説明

飲料供給装置

【課題】 コンプレッサに生じる温度上昇等の異常を容易に検知することが可能な飲料供給装置を提供する。
【解決手段】 貯水槽と、コンプレッサを有し、貯水槽内の水を冷却する冷却装置と、貯水槽内の水の温度を検知する温度センサと、冷却装置が貯水槽内の水を冷却しているとき、貯水槽内の水温の低下の割合が略一定となる第1温度領域と、貯水槽内の水温の低下の割合が略一定とはならない第1温度領域より低い第2温度領域と、の間に閾値温度が設定されており、温度センサの検知温度が閾値温度より高い場合、温度センサの検知温度の一定時間あたりの低下の割合が第1割合より小さくなると、コンプレッサが過負荷状態であったものと判定し、温度センサの検知温度が閾値温度より低い場合、コンプレッサを連続して駆動するための制御が一定時間以上継続していると、コンプレッサが過負荷状態であったものと判定する判定装置とを備えた飲料供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コールド飲料を販売する飲料供給装置では、貯水槽で冷却した希釈水等をカップに注入する。貯水槽は、上面に開口を有する略直方体の水槽であり、内部に希釈水等を冷却するための冷却水を貯留している。また、貯水槽の内部には、パイプをコイル状に巻回した冷却コイル(蒸発器)が配設されている。蒸発器内には、冷却装置によって、冷媒が循環している。この冷媒を蒸発させたときに発生する蒸発熱によって、蒸発器の周囲の冷却水を凍らせて氷塊(アイスバンク)を形成し、アイスバンクの蓄熱を利用して冷却水の温度を略0℃に保つようにしている。冷却装置は、ガス状の冷媒を圧縮して高温高圧にするコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された高温高圧の冷媒を液化する凝縮器と、凝縮器で液化した冷媒が送られる前述した蒸発器とを備えている。蒸発器で蒸発してガス化した冷媒はコンプレッサに戻され、再度圧縮されて高温高圧の冷媒となり凝縮器に送られる。
【0003】
このコンプレッサは、過負荷保護装置を備えることが知られている。過負荷保護装置は、例えば、フィルタの目詰まり等によって、コンプレッサの温度が上昇した場合に、コンプレッサの回転を停止させる(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、バイメタル等によって構成される温度プロテクターによって、コンプレッサが設定温度以上となると、コンプレッサへの通電を切断する。また、過負荷保護装置は、コンプレッサへの通電を切断することで、コンプレッサの温度が設定温度より低下すると、再びコンプレッサへの通電を開始するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−52823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1の飲料供給装置では、過負荷保護装置によってコンプレッサの回転を停止した場合に冷却速度が低下するため、冷却水を効率的に冷却することが困難となる。これによって、十分に冷却されていない希釈水がカップに注入されてしまう等の問題が生じる虞がある。しかしながら、この問題が生じた場合に、過負荷保護装置によってコンプレッサの回転を停止したことが要因であるか否かを判断することは困難であった。即ち、コンプレッサに生じた温度上昇等の異常を検知することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、貯水槽と、コンプレッサを有し、前記貯水槽内の水を冷却する冷却装置と、前記貯水槽内の水の温度を検知する温度センサと、前記冷却装置が前記貯水槽内の水を冷却しているとき、前記貯水槽内の水温の低下の割合が略一定となる第1温度領域と、前記貯水槽内の水温の低下の割合が略一定とはならない前記第1温度領域より低い第2温度領域と、の間に閾値温度が設定されており、前記温度センサの検知温度が前記閾値温度より高い場合、前記温度センサの検知温度の一定時間あたりの低下の割合が前記第1割合より小さくなると、前記コンプレッサが過負荷状態であったものと判定し、前記温度センサの検知温度が前記閾値温度より低い場合、前記コンプレッサを連続して駆動するための制御が一定時間以上継続していると、前記コンプレッサが過負荷状態であったものと判定する判定装置と、を備えたことを特徴とする飲料供給装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンプレッサに生じる温度上昇等の異常を容易に検知することが可能な飲料供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態にかかる飲料供給装置に備えられる冷却部の模式図である。
【図2A】第1実施形態にかかる判定装置及び警報発生装置において、貯水槽内の水温が第1温度領域である場合のコンプレッサの異常を検知する動作を説明する図である。
【図2B】第1実施形態にかかる判定装置及び警報発生装置において、貯水槽内の水温が第2温度領域である場合のコンプレッサの異常を検知する動作を説明する図である。
【図3】第1実施形態にかかる判定装置及び警報発生装置によって、コンプレッサの異常を検知する動作を説明するフローチャートである。
【図4】OCR動作時と通常時夫々において、貯水槽内の水温と、冷却装置が冷却を開始してから経過した時間との関係を示す図である。
【図5】OCR動作時と通常時夫々において、貯水槽内の水温が第2温度領域となってから、所定厚のアイスバンクが形成されるまでにかかる時間を測定した結果を示す図である。
【図6】冷却装置が貯水槽内の冷却水を冷却する場合に、第2実施形態にかかる判定装置によってコンプレッサの異常を検知する動作を説明するフローチャートである。
【図7】冷却装置が製氷筒を冷却する場合に、第2実施形態にかかる判定装置によってコンプレッサの異常を検知する動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===冷却部の構成について===
以下、図1を参照して、本実施形態にかかる飲料供給装置に備えられる冷却部1の構成について説明する。尚、図1は、冷却部1の構成を説明するための模式図である。本実施形態にかかる飲料供給装置はコールド飲料を販売する。冷却部1は、例えば、カップ9に注入する希釈水やシロップ等を冷却する。この冷却部1は、貯水槽2と、冷却装置3と、温度センサ4と、判定装置及び警報発生装置を含む制御部5と、電極6と、配管7と、バルブ8とを備えている。
【0012】
貯水槽2は、例えば側面及び底面が断熱壁で形成され、上面に開口を備えた略直方体形状を呈している。貯水槽2の内部には、例えば希釈水を冷却するための冷却水が貯留されている。この冷却水中には、配管7と、温度センサ4と、冷却装置3の冷却コイル30と、電極6とが配置されている。配管7は、例えば希釈水が通る管であり、バルブ8を介して水道水が供給されるように、水道水の供給管に接続されている。希釈水は、冷却水中の配管7を通ることで冷却される。温度センサ4は、冷却水の水温を検知する。
【0013】
冷却装置3の冷却コイル30は、コイル状に巻回された管形状を呈し、内部に冷媒が供給される。この冷却コイル30の内部で冷媒が蒸発する際の蒸発熱によって、冷却コイル30の周囲の冷却水を冷却して一定厚の氷を形成する。電極6は、冷却コイル30の周囲に形成された氷(アイスバンク)の厚さを検出するための電極である。具体的には、電極6は、例えば2本の電極からなり、電極間の抵抗値の変化により、所定厚のアイスバンクが形成されたか否かを判定している。
【0014】
