説明

飼鳥肉の風味、軟らかさ、および全消費者嗜好性の改善法

【課題】家禽化した家禽の肉の風味、軟らかさ、および/または消費者嗜好性を改善する方法の提供。
【解決手段】低レベルのω-3高度不飽和脂肪酸(HUFA)および/またはω-6HUFAを、好ましくは家禽生産サイクルの後期段階に家禽へ給餌する。本方法はまた、家禽肉の栄養価の改善をもたらしうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、家禽化したトリ生産分野に関し、特に栄養価、風味、軟らかさ、および/または消費者嗜好性を改善するための家禽化したトリの給餌法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
長鎖ω-3脂肪酸を若鶏(broiler chicken)に給餌することに関する多くの研究がある。これらの研究の目的は主に、消費者に食事において非-魚ベースの給源でこれらの脂肪酸を提供するために、肉においてω-3脂肪酸を豊富にすることである。一般に、大量(≧約6g)の長鎖ω-3脂肪酸が、生産期間中、トリに給餌された。本明細書において使用されるように、「生産期間」および「生産サイクル」という用語は、トリを屠殺するまでの生活サイクルを意味する。研究者らは、肉中の長鎖ω-3脂肪酸レベルが増大したこと、および風味スコアが対照(強化しない)若鶏肉と同じまたはそれよりも劣ることを報告した。飼鳥に長鎖ω-3および/またはω-6脂肪酸を給餌した場合に、若鶏肉の軟らかさ、味、または消費者嗜好性が改善されたと報告している研究を本発明者らは認識していない。
【発明の概要】
【0003】
本発明において、家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つを改善するための給餌法が提供される。本明細書において使用される「家禽肉」という用語は、トリ、特に管理された規定飼料が給餌される家禽化したトリの肉を意味する。本発明の方法は、ω-3高度不飽和脂肪酸(HUFA)またはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源を提供する工程、およびω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源を、家禽へ低濃度で給餌し、家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つの改善をもたらす工程を含む。本発明の付加的な利点は、例えば肉中のω-3 HUFAおよび/またはω-6 HUFAのレベルを増大させることにより、家禽肉の栄養価も改善され得ることである。
【0004】
本明細書において使用される用語「高度不飽和脂肪酸」または「HUFA」は、4個またはそれよりも多い不飽和結合を有する脂肪酸を意味する。HUFAの例は、アラキドン酸(ARA(n-3)、C20:4n-3またはARA(n-6)、C20:4n-6);ステアリドン酸(SDA、C18:4n-3);エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5n-3);ドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6n-3)およびドコサペンタエン酸(DPA(n-3)、C22:5n-3またはDPA(n-6)、C22:5n-6)を含む。
【0005】
好ましくは、ω-3 HUFAおよびω-6 HUFAの両方の濃縮給源が提供され、かつ家禽へ給餌される。好ましくは、ω-3 HUFA対ω-6 HUFAの比は、約2:1〜約4:1の範囲である。好ましくは、ω-3 HUFAは、DHA、EPA、DPA(n-3)、ARA(n-3)、SDA、およびその混合物からなる群より選択される。好ましくは、ω-6 HUFAは、ARA(n-6)、DPA(n-6)、およびその混合物からなる群より選択される。より好ましくは、DHAおよびDPA(n-6)が提供され、かつ家禽へ給餌される。より好ましくは、DPA(n-3)およびDPA(n-6)が提供され、かつ家禽へ給餌される。
【0006】
