説明

飲料水ディスペンサー

【課題】飲料水供給容器から温水タンク内へ供給した飲料水を短時間に設定温度まで加温し、かつ保温することが出来る飲料水ディスペンサーを提供する。
【解決手段】冷水タンク4はステンレスや樹脂材料(例えば、ポリプレピレン等で抗菌剤を配合したものが好ましい)等の衛生的な材料により一体的に形成し、冷水タンク設置部5には、冷水タンク4内の飲料水Wxを冷却させる冷却機構10を設置すると共に温水タンク6への給水管11を配設してある。前記温水タンク6は、電気抵抗の大きな鉄,ステンレス,アルミ合金から選ばれた一つの金属材料により所定の大きさに形成し、この温水タンク6を設置する温水タンク設置部7には、前記温水タンク6内の飲料水Wxを誘導加熱する電磁誘導加熱装置12が設置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一定温度(例えば、10°C以下で5°C前後)に冷却した冷水と、一定温度(70°C〜95°C)に加温した温水とを任意に抽出させることが出来る飲料水ディスペンサーに係わり、更に詳しくは飲料水供給容器から温水タンク内へ供給した飲料水を短時間に設定温度まで加温し、かつ保温することが出来る飲料水ディスペンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスペンサー本体の上部に所定容量の飲料水(ミネラルウォーター,ピュアウォーター等)を収容したプラスチック製のボトルや可撓性容器(ビニール袋等)を載置する容器載置部と、その下部に冷水タンクを収容する冷水タンク設置部と、冷水タンク設置部の下部にステンレス等で形成された温水タンクを設置する温水タンク設置部とを備え、前記冷水タンク設置部に設けた冷却機構により冷水タンク内の飲料水を冷却し、また温水タンク設置部に設けたバンドヒータ等の加熱手段により温水タンク内の飲料水を加熱し、ディスペンサー本体側面に設けた抽出部から冷水または温水を任意に抽出できるようにした飲料水ディスペンサー(飲料水供給機またはウォーターサーバーと呼称されている)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ころで、従来の飲料水ディスペンサーにおいて、飲料水を収容した容器を新たに交換した際には、一定時間経過した後(例えば、30分〜60分)でなければ冷水や温水の飲料水を抽出しても目的とする温度の冷水や温水になっていない場合があった。
【0004】
また、飲料水を収容した容器から抽出させた飲料水は、一旦、冷水タンク内に入り、ここから給水管を通して温水タンク内に供給される構成になっているが、容器から抽出させる飲料水の供給量や、冷水タンク内の飲料水の量に応じて温水タンク内へ供給する飲料水の供給量を精度良く制御しないと冷水タンク内の飲料水の量や温水タンク内の温水の量が常に最適な状態とならず、また温水が逆流して冷水タンク内に戻ってしまうと言う問題があった。
【特許文献1】特開2008−56338号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、飲料水供給容器から温水タンク内へ供給した飲料水を短時間に設定温度まで加温し、かつ保温することが出来る飲料水ディスペンサーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、冷水タンク設置部に、冷水タンク内の飲料水を冷却させる冷却機構を設置すると共に温水タンクへの給水管を配設し、前記温水タンクを電磁誘導加熱に対応する金属材料により形成すると共に、前記温水タンク設置部に前記温水タンクを加熱する電磁誘導加熱装置を設置したことを要旨とするものである。
【0007】
ここで、前記冷水タンク内に、前記飲料水供給容器の抽出口を開閉すると共に、温水タンクへの給水管の供給口を開閉するフロートバルブを設けたり、冷水タンクと温水タンクとを結ぶ給水管に、逆止弁を設けることも可能である。
【0008】
