説明

飲料販売装置

【課題】外部との圧力差を有する飲料タンク内の飲料を、飲料抽出路を通じて全て外部に出すことを、飲料抽出路の過不足無い開放動作により実行可能な飲料販売装置を提供する。
【解決手段】飲料販売装置は、飲料を格納する第1飲料タンクと、飲料と同一飲料を収容する第2飲料タンクと、第1飲料タンク内の飲料を抽出する場合、第1飲料タンク内の圧力が第1飲料タンク外の圧力より高くなる圧力差を設定する圧力設定部と、第1飲料タンク内の飲料を販売する場合、第1飲料タンクの飲料抽出路を開く第1抽出バルブと、第2飲料タンク内の飲料を販売する場合、第2飲料タンクの飲料抽出路を開く、第1抽出バルブとは相補的に動作する第2抽出バルブと、第1飲料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、第1抽出バルブが開いているときの第1飲料タンク内の圧力が所定の圧力であることを圧力センサが検出した場合、圧力センサの検出結果に基づいて、第1抽出バルブを閉じるとともに第2抽出バルブを開く制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料タンクを備えて、その内部の圧力が外部の圧力より高くなる圧力差を設定するとともに、この飲料タンクの排出路を開くことにより、飲料タンク内の廃液を排出する飲料販売装置が知られている。ここで、廃液とは、飲料タンク内に残存している飲料を例えば洗浄のために排出する際の当該飲料、又はこの洗浄のために供給された洗浄液(例えば湯)を排出する際の当該洗浄液を意味する。また、この飲料販売装置は、前述した圧力差により、飲料タンクの抽出路を開いて、その内部の飲料を抽出するものである。
【0003】
これらの飲料販売装置は、例えば、廃液の排出又は飲料の抽出を行う都度、RAM等に記憶した所定量Aから、単位時間当たりの所定の吐出量bと、タイマ等で測定した排出又は抽出時間tとを乗算して求めた量B(=b×t)を減算することにより、飲料タンク内の残量C(=A−B)を求めている。これにより、飲料販売装置は、飲料タンク内に残存する廃液を排出する場合、先ず、前記演算で求めた残量に基づいて排出路の開放時間を求め、この開放時間だけ排出路を開放する。
【0004】
また、飲料販売装置は、例えば、周知の売切れ検知手段を備えている(例えば、特許文献1参照)。同一飲料を例えば2個の飲料タンクに格納する飲料販売装置において、一方の飲料タンクから飲料を抽出している際に、同飲料タンク内の飲料の残量がゼロとなった旨を売切れ検知手段が検知したとき、この空の飲料タンクから他方の飲料タンクへの切り替えが行われるようになっている。この切り替えとは、具体的には、一方の飲料タンクの抽出路を閉じるとともに、他方の飲料タンクの抽出路を開くことである。
【0005】
尚、売切れ検知手段の具体的方式の一例として、飲料タンクの底部に接続された配管の内壁に露出する一対の電極を用いる方式が挙げられる。飲料タンクに飲料が残存していれば、この底部に接続される配管の内壁には飲料が接しているため、一対の電極間の抵抗の実測値は飲料の抵抗値となる。一方、飲料タンクが空であれば、この底部に接続される配管の内部も空であるため、一対の電極間の抵抗の実測値は空気の抵抗値となる。売切れ検知手段は、例えば、一対の電極間の抵抗の実測値と、飲料及び空気を区別するべく予め設定された所定値とを比較し、この比較結果に基づいて、飲料タンク内の飲料の有無を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−182139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した飲料販売装置では、飲料タンク内の廃液の排出のために排出路を開放する時間は、当該排出を確実にする目的で、前述した残量に基づいて求めた開放時間よりも長く設定されるのが一般的である。また、例えば廃液の排出中に停電により中断し、飲料販売装置の再起動の後に排出を再開する場合、前述したRAMにはこの再起動前の残量が記憶されていない。この場合、排出路の開放時間は、飲料タンクの最大容量に相当する開放時間に設定されるのが一般的である。このため、結局、飲料タンクの洗浄処理等に無駄な時間がかかるという問題が生じる。一方、もし、実際の開放時間を、前述した残量に基づいて求めた開放時間よりも長めに設定しない場合、廃液が残存した飲料タンクを用いて飲料を販売してしまう虞がある。
【0008】