好ましくは、ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の生産(生活)サイクルの最終50%において優先して家禽へ提供および給餌され、並びにより好ましくは、ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の生産(生活)サイクルの最終25%において優先して家禽へ提供および給餌される。本明細書において使用される「優先して」という用語は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも66%、およびより好ましくは少なくとも75%を意味する。給餌プロトコールは、米国特許第6,054,147号、名称「飼鳥肉中のω-3高度不飽和脂肪酸の組込み効率の増大法(A Method For Increasing The Incorporation Efficiency Of Omega-3 Highly Unsaturated Fatty Acid In Poultry Meat)」に開示されており、これはその全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0007】
好ましくは、ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源は、その生産サイクルの間に、家禽の最終体重1kgにつきHUFA約0.2〜約2.4g含有する量で、より好ましくは家禽の最終体重1kgにつきHUFA約0.4〜約1.75g含有する量で、より好ましくは家禽の最終体重1kgにつきHUFA約0.6〜約1.25g含有する量で、より好ましくは家禽の最終体重1kgにつきHUFA約0.7〜約1g含有する量で、家禽へ提供および給餌される。
【0008】
好ましくは、家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも25%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物であり、より好ましくは、家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも30%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物であり、より好ましくは家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも40%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物であり、並びにより好ましくは、家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも50%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物である。
【0009】
好ましくは、家禽化したトリまたは家禽は、若鶏、肥育鶏(roaster chicken)、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、ウズラ、アヒル、およびガチョウからなる群より選択され、より好ましくは家禽化したトリまたは家禽は、若鶏、肥育鶏およびシチメンチョウからなる群より選択される。
【0010】
好ましくは、ω-3またはω-6 HUFAは、家禽給餌中に、トリグリセリド、リン脂質、脂肪酸のエチルエステル、およびその混合物の形で提供される。
【0011】
好ましくは、ω-3またはω-6 HUFAは、微生物給源、動物給源(魚油または粉餌(meal)を含む)、または遺伝子操作した植物給源に由来し、そしてより好ましくはω-3またはω-6 HUFAは、シゾキトリウム種またはクリプテコシジウム(Crypthecodinium)種に由来する。
【0012】
好ましくは、本発明の方法は、結果的に、少なくとも1つのHUFAについて肉を強化し、より好ましくはDHA、SDA、EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、ARA(n-3)、またはARA(n-6)の少なくとも1つについて肉を強化し、より好ましくはω-3脂肪酸の少なくとも1つにおいて肉を強化し、並びにより好ましくはDHAについて肉を強化する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
飼鳥肉をω-3脂肪酸で強化する試験を行う一方で、それらの飼料中に先に試験されたものよりもはるかに少ないω-3およびω-6長鎖HUFA含量を給餌する選択肢について調べた。試験パネルにより、調理された肉試料について評価した場合、予想外にも、強化された肉は対照肉よりも、味スコア、軟らかさのスコア、および全般的嗜好性スコアがより高いことがわかった。従ってこの肉は、栄養上有意レベルの長鎖ω-3脂肪酸を提供することにより、ω-3脂肪酸について顕著に強化され得る(通常の肉において認められる長鎖ω-3脂肪酸量の約2〜6倍)ことがわかった。長鎖ω-3脂肪酸の健康上の恩恵はよく知られているので、これは、消費者にとって追加的恩恵である。しかし同時に、通常の肉と比較してこの肉の全般的消費者嗜好性も改善される。別の恩恵としては、この肉の全般的多価不飽和脂肪含量が増大することであり、消費者のための肉の栄養上の品質改善も向上することである。
