店舗、または水道の水圧が低い店舗等においても、簡易に洗浄作業を行うことができる。
【符号の説明】
【００２９】
１ … … ディスペンサー洗浄器
２ … … 三方分岐菅
３ … … 炭酸ガスボンベ
４ … … 飲料サーバー
５ … … ディスペンスヘッド
６ … … 飲料サーバー
７ … … ガス管
８ … … 飲料配管
１０ … … 洗浄水タンク
１１ … … 蓋部
１２ … … 取っ手
１３ … … 混合栓
１４ … … 注水バルブ
１５ … … ガスバルブ
１６ … … 水配管
１７ … … ガス配管
１０１ … … 鍔部
１０２ … … 台座部
１０３ … … ガス注入口
１０４ … … 水排出口
１１１ … … ガス抜きボタン
１１２ … … 安全弁
１３１ … … ディスペンスヘッド取付部
１３２ … … 取水口
１３３ … … 内筒体
１３４ … … 水流入路
１３５ … … 外筒体
１３６ … … バネ部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管とを備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器。
【請求項２】
前記水タンクの水排出口と前記混合栓とを接続する配管の任意の場所に注水バルブを設けると共に、前記水タンクのガス注入口と前記三方分岐菅の第三の分岐とを接続する水配管の任意の場所にガスバルブを設けたことを特徴とする請求項１に記載の飲料ディスペンサー洗浄器。
【請求項３】
請求項１または２に記載の飲料ディスペンサー洗浄器を用いた飲料ディスペンサーの洗浄方法であって、飲料タンクより取り外したディスペンスヘッドを前記混合器のディスペンスヘッド取付部に接続し、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれ接続されている三方分岐菅の第三の分岐に前記ガス配管の他端部を接続し、前記ガス注入口および前記ディスペンスヘッドに同圧ないしほぼ同圧で炭酸ガスを送出することにより飲料流路内で洗浄水と炭酸ガスのスパイラル流を形成し、洗浄することを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄方法。
【請求項１】
炭酸ガスボンベから供給される高圧ガスにより飲料タンクから飲料サーバーに圧送された飲料を当該サーバー内で冷却して提供する飲料ディスペンサーの洗浄器であって、ガス注入口および水排出口を有する洗浄水タンクと、取水口とディスペンスヘッド取付部を有する混合栓と、前記水排出口と前記取水口とを接続する水配管と、前記ガス注入口にその一端が接続されたガス配管とを備え、当該ガス配管の多端は、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれガス管を介して接続されている三方分岐菅の第三の分岐に接続可能に設けられていることを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄器。
【請求項２】
前記水タンクの水排出口と前記混合栓とを接続する配管の任意の場所に注水バルブを設けると共に、前記水タンクのガス注入口と前記三方分岐菅の第三の分岐とを接続する水配管の任意の場所にガスバルブを設けたことを特徴とする請求項１に記載の飲料ディスペンサー洗浄器。
【請求項３】
請求項１または２に記載の飲料ディスペンサー洗浄器を用いた飲料ディスペンサーの洗浄方法であって、飲料タンクより取り外したディスペンスヘッドを前記混合器のディスペンスヘッド取付部に接続し、予めその第一の分岐が前記炭酸ガスボンベに、また第二の分岐が前記ディスペンスヘッドにそれぞれ接続されている三方分岐菅の第三の分岐に前記ガス配管の他端部を接続し、前記ガス注入口および前記ディスペンスヘッドに同圧ないしほぼ同圧で炭酸ガスを送出することにより飲料流路内で洗浄水と炭酸ガスのスパイラル流を形成し、洗浄することを特徴とする飲料ディスペンサー洗浄方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１０−２８０４１２（Ｐ２０１０−２８０４１２Ａ）
【公開日】平成２２年１２月１６日（２０１０．１２．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１３４７１５（Ｐ２００９−１３４７１５）
【出願日】平成２１年６月４日（２００９．６．４）
【出願人】（５０６１６３４２３）オリオンサポート株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１２月１６日（２０１０．１２．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月４日（２００９．６．４）
【出願人】（５０６１６３４２３）オリオンサポート株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
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