説明

飲料抽出器

【課題】飲料ポッドから飲料を抽出する場合に、お湯を手差しすることにより飲料を抽出することが可能な簡易型の飲料抽出器を提供する。
【解決手段】飲料抽出器1は、両端が開口された筒状に形成され、内周部に内側に向けてリング状に張り出して飲料ポッド8を載置可能なポッド載置部7が設けられ、外周部に外側に向けて張り出して飲料カップ14の開口縁部14aに載置可能なフランジ4が設けられたポッド保持体2と、両端が開口された筒状に形成され、ポッド保持体2の一端側開口部9の内側に嵌合されてポッド載置部7に載置された飲料ポッド8の外周部を押圧する嵌合部12を一端側に有する注湯用筒体3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーや紅茶等の飲料を抽出する飲料抽出器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コーヒー粉を不織布内に封入したコーヒーポッドを用いるコーヒー抽出器が普及している(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載されたコーヒー抽出器は、コーヒーポッドを収容するホルダーや水を加熱する加熱部等を有し、加熱部で加熱されたお湯をホルダー内に収容されたコーヒーポッドに注ぐことによりコーヒーを抽出している。ホルダー内には、注がれたお湯が抵抗の少ないコーヒーポッドの外周部外側を通過することを阻止する機構が設けられている。このように、コーヒーポッドはホルダーや加熱部等を備えた専用のコーヒー抽出器で使用されているが、お湯を手差しするハンドドリップのような簡易型のコーヒー抽出器においてコーヒーポッドを使用したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−533053号公報
【特許文献2】特開2007−536020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、お湯を手差しするハンドドリップのような簡易型のコーヒー抽出器では、コーヒーポッドに注いだお湯がコーヒーポッドの外周部外側を通過することを阻止できないため、コーヒーポッドを使用することはできなかった。
【0006】
本発明の目的は、コーヒーポッドや紅茶ポッド等の飲料ポッドから飲料を抽出する場合に、お湯を手差しすることにより飲料を抽出することが可能な簡易型の飲料抽出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料抽出器は、両端が開口された筒状に形成され、内周部に内側に向けてリング状に張り出して飲料ポッドを載置可能なポッド載置部が設けられ、外周部に外側に向けて張り出して飲料カップの開口縁部に載置可能なフランジが設けられたポッド保持体と、両端が開口された筒状に形成され、ポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合されてポッド載置部に載置された飲料ポッドの外周部を押圧する嵌合部を一端側に有する注湯用筒体と、を備える。
【0008】
また、前述の本発明に係る飲料抽出器において、注湯用筒体の外周部に、嵌合部がポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合された場合にポッド保持体の一端側開口部の縁部に当接される複数の嵌合位置決め用突起が設けられていることが望ましい。
【0009】
また、前述の本発明に係る飲料抽出器において、フランジは、ポッド保持体の一端側開口部の縁部と面一に設けられていることが望ましい。
【0010】
また、前述の本発明に係る飲料抽出器において、フランジに、このフランジを貫通する複数の空気孔が形成されていることが望ましい。
【0011】
また、前述の本発明に係る飲料抽出器において、注湯用筒体の内周部に、注湯する湯量を指示する注湯量目盛が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る飲料抽出器によれば、 注湯用筒体の嵌合部をポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合させた場合、ポッド載置部に載置された飲料ポッドの外周部が嵌合部により押圧され、飲料ポッドの外周部がポッド載置部と嵌合部とにより挟持される。このため、注湯用筒体内にお湯を注いだ場合に、そのお湯は飲料ポッドの外周部外側を通過することが阻止され、飲料ポッド内を通過する。したがって、お湯を手差しするタイプの簡易型の飲料抽出器であっても、飲料ポッドから飲料を抽出することができる。
