説明

飲料抽出方法および装置

【課題】飲料抽出材料を内包するサッシェから飲料を抽出するための改良である。
【解決手段】飲料抽出材料を内包するサッシェ39に液体を通して飲料を抽出する装置は、飲料を抽出する間、液体をサッシェ39内に注入する1つ以上のインゼクタ、および閉じた位置において、サッシェ39を実質的に収容保持し、下部に飲料の流出経路を形成するキャビティを規定する内表面を有し、内表面の少なくとも1つが移動可能な担体に取り付けられた少なくとも1つの変形可能領域30を有し、キャビティまたは流出経路の形状を変化させることにより、サッシェ39に応じた望ましい抽出構成をとることができ、開閉移動可能な1つ以上の部材30、31を備えるサッシェ用クランプを備える装置、並びに装置と飲料抽出サッシェとを組み合わせたシステムにおける飲料の抽出方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプチーノのような泡沫飲料を含む、コーヒーや茶のような飲料を抽出する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個別ポーションのグラインド・コーヒーや葉茶のような材料をパックしたサッシェあるいはカプセルから飲料を抽出することが知られている。しかし、質の高い新鮮な一連の個別ポーション飲料を抽出する、例えば、自動販売機に適合するような包装および抽出システムを考案するのは難しい。
【0003】
一般に、フィルター・コーヒーおよび葉茶は何れも大気圧に近い圧力で抽出されるが、最適抽出温度および抽出時間は異なる。エスプレッソ・コーヒーは、90℃の熱水を5〜15バールの圧力でコーヒー床(コーヒー密集層)に通すことにより抽出される。これまで、前記すべての個別ポーション飲料を1つの装置で抽出することは不可能であった。
【0004】
特許文献1、特許文献2、および特許文献3に1つの飲料抽出システムが記載されている。前記システムでは、個別ポーションの飲料抽出材料が、上端に注入ノズルおよび下端にシールを有する可塑性フィルムから成るサッシェに収容されている。また、前記サッシェは下部に紙フィルターも備えている。使用時、熱水が前記ノズルを通してサッシェに注入される。飲料は前記サッシェ内部で抽出され、下端のシールが抽出前または抽出中に開放され、そこから飲料が流出することができる。前記装置は非常に質の高い新鮮な個別フィルター・コーヒーおよび葉茶を抽出する。しかし、薄いフィルムから成る前記サッシェは、高い内部抽出圧力に耐えることができないため、これまでエスプレッソ・コーヒーの抽出には使用されてこなかった。
【0005】
更に、前記サッシェは、比較的厚いシート材料、例えば、金属箔の層を2つの熱可塑性フィルムで挟んだ積層品によって形成する必要がある。その理由は、前記サッシェに抽出条件に耐え得る強度を与える必要があること、および保管中における酸素および湿気の侵入を防止するためである。前記ようなサッシェはリサイクルが困難であり、埋立ゴミの1つとなる。別の問題として、サッシェ下端の開口部によって必ずしも飲料が正しくカップに導かれるとは限らないことが挙げられる。
【0006】
個別グラインド・コーヒー・カプセルから個別ポーションのエスプレッソ・コーヒーを抽出することも知られている。前記カプセルの形状は、一般に円錐台形または偏球形であり、気密および水密性材料から成り、1ポーションのグラインド・コーヒーが固く詰められている。前記カプセルは、一般に、カプセルの周囲にうまく適合するよう形成された硬質金属製抽出チャンバーに挿入される。前記抽出チャンバーは、底部にフィルタ要素を備える他、カプセルの底面に孔をあける手段、およびエスプレッソ・コーヒーを抽出する手段として、カプセル内部に500〜1500KPa(5〜15バール)の圧力で熱水を注入する手段を備えている。この種のエスプレッソ・コーヒー抽出カプセルおよびシステムについては、例えば、特許文献4および特許文献5に記載されている。
【0007】
既存のエスプレッソ抽出カプセルの欠点は、特定の寸法を有するコーヒー床に合わせた寸法の硬質抽出キャビティを有し、コーヒー床に必要な圧力を加える従来型エスプレッソ抽出装置用としてカプセルが形成されていることである。このことは、既存のエスプレッソ・カプセル・システムは、カプセル内のコーヒーの量や抽出中のコーヒー床の圧縮度をあまり変更することができないことを意味する。既存のエスプレッソ・システムの別の欠点は、カプセルから流出する飲料が抽出チャンバーの底面を通過することにより底面が汚染され、連続する抽出飲料間に交差汚染が発生することである。
【0008】
例えば、エスプレッソ抽出用コーヒーのような飲料抽出材料を圧縮収容したカプセルが特許文献6に記載されている。前記カプセルは変形可能であり、どのエスプレッソ抽出装置のキャビティにも適合する。従って、既存のエスプレッソ・コーヒー抽出装置をカプセルの形状および構造に正確に合わせるための特別なアダプターを必要としない。残念ながら、このことはカプセル内のコーヒー密集度が不充分であり、最良のエスプレッソ・コーヒーを抽出することができないことも意味している。また、連続抽出飲料間の交差汚染の問題も解消されていない。
【0009】
飲料抽出材料を内包した真空パックをクランプに挟み、中空針で熱水を真空パックに注入し、抽出飲料を綴じ目から流出させる飲料抽出方法が特許文献7に記載されている。前記パックは、綴じ目の反対側に、クランプに挟んだ真空パックを飲料抽出前に圧縮するための可動板を備えている。抽出キャビティを構成する前記板は硬質平板であり、真空パックを圧縮するために高い圧力を加えると真空パックが破裂する危険がある。
【0010】
新鮮なミルクから、例えば、ミルクセーキのような食用泡を形成することが知られている。また、コーヒーやその他の温かい飲料の上にホットミルクの泡を浮かべて提供されることも知られている。ホットミルクの泡は、伝統的に加圧蒸気を中空蒸気棒を通して冷たい新鮮なミルクに送り、ミルクを加熱することによって形成される。次いで、前記ミルクの泡をコーヒー飲料の上に注いで、例えばカプチーノやラッテのような飲料を作る。
【0011】
一般に、コーヒーに含まれるエッセンシャル・オイルが泡作りに悪影響を及ぼすので、ミルクの泡作りはコーヒーの抽出とは別に行われる。カプチーノやラッテ用のホットミルクの泡を作る従来の方法は、飲料の自動販売機には適していない。1つには、新鮮なミルクあるいは液体ミルクを前記のような自動販売機で取り扱うのが困難であるという理由からである。更に、殆どの自動販売機は加圧蒸気を供給する設備を備えていないこと、および液体ミルクに浸される前記蒸気棒によって交差汚染および衛生上の問題が生じるからである。
【0012】
コーヒー内で分散させると泡が生じる窒素ガスを含む飲料用粉ミルクの存在が知られている。しかし、前記の泡は従来のカプチーノの泡と比較して大きさや堅さ(スプーンで掬える堅さ)が異なる。
【0013】
また、自動販売機内において、粉ミルクをカップに入れ、熱水を噴射して粉ミルクを溶解し、熱水噴射流とミルクとの間の高剪断作用によってミルクを泡立たせる方法も知られている。この方法は消費者にあまり支持されず、また粉ミルクをカップに入れる際、ミルクが散乱し汚れるという難点がある。更に、粉ミルクが完全に溶解しないこともある。粉ミルクを完全に溶解するには、X-Yテーブルまたは類似の装置を用いて、熱水噴射流をカップに対し相対的に移動させる必要があるため、自動販売機のコストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】英国特許出願公開第2121762号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0179641号明細書
【特許文献3】国際公開第99/05036号明細書
【特許文献4】国際公開第93/17932号明細書
