説明

飲料水供給装置のメンテナンスシステム

【課題】より衛生的にメンテナンスを行うことができる飲料水供給装置のメンテナンスシステムを提供する。
【解決手段】飲料水供給装置1から内部部材7及び外装部材8を分解するための分解エリア21と、分解された内部部材7を洗浄するための内部部材洗浄エリア24と、分解された外装部材8を洗浄するための外装部材洗浄エリア23と、洗浄後の内部部材7及び外装部材8を組み立てるための組立エリア30とを備える。内部部材洗浄エリア24は防塵設備20の内部に配置され、外装部材洗浄エリア23は防塵設備20の外部に配置されている。これにより、飲料水が通過する内部部材7の洗浄が、外装部材洗浄エリア23とは隔離された防塵設備20の内部で行われるため、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水を通過させて外部へ供給するための内部部材と、前記内部部材を収容する外装部材とを備えた飲料水供給装置のメンテナンスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス、病院、一般家庭などの様々な場所に設置可能な飲料水供給装置が知られている。飲料水供給装置の一例としては、水(製品水)が予め充填されたボトルを飲料水供給装置の本体に取り付けることにより、本体に備えられたタンク内にボトル内の水が自動的に供給され、貯留されるようになっているものがある(例えば、特許文献1参照)。タンク内に貯留された水は、例えばユーザによる給水コックの操作に基づいてタンク内から吸い上げられ、飲料水供給装置の内部に設けられている給水管などの内部部材を通過して外部へ供給される。
【0003】
この種の飲料水供給装置は、例えばリース又はレンタルの形態で顧客に提供され、定期的にメンテナンスを実施することにより、清潔な飲料水の供給を可能にしている。メンテナンスとしては、上記内部部材やタンクの洗浄の他、当該内部部材及びタンクを収容する外装部材の洗浄などが挙げられる。このようなメンテナンスは、従来、作業者が客先に出向くことにより、客先にて実施されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−46150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、より衛生的にメンテナンスを行うという観点からは分解洗浄が必要であるが、客先にてメンテナンスを実施する場合には、洗浄可能な範囲に制約があり、分解洗浄を行うことは困難であった。また、各客先へ出向いてメンテナンス作業を行わなければならない上に、作業スペースを確保することが困難な場合もあるため、作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、より衛生的にメンテナンスを行うことができる飲料水供給装置のメンテナンスシステムを提供することを目的とする。また、本発明は、より効率よくメンテナンスを行うことができる飲料水供給装置のメンテナンスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、飲料水を通過させて外部へ供給するための内部部材と、前記内部部材を収容する外装部材とを備えた飲料水供給装置のメンテナンスシステムであって、前記飲料水供給装置から前記内部部材及び前記外装部材を分解するための分解エリアと、分解された前記内部部材を洗浄するための内部部材洗浄エリアと、分解された前記外装部材を洗浄するための外装部材洗浄エリアと、洗浄後の前記内部部材及び前記外装部材を組み立てるための組立エリアとを備え、前記内部部材洗浄エリアが防塵設備の内部に配置され、前記外装部材洗浄エリアが前記防塵設備の外部に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、飲料水が通過する内部部材の洗浄が、外装部材洗浄エリアとは隔離された防塵設備の内部で行われるため、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。
【0009】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、前記内部部材及び前記外装部材が取り外された前記飲料水供給装置の本体を搬送するための本体搬送路と、前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体を洗浄するための本体洗浄エリアとを備え、前記本体搬送路は、前記防塵設備の内部まで延びており、前記本体搬送路に沿って前記防塵設備内を搬送される洗浄後の前記本体に対して、洗浄後の前記内部部材が組み立てられることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、飲料水供給装置の本体を洗浄した上で防塵設備内に搬送し、当該防塵設備内で洗浄後の内部部材を本体に組み立てることができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。