説明

飲料供給装置

【課題】混入忌避飲料原料、例えばアレルギー原因物質を含む飲料が、当該飲料以外の飲料に混入してしまう不都合を回避することができる飲料供給装置を提供する。
【解決手段】本発明の飲料ディスペンサ1は、種類の異なる複数の飲料原料を選択的にカップ50内に供給し、該飲料原料と希釈液とを混合して飲料を供給するものであって、少なくとも一種類の混入忌避物質、例えば、アレルギー原因物質を含有する飲料原料をカップ50内に吐出する特定ノズル13と、アレルギー原因物質を含む飲料原料以外の飲料原料及び/又は希釈液をカップ50内に吐出するマルチノズル12とを備え、特定ノズル13の先端開口部13Aは、カップ50の開口上方投影面より外側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類の異なる複数の飲料原料、例えば、アレルギー原因物質とされる乳飲料の原料となる飲料原料と、それ以外の飲料原料とを選択的にカップ内に供給し、該飲料原料と希釈液とを混合して飲料を供給する飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、種類の異なる複数のシロップ等の飲料原料と、希釈水や炭酸水などの希釈液とを選択的に混合して供給する飲料供給装置がある。係る飲料供給装置では、正面にマルチノズルを備えており、当該マルチノズルから、複数のシロップ等の飲料原料と、希釈水や炭酸水などの希釈液が選択的に吐出され、マルチノズルの下方に載置されるカップ内に飲料の供給を行う。
【0003】
マルチノズルより供給される飲料の原料とされるシロップは、一般に、タンク内に充填されており、当該タンクに接続されるシロップ供給ラインを介してマルチノズルに供給される。そのため、マルチノズルには、複数のシロップ供給ラインが接続されており、選択されたシロップの種類に応じて何れかのシロップ供給ラインが開放され、シロップの吐出が行われる。また、マルチノズルには、希釈液としての希釈水を供給する希釈水供給ラインや炭酸水を供給する炭酸水供給ラインが接続されており、選択されたシロップや飲料の種類に応じて希釈水供給ライン又は炭酸水供給ラインが開放され、シロップの吐出と共に希釈液の吐出が行われる。これにより、マルチノズルに吐出されたシロップと希釈液とは当該マルチノズル内において混合され、当該先端開口部より均一な濃度とされた状態で飲料として吐出される(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−72099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、当該飲料供給装置では、清涼飲料や乳性飲料、更には、アルコール飲料などの供給も行われている。この場合においても、飲料の原料となる飲料原料(シロップ)と、希釈水又は炭酸水などの希釈液は、同一のマルチノズルより吐出が行われている。乳性飲料やアルコール飲料は、アレルギー原因物質である乳成分やアルコール成分を含んでいることから、前回の飲料の供給において乳性飲料やアルコール飲料が選択された場合は、マルチノズルの内壁に乳成分やアルコール成分が付着する。そのため、次回の飲料の供給において、これら乳成分やアルコール成分が混入する問題がある。
【0005】
当該乳成分やアルコール成分の混入量はマルチノズルの内壁に付着した分に限られ、少量ではあるが、これら乳成分やアルコール成分に対し、敏感にアレルギー症状を発症してしまう顧客もいる。そのため、当該顧客は、清涼飲料の提供を求めているのに対し、当該飲料供給装置が、乳成分やアルコール成分を含む飲料を清涼飲料と同一のノズルから供給するため、安心して清涼飲料の提供を求めることができないという問題がある。
【0006】
また、同一の飲料供給装置において、アルコール飲料の提供を行っている場合には、前回、アルコール飲料がマルチノズルにより供給された後、清涼飲料の供給が行われた際に、微量ではあるが、清涼飲料にマルチノズルに付着したアルコール飲料が混入し、場合によっては、清涼飲料からアルコール臭が感じられることもある。