また、前記冷水タンク設置部に設置した冷水タンクと、温水タンク設置部に設置した温水タンクとを断熱材で覆い、前記温水タンクは、電気抵抗の大きな鉄,ステンレス,アルミ合金から選ばれた一つを使用することも可能である。また、飲料水供給容器としては、ボトル容器または可撓性容器を使用することが可能である。更に、ディスペンサー本体の正面側の一部に、冷水タンク内の冷水及びと温水タンク内の温水の温度を表示する手段を設けることも可能である。
【0009】
このように、冷水タンク設置部に、冷水タンク内の飲料水を冷却させる冷却機構を設置すると共に温水タンクへの給水管を配設し、前記温水タンクを電磁誘導加熱に対応する金属材料により形成すると共に、前記温水タンク設置部に前記温水タンクを加熱する電磁誘導加熱装置を設置したので、温水タンク内へ供給した飲料水を短時間に設定温度まで加熱することが出来ると共に、常に一定温度に保温することが出来るものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、上記のように冷水タンク設置部に、冷水タンク内の飲料水を冷却させる冷却機構を設置すると共に温水タンクへの給水管を配設し、前記温水タンクを電磁誘導加熱に対応する金属材料により形成すると共に、前記温水タンク設置部に前記温水タンクを加熱する電磁誘導加熱装置を設置したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
【0011】
(a).飲料水供給容器から温水タンク内へ供給した飲料水を短時間に設定温度まで加熱し、 かつ保温することが出来、常に安定した状態で冷水と温水とを抽出させて使用すること が出来る効果がある。
(b).加熱手段として電磁誘導加熱装置を使用するため、一般家庭やオフィス等で使用して も安心して使用でき、メンテナンスを簡便に行うことが出来、作業性及び経済性に優れ た飲料水ディスペンサーとすることが出来る効果がある。
(c).また、従来の加熱装置に比べて短時間に設定温度まで昇温させることが出来る上に、 設定温度を保持させることが出来るので、省エネに有効である上、消費電力等において 低減出来るので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、この発明を実施した飲料水ディスペンサーの全体斜視図、図2は図1のX−X矢視断面図、図3は要部拡大断面図を示し、ディスペンサー本体1の上部には、所定容量の飲料水(ミネラルウォーター等)Wxを収容した飲料水供給容器2(この実施形態ではボトルであるが、ビニール袋等の可撓性容器を収容した容器でも良い)を載置する容器載置部3が設けてある。
【0014】
この容器載置部3の中心部には、飲料水供給容器2の抽出口に嵌合する抽出ロッド3aが突出させてあり、容器載置部3に逆さまにして飲料水供給容器2を載置した際には気密的に嵌合するように構成されている。
【0015】
前記容器載置部3の下部には約3リットル程度の冷水Waを収容可能な冷水タンク4を収容する冷水タンク設置部5と、冷水タンク設置部5の下部に蒸気抜き弁6aを備えた温水タンク6を設置する温水タンク設置部7とが配設してあり、またディスペンサー本体1の側面には、冷水Waまたは温水Wbの抽出可能な抽出バルブ等で構成された抽出部8a,8b(安全装置を取り付けたものでも可能)が設けてあり、更に抽出部8a,8bの間には、使い捨て用の紙コップK等を収容したコップ供給部9が設けてある。
【0016】
このコップ供給部9は、抽出部8a,8bの間に配設した筒状部9aと、積み重ねられた紙コップKを順次上方へ押し上げるスプリング等の弾性部材9bとにより構成され、抽出部8a,8bの間に形成された開口部9cから紙コップKを一つずつ取り出して、抽出部8aまたは8bから冷水Waまたは温水Wbを抽出させて使用出来るように構成されている。
【0017】
前記冷水タンク4はステンレスや樹脂材料(例えば、ポリプレピレン等で抗菌剤を配合したものが好ましい)等の衛生的な材料により一体的に形成し、冷水タンク設置部5には、冷水タンク4内の飲料水Wxを冷却させる冷却機構10を設置すると共に温水タンク6への給水管11を配設してある。