また、本体搬送路に沿って本体を搬送して洗浄後の内部部材を組み立てることができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0011】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、洗浄後の前記外装部材を搬送するための外装部材搬送路を備え、前記外装部材搬送路は、前記防塵設備の内部まで延びており、前記本体搬送路に沿って前記防塵設備内を搬送される洗浄後の前記本体に対して、洗浄後の前記外装部材が組み立てられることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、外装部材を洗浄した上で防塵設備内に搬送し、当該防塵設備内で洗浄後の外装部材を本体に組み立てることができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。また、外装部材搬送路に沿って洗浄後の外装部材を搬送して本体に組み立てることができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0013】
前記本体搬送路及び前記外装部材搬送路が、それぞれレールにより形成されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、レールに沿って本体及び外装部材をそれぞれ良好に搬送することができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0015】
前記本体搬送路と前記外装部材搬送路とが交差しており、当該交差部分には前記レールが形成されていないことが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、本体搬送路と外装部材搬送路とを交差させることにより、メンテナンスシステムの設置スペースを省スペース化することができる。また、本体搬送路と外装部材搬送路とを交差させた場合であっても、その交差部分にはレールを形成しないことにより、本体及び外装部材をそれぞれ良好に搬送することができ、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0017】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、前記本体搬送路に沿って搬送され、前記本体を載置するための台車を備え、前記台車が、前記本体搬送路に沿って転動する車輪と、前記車輪を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に対して水平面内で回転可能に取り付けられ、前記本体を載置するための載置板とを有することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、本体搬送路に沿って車輪を転動させて台車を円滑に搬送することができるとともに、載置板を水平面内で回転させることにより、当該載置板上に載置された本体に対するメンテナンスを円滑に行うことができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0019】
前記載置板には、当該載置板上の水分を落下させるための通水孔が形成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、載置板上に載置された本体を洗浄した場合であっても、載置板上の水分を通水孔から落下させることにより、本体の水分を良好に除去することができる。したがって、例えば組立後の本体を梱包する際に、梱包材に水分が付着するなどの弊害を防止することができる。
【0021】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体に電力を供給するための電力供給エリアを備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、本体搬送路に沿って搬送される本体に電力を供給して、本体に備えられている電気部品の動作確認を行うことができる。このように、各種部品の洗浄と並行して電気部品の動作確認を行うことによって、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0023】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、前記本体洗浄エリアよりも前記本体の搬送方向上流側に配置され、前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体を隔壁構造体の内部に導いて、前記本体に付着している塵埃を除去するための塵埃除去エリアと、前記隔壁構造体の内部の塵埃を集めて前記メンテナンスシステムの外部へと導くための集塵装置とを備えることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、本体に付着している塵埃を隔壁構造体の内部で除去した上で本体を洗浄するとともに、隔壁構造体の内部の塵埃を集めてメンテナンスシステムの外部へと導くことにより、本体に付着している塵埃がメンテナンスシステム内で飛散するのを防止することができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。
