説明

飲料バッグ及びその製造方法

【課題】ティーバッグ1の製造作業の煩雑化を十分に抑えて、ティーバッグ1の生産性を飛躍的に向上させること。
【解決手段】
メッシュ状の合成樹脂からなる一対の袋構成シート7,9を重ね合わせた状態で、一対の袋構成シート7,9の周縁部7a,9a同士を熱圧着することによって構成された袋体5と、一対の袋構成シートを繋ぐように一体形成されかつ中央部が折り曲げられた吊り片11と、を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ内に紅茶、日本茶、ウーロン茶又はコーヒー等の飲料を抽出する際に用いられる飲料バッグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ティーバッグ(飲料バッグの1つ)にいて種々の開発がなされており(特許文献1及び特許文献2参照)、市販されている一般的なティーバッグの構成等は、次のようになる。
【0003】
即ち、一般的なティーバッグは、抽出原料としての茶葉を内包した袋体を備えており、この袋体は、透水性の不織布又は不織紙等からなるものである。また、袋体の上部には、吊り紐(下げ紐)の一端が取付られており、この吊り紐は、合成繊維からなるものである。更に、吊り紐の他端には、摘み片が取付られており、この摘み片は、紙からなるものである。
【0004】
従って、摘み片を手で持って、袋体をカップ内に入れる。そして、取っ手を手で持った状態又は紐の一部をカップの外側に垂らした状態で、カップ内にお湯を注ぐ。これにより、紅茶等をカップ内に抽出することができる。
【特許文献1】特開2005−135791号公報
【特許文献2】特開2006−238906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的なティーバッグにあっては、前述のように、透水性の不織布又は不織紙等からなる袋体に、合成繊維からなる吊り紐が取付けられているため、ティーバッグの製造に関する一連の工程の中に、袋体の形成に関する工程の他に、吊り紐を袋体に取付ける工程が加わることになる。そのため、ティーバッグの製造作業の煩雑化を招き、ティーバッグの生産性を飛躍的に向上させることが難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の飲料バッグ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明の特徴)は、カップ内に飲料を抽出する際に用いられる飲料バッグにおいて、メッシュ状の合成樹脂からなる一対の袋構成シートを重ね合わせた状態で、一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着することによって構成され、抽出原料(飲料原料)を内包した袋体と、一対の前記袋構成シートを繋ぐように一体形成され、メッシュ状の合成樹脂からなり、中央部が折り曲げられた吊り片と、を備えたことを要旨とする。
【0008】
なお、前記飲料には、紅茶、日本茶、ウーロン茶、又はコーヒー等が含まれ、前記抽出原料には、紅茶葉、日本茶葉、ウーロン茶葉、又はコーヒー粉等が含まれる。また、前記飲料バッグとは、ティーバッグを含む意である。
【0009】
第1の特徴によると、前記吊り片の一部を手で持って、前記袋体を前記カップ内に入れる。そして、前記吊り片の一部を手で持った状態又は前記吊り片の一部を前記カップの外側に垂らした状態で、前記カップ内にお湯を注ぐ。これにより、前記飲料を前記カップ内に抽出することができる。
【0010】
また、前記袋体がメッシュ状の合成樹脂からなる一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着することによって構成され、メッシュ状の合成樹脂からなる前記吊り片が一対の前記袋構成シートを繋ぐように一体形成されているため、前記飲料バッグの製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する前記吊り片を前記袋体に取付ける工程を省略することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明の特徴)は、第1の特徴に加えて、前記吊り片は、ループ状に構成されていることを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明の特徴)は、第1の特徴又は第2の特徴に加えて、前記抽出原料は、圧縮固形化されていることを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明の特徴)は、カップ内に飲料を抽出する際に用いられる飲料バッグを製造するための製造方法において、メッシュ状の合成樹脂からなる生地を裁断することにより、一対の袋構成シート及び一対の前記袋構成シートを繋ぐ吊り片を一体形成する第1の工程と、前記第1の工程の終了後に、一方の前記袋構成シートの内側面に抽出原料(飲料原料)をセットする第2の工程と、前記第2の工程の終了後に、前記吊り片の中央部を折り曲げて、一対の前記袋構成シートを重ね合わせる第3の工程と、前記第3の工程の終了後に、一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着して、前記抽出原料を内包した袋体を形成する4の工程と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
