説明

飲料製造装置

【課題】高い費用対効果と冷たい水の正確な混合が可能にする。
【解決手段】加熱装置(2)を通る主流路(3)と、加熱装置(2)を迂回するバイパス流路(4)とを備え、バイパス流路(4)は、上記主流路(3)における加熱装置(2)よりも上流から分岐し、主流路(3)は、入力側が水タンク(5)に接続され、出力側が吐出部(6)に接続され、上記主流路(3)の上記水タンク(5)と加熱装置(2)との間に主流路側ポンプ(7)が配置された飲料製造装置(1)、特にコーヒーメーカーに関する。重要なのは、バイパス流路(4)にバイパス流路側ポンプ(8)が配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載されている、加熱装置を通る主流路と該加熱装置を迂回するバイパス流路とを備えた飲料製造装置、特に完全自動のコーヒーメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料製造装置では、必要な抽出水や、お茶、混合抽出飲料は、一般に加熱装置によって加熱されて所定の温度になる。この温度は、例えば、ボイラーシステムにおいて調節して設定されたり、システム(例えば、蒸気ボイラー内の連続流水加熱装置の温水)によって予め決められていたりする。飲料の高品質を一貫して保証できるように、最適な温度の抽出水を個別に分配できなければならない。そしてこのために、原則的には、3つの実現可能な手段が知られている。第1の手段では、要求される最低限の温度に抽出水を加熱し、それから、その飲料に応じて、システムの温度を短時間で設定温度まで上昇させるか、又は飲料を下流側のブースター(小型の連続流水加熱装置)によって短時間で設定温度まで上昇させる。第2の手段では、ヒーターシステムにおいて、抽出水を、より高いレベル又は必要となる最高のレベルの抽出温度にして、その後、冷たい水を加えることによって所望の抽出温度にする。第3の方法では、その飲料に応じて、加熱システム全体を非常に素早く加熱する。これは、しかしながら、比較的分配量が少量の場合のみに効果的であるように思える。一般的には、上記第2の方法、すなわち、冷たい水を実際のヒーターシステムに供給することにより温度を調整する方法が用いられる。必要に応じてバイパス流路を開放することにより冷たい水が加熱装置付近の飲料流出口へ流れるのを許容する絞り又は磁気バルブが、当該バイパス流路に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記システムの欠点は、正確には知られていないが、主流路及びバイパス流路の圧力差がほとんど同じであるために、該システムの流れが主流路(加熱装置)及びバイパス流路(絞り又はバルブ)によって設定されることである。この発生する流れは、上記2つの流路の実際の断面積に加え、さらに、媒体の粘度だけでなく、システム全体の流体力学的作用に影響される。また、発生する流れの速度は、下流に接続されている抽出装置に応じて、又はシステムの現在の状況(抽出スタート、予備抽出、抽出終了等)に応じて大きく変化する。例えばバルブによって流路が閉じられると、流速はそれぞれの流路でも明らかに変化する。流体力学的な未知且つ制御不能な影響によっても、設定される混合温度が不安定になる。
【0004】
本発明は、一般的なタイプの飲料製造装置のための改良された又は少なくとも代替の実施形態の問題を取り上げており、特に簡単な構成の問題解決策である点に特徴があり、正確な混合温度を高い信頼性で設定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題は、独立請求項1の主題による発明に従って解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明は、主流路及びバイパス流路を備えた飲料製造装置(これ自体は知られている)のバイパス流路にバイパス流路側ポンプを配置し、該バイパス流路側ポンプによって冷たい水の混合量を正確に計量する、という概念に基づいている。主流路は、加熱装置(例えば連続流水加熱装置)を通じて導く一方、バイパス流路はこの加熱装置を迂回し、主流路における該加熱装置の上流から分岐している。
【0007】
主流路は、その流入側が、水タンクに、又はラインネットワークから水源に対して接続される一方、流出側が吐出部に接続される。この主流路において、主流路側ポンプは、水タンク又はラインネットワークと、加熱装置との間に配置される。本発明による解決策は、主流路の水タンク又はラインネットワークから分岐し、冷たい混合水を搬送するポンプ(ここではバイパス流路側ポンプ)を、今までは同じ場所に配置されていた絞り又はバルブの代わりに配置することである。バイパス流路側ポンプは、望まれる飲料に応じて、そして、主流路の入力又は吐出部で発生している流量又は温度に応じて制御できる。バイパス流路側ポンプが動作していない場合、全ての水は主流路全体に流れることになるが、特に絞りで構成されたスロットル機構を有し上記バイパス流路を迂回する迂回路を設けることによって、所定の基本的なバイパス流れを設定できることは言うまでもない。主流路とバイパス流路との間の低い圧力差が小さいことにより、混合水の量を既知のポンプ(特にギアポンプ又は磁気式のピストンポンプ)特性で正確に制御できることが、本発明に係る解決策の大きな利点としてあげられる。バイパス流路側ポンプのアクティブな応答性により、予定の流速を更に素早く得ることができ、バイパス流路側ポンプの容量の対応変更により、吐出部又は混合エリアにおいて個々の混合温度を確実に得ることができる。原理的に、このようなバイパス流路側ポンプは、例えば2ポート2位置磁気バルブと比べて費用対効果が大きく、従って本発明に係る解決策は経済的でもある。