【特許文献5】国際公開第94/02059号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0521186号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0821906号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
飲料抽出材料を内包するサッシェから飲料を抽出するための改良型装置を提供することが本発明の目的である。
【0016】
寸法および/または飲料抽出材料の量が異なるサッシェからの飲料抽出に対応する装置を提供することが本発明の更なる目的である。
【0017】
抽出温度、圧力および流速の斬新な組合せにより、これまでになかった価値のある飲料をもたらす飲料抽出装置を提供することも本発明の目的である。
【0018】
高圧および低圧飲料抽出の双方に対応できる飲料抽出装置を提供することも本発明の目的である。
【0019】
連続抽出飲料間に交差汚染が全く、または殆ど生じない飲料抽出装置を提供することも本発明の目的である。
【0020】
特許文献1に記載の装置および方法と比較して、散乱汚染リスクが低く、かつ固形廃棄物の量を少なくすることができる飲料抽出装置を提供することも本発明の目的である。
【0021】
泡沫飲料を抽出する従来の方法に改善を加えた方法を含む、本発明の装置を用いた飲料の抽出方法を提供することも本発明の目的である。
【0022】
飲料抽出装置と本発明の装置および方法に特に適合する飲料抽出サッシェとを備えるシステムを提供することも本発明の目的である。
【0023】
本発明の意図するところは、特に自動販売機および類似の装置において、質および鮮度の高い抽出ポーション飲料を提供することである。
【発明を解決するための手段】
【0024】
本発明の第一の態様によれば、飲料抽出材料を内包するサッシェに液体を通して飲料を抽出する装置が提供される。前記装置は、飲料抽出の間、液体をサッシェ内に注入する1つ以上のインゼクタと、閉じた位置において、前記サッシェを実質的に収容保持し、下部に飲料の流出経路を形成するキャビティを規定する内表面を有し、該内表面の少なくとも1つが移動可能な担体に取り付けられた少なくとも1つの変形可能領域を有し、前記キャビティまたは流出経路の形状を変化させることにより、前記サッシェに応じた望ましい抽出構成をとることができる、開閉移動可能な1つ以上の部材を備える前記サッシェ用クランプとを備えている。
【0025】
本発明による装置は、個別ポーション、例えばカップ一杯の飲料の抽出に適することが好ましい。例えば、前記装置は飲料自動販売機の一部を構成することができる。前記飲料には、例えば、コーヒー、茶、ホットチョコレート、スープ等が含まれる。前記飲料はコーヒー、または茶が好ましく、飲料抽出材料がグラインド・コーヒー、または茶葉であることが更に好ましい。
【0026】
前記装置は熱水または蒸気のような含水抽出媒体を供給するためのヒーターを備えることが好ましく、前記熱水は約80〜100℃であることが好ましい。前記装置は含水媒体用のポンプを備えることが好ましく、前記含水媒体を0.1〜20バールの圧力で供給できることが好ましく、1〜15バールの圧力で毎分約50〜2000ml供給できることが好ましく、毎分約60〜1000ml供給できることが更に好ましい。
【0027】
前記装置に適合するサッシェについて以下詳細に説明する。1つの装置で1つのサッシェから一連の飲料抽出が可能であることが本発明特有の効果である。 また、前記装置が一連のサイズのサッシェに適応できることが更なる効果である。
【0028】
少なくとも1つのクランプ部材が、少なくとも1つの変形可能領域を有することが本発明の本態様の特徴である。換言すれば、抽出キャビティの内面を形成する部材の少なくとも1つの領域が、完全に硬直してはいないということである。抽出キャビティを形成する少なくとも1つの内面が、クランプを閉じた後、その内面形状、従ってキャビティまたは流出経路の形状を独立した制御の下で変化させることができる変形可能領域を有しているため、サッシェに応じた望ましい抽出構成をとることができる。前記1つのキャビティの内表面形状の変化は、通常、前記内表面の湾曲の変化を意味する。例えば、前記変形可能領域は弾力性および/または可塑性に富んでいる。前記変形可能領域は、前記クランプが閉じた位置にあるとき、単独で移動できる担体に取り付けられている。即ち、前記担体を別のクランプ部材とは無関係に移動させ、前記キャビティの形状を変化させることができる。これにより、前記担体に加える外力、例えば機械的または水圧を変化させることにより、前記キャビティの形状および容積を規制することができる。
【0029】
使用時、前記サッシェは一般に、実質的に完全にクランプ・キャビティ内に収容され、キャビティの内表面に接触する。
【0030】
飲料抽出の間、変形可能領域がサッシェに直接接触し、サッシェ表面部を圧迫することが好ましい。このことが、抽出キャビティが硬質材料から成り、一般に固定されている板で構成されている従来のすべての飲料抽出装置と対照的な点である。変形可能領域を設ける1つの効果は、前記キャビティを寸法の異なるサッシェに対応させることができることである。例えば、同量の抽出液体によって濃さの異なる飲料を抽出することができる。また、変形可能領域によって、飲料抽出の間、サッシェを加圧することができる。例えば、サッシェ内部の飲料抽出材料床を圧縮することができる。このことは、勿論、エスプレッソ・スタイルのコーヒーの抽出に特に有効である。同様に、抽出キャビティの出口領域を変形させることができるため、出口開口部の大きさを制御することができ、それによって飲料抽出の間における、抽出キャビティ内部の静水圧をキャビティからの飲料流出速度と連動して制御することができる。また、前記出口領域の形状を適切に制御することにより、飲料を正しく容器に導くことができる。
【0031】
変形可能領域がもたらす抽出キャビティの形状変化は静的または動的に制御することができる。即ち、サッシェをクランプに固定し、抽出を開始する以前に、変形可能領域を利用してキャビティの形状を予めセットし、その形状を抽出ステップ全体にわたり保持することができる。別の方法として、以下に詳述するように、飲料抽出の間において、抽出キャビティの形状を動的に変化させることができる。
【0032】
前記変形可能抽出キャビティの特別な効果は、キャビティを飲料抽出サッシェに対応させてキャビティ内に収容することができることであって、これによりサッシェを破裂させることなく内部に高い静水圧を発生させることができる。事実、サッシェを非常に薄い壁で形成することにより、飲料抽出後の残留プラスチック廃棄物の量を減らすことが考えられている。
【0033】
前記クランプは、1つ以上の硬質基礎部材を備えることが好ましく、対面移動または二枚貝のように動いてサッシェを捕捉する、2つの硬質基礎部材を備えることが更に好ましい。
【0034】
前記クランプ内表面の変形可能領域は、順応性を有しかつ非圧縮性材料であってよく、エラストマー層のような弾性材料が好ましい。一般に、エラストマー層の厚さは5〜20mm、ショア硬度が10〜60ショアであり、20〜50ショアが好ましい。前記変形可能層は、硬質材料の内張、および周囲を内張から上方に延びる硬質周辺エッジによって押えられていることが好ましく、これにより、前記変形可能層が過度に変形することなく5〜15バールのサッシェ表面圧力に耐えることができる。前記弾性領域は、サッシェの薄膜部が接触するクランプ内表面全体に及んでいることが好ましい。前記エラストマー層が、キャビティを規定するクランプの少なくとも1つの基礎部材の内表面全体に実質的に及んでいることが更に好ましい。
【0035】
前記エラストマー層の内表面が、サッシェの形状に略一致するよう成形されていることが好ましい。例えば、エラストマー層の内表面が窪みを有していることが好ましい。これにより、適切な型締力が加えられたとき、エラストマー層が加圧されたサッシェ表面に正確に一致することができ、サッシェの破裂を防止することができる。また、クランプ内表面がサッシェの表面に正確に一致することにより、飲料抽出材料が均等に加圧され、それによって飲料抽出材料床を流れる液体のチャネリングが減少するので抽出飲料の質が向上する。
