説明

飲料調製用材料

【課題】フィルターの目詰まりのないカプセルを提供する。
【解決手段】内部に分散された飲料成分50を有する実質的に不溶性のかつ透水性のフィルターマトリクス49を備えた飲料調製用材料は、飲料成分の複数の層、セル、または個々の粒子が、フィルターマトリクスの領域によって飲料調製用材料内に間隔をおいた関係で保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の調製に用いられる材料、このような材料から飲料を調製する方法、および上記材料を収容する飲料調製用カプセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
挽かれたコーヒーまたは茶葉を容れたフィルターパックを手で熱湯に浸すことによって、コーヒーまたはお茶等の飲料を調製することが長い間知られて来た。これらのティーバッグおよびコーヒーバッグは、取扱いおよび廃棄に問題があり、かつ飲料の濃さは、フィルターバッグが熱湯に浸されている時間の長さに決定的に影響される。
【0003】
特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、例えば種類の異なるコーヒーを容れておくために、あるいは、一方の区画内にはお茶を容れ、他方の区画内にはミルクパウダまたは香料を容れるために、2個以上の区画に分かれたフィルターパックが記載されている。いくつかの実施の形態においては、上記区画は、例えば裂くことによって互いに分離することができ、区画内の内容物が別個に、または順次お湯に浸されるようになっている。取扱いの容易さの改善、飲料の濃さの調節の改善および飲料の種類の範囲拡大を含む効果は疑わしい。
【0004】
多くの飲料調製システムが知られており、それらにおいては、挽かれたコーヒー等の飲料調製用粉末成分を容れたカプセルを飲料調製装置の飲料調製ステーション内に挿入することによって飲料が作られる。この装置は、次にお湯をカプセル内に注入し、カプセル内で飲料調製用成分がお湯の中に溶けるか、またはお湯の中に抽出されて飲料を調製する。飲料は、カプセルの単純な開口部またはカプセルの出口領域を貫通する取出しチューブ等の適当な出口を通ってカプセルから流出する。カプセルはフィルタを備えていて、コーヒー粉末等の固形成分がカプセルから流出するのを防止している。この一般的な形式の飲料調製システムは、例えば、特許文献5〜12に記載されており、これらの内容のすべては、本明細書に引用されて組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2292554号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0255788号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0005027号明細書
【特許文献4】国際公開第96/23695号パンフレット
【特許文献5】国際公開第94/01344号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第05/12468号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第04/68079号明細書
【特許文献8】米国特許第5,840,189号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第02/72922号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第08/21906号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第01/79641号明細書
【特許文献12】国際公開第02/19875号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のシステムから生じ得る問題は、例えばカプセル内部の成分床をお湯が通り抜けてしまうことによる飲料成分の不完全な溶解や抽出である。生じ得る別の問題は、カプセル内部の粒子成分によって、お湯の流れが阻止されたり、フィルタに目詰まりが生じたりすることによって、過剰なシステム背圧が生じることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記問題を克服し、さらには付加的な効果を提供することを追求するものである。
【0008】