【0025】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、作業が行われていない複数の前記本体を並べて前記本体搬送路上に滞留させておくためのバッファエリアを備えることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、作業が行われていない複数の本体を並べて本体搬送路上に滞留させておき、それらの各本体に対する作業を所望のタイミングで開始することができるので、より少ない作業者で効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0027】
前記飲料水供給装置のメンテナンスシステムは、前記本体に備えられた飲料水を貯留するためのタンク内に洗浄水を供給して、前記タンク内を洗浄するためのタンク洗浄エリアと、前記タンク洗浄エリア内における前記本体搬送路の近傍に設けられ、前記タンク内から排出させた洗浄水を流入させるための排水溝とを備えることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、本体に備えられたタンク内に洗浄水を供給してタンク内を洗浄することができるとともに、使用後の洗浄水をタンク内から排出させて、タンク洗浄エリア内における本体搬送路の近傍に設けられた排水溝へと流入させることにより、使用後の洗浄水を円滑に排水することができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るメンテナンスシステムによるメンテナンスの対象となる飲料水供給装置の一例を示した正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るメンテナンスシステムの一例を示した平面図である。
【図3】図2のメンテナンスシステムを用いて飲料水供給装置のメンテナンスを行う際の流れを示したフローチャートである。
【図4】本体用台車の構成例を示した図であり、(a)は平面図、(b)はA矢視図、(c)はB矢視図をそれぞれ示している。
【図5】本体搬送路及び外装部材搬送路の部分平面図である。
【図6】本体のタンクを洗浄する際の態様について説明するための概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るメンテナンスシステムによるメンテナンスの対象となる飲料水供給装置1の一例を示した正面図である。
【0031】
この飲料水供給装置1は、オフィス、病院、一般家庭などの様々な場所に設置可能である。例えば、水(製品水)などの飲料水が予め充填されたボトル2を飲料水供給装置1の本体3に取り付けることにより、本体3に備えられたタンク4内にボトル2内の飲料水が自動的に供給され、貯留されるようになっている。
【0032】
本体3には、タンク4内の飲料水を吸い上げるための給水管5や、給水管5を介して吸い上げられる飲料水を外部に供給するために操作される給水コック6など、飲料水の流路を形成する部材を含む種々の内部部材7が取り付けられている。この例では、常温の飲料水を供給する場合と、加熱された飲料水を供給する場合とで、それぞれ異なる給水管5及び給水コック6が用いられるようになっているが、常温の飲料水又は加熱された飲料水のいずれか一方のみを供給可能な構成であってもよいし、冷却された飲料水を供給可能な構成であってもよい。
【0033】
上記内部部材7には、給水管5及び給水コック6に限らず、飲料水を通過させて外部へ供給するための他の部材など、本体3の内部に設けられた種々の部材が含まれていてもよい。当該内部部材7は、本体3に対して着脱可能となっており、メンテナンス時には本体3から取り外して洗浄することができる。
【0034】
本体3の外形は、前面、側面、背面及び上面といった本体3の外側を覆うための外装部材8により形成されている。当該外装部材8には、例えば給水コック6の下方に設けられる受皿が含まれる。外装部材8は、例えば樹脂などにより形成されている。当該外装部材8は、本体3に対して着脱可能となっており、メンテナンス時には本体3から取り外して洗浄することができる。外装部材8が本体3に取り付けられた状態では、当該外装部材8内に内部部材7の少なくとも一部が収容されるようになっている。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態に係るメンテナンスシステムの一例を示した平面図である。図3は、図2のメンテナンスシステムを用いて飲料水供給装置1のメンテナンスを行う際の流れを示したフローチャートである。
【0036】
このメンテナンスシステムには、内部部材7及び外装部材8が取り外された飲料水供給装置1の本体3を搬送するための本体搬送路11と、洗浄後の外装部材8を搬送するための外装部材搬送路12とが設けられている。メンテナンスの作業性を考慮すると、本体搬送路11及び外装部材搬送路12は、作業者が立つ高さよりも高い位置に設けられていることが好ましいが、これに限らず、作業者が立つ高さと同じ又は低い位置に設けられていてもよい。
【0037】
本実施形態では、本体搬送路11及び外装部材搬送路12は、それぞれレール111,121により形成されている。レール111,121は、高さが12mm程度であり、作業者がつまづき難い高さとなっている。飲料水供給装置1の本体3は、本体用台車13上に載置され、当該本体用台車13が本体搬送路11を形成するレール111に沿って搬送される。本体3から取り外されて洗浄された外装部材8は、外装部材用台車14上に載置され、当該外装部材用台車14が外装部材搬送路12を形成するレール121に沿って搬送される。