【0036】
前記抽出キャビティの内表面の弾性を場所によって変えることにより、飲料抽出中の圧力に応じてキャビティの形状を変化させることができる。
【0037】
前記クランプが、2つの凹形基礎部材が解放可能に連動対面回転してサッシェをその間に捕捉するクラムシェル構成をとることが好ましい。少なくとも1つの基礎部材の内表面全体が、実質的にエラストマー系被膜で覆われていることが好ましい。前記基礎部材は、前記エラストマー系層の縁部を囲み、前記層が加圧下において過度に変形しないようにする外周壁を備えることができる。例えば、前記2つの基礎部部材間に加えられる型締力を変化させることにより、前記エラストマー系被膜がサッシェに与える力を変化させることができる。前記型締力は、飲料抽出工程開始時に固定することも、動的締付が望ましい場合には、飲料抽出期間中に変化させることもできる。
【0038】
前記出口領域の別のクランプ部材との間にサッシェを挟むことにより、抽出キャビティからの飲料の流れを制限する、少なくとも1つのエラストマー層または弾性的に支持されるその他の可塑性材料を前記抽出キャビティの出口領域に備えることが好ましい。
【0039】
前記変形可能領域が流体タンクに担持される移動可能部分を備えることにより、抽出キャビティおよび出口領域形状の適合性および動的制御性を向上することができる。前記移動可能領域は可塑性シート材料から成る領域であり、一般に、金属または高分子材料から成るが、エラストマー塑性層から成ることもできる。前記流体タンクは液体タンクであることが好ましく、従って実質的に圧縮不能である。前記装置は、飲料抽出中またはその直前に前記キャビティの形状を変化させるために、前記タンクに対し液体を給排出するための水路を更に備えることが好ましい。前記タンク内の流体量は、例えば、前記水路に機械または電気機械弁を備えるか、あるいは電気粘性流体を用いることによって制御することができる。前記水路は、前記キャビティに対し流体を給排出するためのポンプまたはその他の機械あるいは電気機械式駆動手段に接続されることが好ましい。前記装置はサッシェ内部と流体を充填したタンク内部との圧力を実質的に等しくする手段を備えることにより、前記サッシェ壁の応力をできるだけ小さくすることができる。
【0040】
少なくとも1つのクランプ部材が、複数の独立移動可能な担体に取り付けられる複数の変形可能領域を備えることにより、抽出キャビティの形状を更に細かく制御することができる。前記担体は機械的に独立移動可能であるか、または前記変形可能領域が複数の移動可能領域を支持する複数の前記流体充填タンクを備えてもよい。前記複数の流体充填タンク内の流体量は、個別に制御することができる。勿論、クランプ内表面は、独立担体によって支持される1つ以上の変形可能領域とは別に、クランプの硬質基体部によって支持される少なくとも1つの硬質エラストマー領域を備えることができる。
【0041】
一部の実施の形態において、抽出キャビティの出口領域に動的クランプ領域を備えることができる。前記動的クランプ領域は、液体充填タンクにエラストマーのような可塑性材料の層を設けることによって形成することができる。別の方法として、機械的に移動可能な担体に可塑性材料層またはエラストマー層を取り付けることによって形成することができる。
【0042】
抽出キャビティの最大容積は、クランプが閉じた状態にあり内部圧力が存在しない場合、約25〜250cm3であり、約30〜150cm3であることが更に望ましい。側壁が完全に加圧されたときの最小容積は最大容積の50%以下であることが好ましく、25%以下であることが更に好ましい。
【0043】
既に述べたように、抽出キャビティの飲料流出経路の寸法および構成を制御できることも本発明による装置の特徴である。クランプが前記飲料出口領域の絞りを規定することにより、サッシェを破裂させることなく、あるいはサッシェの内容物が前記流出経路に流出することなく、飲料抽出のための高圧力をサッシェ内部に維持できるようにすることが好ましい。前記飲料抽出チャンバーの出口領域に、サッシェの下端部を締め付けることによって前記絞りを規定するよう配置されるクランプ部材を備えることが好ましい。サッシェ下端部を締め付ける前記部材の少なくとも1つが、前記飲料出口領域に弾性内表面を有することが更に好ましい。サッシェ下端部を締め付ける前記部材の少なくとも1つが、出口領域を規定する前記クランプの別の部材の内表面に押圧されたとき、飲料流出経路が規定される前記締付部全体に及ぶ窪みを有する内表面を備えることが好ましい。前記飲料流出経路は、例えば、直線、蛇行、あるいは樹枝状にすることができる。前記飲料流出経路は、次に説明するように、高速液体噴流に対応させることができる。
【0044】
前記装置は、サッシェを抽出キャビティ内に保持した後、サッシェ内部に液体を注入するための注入管または複数の注入管を備えることが好ましい。前記装置は、クランプが開放されたとき、クランプと連動して前記注入管または複数の注入管を引っ込める機構を更に備えることが好ましい。前記注入管は、特許文献1に記載されているように、サッシェ上端部のノズルに挿入することができる。いくつかの好ましい実施の形態において、前記注入管または複数の注入管は、サッシェの側壁を貫通してサッシェ内部に直接液体を注入している。前記注入管または複数の注入管は、抽出キャビティの出口方向に対し、斜めに抽出キャビティ内に突出することができ、実質的に直角に突出することが好ましい。前記方法は、サッシェのノズルを用いる方法より好ましい。何故なら、ノズルを有しないサッシェを製造する方が遙かに容易であるからである。
【0045】
本発明による飲料抽出装置の一部の実施の形態において、前記インゼクタは前記クランプ部材の1つの部材の内表面から内側に向けて突出しており、前記内表面が前記インゼクタの周囲に窪みを有している。前記窪みは浅い円形または多角形であることが好ましい。“窪み”という用語は、前記部材の周縁部に対し、抽出キャビティの中心から外側に向けて相対的に変位している前記部材表面の領域を意味する。前記窪みの深さは通常約1〜10mmであり、例えば、約2〜5mmである。前記窪みの平均の幅または直径は通常約5〜75mmであり、例えば、約10〜40mmである。前記インゼクタは硬質クランプ部材、即ち固定配置クランプ部材から内側に向けて突出していることが好ましい。
【0046】
使用時、飲料を抽出するキャビティ内のサッシェが外側に膨らみ前記窪みに入り、張りのある平坦な表面が提供され、インゼクタが確実にサッシェを突き通すことができる。前記インゼクタは、サッシェを突き刺し易くするため、先端が尖っている管であることが好ましい。
【0047】
第二の態様において、本発明は飲料を抽出する方法を提供する。前記方法は、少なくとも一部が可塑性シート材料から成る飲料抽出材料を内包するサッシェを用意し、本発明による装置のクランプに前記サッシェを挿入し、前記クランプ内のサッシェに液体を注入して飲料を抽出し、前記クランプの流出経路から流出する飲料を収集する各ステップを有して成るものである。
【0048】
前記サッシェを挿入するステップにおいて、サッシェの液体コンジット領域が前記クランプの出口領域を通過して延びるように配置し、サッシェからの抽出飲料が前記クランプに接触しないようにすることが好ましい。これにより、連続する抽出飲料間の交差汚染が実質的に解消される。サッシェ下部領域を前記クランプの出口領域が捕捉または挟むことにより、前記抽出領域からの飲料の流出を規制することが好ましい。
【0049】