第1の態様において、本発明は、内部に分散された飲料成分を有する実質的に不溶性のかつ透水性のフィルターマトリクスを備えた飲料調製用材料を提供し、上記飲料成分からなる複数の層、セル、または個々の粒子が、上記フィルターマトリクスによって上記材料内に間隔をおいた関係で保持されている。
【0009】
上記「フィルターマトリクス」とは、液体であるお湯の通過は許容するが、挽かれたコーヒー、葉茶等の粒子状飲料調製用成分、またはホットチョコレート、粉ミルク、甘味料等のお湯に溶ける粒子成分の通過は実質的に阻止する多孔質の固体を意味する。このフィルターマトリクスは、本発明の材料にお湯を通過させることによって、飲料が調製されることを許容する。成分の層、セルまたは粒子の凝集が上記マトリクスによって阻止されるので、飲料成分の抽出および溶解が極めて効率的である。上記抽出または溶解作用の間、上記マトリクスの多孔度が維持され、または増大され、これによって、飲料調製機器内のシステム圧力が低下し、かつより予測可能になる。換言すれば、本発明の材料は、飲料調製成分が間隔をおいた状態で内部に分布しているマトリクスを提供する濾過材料からなる三次元体を備えている。本発明による材料は、材料の内部、例えば材料の表面から少なくとも約1mmのところに配置されたフィルターマトリクスの主要部(少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%または90重量%)を有する。したがって、「フィルターマトリクス」は、これらの組織が、外表面上のみにシート形状の濾過材料を備えているので、特許文献1〜4に記載された種類の多数の区画を有する濾過封体を包含しない。
【0010】
飲料成分は、上記マトリクス材料によって分離された複数の層、セル(すなわち、小さく囲われた飲料成分)または個々の粒子として上記マトリクス内に分散されている。隣接する層、セルまたは個々の粒子は、上記マトリクス内で約2mm未満、例えば約1mm未満だけ間隔を保たれているのが適当である。複数の層、セルまたは個々の粒子は、他の複数の層、セルまたは個々の粒子に隣接しているのが適当である。飲料成分は、上記マトリクス内に実質的に固定されていることが適当である。すなわち、上記飲料調製用成分の層、セルまたは個々の粒子は、上記マトリクスが優しい取扱いを受けたときには、マトリクス内に留まるように、十分にマトリクスにくっつけられまたはマトリクス内に捕捉されている。固定された層、セルまたは個々の粒子は、材料を通過するお湯の注入による飲料調製時に、同様に実質的に固定され、これにより、低い背圧をもって、フィルタの目詰まりを発生することなく急速抽出を助ける。
【0011】
本発明による材料は、実質的な引き裂けまたは破裂を伴わずに、かつ上記マトリクスからの成分の損失を伴わずに取り扱うことができるように、十分な結合性および強度を有することが適当である。このことは、容器に入っていない粒子状飲料調製成分よりも、飲料調製用カプセル内に整形されパッケージされた材料の方が容易に可能になる。
【0012】
いくつかの実施の形態においては、飲料成分の個々の粒子またはセルが、フィルターマトリクスの実質的に連続した基体内に分散されている。例えば、この基体は、後述のように、内部に連続的に分散された飲料成分の粒子またはセルを有する、実質的に水に不溶性の不織布が良い。他の実施の形態においては、上記マトリクスが、分散された飲料成分を内部に有する、熱可塑性粒子等の水に不溶性の粒子からなる液体透過性の焼結体を含むかまたは焼結体から実質的になる。
【0013】
さらに他の実施の形態において、上記マトリクスは層になった構造を有し、そのマトリクス内に飲料成分が複数のセルまたは層として分散されている。一般的には、少なくとも2個のセルまたは層が、より適しているのは少なくとも4個のセルまたは層が、そして少なくとも6個、8個または10個のセルまたは層が上記材料内に存在するのが好ましい。これらのセルまたは層は、液体透過性のマトリクス材料を飲料成分からなる層またはセルと積層することによって形成される。この積層体は、単純な積層体であっても、あるいは、キルティングされた2層のマトリクス材料と、これらのマトリクス材料間のポケット内の飲料成分からなるセルとによって形成されたセル状積層体であってもよい。随意的にこの材料は、マトリクス材料と飲料成分とを、下記にさらに詳細に説明されているように、螺旋状に巻き上げること(スイスロール)によって形成される。これは、単一層の飲料成分が多数層に巻き上げられるのを可能にするので評価されるべきである。
【0014】