【0008】
本発明に係る解決策の有利な更なる改良の場合、特に、バイパス流路側ポンプは、ベーンポンプ、ギアポンプ、又は磁気式のピストンポンプで構成されている。磁気式のピストンポンプは、非常にシンプルな構成でありながら、非常に信頼性の高い膜ポンプの構造である。この磁気式の場合、コイルが、振動可能に設けられたレバー(すなわち、アンカー)のアクチュエータとして働き、そのコイルに交流電圧が印加されて磁場がレバーに作用する。そのレバーの端部は膜に作用する。磁気式のピストンポンプは、該ポンプを動作させる一般的な交流電圧の周波数で動作する。このような磁気式のピストンポンプは、特にアンカーの固有周波数が交流周波数に適合してバイパス流路側ポンプないしは磁気式ピストンポンプが共振するときに、特に良好な効率に達する。これらの部品は動きが小さいため、上記磁気式のピストンポンプの耐用期間が長くなるとともに、非常に静かに動作するから、特に現代の飲料製造装置にとって有利である。
【0009】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面に対応する詳細な説明に従う。
【0010】
上述した特徴及び以下で説明される特徴は、詳述された組合せだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組合せ又は単独で用いることができるのは言うまでもない。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、図面に描かれ、以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る飲料製造装置の可能な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1によれば、本発明に係る飲料製造装置1(例えばコーヒーメーカーとして構成できる)は、加熱装置2を通す主流路3と、該加熱装置2を迂回するバイパス流路4とを備えている。このバイパス流路4は、上記主流路3における加熱装置2の上流から分岐し、主流路3は、流入側が水タンク5又はラインネットワークに接続され、流出側が吐出部6に接続されている。主流路3では、主流路側ポンプ7が水タンク5と加熱装置2との間に配置されている。本発明によれば、バイパス流路側ポンプ8が、今まで同じ場所によく配置されていたバルブの代わりに、又は今まで同じ場所に配置されていた絞りの代わりに、バイパス流路4に配置されている。
【0014】
主流路3では、主流路側ポンプ7の下流に流量計9が配置され、加熱装置2の下流に、抽出バルブ10と抽出装置11とが配置されている。ここに、バイパス流路4を、主流路3における水タンク5と主流路側ポンプ7との間から分岐させたり、主流路3における主流路側ポンプ7と流量計9との間から分岐させたり、又は主流路3における流量計9と加熱装置2との間から分岐させたりすることができる。
【0015】
バイパス流路4の主流路3への戻りは、好ましくは、加熱装置2と抽出バルブ10との間か、又は抽出装置11の下流になされる。バイパス流路4の主流路3からの分岐位置、並びに主流路3への戻り位置に関する変形例は、破線で描かれている。
【0016】
加熱装置2及びバイパス流路側ポンプ8を迂回する迂回路12を設けることもでき、該迂回路12には、スロットル機構13、特に絞りが配置される。
【0017】
一般的に、バイパス流路側ポンプ8及び/又は主流路側ポンプ7は、ベーンポンプ、ギアポンプ、又は磁気式のピストンポンプで構成でき、特にピストンポンプは費用対効果が高く、同時に正確に制御できるポンプである。加熱装置2は、例えば、一般的な連続流水加熱装置で構成できる。
【0018】
更に、バイパス流路側ポンプ8を、流量、吐出部6での飲料の温度、又は水タンク5内の水温に応じて制御又は調整する制御装置14を設けることができる。
【0019】
主流路3とバイパス流路4との間の低い圧力差のおかげで、混合水の量は、既知のポンプ(特にギアポンプ又は磁気式のピストンポンプ)で、非常に正確に制御できる。バイパス流路側ポンプ8により、設定された流速を更に素早く確立できる。混合、すなわちバイパス流路側ポンプ8の混合量は、全体の流速が知られている場合に正確に制御でき、その流速は流量計9によって測定できる。バイパス流路側ポンプ8の容量変更又はバイパス流路側ポンプ8を運転時間変更により、様々な混合温度を確実に得ることができ、これにより例えば下流に接続されるセンサー要素(図示省略)を調整できる。
【0020】
更に、バイパス流路4を予熱することにより、休止補償を得ることができ、及び/又は、バイパス流路側ポンプ8によって加熱装置2内のデスケーリング液の流れを確保することができ、特に抽出バルブ10が作動しないという条件において、デスケーリングを改善することができる。例えば、バイパス流路4の少なくとも一部を加熱するための、更なる加熱装置16を設けることができる。
【0021】
動作をシンプルにするために、バイパス流路側ポンプ8は、最低限必要な混合温度を得るのに必要な正確な量又はわずかに高い量のバイパス水を既存圧力条件下で搬送する。冷たい飲料が望まれる場合、バイパス流路側ポンプ8を常に動作させることができる。しかしながら、図1に破線で示されるように、後混合で、実際の抽出工程の後にのみ、バイパス流路側ポンプ8を介して吐出部6の領域に直接、混合水を混合することも可能である。