前記液体は約0.1〜16バールの圧力範囲で注入されることが好ましく、約1〜10バールの範囲が更に好ましい。前記液体は1〜100℃の温度で注入されることが好ましい。希釈工程において、例えば、10〜25℃のような周囲温度で一部の抽出を実施することができる。一般に、ホット飲料は約80〜95℃で抽出される。前記液体は水から実質的に成ることが好ましい。特に好ましい処理工程では、前記液体は60〜100℃の水から実質的に成り、前記水が約2〜10バールの圧力範囲で注入され、飲料抽出材料がグラインド・コーヒーである。これによりエスプレッソ・タイプのコーヒーを抽出することができる。
【0050】
前記液体が蠕動ポンプまたはピストンポンプによって、平均流量約50〜2000ml/分でサッシェに注入されることが好ましく、60〜1000ml/分であることが更に好ましい。前記液体を断続的または律動的に注入することにより、抽出飲料の感覚刺激特性をできるだけ高めることが好ましい。前記方法が、飲料抽出後、サッシェ内の残留飲料を排出するための空気を注入するステップを更に含むことが好ましい。
【0051】
前記方法が、前記クランプを閉じた後、例えば抽出開始直前に、前記変形可能領域の位置を移動し、サッシェ内の飲料抽出材料を圧縮するステップを更に含むことが好ましい。
【0052】
前記方法が前記変形可能領域の位置を移動し、サッシェの形状を変えるステップを更に含むことが好ましい。これにより、抽出飲料の質を最も向上することができると共に、全く新しい種類の飲料、例えば一部がエスプレッソの特性を有し、別の部分がフィルター・コーヒーの特性を有する飲料を抽出することができる。飲料を抽出する間に前記圧力を僅かに緩めると、エスプレッソ・タイプの飲料の質が向上することも確認されている。
【0053】
一部の実施の形態において、前記方法が、飲料抽出の間に、前記クランプの変形可能領域を外方向に移動し、キャビティ内のサッシェが膨張できるようにするステップを更に含んでいる。これにより、抽出飲料がサッシェからより自由に流出することができる。一部の実施の形態において、前記サッシェは塑性変形および弾性変形に耐える材料から成り、破裂せずに膨張し容積が増加したキャビティを充填することができる。
【0054】
前記方法が前記変形可能領域の位置を移動させることにより、前記サッシェを圧縮しサッシェ内の液体を排出するステップを更に含むことが好ましい。このステップは、例えば、飲料の抽出が終了した後、前記サッシェ内の残留飲料を絞り出すことに利用できる。この方法は単に空気を注入してサッシェ内の残留飲料を排出する方法よりも効果的であると同時に、抽出によって生じる廃棄サッシェを圧縮縮小し、またサッシェから漏れ出す廃水の量を減らすことができる。廃棄サッシェの体積を抽出前の50%未満に縮小できることが好ましい。
【0055】
前記方法が飲料抽出前、抽出中および抽出後に、前記変形可能領域を変形することにより、前記キャビティからの抽出飲料の流速を調整すると共に、前記出口領域の有効断面を規定することにより、前記キャビティ内の液体圧力を保持するステップを更に含むことが好ましい。
【0056】
前記方法が、飲料抽出の間、前記変形可能領域を振動させることにより、飲料抽出材料を攪拌するか、またはサッシェ内に液体を通過させるステップを更に含むことが好ましい。
【0057】
前記すべての実施の形態において、前記変形可能領域が、流体充填タンクに担持され、前記タンク対し液体を給排出することにより変形可能領域の位置を移動させることができる可塑性薄膜を備えることが好ましい。しかしながら、本発明は機械的または電気機械的手段によって移動できる移動可能領域も包含している。
【0058】
本発明による飲料抽出装置の更なる効果は、泡沫ミルクを含む飲料の抽出に対応できることである。具体的には、かかる実施の形態において、飲料抽出材料は、チョコレートやコーヒー、酪農および非酪農粉ミルクを含む、泡沫飲料を作成することができる製品から成っている。代表的な実施の形態において、前記飲料抽出材料は、粉ミルクや顆粒ミルクのような一部または完全に脱水した酪農または非酪農ミルク製品から実質的に成っている。前記ミルク製品は、ホット・チョコレートのような飲料の一部を構成することができる。前記泡沫材料の乾燥重量は約1〜50gであり、約5〜15gが好ましい。換言すれば、各々のパッケージの泡沫材料の分量は、1ポーション分の泡沫飲料、例えばカップ一杯の泡沫飲料に足る量である。
【0059】
前記抽出キャビティは、前記泡沫材料を注入水と能率よく混合および分散するよう構成される。前記抽出装置の出口領域は、前記クランプの流出経路から流出する液体が、直径約0.5〜2mm、好ましくは約0.7〜1.5mm、最も好ましくは約1mmの少なくとも1つの噴流となるよう構成されることが好ましい。前記噴流の速度は約5〜50m/秒であることが好ましい。噴流を受ける位置に配置される容器内の液体表面に前記噴流が衝突すると高い剪断力が生じ、それによって泡沫が形成される。これにより、安定的に押し固められた体積分率の大きな泡沫(約25%以上)が表面に乗った液体ができあがる。コーヒーあるいは茶のサッシェを同じ抽出装置で連続的に抽出することにより、この液体を泡沫コーヒあるいは茶飲料とすることができる。同様のコーヒー噴流によって、エスプレッソ・スタイルの“クリーマー”をコーヒーの上に形成することができる。前記噴流をカップ側面に当てることにより、噴流のエネルギーを分散させることができる。また、一部の実施の形態において、前記噴流をカプセルのエネルギー拡散体に通すことができる。
【0060】
前記噴流はサッシェ出口領域の噴流形成構造体、例えば、ノズルによって形成することができる。別の方法として、クランプの出口領域を圧迫することによって、強制的に前記サッシェ出口領域に噴流形成絞りを形成することができる。一般に、前記噴流形成体出口の内断面は一定であり、実質的に円形であることが好ましい。液体は実質的に非圧縮性であり、かつ粘弾性もそれ程大きくないので、前記出口の噴流形成領域の内断面積は、一般に、約0.2〜3mmとなり、約0.4〜2mm、例えば約1mmであることが好ましい。複数の噴流を形成することにより、噴出流量を多くし、抽出時間を短縮することができる。
【0061】
前記出口の絞り(細い穴、噴流形成領域)が短すぎると噴流ではなく噴霧が形成され、長すぎると前記絞り前後の圧力低下が大きくなり過ぎる。従って、前記絞りは液体の流れる方向に沿って約1〜5mmにわたって延びていることが好ましく、約2〜4mmが更に好ましい。
【0062】
本明細書において、“サッシェ”という用語は、1つ以上の硬質障壁部材を有するカプセルを含む、所定量の飲料抽出材料を内包するすべてのポーション・パックを意味する。
【0063】
一部の実施の形態において、前記飲料抽出サッシェは、飲料抽出材料を内包するカプセル、および抽出中に解放可能である鮮度保持壁を有し、前記保持壁が解放されることにより前記カプセル内で抽出された飲料を流出させることができる前記カプセルから延びる可塑性液体ガイドを備えている。
【0064】
前記サッシェは可塑性フィルム材料から成る少なくとも1つの領域を有し、外部圧力に応じて変形可能であることが好ましい。前記サッシェが可塑性フィルム材料からなるポーチ、例えば、成形/充填/封止装置によって製造されるポーチを備えることが更に好ましい。前記サッシェは、保存期間中における飲料抽出材料の鮮度を保持するため、気密および水密性材料から成っている。
【0065】
“液体ガイド”という用語は、抽出飲料がカプセルから流出する際、抽出装置に接触せずに容器に導くための所定の経路を提供するダクト、毛細管、管、あるいはコンジットを備える構造体を意味する。液体ガイドは、例えば、1つの熱可塑性片からの成形、またはシート材料を接合してカプセルおよび液体ガイドの両方を成形することにより、少なくともカプセルの一部と一体成形されることが好ましい。
【0066】
