説明

飲食物収容皿の組み付け部材

【課題】重ねられた2枚の飲食物収容皿の1枚のみが誤って取られるのを防止することの出来る飲食物収容皿の組み付け具を提供する。
【解決手段】店内の各テーブルに飲食物を搬送するための搬送路が備えられた飲食物搬送装置における前記搬送路に載せて用いる飲食物収容皿の組み付け具であって、この組み付け具が、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部を備えた組み付け筒と、前記飲食物収容皿の皿板が前記組み付け筒の上下開口部内に嵌められた時点で、前記上側開口部内に嵌められる皿板の周縁部上面が組み付け筒の上側開口部両端と、また下側開口部内に嵌められる皿板の周縁部下面が組み付け筒の下側開口部両端とそれぞれほぼ同一位置に来るように規制するための皿位置規制部から構成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司などの飲食物を搬送路に載せて搬送し、飲食客が各自好みの飲食物を搬送路から適宜取り出して飲食出来るようにした飲食物搬送装置に用いられる飲食物収容皿に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店内のテーブルに沿って循環する搬送路を備えてなる搬送装置を設置した店舗では、調理人が、厨房室内にてシャリ玉上に寿司ネタを載せて握り、出来上がった寿司を皿に載せた上で搬送装置の搬送路上に移し替え、この搬送路により客室の各テーブルに順次搬送する一方、顧客は、前記搬送装置により順次送られてくる複数種類の寿司を好みに応じて搬送路から適宜取り出して食するようにしている。(特許文献1参照)
ところで、以上の店舗では、ネタの種類によって値段を変えた寿司などが混在して提供されることがある。
【0003】
即ち、例えば100円の品と200円の品が混在して搬送路上に提供されるのであるが、この場合顧客がどの値段の品を食したのかを判別するための方法として、従来では、値段毎に色彩や模様の異なる皿を用意し、食後の空皿をその色彩または模様別にその枚数を数えると共に、各皿の枚数毎に食品の値段を掛け合わせて、そのトータル金額を計算するようにしている。
【0004】
しかしながら以上の計算方法では、前記したように、先ず皿を色彩または模様毎に仕分けて、仕分けされた皿の枚数を色彩または模様毎に数えると共に、各皿の食品の値段を掛け合わせて、その金額を計算しなければならず、計算に手間を要するし、特に店内が混雑している時などでは、計算間違えを行ない易い不具合がある。
【0005】
一方、以上の不具合に対しては、一枚の皿を100円に設定し、100円の品物では、一枚の皿上にその食品を載せ、例えば200円の食品では、2枚重ねた皿の上に食品を載せてそれぞれ搬送路上に送り込む方法も提案されている。
【0006】
しかしながら以上の方法を採用した場合には、図9に概略的に示すように、顧客が誤って食品の載せられた一番上の皿P1だけを搬送路から取り出して、その下の皿P2を搬送路R上に残したままとすることがあり、この場合、顧客が食した正確な料金の計算が行なえなくなる不具合がある。
【特許文献1】特開2001−46213号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みて開発したものであって、重ねられた2枚の飲食物収容皿の1枚のみが誤って取られるのを防止することの出来る飲食物収容皿の組み付け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、店内の各テーブルに飲食物を搬送するための搬送路が備えられた飲食物搬送装置における前記搬送路に載せて用いる飲食物収容皿の組み付け具であって、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部を備えた組み付け筒と、前記飲食物収容皿の皿板が前記組み付け筒の上下開口部内に嵌められた時点で、少なくとも前記上側開口部内に嵌められる皿板の周縁部上面が組み付け筒の上側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するための皿位置規制部が備えられていることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の組み付け具において、皿位置規制部が下側開口部内に嵌められる皿板の周縁部下面を組み付け筒の下側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するようにしていることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の組み付け具において、皿位置規制部が組み付け筒の内周面に一体形