冷却装置3は、前述した冷却コイル30に加え、コンプレッサ31と、冷媒配管32と、冷却ファン33と、過負荷保護装置(OCR)34と、電源35とを備えている。コンプレッサ31は、電源35からの通電によって、ガス状の冷媒を圧縮して高温高圧とし、冷媒配管32を介して不図示の凝縮器に送る。冷却ファン33はコンプレッサ31を冷却し、コンプレッサ31の温度上昇を抑制する。尚、凝縮器に送られた冷媒は冷却されて液化し、冷却コイル30に送られる。コンプレッサ31と電源35とはOCR34を介して接続されている。OCR34は、例えばコンプレッサ31の温度に応じて変形するバイメタル等から構成され、コンプレッサ31を過負荷から保護する。具体的には、OCR34は、コンプレッサ31が所定の温度よりも高温となった場合には、コンプレッサ31が過負荷状態であるとして、コンプレッサ31と電源35との接続を遮断するように変形する。また、このように変形したOCR34は、コンプレッサ31の温度が所定の温度よりも低温となった場合には、コンプレッサ31の過負荷状態が解消されたものとして、コンプレッサ31と電源35とを接続するように変形する。これによって、OCR34は、コンプレッサ31が所定温度よりも高温となっている場合に、コンプレッサ31と電源35との接続を遮断し、コンプレッサ31を停止させて過負荷から保護する。
【0015】
制御部5は、電極6によって、所定厚のアイスバンクが形成されたことを検知する。そして、制御部5は、所定厚のアイスバンクが形成されたことを検知した場合に、電源35からコンプレッサ31への通電を停止する制御(以下、通電停止制御と称する)を行い、冷却装置3による冷却水の冷却を停止する。また、制御部5は、通電停止制御を行った後に、カップ9への飲料提供によって配管7を希釈水が通過したり、冷却水の入れ替えを行うべく貯水槽2内に給水したりすることで冷却水の温度が上昇した場合、再びコンプレッサ31への通電を開始する制御を行う。これによって、再び冷却装置3によって冷却水が冷却され始める。
【0016】
制御部5に備えられる判定装置は、OCR34によって電源35からコンプレッサ31への通電が遮断されたか否かを判定する。つまり、判定装置は、OCR34が通電を遮断する動作をしたか否かによってコンプレッサ31が過負荷状態であった否かを判定する。そして、制御部5に備えられる警報発生装置は、判定装置によってコンプレッサ31が過負荷状態であったものと判定すると警報(アラーム)を発生する。これによって、コンプレッサ31の過負荷による温度上昇等の異常を容易に検知することができる。
【0017】
===第1実施形態にかかる制御部の判定装置及び警報発生装置の動作について===
図2A乃至図5を参照しつつ、第1実施形態にかかる制御部5の判定装置及び警報発生装置の動作について具体的に説明する。尚、図2Aは、判定装置及び警報発生装置において、貯水槽内の水温が後述する第1温度領域である場合のコンプレッサの異常を検知する動作を説明する図である。図2Bは、判定装置及び警報発生装置において、貯水槽内の水温が後述する第2温度領域である場合のコンプレッサの異常を検知する動作を説明する図である。図3は、判定装置及び警報発生装置によって、コンプレッサの異常を検知する動作を説明するフローチャートである。
【0018】
図4は、貯水槽2内の水温と、冷却装置3が冷却を開始してから経過した時間との関係を求めた結果を示す図である。図4において、白抜きの三角で結ばれる線は、コンプレッサ31の吸排気口に設けられたフィルタの約2/3の面積が目詰まりしている場合の特性を示している。つまり、図4における白抜きの三角で結ばれる線は、コンプレッサ31が異常状態であり、制御部5によって通電停止制御が行われるまでの間に、OCR34が通電を遮断する動作を行った場合(OCR動作時)の特性を示している。尚、図4ではOCR34が2回動作した場合を示している。一方、図4において、黒塗りの四角で結ばれる線は、コンプレッサ31が異常状態となることなく、つまり、OCR34が動作することなく、制御部5によって通電停止制御が行われた場合(通常時)の特性を示している。
【0019】
図5は、OCR動作時と通常時夫々において、貯水槽2内の水温が第2温度領域となってから、所定厚のアイスバンクが形成されるまでにかかる時間を測定した結果を示す図である。つまり、OCR動作時と通常時夫々において、貯水槽2内の水温が第2温度領域となってから、制御部5による通電停止制御が行われるまでの時間を測定した結果を示す図である。尚、図5に示すOCR動作時の時間はOCR34が1回動作した場合の時間である。
【0020】
