説明

飲料攪拌装置

本発明は、飲料容器4内で液体及び/又は粉末状材料を液体と攪拌又は混合する装置及び方法に関し、液体は、飲料容器4の内部に向かって少なくとも1つの液体噴流を案内する出口管64に攪拌装置3を通して供給される。液体は、撹拌装置3に回転可能に取り付けられ、外部磁気部材82に関連付けられた出口管64を通して供給される。電磁装置は、管64を回転移動させるように構成された可変磁界を作り出すように磁気部材の外側に、又はそれから距離を置いて配置され、それによって出てくる液体噴流に対応する遠心効果を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器内で液体及び/又は粉末状材料を液体と攪拌又は混合する飲料攪拌装置に関する。本発明はまた、飲料容器内で液体を攪拌し、次第に泡立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の攪拌装置は、普通は熱い液体と、液体又は粉末状濃縮物とからなる飲料の小売用装置で使用される。
【0003】
従来から知られている攪拌装置が、液体を他の材料と十分に混合させることはしばしば困難であった。液体を泡立たせることが望ましい場合、例えばカプチーノを調合する場合に特定の問題が生じる。これは現在、別個の容器で牛乳を泡立てることによって普通は行なわれている。この容器は、衛生面の理由から一日に数回洗浄しなければならない。ヨーロッパ特許第1197145号は、攪拌ブレードを有する貫通型スピンドルを備えた管状装置と、上部に蒸気用入口と、管に沿った空気及び牛乳用入口開口部とからなる、カプチーノを調合するために牛乳を泡立てる装置を記載している。これは、全高が大きい高価で複雑な攪拌装置であり、さらに牛乳の泡以外の飲料全体を調合することができない。一般に、カプチーノを作るのに2つの装置が必要である場合が多い。
【0004】
混合容器内で永久磁石を使用することが知られており、これらの磁石は外側回転又は極数変換磁界により回転される。国際特許出願公開第WO85/05046号は、底部出口を有する混合容器を有するこのような装置を開示している。周波数及び強度を変える磁界を作り出すことができる交流電流源に連結された電気コイルを備えた閉鉄心が、容器の下縁部に配置されている。この装置は、特に化学過程に関連した混合に使用されている。
【0005】
ヨーロッパ特許第0285210号は、底部出口有する管状混合容器を備えた飲料混合機を記載している。永久磁石の形の磁気部材を底部に有する混合ブレードが、混合容器内に配置されている。混合ブレードを回転及び/又は振動動作に設定することができる電磁石が、容器の外側に配置されている。混合ブレードは混合容器内に曝されており、特に洗浄のために簡単に外に持ち上げることができる。それにも関わらず、洗浄は相変わらず労力及び時間がかかる作業である。混合ブレードは、例えばカプチーノを調合する場合に飲料を泡立たせるため、スリットを備えることができる。その場合、洗浄はさらに労力がかかる。
【0006】
ヨーロッパ特許第1155646号は、粉末状材料を最初に入れた、カップ内で飲料を調合する装置を開示している。飲料を希釈する液体は、駆動輪に取り付けられた垂直中空シャンク上に配置された分配ヘッドを通して供給される。上部で、シャンクは自由に回転可能な継手を介して入口管に連結されている。分配ヘッドは、偏心して位置決めされた下向きの2つの対向する分配ノズルにつながる、斜めに延びる連結ラインを備えている。駆動輪は変速装置内に配置され、電気モータによって駆動される。
【0007】
この装置はいくつかの欠点がある。この装置は、余分なモータと、歯車を介した分配ヘッドへの機械伝動装置とを有している。これは、磨耗及び故障の危険につながる。管と中空シャンクの間の自由に回転する連結部はまた、磨耗の影響を受けやすく、時間の経過と共に液体の漏洩が起こる。分配ヘッド内の曲がりくねった液体通路はまた、洗浄のためにアクセスするのが難しく、垢がこれらに堆積することが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は飲料容器自体内で他の材料と希釈液体を混合させることを意図した分配ヘッドを有し、簡単で洗浄が容易な構成をしており、液体管路内にいかなる移動部品も含んでおらず、全高が小さく、移動部品がほとんどない飲料攪拌装置を製造することである。また、この装置は調合中に攪拌する異なる要件で異なる種類の飲料を調合するのに使用することも可能である。本発明の別の目的はまた、同じ装置内で泡のある飲料及び泡のない飲料の両方の調合を行なう飲料調合用の前記装置の方法を示すことである。本発明の別の目的は、牛乳又は他の液体を泡立てる別個の調合装置を使用することなく、カプチーノ又は他の泡立てた飲料を調合する攪拌装置の使用を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、飲料容器内で液体及び/又は粉末状材料を液体と攪拌又は混合する飲料攪拌装置によって達成され、液体は上から攪拌装置を通して飲料容器の内部に向かって少なくとも1つの液体噴流を案内する出口管に供給される。液体は、出口管を通して供給される。出口管は装置に回転可能に取り付けられている。出口管は、外部磁気部材に関連付けられている。電磁装置は、出口管を回転移動させるように構成された可変磁界を作り出すように、磁気部材の外側に又はそれと距離を置いて配置されている。この特定の装置は、液体噴流に容器内で液体の混合及び/又は泡立てを促進する対応する遠心効果を与える。この装置は、飲料容器内で液体を攪拌且つ泡立てるのに特に効果的である。この装置はまた、液体とシステムの接触が少ない、飲料のより衛生的な運搬及びより衛生的な攪拌を促進し、それによって洗浄があまり必要ない。この装置はまた、あまり面倒ではない。
【0010】