【0007】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、混入忌避飲料原料を含む飲料が、当該飲料以外の飲料に混入してしまう不都合を回避することができる飲料供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飲料供給装置は、種類の異なる複数の飲料原料を選択的にカップ内に供給し、該飲料原料と希釈液とを混合して飲料を供給するものであって、少なくとも一種類の混入忌避物質を含有する飲料原料をカップ内に吐出する混入忌避飲料原料供給ノズルと、混入忌避物質を含む飲料原料以外の飲料原料及び/又は希釈液をカップ内に吐出するマルチノズルとを備え、混入忌避飲料原料供給ノズルの先端開口部は、カップの開口上方投影面より外側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の飲料供給装置は、上記発明において、混入忌避飲料原料供給ノズルから吐出される混入忌避物質を含む飲料原料の吐出流は、マルチノズルから吐出される飲料原料及び/又は希釈液の吐出流に衝突することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の飲料供給装置は、上記各発明において、混入忌避物質は、乳成分、又は、アルコールのうちの少なくとも一つを含むアレルギー原因物質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、種類の異なる複数の飲料原料を選択的にカップ内に供給し、該飲料原料と希釈液とを混合して飲料を供給する飲料供給装置において、少なくとも一種類の混入忌避物質を含有する飲料原料をカップ内に吐出する混入忌避飲料原料供給ノズルと、混入忌避物質を含む飲料原料以外の飲料原料及び/又は希釈液をカップ内に吐出するマルチノズルとを備え、混入忌避飲料原料供給ノズルの先端開口部は、カップの開口上方投影面より外側に配置されているので、混入忌避飲料原料を含む飲料を供給する場合には、混入忌避飲料原料を混入忌避飲料原料供給ノズルからカップ内に吐出し、希釈液は、マルチノズルからカップ内に吐出することで、カップ内に混入忌避飲料原料を含む飲料を供給することが可能となる。また、混入忌避飲料原料を含む飲料以外については、マルチノズルから飲料原料と希釈液とを混合しながらカップ内に吐出することで、混入忌避飲料原料を含む飲料以外の飲料を供給することが可能となる。
【0012】
そのため、前回の飲料の供給時に、混入忌避飲料原料を含む飲料の供給が行われた場合であっても、マルチノズルを介して混入忌避飲料原料がカップに吐出されないことから、次回の飲料の供給時に、混入忌避飲料原料を含まない飲料の供給を行った際に、カップ内にマルチノズル内壁に付着した混入忌避飲料原料が混入する不都合を回避することが可能となる。
【0013】
また、当該混入忌避飲料原料の吐出を行う混入忌避飲料原料供給ノズルの先端開口部は、カップの開口上方投影面よりも外側に配置されているので、当該ノズルの先端開口部から当該ノズル内などに残留した混入忌避飲料原料が滴下した場合であっても、意図せずにカップ内に混入する不都合を回避することが可能となる。
【0014】
そのため、混入忌避飲料原料を含む飲料以外の飲料を選択した場合には、確実に混入忌避飲料原料がカップ内に混入される不都合を回避することが可能となり、適切な飲料の提供を実現することが可能となる。
【0015】
特に、混入忌避飲料原料が、請求項3に示す如く乳成分、又は、アルコールのうちの少なくとも一つを含むアレルギー原因物質である場合でも、混入忌避飲料原料を含む飲料以外の飲料を選択した場合に、混入忌避飲料原料であるアレルギー原因物質がカップ内に混入される不都合を確実に回避することが可能となり、同一の装置においてアレルギー原因物質を含む飲料の提供が行われる場合であっても、安心して飲料の提供を受けることが可能となる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、上記発明において、混入忌避飲料原料供給ノズルから吐出される混入忌避物質を含む飲料原料の吐出流は、マルチノズルから吐出される飲料原料及び/又は希釈液の吐出流に衝突することにより、混入忌避飲料原料供給ノズルから吐出される飲料原料と、マルチノズルから吐出される飲料原料及び/又は希釈液とを積極的に混合させることが可能となる。
【0017】
これにより、同一のマルチノズルから飲料原料と希釈液等とが吐出され、混合しながら飲料の供給を行う場合と同様に、混入忌避飲料原料供給ノズルから吐出される混入忌避物質を含む飲料原料と、マルチノズルから吐出される希釈液等とを混合しながらカップに飲料の供給を行うことが可能となり、カップ内に均一に混合された状態の飲料の提供を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した飲料ディスペンサ1の正面図、図2は飲料ディスペンサ1の側面図、図3は飲料ディスペンサ1の扉28を開放した状態の正面図、図4は飲料ディスペンサ1の内部を透視した側面図、図5は飲料ディスペンサ1の概略構成図、図6はマルチノズル12と特定ノズル13の吐出状態を示す拡大図、図7は各ノズルとタンク3、53との関係を示す概略配管図を示している。
