説明

飲料供給装置

【目的】液体原料と希釈液とからなる飲料を供給する飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機等で、均一なシロップ濃度の飲料を供給してノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【構成】水ポンプ22を駆動し、水入口弁21と水供給弁24を所定時間開放して、水ポンプ22で圧送した希釈水が水冷却コイル23で冷やされ、水量調整器25で流量が調整されて希釈水配管26を通流して希釈水ノズル27から吐出させる。同時にシロップ供給弁34を所定時間開放すると、炭酸ガスボンベ31から圧送される炭酸ガスの圧力でシロップタンク32から押し出されたシロップがシロップ冷却コイル33で冷やされ、シロップ量調整器35で流量が調整されてシロップ配管36を通流してシロップノズル37から吐出すると、シロップが空中で希釈水に衝突して調製された飲料がカップCに流下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体原料と希釈液とからなる飲料を供給する飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機等の飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料ディスペンサではシロップ(液体原料)と希釈液(炭酸水または希釈水)をミキシングノズル内で混合させてカップ(飲料容器)に流下させる構造が一般的である。この構造の場合、ミキシングノズル内壁面には希釈されたシロップが付着するため、雑菌が繁殖しやすい状態になる虞があり、毎日のノズル洗浄等の衛生管理が不可欠であった。
一方、カップ式飲料自動販売機では毎日の洗浄ができないため、希釈液とシロップのノズルはそれぞれ独立していて、カップ内壁面で混合させる方式となっている。この方式の場合、希釈されていないシロップは酸性(pH<7)であるので雑菌が繁殖する虞はない(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−139498号公報
【特許文献2】特開2001−118140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、カップ式飲料自動販売機のノズルはそれぞれ独立しているために雑菌が繁殖する虞がない。
しかしながら、飲料ディスペンサで使用されるカップはその形状がそれぞれ異なり、カップが載置される位置も一定ではないため、カップ内壁面で混合させる方式を採用することはできない。
また、ノズルから吐出した希釈液とシロップとを直接混合させてカップに流下させる方法もあるが、この方法ではシロップが希釈液中に十分に混ざりきらないために、カップ内の底部ではシロップ濃度が高く(例えば、糖度14)、上部ではシロップ濃度の低い(例えば、糖度6)、シロップ濃度の不均一な飲料(糖度差8)となってしまう。
本発明は、上記実情に鑑みて、液体原料と希釈液とからなる飲料を供給する飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機等で、均一なシロップ濃度の飲料を供給してノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る飲料供給装置は、希釈液と液体原料とをノズルから吐出して飲料を調製する飲料供給装置において、
下向きに開口した希釈液ノズルから前記希釈液を吐出させるとともに、吐出させた前記液体原料が前記希釈液に空中で衝突するように複数の液体原料ノズルを前記希釈液ノズルの近傍に配設し、該複数の液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置は、希釈液と液体原料とをノズルから吐出して飲料を調製する飲料供給装置において、
下向きに開口した希釈液ノズルから前記希釈液を吐出させるとともに、吐出させた前記液体原料が前記希釈液に空中で衝突するように複数の吐出口を有する液体原料ノズルを前記希釈液ノズルの近傍に配設し、該複数の吐出口から吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、下向きに開口した希釈液ノズルから希釈液を吐出させるとともに、吐出させた液体原料が希釈液に空中で衝突するように複数の液体原料ノズルを希釈液ノズルの近傍に配設し、複数の液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させるようにしたので、液体原料が希釈液と接触する面積が増え、調製された飲料のシロップ濃度を均一にすることができる。また、希釈液ノズルと液体原料ノズルとがそれぞれ独立しているので、シロップは酸性(pH<7)を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなる。
また、請求項2の発明によれば、複数の吐出口を有する液体原料ノズルを希釈液ノズルの近傍に配設し、複数の吐出口から吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させるようにしたので、液体原料が希釈液と接触する面積が増えて調製された飲料のシロップ濃度が均一になる。また、希釈液ノズルと液体原料ノズルが独立しているために、シロップは酸性(pH<7)を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である飲料ディスペンサ(飲料供給装置)1の外観図である。図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、前面に開口を有するディスペンサ本体2と、ディスペンサ本体2の前面開口を開閉可能にする態様で該ディスペンサ本体2の前面の一側に支承された前扉3とを有し、前扉3の表面には、飲料選択ボタンを備えた操作パネル4が配設してある。また、前扉3の内側下方には、飲料を調製する希釈液を吐出する希釈液ノズルと液体原料を吐出する液体原料ノズルとが配設され、その下方には飲料容器であるカップの置き台になるカップレスト5と、飛び散った飲料等を集めるドリップトレイ6が設けてある。さらに、飲料ディスペンサ1を支え、高さ調整可能なレベリング調整脚である脚部7を備えている。
【0007】