上記マトリクスを形成するために適した材料は、水には不溶性であるが、親水性の、食品に用いることが許可されている材料である。これらは例えば、発泡ポリウレタンあるいは開放セル発泡ポリオレフィン等の液体透過性の発泡材料である。実質的に水には不溶性の材料の繊維、例えば織布または不織布を含む、またはこれらから実質的になるマトリクスがより適している。マトリクスを構成する繊維は、セルロース繊維、ポリオレフィン繊維、またはナイロン(登録商標)繊維等の食品に用いることが許可されているいずれかの繊維が適している。
【0015】
いくつかの実施の形態においては、フィルターマトリクスは、コンポスタブルな材料を含むまたはその材料からなる。「コンポスタブル」とは、堆肥にされたとき、数ヶ月以内に、好ましくは数週間以内に実質的に分解される物質を意味する。一般的に、この材料は、EN13432におけるISO14855の方法によって定義されているような、少なくとも約90%が6ヶ月以内に堆肥になり得る物質である。マトリクスフィルタに用いることができる熱可塑性コンポスタブルポリマーとしては、乳酸およびグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、澱粉誘導体、セルロースおよび誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
上記マトリクスは、1枚または複数枚の不織布または不織体を含むかあるいはそれらから実質的になることが好ましい。すなわち、不織布または不織体は、多くの繊維の絡み合いまたは点接合されていることに特徴がある。不織布または不織体は、例えば、エアレイング、カーディング、ニードリング、メルトブローイング、またはスパンボンドまたはこれらの方法の二つ以上の組合せ等の常套的な技法によって調製された布を含むかあるいはこれらより実質的になる。布の完全性は、例えば、メルトブローイング法によって、または熱可塑性繊維の熱接合によって向上される。
【0017】
上記「メルトブローイング法」は、繊維形成材料を複数のオリフィスを通じて押し出して複数のフィラメントを形成し、その間、これらのフィラメントを空気または他の繊維を細くする流体に触れさせて、フィラメントを繊維にまで細くし、その後、これらの細くされた繊維の層を収集する方法を意味する。繊維は、長くかつ十分に絡み合っており、1本の完全なメルトブローイングされた繊維をこれら繊維の集団から抜き出したり、1本のメルトブローイングされた繊維を頭から尻まで追跡したりするのが通常は不可能である。
【0018】
「スパンボンド法」は、低粘度溶解生成物を複数のオリフィスを通じて押し出して複数のフィラメントを形成し、これらのフィラメントを空気または他の流体を用いて急冷して少なくともフィラメントの表面を固くし、これらの少なくとも部分的に固くされたフィラメントに空気または他の流体を触れさせて、フィラメントを繊維にまで細くし、かつこれらの細くされた繊維の層を収集しかつ随意的にカレンダにかける方法を意味する。
【0019】
いくつかの実施の形態において、飲料成分は、茶葉または挽かれたコーヒー等の粒子状の抽出可能な飲料成分である。それの代わりに、またはそれに加えて、飲料成分は、粉ミルク、ホットチョコレート、甘味料、香料、着色剤または栄養剤等の粒子状、可溶性の飲料成分を含んでよい。
【0020】
飲料調製成分の粒子は、例えば、エアレイングまたはメルトブローイングによって形成される不織布内に吹き込むことによって、製造中のマトリクス材料内に分散される。粒子を不織布および多孔質のスポンジマトリクス内に組み込む技術は吸収性材料の技術から知られており、ここではこれ以上説明しない。例えば、空気および水に対して透過性のフィルタ材料の調製のために、不織布およびスポンジ内に活性化された炭素粒子を分散させることが知られている。適当な方法が国際公開第2006/052694号パンフレット、国際公開第94/11556号パンフレット、およびここに引用されている種々の文献に記載されている。吸収材料の調製のために、不織布およびスポンジ内に高吸収性の粒子を分散させることも知られている。適当な方法が、例えば国際公開第03/057104号パンフレットおよびそこで引用されている引例から知られている。
【0021】
これらに代わり、またはこれらに加えて、例えば、マトリクスに成分溶液を含浸させ、次いで乾燥させることによって、一種類または複数種類の可溶性飲料成分がマトリクス内に可溶性被膜として分散される。
【0022】
さらに別の実施の形態においては、マトリクスフィルタが耐熱性で、飲料成分が生のコーヒーを含んでいる。「生のコーヒー」の意味は、焙煎されていないか、または半煎り状態のコーヒーを意味する。生のコーヒーは、生のコーヒー豆を極低温状態で例えば挽くことによって調製することができる。これらの実施の形態においては、コーヒーがそのままの状態で、マトリクス内で焙煎され、これにより、コーヒーの常套的な焙煎および粉砕から失われる可能性があるより多くの揮発性香料化合物が材料内に保たれる。