第4の特徴によると、メッシュ状の合成樹脂からなる前記生地を裁断して、一対の前記袋構成シート及び前記吊り片を一体形成した後に、一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着して、前記抽出原料を内包した前記袋体を形成するため、前記飲料バッグの製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する前記吊り片を前記袋体に取付ける工程を省略することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記飲料バッグの製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する前記吊り片を前記袋体に取付ける工程を省略できるため、前記飲料バッグの製造作業の煩雑化を抑えて、前記飲料バッグの生産性を飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0017】
ここで、図1は、本発明の第1実施形態に係るティーバッグの斜視図、図2は、本発明の第1実施形態に係るティーバッグの吊り片をカップの取っ手に引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るティーバッグ1は、カップ3内に紅茶(飲料の一例)を抽出する際に用いられるものであって、飲料バッグの一つである。そして、本発明の実施形態に係るティーバッグ1の具体的な構成は、次のようになる。
【0019】
ティーバッグ1は、抽出原料として圧縮固形化された紅茶葉Mを内包した袋体5を備えている。また、袋体5は、一対の袋構成シート7,9を重ね合わせた状態で、一対の袋構成シート7,9の周縁部7a,9a同士を熱圧着することによって構成されてあって、一対の袋構成シート7,9は、それぞれポリプロピレンメッシュ等のメッシュ状の合成樹脂からなるものである。
【0020】
ティーバッグ1は、袋体5の他に、一対の袋構成シート7,9を繋ぐように一体形成された吊り片11を備えており、この吊り片11は、ポリプロピレンメッシュ等のメッシュ状の合成樹脂からなるものである。また、吊り片11の中央部11aは、折り曲げられてあって、吊り片11は、カップ3の取っ手13に係止できるようにループ状に構成されている。更に、吊り片11の両端部(一端部11bと他端部11c)は、熱圧着されている。
【0021】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0022】
吊り片11の一部を手で持って、袋体5をカップ3内に入れる。そして、吊り片11の一部を手で持った状態又は吊り片11の一部をカップ3の外側に垂らした状態で、カップ3内にお湯を注ぐ。これにより、紅茶をカップ3内に抽出することができる。ここで、吊り片11の一部をカップ3の外側に垂らす際に、吊り片11をカップ3の取っ手に係止させておくことにより、カップ3内にお湯を注ぐ際に、吊り片11全体がカップ3内に入ってしまうことを防止することができる。
【0023】
また、袋体5がメッシュ状の合成樹脂からなる一対の袋構成シート7,9の周縁部7a,9a同士を熱圧着することによって構成され、メッシュ状の合成樹脂からなる吊り片11が一対の袋構成シート7,9を繋ぐように一体形成されているため、ティーバッグ1の製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する吊り片11を袋体5に取付ける工程を省略することができる。
【0024】
更に、抽出原料として紅茶葉Mが圧縮固形化されているため、ティーバッグ1を製造する際に、紅茶葉Mが袋構成シート7,9からはみ出すことを防ぐことができる。
【0025】
従って、本発明の第1実施形態によれば、ティーバッグ1の製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する吊り片11を袋体5に取付ける工程を省略することができる共に、ティーバッグ1を製造する際に、紅茶葉Mが袋構成シート7,9からはみ出すことを防ぐことができるため、ティーバッグ1の製造作業の煩雑化を十分に抑えて、ティーバッグ1の生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0026】
また、吊り片11をカップ3の取っ手13に係止させておくことにより、カップ3内にお湯を注ぐ際に、吊り片11全体がカップ3内に入ってしまうことを防止するため、ティーバッグ1の便利性を向上させることができる。
【0027】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について図3及び図4を参照して説明する。
【0028】
ここで、図3及び図4は、本発明の第2実施形態に係るティーバッグの製造方法を説明する図である。
【0029】
図3及び図4に示すように、本発明の第2実施形態に係るティーバッグの製造方法は、第1実施形態に係るティーバッグ1を製造するための製造方法であって、飲料バッグの製造方法の一つである。そして、本発明の第2実施形態に係るティーバッグの製造方法は、次のような工程を備えている。
【0030】
(i)第1の工程
図3(a)(b)に示すように、裁断装置(図示省略)を用いて、ポリプロピレンメッシュ等のメッシュ状の合成樹脂からなる生地Tを裁断することにより、一対の袋構成シート7,9及び一対の袋構成シート7,9を繋ぐ吊り片11を一体形成することができる。
【0031】
(ii)第2の工程
前記(i)第1の工程の終了後に、図3(c)に示すように、一方の袋構成シート7の内側面(図3(c)において紙面に向かって表側面)に抽出原料として圧縮固形化された紅茶葉Mをセットする。