液体ガイドは、少なくとも長さ方向の一部全体が可塑性を有している。これにより、飲料の流れを望ましいカップ領域に正確に導くことができると共に、例えば、液体ガイドを折り曲げ、飲料の流れを水平方向から受け、垂直方向に送出できるようにするなど、飲料抽出装置の設計に柔軟性を持たせることができる。更に、前記可塑性により、液体ガイドが圧縮可能であり、飲料抽出クランプによって締め付け可能であり、抽出中のカプセル内の高圧力を維持すると共に、液体ガイド内の流速を制御できることが好ましい。液体ガイドは、例えば、液体を通さないフィルム材料から成る2つのシートを貼り合わせることによって形成することができる。飲料は前記2つのシート間を毛管作用、および/または前記2つのシートの接合ライン、あるいは型押しまたはエンボス加工によって規定されるコンジットを通して外部に導き出すことができる。前記液体ガイドはカプセルからの長さが少なくとも10mmであることが好ましく、少なくとも15〜20mmであることが更に好ましい。前記液体ガイドはテーパーが付いていることが好ましい。これにより、抽出飲料を液体ガイド先端の所定のディスペンス・ポイントに導くのに役立つ。
【0067】
“鮮度保持壁”という用語は、飲料抽出前、空気および湿気の侵入を防ぎ、飲料抽出材料の鮮度を保持する実質的に気密および水密性を有する防壁を意味する。鮮度保護壁は、飲料抽出中に加えられる外部からの機械的力または熱によって解放することができる。前記鮮度保護壁は、飲料抽出中におけるサッシェ内の圧力および/または熱水によって解放可能であることが好ましい。例えば、鮮度保護壁は、特許文献2、あるいは特許文献3に記載されている接着剤のような、熱および/または湿気によって解放される封止剤層から構成することができる。
【0068】
別の実施の形態において、本発明は、内側に飲料抽出材料を含むカプセル、外側に各々のマージンを規定する接合境界線に沿って接合され、前記カプセルの第一側面側にテーパー付マージン領域を有する個別形状の実質的に水を通さないフィルム材料から成る前面および背面シートを備える固体飲料抽出材料を内包するサッシェを使用している。
【0069】
前記テーパー付マージン領域の最大長は(カプセル端から放射方向に測定)少なくとも10mmであることが好ましく、少なくとも15mmであることが更に好ましく、少なくとも20mmであることが最も好ましい。前記テーパー付マージン領域が、本発明の第一の態様に関連して前に述べた液体ガイドを規定することが好ましい。前記テーパー付マージン領域は、実質的に三角形であることが好ましく、側面が曲線および/または角が円形であるか否かは随意である。前記テーパー付領域の最大幅は1〜5cmであることが好ましく、2〜4cmであることが更に好ましい。前記テーパー付領域の底辺を、例えば、中心に円形カプセルを有する楕円形サッシェの側端部と融合させることができる。
【0070】
前記前面および背面シートは、前記テーパー付きマージン領域に近接する前記カプセルの第一側面において、カプセル内の熱水および/あるいは圧力によって解放可能な接着剤で接合され、カプセル内で抽出された飲料が前記前面と背面との間のマージン幅の大きい領域を通って前記カプセルから流出できるようにすることが好ましい。
【0071】
本発明のどの態様によるサッシェ形成フィルム材料も、熱可塑性物質および金属箔層から成る積層フィルムであることが好ましい。
【0072】
別の実施の形態において、本発明は、実質的に水を通さないフィルム材料から成り、内側に飲料抽出材料を含むカプセル、外側に各々のマージンを規定する接合境界線に沿って接合され、接合境界に沿った一領域に少なくとも10mm幅のマージンを有し、マージン幅の広い領域に隣接する位置において、前記カプセル内の熱水および/あるいは圧力によって解放可能な接着剤によって接合され、カプセル内で抽出された飲料を前記マージン幅の広い領域を通って前記カプセルから流出させることができる個別形状を有する前面および背面シートを備える固体飲料抽出材料および/または泡沫形成材料を内包するサッシェを使用している。
【0073】
前記マージン幅の広い領域が前に述べた液体ガイドを規定することが好ましい。例えば、前記マージン幅の広い領域にテーパーが付いていることが好ましい。
【0074】
前記サッシェの形状は細長であることが好ましい。(平面図における)好ましい形状には、実質的な長方形、楕円形、テーパー付き、および二等辺三角形が含まれる。テーパー付き、あるいは二等辺三角形の場合には、幅が狭い方の端部に前記液体ガイド、または幅の広いマージンが設けられていることが好ましい。
【0075】
前記カプセルの中心が前記サッシェの中心からずれていることが好ましい。即ち、(平面図における)カプセルの重心が(平面図において)サッシェの重心からずれていることが好ましい。前記のずれがサッシェの縦軸に沿っていることが好ましい。
【0076】
前記飲料抽出材料は、インスタント・コーヒー、ホット・チョコレート、あるいは濃縮乳、クリーム、クリーマー、粉ミルクまたはミルクの代用品のように、熱水中で完全に分散する材料を包含するか、または前記材料から成ることができる。本発明によるサッシェに収容される飲料抽出材料は、飲料抽出用の水に完全には分散しない材料を包含するか、または前記材料から成ることができる。例えば、前記材料はグラインド・コーヒーまたは茶葉であることが好ましい。かかる飲料抽出材料はサッシェ内に保持される必要があり、抽出飲料と共に流出しないことが好ましい。サッシェ内にそのための飲料抽出用フィルターを備えることができる。一部の実施の形態において、前記フィルターは、サッシェの前面または背面に縁部が接着されたフィルター材料シートから成り、それによって、飲料が前記前面または背面に対し実質的に垂直方向に前記フィルター材料を通過する。これにより、濾過に有効なフィルター面積が最大となる。前記フィルター材料層は、前記サッシェの前面または背面シートと実質的に同じ広がりを持たせることができる。
【0077】
前記サッシェは、約2〜12gのグラインド・コーヒー、または約1〜5gの茶葉を包んでいることが好ましい。換言すれば、前記サッシェはカップ一杯分の飲料の抽出に対応していることが好ましい。前記飲料抽出材料は、圧縮グラインド・コーヒー・タブレットのような、1つ以上の圧縮構成要素の形態を取ることができる。圧縮構成要素の形態を取ることにより、材料の鮮度が保持されると共に、パッケージ全体を小さくすることができる。前記抽出キャビティをサッシェを包含する特定のタブレットに対応する形状とすることができる。
【0078】
更なる態様において、本発明は、本発明による方法を用いて飲料を抽出するためのシステムを提供する。前記システムは、本発明による飲料抽出装置および前記抽出装置に用いられる少なくとも1つの飲料抽出サッシェを備えている。
【0079】
少なくとも1つの飲料抽出サッシェが泡沫形成用粉ミルクを内包する第一サッシェおよびコーヒーまたは茶を抽出する材料を内包する第二サッシェを備えることが好ましい。前に述べたように、前記2つのサッシェを連続して抽出することができ、前記粉ミルクを内包するサッシェを先に抽出し、カプチーノ・コーヒーのような泡沫飲料を抽出することが好ましい。
【0080】
一部の実施の形態において、前記飲料抽出装置は、第二サッシェを保持し、第一および第二サッシェから第一および第二飲料成分を同時、または連続して抽出するための第二クランプを備えている。前記飲料抽出装置が前記2つのクランプを同時に開放し、サッシェを装填できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】クランプを閉じ飲料を抽出する際の構成を示す、本発明の第一の実施の形態による硬質エラストマー・クランプ表面を有する抽出装置の概略断面図であって、クランプ内で飲料抽出中のサッシェを示す図。
【図2】1つの固定クランプ表面および1つの動的クランプ表面を有する、本発明の第二の実施の形態による抽出装置の概略部分断面図であって、クランプ内で飲料抽出中のサッシェを示す図。
【図3】部分カットした本発明の第三の実施の形態による飲料抽出装置の概略斜視図であって、クランプ内で飲料抽出開始直前のサッシェを示す図。
【図4】各々のクランプが多数の独立した変形可能領域を有する、本発明の第四の実施の形態による飲料抽出装置の概略部分断面図。