【0023】
飲料成分は、飲料調製用材料の約25重量%から約90重量%まで、例えば約40重量%から約75重量%までを構成しているのが適当である。セル構造を有する実施の形態においては、各セルがほんの僅かの量の飲料調製用材料を、例えば約10mgから50mgまでの飲料調製用材料を収容するに過ぎないのが適当である。層構造を有する実施の形態においては、飲料調製用材料の各層が薄いことが、例えば飲料調製用材料の各層が約0.1mmから約5mmまで、例えば約1mmから約3mmまでの厚さを有することが適当である。飲料調製用材料の非圧縮密度は、約0.05g/cmから約0.5g/cmまで、例えば約0.1g/cmから約0.25g/cmまでが適当である。
【0024】
上記飲料調製用材料は、密着した単一体を形成していることが適当である。この単一体は、例えばシート状、テーパー付きシリンダ−状、レンズ豆状、またはコーヒー豆などの新規な形状を有する。上記単一体は一杯分の飲料、すなわち約25mlから約500mlまで、例えば約100mlから約250mlまでの飲料の調製のために十分な飲料調製用材料を収容しているのが適当である。例えば、上記単一体は、マトリクス内に分散された約2gから約25gまでの挽かれたコーヒー、または約1gから約9gまでの茶葉を収容している。上記単一体の非圧縮容積は、約1cmから約100cmまで、例えば約5cmから約50cmまでが適している。上記単一体は、飲料調製中における飲料成分またはマトリクス繊維の上記材料からの逸脱を防止するために、フィルタ材料、例えば不織布の層内に実質的にまたは完全に封入されている。
【0025】
いくつかの実施の形態において、上記飲料調製用材料からなる単一体(ピース)は、上記材料内に埋め込まれた液体分配チューブをさらに備えている。このチューブは、上記材料を通過するお湯の直接注入を助ける。例えば、上記液体分配チューブは孔開きチューブである。いくつかの実施の形態において、上記チューブは上述の螺旋状に巻かれた一つの実施の形態の軸線に沿って延びている。ノズル等の液体注入口がチューブの一端に設けられていて、これにより、上記注入口を通るお湯の注入によって、材料ピースから飲料を直接調製することができる。これは、付加的なカプセル部品の必要を排除し、コンパクトでかつ環境に優しい飲料調製用製品を提供する。材料ピースは、使用に先立って、袋等の適当な酸素および湿気を通さない容器内に包装される。
【0026】
第2の態様において、本発明は、封体を画成する両側壁、およびこの封体内に封止された、本発明による飲料調製用材料を備えた飲料調製用カプセルを提供する。
【0027】
上記カプセル内の飲料調製用材料は、一杯分の飲料の調製のために十分な飲料調製成分を収容する材料ピースを形成している。一般に、上記カプセル内部のマトリクス内に収容されている成分の量は、一杯分の飲料、すなわち、約25〜500ml、好ましくは100〜250mlの飲料の調製に十分である。例えば、上記包装は、マトリクス内に分散された約2gから約25gまでの挽かれたコーヒー、または約1gから約9gまでの茶葉を収容している。
【0028】
上記カプセルは、飲料成分の鮮度を保つために、酸素および湿気に対して実質的に不透過性のものが適している。一般に、各カプセルは、プラスチックシート(例えば熱成形または射出成形されたシート)および/または可撓性フィルム材料を備えている。上記シートまたは可撓性フィルムは、下記の層、すなわち、シートを包装の他の部材に接合するための熱可塑性封止材料層、アルミニウムフィルム等の金属フィルムであることが好ましい、気体を実質的に透過させない障壁層、積層体の他の層との間の接着性を改善する接着層、例えば破れを防止する構造層、および/または印刷物層のうちの2層以上を備えている。上記構造層は、ポリオレフィン、ポリエステル、「ナイロン」,または当業者が周知の他のポリマーとすることができる。
【0029】
一群の実施の形態においては、カプセルは、可撓性フィルムからなる2枚の類似または同一のシートが縫い代を巡って一体に接合されてフィルムカプセルを形成している。別の一群の実施の形態においては、例えば熱成形によってフランジ状リムを備えたカップ状またはボウル状に形成された第1シートと、上記フランジ状リムに沿って接合されてカプセルを形成する第2シートとを備えている。例えば、上記第1シートは、熱成形によってフランジ状リムを備えたカップ状またはボウル状に形成された比較的硬い熱可塑性シートであり、上記第2シートは、上記フランジ状リムに沿って接合された可撓性フィルムである。適当なカプセルの実施の形態は、例えば上述の引用文献内に記載されている。