【0013】
また、注湯用筒体の外周部に複数の嵌合位置決め用突起が設けられている場合には、注湯用筒体の嵌合部がポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合された場合に、嵌合位置決め用突起をポッド保持体の一端側開口部の縁部に当接させることにより、ポッド保持体に対する注湯用筒体の傾きや、嵌合部の嵌合状態が不十分になることを防止することができる。このため、ポッド保持体の一端側開口部の内側への嵌合部の嵌合状態を安定させることができ、嵌合部によって飲料ポッドの外周部を確実に押圧することができ、注湯用筒体内に注湯したお湯が飲料ポッドの外周部外側を通過することを確実に阻止することができる。
【0014】
また、フランジがポッド保持体の一端側開口部の縁部と面一に設けられている場合には、ポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合部を嵌合させた場合に、位置決め用突起がポッド保持体の一端側開口部の縁部とフランジとに当接し、位置決め用突起部が当接する面積を広くすることができる。このため、ポッド保持体に対する注湯用筒体の傾きや、嵌合部の嵌合状態が不十分になることをより一層確実に防止することができる。このため、ポッド保持体の一端側開口部の内側への嵌合部の嵌合状態をより一層安定させることができ、嵌合部によって飲料ポッドの外周部をより一層確実に押圧することができ、注湯用筒体内に注湯したお湯が飲料ポッドの外周部外側を通過することをより一層確実に阻止することができる。
【0015】
また、フランジにこのフランジを貫通する複数の空気孔が形成されている場合には、飲料カップの開口縁部にフランジを載置して飲料ポッドから飲料を抽出する場合に、抽出された飲料が飲料カップ内に流れ落ちることに伴って飲料カップ内の空気を空気孔から逃がすことができる。このため、飲料の抽出中に飲料カップ内が高圧になることを防止することができ、抽出された飲料が飲料カップ内へ流れ落ちることを促進できる。
【0016】
また、注湯用筒体の内周部に注湯する湯量を指示する注湯量目盛が設けられている場合には、注湯量目盛を見ながら注湯用筒体内に注湯するお湯の量を調節することができ、必要な量の飲料を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】飲料抽出器を構成するポッド保持体と注湯用筒体とを示す正面図である。
【図2】ポッド保持体を示す断面正面図である。
【図3】ポッド保持体を示す平面図である。
【図4】注湯用筒体を示す断面正面図である。
【図5】注湯用筒体をポッド保持体に嵌合させた飲料抽出器を飲料カップの上に載せた状態を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、飲料抽出器であるコーヒー抽出器1を構成するポッド保持体2と注湯用筒体3とを分離して示す正面図である。図1に示す状態から注湯用筒体3を矢印方向に移動させることにより、注湯用筒体3をポッド保持体2に嵌合させることができる。ポッド保持体2の外周部には外側に向けて張り出したフランジ4が設けられ、注湯用筒体3の外周部には複数の嵌合位置決め用突起5が設けられている。ポッド保持体2と注湯用筒体3とは、耐熱性及び食品衛生上の安全性の高い樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂により形成されている。
【0019】
図2は、ポッド保持体2を示す断面正面図である。ポッド保持体2は、両端が開口されるとともに一端側が大径であって他端側が小径である段付の筒状に形成された筒部6を有し、この筒部6の内周部に、大径側から小径側にかけて内側に向けてリング状に張り出したポッド載置部7が筒部6と一体に形成されている。ポッド載置部7は、飲料材料であるコーヒー粉を不織布内に封入することにより形成された飲料ポッドである円盤状のコーヒーポッド8が載置可能な形状に形成されている。筒部6の外周部には、フランジ4が筒部6と一体に形成されている。フランジ4は、筒部6における大径側の開口である一端側開口部9の縁部と面一に設けられている。フランジ4には、このフランジ4を板厚方向に貫通する複数の空気孔10が形成されている。