また、前述した飲料販売装置が備える売切れ検知センサは、一般に、飲料の種類、飲料の濃度、検知部や配管内等の汚れといった原因により、その検知精度が低下するとされている。例えば、前述した一対の電極を用いる方式の場合、この電極に接する飲料の種類又は濃度により当該飲料の抵抗値は変化し得るし、電極の汚れは当該電極間の抵抗値のずれを引き起こし得る。検知精度が低下すれば、売切れ検知センサは、例えば、飲料タンクが実際は空であっても、飲料が残存するという検知結果を与えたり、飲料タンクに実際は飲料が残存していても、飲料タンクは空であるという検知結果を与えたりする虞がある。前者の場合、飲料の販売過程において空の飲料タンクの抽出路を開けたままの状態が起きるため、飲料の販売に無駄な時間がかかることになる。もしくは、空の飲料タンクから飲料を抽出しようとして経過した時間の分だけ、1杯の飲料に必要な時間が短縮されてしまって、結局、規定量未満の飲料を販売してしまう虞もある。一方、後者の場合、例えば前述した2つ飲料タンクのうちの一方の飲料タンクに未だ飲料が残存しているにもかかわらず、他方の飲料タンクからの販売に切り替わるため、飲料の販売において前記残存分を無駄にしたことになる。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部との圧力差を有する飲料タンク内の飲料を、飲料抽出路を通じて全て外部に出すことを、飲料抽出路の過不足無い開放動作により実行可能な飲料販売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための発明は、飲料を格納する第1飲料タンクと、前記飲料と同一飲料を収容する第2飲料タンクと、前記第1飲料タンク内の飲料を抽出する場合、前記第1飲料タンク内の圧力が前記第1飲料タンク外の圧力より高くなる圧力差を設定する圧力設定部と、前記第1飲料タンク内の飲料を販売する場合、前記第1飲料タンクの飲料抽出路を開く第1抽出バルブと、前記第2飲料タンク内の飲料を販売する場合、前記第2飲料タンクの飲料抽出路を開く、前記第1抽出バルブとは相補的に動作する第2抽出バルブと、前記第1飲料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、前記第1抽出バルブが開いているときの前記第1飲料タンク内の圧力が所定の圧力であることを前記圧力センサが検出した場合、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記第1抽出バルブを閉じるとともに前記第2抽出バルブを開く制御部と、を備えてなる飲料販売装置である。
第1抽出バルブが開いているときの第1飲料タンク内の圧力が、例えば第1飲料タンク外の圧力と略等しい所定の圧力である旨を圧力センサが検出したことは、第1飲料タンク内の飲料が全て抽出されて、開放された第1抽出バルブを通じて第1飲料タンクの内外が連通したことを意味する。よって、飲料販売装置は、前記検出時と同期して第1抽出バルブを閉じ且つ第2抽出バルブを開けることにより、第1飲料タンク内の全ての飲料を飲料抽出路の過不足無い開放動作により抽出するとともに、第2飲料タンクからの飲料を遅滞無く抽出できることになる。
【0011】
また、かかる飲料販売装置において、前記圧力設定部は、前記第1飲料タンク内の圧力を前記第1飲料タンク外の圧力より高く設定するエアコンプレッサである、ことが好ましい。
エアコンプレッサにより第1飲料タンク内が例えば常時加圧されていれば、第1飲料タンク内の飲料の抽出及びその停止の動作を抽出バルブの開閉のみにより円滑に実行できる。
【0012】
また、かかる飲料販売装置において、前記圧力センサは、前記第1飲料タンクと前記エアコンプレッサとを連結する配管内の圧力を検出する、ことが好ましい。
前記配管内には、主として、エアコンプレッサからの空気が流れるため、この配管内の圧力を検出する圧力センサにとって、そのセンサ部が耐水性であることが必須とはならない。よって、飲料販売装置の製造コストを、例えば第1飲料タンク内の圧力を直接検出する圧力センサを用いる場合と比較して、より節減できる。
【0013】
また、かかる飲料販売装置において、前記圧力設定部は、更に、前記第2飲料タンク内の飲料を抽出する場合、前記第2飲料タンク内の圧力が前記第2飲料タンク外の圧力より高くなる圧力差を設定する、ことが好ましい。
これにより、第2飲料タンク内の飲料も、第1飲料タンクの場合と同様に、加圧により効果的に抽出できる。
【0014】
また、かかる飲料販売装置において、前記圧力センサは、更に、前記第2飲料タンク内の圧力を検出し、前記制御部は、更に、前記第2抽出バルブが開いているときの前記第2飲料タンク内の圧力が所定の圧力であることを前記圧力センサが検出した場合、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記第2抽出バルブを閉じるとともに前記第1抽出バルブを開く、ことが好ましい。