【0022】
図1で示される別の実施形態の場合、加熱装置2の上流及び下流の間の圧力差と同様、バイパス流路4及び主流路3の間の圧力差は比較的低く、これがバイパス流路側ポンプ8を、非常に低い圧力で又は僅かな圧力上昇で動作できる理由である。バイパス流路側ポンプ8を、ギアポンプ、ベーンポンプ、又は磁気式のピストンポンプとして製造した場合、今まで用いられてきた磁気バルブと比べて、更に費用対効果の高い製造を行うことができる。また、同時に、主流路3に主要な流れが存在する場合であっても、バイパス流路4のあらゆる形態のバイパス流路側ポンプ8によって、上記設定流速を得ることができる。
【0023】
一般的に、お茶用のお湯の供給も可能であり、この場合、抽出装置11及び抽出バルブ10を迂回し加熱装置2から直接、混合位置又は飲料吐出部6へ導く流路15が選択される。
【0024】
バイパス流路側ポンプ8が動作していない場合、基本的迂回路によりスロットル機構13を介して加熱装置2を迂回できるが、バイパス流路側ポンプ8が動作しておらず且つスロットル機構13が閉じているとき、全ての流れが主流路3を介して行われることは言うまでもない。同様に、バイパス流路側ポンプ8が単独で動作しているとき、つまり、主流路側ポンプ7を用いず且つ加熱装置を通じて水が搬送されない場合、冷たい水を抽出することも可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置(2)を通る主流路(3)と、該加熱装置(2)を迂回するバイパス流路(4)とを備え、
上記バイパス流路(4)は、上記主流路(3)における加熱装置(2)よりも上流から分岐し、
上記主流路(3)は、入力側が水タンク(5)又はラインネットワークに接続され、出力側が吐出部(6)に接続され、
上記主流路(3)の、上記水タンク(5)と加熱装置(2)との間に主流路側ポンプ(7)が配置された飲料製造装置(1)、特にコーヒーメーカーであって、
上記バイパス流路(4)にはバイパス流路側ポンプ(8)が配置されていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料製造装置において、
上記主流路(3)では、流量計(9)が上記主流路側ポンプ(7)の上流又は下流に配置され、抽出バルブ(10)及び抽出装置(11)が上記加熱装置(2)の下流に配置されていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料製造装置において、
上記バイパス流路(4)は、
上記主流路(3)における上記水タンク(5)又はラインネットワークと上記主流路側ポンプ(7)との間から分岐しているか、
上記主流路(3)における上記主流路側ポンプ(7)と上記流量計(9)との間から分岐しているか、又は、
上記主流路(3)における上記流量計(9)と上記加熱装置(2)との間から分岐していることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の飲料製造装置において、
上記バイパス流路(4)は、
上記主流路(3)における上記加熱装置(2)と上記抽出バルブ(10)との間に戻されるか、又は、
上記主流路(3)における上記抽出バルブ(10)の下流に戻されることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
加熱装置(2)及びバイパス流路側ポンプ(8)を迂回する迂回路(12)が設けられ、該迂回路(12)には、スロットル機構(13)、特に絞りが配置されていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
上記バイパス流路側ポンプ(8)及び/又は上記主流路側ポンプ(7)は、
ベーンポンプ、ギアポンプ、又は磁気式のピストンポンプで構成されていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
上記加熱装置(2)は、連続流水加熱装置又はボイラーで構成されていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
上紀バイパス流路側ポンプ(8)を、流量、上記吐出部(6)での飲料の温度、又は上記水タンク(5)の水温に応じて制御又は調整する制御装置(14)が設けられていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
バイパス流路(4)の少なくとも一部を加熱できる追加の加熱装置(16)が設けられていることを特徴とする飲料製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−239913(P2012−239913A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115781(P2012−115781)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(502241800)ヴェーエムエフ ヴュルテンベルギッシェ メタルヴァーレンファブリーク アクチエンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】WMF Wuerttembergische Metallwarenfabrik AG
【住所又は居所原語表記】Eberhardstrasse, 73309 Geislingen/Steige, Die Bundesrepublik Deutschland
【Fターム(参考)】