【図5】本発明の更なる実施の形態における、飲料抽出ステップおよびサッシェ・システムを示す飲料抽出装置の概略部分断面図。
【図6】本発明の更なる実施の形態における、飲料抽出後の飲料抽出サッシェを示す平面図であって、出口領域のサッシェを変形させて形成した飲料流出多様体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0082】
添付図面を参照しながら、例を用いて本発明の特定の実施の形態について更に詳しく説明する。
【0083】
図1において、抽出装置は、締付機構(図示せず)によって向かい合わせに締め付けられる硬質金属基礎部材1および2を備えている。前記硬質基礎部材は締付位置において間隙を有しているため、前記位置における締付力を調整することができ、抽出キャビティ内のコーヒーの圧縮圧力を希望の値にすることができる。
【0084】
基礎部材1および2の各々は、硬質エラストマー層3で内張りされており、その内表面は抽出キャビティを規定する僅な窪みを有している。前記エラストマーは約40ショアの硬度を有するシリコーン・エラストマーである。
【0085】
飲料抽出サッシェ4は、2つのクランプ部間のキャビティに挿入される。サッシェ4の構成は特許文献2記載のサッシェと実質的に同一である。即ち、前記サッシェは、気密および水密性を有する2つのプラスチック・フィルム材料5の周縁部を接合して形成されたものである。プラスチック製ノズル6がサッシェ上端部に挿入され、前面および背面シートを飲料抽出中における熱および湿気によって解放される封止樹脂で接合することにより、底部シール7が構成されている。熱可塑性シート5の下端部8がクランプの出口領域に突出し、抽出飲料をクランプから導き出すコンジットの機能を果たしている。
【0086】
前記サッシェにはグラインド・コーヒー9が充填されており、このコーヒー床がクランプの作用によって強く圧縮される。特許文献2に記載してあるように、前記サッシェの出口領域近傍に紙フィルターを備えることができる。しかし、本実施の形態においては、不織ポリプロピレン・ウェッブ層(図示せず)を飲料抽出材料近傍の1つのサッシェ・シートに接合してフィルターを形成している。
【0087】
エラストマー系クランプを用いることにより、硬質基礎部材に加える締付力を変化させるのみで、抽出キャビティの寸法および形状を変化させることができる。これにより、抽出過程おける柔軟性および制御力が著しく増大する。
【0088】
前記装置は、エラストマー系クランプによりサッシェを強く圧縮し、次に約90℃の熱水を一般に5〜20バール、好ましくは10〜15バールの圧力で連続または律動モードで注入することにより、エスプレッソ・コーヒーを抽出することができる。前記エラストマー系クランプがエスプレッソ・コーヒーの抽出に適したコーヒー床内部圧力を維持する。更に、エラストマー系クランプによって出口領域が締め付けられ、水圧によってグラインド・コーヒーがサッシェから吹き出るのを防止する。最後に、適応性に富むエラストマー系クランプにより、サッシェ壁の破裂が防止され、水がコーヒー床の側面を流れるチャネリングを減ずることができる。
【0089】
前記サッシェを前記エスプレッソ・コーヒー抽出時より緩く締め、サッシェ内のコーヒー量に対し多目の水を注入するのみで、図1の装置をフィルター・コーヒーの抽出に対応させることができる。サッシェの破裂リスクを減じると共に、抽出キャビティを最適の形状とするため、この場合もサッシェ壁が前記エラストマー系クランプによって押圧されていることが好ましい。
【0090】
飲料抽出中に前記硬質部材の位置を変更することにより、動的締付効果が達成されることは明白である。例えば、キャビティの圧力を変更することにより、1つの抽出操作において、エスプレッソ・スタイルのコーヒーからフィルター・コーヒーの抽出に移行することができる。飲料抽出操作の最後に、できるだけ多くの飲料をサッシェから絞り出すため、クランプを加圧してキャビティの容積を最小にすることが好ましい。飲料抽出後、前記に加え、サッシェ内の残留飲料を除去するため、インゼクタ14を通してサッシェに空気が注入される。前記クランプの加圧と空気の注入とを組み合わせることにより、単に空気を注入する場合と比較して遙かに高い効果を発揮する。更に、サッシェが圧縮されるので廃棄物貯蔵ユニットを占めるスペースが少なくて済むと同時に、サッシェから漏出して装置を汚染する可能性がある液体の量が減じられる。
【0091】
図2において、本発明による装置および方法に係る本実施の形態では、第一硬質クランプ要素12および第二順応クランプ要素13を備えている。3つの中空針を有するインゼクタ14が硬質クランプ要素12を貫通して延び、飲料抽出サッシェ16の第一面15を突き通している。サッシェ16は圧縮コーヒー床17を内包している。変形可能クランプ13は硬質基礎部材18およびエラストマー系薄膜20を担持する流体タンク19を備えている。流体タンク19によって、エラストマー系薄膜20をカプセルあるいはサッシェ16の上面21に順応させることができる。クランプ要素12と13との間の締付力を変化させることにより、サッシェ16に加わる締付圧力を調整することができ、また流体タンク19内の液体圧力を変化させることによっても前記圧力を調整することができる。
【0092】
サッシェ16は、抽出飲料を通過させ、抽出飲料によるクランプの汚染および連続抽出飲料間の交差汚染を防止する、前記クランプの出口領域を通過して更に先に延びる液体コンジット領域22を備えている。
【0093】
使用時、本発明の本態様によるクランプは、図1のクランプと実質的に同じ動作をする他、飲料抽出中に流体タンク19に対し液体を給排出することにより、動的締付効果が得られる。例えば、飲料抽出中にキャビティの圧力を減じることにより、1つの抽出操作において、エスプレッソ・スタイルのコーヒーからフィルター・タイプのコーヒーの抽出に移行することができる。別の方法として、飲料抽出中に前記流体タンク内の流体を振動させ、サッシェ内のコーヒー床を攪拌することができる。飲料抽出操作の最後に、できるだけ多くの飲料をサッシェから絞り出すため、前記流体タンク内に更に流体を供給することが好ましい。飲料抽出後、前記に加え、サッシェ内の残留飲料を除去するため、インゼクタ14を通して空気がサッシェに注入される。
【0094】
クランプを開放したとき、前記インゼクタの中空針からユーザを保護するため、クランプに連結して、中空針が引っ込むようにすることができる。
【0095】
図3に示す別の実施の形態における装置は、硬質クランプ要素30および順応クランプ要素31を備えている。順応クランプ要素31は、飲料抽出キャビティに面し、図2の実施の形態と実質的に同じ液体タンクに担持されるエラストマー系薄膜を有する第一領域を備えている。しかし、液体タンク32には電気粘性流体が充填されており、電気粘性流体タンク35に通じるコンジット34の一方の側に配置される電極33によって液体タンク32の圧力が調整される。
【0096】
順応クランプ要素の下部は、硬質エラストマー層36で覆われている。
【0097】
硬質クランプ要素30は、水を注入する中空針を挿入するための窪み38、およびノズル40を有するサッシェ39を収容するよう形成された窪みを備えている。硬質クランプ要素30が順応クランプ要素31の硬質エラストマー系領域36と隣接当接したとき、抽出キャビティから飲料を導くコンジットを規定する浅い窪み41が、クランプ要素30下端の飲料出口領域に設けられている。
【0098】
図4に概略的に示す実施の形態は、図1の実施の形態に類似しているが、図1の硬質エラストマー系内張が、4つの流体充填チャンバー44、45、46および47に担持されるエラストマー系薄膜43に置換されている。各々の流体充填チャンバー44、45、46および47は、コンジットを介し、それぞれ独立してチャンバー内の流体量および圧力を制御するバルブおよびポンプ手段に接続されている。これにより、飲料抽出中におけるサッシェの動的締付の更なる可能性、特に、キャビティ47の圧力を減じることによる出口領域を通過する飲料の流速調整、あるいは薄膜43の振動または蠕動ポンピングによるサッシェ内容物攪拌の道が開ける。