【0018】
また、前記温水タンク6は、電気抵抗の大きな鉄,ステンレス,アルミ合金から選ばれた一つの金属材料により所定の大きさに形成し、この温水タンク6を設置する温水タンク設置部7には、前記温水タンク6内の飲料水Wxを誘導加熱する電磁誘導加熱装置12が設置してある。
【0019】
前記電磁誘導加熱装置12は、温水タンク6内の飲料水Wxの温度を関知して図示しない温度制御装置のスイッチをON,OFFさせることで、温水タンク6内の温水Wbを常に一定の温度(例えば、95°C前後)に保持させることが出来るものである。
【0020】
前記冷水タンク4内には、前記飲料水供給容器2の抽出口を開閉すると共に、温水タンク6への給水管11の供給口を開閉する浮力の小さな材料(例えば、ウレタンフォーム等の発泡材)または中空材料で形成したフロートバルブ13が設けてあり、更に冷水タンク4と温水タンク6とを結ぶ給水管11には、加温された熱水が冷水タンク4内へ逆流するのを防止させる逆止弁14が設けてある。
【0021】
前記冷水タンク設置部5に設置した冷水タンク4と、温水タンク設置部7に設置した温水タンク6とは発泡材等で形成した断熱材15によりで覆ってある。
【0022】
また、前記冷却機構10は、フレオンガス等の冷媒ガスが封入された冷却配管等で構成されたエバポレータ16を冷水タンク3の側面に配設して冷水タンク3内の冷水Waを冷却するように構成し、前記エバポレータ16は、圧縮機17及びコンデンサー18等に接続されている。
【0023】
また、前記冷水タンク4及び温水タンク6には、温度センサー(図示せず)が設けてあり、冷水タンク4内及び温水タンク6内の冷水Waまたは温水Wbの温度をディスペンサー本体1の表面の一部に取り付けた温度計等の表示手段19により表示させることでディスペンサー本体1の外部から冷水Waまたは温水Wbの温度を目視により確認することが出来る。
【0024】
なお、抽出部8a,8bの下部の紙コップK等を設置する設置部8cには、溢れた冷水Waまたは温水Wbを収容できるような凹部を設けてあり、この設置部8cはディスペンサー本体1の底部側に設けたドレン容器(図示省略)に接続されるドレン配管が接続され、設置部8cに溢れた冷水Waまたは温水Wbを回収して排出できるように構成されている。なお、20は温水タンク6の密閉金具、21aは高圧冷媒配管、21bは定圧冷媒配管を示している。
【0025】
次に、上記のような構成から成る飲料水ディスペンサーの操作方法について説明する。ディスペンサー本体1を使用する場合には、ディスペンサー本体1の容器載置部3に所定容量の飲料水(ミネラルウォーター等)Wxを収容した飲料水供給容器2を載置すると、飲料水Wxは最初に冷水タンク4に流入し、フロートバルブ13により液量が調整されて次に、給水管11を介して温水タンク6内に流入する。
【0026】
前記冷水タンク4及び温水タンク6に流入した飲料水Wxは、冷却機構10及び電磁誘導加熱装置12により所定温度に冷却(例えば、10°C以下で5°C前後)及び加温(例えば、70°C〜95°C)され、使用可能状態になる。この実施形態では、常温の飲料水Wxを使用した場合には、冷水Waでは約30〜45分、温水Wbでは約20分前後で使用可能状態になり、また温水Wbの場合には、温水タンク6内の温水お温度を温度センサーにより常時検出して、温度制御装置により電磁誘導加熱装置12の出力を調整したり、電源をON,OFF制御するので、省エネ対策にも有効な上、消費電力も少なくで済む。また、冷水Wa,温水Wbの温度表示は、上述したようにディスペンサー本体1の表面の一部に取り付けた表示手段19に表示される。
【0027】
この実施形態では、特に温水Wbは電磁誘導加熱装置12により加温するので、従来の温度ヒータ等の加熱装置に比べて短時間に設定温度まで加温させることができ、また常に一定温度の温水Wbを保持させることが出来るものである。
【0028】