【0038】
このメンテナンスシステムには、例えば陽圧化されたクリーンルームのような防塵設備20が備えられている。当該防塵設備20は、例えば隔壁構造体により形成されており、防塵設備20内の塵埃を集めてメンテナンスシステムの外部へと導くための集塵装置15が備えられている。本体搬送路11に沿って搬送される飲料水供給装置1の本体3は、洗浄後に防塵設備20内に搬送され、当該防塵設備20内で、洗浄後の内部部材7及び外装部材8が本体3に組み立てられるようになっている。
【0039】
メンテナンスの対象となる飲料水供給装置1は、まず本体搬送路11上の本体用台車13に載置され、その外観が作業者によりチェックされる(ステップS101)。外観チェックの結果、大きな傷や凹みなどがある場合には、部品交換のための作業を行うようになっていてもよい。
【0040】
外観チェック後に、分解エリア21において、飲料水供給装置1から内部部材7及び外装部材8が分解されるとともに、電力供給エリア22において、電気部品の作動チェックが行われる(ステップS102)。電力供給エリア22には、例えば電源コンセントにより構成される電力供給部221が備えられており、本体搬送路11に沿って搬送される飲料水供給装置1の本体3に電力供給部221から電力を供給することにより、本体3に備えられている電気部品の動作確認を行うことができる。このように、各種部品の洗浄と並行して電気部品の動作確認を行うことによって、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0041】
分解エリア21の近傍には、分解された外装部材8を洗浄するための外装部材洗浄エリア23が設けられている。この外装部材洗浄エリア23は、防塵設備20の外部に配置されている。外装部材洗浄エリア23の近傍(この例では、分解エリア21と外装部材洗浄エリア23との間)には、外装部材搬送路12が設けられており、作業者が洗浄後の外装部材8を容易に外装部材搬送路12上の外装部材用台車14に載置することができるようになっている。外装部材用台車14上には、複数台分の飲料水供給装置1の外装部材8を載置可能なラックが設けられていることが好ましい。
【0042】
外装部材8の洗浄は任意の方法により行うことができるが、この例では、作業者が手洗いで洗浄した後(ステップS107)、自然乾燥させるようになっている(ステップS108)。ただし、外装部材8の少なくとも一部(例えば、受皿など)が、超音波洗浄などの殺菌効果の高い他の洗浄方法で洗浄され、乾燥機により乾燥されるようになっていてもよい。
【0043】
外装部材搬送路12は、その両端部が防塵設備20内に設けられたU字状に形成されている。これにより、洗浄後の外装部材8を外装部材用台車14上に載置し、外装部材搬送路12に沿って防塵設備20内に搬送することができるとともに、防塵設備20内で外装部材用台車14上の外装部材8を取り上げた後、空の外装部材用台車14を外装部材搬送路12に沿って外装部材洗浄エリア23の近傍に搬送し、次の洗浄後の外装部材8を外装部材用台車14上に載置することができる。防塵設備20における外装部材用台車14の出入口、すなわち外装部材搬送路12の両端部に対応する位置には、外装部材用台車14の出入の際以外に防塵設備20を閉塞可能な扉又はカーテンなどが設けられていることが好ましい。
【0044】
防塵設備20の内部には、分解された内部部材7を洗浄するための内部部材洗浄エリア24が配置されている。作業者は、分解エリア21において本体3から取り外した内部部材7を防塵設備20内に持ち込み、内部部材洗浄エリア24で洗浄することができる。内部部材7の洗浄は任意の方法により行うことができるが、この例では、作業者が手洗いで洗浄した後(ステップS109)、乾燥機で乾燥させるようになっている(ステップS110)。ただし、内部部材7の少なくとも一部(例えば、給水管5、給水コック6、パッキンなど)が、超音波洗浄などの殺菌効果の高い他の洗浄方法で洗浄されるようになっていてもよい。
【0045】
本実施形態では、内部部材洗浄エリア24が防塵設備20の内部に配置され、外装部材洗浄エリア23が防塵設備20の外部に配置されている。これにより、飲料水が通過する内部部材7の洗浄が、外装部材洗浄エリア23とは隔離された防塵設備20の内部で行われるため、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。
【0046】
分解及び作動チェック(ステップS102)が行われた後の本体3は、本体搬送路11に沿って、本体3に付着している塵埃を除去するための塵埃除去エリア25に搬送される。塵埃除去エリア25には、例えば透明板により形成された隔壁構造体251が設けられており、本体搬送路11に沿って搬送される本体3を隔壁構造体251の内部に導いて、塵埃を除去する作業が行われる(ステップS103)。隔壁構造体251の内部の塵埃は、集塵口252を介して上述の集塵装置15により集められ、メンテナンスシステムの外部へと導かれるようになっている。隔壁構造体251には、作業者が手を挿入して内部の本体3に対する作業を行うための挿入口が設けられ、隔壁構造体251の外側から作業を行うことができるようになっていることが好ましい。