【0014】
いずれの理論にも結びつけられることを欲するものではないが、飼鳥飼料中の長鎖ω-3およびω-6 HUFAの低レベルでの恩恵は、恐らくDHAによるものであり、もしそうなら肉中のリン脂質のより短鎖の脂肪酸、およびより低い不飽和の脂肪酸と置換しているDPA(n-6)によるものである。この置換は、リン脂質膜の流動性を改善し、かつこの肉の別の機能特性に直接影響を及ぼす。この低レベルでの強化による作用は、これまでには恐らく観察されておらず、その理由は高レベルの強化に重きが置かれていたためであり、より高レベルの混入では膜の流動性が大きくなりすぎ、機能的に有害な影響を受け、および/または肉中、あまり安定ではないトリグリセリドの顕著な量での強化が引き起こされ、これが官能検査(organoleptic)の問題につながるためである。加えて多くの先行する試験では、総脂肪酸率(%)として約20〜25%のω-3脂肪酸を有する魚油のような、ω-3脂肪酸があまり濃縮されていない形を使用していた。他の75%の油分は、目的としない方法で肉中に混入されたために官能検査において望ましくない問題点を引き起こす、飽和脂肪酸およびモノ不飽和脂肪酸および若干の多価不飽和脂肪酸からなる。ひとつの態様において、一連のω-3およびω-6における高度不飽和脂肪酸のより濃縮された形を使用することにより、LCHUFA給源中の脂肪酸の約55%は、DHA(n-3)およびDPA(n-6)脂肪酸であり、リン脂質を豊富にすることで、これらの高度不飽和脂肪酸による置換がより正確であるように指示することができる。加えて、一連のω-3およびω-6における最も長い長鎖脂肪酸の使用は、これら脂肪酸における不飽和が高レベルであるため、およびこれらの脂肪酸の三次構造が正の効果(例えば、DHAのらせん構造は、飽和脂肪酸のように、膜中へ密に詰め込ませる一方で、高度不飽和脂肪酸の柔軟性を有する)があるため、肉中のリン脂質ベースの膜の流動性に影響を及ぼす能力が最も大きい脂肪酸を提供することが可能である。
【0015】
好ましい態様
一連のω-3において、DHA、EPA、DPA、ARA、およびSDAを使用することができるが、より好ましくはDHAおよびDPA(n-3)である。一連のω-6において、ARAおよびDPA(n-6)の給源を使用することができるが、より好ましくはDPA(n-6)である。
【0016】
HUFA補充剤は、好ましくは長鎖ω-3脂肪酸を、より好ましくはDHAを、より好ましくはDHAおよび長鎖ω-6給源、最も好ましくはDHA(n-3)およびDPA(n-6)を含有する。好ましくは、低レベルのω-3、好ましくはDHAが、家禽に給餌される。好ましくは、若干の長鎖ω-6、好ましくはDPA(n-6)が、家禽へ給餌される。好ましくは、ω-3 HUFAのω-6 HUFAに対する比は、約2:1から約4:1の範囲である。好ましくは、長鎖ω-3およびω-6 脂肪酸は、生産サイクルの最後の半分の期間に、より好ましくは生産サイクルの最後25%の期間に、家禽へ給餌される。
【0017】
生産サイクルの期間中に給餌される長鎖ω-3およびω-6 HUFAの量は、好ましくは最終体重1kgにつき約0.2〜約2.4g、より好ましくは約0.4〜約1.75、より好ましくは約0.6〜約1.25、および更により好ましくは最終体重1kgにつき約0.7〜約1.0gの範囲である。好ましくは、長鎖ω-3および/またはω-6多価不飽和脂肪酸の濃縮された形が、家禽へ給餌される。
【0018】
好ましくは、総脂肪酸の25%を超える、より好ましくは30%を超える、更により好ましくは40%、および最も好ましくは50%を超える脂肪酸がω-3および/またはω-6長鎖HUFAである。
【実施例】
【0019】
実施例1. 低レベルの長鎖ω-3およびω-6脂肪酸の飼鳥肉の味、軟らかさ、および全般的消費者嗜好性に対する作用
低レベルの長鎖ω-3およびω-6脂肪酸の給餌の、肉の官能検査の特性に対する作用を決定し、かつ得られる肉におけるこれらの脂肪酸の強化レベルを決定するために、試験を行った。若鶏を、実験用に作出された動物として選択した。
【0020】
利用した若鶏系統は、Avian(雌) x Ross(雄)交雑であった。この系統は、高い性能を有し、かつ飼鳥産業において認められた一般的遺伝的血統を示している。
【0021】
若鶏は、ハッチで飼育し、研究施設で交雑し、かつ直ちに規定飼料による処置を開始した。この檻は、若鶏1羽当り0.75ft2であった。この試験は、0から49日齢の期間行い、36日目〜49日目まで飼料に長鎖ω-3/ω-6脂肪酸給源を添加した。1回の処置につき10回の繰り返し(1回の繰り返しにつき70羽の若鶏)を伴う試験において、3回の処置を行い、この試験で合計2100羽であった。この処置は、表1に概説している。若鶏は、檻間で重量が均等であることを確実にするために、全ての檻をおしなべて重量で無作為化することによりブロック化した。
【0022】
市販型の餌を配合し、かつ給餌した(開始期飼料中には砕き、かつ成長期および最終期の飼料中にはペレット化した)(表2)。0から35日齢までは、通常の飼料(被験物質非含有)を給餌した。本試験の成長期IIおよび最終期の間、36日目から商品年齢(49日齢)までは、被験物質を飼料に添加した。配合物は、下記の条件で調製した:
1)処置は、等窒素および等カロリーに加え、全ての他の栄養素が等しいように配合した。
2)成長期II飼料は、成長期Iと同じ配合物であるが、DHAおよびDPA(n-6)の給源を添加して使用した。
3)規定飼料は、産業標準に合格し、かつ「Nutrient Requirements of Poultry」第9改訂版(National Research Council、1998年)に記された栄養要件に合致するかまたはこれを上回った。
4)Sacox(サリノマイシン(60)、Hoechst社製造:60g/餌1トン)を、開始期飼料および成長期飼料で使用し、並びにBMD(Alfarma社製造:50g/餌1トン)を全ての餌において使用した。
【0023】
配合餌に関する栄養要件は、表3にまとめた。
【0024】
試験期間中、体重および餌消費量を測定した。試験終了時に、動物は屠殺し、ムネおよびモモの肉を、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸分析のために収集した。更にムネおよびモモの試料は、凍結し、かつ消費者の味覚パネルによる官能検査分析のために、独立した大学の実験室(コロラド州立大学食品科学科)へ送付した。肉試料は、官能検査分析のために、コロラド州立大学食品科学科へ送付した。
【0025】
消費者の味覚パネル(訓練を受けていないパネリスト100名)について、「嗜好順位試験(Rank Order of Preference Test)」を用い、試料を評価した。肉試験は、アメリカ食肉学会(AMSA)の「新鮮肉の料理法、感覚評価及び計器による軟らかさの測定に関する研究指針(Research Guide for Cookery, Sensory Evaluation and Instrumental Tenderness Measurements of Fresh Meat)」(1995年)に説明されており、これはその全体が本明細書に参照として組入れられている。パネルメンバーの試料の過剰負荷を避けるために、分析の限界は4試料を選択した。凍結した肉試料を解凍し、その後350°Fで焼き、エンドポイント温度165°F(74℃)(内部)とした。60gの分配カップ中、各処置試料およそ7gを、パネリストに同時に示した。スコアカードを添付した。パネリストには、試料を、風味、軟らかさ、および全般的嗜好性について等級化するように依頼した。各特徴について、1〜4の等級化スケールとした:1=恐らく最良;2=恐らく中間;3=恐らくわずか;4=恐らく最低。これらの結果は、χ二乗検定により解析した。ニワトリムネ試料について、結果は、処置2、4、1(対照)の「嗜好順位」で示した。これらの比較について、結果は有意であり、p<0.05レベルであった。ニワトリモモ試料について、結果は、処置2、4、1(対照)の「嗜好順位」で示した。これらの比較について、結果は有意であり、p<0.05レベルであった。まとめると、これらの結果は、若鶏飼料へのHUFAの添加により、ムネ肉の味、軟らかさ、および全般的嗜好性が増し、かつモモ肉の味または全般的嗜好性を損なうことなく軟らかさが増すことを示した。
【0026】
(表1) 試験計画
DHA(n-3)およびDPA(n-6)脂肪酸を、乾燥質量%としておよそ22.7% DHAおよび7.6% DPA(n-6)を含有するドラム乾燥したシゾキトリウム種細胞の形で、飼鳥餌成分として添加した。