例えば、飲料の抽出を第2飲料タンクで行っている間に、第1飲料タンク内に飲料を適宜補充しておけば、今度は、第2飲料タンク内に飲料が無くなった時点で、第1飲料タンクでの飲料の抽出に切り替えることができる。
【0015】
また、かかる飲料販売装置において、前記所定の圧力は、大気圧である、ことが好ましい。
抽出バルブが開いているときの飲料タンク内の圧力が大気圧であると圧力センサにより検出されれば、これは、飲料が全て抽出されて第1飲料タンク(又は第2飲料タンク)の内部と大気とが連通したことを意味する。
【発明の効果】
【0016】
外部との圧力差を有する飲料タンク内の飲料を、飲料抽出路を通じて全て外部に出すことを、飲料抽出路の過不足無い開放動作により実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の飲料販売装置の外観構成例を示す正面図である。
【図2】本実施の形態の飲料販売装置の販売機構の一部を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の飲料販売装置の制御を司る構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態の飲料販売装置が飲料タンク内の廃液を排出する際のCPUの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態の飲料販売装置が飲料タンク内の飲料を抽出する際のCPUの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、図4の動作中の排出弁の開閉状態及び圧力センサにより検出される圧力の時間変化を示すダイアグラムであり、(b)は、図5の動作中の販売弁の開閉状態及び圧力センサにより検出される圧力の時間変化を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
===飲料販売装置の構成===
図1乃至図3を参照しつつ、本実施の形態の飲料販売装置1の構成例について説明する。尚、図1は、本実施の形態の飲料販売装置1の外観構成例を示す正面図である。図2は、本実施の形態の飲料販売装置1の販売機構100の一部を示す模式図である。図3は、本実施の形態の飲料販売装置1の制御を司る構成を示すブロック図である。
【0019】
<<<外観の構成>>>
図1に例示されるように、本実施の形態の飲料販売装置1の正面外観は、本体10上における、接客面11と、カップの載置台13と、飲料を吐出するノズル107とから形成されている。尚、本体10は後述する販売機構100(図2)等を収容し、接客面11は販売ボタン11a、11bを有している。
【0020】
本実施の形態の飲料販売装置1は、例えばレギュラーコーヒーを抽出して後述する飲料タンク101a、101b(図2)に保管しつつ販売するコーヒーマシンである。接客面11の販売ボタン11a、11bは、例えばコーヒーの種類に対応している。利用者が載置台13にカップを載置して、所望の飲料の販売ボタン11a、11bを一度押下すると、当該飲料がノズル107を通じて所定量だけカップに供給されるようになっている。
【0021】
また、本実施の形態の飲料販売装置1は、飲料タンク101a、101bを湯で洗浄するための洗浄ボタン12を備えている。この洗浄ボタン12は、例えば正面で開閉可能な本体10の扉(不図示)の裏面等に設けられ、例えば、飲料供給装置1の管理者がメインテナンス時に押下するものである。この洗浄処理では、ノズル107から吐出される湯は、例えば、スノコ(不図示)が形成された載置台13を通じて、本体10外部に廃棄されるようになっている。
【0022】
<<<販売機構の構成>>>
図2に例示されるように、本実施の形態の飲料販売装置1の販売機構100は、飲料タンク101a(第1飲料タンク)及び飲料タンク102b(第2飲料タンク)と、エアコンプレッサ108a、108bと、圧力センサ111a、111bと、加圧弁110a、110bと、廃液の排出弁(排出バルブ)103と、飲料の販売弁(第1抽出バルブ、第2抽出バルブ)104とを備えている。本実施の形態の廃液とは、飲料タンク101a、101b内に残存している飲料を例えば洗浄のために排出する際の当該飲料、又はこの洗浄のために供給された湯を意味する。
【0023】
また、この販売機構100は、更に、レギュラーコーヒーを抽出するためのコーヒーブリュア116と、飲料タンク101a、101bへのコーヒーの入口弁118と、湯を格納する湯タンク112と、飲料タンク101a、101bへの湯の入口弁114とを備えている。
【0024】
以上の要素は、以下述べる配管で相互に接続されている。
飲料タンク101aの底部には配管102aの一端部が接続されている一方、同配管102aの他端部は2つに分岐して排出弁103及び販売弁104にそれぞれ接続されている。同様に、飲料タンク101bの底部には配管102bの一端部が接続されている一方、同配管102bの他端部は2つに分岐して排出弁103及び販売弁104にそれぞれ接続されている。
【0025】
排出弁103は三方弁の電磁弁であり、前述した飲料タンク101aからの配管102aと、前述した飲料タンク101bからの配管102bと、両タンク101a、101bからの廃液を排出するための配管105とが接続されている。後述する排出弁103の開閉動作とは、配管102aの他端部を閉塞して廃液排出路(配管102a、排出弁103、配管105)を閉じる動作と、配管102aと配管105とを接続して廃液排出路を開く動作とを意味するものである。また、後述する排出弁103の開閉動作とは、配管102bの他端部を閉塞して廃液排出路(配管102b、排出弁103、配管105)を閉じる動作と、配管102bと配管105とを接続して廃液排出路を開く動作とを意味するものである。
【0026】
販売弁104は三方弁の電磁弁であり、前述した飲料タンク101aからの配管102aと、前述した飲料タンク101bからの配管102bと、両タンク101a、101bからの飲料を抽出するための配管106とが接続されている。後述する販売弁104の開閉動作とは、配管102aの他端部を閉塞して飲料抽出路(配管102a、販売弁104、配管106)を閉じる動作と、配管102aと配管106とを接続して飲料抽出路を開く動作とを意味するものである。また、後述する排出弁103の開閉動作とは、配管102bの他端部を閉塞して飲料抽出路(配管102b、販売弁103、配管106)を閉じる動作と、配管102bと配管106とを接続して飲料抽出路を開く動作とを意味するものである。
【0027】
配管109a(圧力設定部)は、エアコンプレッサ108a(圧力設定部)と飲料タンク101aとを接続するものであり、その途中に、当該配管109a内部の圧力を検出する圧力センサ111aが設けられるとともに、飲料タンク101aの直前には電磁弁である加圧弁110a(圧力設定部)が設けられている。
配管109b(圧力設定部)は、エアコンプレッサ108b(圧力設定部)と飲料タンク101bとを接続するものであり、その途中に、当該配管109b内部の圧力を検出する圧力センサ111bが設けられるとともに、飲料タンク101bの直前には電磁弁である加圧弁110b(圧力設定部)が設けられている。
【0028】
尚、本実施の形態の圧力センサ111a、111bは、気体の絶対圧又は大気圧に対する相対圧を測定可能な周知の圧力センサである。ここで、配管109a、109b内には、主として、エアコンプレッサ108a、108bからの空気が流れるため、この圧力を検出する圧力センサ111a、111bにとって、そのセンサ部が耐水性であることが必須とはならない。よって、飲料販売装置1の製造コストを、例えば飲料タンク101a、101b内の圧力を直接検出する圧力センサ(不図示)を用いる場合と比較して、より節減できる。
【0029】
三方弁の電磁弁である入口弁118には、コーヒーブリュア116からの配管117と、飲料タンク101aへの配管119aと、飲料タンク101bへの配管119bとが接続されている。入口弁118の開閉により、飲料タンク101aへの飲料の供給及びその停止を実施できる。また、これとは別に、入口弁118の開閉により、飲料タンク101bへの飲料の供給及びその停止を実施できる。
【0030】
三方弁の電磁弁である入口弁114には、湯タンク112からの配管113と、飲料タンク101aへの配管115aと、飲料タンク101bへの配管115bとが接続されている。入口弁113の開閉により、飲料タンク101aへの湯の供給及びその停止を実施できる。また、これとは別に、入口弁113の開閉により、飲料タンク101bへの湯の供給及びその停止を実施できる。
【0031】
<<<制御を司る構成>>>
図3に例示されるように、本実施の形態の飲料販売装置1は、その制御を司る構成として、CPU(制御部)200と、ROM201と、RAM202とを備えている。CPU200は、ROM201に記憶された所定のプログラムに基づいて、入出力部201を介して、前述した販売機構100、前述した販売ボタン11a、11b及び洗浄ボタン12、後述する第1タイマ204及び第2タイマ205等との間で制御信号や検出信号等を送受信する。RAM202は、後述する、販売弁104を開放する所定時間、圧力センサ111a、111bが圧力を検出する所定時間間隔、圧力センサ111a、111bが検出した圧力の値と比較するべき所定値等のデータを予め記憶している。
【0032】