【0019】
実施例の飲料ディスペンサ1は、レストランや喫茶店などで使用される飲料ディスペンサであり、ウーロン茶、無果汁加糖飲料としてのジュースなどの中性飲料を供給するBIBユニット5と、同じく強弱無炭酸系の目的飲料を供給するタンクユニット4とを合わせ持つ装置である。係る飲料ディスペンサ1の構造は本体2内にBIBユニット5が配置され、本体外部にタンクユニット4が接続されている。そして、BIBユニット5は前面に位置する開閉自在の扉28にて隠蔽されている。尚、タンクユニット4の詳細については後述する。
【0020】
開閉扉28の前面には、タンクユニット4とBIBユニット5からの飲料供給を操作する操作部27が設けられており、それぞれのユニットから供給される飲料毎に飲料供給量又は飲料供給方法を選択する操作ボタン、例えばボタンS、ボタンM、ボタンL、ボタンC/P等が設けられている。ボタンS、M、Lは、予め決められた量の飲料の供給を操作するボタンであり、ボタンC/Pは、当該ボタンを操作している間だけ飲料の供給を行うボタンである。
【0021】
そして、この開閉扉28の下部後方には、タンクユニット4からそれぞれの飲料を吐出するためのマルチノズル12が設けられており、当該ノズル12の下方には、テーブル14が設けられ、当該テーブル14上にカップを配置することができる。尚、当該マルチノズル12の側方には、詳細は後述する如きアレルギー原因物質を含有する飲料原料(シロップ)等の混入忌避飲料原料を供給するための供給ノズル(以下、特定ノズルと称する。)13が設けられている。尚、本実施例では、混入忌避飲料原料をアレルギー原因物質を含有する飲料原料として説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、特定の飲料原料が、他の種類の飲料に混入されてしまうことで、分離してしまうなど不都合が生じる物質を含む飲料原料を混入忌避飲料原料としても良いものとする。
【0022】
一方、タンクユニット4により供給される飲料の原料は、飲料原料としてのシロップが密封された容器に収容されたもの、例えばタンク3内に収容されたシロップ(飲料原料)と、希釈液である。このとき、希釈液として希釈水を用いると無炭酸系の飲料が供給され、炭酸水を用いると強弱炭酸系の飲料が供給される。
【0023】
本実施例において、タンクユニット4は、少なくとも2種類のシロップ供給ラインを構成している。即ち、アレルギー原因物質として、例えば乳成分やアルコール成分、オレンジ、キウイ、モモ、リンゴ、バナナ等の特定果汁、そば茶、大豆飲料等を含有するシロップを供給する特定シロップ供給ライン56と、アレルギー原因物質を含有しないシロップを供給するシロップ供給ライン6を備えている。尚、本実施例における飲料ディスペンサ1は、アレルギー原因物質を含有しないシロップを3種類、飲料原料として吐出可能としており、当該シロップ供給ライン6は、図7に示すように3系統、即ち、それぞれのタンク3A、3B、3Cに接続されるシロップ供給ライン6A、6B、6Cが設けられているものとする。尚、これら6A、6B、6Cの構成は、いずれも略同様であるため、シロップ供給ライン6として説明する。
【0024】
図5に示すようにタンク3からアレルギー原因物質を含有しないシロップを供給するシロップ供給ライン6は、シロップ冷却パイプ(飲料冷却パイプ)7と、駆動モータ10によって駆動される流量調整器8と、シロップ電磁弁9とを順次配設して構成される。このシロップ供給ライン6の端部は、マルチノズル12に設けられる複数のシロップ流入口34(図7では1のみ図示する)にそれぞれ接続される。
【0025】
他方、タンク53からアレルギー原因物質を含有するシロップを供給する特定シロップ供給ライン56は、シロップ冷却パイプ(飲料冷却パイプ)57と、駆動モータ60によって駆動される流量調整器58と、シロップ電磁弁59とを順次配設して構成される。この特定シロップ供給ライン56の端部には、マルチノズル12の側方に設けられる特定ノズル13のシロップ流入口13Cに接続される。
【0026】
この特定ノズル13は、図6に示すように、マルチノズル12の近傍に設けられるノズルであり、このノズル13の先端部は、マルチノズル12側に所定角度にて折曲されて形成されている。このとき、当該ノズル13の先端開口部13Aは、マルチノズル12の下方に載置されたカップ50の上方投影面より外側に位置するように配置されている。
【0027】
