説明

飲料調合ノズル

【課題】希釈された飲料のノズル内への付着残留を抑制できるようにしながら、ノズルの周囲が汚れ難く、飲料の味覚を損なうおそれも少ない飲料調合ノズルを提供する。
【解決手段】原液を希釈液で希釈してある飲料を調合するための飲料調合ノズルであって、原液を吐出させる第1吐出口1が下向きに開口する第1先端部9を備えた第1ノズル部材2と、希釈液を吐出させる第2吐出口3が下向きに開口する第2先端部13を備えた第2ノズル部材4とを有し、第1先端部9を第2吐出口3から下向きに突出するように配設して、第2吐出口3が第1先端部9を囲む環状に形成され、かつ、第1吐出口1が第2吐出口3よりも吐出方向下流側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原液を希釈液で希釈してある飲料を調合するための飲料調合ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物の栄養源となる糖分を高濃度で含んでいる含むジュース用シロップなどの原液は微生物が増殖し難いが、原液を希釈液で希釈してある飲料は、糖分濃度が適度に希釈されているので微生物が増殖し易い。
このため、原液と希釈液とをノズル内で混合して希釈すると、糖分濃度が適度に希釈された飲料がノズル内に付着残留して雑菌が繁殖するおそれがあり、ノズルの洗浄を頻繁に行うなどの手間が掛かる問題がある。
この問題を解決するために、従来の飲料調合ノズルでは、原液を吐出させる原液ノズルと希釈液を吐出させる希釈液ノズルとを独立に設けて、希釈された飲料がノズル内に付着残留しないように、原液ノズルから吐出された原液と希釈液ノズルから吐出された希釈液とを、いずれのノズルからも離れた空中で互いに衝突させることにより混合している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の飲料調合ノズルでは、原液と希釈液との衝突時に飛沫が生じてノズルの周囲が汚れ易いと共に、原液と希釈液との衝突時に空気が混入して飲料の味覚を損なうおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、希釈された飲料のノズル内への付着残留を抑制できるようにしながら、ノズルの周囲が汚れ難く、飲料の味覚を損なうおそれも少ない飲料調合ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、原液を希釈液で希釈してある飲料を調合するための飲料調合ノズルであって、原液を吐出させる第1吐出口が下向きに開口する第1先端部を備えた第1ノズル部材と、希釈液を吐出させる第2吐出口が下向きに開口する第2先端部を備えた第2ノズル部材とを有し、前記第1先端部を前記第2吐出口から下向きに突出するように配設して、前記第2吐出口が前記第1先端部を囲む環状に形成され、かつ、前記第1吐出口が前記第2吐出口よりも吐出方向下流側に配置されている点にある。
【0006】
本構成の飲料調合ノズルは、原液を吐出させる第1吐出口が下向きに開口する第1先端部を、希釈液を吐出させる第2吐出口から下向きに突出するように配設して、第2吐出口が第1先端部を囲む環状に形成されているので、第1吐出口と第2吐出口とを吐出口径方向に互いに近接させて配置することができる。
また、第1吐出口が第2吐出口よりも吐出方向下流側に配置されているので、第2吐出口から吐出させた希釈液を第1先端部の外周に沿って第2ノズル部材の外側に流下させて、その流下する希釈液中に第1吐出口を臨ませることができる。
したがって、本構成の飲料調合ノズルであれば、第1ノズル部材及び第2ノズル部材の外側で、第1先端部の外周に沿って流下する希釈液中に原液を合流させて混合することができるので、希釈された飲料のノズル内への付着残留を抑制できるようにしながら、飛沫が生じ難くなると共に、希釈された飲料中に空気が混入し難くなり、ノズルの周囲が汚れ難く、飲料の味覚を損なうおそれも少ない。
また、第1吐出口が第2吐出口よりも吐出方向下流側に配置されているので、第1吐出口から吐出した原液が第2ノズル部材の内部に入り込むおそれがない。
よって、第2ノズル部材がその内部を通過する希釈液で効果的に洗浄されることになり、第2ノズル部材の洗浄頻度を減らすことができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記第1先端部が、吐出方向下流側に向けて突出する凸曲面状に形成されている点にある。
【0008】
本構成であれば、第2吐出口から吐出させた希釈液を、凸曲面状に形成された第1先端部に沿って第1吐出口の側に向けて円滑に流下させ易くなり、第1吐出口を流下する希釈液中に確実に臨ませ易い。
また、第1吐出口の複数を開口させたい場合に、第1先端部の表面積を大きく確保して、隣り合う第1吐出口どうしの間隔を大きく設定することができ、第1先端部の強度を確保し易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記第1吐出口の複数が、前記第1先端部に開口している点にある。
【0010】
本構成であれば、凸曲面状に形成された第1先端部に第1吐出口の複数が開口しているので、複数の第1吐出口のうちの少なくとも一つを斜め下方に向けて開口させて、流下する希釈液中に臨ませることができる。
したがって、その第1吐出口から吐出される原液に希釈液の流れ方向に対して交差する方向の速度成分を与えて、希釈液中における原液と希釈液との衝突を促進することができ、原液を均一に希釈し易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】飲料調合ノズルを示す一部断面側面図である。