===飲料販売装置の洗浄及び販売動作===
図4乃至図6を参照しつつ、前述した構成を備えた飲料販売装置1が飲料タンク101a内の洗浄する動作、及び飲料タンク101a、101b内の飲料を販売する動作についてそれぞれ一例を挙げて説明する。尚、図4は、本実施の形態の飲料販売装置1が飲料タンク101a内の廃液を排出する際のCPU200の処理の手順の一例を示すフローチャートである。図5は、本実施の形態の飲料販売装置1が飲料タンク101a、101b内の飲料を抽出する際のCPU200の処理の手順の一例を示すフローチャートである。図6(a)は、図4の動作中の排出弁103の開閉状態及び圧力センサ111aにより検出される圧力の時間変化を示すダイアグラムである。図6(b)は、図5の動作中の販売弁104の開閉状態及び圧力センサ111bにより検出される圧力の時間変化を示すダイアグラムである。
【0033】
<<<廃液排出動作>>>
図4に例示されるように、本実施の形態の飲料販売装置1は、飲料タンク101aの洗浄に際し、先ず、加圧弁110aを開けて、飲料タンク101a内を加圧する(S100)。
次に、飲料販売装置1は、排出弁103を開ける(S101)とともに、第1タイマ204をリセットして計時を開始する(S102)。
飲料販売装置1は、第1タイマ204の計時時間t1が所定時間に達しているか否かを判別する(S103)。尚、この所定時間は、後述する圧力センサ111aによる圧力の検出周期(例えば0.1秒)に相当する。
t1が所定時間に達していると判別した場合(S103:YES)、飲料販売装置1は、飲料タンク101a内の圧力を検出する。具体的には、CPU200が圧力センサ111aにより検出された圧力値をRAM202に記憶させる(S104)。
【0034】
飲料販売装置1は、RAM202に記憶された圧力の実測値が、同じくRAM202に記憶されている前述した所定値(所定の圧力)に達したか否かを判別する(S105)。尚、この所定の圧力は、例えば、飲料タンク101a内の廃液が全て排出されて、開放された排出弁103を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態における配管109a内の圧力に相当するように予め設定されている。本実施の形態の所定の圧力は、大気圧(101.3kPa)である。
圧力の実測値が所定値よりも高いと判別した場合(S105:NO)、飲料販売装置1は、ステップS102の処理を再度実行する。
圧力の実測値が所定値に達したと判別した場合(S105:YES)、飲料販売装置1は、加圧弁110aを閉じる(S106)とともに、排出弁103を閉じる(S107)。
【0035】
次に、飲料販売装置1は、湯タンク112内の湯を用いて、飲料タンク101a内の洗浄処理を実行する(S108)。
図6(a)に例示されるように、ステップS100乃至S105:YESに相当する時間領域において、圧力センサ111aにより検出される圧力は、エアコンプレッサ108aにより加圧された圧力「P1」を示している。
しかし、ステップS105:YESに相当する時刻において、圧力センサ111aにより検出される圧力は、P1から低下して大気圧に達する。これは、飲料タンク101a内の廃液が全て排出されて、開放された排出弁103を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態に相当する。本実施の形態では、排出弁103は、この時刻と同期して開状態から閉状態へ変化する。
【0036】
本実施の形態の飲料販売装置1によれば、排出弁103が開いているときの飲料タンク101a内の圧力が大気圧である旨を圧力センサ111aが検出したことは、飲料タンク101a内の廃液が全て排出されて、開放された排出弁104を通じて飲料タンク101aの内外が連通したことを意味する。よって、飲料販売装置1は、前記検出時と同期して排出弁103を閉じることにより、飲料タンク101a内の全ての廃液を、廃液排出路(配管102a、排出弁103、及び配管105)の過不足無い開放動作により排出できることになる。
【0037】
尚、前述した飲料販売装置1は、2つの飲料タンク(飲料タンク101a及び飲料タンク101b)を備えているが、これに限定されるものではなく、飲料タンクは少なくとも1つ備えていればよい。
【0038】
また、前述した飲料販売装置1は、エアコンプレッサ108aにより飲料タンク101aの内部の圧力をその外部の圧力(大気圧)に対し高く設定するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、飲料タンク101aの廃液排出路(配管102a、排出弁103、及び配管105)を周知のアスピレータ(不図示)等により大気圧より減圧して、前述した相対的な圧力差を設定するものであってもよい。更に、本実施の形態の圧力設定部は、エアコンプレッサ108aやアスピレータ等に限定されるものではなく、要するに、前述した相対的な圧力差を設定するための手段であればいかなる手段であってもよい。