そして、冷水Waまたは温水Wbを抽出させる際には、コップ供給部9から紙コップK等を一個づつ取り出して設置部8c上で保持した状態で抽出部8a,8bから冷水Waまたは温水Wbを抽出させて使用するものである。
【0029】
以上のように、冷水タンク設置部5に、冷水タンク4内の飲料水Wxを冷却させる冷却機構10を設置すると共に温水タンク6への給水管11を配設し、前記温水タンク6を電磁誘導加熱に対応する金属材料により形成すると共に、前記温水タンク設置部7に前記温水タンク6を加熱する電磁誘導加熱装置12を設置したので、飲料水供給容器2から温水タンク6内へ供給した飲料水Wxを短時間に設定温度まで加熱し、かつ保温することが出来、常に安定した状態で冷水と温水とを抽出させて使用することが出来る。
【0030】
また、加熱手段として電磁誘導加熱装置12を使用するため、一般家庭やオフィス等で使用しても安心して使用でき、メンテナンスを簡便に行うことが出来、作業性及び経済性に優れた飲料水ディスペンサーとすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明を実施した飲料水ディスペンサーの全体斜視図である。
【図2】図1のX−X矢視断面図である。
【図3】要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ディスペンサー本体
2 飲料水供給容器
3 容器載置部
3a 抽出ロッド
4 冷水タンク
5 冷水タンク設置部
6 温水タンク
6a 蒸気抜き弁
7 温水タンク設置部
8a,8b 抽出部
8c 設置部
9 コップ供給部
9a 筒状部
9b 弾性部材
9c 開口部
10 冷却機構
11 給水管
12 電磁誘導加熱装置
13 フロートバルブ
14 逆止弁
15 断熱材
16 エバポレータ
17 圧縮機
18 コンデンサー
19 表示手段
20 密閉金具
21a 高圧用冷媒配管
21b 低圧用冷媒配管
Wx 飲料水
Wa 冷水
Wb 温水
K コップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサー本体の上部に所定容量の飲料水を収容した飲料水供給容器を載置する容器載置部と、その下部に冷水タンクを収容する冷水タンク設置部と、冷水タンク設置部の下部に温水タンクを設置する温水タンク設置部とを備え、ディスペンサー本体側面に冷水タンク及び温水タンクからの冷水または温水を抽出する冷水・温水抽出部を設けた飲料水ディスペンサーにおいて、
前記冷水タンク設置部に、冷水タンク内の飲料水を冷却させる冷却機構を設置すると共に温水タンクへの給水管を配設し、前記温水タンクを電磁誘導加熱に対応する金属材料により形成すると共に、前記温水タンク設置部に前記温水タンクを誘導加熱する電磁誘導加熱装置を設置したことを特徴とする飲料水ディスペンサー。
【請求項2】
前記冷水タンク内に、前記飲料水供給容器の抽出口を開閉すると共に、温水タンクへの給水管の供給口を開閉するフロートバルブを設けた請求項1に記載の飲料水ディスペンサー。
【請求項3】
前記冷水タンクと温水タンクとを結ぶ給水管に、逆止弁を設けた請求項1または2に記載の飲料水ディスペンサー。
【請求項4】
前記冷水タンク設置部に設置した冷水タンクと、温水タンク設置部に設置した温水タンクとを断熱材で覆った請求項1,2または3に記載の飲料水ディスペンサー。
【請求項5】
前記温水タンクは、電気抵抗の大きな鉄,ステンレス,アルミ合金から選ばれた一つを使用する請求項1,2,3または4に記載の飲料水ディスペンサー。
【請求項6】
前記飲料水供給容器が、ボトル容器または可撓性容器である請求項1,2,3,4または5に記載の飲料水ディスペンサー。
【請求項7】
ディスペンサー本体の正面側の一部に、冷水タンク内の冷水及び温水タンク内の温水の温度を表示する表示手段を設けた請求項1,2,3,4,5または6に記載の飲料水ディスペンサー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate