説明

飲料

【課題】 本発明はガックジュースのネックリングの発生を、増粘剤や保存剤などの添加を行わずに抑制しつつ、栄養学的に有用なガックを高い吸収効率で摂取することを可能にすることを目的とする。
【解決手段】 本発明によれば、ガックジュースのネックリングの発生を、増粘剤や保存剤などの添加を行わずに抑制しつつ、栄養学的に有用なガックを高い吸収効率で摂取することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガックを含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年交通の発達に伴い、世界文化の交流が盛んになると共に、世界各地の食品の交流も盛んになっている。例えば本願に使用されるガック(和名:ナンバンカラスウリ、学名:Momordica Cochinchinensis)は東南アジアを中心とする植物であり、豊富な栄養成分を含み糖尿病の改善などが期待されると共に、現地では祝いの席などで食されてきた。
【0003】
その食形態としてはソイガックなどのような調理物や、高い吸収効率を目的とした飲料などが挙げられる。
【0004】
だが、ガックはリコペンなどの不溶性成分や油分を豊富に含んでいるため、飲料として加工する際にはネックリングが生じるという問題があった。
【0005】
ネックリングとしてリコペンなどの有用成分が容器に残存してしまうために、飲料に加工した際、ガックの有効成分を十分に摂取出来ないという問題があった。
【0006】
リコペンを含む分散製剤や飲料のネックリングの発生を抑制する従来技術としては、特開2004−267041に記載のようにプロピレングリコールとアラビアガムを添加する方法や、増粘剤や保存剤などの添加が行なわれていた。
【0007】
しかしながら、現在健康志向の高まりと共に保存料、着色料などの添加剤を添加しない飲料への需要が高まっており、様々な食品素材の組み合わせによりこの課題を解決することが求められていた。
【特許文献1】特開2004−267041
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はガック由来の飲料のネックリングの発生を、増粘剤や保存剤などの添加を行わずに抑制しつつ、栄養学的に有用なガックを高い吸収効率で摂取することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はガック由来の飲料と、野菜及び/または果物由来の飲料の1または2以上を含有することを特徴とする飲料に関するものであり、前記の野菜が緑黄色野菜から選ばれる群であり、果物が落葉性果樹の果実、常緑性果樹の果実から選ばれる群である飲料に関するものである。また、前記の飲料が該配合により、ネックリングの発生が抑制されてなる飲料に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガック由来の飲料のネックリングの発生を、増粘剤や保存剤などの添加を行わずに抑制しつつ、栄養学的に有用なガックを高い吸収効率で摂取することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0012】
本発明に使用されるガックは、産地、収穫の時期などに限定されるものではない。またその使用部位は特に限定されず、果実全体をいかなる配合で用いても良いが、好ましくは種衣部が特に選んで用いられる。
【0013】
本発明に使用されるガック由来の飲料は、常法で調製されるものの中から適宜選択することが出来、好ましくはジュースまたはピューレ、オイルの中から選択される。
【0014】
ガックのジュースとしては、その製法に特段の制限はなく、生絞りジュース、濃縮ジュース、還元ジュース、粉末を水などに溶解させたジュースなどから適宜選択される。
【0015】
本願発明に使用されるガック由来の飲料の配合比率は、生絞りジュース換算で0.5〜70重量%であり、好ましくは0.5〜40重量%である。
【0016】
本願で用いる緑黄色野菜としては、ニンジン、トマト、浅葱、明日葉、アスパラガス、さやいんげん、さやえんどう、おかひじき、オクラ、貝割れ大根、かぶの葉、カボチャ、からし菜、ぎょうじゃにんにく、京菜、クレソン、ケール、こごみ、小松菜、山東菜、ししとうがらし、サラダ菜、しそ、十六ささげ、春菊、せり、大根の葉、高菜、たらの芽、チンゲンサイ、つくし、つるむらさき、唐辛子、とんぶり、ナズナ、なばな、ニラ、ニンニクの芽、万能ねぎ、野沢菜、パクチョイ、バジル、パセリ、パプリカ、ピーマン、広島菜、ブロッコリー、ほうれん草、みつば、芽キャベツ、モロヘイヤ、よめな、よもぎ、リーキ、ロケットサラダ、わけぎが挙げられる。
【0017】
本願で用いうる果物としては、リンゴ、サジー、クコ、西瓜、カリン、ナシ、マルメロ、メドラー、アンズ、ウメ、サクランボ、スモモ、モモ、アケビ、イチジク、カキ、キイチゴ、キウイフルーツ、グミ、クランベリー、コケモモ、ザクロ、サルナシ、スグリ、ナツメ、ニワウメ、フサスグリ、ブドウ、ブラックベリー
、ブルーベリー、ポーポー、ラズベリー、ユスラウメなどの落葉性果樹の果実からなる群、またはオレンジ、イヨカン、ウンシュウミカン、オロブランコ、カボス、カラタチ、キシュウミカン、キンカン、クネンボ、グレープフルーツ、コウジ、サンボウカン、シークヮーサー、シトロン、シラヌイ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンカン、デコポン、ナツミカン、ハッサク、ハナユ、ヒュウガナツ、ブッシュカン、ブンタン、ベルガモット、ポンカン、ミカン、ユズ、ライム、レモン、オリーブ、ビワ、ヤマモモ、アキー、アセロラ、アテモヤ、アボカド、カニステル、カムカム、キワノ、グアバ、ココヤシ、サポジラ、スターフルーツ、タマリロ、チェリモヤ、ドラゴンフルーツ、ドリアン、ナツメヤシ、パイナップル、パッションフルーツ、バナナ、パパイヤ、ババコ、パラミツ、パンノキ、バンレイシ、ピタヤ、ピタンガ、フェイジョア、フトモモ、ペピーノ、ホワイトサポテ、マンゴー、マンゴスチン、ミラクルフルーツ、ランブータン、リュウガン、レイシ、などの常緑性果樹の果実が挙げられる。
【0018】
本発明で添加しうる野菜や果物の形状としては、常法により液状品、粉末品、顆粒状品などに加工されたものを用いることが出来る。ハンドリングの容易さや、風味の良さといった観点から、好ましくはジュースやピューレ、ペースト、オイルなどの液状品が用いられる。
【0019】
本発明に用いられるジュースやピューレ、ペースト、オイルなどのような液状品は、その製法に特段の制限はなく、例えばジュースであれば生絞りジュース、濃縮ジュース、還元ジュース、粉末を水などに溶解させたジュースなどから適宜選択される。
【0020】
また、本願発明を保存する容器としては、ガラス容器、ペットボトル容器、紙パック、各種金属容器など特に制限されるものではないが、風味および成分の保存の観点からガラス容器またはペットボトル容器などが好ましい。
【0021】
本願発明はその機能性の観点から、増粘剤や保存剤などの添加を行わないことが好ましいが、風味、成分を損なわない範囲で各種添加剤の添加を行うことが可能である。また、各種原料に含まれるキャリーオーバー成分によっても特段の影響を受けるものではない。
【0022】
添加可能な成分としては、例えば甘味料、pH調整剤、着色剤、酸味料、香料などが挙げられる。
【0023】
添加可能な香料としては、天然香料、合成香料などが挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0025】
(実施例)
下記表1に記載の配合で実施例1〜36のガックジュースを調製した。ニンジンジュースとしては「まろやかキャロット(カゴメ株式会社製)」を、トマトジュースとしては「カゴメトマトジュース(カゴメ株式会社製)」を、リンゴジュースとしては「Tropicana手しぼり感覚リンゴジュース(キリンビバレッジ株式会社製)」を、オレンジジュースとしては「Tropicana手しぼり感覚オレンジジュース(キリンビバレッジ株式会社製)」を、サジーとしてはサジーの果実(中国・遼寧省産)をミキサーで液状になるまで粉砕したジュースを、クコとしてはクコの果実(中国・新疆ウイグル自治区産)をミキサーで液状になるまで粉砕したジュースを、水は蒸留水を使用した。
【表1】