【0099】
図5(A)〜5(C)において、本発明の本実施の形態によるシステムは、図2のクランプに類似したクランプを有する抽出装置を備えている。しかし、固定クランプ部材61がインゼクタ63の周囲に周縁段62を有し、硬質クランプ部材61内に円形窪み64を規定している。
【0100】
図5(A)〜5(C)の実施の形態は、グラインド・コーヒーのような飲料抽出材料を収容するためのカプセル68を規定する、可塑性を有し変形可能なシート材料から成る前面66および背面67を有するサッシェを備えている。スパンボンデッド・ナイロン製フィルター・シート69が、サッシェ背面全体に広がり、前記カプセルの周囲において背面67に接合されている。
【0101】
図5(B)において、前記サッシェが抽出キャビティに装着され、変形可能クランプ部材の水タンク70が約12バールで加圧されている。この圧力により、サッシェ背面67が硬質クランプ部材に押圧され、特に、背面67が変形隆起して硬質クランプ部材の窪み64に入る。その結果背面67が張りのある平坦な表面となり、インゼクタの針63によって効果的に突き通される。次に、90℃の熱水が12バールの圧力でサッシェ内に注入され、サッシェ内においてエスプレッソ・スタイルのコーヒーが抽出される。
【0102】
図5(C)において、飲料抽出中において、次に、水タンク70内の液体の一部を排出して、前記サッシェの前面66を塑性変形によって外側に隆起させる。フィルター・シート69は、前面シート66と比較して変形し難いので、膨張したサッシェ内に飲料ゾーン72が形成され、飲料が前記フィルター・シートを通して効果的に流れる。
【0103】
図6の使用済みサッシェは、2つの熱可塑性フィルム間に金属箔を積層した気密および水密性を有するシート材料から成る前面および背面を備えている。前記シートは縁部50の周囲で接合され、飲料抽出材料の周囲に気密シールを形成している。前記サッシェ下部の接合シールは、飲料が抽出されている間のキャビティ内の水、熱および圧力作用によって解放されるEVA接着剤から成っているため、飲料が抽出領域から流出することができる。図1のノズルに類似したプラスチック製ノズルがサッシェ上端に挿入されている。サッシェ下端部には、ドリップ・ポイント53で終結する液体飲料を外部に導くための、シート材料から成る対面構成の突出舌片52が設けられている。前記舌片の側端を接合して管状コンジットに変えることができる。
【0104】
図6のサッシェは、図3の装置と類似の装置によって抽出されたものである。特に、前記サッシェの下部54を硬質エラストマー系部材と多様体が刻まれている硬質平面との間に挟むことにより、前記多様体に対応する樹枝状の模様55がサッシェのシート材料に押圧されたものである。前記窪みは、サッシェ抽出領域からの飲料を導くコンジットの機能を果たし、前記サッシェの液体コンジット領域の一部を規定している。前記押圧コンジットを然るべき寸法および形状を有するものにすることにより、前記抽出領域からの飲料の流速を制御することができ、特に、キャビティ内の圧力を高くして抽出を行う場合、最適な飲料抽出を行うことができる。
【0105】
これまでの説明は、本発明の実施の形態を例示したに過ぎない。本明細書の特許請求の範囲が意図する範囲に包含される前記以外の多くの実施の形態は、当業者にとって明白である。
【符号の説明】
【0106】
30 硬質クランプ要素
31 順応クランプ要素
32 液体タンク
34 コンジット
35 電気粘性流体タンク
36 硬質エラストマー層
39 サッシェ
40 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料抽出材料を内包するサッシェに液体を通して飲料を抽出する装置であって、
前記飲料抽出の間、前記液体を前記サッシェ内に注入する1つ以上のインゼクタと、
開閉移動可能な1つ以上の部材を備える前記サッシェ用のクランプと、
を備え、
前記クランプの1つ以上の部材は、閉じた位置において、前記飲料抽出の間、前記サッシェを実質的に収容保持するとともに下部に飲料の流出経路を形成するキャビティを規定する内表面を有し、
前記内表面の少なくとも一部が、前記クランプが前記閉じた位置にある間に、移動可能な担体に取り付けられた変形可能部位であり、
それにより、前記クランプが前記閉じた位置にある間に、前記サッシェに応じた望ましい抽出構成をとることができるよう、前記キャビティまたは流出経路の形状が変化可能に構成されており、
前記変形可能部位がエラストマー層を有しており、型締力が加えられたとき、該エラストマー層が加圧されたサッシェ表面に一致することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記変形可能部位が、実質的に非圧縮性材料から成ることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記エラストマー層が、前記クランプの少なくとも1つの内表面全体を実質的に覆っていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記エラストマー層が、前記クランプが閉じた位置において移動可能な硬質基礎部材に担持されていることを特徴とする、請求項1から3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記変形可能部位の周囲が、硬質基礎部材から上方に延びる硬質壁部材によって押えられていることを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記エラストマー層から成る前記内表面が、外力が加えられない限り、窪みを有することを特徴とする、請求項3〜5何れか1項記載の装置。
【請求項7】
前記エラストマー層のショア硬度が10〜60ショアであることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の装置。
【請求項8】
前記硬質エラストマー層の厚さが5〜25mmであることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の装置。
【請求項9】
前記変形可能部位が、流体タンクに担持される薄膜を備えることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の装置。
【請求項10】
前記飲料抽出の間または直前に、前記キャビティの形状を変化させるために、前記流体タンクに対し流体を給排出するコンジットを更に備えることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記変形可能部位が、複数の薄膜領域を担持する複数の流体充填タンクを備えることを特徴とする、請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
前記クランプの内表面が、流体タンクに担持される前記変形可能部位に加え、硬質基体に担持される少なくとも1つの硬質エラストマー領域を有することを特徴とする、請求項9〜11何れか1項記載の装置。
【請求項13】
前記飲料抽出チャンバーの出口領域が、前記サッシェの下端部を締め付ける少なくとも1つのクランプ部材を備えることを特徴とする、請求項1〜12何れか1項記載の装置。
【請求項14】
前記出口領域において、前記サッシェの下端部を締め付ける部材の少なくとも1つが弾性内表面を有することを特徴とする、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記サッシェの下端部を締め付ける部材の少なくとも1つが、前記締付部を通過する液体流出経路を規定する窪みを有する内表面を備えることを特徴とする請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記クランプが、対面連動移動することにより前記キャビティを形成する2つの部材を備えることを特徴とする、請求項1〜15何れか1項記載の装置。