本発明はまた、出てくる液体噴流に対応する遠心効果を与えることができるように回転可能な液体運搬出口管を通して液体が運ばれることを特徴とする、飲料容器内で液体を攪拌する方法に関する。
【0011】
この方法の可能な形態では、出口管の回転速度は制御部によって調節可能である。出口管の回転は、調合する飲料の種類に応じて可変速度で調節されることが好ましい。これにより、調合する飲料の種類に液体噴流のパターンを調節する、より詳細には、泡の量を例えばカプチーノ飲料に調節する利点が提供される。
【0012】
次に、本発明をこれに限らない例示的な実施例の助けをかり、添付の図面を参照して説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、飲料の小売用装置の一部を形成する飲料調合システムを示している。明確にするため、実際の飲料調合システムのみを示し、他の周辺機器及び設置構成部品は示していない。このシステムは、液体タンク1と、連結管2と、回転台形式のカップ提供装置又はカップ供給ユニット5内に配置されたカップ4の上に開口する攪拌装置3とからなる。カップ提供装置は、マガジン(図示せず)からカップが供給され、そのカップはその後最初に粉末状の飲料材料が注入され、その後、攪拌装置3の下に供給される。粉末供給は、回転台の前、又は液体供給の前に回転台の位置のいずれかで起こることができる。
【0014】
液体タンクは加熱装置を有し、外面に弁装置10を有する。前に測定した又は規定した液体量を管2内に押し込むポンプ12が、弁装置10と共に配置されている。管は、そのうちの2つのみが図示されている管ホルダ14を介して、攪拌装置3上に配置された入口管16まで延びている。管16はS字形であり、管2に連結した入口部18と、出口部が攪拌装置3を貫通することができる深さを制限する止め突起22を有する出口部20とを有する。飲料調合システムの全高は、入口管がS字形であることにより小さくなる。
【0015】
攪拌装置3は、ハウジング24及び底板25を有する。ハウジング24は、上部28及び壁面30備えた周辺ケーシング26と、またケーシングの下部から突出する板又はフランジ32とからなる。入口管16用中心孔38を囲む内側に向いたフランジ36によって、上部で終端する中心に配置された円錐形ネック34が、上部28から上向きに突出している。管16の最大下向き貫通深さは、出口部20上の止め突起22によって制限される。反対側の端部では、ネック34はハウジング内に突出する環状フランジ40によって終端している。周壁面30は、中心部31及びこれから突出する3つの磁石空間33を囲んでいる。ハウジング24はまた、底板の対応する穴58内に締め付けられることを意図し、部品を一緒に保持するように組立ねじ(図示せず)を受けることができる、ガイドピンの形の組立付属品42を壁面30上に有する。
【0016】
図5及び図6は、磁石を取り除いたハウジング24を示している。回路基板の形の三角形の支持板44が、ハウジング内に配置されている。支持板は、位置を規定する環状フランジ40を囲む中心孔46を有する。支持板44は、電磁石50用シートとして働く、三角形の頂点に切取部48を有する。電磁石は、ライン(図示せず)を介して回路基板の板44に連結されている。制御信号及び電力は、ハウジング24の孔52を通過するライン(図示せず)を介して電磁石に供給される。
【0017】
図7及び図8に示す底板25は、ハウジング・ケーシング26を支承し、3つの磁石空間56を囲むことを意図した支持縁部54を有している。底板は、環状フランジ40内に突出する円錐形ネック60を中心に有している。ネック60はまた、電磁石50の鉄心51用の切取部62を有している。
【0018】
角付き管16は、出口管64に連結され、その外側に押される。出口管64その上端部66に、中間領域72を備えた2つの環状ビード68及び70を有している。角付き管の出口部20は、出口管の上及び第1のビード68の上に案内され、止め具として働く第2のビード70と接触するように意図されている。長手方向の出口管の位置は、したがって、規定される。外側に配置された強磁性材料でできたリング82を受けるより広い中間領域80を囲む2つのさらに外側のビード76、78が、出口管の下側出口端部74に配置されている。このリングは、電磁石50と同じレベルに配置されている。リングの材料は、磁界、例えば変圧器シートなどに配置された後に永久的に磁化されないようにすべきである。出口管は、食材に特に適したシリコーン材料から適切にできている。
【0019】
攪拌装置の使用中、電磁石はその後、所望の混合強度に対応する速度で装置の周りで作動される。出口管64の出口端部74及びその口84はその後、ほぼ円形の経路に沿って移動し、出てくる液体噴流はカップ内の対応する、閉じたほぼ円形の経路を描く。この動作は、出口管を囲むネック34、及び下向きに大きい幅を有する底板から上向きに突出するネック60内の延長部により可能になる。液体噴流がカップ底部の上を、その後カップの内容物の周りを移動することにより、粉末状の濃縮物は旋回され、液体に溶解される。
【0020】
混合する飲料の性質により、管の口の速度又は周波数を変えることができる。
【0021】
この装置は、カプチーノを調合するのに特に有利であり、これに関連して、粉末状材料及び熱湯から始めて、単一の混合装置を使用し、飲料容器自体内でこの飲料を調合することが可能である。
【0022】