【図2】飲料調合ノズルの先端部分を示す断面図である。
【図3】飲料調合ノズルの先端部分を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、飲料ディスペンサー(図示せず)に装備される本発明による飲料調合ノズルAを示す。
飲料ディスペンサーは、ジュース用シロップなどの原液が要求に応じて希釈液で所定濃度に希釈された飲料をコップなどに入れてユーザに提供する。
飲料調合ノズルAは、原液を希釈液で所定濃度に希釈してある飲料を調合するために装備される。
【0013】
飲料ディスペンサーは、ジュースやウーロン茶などの非炭酸系飲料及びコーラ等の炭酸系飲料を選択的に提供することができる。尚、アルコール濃度が高いウイスキーや焼酎などを原液として、これらの原液を所定濃度に希釈した非炭酸系アルコール飲料や炭酸系アルコール飲料を提供するものであってもよい。
炭酸系飲料を提供する場合は、希釈液としての炭酸ガスを溶解させてある希釈水(炭酸水)で原液を希釈する。
【0014】
飲料調合ノズルAは、原液を吐出させる複数(本実施形態では三つ)の第1吐出口1が形成された第1ノズル部材2と、希釈液を吐出させる単一の第2吐出口3が形成された第2ノズル部材4とを同芯状に有している。
そして、軸芯Xを鉛直に対して少し傾けた姿勢で、飲料ディスペンサーの支持枠5などにビス止めされている。
なお、第1ノズル部材2と第2ノズル部材4とを鉛直方向に沿わせて固定してあってもよい。
【0015】
第1ノズル部材2は、原液供給配管(図示せず)が接続される第1接続部6と、第1接続部6及び各第1吐出口1に連通する円形断面形状の原液供給路7を形成する第1筒部8と、第1筒部8の先端側を囲む第1先端部9と、ディフューザー14とを備えている。
三つの第1吐出口1は、図3に示すように、第1先端部9に周方向に等間隔を隔てて下向きに開口している。
【0016】
第2ノズル部材4は、希釈液供給配管(図示せず)が接続される第2接続部10と、第2接続部10及び第2吐出口3に連通する円形断面形状の希釈液供給路11を形成する第2筒部12と、第2吐出口3が下向きに開口する第2先端部13とを備えている。
【0017】
第2接続部10を介して希釈液供給配管から供給された希釈液は、ノズル本体15とディフューザー14との隙間16を通過して希釈液供給路11に流入する。
第1ノズル部材2を第2ノズル部材4の内側に設けて、第1筒部8と第2筒部12とが同じ軸芯Xで配設されている。
【0018】
第1先端部9は、図2,図3に示すように、第2吐出口3から下向き外方に突出するように配設して、第2吐出口3が第1先端部9を囲む環状に形成され、かつ、第1吐出口1が第2吐出口3よりも吐出方向下流側に配置されている。
【0019】
第1先端部9は、第1筒部8と同じ内径で、かつ、第1筒部8と同じ肉厚(本実施形態では約1mm)で半球形のドーム状に形成して、吐出方向下流側に向けて突出する凸曲面状に形成されている。
【0020】
第1吐出口1の夫々は、半球中心Pよりも軸芯Xに沿って若干上流側(例えば1.5mm程度上流側)に設定した中心点Qを通り、かつ、軸芯Xに対して10〜15°の角度θで傾斜する軸芯Y周りで、直径が1.0〜1.5mmの円形に形成して、第2吐出口3から流下する希釈液中に臨むように開口させてある。
【0021】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による飲料調合ノズルは、第1先端部9が扁平な板状に形成されていてもよい。
2.本発明による飲料調合ノズルは、第1先端部9が円錐形や角錐形のドーム状に形成されていてもよい。
3.本発明による飲料調合ノズルは、複数の第1吐出口1のうちの一つが第1先端部9の中心軸Xを中心とする円形に形成されていてもよい。
4.本発明による飲料調合ノズルは、単一の第1吐出口1が第1先端部9の中心軸Xを中心とする円形に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 第1吐出口
2 第1ノズル部材
3 第2吐出口
4 第2ノズル部材
9 第1先端部
13 第2先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液を希釈液で希釈してある飲料を調合するための飲料調合ノズルであって、
原液を吐出させる第1吐出口が下向きに開口する第1先端部を備えた第1ノズル部材と、
希釈液を吐出させる第2吐出口が下向きに開口する第2先端部を備えた第2ノズル部材とを有し、
前記第1先端部を前記第2吐出口から下向きに突出するように配設して、前記第2吐出口が前記第1先端部を囲む環状に形成され、かつ、前記第1吐出口が前記第2吐出口よりも吐出方向下流側に配置されている飲料調合ノズル。
【請求項2】
前記第1先端部が、吐出方向下流側に向けて突出する凸曲面状に形成されている請求項1記載の飲料調合ノズル。
【請求項3】
前記第1吐出口の複数が、前記第1先端部に開口している請求項2記載の飲料調合ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14338(P2013−14338A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146497(P2011−146497)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(501385444)サントリーフーズ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】