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、本発明にかかる組み付け具を介して搬送されてくる寿司を食するに際して、寿司が盛られた上の皿の皿板が組み付け具の組み付け筒内に嵌り込んでいることから、寿司が盛られたこの皿のみを手で取り上げることが出来ず、必然的に、組み付け筒の上下開口部内に嵌り込んでいる上下の皿を手で摘んで、これら上下の2枚の皿を組み付け具と共にフラットチエン上から取り出すこととなり、従って例えば200円の寿司を食する場合には、組み付け具と共に2枚の収容皿を飲食物搬送装置から取り出して食することとなり、複数の異なる値段の飲食物を食した場合でも、食後、組み付け具から収容皿を外して、収容皿のトータル枚数を数えるだけで、食した寿司の金額を簡単且つ確実に計算することが出来、従来のように、値段毎に色彩や模様の異なる皿を用意し、食後の空皿をその色彩または模様別にその枚数を数えると共に各皿の枚数毎に食品の値段を掛け合わせてそのトータル金額を計算する場合に比べて、計算に手間を要しないし、計算間違えも少なくなる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、より一層スムーズに上下の2枚の皿を組み付け具と共にフラットチエン上から取り出すことが出来る。
【0013】
また請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、組み付け具自体の製造コストを安価とすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる飲食物収容皿の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
先ず図6は、厨房室S1と、客室S2に配置するカウンターテーブル1a及び複数の脚付きテーブル1bと、前記厨房室S1の前面乃至各テーブル1a・1bに沿って配置した仕切ハウジング2と、該仕切ハウジング2上を走行して、前記厨房室S1内にて後記する飲食物収容皿6に盛り合わされた寿司を各テーブル1a・1bに運ぶための無端状のフラットチエン31を備えた飲食物搬送装置3とが設けられた寿司店舗内を平面的に表したものであって、前記フラットチエン31が店内の各テーブルに飲食物を搬送するための搬送路を構成し、このフラットチエン31には飲食物収容皿6が載置可能となっている。
【0016】
仕切ハウジング2は、図7に示すように、所定間隔開けて相対向する側壁21・22と、これら両側壁21・22の上端及び下端を結ぶ上壁23及び底壁24から断面ボックス状に形成されたものであって、前記厨房室S1の前面に沿って配設されて該厨房室S1と客室S2とを区画する第1ハウジング部2aと、該第1ハウジング部2aの長手方向両端から屈曲して前記客室S2内に平行に延びる第2、第3ハウジング部2b・2cとから成り、前記各ハウジング部2a・2b・2cの上壁23に設けた凹所25内には、フラットチエン31が配設され、前記第2及び第3ハウジング部2b・2cにおける側壁21・22の外側方には、前記したカウンターテーブル1aと脚付きテーブル1bとが配設されている。
【0017】
また図に示す実施形態では、仕切ハウジングの側壁21・22で且つ前記カウンターテーブル1aの各座席及び脚付きテーブルと対応する位置に、それぞれ正面視矩形状の開口26が設けられると共に、この開口26を開閉する扉27が揺動可能に設けられており、また前記した扉27には、所定の飲食物収容皿6が一枚ずつ通過可能な投入口28が開設されている。
【0018】
以上の扉27は、図8に示すように、側壁21・22に設けたキーシリンダ29の操作により開放可能として、この扉27を開くことにより、前記投入口28からは投入出来ない例えばコップ類等を前記開口26から後記する皿回収水路4内に投入出来るようにしている。
【0019】
また前記ハウジング2における第1、第2、第3ハウジング部2a・2b・2c内には、これらハウジング部2a・2b・2cのほぼ全長にわたって延びる第1、第2、第3ダクト3a・3b・3cが設けられて、前記第2、第3ハウジング部2b・2c内に設けた第2、第3ダクト3b・3cの前記第1ハウジング部2a側一端を、該第1ハウジング部2a内に設置した第1ダクト3aの長さ方向両端部にそれぞれ連通させて、これら各ダクト3a〜3c内を皿回収水路4とし、これら皿回収水路4に流す所定流速の流水Wにより、この皿回収水路4内に投入される飲食物収容皿6を、前記第1ダクト3aの長さ方向一端に設置した皿回収槽40まで搬送するようにしている。
【0020】
尚、前記皿回収水路4は、下流側に向かうに従って下方に傾斜するように一定の勾配がつけられている。
【0021】
一方、前記第2、第3ハウジング部2b・2c内には、前記各投入口28から投入される飲食物収容皿6を前記皿回収水路4に導く投入路となるシューター5が設けられると共に、このシューター5の途中には、前記投入口28に投入される飲食物収容皿6を検知するためのリミットスイッチ51が設けられ、また前記第2、第3ハウジング2b・2cにおける前記側壁21・22の外面で且つ前記各投入口28と対向する位置には、リミットスイッチ51からの出力信号に基づいて前記投入口28に投入された飲食物収容皿6の投入枚数を表示するデジタル式の表示器52が設けられている。
【0022】
尚、この表示器52の枚数表示は、扉27を開いた時に「0」にリセットされるようにしている。
【0023】
飲食物収容皿6は、合成樹脂から形成されたものであって、既知の通り、中央部が若干窪んだ平面視円形の皿板61と、この皿板61の下面から突出する円筒状の高台62から構成されている。
【0024】
以上の構成からなる搬送装置3では、厨房室S1において従業員により飲食物収容皿6に載せられた寿司Tが厨房室S1の前面を移動するフラットチエン31上に順次載せられて、このフラットチエン31を介して客室S2内の各テーブル1a・1bに循環搬送されるのであって、各テーブル1a・1bの客は、好みの寿司Tが盛られた飲食物収容皿6をフラットチエン31から適宜取り出して、皿6に盛られた寿司Tを食するのである。
【0025】
本発明の組み付け具7は、前述の飲食物収容皿6を2枚上下に組み付けた状態でフラットチエン31上に載せて用いるものであり、この組み付け具7を次に詳説する。
【0026】
図1にも示す組み付け具7は、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部71a・71bを備えた組み付け筒と、飲食物収容皿6の皿板61が上下の開口部71a・71b内に嵌る大きさとした円筒状の組み付け筒71と、この組み付け筒71の内周面に所定間隔毎に突設する皿位置規制部72とから構成されている。
【0027】
そして組み付け筒71の内径L1は、皿板61の外径よりもわずかに大きく、また組み付け筒7の高さH1は、皿6の高さH2とほぼ同一にして、皿板61がこの組み付け筒71内に嵌り込み可能としている。
【0028】
また皿位置規制部72の長さL3は、組み付け筒71の高さH1よりもほぼ2枚分の皿板61の厚さを引いた長さとして、皿位置規制部72の両端が組み付け筒の両端から皿板の厚さ分内部に位置するようにして、図4にも示すように、皿板61がこの組み付け筒71の上側開口部71a内に嵌り込んだ時点で、皿板61の周縁部上面が組み付け筒71の開口部71aの端縁と同一位置に来る位置で皿板61の下面が皿位置規制部72の端縁に当接し、また飲食物収容皿6の皿板61が組み付け筒71の下側開口部71b内に嵌まり込んだ時点で、皿板61の周縁部下面が組み付け筒71の下側開口部71bの端縁と同一位置に来る位置で皿板61の上面が皿位置規制部72の端縁に当接するようにしている。
【0029】
次に以上の構成から成る組み付け具7の使用例を説明する。
【0030】
先ず100円の寿司Tを提供する場合には、従来から行なわれているように、飲食物収容皿6の皿板61上に100円の寿司Tを盛り、この飲食物収容皿6をフラットチエン31上に載せて、各テーブル1a・1bに搬送する。
【0031】
一方、200円の寿司を提供する場合には、本発明にかかる組み付具7を用意して、図3、図4に示すように、先ず組み付け具7の組み付け筒71の下端部に空(寿司が盛られていない)の飲食物収容皿6の皿板61を嵌め込むと共に、組み付け筒71の上端には寿司Tが盛られた飲食物収容皿6の皿板61を嵌め込んだ後、フラットチエン31に載せて、各テーブル1a・1bに搬送する。
【0032】
そして各テーブル1a・1bの客は、好みの寿司Tが盛られた飲食物収容皿6をフラットチエン31から適宜取り出して、皿6に盛られた寿司Tを食するのであるが、例えば200円の寿司を食する際、寿司Tが盛られた上の皿6の皿板61が組み付け具7の組み付け筒71内に嵌り込んでいることから、寿司が盛られたこの皿6のみを手で取り上げることが出来ず、必然的に、図5に示すように、組み付け筒71内に嵌り込んでいる上下の皿6を手で摘んで、これら上下の2枚の皿6を組み付け具7と共にフラットチエン31上から取り出すしかなく、結果として200円の寿司を食する場合には、組み付け具7と共に2枚の収容皿6をフラットチエン31から取り出して食することとなるのである。
【0033】
従って、複数の異なる値段の飲食物を食した場合でも、食後、組み付け具7から収容皿6を外して、収容皿6のトータル枚数を数えるだけで、食した寿司の金額を簡単且つ確実に計算することが出来、従来のように、値段毎に色彩や模様の異なる皿を用意し、食後の空皿をその色彩または模様別にその枚数を数えると共に各皿の枚数毎に食品の値段を掛け合わせてそのトータル金額を計算する場合に比べて、計算に手間を要しないし、計算間違えも少なくなる。