【請求項17】
前記インゼクタが、前記キャビティからの飲料流出方向に対し斜めに前記キャビティ内に突出する中空針を備えることを特徴とする、請求項1〜16何れか1項記載の装置。
【請求項18】
前記中空針が、前記キャビティからの飲料流出方向に対し実質的に直角に前記キャビティ内に突出することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記インゼクタが、1つのクランプ部材の内表面から内側に向かって突出し、該内表面が前記インゼクタの周囲に窪みを有することを特徴とする、請求項1〜18何れか1項記載の装置。
【請求項20】
飲料を抽出する方法であって、
少なくとも一部が可塑性シート材料から成る飲料抽出材料を内包するサッシェを用意し、
請求項1〜19何れか1項記載の装置のクランプに前記サッシェを挿入し、
前記クランプ内のサッシェに液体を注入して飲料を抽出し、
前記クランプの流出経路から流出する飲料を収集する
各ステップを有して成ることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記サッシェを挿入するステップが、前記サッシェから流出する抽出飲料が前記クランプに接触しないように、前記サッシェの下端部が前記クランプの出口領域を通過して延びるよう配置することを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記クランプが、前記飲料抽出の間、前記サッシェの下端部を締め付けることを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
飲料抽出の間において、前記クランプの前記変形可能部位の位置を移動し、前記サッシェの形状を変えるステップを更に含むことを特徴とする、請求項20〜22何れか1項記載の方法。
【請求項24】
飲料抽出の間において、前記クランプの前記変形可能部位の位置を外方向に移動し、前記キャビティ内の前記サッシェを膨張させるステップを含むことを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
飲料抽出の間において、前記変形可能部位を振動させるステップを含むことを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項26】
飲料抽出後、前記変形可能部位を内方向に移動し、前記サッシェを圧縮し、残留飲料を絞り出すステップを更に含むことを特徴とする、請求項20〜25何れか1項記載の方法。
【請求項27】
飲料抽出前、抽出中および抽出後、前記変形可能部位の位置を移動し、前記キャビティから流出する飲料の流速調整および/または該キャビティ内の流体圧力を制御するステップを更に含むことを特徴とする、請求項20〜26何れか1項記載の方法。
【請求項28】
前記クランプの流出経路から流出する飲料が、直径約0.5〜2mmの少なくとも1つの噴流として流出することを特徴とする、請求項20〜27何れか1項記載の方法。
【請求項29】
前記噴流の速度が約5〜50m/秒であることを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記サッシェが、飲料抽出材料を内包するカプセルと、前記カプセルから延びる液体ガイドとを備え、
前記液体ガイドが、飲料抽出中に解放可能な鮮度保護バリヤを有し、該鮮度保護バリヤを解放させることにより前記カプセル内で抽出された飲料を該液体ガイドを通って流出させることを特徴とする、請求項20〜29何れか1項記載の方法。
【請求項31】
前記液体ガイドの長さが少なくとも15mm、好ましくは少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記液体ガイドの下端部が先細りになっていることを特徴とする、請求項30または31記載の方法。
【請求項33】
前記サッシェが、実質的に水を通さないフィルム材料から成る、それぞれ別の形状をした前面および背面シートを備え、
前記前面および背面シートを接合境界線に沿って互いに貼り付けて、前記接合境界線の内側に飲料抽出材料を内包するカプセルを画定するとともに、該接合境界線の外側に延びる該前面および背面シートの各々のマージンを画定し、
前記マージンが、前記カプセルの一方の側面側にテーパー付マージン領域を有することを特徴とする請求項20〜29何れか1項記載の方法。
【請求項34】
前記前面および背面シートが、前記カプセルの前記第一側面において、熱水および/あるいは圧力によって解放可能な接着剤で接合され、前記カプセル内で抽出された飲料が該カプセルから流出できることを特徴とする、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記実質的に水を通さないフィルム材料から成る前面および背面シートの各々が、実質的に同一寸法および形状であり、実質的に重なり合っていることを特徴とする請求項33または34記載の方法。
【請求項36】
前記液体ガイドが、前記サッシェの抽出領域を形成する2つのシート材料の対面延長部分に規定されることを特徴とする、請求項30〜35何れか1項記載の方法。
【請求項37】
前記サッシェのシート材料に1つ以上のコンジットを型押しすることにより、前記液体ガイドの少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項30〜36何れか1項記載の方法。
【請求項38】
前記サッシェが、前記飲料抽出材料と前記液体ガイドとの間に、該飲料抽出材料を除去するためのフィルターを更に備えることを特徴とする、請求項30〜37何れか1項記載の方法。
【請求項39】
前記フィルターが、周縁部を前記サッシェの前面または背面に接合されたフィルター材料から成り、飲料が前記前面または背面に対し実質的に直角に前記フィルター材料を通過することを特徴とする、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記液体ガイドが、1つ以上のドリップ形成ポイントで終端することを特徴とする、請求項30〜39何れか1項記載の方法。
【請求項41】
請求項20〜40何れか1項記載の方法に基づいて飲料を抽出するシステムであって、請求項1〜19何れか1項記載の飲料抽出装置と、該装置に用いられる少なくとも1つの飲料抽出サッシェとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項42】
前記少なくとも1つのサッシェが、泡沫用酪農または非酪農濃縮ミルクを内包する第一サッシェ、およびコーヒーまたは茶を抽出する材料を内包する第二サッシェを備えることを特徴とする、請求項41記載のシステム。
【請求項43】
前記飲料抽出装置が、第二サッシェを保持し、第一および第二サッシェから第一および第二飲料成分を同時に、または連続して抽出するための第二クランプを備えることを特徴とする、請求項41または42記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−34886(P2013−34886A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225726(P2012−225726)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【分割の表示】特願2002−524364(P2002−524364)の分割
【原出願日】平成13年9月5日(2001.9.5)
【出願人】(500039968)マーズ ユー ケー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】