図4に示すように、冷却装置3によって貯水槽2内の冷却水を冷却する際、冷却水の水温が略5℃より高い場合、単位時間ごとの水温の低下の割合は略一定となる。また、冷却装置3によって貯水槽2内の冷却水を冷却する際、冷却水の水温が略5℃より低い場合、単位時間ごとの水温の低下の割合は略一定とはならない。そこで、貯水槽2内の水温において、略5℃を閾値温度とし、この閾値温度よりも高い温度領域を第1温度領域とする。一方、閾値温度よりも低い温度領域を第2温度領域とする。
【0021】
本実施形態にかかる飲料供給装置における制御部5の判定装置は、温度センサ4の検知する貯水槽2内の水温(以下、検知温度と称する)が第1温度領域にある場合、検知温度の単位時間当たりの低下の割合に基づいて、OCR34が通電を遮断する動作を行ったか否かを判定する。一方、制御部5の判定装置は、検知温度が第2温度領域にある場合、検知温度が閾値温度に達してから、制御部5によって通電停止制御が行われるまでの時間に基づいて、OCR34が通電を遮断する動作を行ったか否かを判定する。
【0022】
具体的には、制御部5の判定装置は、図3に示すように、貯水槽2内の水温が上昇する契機であるカップ9への飲料提供や貯水槽2への給水が終了してから10分間が経過し、貯水槽2内の水温が一様となると、温度センサ4による検知温度Aを確認する(S100)。そして、検知温度Aが閾値温度である5℃よりも高い(第1温度領域にある)場合(S101;YES)、判定装置は、検知温度Aを確認してから25分後の検知温度Bを確認する(S102)。次に、判定装置5は、検知温度Aと検知温度Bとの差(A−B)を算出し、このA−Bが例えば確認温度差(5℃)よりも大きいか否かを判定する(S103)。尚、確認温度差とは、実験により求められた値であり、図4に黒塗りの四角で結ばれる線で示す特性のように、冷却装置3による25分間の冷却で低下する貯水槽2内の水温の低下が、確認温度差より大きい場合に、コンプレッサ31は正常に動作しているとみなすことができる。
【0023】
判定装置は、A−Bが確認温度差よりも大きいと判定した場合(S103;NO)、検知温度BをS101における検知温度Aとして(S104)、再びS101の処理に戻る。一方、判定装置は、A−Bが確認温度差よりも小さいと判定した場合(S103;YES)、OCR34が通電を遮断する動作を行ったことによって、コンプレッサ31が停止している期間(図4参照)があったために、A−Bが確認温度差に満たなかったものとみなす。つまり、コンプレッサ31が過負荷状態であったものとみなす。これによって、警報発生装置はアラームを発生する(S105)。例えば、図2Aに示すように、検知温度Aが10℃、検知温度Bが8℃であった場合、A−Bが2℃となって、確認温度差(5℃)よりも小さいため、コンプレッサ31がOCR34によって停止していた期間があったものとみなすことができる。これによって、コンプレッサ31が異常状態であるとして警報発生装置はアラームを発生する。よって、コンプレッサ31の温度上昇等の異常を容易に検知することができる。
【0024】
一方、検知温度Aが閾値温度である5℃よりも低い(第2温度領域にある)場合(S101;NO)、判定装置は、検知温度Aが閾値温度よりも低いことを確認した時点から確認時間(100分)が経過した後に、制御部5が通電停止制御を行っているか否かを判定する(S110)。換言すると、判定装置は、検知温度Aが第2温度領域となってから、所定厚のアイスバンクが形成されることで制御部5によってコンプレッサ31が停止されるまでの時間が確認時間以内であるか否かを判定する。尚、確認時間とは、実験により求められた値であり、図5の通常時における冷却時間に示すように、コンプレッサ31が通電停止制御されるまでの時間が、確認時間より短い場合に、コンプレッサ31は正常に動作しているとみなすことができる。
【0025】