【0047】
本実施形態では、本体3に付着している塵埃を隔壁構造体251の内部で除去した上で本体3を洗浄するとともに、隔壁構造体251の内部の塵埃を集めてメンテナンスシステムの外部へと導くことにより、本体3に付着している塵埃がメンテナンスシステム内で飛散するのを防止することができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。
【0048】
塵埃除去エリア25よりも本体3の搬送方向下流側には、洗浄剤噴射エリア26が配置されている。本体搬送路11に沿って洗浄剤噴射エリア26に搬送された本体3は、当該洗浄剤噴射エリア26において洗浄剤が噴射される。この例では、洗浄剤としてアルカリ電解水が本体3に噴射されるようになっている(ステップS104)。ただし、本体3に噴射される洗浄剤は、アルカリ電解水に限らず、洗浄効果を向上させることができるような他の洗浄剤であってもよい。また、洗浄剤噴射エリア26は省略することも可能である。
【0049】
洗浄剤噴射エリア26よりも本体3の搬送方向下流側には、スチーム洗浄エリア27が配置されている。本体搬送路11に沿ってスチーム洗浄エリア27に搬送された本体3は、当該スチーム洗浄エリア27においてスチームが吹き付けられることによりスチーム洗浄が行われるとともに、洗浄剤等を洗い流すためのすすぎが行われる(ステップS105)。スチーム洗浄エリア27は、本体搬送路11に沿って搬送される本体3を洗浄するための本体洗浄エリアを構成している。ただし、洗浄剤噴射エリア26が本体洗浄エリアを構成していてもよいし、洗浄剤噴射エリア26及びスチーム洗浄エリア27が本体洗浄エリアを構成していてもよい。本体3の洗浄は、洗浄剤又はスチームに限らず、他の任意の方法により行うことができる。
【0050】
スチーム洗浄エリア27よりも本体3の搬送方向下流側には、水滴除去エリア28が配置されている。本体搬送路11に沿って水滴除去エリア28に搬送された本体3は、当該水滴除去エリア28において、例えばエアーが吹き付けられることにより水滴が除去される(ステップS106)。本体搬送路11は、防塵設備20の内部まで延びており、水滴が除去された後の本体3は、本体搬送路11に沿って防塵設備20内に搬送される。防塵設備20における本体3の出入口には、本体3の出入の際以外に防塵設備20を閉塞可能な扉又はカーテンなどが設けられていることが好ましい。
【0051】
防塵設備20内に搬送された本体3は、まず、その外部が洗浄されるとともに、内部部材7又は外装部材8の一部が本体3に組み立てられる(ステップS111)。その後、防塵設備20内に配置されたタンク洗浄エリア29において、本体3のタンク4内に洗浄水が供給されることにより、タンク4内の洗浄及び殺菌が行われる(ステップS112)。洗浄水としては、任意のものを用いることができる。タンク洗浄エリア29には、洗浄水を供給するための配管291が設けられており、当該配管291から本体3のタンク4内に洗浄水を供給することができるようになっている。ただし、このような構成に限らず、例えば洗浄水が予め充填されたボトル2を本体3に取り付けることにより、タンク4内に洗浄水を供給することができるような構成であってもよい。
【0052】
防塵設備20内には、排水溝292が設けられている。当該排水溝292は、防塵設備20の内部から外部まで延びており、防塵設備20内における排水が排水溝292を介して防塵設備20の外部に導かれるようになっている。この例では、排水溝292は、少なくともタンク洗浄エリア29内における本体搬送路11の近傍に設けられており、タンク4の洗浄時にタンク4内に供給された洗浄水を、タンク4内から排出させ、排水溝292内に流入させることができるようになっている。排水溝292は、タンク洗浄エリア29内だけでなく、防塵設備20の内部における他のエリア、又は、防塵設備20の外部における他のエリアの近傍にも延びていてもよい。
【0053】
本実施形態では、本体3に備えられたタンク4内に洗浄水を供給してタンク4内を洗浄することができるとともに、使用後の洗浄水をタンク4内から排出させて、タンク洗浄エリア29内における本体搬送路11の近傍に設けられた排水溝292へと流入させることにより、使用後の洗浄水を円滑に排水することができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0054】
防塵設備20内におけるタンク洗浄エリア29よりも本体3の搬送方向下流側には、組立エリア30が配置されている。本体搬送路11に沿って防塵設備20内を搬送される洗浄後の本体3には、組立エリア30において、それぞれ内部部材洗浄エリア24及び外装部材洗浄エリア23で洗浄された内部部材7及び外装部材8が組み立てられる(ステップS113)。この例では、タンク4を洗浄する前に内部部材7又は外装部材8の一部が本体3に組み立てられ、残りが組立エリア30において組み立てられるようになっている。ただし、内部部材7及び外装部材8が本体3に対して段階的に組み立てられるような構成に限らず、組立エリア30において一度に組み立てられるような構成であってもよい。
【0055】