【0020】
図3は、ポッド保持体2を示す平面図である。ポッド保持体2にはフランジ4とポッド載置部7とが設けられており、フランジ4には複数の空気孔10が形成されている。複数の空気孔10は、筒部6の外周側に寄った位置であって同一の円弧上に位置し、等間隔に配列されている。
【0021】
図4は、注湯用筒体3を示す断面正面図である。注湯用筒体3は、両端が開口されるとともに一端側が他端側より小径であるテーパーが付けられた円筒状の筒部11を備えている。筒部11における小径側の一端側端部には、注湯用筒体3をポッド保持体2に嵌合させる場合に、ポッド保持体2の一端側開口部9の内側に嵌合される嵌合部12が設けられている。筒部11の外周部には、複数の嵌合位置決め用突起5が筒部11と一体に形成されている。嵌合位置決め用突起5は、筒部11の筒方向に沿って延出するリブ状に形成され、例えば、等間隔に6個形成されている。注湯用筒体3は、この注湯用筒体3をポッド保持体2に嵌合させた場合にお湯が注がれる部材であり、筒部11の内周部には、注湯用筒体3内に注湯するお湯の注湯量を抽出するコーヒー量に応じて指示する注湯量目盛13が設けられている。注湯量目盛13は筒部11周方向に沿った複数個所、例えば90°の間隔をもって4か所に設けられ、抽出するコーヒー量に応じて複数段階、例えば3段階に設けられている。
【0022】
図5は、注湯用筒体3をポッド保持体2に嵌合させたコーヒー抽出器1を、飲料カップ14の上に載せた状態を示す断面正面図である。ポッド保持体2のポッド載置部7にはコーヒーポッド8が載置されており、注湯用筒体3の嵌合部12をポッド保持体2の一端側開口部9の内側に嵌合させた場合、嵌合部12がコーヒーポッド8の外周部を押圧し、コーヒーポッド8の外周部がポッド載置部7と嵌合部12とにより挟持される。
【0023】
また、注湯用筒体3の嵌合部12をポッド保持体2の一端側開口部9の内側に嵌合させた場合、嵌合位置決め用突起5の端部5aは、ポッド保持体2の一端側開口部9の縁部及びフランジ4の表面部4aに当接される。
【0024】
また、注湯用筒体3をポッド保持体2に嵌合させたコーヒー抽出器1を飲料カップ14の上に載せた場合、フランジ4の裏面部4bが飲料カップ14の開口縁部14aに当接される。筒部6側に寄せてフランジ4に形成されている空気孔10は、飲料カップ14の開口縁部14aとフランジ4との当接位置よりも内側に位置している。
【0025】
このような構成において、コーヒー抽出器1とコーヒーポッド8とを用いてコーヒーを抽出する場合について説明する。
【0026】
コーヒーを抽出する場合には、図5に示すように、ポッド保持体2のポッド載置部7にコーヒーポッド8を載置し、このポッド保持体2の一端側開口部9の内側に注湯用筒体3の嵌合部12を嵌合させたコーヒー抽出器1を飲料カップ14の上に載せ、注湯用筒体3内にお湯を注ぐ。
【0027】
ポッド保持体2の一端側開口部9の内側に注湯用筒体3の嵌合部12を嵌合させた場合、嵌合部12がポッド載置部7に載置されたコーヒーポッド8の外周部を押圧し、コーヒーポッド8の外周部がポッド載置部7と嵌合部12とにより挟持される。このため、注湯用筒体3内にお湯を注いだ場合、注湯されたお湯はコーヒーポッド8の外周部外側を通過することが阻止され、コーヒーポッド8内を通過する。お湯がコーヒーポッド8内を通過することによりコーヒーポッド8からコーヒーが抽出され、抽出されたコーヒーは筒部6における小径側の開口から飲料カップ14内に流れ落ちる。
【0028】
また、ポッド保持体2の一端側開口部9の内側に注湯用筒体3の嵌合部12を嵌合させた場合、注湯用筒体3に設けられた嵌合位置決め用突起5の端部5aが、ポッド保持体2の一端側開口部9の縁部及びフランジ4の表面部4aに当接される。複数の嵌合位置決め用突起5がポッド保持体2の一端側開口部9の縁部及びフランジ4の表面部4aに当接されることにより、ポッド保持体2に対する注湯用筒体3の傾きや、一端側開口部9の内側への嵌合部12の嵌合状態が不十分になることを防止することができ、一端側開口部9の内側への嵌合部12の嵌合状態を安定させることができる。これにより、コーヒーポッド8の外周部を嵌合部12によって確実に押圧することができ、注湯用筒体3内に注湯したお湯がコーヒーポッド8の外周部外側を通過することを確実に阻止することができる。
