説明

飲料供給装置

【目的】均一なシロップ濃度の飲料を供給してノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【構成】飲料ノズル20は、複数のシロップ管路11の終端部が接続される飲料流入パイプ21a、21b、21c、21dを設けたノズル着脱部21をノズル固定金具40にねじ41で固定している。シロップノズル22はノズル本体23に設けた突起23cでノズル本体23内に固定させる弾性部材24と、弾性部材24とノズル本体23内面で固定して取り付けられたシロップ吐出ノズル25とで構成され、飲料ノズル20から取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロップと希釈液とを混合して希釈した飲料を供給する飲料ディスペンサやカップ式自動販売機等の飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料ディスペンサではシロップと希釈液(希釈水または炭酸水)とをミキシングノズル内で混合させた飲料をカップ(飲料容器)に流下させる構造が一般的である。このような飲料を混合する構造の場合、ミキシングノズルの内壁面に希釈されたシロップが付着して残留するため、雑菌が繁殖しやすい状態になる虞があり、毎日のノズル洗浄が衛生管理上不可欠であった。さらに、シロップノズルの取り外しができないためにその洗浄が困難であった。
【0003】
一方、カップ式自動販売機では毎日のノズル洗浄を行い難いため、シロップを吐出するノズルと希釈液を吐出するノズルとをそれぞれ独立させ、吐出したシロップと希釈液とをカップ内壁面で混合させる方式としている。この方式の場合、シロップノズル吐出口内に留まり希釈されていないシロップは雑菌が繁殖しない強酸性(pH<7)濃度を維持することができる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−139498号公報
【特許文献2】特開2001−118140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、カップ式自動販売機のノズルはシロップノズルと希釈液ノズルとが独立して設けられているために雑菌が繁殖する虞はない。
しかしながら、飲料ディスペンサで使用されるカップはその形状がそれぞれ異なり、カップが載置される位置も一定ではないため、カップ内壁面でシロップと希釈液とを混合させる方式を採用することはできない。
【0005】
また、ノズルから吐出したシロップと希釈液とを直接混合させてカップに流下させる方法もあるが、この方法ではシロップと希釈液とが十分に混ざりきらないために、カップ内の底部の飲料はシロップ濃度が高く(例えば糖度14)、上部の飲料はシロップ濃度が低い(例えば糖度6)、シロップ濃度の不均一な飲料(例えば糖度差8)となる。
本発明は、上記実情に鑑みて、シロップと希釈液とを混合して希釈した飲料を供給する飲料ディスペンサやカップ式自動販売機等で、均一なシロップ濃度の飲料を供給してノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る飲料供給装置は、シロップと希釈液とを混合して希釈した飲料を供給する飲料供給装置において、
前記シロップを吐出するシロップノズルと、該シロップノズルの近傍に前記希釈液を吐出する希釈液ノズルを有し、
前記シロップノズルから吐出されたシロップと前記希釈液ノズルから吐出された希釈液とが空中で衝突して混合するように前記シロップノズルと前記希釈液ノズルとを配設した飲料ノズルを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置は、上述した請求項1において、前記飲料ノズルには前記シロップノズルを着脱自在に取り付けるノズル着脱部を設け、前記シロップノズルを前記飲料ノズルから取り外し可能としたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る飲料供給装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記シロップノズルにはシロップ吐出ノズルを複数設け、複数の飲料を供給可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に係る飲料供給装置は、上述した請求項1乃至3の何れかにおいて、前記複数のシロップ吐出ノズルのシロップ吐出方向を前記希釈液ノズルの吐出口からの距離に応じて変えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る飲料供給装置は、上述した請求項3において、前記シロップ吐出ノズルにはシロップ吐出口を複数設け、吐出したシロップが集中するようにシロップ吐出口を配設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項6に係る飲料供給装置は、上述した請求項1において、前記希釈液ノズルに接続する管路には炭酸水の膨張を吸収する緩衝空間を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、シロップを吐出するシロップノズルと希釈液を吐出する希釈液ノズルとがそれぞれ独立して設けられているので、シロップ吐出ノズルの吐出口内に留まり希釈されていないシロップは強酸性(pH<7)濃度を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなり、ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、飲料ノズルにシロップノズルを着脱自在に取り付けるノズル着脱部を設けたので、シロップノズルを飲料ノズルから簡単に取り外して洗浄することができ、ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することができる。
また、請求項3の発明によれば、シロップノズルにシロップ吐出ノズルを複数設けているので、複数の飲料を供給することができる。
【0012】