そのため、特定ノズル13から吐出されるシロップは、所定角度にて斜め下方に向けて吐出されることとなり、当該シロップによる吐出流13Bは、同時にマルチノズル12から吐出される希釈水や炭酸水などの希釈液による吐出流12Aに衝突する構成とされる。尚、本実施例では、シロップの吐出流13Bと希釈液の吐出流12Aは、カップ50の開口縁よりも上方において衝突する構成とされているが、これに限定されるものではなく、カップ50内の上部において衝突する構成としても良いものとする。
【0028】
本実施例では、当該特定ノズル13とマルチノズル12は、これらノズル12、13を取り付けるための図示しない取付孔を有する取付板23に挿入固定され、当該取付板23に取り付けられた状態で、本体2に取り付けられるものとする。これにより、ノズル12とノズル13と取付を行う位置決めを容易に行うことが可能となり、取付作業性の向上を図ることが可能となる。
【0029】
一方、タンク3(3A、3B、3C)及び53は、それぞれガスレギュレータ15が介設されたガス供給ライン16を介して炭酸ガスボンベ20が接続される。これにより、減圧弁としてのガスレギュレータ15は、常に開放されていることから、シロップ供給ライン6の下流側に位置するシロップ電磁弁9及び特定シロップ供給ライン56の下流側に位置するシロップ電磁弁59が開放されることで、炭酸ガスボンベ20から所定の圧力の炭酸ガスが供給され、シロップ供給ライン6又は特定シロップ供給ライン56にシロップを送出する。
【0030】
前記シロップ冷却パイプ7及び57は、図4に示すように本体2内に配設される水槽29内に交熱的に配設されている。当該水槽29には、コンプレッサ51、コンデンサ52やコンデンシングファンモータ53等により構成される冷却装置Rと共に、冷媒回路を構成する蒸発パイプ(冷却器)30が配設されており、これにより、水槽29内に貯溜される冷却水は、所定の温度に冷却される。
【0031】
前記流量調整器8は、内部に収容された一組の回転子32、32により一定容積量のシロップを連続的にシロップ供給ライン6又は56に送出するものである。一方の回転子32の軸には、前記駆動モータ10(特定シロップの場合は駆動モータ60)が接続されており、このモータ10には、該モータ10の回転速度に応じた周波数のパルスを発生するマグネットエンコーダ33が取り付けられている。
【0032】
これにより、シロップ電磁弁9及び流量調整器8の回転子駆動モータ10への通電が後述する制御部11により制御されることで、タンク3からシロップ供給ライン6の端部に接続されるマルチノズル12に送出され、シロップの供給が制御される。同様に、シロップ電磁弁59及び流量調整器58の回転子駆動モータ60への通電が制御部11により制御されることで、タンク53から特定シロップ供給ライン56の端部に接続される特定ノズル13に送出され、特定シロップの供給が制御される。
【0033】
他方、本体2内には、希釈液として市水などの水道水を供給する希釈水供給配管17が配設されている。この希釈水供給配管17には、水入口電磁弁18と、水ポンプ19と、希釈水冷却パイプ(飲料冷却パイプ)21と、希釈水流量計22と、希釈水供給ライン24とが順次、接続されている。尚、希釈水冷却パイプ21は、前記シロップ冷却パイプ7と同様に冷却装置Rによって冷却された冷却水により、当該希釈水冷却パイプ21内を流通する希釈水の冷却を行う。
【0034】
希釈水流量計22は、流入する希釈水の流量に応じた流量信号を前記制御部11に出力するものである。また、希釈水供給ライン24には、希釈水電磁弁25が介設されており、これにより、希釈水供給ライン24の開閉制御が行われる。尚、当該希釈水供給ライン24も前記シロップ供給ライン6と同様に、前記マルチノズル12に設けられる希釈水流入口35に接続される。これにより、希釈水電磁弁25が前記制御部11により制御されることで、マルチノズル12に送出される希釈水の供給が制御される。
【0035】
また、希釈水供給ライン24には、希釈水流量計22と希釈水電磁弁25との間に位置して、電磁弁39が介設された水分岐ライン38が接続される。この水分岐ライン38は、炭酸水を製造するためのカーボネータ40に接続されていると共に、当該カーボネータ40には、一端が前記炭酸ガスボンベ20に接続されたガス供給ライン42が接続されている。ガス供給ライン42には、ガスレギュレータ41が介設されている。これにより、カーボネータ40には、水分岐ライン38を介して希釈水が供給されると共に、ガス供給ライン42を介して炭酸ガスが供給され、これら希釈水と炭酸ガスを混合することで、炭酸水が生成される。
【0036】
そして、このカーボネータ40には、炭酸水流量計43と、炭酸水冷却パイプ(飲料冷却パイプ)44と、炭酸水電磁弁45が設けられた炭酸水供給ライン46が接続されており、当該炭酸水供給ライン46の端部は、前記マルチノズル12に設けられる炭酸水流入口36に接続される。