【0029】
また、コーヒーを抽出する場合には、飲料カップ14の開口縁部14aにフランジ4の裏面部4bが当接され、飲料カップ14の開口部がフランジ4によって閉止されている。このような状態において抽出されたコーヒーが飲料カップ14内に流れ落ちた場合には、飲料カップ14内の空気をフランジ4に形成された空気孔10から逃がすことができる。このため、抽出されたコーヒーが飲料カップ14内に流れ落ちても飲料カップ14内が高圧になることが防止され、抽出されたコーヒーは飲料カップ14内にスムーズに流れ落ちる。
【0030】
筒部11の内周部には注湯量目盛13が設けられているため、注湯用筒体3内に注湯するお湯の注湯量を、注湯量目盛13に合わせて調整することができる。これにより、必要な量のコーヒーを抽出することができる。
【0031】
コーヒーの抽出が終了した後は、嵌合されているポッド保持体2と注湯用筒体3とを分離させ、ポッド保持体2の一端側開口部9を下向きとしてポッド保持体2を振ることにより、使用済みのコーヒーポッド8を廃棄することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、飲料抽出器の一例としてコーヒーを抽出するコーヒー抽出器1を例に挙げて説明したが、本発明の飲料抽出器には、紅茶を抽出する紅茶抽出器や緑茶を抽出する緑茶抽出器が含まれる。さらに、その飲料抽出器で使用する飲料ポッドとしては、コーヒーポッド8に限らず、飲料材料である紅茶葉や緑茶葉を不織布等に封入した紅茶ポッドや緑茶ポッドが含まれる。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 コーヒー抽出器(飲料抽出器)
2 ポッド保持体
3 注湯用筒体
4 フランジ
5 嵌合位置決め用突起
7 ポッド載置部
8 コーヒーポッド(飲料ポッド)
9 一端側開口部
10 空気孔
12 嵌合部
13 注湯量目盛
14 飲料カップ
14a 開口縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口された筒状に形成され、内周部に内側に向けてリング状に張り出して飲料ポッドを載置可能なポッド載置部が設けられ、外周部に外側に向けて張り出して飲料カップの開口縁部に載置可能なフランジが設けられたポッド保持体と、
両端が開口された筒状に形成され、前記ポッド保持体の一端側開口部の内側に嵌合されて前記ポッド載置部に載置された前記飲料ポッドの外周部を押圧する嵌合部を一端側に有する注湯用筒体と、
を備えることを特徴とする飲料抽出器。
【請求項2】
前記注湯用筒体の外周部に、前記嵌合部が前記ポッド保持体の前記一端側開口部の内側に嵌合された場合に前記ポッド保持体の前記一端側開口部の縁部に当接される複数の嵌合位置決め用突起が設けられていることを特徴とする請求項1記載の飲料抽出器。
【請求項3】
前記フランジは、前記ポッド保持体の前記一端側開口部の縁部と面一に設けられていることを特徴とする請求項2記載の飲料抽出器。
【請求項4】
前記フランジに、このフランジを貫通する複数の空気孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の飲料抽出器。
【請求項5】
前記注湯用筒体の内周部に、注湯する湯量を指示する注湯量目盛が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の飲料抽出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43031(P2013−43031A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184431(P2011−184431)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000104489)キーコーヒー株式会社 (12)
【Fターム(参考)】