また、請求項4の発明によれば、複数設けたシロップ吐出ノズルのシロップ吐出方向を希釈液ノズルの吐出口からの距離に応じて変えているので、各シロップ吐出ノズルから吐出されたシロップを最適な位置で希釈液と空中で衝突させて混合することができ、均一なシロップ濃度の飲料を供給することができる。
また、請求項5の発明によれば、複数設けたシロップ吐出ノズルのシロップ吐出口から吐出されたシロップが集中するようにシロップ吐出方向を内側に傾けて配設しているので、希釈液と空中で衝突したシロップが周囲に飛び散ることを防ぐことができる。
【0013】
また、請求項6の発明によれば、希釈液ノズルに接続する管路には炭酸水の膨張を吸収する緩衝空間を設けたので、炭酸水が発泡して膨張しても緩衝空間で膨張が吸収されるので、飲料供給装置で弱炭酸飲料を供給する場合にも希釈液ノズルから吐出した炭酸水が飛び散ることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態である飲料ディスペンサ(飲料供給装置)1の外観図である。図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、前面に開口を有するディスペンサ本体2と、ディスペンサ本体2の前面開口を開閉可能にする態様で該ディスペンサ本体2の前面の一側に支承された前扉3とを有し、前扉3の表面には、飲料選択ボタンを備えた操作パネル4が配設してある。また、前扉3の内側下方には、飲料を供給する飲料ノズルやチューブ式ポンプが配設され、その下方には飲料容器であるカップの置き台になるカップレスト5と、飛び散った飲料等を集めるドリップトレイ6が設けてある。さらに、飲料ディスペンサ1を支え、高さ調整可能なレベリング調整脚である脚部7を備えている。
【0015】
図2は、飲料ディスペンサ1の前扉3を開けてディスペンサ本体2の前面を示す図である。ディスペンサ本体2は、冷蔵庫8内に収納されたBIB(Bag In Box)9に貯蔵しているシロップを所定量圧送するチューブ式ポンプ10、図示しない炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスの圧力でシロップタンクから圧送されたシロップを通流させる複数のシロップ管路11(本発明の実施の形態では4本のシロップ管路11a、11b、11c、11d)のそれぞれの管路途中に設けたシロップ電磁弁14(本発明の実施の形態では4個のシロップ電磁弁14a、14b、14c、14d)、水道から供給された希釈水(希釈液)を通流させる希釈水管路12の管路途中に設けた希釈水電磁弁15、水に炭酸ガスボンベから供給された炭酸ガスを溶解させた炭酸水を貯留しているカーボネータから供給された炭酸水(希釈液)を通流させる炭酸水管路13の管路途中に設けた炭酸水電磁弁16が備えられ、これらのシロップ管路11a、11b、11c、11dや希釈水管路12、炭酸水管路13の終端部は飲料ノズル20に接続されている。
【0016】
そして、操作パネル4の飲料選択ボタンが押されると、押された飲料選択ボタンに基づいて、チューブ式ポンプ10が駆動されるとBIB9に貯蔵されているシロップが供給される。またはシロップ電磁弁14と希釈水電磁弁15あるいは炭酸水電磁弁16が開放されると、飲料ノズル20からシロップと希釈水あるいは炭酸水が供給されて空中で衝突して混合して希釈された飲料がドリップトレイ6に載置されたカップ(図示せず)に流下する。
【0017】
図3は飲料ノズル20の正面図、図4はその右側面図、図5は図4のA−A部を矢印方向に見た断面正面図、図6は図3のB−B部を矢印方向に見た断面側面図、図7は飲料ノズル20を斜め上方からみた鳥瞰図、図8は飲料ノズル20を斜め下方からみた底面図、図9は飲料ノズル20からシロップノズル22を取り外した状態を示す図である。飲料ノズル20は、シロップ管路11a、11b、11c、11dの終端部が接続される飲料流入パイプ21a、21b、21c、21dとノズル取り付け穴21eを設けたノズル着脱部21をノズル固定金具40にねじ41で固定している。シロップノズル22はノズル本体右23aとノズル本体左23bとを結合させたノズル本体23と、ノズル本体右23aとノズル本体左23bに設けた突起23cでノズル本体23内に固定させる弾性部材(例えばシリコーンゴムで形成)24と、弾性部材24とノズル本体23内面で固定して取り付けられたシロップ吐出ノズル25とで構成され、ヒンジ23d、23eをノズル着脱部21のノズル取り付け穴21eに下方から挿入することでノズル着脱部21に取り付けられ、ヒンジ23d、23eの上部をその内側方向に押圧することでノズル着脱部21から取り外すことができる。このように飲料ノズル20にシロップノズル22を着脱自在に取り付けるノズル着脱部21を設けたので、シロップノズル22を飲料ノズル20から簡単に取り外して洗浄することができ、ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することができる。
【0018】
希釈水電磁弁15に接続された希釈水管路12と炭酸水電磁弁16に接続された炭酸水管路13を途中で合流させてその終端部が希釈液接続管26に接続され、希釈液接続管26は弾性パイプ(例えばシリコーンゴムで形成)27に挿入されて取り付けられる。弾性パイプ27には隙間C(例えば12mm)を設けて希釈液パイプ28が挿入されて取り付けられて圧力減圧部29の上部に緩衝空間Dを形成し、希釈液パイプ28は取付部28aをノズル固定金具40に挿入して取り付けられる。圧力減圧部29は希釈液パイプ28を通過する炭酸水を減圧させてカップ内に供給される炭酸水のガスボリュームの低下を抑える働きをする。圧力減圧部29は12角柱に形成され、その12の角で希釈液パイプ28内壁面に接し、圧力減圧部29の12の平面と希釈液パイプ28内壁面との隙間を希釈水や炭酸水が通流する。希釈液ノズル30はノズル着脱部21の希釈液ノズル取り付けリブ21fに挿入して取り付けられ、希釈液ノズル30を取り付けると、その内部に希釈液パイプ28が挿入されるように配設されている。
【0019】