【0039】
また、前述した飲料販売装置1は、前記所定の圧力は、大気圧(101.3kPa)であったが、これに限定されるものではない。この所定の圧力は、要するに、飲料タンク101a内の廃液が全て排出されて、開放された排出弁103を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態における配管109a内の圧力に相当する圧力であれば、いかなる圧力であってもよい。
【0040】
また、前述した飲料販売装置1では、圧力センサ111aは、配管109a内の圧力を検出するものであったが、これに限定されるものではなく、例えば飲料タンク101a内の圧力を直接検出するものであってもよい。これにより、飲料タンク101a内の圧力をより正確に検出できる。
【0041】
尚、以上述べた廃液排出動作は、飲料タンク101aからの廃液排出に係る動作であったが、これに限定されるものではない。本実施の形態の構成によれば、飲料タンク101bからの廃液排出動作も前述と同様である。この場合、洗浄処理は、洗浄ボタン12の押下にともない、例えば飲料タンク101aを洗浄し、引き続き飲料タンク101bを洗浄するものであってもよい。或いは、洗浄ボタン12が、飲料タンク101a洗浄用と、飲料タンク101b洗浄用とに分かれており、何れか一方のみの飲料タンクを選択的に洗浄できるようになっていてもよい。この場合、例えば、一方の飲料タンクに飲料が格納されて販売可能な状態で、他方の飲料タンクのみを洗浄できる。
【0042】
<<<飲料抽出動作>>>
図5に例示される手順では、現在、飲料の販売には飲料タンク101aが使用され、満杯の飲料タンク101bは、飲料タンク101aが空になった場合に使用される状態になっているものとする。
【0043】
同図に例示されるように、本実施の形態の飲料販売装置1は、飲料タンク101aからの飲料の販売に際し、先ず、加圧弁110aを開けて飲料タンク101a内を加圧する(S200)。
次に、飲料販売装置1は、第2タイマ205をリセットして計時を開始し(S201)、飲料タンク101aの販売弁104を開けて(S202)、第1タイマ204をリセットして計時を開始する(S203)。
飲料販売装置1は、第1タイマ204の計時時間t1が所定時間に達しているか否かを判別する(S204)。尚、この所定時間は、圧力センサ111aによる圧力の検出周期(例えば0.1秒)に相当する。
t1が所定時間に達していると判別した場合(S204:YES)、飲料販売装置1は、飲料タンク101a内の圧力を検出する。具体的には、CPU200が圧力センサ111aにより検出された圧力値をRAM202に記憶させる(S205)。
【0044】
飲料販売装置1は、RAM202に記憶された圧力の実測値が、同じくRAM202に記憶されている前述した所定値(所定の圧力)に達したか否かを判別する(S206)。尚、この所定の圧力は、例えば、飲料タンク101a内の飲料が全て抽出されて、飲料タンク101aの開放された販売弁104を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態における配管109a内の圧力に相当するように予め設定されている。本実施の形態の所定の圧力は、大気圧(101.3kPa)である。
【0045】
圧力の実測値が所定値よりも高いと判別した場合(S206:NO)、飲料販売装置1は、第2タイマ205の計時時間t2が所定時間に達しているか否かを判別する(S207)。尚、この所定時間は、例えば1杯分の飲料の販売のために飲料タンク101aの販売弁104を開放する所定時間に相当する。もし、t2が所定時間に達していないと判別した場合(S207:NO)、飲料販売装置1は、ステップS203の処理を再度実行する。一方、t2が所定時間に達していると判別した場合(S207:YES)、飲料販売装置1は、飲料タンク101aの販売弁104を閉じる(S208)とともに、加圧弁110aを閉じる(S209)。
圧力の実測値が所定値に達したと判別した場合(S206:YES)、飲料販売装置1は、飲料タンク101aの販売弁104及び加圧弁110aを閉じるとともに、飲料タンク101bの販売弁104及び加圧弁110bを開く(S210)。
【0046】
次に、飲料販売装置1は、第2タイマ205の計時時間t2が所定時間に達しているか否かを判別する(S211)。