【0030】
上記カプセルはさらに、使用時に飲料調製用材料の粒子(例えばマトリクスの繊維、またはコーヒーの粒子)が逸脱するのを低減または防止するために、フィルタ素子、例えばフィルターシートからなる層を備えているのがよい。したがって、上記フィルタ素子は使用時における飲料調製用材料の下流側に配置される。一般に、上記フィルタ素子は、現存の飲料カプセル形式が備えているフィルタ素子と同様である。
【0031】
第3の態様において、本発明は、本発明による飲料調製用材料に液体を通過させるステップを含む飲料調製方法を提供する。上記液体は、本発明によるカプセル内の飲料調製用材料を通過するのが適当である。上記液体は、温度が例えば85℃〜99℃の熱湯であることが好ましい。この方法は、例えば上述の特許文献に記載されている現存のカプセル形式とともに用いる公知の飲料調製装置に、改修を行なわずに適用することができる。
【0032】
いくつかの実施の形態において、本発明のこの態様による方法は、前述した生のコーヒーを収容した材料から始める。これらの実施の形態においては、この方法は、液体を材料に通すのに先立って、コーヒーをそのまま焙煎することをさらに含む。焙煎は、コーヒーを収容した材料を、250℃〜450℃の温度で約10秒間から約10分間、例えば約30秒間から約5分間加熱することによって行なわれる。焙煎工程は、液体を通すステップの直前に、例えば約10秒から約24時間前、適当なのは約1分から約1時間前に行なわれるのが適当である。
【0033】
本発明の特定の実施の形態は、以下の添付の図面を参照して説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による飲料調製用材料の断面図である。
【図2】図1の材料の一部分の拡大図である。
【図3】本発明による第1の飲料調製用カプセルの側面図である。
【図4】図3の飲料調製用カプセルの縦断面図である。
【図5】本発明による第2の飲料調製用カプセルの斜視図である。
【図6】図5の飲料調製用カプセルの縦断面図である。
【図7】本発明による第3の飲料調製用カプセルの平面図である。
【図8】図7の飲料調製用カプセルの縦断面図である。
【図9】本発明の別の実施の形態による螺旋状に巻かれた層となった材料の概略的横断面図である。
【図10】本発明の別の実施の形態による積層された材料の縦断面図である。
【図11】本発明のさらなる実施の形態の作成に用いられるキルティングされたシートの概略的縦断面図である。
【図12】図11のキルティングされたシート材料から形成された、本発明の別の実施の形態による螺旋状に巻かれた層をなす材料の横断面図である。
【図13】液体分配チューブを備えた、図9に類似した螺旋状に巻かれた材料ピースの概略的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および図2を参照すると、本発明の実施の形態による飲料調製用材料1は、メルトブローン不織布繊維マトリクス中に分散された挽かれたコーヒー粉子2を含んでいる。コーヒーは材料の約80重量%を構成する。繊維マトリクスはポリプロピレン繊維から形成されている。この材料は、国際公開第2006/052694号パンフレットに記載されているように調製される。
【0036】
図3および図4を参照すると、本発明の実施の形態によるカプセル5は、特許文献11に記載されたコーヒーバッグにほぼ類似している。このカプセルは、可撓性を有する2枚の重ね合わされたシート6,7を備えている。各重ね合わされたシートは熱可塑性内側封止フィルムを備えている。前側および後側シート6,7は側部縫い代8、頂部縫い代9および底部縫い代10に沿って接合されている。底部縫い代10の中央領域11は、熱の作用および/またはカプセル内部の液体の圧力によって開放されるように剥がすことが可能な接着剤を用いて接合されている。カプセルの頂部縫い代9にはノズル12が挿入されている。このノズル12は膜15によって頂部を封止された円柱状中心孔を有する。ノズル上のフランジ13は、カプセルがクランプによって掴まれるのを可能にしている。
【0037】
カプセルの内部には、図1および図2に示されているような飲料調製用材料からなる単一のパッド14が存在する。パッド14およびカプセル5は、カプセルが約15gのコーヒーを収容するように選ばれている。カプセルは、コーヒーバッグが使用されるまで、コーヒーのための酸化および吸湿を防止する容器を提供する。
【0038】