【0037】
炭酸水流量計43は、流入する炭酸水の流量に応じた流量信号を前記制御部11に出力するものである。尚、炭酸水冷却パイプ44は、前記シロップ冷却パイプ7と同様に冷却装置Rによって冷却された冷却水により、当該炭酸水冷却パイプ44内を流通する炭酸水の冷却を行う。また、炭酸水供給ライン46に介設された炭酸水電磁弁45により、炭酸水供給ライン46の開閉制御が行われる。尚、当該炭酸水供給ライン46も前記シロップ供給ライン6と同様に、炭酸水電磁弁45が前記制御部11により制御されることで、マルチノズル12に送出される炭酸水の供給が制御される。
【0038】
以上の構成により、飲料ディスペンサ1の飲料供給動作について説明する。尚、カーボネータ40には、予めガス供給ライン42から炭酸ガスボンベ20内の炭酸ガスが供給されていると共に、希釈水供給ライン24を介して水分岐ライン38から希釈水が供給されており、所定の炭酸濃度の炭酸水が製造され、収容されており、販売待機状態とされているものとする。
【0039】
上記販売待機状態において、操作部27の何れかの操作ボタンが操作されると、当該ボタン操作に従い、飲料の供給が行われる。ここで、無炭酸系、且つ、アレルギー原因物質を含有しない飲料のボタンが操作された場合には、制御部11は、水入口電磁弁18を開放し、水ポンプ19により市水から供給される水道水を希釈水冷却パイプ21及び希釈水流量計22を介して希釈水供給ライン24に流入させる。また、制御部11は、シロップ電磁弁9及び流量調整器8を駆動する回転子駆動モータ10への通電制御を行うことで、タンク3から供給されるシロップをシロップ冷却パイプ7及び流量調整器8が設けられるシロップ供給ライン6に流入させる。これにより、シロップを所定割合にて希釈水により希釈することで目的飲料が生成され、マルチノズル12よりカップ50に供給される。
【0040】
炭酸系、且つ、アレルギー原因物質を含有しない飲料のボタンが操作された場合には、制御部11は、炭酸水電磁弁45を開閉制御することにより、カーボネータ40から所定量の炭酸水がマルチノズル12に排出される。この場合にも、上記と同様にシロップ供給ライン6に所定量のシロップが供給されることで、シロップを所定割合にて炭酸水により希釈することで目的飲料が生成され、マルチノズル12よりカップ50に供給される。
【0041】
他方、無炭酸系、且つ、アレルギー原因物質を含有する飲料のボタンが操作された場合には、制御部11は、水入口電磁弁18を開放し、水ポンプ19により市水から供給される水道水を希釈水冷却パイプ21及び希釈水流量計22が設けられる希釈水供給ライン24を介してマルチノズル12から吐出させる。また、制御部11は、シロップ電磁弁59及び流量調整器58を駆動する回転子駆動モータ60への通電制御を行うことで、タンク53から供給される特定シロップをシロップ冷却パイプ57及び流量調整器58が設けられるシロップ供給ライン56に流入させ、特定ノズル13から吐出させる。
【0042】
これにより、希釈水はマルチノズル12から吐出され、特定シロップは、特定ノズル13から吐出される。このとき、特定ノズル13から吐出される吐出流13Bは、上述したように、マルチノズル12から吐出される希釈水の吐出流12A衝突するように、吐出されることにより、カップ50に受容される前の段階で、希釈水と特定シロップとを積極的に混合・撹拌することが可能となり、カップ50内に所定割合にて希釈され均一に混合された状態の飲料の提供を実現することが可能となる。
【0043】
炭酸系、且つ、アレルギー原因物質を含有する飲料のボタンが操作された場合には、制御部11は、炭酸水電磁弁45を開閉制御することにより、カーボネータ40から所定量の炭酸水がマルチノズル12に排出される。この場合にも、上記と同様に特定シロップ供給ライン56に所定量のシロップは、特定ノズル13より排出される。
【0044】
係る場合においても、炭酸水はマルチノズル12から吐出され、特定シロップは、特定ノズル13から吐出される。このとき、特定ノズル13から吐出される吐出流13Bは、上述したように、マルチノズル12から吐出される炭酸水の吐出流12A衝突するように、吐出されることにより、カップ50に受容される前の段階で、炭酸水と特定シロップとを積極的に混合・撹拌することが可能となり、カップ50内に所定割合にて希釈され均一に混合された状態の飲料の提供を実現することが可能となる。
【0045】