上述の通り、外装部材搬送路12は防塵設備20の内部まで延びており、当該外装部材搬送路12に沿って防塵設備20内に搬送される洗浄後の外装部材8が、当該防塵設備20内で本体3に組み立てられるようになっている。一方、内部部材7は、防塵設備20内に配置された内部部材洗浄エリア24において洗浄され、そのまま防塵設備20内で本体3に組み立てられるようになっている。
【0056】
本実施形態では、飲料水供給装置1の本体3を洗浄した上で防塵設備20内に搬送し、当該防塵設備20内で洗浄後の内部部材7を本体に組み立てることができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。また、本体搬送路11に沿って本体3を搬送して洗浄後の内部部材7を組み立てることができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、外装部材8を洗浄した上で防塵設備20内に搬送し、当該防塵設備20内で洗浄後の外装部材8を本体3に組み立てることができるので、より衛生的にメンテナンスを行うことができる。また、外装部材搬送路12に沿って洗浄後の外装部材8を搬送して本体3に組み立てることができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0058】
組立後の飲料水供給装置1に対しては、飲料水の漏れが生じないか否かを検査するためのリークテストが行われた後(ステップS114)、その外観がチェックされるとともに、袋がかぶせられる(ステップS115)。その後、飲料水供給装置1は本体搬送路11に沿って防塵設備20の外部に搬送され、梱包エリア31において段ボール等の梱包材で梱包される(ステップS116)。梱包後の飲料水供給装置1は、本体搬送路11上の本体用台車13から降ろされ、顧客への輸送工程へと送られる。この例では、本体搬送路11が環状に形成されており、梱包後の飲料水供給装置1が降ろされた後の本体用台車13には、メンテナンスの対象となる次の飲料水供給装置1が載置されるようになっている。
【0059】
本実施形態では、本体搬送路11上の一部に、作業が行われていない複数の本体3を並べて本体搬送路11上に滞留させておくためのバッファエリア32,33が設けられている。この例では、防塵設備20内に搬送される前の本体搬送路11上(具体的には、スチーム洗浄エリア27の前)に設けられたバッファエリア32と、防塵設備20内における本体搬送路11上(具体的には、組立エリア30の後)に設けられたバッファエリア33との計2つのバッファエリアが配置されている。各バッファエリア32,33では、本体3を本体用台車13上に載置した状態のまま滞留させておくことができる。
【0060】
これにより、作業が行われていない複数の本体3を並べて本体搬送路11上に滞留させておき、それらの各本体3に対する作業を所望のタイミングで開始することができるので、より少ない作業者で効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0061】
図4は、本体用台車13の構成例を示した図であり、(a)は平面図、(b)はA矢視図、(c)はB矢視図をそれぞれ示している。以下では、本体用台車13の構成例について具体的に説明するが、外装部材用台車14にも同様の構成が採用されている。
【0062】
本体用台車13は、本体搬送路11に沿って転動する車輪131と、車輪131を回転可能に保持する保持部材132と、保持部材132に対して上下方向に延びる回転軸138を中心に水平面内で回転可能に取り付けられ、本体3を載置するための載置板133とを備えている。これにより、本体搬送路11に沿って車輪131を転動させて本体用台車13を円滑に搬送することができるとともに、載置板133を水平面内で回転させることにより、当該載置板133上に載置された本体3に対するメンテナンスを円滑に行うことができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0063】
車輪131は、複数備えられている。この例では、4つの車輪131が設けられているが、車輪131の数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。各車輪131は、上下方向に延びる支軸134を中心に回転可能な状態で保持部材132に取り付けられるとともに、水平方向に延びる回転軸135を中心に回転可能となっている。図4(c)に示すように、各車輪131の外周面には、周方向に沿って環状の凹部136が形成されている。
【0064】
各車輪131に形成された凹部136は、レール111,121の幅及び高さに対応する形状を有しており、当該凹部136内にレール111,121を入り込ませた状態で、レール111,121に沿って各車輪131を転動させることができるようになっている。本実施形態では、本体搬送路11及び外装部材搬送路12を構成しているレール111,121は、基本的にそれぞれ1本であり、4つの車輪131のうち2つの車輪131の凹部136内にのみレール111,121が入り込んだ状態で、本体用台車13及び外装部材用台車14がそれぞれ搬送されるようになっている。
【0065】