t2が所定時間に達していると判別した場合(S211:YES)、飲料販売装置1は、飲料タンク101bの販売弁104を閉じる(S212)とともに、加圧弁110bを閉じる(S213)。
【0047】
図6(b)に例示されるように、ステップS200乃至S206:YESに相当する時間領域において、圧力センサ111aにより検出される圧力は、エアコンプレッサ108aにより加圧された圧力「P1」を示している。
しかし、ステップS206:YESに相当する時刻において、圧力センサ111aにより検出される圧力は、P1から低下して大気圧に達する。これは、飲料タンク101a内の飲料が全て排出されて、飲料タンク101aの開放された販売弁104を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態に相当する。本実施の形態では、この時刻と同期して、飲料タンク101aの販売弁104は開状態から閉状態へ変化するとともに、飲料タンク101bの販売弁104は閉状態から開状態へ変化する。
【0048】
本実施の形態の飲料販売装置1によれば、飲料タンク101aの販売弁104が開いているときの飲料タンク101a内の圧力が大気圧である旨を圧力センサ111aが検出したことは、飲料タンク101a内の飲料が全て抽出されて、飲料タンク101aの開放された販売弁104を通じて飲料タンク101aの内外が連通したことを意味する。よって、飲料販売装置1は、前記検出時と同期して飲料タンク101aの販売弁104を閉じ且つ飲料タンク101bの販売弁104を開けることにより、飲料タンク101a内の全ての飲料を飲料抽出路(配管102a、販売弁104、及び配管106)の過不足無い開放動作により抽出するとともに、飲料タンク101bからの飲料を遅滞無く抽出できることになる。
【0049】
また、本実施の形態の飲料販売装置1によれば、飲料タンク101bに対しても、飲料タンク101aと同様の圧力設定部や圧力センサ等が設けられているため、例えば、飲料の抽出を飲料タンク101bで行っている間に、飲料タンク101a内に飲料を適宜補充しておけば、今度は、飲料タンク101b内に飲料が無くなった時点で、飲料タンク101aでの飲料の抽出に切り替えることができる。
【0050】
尚、前述した飲料販売装置1は、2つの飲料タンク(飲料タンク101a及び飲料タンク101b)を備えているが、これに限定されるものではなく、飲料タンクは3つ以上備えていてもよい。
【0051】
また、前述した飲料販売装置1は、エアコンプレッサ108aにより飲料タンク101aの内部の圧力をその外部の圧力(大気圧)に対し高く設定するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、飲料タンク101aの飲料抽出路(配管102a、販売弁104、及び配管106)を周知のアスピレータ(不図示)等により大気圧より減圧して、前述した相対的な圧力差を設定するものであってもよい。更に、本実施の形態の圧力設定部は、エアコンプレッサ108aやアスピレータ等に限定されるものではなく、要するに、前述した相対的な圧力差を設定するための手段であればいかなる手段であってもよい。
【0052】
また、前述した飲料販売装置1は、前記所定の圧力は、大気圧(101.3kPa)であったが、これに限定されるものではない。この所定の圧力は、要するに、飲料タンク101a内の廃液が全て排出されて、開放された排出弁103を通じて飲料タンク101aの内外が連通した状態における配管109a内の圧力に相当する圧力であれば、いかなる圧力であってもよい。
【0053】
また、前述した飲料販売装置1では、圧力センサ111aは、配管109a内の圧力を検出するものであったが、これに限定されるものではなく、例えば飲料タンク101a内の圧力を直接検出するものであってもよい。これにより、飲料タンク101a内の圧力をより正確に検出できる。
【0054】
また、前述した飲料販売装置1では、飲料タンク101bに対しても、飲料タンク101aと同様の圧力設定部や圧力センサ等が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、飲料タンク101bからの飲料の抽出は、例えば飲料の自由落下による抽出であってもよいし、飲料タンク101bの飲料抽出路を閉じる動作は、圧力検出をともなわない動作であってもよい。つまり、飲料タンク101bを、飲料タンク101aに対する単なるバックアップとしてより単純な構成とすることにより、飲料販売装置1の製造コストの節減をはかることができる。
【0055】
前述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0056】