これにより、アレルギー原因物質を含有する飲料原料は、アレルギー原因物質を含有しない飲料原料、及び、希釈水や炭酸水などの希釈液とは、別のノズル(特定ノズル13)より、吐出する構成としていることから、前回の飲料の供給時に、アレルギー原因物質を含む飲料原料の供給が行われた場合であっても、マルチノズル12を介してアレルギー原因物質を含む飲料原料がカップ50に吐出されないことから、次回の飲料の供給時に、アレルギー原因物質を含まない飲料原料の供給を行った際に、カップ50内にマルチノズル12内壁に付着したアレルギー原因物質が混入する不都合を回避することが可能となる。
【0046】
また、当該アレルギー原因物質を含有する飲料原料の吐出を行う特定ノズル13の先端開口部13Aは、マルチノズル12の下方に対応して載置されるカップ50の開口上方投影面よりも外側に配置されているので、当該ノズル13の先端開口部13Aから当該ノズル13内などに残留したアレルギー原因物質を含有する飲料原料が滴下した場合であっても、意図せずにカップ50内に混入する不都合を回避することが可能となる。
【0047】
そのため、アレルギー原因物質を含む飲料以外の飲料を選択した場合には、確実にアレルギー原因物質を含有する飲料原料がカップ50内に混入される不都合を回避することが可能となり、適切な飲料の提供を実現することが可能となる。
【0048】
これにより、例えば乳成分やアルコールなどのアレルギー原因物質を含む飲料以外の飲料が選択された場合に、アレルギー原因物質を含有する飲料原料がカップ50内に混入される不都合を確実に回避することが可能となり、同一の装置においてアレルギー原因物質を含む飲料の提供が行われる場合であっても、安心して飲料の提供を受けることが可能となる。
【0049】
尚、本実施例では、特定ノズル13から吐出される飲料原料は、アレルギー原因物質を含有する飲料原料としているが、これに限定されるものではなく、アルコール飲料であっても良いものとする。係る場合には、マルチノズル12からはアルコール希釈液としてシロップ等の飲料原料、及び/又は、希釈液としての希釈水又は炭酸水が同時に吐出されるものとする。これにより、アルコールを含有する飲料以外の飲料を選択した場合において、カップ50内にアルコールが混入する不都合を回避することが可能となり、適切な飲料の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した飲料ディスペンサの正面図である。
【図2】飲料ディスペンサの側面図である。
【図3】飲料ディスペンサの扉を開放した状態の正面図である。
【図4】飲料ディスペンサの内部を透視した側面図である。
【図5】飲料ディスペンサの概略構成図である。
【図6】マルチノズルと特定ノズルの吐出状態を示す拡大図である。
【図7】各ノズルとタンクとの関係を示す概略配管図である。
【符号の説明】
【0051】
R 冷却装置
1 飲料ディスペンサ
3、3A、3B、3C、53 タンク
4 タンクユニット
6、6A、6B、6C シロップ供給ライン
7 シロップ冷却パイプ(飲料冷却パイプ)
11 制御部
12 マルチノズル
12A 吐出流
13 特定ノズル(混入忌避飲料原料供給ノズル)
13A 先端開口部
13B 吐出流
13C シロップ流入口
14 テーブル
23 取付板
25 希釈水電磁弁
34 シロップ流入口
35 希釈水流入口
36 炭酸水流入口
40 カーボネータ
45 炭酸水電磁弁
46 炭酸水供給ライン
50 カップ
56 特定シロップ供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類の異なる複数の飲料原料を選択的にカップ内に供給し、該飲料原料と希釈液とを混合して飲料を供給する飲料供給装置において、
少なくとも一種類の混入忌避物質を含有する飲料原料を前記カップ内に吐出する混入忌避飲料原料供給ノズルと、
前記混入忌避物質を含む飲料原料以外の飲料原料及び/又は希釈液を前記カップ内に吐出するマルチノズルとを備え、
前記混入忌避飲料原料供給ノズルの先端開口部は、前記カップの開口上方投影面より外側に配置されていることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記混入忌避飲料原料供給ノズルから吐出される前記混入忌避物質を含む飲料原料の吐出流は、前記マルチノズルから吐出される飲料原料及び/又は希釈液の吐出流に衝突することを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記混入忌避物質は、乳成分、又は、アルコールのうちの少なくとも一つを含むアレルギー原因物質であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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