載置板133は、例えば略正方形状のステンレス板からなり、本体3の底面よりも大きい面積を有するように形成されることにより、本体3を安定して載置することができるようになっている。載置板133には、当該載置板133上の水分を落下させるための通水孔137が多数形成されている。これにより、載置板133上に載置された本体3を洗浄した場合であっても、載置板133上の水分を通水孔137から落下させることにより、本体3の水分を良好に除去することができる。したがって、例えば組立後の本体3を梱包する際に、梱包材に水分が付着するなどの弊害を防止することができる。
【0066】
図5は、本体搬送路11及び外装部材搬送路12の部分平面図である。本実施形態では、本体搬送路11及び外装部材搬送路12が、それぞれレール111,121により形成されており、レール111,121に沿って本体3及び外装部材8をそれぞれ良好に搬送することができるので、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0067】
図5に示すように、本体搬送路11と外装部材搬送路12とは、部分的に交差している。より具体的には、外装部材8が載置された外装部材用台車14を防塵設備20内へ搬入するための外装部材搬送路12の直線状部分と、この部分に対して平行に延び、外装部材8が取り上げられた後の外装部材用台車14を防塵設備20内から搬出するための外装部材搬送路12の直線状部分とで、それぞれ本体搬送路11に対して垂直に交差している。
【0068】
このような本体搬送路11と外装部材搬送路12との交差部分16には、レール111,121が形成されていない。これは、本体搬送路11のレール111上を本体用台車13が搬送される際に、当該本体用台車13が外装部材搬送路12のレール121に干渉するのを防止するとともに、外装部材搬送路12のレール121上を外装部材用台車14が搬送される際に、当該外装部材用台車14が本体搬送路11のレール111に干渉するのを防止するためである。
【0069】
本実施形態では、本体搬送路11と外装部材搬送路12とを交差させることにより、メンテナンスシステムの設置スペースを省スペース化することができる。また、本体搬送路11と外装部材搬送路12とを交差させた場合であっても、その交差部分16にはレール111,121を形成しないことにより、本体3及び外装部材8をそれぞれ良好に搬送することができ、より効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0070】
この例では、本体搬送路11と外装部材搬送路12との交差部分16の近傍に追加のレール112,122が設けられている。これにより、交差部分16の近傍では、本体搬送路11が、平行な2本のレール111,112により形成されるとともに、外装部材搬送路12が、平行な2本のレール121,122により形成されている。このような追加のレール112,122の作用により、交差部分16においても安定して本体用台車13及び外装部材用台車14を搬送することができる。
【0071】
また、外装部材搬送路12を構成しているレール121の一端部は、V字状に拡がるようにレールが設けられた受け部123となっている。これにより、外装部材用台車14から外装部材8を取り上げた後、外装部材用台車14を外装部材搬送路12のレール121上に戻す際に、受け部123からレール121上へと円滑に導くことができる。
【0072】
図6は、本体3のタンク4を洗浄する際の態様について説明するための概略背面図である。タンク4を洗浄する際には、タンク4内に供給された洗浄水を排水溝292へと排出させるための排水装置17が用いられる。
【0073】
タンク4内に供給された洗浄水は、タンク4の背面に形成された開閉可能な排水口41から排水することができるようになっている。排水装置17は、タンク4の排水口41から排水される洗浄水を受けるための受水部171と、受水部171で受けた洗浄水を排水溝292に導くための排水管172とを備えている。
【0074】
この例では、本体3の背面に格子状のネット部173が形成されており、当該ネット部173に受水部171を引っ掛けて取り付けることができるようになっている。排水管172は、例えば可撓性を有するホースからなり、その一端部が受水部171に取り付けられるとともに、他端部が作業者により排水溝292の内部又は上部に配置されることにより、受水部171で受けた洗浄水をこぼすことなく排水溝292に導くことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 飲料水供給装置
2 ボトル
3 本体
4 タンク
5 給水管
6 給水コック
7 内部部材
8 外装部材
11 本体搬送路
12 外装部材搬送路
13 本体用台車
14 外装部材用台車
15 集塵装置
16 交差部分
20 防塵設備
21 分解エリア
22 電力供給エリア
23 外装部材洗浄エリア
24 内部部材洗浄エリア
25 塵埃除去エリア
26 洗浄剤噴射エリア
27 スチーム洗浄エリア
28 水滴除去エリア
29 タンク洗浄エリア
30 組立エリア
31 梱包エリア
32,33 バッファエリア
111,121 レール
131 車輪
132 保持部材
133 載置板
137 通水孔
221 電力供給部
251 隔壁構造体
252 集塵口
291 配管