判定装置は、S110において、コンプレッサ31が通電停止制御されていないと判定した場合(S110;NO)、コンプレッサ31が過負荷状態であったものとみなす。これによって、コンプレッサ31が異常状態であるとして警報発生装置は、アラームを発生する(S111)。例えば、図2Bに示すように、検知温度Aが第2温度領域となってから、コンプレッサ31の通電停止制御がされるまでの時間が確認時間を越えている場合、冷却装置3によって貯水槽2内の冷却水を冷却している間に、コンプレッサ31がOCR34によって停止していた期間があったものとみなすことができる。これによって、コンプレッサ31が異常状態であるとして警報発生装置はアラームを発生する。よって、コンプレッサ31の温度上昇等の異常を容易に検知することができる。
【0026】
一方、判定装置は、S110において、コンプレッサ31が通電停止制御されていると判定した場合(S110;YES)、コンプレッサ31は正常に通常することによって、冷却装置3による貯水槽2内の冷却水の冷却が完了したものとして、コンプレッサ31の異常を検知する制御を終了する。
【0027】
以上より、本実施形態にかかる飲料供給装置では、検知温度が第1温度領域にある場合は、検知温度の単位時間当たりの低下の割合に基づいてコンプレッサ31の異常を検知することができる。また、検知温度が第2温度領域にある場合は、制御部5によってコンプレッサ31の通電停止制御が行われるまでの時間に基づいてコンプレッサ31の異常を検知することができる。このため、コンプレッサ31の異常を容易且つ確実に検知することができる。
【0028】
===第2実施形態にかかる制御部の判定装置の動作について===
図6、図7を参照しつつ、第2実施形態にかかる判定装置の動作について説明する。
【0029】
先ず、図6を参照しつつ、冷却装置3が貯水槽2内の冷却水を冷却する場合に、判定装置によってコンプレッサ31の異常を検知する動作について説明する。
【0030】
第2実施形態にかかる判定装置は、冷却装置3によって貯水槽2内を冷却している間の判定時間内に検知温度が確認温度以下となるか否かを判定し、判定時間が経過しても検知温度が確認温度以下とならない場合に、コンプレッサ31が異常状態であると検知する。尚、判定時間及び確認温度は、飲料供給装置ごとに実験から求められた値であり、判定時間内に検知温度が確認温度以下とならない場合に、コンプレッサ31がOCR34によって停止していた期間があったものとみなすことができる値である。さらに、この判定装置は、確認した検知温度を、制御部5に備えられるメモリに記憶させると共に、飲料供給装置に備えられる表示装置(不図示)の画面に表示させることを特徴としている。これによって、作業者等が容易に検知温度の状態を確認することができるため、コンプレッサ31の異常を容易に検知することができる。
【0031】
具体的には、判定装置は、コンプレッサ31の異常を検知する場合、カップ9への飲料提供や貯水槽2への給水等によって冷却装置3が貯水槽2内の冷却を開始しているか否かを確認する(S201)。判定装置は、冷却装置3が貯水槽2内の冷却を開始していないことを確認した場合(S201;NO)、S201の処理を繰り返す。一方、判定装置は、冷却装置3が貯水槽2内の冷却を開始していることを確認した場合(S201;YES)、検知温度を確認して制御部5のメモリに記憶させると共に表示装置の画面に表示し、さらに、制御部5に備えられる判定時間を計測するタイマの計時をスタートさせる(S202)。そして、判定装置は、検知温度が確認温度より低いか否かを判定し(S203)、検知温度が確認温度よりも低いと判定した場合(S203;YES)、判定時間を計測するタイマの計時をストップさせる(S204)。また、検知温度を、制御部5のメモリに記憶させると共に表示装置の画面に表示させる(S204)。さらに、判定装置は、表示装置の画面に、コンプレッサ31に異常がないことを報知するOK判定を表示させる(S205)。
【0032】
一方、判定装置は、検知温度が確認温度よりも高いと判定した場合(S203;NO)、判定時間が経過しているか否かを判定する(S206)。判定装置は、判定時間が経過していないと判定した場合(S206;NO)、S203の処理に戻る。一方、判定装置は、判定時間が経過していると判定した場合(S206;YES)、検知温度を、制御部5のメモリに記憶させると共に表示装置の画面に表示させる(S207)。そして、判定装置は、表示装置の画面に、コンプレッサ31が異常であることを報知するNG判定を表示させる(S208)。