本発明は、図示した例示的な実施例に限るものではなく、特許請求の範囲によって定義された発明概念の範囲内で任意に変更することができる。より詳細には、粉末の代わりに液体濃縮液での使用を行なうことができる。また、コーヒー以外の飲料、例えば紅茶、ココア、及び、果実シロップ及び水などの冷たい飲料を作ることも可能である。さらに、4つ以上の電磁石での使用を行なうこともできる、又は非永久磁気材料でできたリングを磁気部材の代わりに使用することもできる。攪拌装置はまた、電磁石によって同時に移動される複数の液体ラインを備えることができる。これは、例えばシロップ及び水用である。溶解される濃縮液体はその後、混合サイクルの始め、又はその前に適切に注入される。本発明は、使い捨てカップの形の飲料容器の使用に限らず、あらゆる飲料容器、例えば自分のコーヒー・マグと一緒に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】枠、カップ・マガジン及び他の周辺機器なしで示した、本発明による攪拌装置を備えた飲料製造システムの略図である。
【図2】本発明による攪拌装置の上からの角度での図である。
【図3】底部板なしで示した、図2の装置の下からの角度での図である。
【図4】図2及び図3の装置の断面図である。
【図5】装置のハウジング及び支持板のみを示した、図3に対応する下からの角度の図である。
【図6】図5のハウジングのすぐ下からの図である。
【図7】図2の装置に属する底板の下からの平面図である。
【図8】図7の底板の側面図である。
【図9】攪拌装置の一部を形成する出口管の側面図である。
【図10】図2〜図9の攪拌装置の展開図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器(4)内で液体及び/又は粉末状材料を液体と攪拌又は混合する飲料攪拌装置であって、前記飲料が前記飲料容器の内部に向かって少なくとも1つの液体噴流を案内する出口管に攪拌装置を通して上から供給される、攪拌装置において、
前記液体は、前記装置に回転可能に取り付けられた、外部磁気部材(82)と関連付けられた出口管(64)を通して供給され、電磁石装置は前記管(64)を回転移動させるように構成された可変磁界を作り出すように前記磁気部材の外側に配置されていることを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記磁気部材は、前記出口管(64)の下端部(74)上の2つのビード(76、78)の間に配置された、非永久磁気鉄リング(82)であることを特徴とする、請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記電磁装置は、その1つの極が前記磁気部材(82)に向けられた少なくとも3つの電磁石(50)からなり、これらの電磁石は順に周期的に作動されるように配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
前記電磁石(50)は、周辺ケーシング(26)及び底板(25)を有するハウジング(24)で囲まれており、前記ハウジング(24)及び前記底板(25)は、前記出口管(64)用の貫通通路を共に形成する円錐形の上向きテーパー状のネック(34,60)を有することを特徴とする、請求項3に記載の撹拌装置。
【請求項5】
前記ハウジング(24)は回路基板の形の支持板(44)を囲み、該支持板は前記電磁石(50)を定位置に保持することを意図した切取部(48)を有し、前記回路基板(44)は前記電磁石(50)の制御及び電力供給用の電子部品を有することを特徴とする、請求項4に記載の撹拌装置。
【請求項6】
前記出口管(64)は、前記ハウジング(24)上のシート(36、38)内に配置されたS字形入口管(16)に連結されており、前記出口管(64)の上端部(66)は少なくとも基本的に径方向に固定されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の撹拌装置。
【請求項7】
容器内で液体を攪拌し、最終的に泡立てる方法であって、前記液体は、出てくる液体噴流に対応する遠心効果を与えることができるように、所定の速度で回転可能な液体運搬出口管(64)を通して案内されることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記出口管(64)は磁気部材(82)に固定関連付けられ、電磁装置は前記磁気部材及び管を互いに回転駆動させる磁界を作り出すように、前記磁気部材の外側に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁装置は、その1つの極が前記磁気部材(82)を向いた少なくとも3つの電磁石(50)からなり、前記電磁石(50)は次に作動され、それによって前記出口管の口(84)がほぼ円形の経路に沿って移動され、前記出てくる液体噴流が前記飲料容器(4)内で対応する閉経路を描くことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体はポンプ(12)の助けをかりて圧力を受けて供給される、及び/又は洗浄及び水洗は水を流すことによって起こることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記出口管(64)の回転速度は制御ユニットによって調節可能であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記出口管(64)の回転は、調合される飲料のタイプに応じて可変速度で調節されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−527755(P2007−527755A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502247(P2007−502247)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002301
【国際公開番号】WO2005/089922
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】