使用時には、このカプセルが適当な飲料煎出機内に挿入され、この機内でカプセルはノズルフランジ13の下側をクランプ(不図示)によって掴まれる。中空の針がノズルの孔内に挿入されて、封止膜15を突き破り、熱湯が約50kPa(0.5バール)の圧力で注入されて、カプセル内のコーヒーを煎じる。熱湯の圧力は、コーヒーバッグの底の脆弱に接合された縫い代領域11を引き剥がし、カプセル内部にパッド14を保持しながら、煎じられたコーヒーを管理された状態で放出する。
【0039】
別の実施の形態においては、コーヒーバッグ5が、特許文献11のバッグと同様のフィルタ素子(不図示)を備えていて、煎じている間に繊維またはコーヒー粉末がパッド14から逸脱するのを阻止する。
【0040】
図5および図6を参照すると、この実施の形態による飲料煎出カプセル20は、カップ部22の縁の周りに突出するフランジ25を有する熱成形されたプラスチックカップ22の形態の第2の通常形式のカプセルである。熱可塑性シートまたは可撓性フィルムからなる円形のカバーシート23がカップ22の頂部のフランジ25に封着されて、気密容器を提供している。本発明による飲料調製用材料からなるパッド24が、このカプセル内に容れられている。
【0041】
使用時には、カプセル20が適当な飲料調製装置内のクランプに保持される。このクランプは、カバーシート23に穿孔する注入チューブまた他の穿孔手段を備えている。熱湯がカプセル内に注入されて、カプセル内でコーヒーを調製する。上記クランプは、第2の注入チューブまたは別の穿孔手段を備えていて、カップ22の底に穿孔し、そこからコーヒーが適当な容器に流出する。実施の形態によっては、液体注入とコーヒーの流出とが、カバー23に刺し通された注入チューブおよび取出しチューブをそれぞれ通じて行なわれる。
【0042】
別の実施の形態においては、カップ部22の底にフィルターシートが(不図示)が備えられていて、パッド24から容器への如何なる繊維の流出をも阻止する。
【0043】
図7および図8を参照すると、この実施の形態による飲料煎出カプセル26は、縁29の周りで接合されて、本発明による飲料調製材料からなるパッド30を収容する枕型容器を形成する可撓性シート材料からなる前面27および背面28からなるポッド型に形成された第3の通常形式のカプセルである。
【0044】
上記可撓性シート材料は、空気および水分を通さず、これにより、ポッド内のコーヒーの鮮度を保つものが適している。これらの実施の形態においては、カプセル26が適当な飲料調製装置内のクランプ内に保持される。このクランプは、第1のシート27に穿孔する穿孔手段を備えている。熱湯がカプセル内に注入されて、カプセル内部でコーヒーを調製する。上記クランプは、さらに第2の穿孔手段を備えていて第2のシート28に穿孔し、そこからコーヒーが適当な容器に流出する。
【0045】
別の実施の形態においては、ポッド26の前面シート27および背面シート28は、フィルターシート材料等の液体を通し得るシート材料から形成される。これらの実施の形態においては、ポッドが飲料調製装置のクランプ内に挿入され、かつ熱湯はポンプでシート27を通してポッド内に注入され、コーヒーは他方のシート28を通して適当な容器内に流入する。シートに穿孔する必要がないので、パッド30からの繊維が逸脱してコーヒーを汚染する機会を減らす。
【0046】
図9を参照すると、本発明のこの実施の形態による飲料調製用材料は、挽かれたコーヒーからなる層34と不織布マトリクス材料からなる層33とからなる積層体を巻き上げることによって形成された螺旋状ロール32である。このロール32は、それぞれが飲料の一杯分には十分な挽かれたコーヒーを含む長さにカットできるので喜ばれるであろう。次いで穿孔手段が上述のようにカプセル内に挿入される。
【0047】
多数の飲料調製成分層を備えた本発明による材料は、種々の態様に形成されることができる。例えば、図10は、挽かれたコーヒーからなる複数の層38と、不織布のフィルターシートからなる複数の層37とを積層することによって形成された本発明による積層材料36を示す。
【0048】
図11は、熱可塑性繊維を含む2枚の不織布41,42からなるフィルターシート材料がキルティングされて形成されたシート40を示す。このフィルターシート材料は通常のコーヒーバッグまたはコーヒーポッドを形成するのに適している、不織布41,42は、領域43において接合されて、正方形キルティングを形成し、これにより多数の正方形ポケットからなる格子を画成している。各ポケットは、挽かれたコーヒー44を収容するセルを形成している。挽かれたコーヒーは、上方の不織布41を下方の不織布42に接合する寸前に下方の不織布42上に堆積される。キルティングされたシート40は、次いで本発明による種々の材料に積層されまたは折畳まれる。図11のシートを巻き上げ、かつ適当な長さに切断することによって形成された、本発明による多数のセルを備えた代表的な材料が図12に示されている。