【0033】
以上より、この判定装置は、確認した検知温度を、メモリに記憶させると共に、表示装置の画面に表示させることで、作業者等が容易に検知温度の状態を確認することができる。このため、コンプレッサ31の異常を容易且つ詳細に検知することができる。尚、飲料供給装置はこのメモリに記憶された内容や、表示装置の画面に表示された内容をプリントアウトする印刷装置を備えていてもよい。これによって、より容易且つ詳細にコンプレッサ31の異常を検知することが可能となる。
【0034】
次に、図7を参照しつつ、冷却装置3が飲料供給装置の製氷筒を冷却する場合に、判定装置によってコンプレッサ31の異常を検知する動作について説明する。
【0035】
尚、飲料供給装置に備えられる製氷機(不図示)は、カップ9にコールド飲料と共に提供する氷を製氷し、貯蔵している。この製氷機は、駆動モータと、駆動モータに連結されたオーガ(スクリュー状の回転式切削刃)と、オーガが挿通される製氷筒と、製氷筒の外周面に巻装された蒸発パイプと、蒸発パイプの温度(Eサーモ温度)を検知する温度センサと、オーガの上方に設けられた氷圧縮用の押出しヘッドと、製氷筒および蒸発パイプを包囲する断熱材とを備えている(何れも不図示)。そして、製氷機は、製氷筒の外周面に巻装された蒸発パイプを通る冷媒の蒸発熱で、例えば水道水の配管を介して供給された飲料水を製氷筒の内壁面に着氷させて薄氷を形成する。そして形成した薄氷を、オーガを回転させて掻き取りながら押し上げて押出しヘッドで圧縮することで氷を製造する。
【0036】
判定装置は、冷却装置3によって製氷筒を冷却する際、温度センサの検知するEサーモ温度(検知Eサーモ温度)の単位時間当たりの低下の割合が判定温度範囲内とならない場合に、コンプレッサ31が異常状態であると検知する。尚、判定温度範囲は、飲料供給装置ごとに実験から求められた値であり、検知Eサーモ温度の単位時間(5分間)当たりの低下の割合が判定温度範囲以内とならない場合に、コンプレッサ31がOCR34によって停止していた期間があったものとみなすことができる値である。さらに、この判定装置は、確認した検知Eサーモ温度を、メモリに記憶させると共に、表示装置(不図示)の画面に表示させることを特徴としている。これによって、作業者等が容易に検知Eサーモ温度の状態を確認することができるため、コンプレッサ31の異常を容易に検知することができる。
【0037】
具体的には、判定装置は、コンプレッサ31の異常を検知する場合、冷却装置3が製氷筒の冷却を開始しているか否かを確認する(S301)。判定装置は、冷却装置3が製氷筒の冷却を開始していないこと確認した場合(S301;NO)、S301の処理を繰り返す。一方、判定装置は、冷却装置3が製氷筒の冷却を開始していることを確認した場合(S301;YES)、検知Eサーモ温度Aを確認して制御部5のメモリに記憶させると共に、表示装置の画面に表示させる(S302)。また、制御部5に備えられ、前述した単位時間(5分間)を計時するタイマの計時をスタートさせる(S302)。そして、判定装置は、単位時間が経過したことを判定した場合(S303;YES)、S302の処理から5分後のEサーモ温度である検知Eサーモ温度Bを確認して制御部5のメモリに記憶させる(S304)。次に、判定装置は、検知Eサーモ温度Aと検知Eサーモ温度Bとの差(EA−EB)を算出し、このEA−EBが例えば8℃から10℃の判定温度範囲内にあるか否かを判定する(S305)。判定装置は、EA−EBが判定温度範囲内にあると判定した場合(S305;YES)、表示装置の画面に、検知Eサーモ温度Bを表示させる(S306)と共に、コンプレッサ31に異常がないことを報知するOK判定を表示させる(S307)。
【0038】
一方、判定装置は、EA−EBが判定温度範囲内にないと判定した場合(S305;NO)、表示装置の画面に、検知Eサーモ温度Bを表示させる(S308)と共に、コンプレッサ31が異常であることを報知するNG判定を表示させる(S309)。