【0027】
(表2) 給餌プログラム

【0028】
(表3) 配合餌の栄養要件

【0029】
(表4) 飼鳥肉で得られたDHA強化レベル(mg/100g肉)

【0030】
(表5) 消費者味覚パネル結果
ニワトリムネ肉の風味に関する最小有意差

風味に関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)

ニワトリムネ肉の軟らかさに関する最小有意差

軟らかさに関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)

ニワトリムネ肉の全般的嗜好性に関する最小有意差

全般的嗜好性に関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)

ニワトリモモ肉の風味に関する最小有意差

風味に関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)

ニワトリモモ肉の軟らかさに関する最小有意差

軟らかさに関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)

ニワトリモモ肉の全般的嗜好性に関する最小有意差

全般的嗜好性に関する、嗜好順位−処置2、3、1(対照)
【0031】
本発明は、様々な態様において、実質的に本明細書において描写および説明されるような成分、方法、プロセス、システムおよび/または装置を含んでおり、それらの様々な態様、部分組合せおよび部分集合を含んでいる。当業者は、本発明の開示を理解した後、いかにして本発明を実行しかつ使用するかを理解するであろう。本発明は、様々な態様において、本明細書において描写および/または説明されていないアイテムが欠けた装置およびプロセスを提供することを含み、あるいは本明細書の様々な態様において、例えば性能を改善し、容易さを実現し、および/または履行の経費を削減するために、先行の装置又はプロセスに使用されうるアイテムの欠けた装置およびプロセスを含む。
【0032】
前述の本発明の考察は、例証および説明を目的として提示されている。前述は、本明細書において明らかにされたひとつまたは複数の形に本発明を制限することを意図するものではない。本発明の説明は、ひとつまたは複数の態様の説明並びにある種の変形および修飾を含んでいるが、別の変形および修飾も、本発明の開示を理解した後には、当該技術分野内および当業者の知識内であるように、本発明の範囲内である。これは、許可される程度に別の態様を含む権利を得ることが意図されており、特許請求の範囲に対する変更、互換および/または同等の構造、機能、範囲または工程は、本明細書において開示されるか否かにかかわらず、かつあらゆる特許請求可能な対象を公に記すことを意図することなく、このような変更、互換および/または同等の構造、機能、範囲または工程を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つを改善するために、給餌する方法であり、
(a)ω-3高度不飽和脂肪酸(HUFA)またはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源を提供する工程;
(b)該ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの該濃縮給源を、低濃度で家禽へ給餌し、該家禽の肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つの改善をもたらす工程を含む方法。
【請求項2】
ω-3 HUFAおよびω-6 HUFAの両方の濃縮給源が、家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ω-3 HUFAが、DHA、EPA、DPA(n-3)、ARA(n-3)、SDA、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ω-6 HUFAが、ARA(n-6)、DPA(n-6)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
DHAおよびDPA(n-6)が、家禽へ提供および給餌される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
DPA(n-3)およびDPA(n-6)が、家禽へ提供および給餌される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽生産サイクルの最終50%において優先して該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽生産サイクルの最終25%において優先して該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の最終体重1kgにつきHUFAを約0.2〜約2.4g含有する量で該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の最終体重1kgにつきHUFAを約0.4〜約1.75g含有する量で該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の最終体重1kgにつきHUFAを約0.6〜約1.25g含有する量で該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源が、家禽の最終体重1kgにつきHUFAを約0.7〜約1g含有する量で該家禽へ提供および給餌される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも25%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも30%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも40%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
家禽飼料に添加され家禽により消費されるHUFA給源中の総脂肪酸の少なくとも50%が、ω-3 HUFA、ω-6 HUFA、またはその混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
家禽が、若鶏、肥育鶏、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、ウズラ、アヒル、およびガチョウからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
家禽が、若鶏、肥育鶏、およびシチメンチョウからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
ω-3またはω-6 HUFAが、給餌する家禽において、トリグリセリド、リン脂質、脂肪酸のエチルエステル、またはその混合物の形で提供される、請求項2記載の方法。
【請求項20】
ω-3またはω-6 HUFAが、微生物給源、動物給源、または遺伝子操作した植物給源に由来する、請求項2記載の方法。
【請求項21】
ω-3またはω-6 HUFAが、シゾキトリウム種またはクリプテコジウム種に由来する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのHUFAについて肉の強化を更にもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項23】
DHA、SDA、EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、ARA(n-3)、またはARA(n-6)の少なくとも1つについて肉の強化を更にもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つのω-3脂肪酸について肉の強化を更にもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項25】
DHAについて肉の強化を更にもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項26】
ω-3 HUFAのω-6 HUFAに対する比が、約2:1から約4:1の範囲である、請求項2記載の方法。
【請求項27】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも2つの改善をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項28】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の3つ全ての改善をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項29】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つを評価するために、「嗜好順位試験」を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項30】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つを改善するための給餌法であり、
(a)ω-3高度不飽和脂肪酸(HUFA)またはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源を提供する工程;
(b)該ω-3 HUFAまたはω-6 HUFAの少なくとも1つの濃縮給源を、家禽の総体重1kgにつき約0.2〜約2.4gを含有する量で、該家禽の生産サイクル期間中に該家禽へ給餌し、該家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つの改善をもたらす工程を含む方法。
【請求項31】
家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つを改善するための給餌法であり、
(a)ω-3高度不飽和脂肪酸(HUFA)およびω-6 HUFAの濃縮給源を提供する工程;
(b)該ω-3 HUFAおよびω-6 HUFAの濃縮給源を、家禽の総体重1kgにつき約0.2〜約2.4gを含有する量で、該家禽の生産サイクル期間中に該家禽へ給餌し、該家禽肉の風味、軟らかさ、または全般的消費者嗜好性の少なくとも1つの改善をもたらす工程を含む方法。

【公開番号】特開2010−162032(P2010−162032A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38299(P2010−38299)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【分割の表示】特願2002−588780(P2002−588780)の分割
【原出願日】平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願人】(501316356)マーテック・バイオサイエンシーズ・コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】