【0049】
図13は、飲料調製用ポッド48を示す。このポッド48は、コーヒー50と、不織布からなるフィルターシート49との同心的層を備えた、図9のそれと同様の螺旋状に巻かれた貼合わせ体を有する。このポッド48は、ポッドの中心軸線に沿って延びる孔開き液体分配チューブ52をさらに備えている。液体分配チューブの底は閉塞されている。液体分配チューブの頂部は、FLAVIA形式の飲料自動販売機のクランプによってノズルが掴まれるのを可能にするフランジ54を有する入口ノズル53を備えている。フォイルシール55はノズルの入口開口部を覆っている。最終的に、コーヒーを濾すのに通常用いられる種類の不織布フィルタで形成された外皮56がポッド48を包んでいる。このポッド48は、使用に先立って、酸素および湿気を通さない包装内に格納される。使用時には、FLAVIA形式の飲料自動販売機のクランプ内に挿入される。液体注入チューブがノズル53ないに挿入されて、熱湯を液体分配チューブ52内に注入する。熱湯は、積層体を強制的に通過せしめられて、挽かれたコーヒーに接触する。その結果、コーヒー飲料がポッドから流出し、重力によって容器内に注がれる。
【0050】
上述の実施の形態は、例として説明されているに過ぎない。当業者には、添付の請求項の範囲内に存在する多くの他の実施の形態が明らかであろう。
【符号の説明】
【0051】
1 飲料調製用材料
2 コーヒー粒子
5,20,26 カプセル
6,7,27,28,40 シート
8,9,10 縫い代
12 ノズ
13 フランジ
14 パッド
15 封止膜
30 パッド
32 ロール
33,37 不織布層
34,38 コーヒー層
41,42 不織布
44,50 コーヒー
48 ポッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料成分からなる層またはセルを挟むとともに、実質的に不溶性のかつ透水性であるフィルターマトリクス材料からなる複数の層から形成された飲料調製用材料を有する飲料調製用ポッドであって、
前記複数の層が、積層体を螺旋状に巻き上げることによって形成されており、
前記飲料調製用材料内に挿入された液体分配チューブを含むことを特徴とする飲料調製用ポッド。
【請求項2】
前記飲料成分が、茶葉または挽かれたコーヒー等の粒子状の、抽出可能な飲料成分であることを特徴とする請求項1記載の飲料調製用ポッド。
【請求項3】
前記飲料成分が、前記飲料調製用材料の約25重量%から約90重量%までを構成していることを特徴とする請求項1または2記載の飲料調製用ポッド。
【請求項4】
前記フィルターマトリクス材料がコンポスタブルな材料から実質的になることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の飲料調製用ポッド。
【請求項5】
前記ポッドを封入するフィルターシート材料からなる封体を備えていることを特徴とする請求項1から4何れか1項記載の飲料調製用ポッド。
【請求項6】
封体を画成する両側壁、および該封体内に封入された請求項1から5の何れか1項記載の飲料調製用ポッドを備えたことを特徴とする飲料調製用カプセル。
【請求項7】
使用時に前記カプセルからの前記飲料調製用材料の逸脱を低減または阻止するためのフィルタ素子を内部に備えていることを特徴とする請求項6記載の飲料調製用カプセル。
【請求項8】
前記液体分配チューブを通してお湯を注ぐことにより、請求項1から5の何れか1項記載の飲料調製用ポッドにお湯を通すステップを含むことを特徴とする飲料調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−78600(P2013−78600A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−267911(P2012−267911)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2009−552262(P2009−552262)の分割
【原出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(390037914)マース インコーポレーテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】