図2は、飲料ディスペンサ1の概要構成を示すブロック図である。飲料ディスペンサ1は水道から供給される希釈水(希釈液)が下向きに開口した希釈水(希釈液)ノズル27から吐出させるとともに、吐出させたシロップ(液体原料)が希釈水に空中で衝突するように複数(図3参照)のシロップ(液体原料)ノズル37を希釈水ノズル27の近傍に配設し、この複数のシロップノズル37から吐出したシロップを希釈水に空中で衝突させて調製した飲料をカップ(飲料容器)Cに流下させることにより飲料の供給を行う。ここで、操作パネル4の飲料選択ボタンが押されて飲料の選択が行われると、水ポンプ22を駆動し、水入口弁21と水供給弁24を所定時間開放して、水ポンプ22で圧送した希釈水が水冷却コイル23で冷やされ、水量調整器25で流量が調整されて希釈水配管26を通流して希釈水ノズル27から吐出させる。同時にシロップ供給弁34を所定時間開放すると、炭酸ガスボンベ31から圧送される炭酸ガスの圧力でシロップタンク32から押し出されたシロップがシロップ冷却コイル33で冷やされ、シロップ量調整器35で流量が調整されてシロップ配管36を通流してシロップノズル37から吐出すると、シロップが空中で希釈水に衝突して調製された飲料がカップCに流下する。水冷却コイル23およびシロップ冷却コイル33は、冷却水槽41に貯留された冷却水42に浸かるように設置され、水冷却コイル23およびシロップ冷却コイル33をそれぞれ通過する希釈水およびシロップは冷却水42との熱交換により冷やされる。また冷却水42は冷凍装置43の冷媒蒸発コイル44を通過する液冷媒の蒸発熱で冷却され、回転軸の先端にプロペラを設けたモータを有する冷却水攪拌装置45のモータを回転駆動して、回転するプロペラで冷却水42を攪拌して水温を均一化している。
【0008】
図3は、複数のノズル37a、37b、37cで構成したシロップノズル37を希釈水ノズル27の近傍に配設し、この3つのシロップノズル37a、37b、37cから吐出したシロップを希釈水に空中で衝突させて飲料を調製するノズルの配置を示す鳥瞰図である。
このように構成した飲料ディスペンサ1は、操作パネル4の飲料供給ボタンが押されて飲料が選択されると、水ポンプ22が駆動され、水入口弁21と水供給弁24が開放されると、希釈水ノズル27から希釈水が吐出される。同時にシロップ供給弁34が開放されてシロップノズル37a、37b、37cそれぞれからシロップを吐出して希釈水に空中で衝突させる。複数のシロップノズル37a、37b、37cそれぞれからシロップを吐出させて希釈水に衝突させると、シロップが希釈水と接触する面積が増えて調製された飲料のシロップ濃度が均一になる。このようにして調製された飲料の糖度は図4に示すように、カップ内の底部(例えば、糖度12.3)と上部(例えば、糖度11.7)の糖度差が少ない、シロップ濃度の均一な飲料を調製することができる。
【0009】
また、希釈水ノズル27とシロップノズル37a、37b、37cはそれぞれ独立しているために、シロップは酸性(pH<7)を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなる。
なお、上述した実施の形態1では、シロップノズル37a、37b、37cと3つのシロップノズルを配設しているが、シロップノズル数が3つに限定されることはなく、使用するシロップの性状(糖度や粘度等)によりノズル数を適宜選択するようにしてもよい。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について図5を参照して説明する。実施の形態1では、複数のシロップノズル37a、37b、37cを希釈水ノズル27の近傍に配設し、シロップノズル37a、37b、37cから吐出したシロップを希釈水に空中で衝突させて調製した飲料をカップCに流下させるようにしていたが、この実施の形態2では、複数の吐出口37e、37f、37gを設けたノズル37dを有するシロップノズル37を希釈水ノズル27の近傍に配設し、吐出口37e、37f、37gから吐出したシロップを希釈水に空中で衝突させて調製した飲料をカップCに流下させるようにしている。
【0010】
このように、複数の吐出口37e、37f、37gから吐出したシロップを希釈水に空中で衝突させて飲料を調製するようにしても、シロップが希釈水と接触する面積を増やすことが出来るので、調製した飲料のシロップ濃度を均一にすることができる。
また、希釈水ノズル27とノズル37dとは独立しているために、シロップは酸性(pH<7)を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなる。
なお、上述した実施の形態2では、吐出口37e、37f、37gと3つの吐出口をノズル37dに設けているが、吐出口数が3つに限定されることはなく、使用するシロップの性状(糖度や粘度等)によりノズルの吐出口数を適宜選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1である飲料ディスペンサの外観図である。
【図2】図1に示した飲料ディスペンサの概要構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した飲料ディスペンサのノズルの配置を示す鳥瞰図である。
【図4】図1に示した飲料ディスペンサの飲料の糖度を示すカップ図である。
【図5】本発明の実施の形態2である飲料ディスペンサのノズルの配置を示す鳥瞰図である。
【符号の説明】
【0012】
1 飲料ディスペンサ
2 ディスペンサ本体
3 前扉
4 操作パネル
6 ドリップトレイ
21 水入口弁
22 水ポンプ
24 水供給弁
26 希釈水配管
27 希釈水ノズル
31 炭酸ガスボンベ
32 シロップタンク
34 シロップ供給弁
36 シロップ配管
37 シロップノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈液と液体原料とをノズルから吐出して飲料を調製する飲料供給装置において、
下向きに開口した希釈液ノズルから前記希釈液を吐出させるとともに、吐出させた前記液体原料が前記希釈液に空中で衝突するように複数の液体原料ノズルを前記希釈液ノズルの近傍に配設し、該複数の液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
希釈液と液体原料とをノズルから吐出して飲料を調製する飲料供給装置において、
下向きに開口した希釈液ノズルから前記希釈液を吐出させるとともに、吐出させた前記液体原料が前記希釈液に空中で衝突するように複数の吐出口を有する液体原料ノズルを前記希釈液ノズルの近傍に配設し、該複数の吐出口から吐出した液体原料を希釈液に空中で衝突させて調製した飲料を飲料容器に流下させることを特徴とする飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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