前述した実施の形態の飲料販売装置1は、レギュラーコーヒーをカップに供給して販売するものであったが、これに限定されるものではなく、一般に、カップで供給可能な飲料を販売する飲料販売装置であればいかなるものであってもよい。
【0057】
また、前述した実施の形態の飲料販売装置1は、洗浄ボタン12の押下により飲料タンク101a、101bの洗浄が行われるものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、所定のタイマ(不図示)で計時される所定の時刻に自動的に洗浄が行われるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 飲料販売装置 10 本体
11 接客面 11a、11b 販売ボタン
12 洗浄ボタン 13 載置台
100 販売機構 101a、101b 飲料タンク
102a、102b 配管 103 排出弁
104 販売弁 105、106 配管
107 ノズル 108a、108b エアコンプレッサ
109a、109b 配管 110a、110b 加圧弁
111a、111b 圧力センサ 112 湯タンク
113 配管 114、118 入口弁
115a、115b 配管 116 コーヒーブリュア
117 配管 119a、119b 配管
200 CPU 201 ROM
202 RAM 203 入出力部
204 第1タイマ 205 第2タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を格納する第1飲料タンクと、
前記飲料と同一飲料を収容する第2飲料タンクと、
前記第1飲料タンク内の飲料を抽出する場合、前記第1飲料タンク内の圧力が前記第1飲料タンク外の圧力より高くなる圧力差を設定する圧力設定部と、
前記第1飲料タンク内の飲料を販売する場合、前記第1飲料タンクの飲料抽出路を開く第1抽出バルブと、
前記第2飲料タンク内の飲料を販売する場合、前記第2飲料タンクの飲料抽出路を開く、前記第1抽出バルブとは相補的に動作する第2抽出バルブと、
前記第1飲料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、
前記第1抽出バルブが開いているときの前記第1飲料タンク内の圧力が所定の圧力であることを前記圧力センサが検出した場合、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記第1抽出バルブを閉じるとともに前記第2抽出バルブを開く制御部と、
を備えたことを特徴とする飲料販売装置。
【請求項2】
前記圧力設定部は、前記第1飲料タンク内の圧力を前記第1飲料タンク外の圧力より高く設定するエアコンプレッサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料販売装置。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記第1飲料タンクと前記エアコンプレッサとを連結する配管内の圧力を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の飲料販売装置。
【請求項4】
前記圧力設定部は、更に、前記第2飲料タンク内の飲料を抽出する場合、前記第2飲料タンク内の圧力が前記第2飲料タンク外の圧力より高くなる圧力差を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料販売装置。
【請求項5】
前記圧力センサは、更に、
前記第2飲料タンク内の圧力を検出し、
前記制御部は、更に、
前記第2抽出バルブが開いているときの前記第2飲料タンク内の圧力が所定の圧力であることを前記圧力センサが検出した場合、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記第2抽出バルブを閉じるとともに前記第1抽出バルブを開く、
ことを特徴とする請求項4に記載の飲料販売装置。
【請求項6】
前記所定の圧力は、大気圧である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の飲料販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181868(P2012−181868A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118576(P2012−118576)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2007−18936(P2007−18936)の分割
【原出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】