このように、シロップを吐出するシロップノズル22と希釈液を吐出する希釈液ノズル30とがそれぞれ独立して設けられているので、シロップ吐出ノズル25の吐出口内に留まり希釈されていないシロップは強酸性(pH<7)濃度を維持することができるので雑菌が繁殖する虞がなくなり、ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することができる。また、飲料ディスペンサ1ではシロップ管路11と希釈水管路12から供給されるシロップと希釈水で無炭酸飲料、シロップ管路11と炭酸水管路13から供給されるシロップと炭酸水で強炭酸飲料、シロップ管路11と希釈水管路12および炭酸水管路13から供給されるシロップと希釈水および炭酸水で弱炭酸飲料を供給している。この弱炭酸飲料を供給するときには、希釈水電磁弁15と炭酸水電磁弁16とを交互に開放して希釈水管路12の希釈水と炭酸水管路13の炭酸水とを交互に希釈液ノズルに供給して弱炭酸飲料としている。しかしながら、希釈水と炭酸水とが交互に供給されると、炭酸ガスが溶解している炭酸水が発泡して膨張し、希釈液ノズル30から吐出するときに炭酸水が飛び散るが、希釈液ノズル30に接続する弾性パイプ27内部に炭酸水の膨張を吸収する緩衝空間Dを設けたので、炭酸水が発泡して膨張しても緩衝空間Dで膨張が吸収されるので、飲料ディスペンサ1で弱炭酸飲料を供給する場合にも希釈液ノズル30から吐出した炭酸水が飛び散ることを防ぐことができる。
【0020】
シロップノズル22をノズル着脱部21に取り付けると飲料流入パイプ21a、21b、21c、21dとそれぞれ連通する位置にシロップ吐出ノズル25を4個設けているので(図6参照)、複数種類のシロップをシロップ吐出ノズル25から吐出して複数の種類の飲料を供給することができる。また、複数設けたシロップ吐出ノズル25のそれぞれの取り付け角度を希釈液ノズル30の吐出口30aからの距離に応じて変え、シロップ吐出方向が吐出口30aからの距離に応じて変えてあるので、各シロップ吐出ノズル25から吐出されたシロップを最適な位置で希釈液と空中で衝突させて混合することができ、均一なシロップ濃度の飲料を供給することができる。
【0021】
さらに、シロップ吐出ノズル25にはシロップ吐出口25a、25bを設け、図5に示すように、吐出したシロップが集中するようにシロップ吐出口25a、25bのシロップ吐出方向を内側に傾けている。このようにシロップ吐出ノズル25のシロップ吐出口25a、25bから吐出されたシロップが集中するようにシロップ吐出方向を内側に傾けているので、希釈液と空中で衝突したシロップが周囲に飛び散ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態である飲料ディスペンサの外観図である。
【図2】図1に示した飲料ディスペンサの前扉を開けてディスペンサ本体の前面を示す図である。
【図3】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルの正面図である。
【図4】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルの右側面図である。
【図5】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルの断面正面図である。
【図6】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルの断面側面図である。
【図7】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルの鳥瞰図である。
【図8】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルを斜め下方からみた底面図である。
【図9】図1に示した飲料ディスペンサの飲料ノズルからシロップノズルを取り外した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 飲料ディスペンサ(飲料供給装置)
2 ディスペンサ本体
3 前扉
8 冷蔵庫
9 BIB
10 チューブ式ポンプ
20 飲料ノズル
21 ノズル着脱部
22 シロップノズル
23 ノズル本体
24 弾性部材
25 シロップ吐出ノズル
25a シロップ吐出口
25b シロップ吐出口
28 希釈液パイプ
29 圧力減圧部
30 希釈液ノズル
D 緩衝空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロップと希釈液とを混合して希釈した飲料を供給する飲料供給装置において、
前記シロップを吐出するシロップノズルと、該シロップノズルの近傍に前記希釈液を吐出する希釈液ノズルを有し、
前記シロップノズルから吐出されたシロップと前記希釈液ノズルから吐出された希釈液とが空中で衝突して混合するように前記シロップノズルと前記希釈液ノズルとを配設した飲料ノズルを備えていることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記飲料ノズルには前記シロップノズルを着脱自在に取り付けるノズル着脱部を設け、前記シロップノズルを前記飲料ノズルから取り外し可能としたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記シロップノズルにはシロップ吐出ノズルを複数設け、複数の飲料を供給可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記複数のシロップ吐出ノズルのシロップ吐出方向を前記希釈液ノズルの吐出口からの距離に応じて変えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記シロップ吐出ノズルにはシロップ吐出口を複数設け、吐出したシロップが集中するようにシロップ吐出口を配設したことを特徴とする請求項3に記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記希釈液ノズルに接続する管路には炭酸水の膨張を吸収する緩衝空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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