【0034】
尚、図に示す飲食物搬送装置3では、飲食物収容皿6を順次投入口28に投入することで、その枚数がリミットスイッチ51でカウントされて、投入口28に投入された皿本体7及びダミー用皿部材8の投入枚数が表示器52に自動的に表示されるのである。
【0035】
以上の各実施形態において、飲食物収容皿6と取り付け具7に磁石を取り付けて、飲食物収容皿6を取り付け具7に磁石を介して吸着させるようにしてもよい。
【0036】
以上の実施形態では、寿司Tを盛る飲食物収容皿6に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば刺身やケーキを載せる飲食物収容皿6に本発明を適用してもよい。
【0037】
また以上の実施形態では、皿板61がこの組み付け筒71の上側開口部71a内に嵌り込んだ時点で、皿板61の周縁部上面が組み付け筒71の開口部71aの端縁と同一位置に来る位置で皿板61の下面が皿位置規制部72の端縁に当接し、また飲食物収容皿6の皿板61が組み付け筒71の下側開口部71b内に嵌まり込んだ時点で、皿板61の周縁部下面が組み付け筒71の下側開口部71bの端縁と同一位置に来る位置で皿板61の上面が皿位置規制部72の端縁に当接するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、皿板61がこの組み付け筒71の上側開口部71a内に嵌り込んだ時点で、皿板61の周縁部上面が組み付け筒71の開口部71aの端縁よりも若干飛び出すか若しくは開口部71a内に沈み込む位置で皿板61の下面が皿位置規制部72の端縁に当接するようにしてもよいし、また飲食物収容皿6の皿板61が組み付け筒71の下側開口部71b内に嵌まり込んだ時点においても、皿板61の周縁部下面が組み付け筒71の下側開口部71bの端縁よりも若干飛び出すか若しくは開口部71b内に沈み込む位置で皿板61の上面が皿位置規制部72の端縁に当接するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかる取り付け具の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同、平面図。
【図3】2枚の飲食物収容皿をセットした状態の取り付け具の斜視図。
【図4】2枚の飲食物収容皿がセットされた取り付け具の断面図。
【図5】同、正面図。
【図6】飲食物搬送装置が備えられた寿司店舗内を平面的に表した説明図。
【図7】飲食物搬送装置の要部の拡大断面図。
【図8】飲食物搬送装置の要部の説明図。
【図9】従来例の説明図。
【符号の説明】
【0039】
1a・1b テーブル仕切りハウジング
3 飲食物搬送装置
31 フラットチエン(搬送路)
6 飲食物収容皿
61 皿板
7 組み付け具
71 組み付け筒
71a 上側開口部
71b 下側開口部
72 皿位置規制部
T 寿司

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内の各テーブルに飲食物を搬送するための搬送路が備えられた飲食物搬送装置における前記搬送路に載せて用いる飲食物収容皿の組み付け具であって、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部を備えた組み付け筒と、前記飲食物収容皿の皿板が前記組み付け筒の上下開口部内に嵌められた時点で、少なくとも前記上側開口部内に嵌められる皿板の周縁部上面が組み付け筒の上側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するための皿位置規制部が備えられていることを特徴とする飲食物収容皿の組み付け具。
【請求項2】
皿位置規制部が下側開口部内に嵌められる皿板の周縁部下面を組み付け筒の下側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の飲食物収容皿の組み付け具。
【請求項3】
皿位置規制部が組み付け筒の内周面に一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の飲食物収容皿の組み付け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−188158(P2008−188158A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24126(P2007−24126)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(396011174)株式会社くらコーポレーション (17)
【Fターム(参考)】