【0032】
(ii)第3の工程
前記(ii)第2の工程の終了後に、図4(a)に示すように、吊り片11の中央部11aを折り曲げて、一対の袋構成シート7,9を重ね合わせる。
【0033】
(iv)第4の工程
前記(iii)第3の工程の終了後に、図4(b)に示すように、熱圧着装置(図示省略)を用いて、一対の袋構成シート7,9の周縁部7a,9a同士を熱圧着しすると共に、吊り片11の一端部11bと他端部11cを熱圧着する。これにより、圧縮固形化された紅茶葉Mを内包した袋体5を形成することができる。
【0034】
以上により、ティーバッグ1の製造が終了する。
【0035】
続いて、本発明の第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0036】
メッシュ状の合成樹脂からなる生地Tを裁断して、一対の袋構成シート7,9及び吊り片11を一体形成した後に、一対の袋構成シート7,9の周縁部7a,9a同士を圧着して、圧縮固形化された紅茶葉Mを内包した袋体5を形成するため、ティーバッグ1の製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する吊り片11を袋体5に取付ける工程を省略することができる。
【0037】
また、抽出原料として紅茶葉Mが圧縮固形化されているため、ティーバッグ1を製造する際、具体的には、一方の袋構成シート7の内側面に紅茶葉Mをセットしたり又は一対の袋構成シート7,9を重ね合わせたりする際に、紅茶葉Mが袋構成シート7,9からはみ出すことを十分に抑えることができる。
【0038】
従って、本発明の第2実施形態によれば、ティーバッグ1の製造に関する一連の工程から、前述の一般的なティーバッグの吊り紐に相当する吊り片11を袋体5に取付ける工程を省略することができる共に、ティーバッグ1を製造する際に、紅茶葉Mが袋構成シート7,9からはみ出すことを防ぐことができるため、ティーバッグ1の製造作業の煩雑化を十分に抑えて、ティーバッグ1の生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0039】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば袋体5に封入する飲料原料として、紅茶葉の他に、日本葉、ウーロン茶葉、コーヒー等を用いる等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るティーバッグの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るティーバッグの吊り片をカップの取っ手に引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るティーバッグの製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るティーバッグの製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
M 紅茶葉
T 生地
1 ティーバッグ
3 カップ
5 袋体
7 袋構成シート
7a 周縁部
9 袋構成シート
9a 周縁部
11 吊り片
11a 中央部
11b 一端部
11c 他端部
13 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ内に飲料を抽出する際に用いられる飲料バッグにおいて、
メッシュ状の合成樹脂からなる一対の袋構成シートを重ね合わせた状態で、一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着することによって構成され、抽出原料を内包した袋体と、
一対の前記袋構成シートを繋ぐように一体形成され、メッシュ状の合成樹脂からなり、中央部が折り曲げられた吊り片と、
を備えたことを特徴とする飲料バッグ。
【請求項2】
前記吊り片は、ループ状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料バッグ。
【請求項3】
前記抽出原料は、圧縮固形化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料バッグ。
【請求項4】
カップ内に飲料を抽出する際に用いられる飲料バッグを製造するための製造方法において、
メッシュ状の合成樹脂からなる生地を裁断して、一対の袋構成シート及び一対の前記袋構成シートを繋ぐ吊り片を一体形成する第1の工程と、
前記第1の工程の終了後に、一方の前記袋構成シートの内側面に抽出原料をセットする第2の工程と、
前記第2の工程の終了後に、前記吊り片の中央部を折り曲げて、一対の前記袋構成シートを重ね合わせる第3の工程と、
前記第3の工程の終了後に、一対の前記袋構成シートの周縁部同士を熱圧着して、前記抽出原料を内包した袋体を形成する第4の工程と、
を備えたことを特徴とする飲料バッグの製造方法。
【請求項5】
前記抽出原料は、圧縮固形化されていることを特徴とする請求項4に記載の飲料バッグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−247752(P2009−247752A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101905(P2008−101905)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(597075199)株式会社 陶 和 (6)
【Fターム(参考)】