【0039】
以上より、この判定装置は、確認した検知Eサーモ温度を、メモリに記憶させると共に、表示装置の画面に表示させることで、作業者等が容易に検知Eサーモ温度の状態を確認することができる。このため、コンプレッサ31の異常を容易且つ詳細に検知することができる。尚、飲料供給装置はこのメモリに記憶された内容や、表示装置の画面に表示された内容をプリントアウトする印刷装置を備えていてもよい。これによって、より容易且つ詳細にコンプレッサ31の異常を検知することが可能となる。
【0040】
尚、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0041】
例えば、前述した第1実施形態にかかる制御部5では、第2実施形態にかかる制御部5と同様に、検知温度A、Bをメモリに記憶すると共に、検知温度A、Bや、判定装置のコンプレッサ31が異常であるか否かの判定を、表示装置の画面に表示することとしてもよい。
【0042】
また、前述した第2実施形態にかかる制御部5では、第1実施形態にかかる制御部5と同様に、判定装置によってコンプレッサ31が異常であることが判定された場合に、アラームを発生することとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 冷却部
2 貯水槽
3 冷却装置
4 温度センサ
5 制御部
6 電極
7 配管
8 バルブ
9 カップ
30 冷却コイル
31 コンプレッサ
32 冷媒配管
33 冷却ファン
34 OCR
35 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽と、
コンプレッサを有し、前記貯水槽内の水を冷却する冷却装置と、
前記貯水槽内の水の温度を検知する温度センサと、
前記冷却装置が前記貯水槽内の水を冷却しているとき、前記貯水槽内の水温の低下の割合が略一定となる第1温度領域と、前記貯水槽内の水温の低下の割合が略一定とはならない前記第1温度領域より低い第2温度領域と、の間に閾値温度が設定されており、前記温度センサの検知温度が前記閾値温度より高い場合、前記温度センサの検知温度の一定時間あたりの低下の割合が前記第1割合より小さくなると、前記コンプレッサが過負荷状態であったものと判定し、前記温度センサの検知温度が前記閾値温度より低い場合、前記コンプレッサを連続して駆動するための制御が一定時間以上継続していると、前記コンプレッサが過負荷状態であったものと判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記判定装置が前記コンプレッサを過負荷状態であったものと判定すると、警報を発生する警報発生装置
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記判定装置は、前記貯水槽への給水動作の完了から所定時間を経過すると、前記検知温度と前記閾値温度とを比較し、前期閾値温度に対する前記検知温度の高低関係を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記判定装置は、飲料の提供動作の完了から所定時間を経過すると、前記検知温度と前記閾値温度とを比較し、前記閾値温度に対する前記検知温度の高低関係を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記判定装置は、前記検知温度が前記閾値温度より高い場合、前記検知温度の単位時間当たりの低下の割合が所定の割合より小さくなると、前記コンプレッサが過負荷保護装置の動作により1回以上停止したものと判定し、前記検知温度が前記閾値温度より低い場合、前記コンプレッサを連続して駆動するための制御が一定時間以上継続していると、前記コンプレッサが前記過負荷保護装置の動作により1回以上停止したものと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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