【0026】
(比較例)
実施例と同様に、下記表2記載の配合で比較例1〜6のジュースを調製した。
【表2】

【0027】
(比較実験)
実施例1〜36及び比較例1〜6をガラス容器に入れ、密栓したのち85℃で20分間殺菌を行った。その後4℃の冷蔵庫に静置し、0日目(4時間後)、1日後、7日後それぞれ冷蔵庫より取り出し、5人のパネラーの目視にてネックリング発生の経時変化を確認、評価しその平均点を評点とした。結果を表3、表4、表5、表6、表7、表8に示す。
【0028】
(評価方法)
1点:ネックリングの発生がない。
2点:ネックリングの発生が極めて少ない。
3点:ネックリングの発生が少ない。
4点:ネックリングの発生がやや多い。
5点:ネックリングの発生が多い。
【表3】




【表4】

【表5】














【表6】


【表7】














【表8】

【0029】
以上の結果から、ニンジンジュース、トマトジュース、リンゴジュース、オレンジジュースの添加により、ガックジュースのネックリングの発生が抑制されることが明らかになった。同様の実験を行ったサジージュース及びクコジュースについては、微弱なネックリングの抑制効果が見られた。またガックを80%含む実施例においてはネックリングの発生が認められず、本発明の解決しようとする課題が存在しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に従うと増粘剤や保存剤の添加を行うことなく、ガック由来の飲料のネックリング発生という問題を解決することが可能となる。そのため、高い吸収効率でガックに含まれる栄養素を摂取することが可能となり、健康志向の人々の需要を満たすことが可能な、優れた飲料素材としてガックを利用することが出来る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガック由来の飲料と、野菜及び/または果物由来の飲料の1または2以上を含有することを特徴とする飲料。
【請求項2】
請求項1に記載の野菜が緑黄色野菜から選ばれる群であり、果物が落葉性果樹の果実、常緑性果樹の果実から選ばれる群である請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
請求項1および2に記載の飲料が該配合により、ネックリングの発生が抑制されてなる飲料。

【公開番号】特開2009−178079(P2009−178079A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19176(P2008−19176)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】