292 排水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を通過させて外部へ供給するための内部部材と、前記内部部材を収容する外装部材とを備えた飲料水供給装置のメンテナンスシステムであって、
前記飲料水供給装置から前記内部部材及び前記外装部材を分解するための分解エリアと、
分解された前記内部部材を洗浄するための内部部材洗浄エリアと、
分解された前記外装部材を洗浄するための外装部材洗浄エリアと、
洗浄後の前記内部部材及び前記外装部材を組み立てるための組立エリアとを備え、
前記内部部材洗浄エリアが防塵設備の内部に配置され、前記外装部材洗浄エリアが前記防塵設備の外部に配置されていることを特徴とする飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項2】
前記内部部材及び前記外装部材が取り外された前記飲料水供給装置の本体を搬送するための本体搬送路と、
前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体を洗浄するための本体洗浄エリアとを備え、
前記本体搬送路は、前記防塵設備の内部まで延びており、
前記本体搬送路に沿って前記防塵設備内を搬送される洗浄後の前記本体に対して、洗浄後の前記内部部材が組み立てられることを特徴とする請求項1に記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項3】
洗浄後の前記外装部材を搬送するための外装部材搬送路を備え、
前記外装部材搬送路は、前記防塵設備の内部まで延びており、
前記本体搬送路に沿って前記防塵設備内を搬送される洗浄後の前記本体に対して、洗浄後の前記外装部材が組み立てられることを特徴とする請求項2に記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項4】
前記本体搬送路及び前記外装部材搬送路が、それぞれレールにより形成されていることを特徴とする請求項3に記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項5】
前記本体搬送路と前記外装部材搬送路とが交差しており、当該交差部分には前記レールが形成されていないことを特徴とする請求項4に記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項6】
前記本体搬送路に沿って搬送され、前記本体を載置するための台車を備え、
前記台車が、前記本体搬送路に沿って転動する車輪と、前記車輪を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に対して水平面内で回転可能に取り付けられ、前記本体を載置するための載置板とを有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項7】
前記載置板には、当該載置板上の水分を落下させるための通水孔が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項8】
前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体に電力を供給するための電力供給エリアを備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項9】
前記本体洗浄エリアよりも前記本体の搬送方向上流側に配置され、前記本体搬送路に沿って搬送される前記本体を隔壁構造体の内部に導いて、前記本体に付着している塵埃を除去するための塵埃除去エリアと、
前記隔壁構造体の内部の塵埃を集めて前記メンテナンスシステムの外部へと導くための集塵装置とを備えることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項10】
作業が行われていない複数の前記本体を並べて前記本体搬送路上に滞留させておくためのバッファエリアを備えることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。
【請求項11】
前記本体に備えられた飲料水を貯留するためのタンク内に洗浄水を供給して、前記タンク内を洗浄するためのタンク洗浄エリアと、
前記タンク洗浄エリア内における前記本体搬送路の近傍に設けられ、前記タンク内から排出させた洗浄水を流入させるための排水溝とを備えることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の飲料水供給装置のメンテナンスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35907(P2012−35907A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199168(P2010−199168)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願変更の表示】意願2010−5297(D2010−5297)の変更
【原出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(507249993)株式会社MCエバテック (8)
【Fターム(参考)】